韓国、ファーウェイ問題で米中双方から脅される?

韓国メディア『中央日報』(日本語版)の報道によれば、米国が韓国に対して華為(ファーウェイ)を5Gネットワークから排除するように迫っている件で、米国と中国がそれぞれ韓国に対する圧力を強めているようです。

米国が二股外交の韓国に激怒?

韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨日、米国が韓国に対し、「情報共有」を武器に、華為(ファーウェイ)を5Gネットワークから排除するように強く迫っている、とする記事が掲載されました。

米国「韓国がファーウェイ装備使用なら情報共有しない」(2019年06月15日13時09分付 中央日報日本語版より)

以下、中央日報の記事を元に、日本語表現を整えつつ、言葉を補足しながら説明します。

米国務省の報道官は現地時間13日、中央日報の質問に対し、

韓国が5Gネットワークにファーウェイの通信装置を使用する場合、米国は韓国と『敏感な情報』を共有しない

と述べたのだそうです。また、これに先立って、ハリー・ハリス駐韓米国大使も7日、韓国大統領府の鄭義溶(てい・ぎよう)国家安全保障室長と非公開で面会した際、ファーウェイ問題を議論し、同様の警告を与えたことが「確認された」のだとか。

さらに、マイク・ポンペオ米国務長官は12日、日韓両国のファーウェイ排除状況を比較し、「国家安全保障に対する中国企業の脅威に対する日韓両国の警戒態勢が異なる」などとして、

軍事・安全保障情報の共有中断を示唆し、韓国のファーウェイ装備使用中止を直接的に要求してきたのだ。

としています。

この中央日報の報道が正しければ、おそらく、米国側としては、今月末のドナルド・J・トランプ米大統領の訪韓に合わせ、「中国問題」で韓国に「踏み絵」を突きつけるつもりではないでしょうか。

中央日報は米国務省報道官の

同盟国や友好国のネットワークに信頼できない供給者の装備が含まれる場合、我々はどう情報を共有するかを見直す/我々が相互連結して相互依存する程度を考慮すると、同盟国のネットワークが弱まれば、そのような脆弱性は直ちに米国に安全保障に脅威となる

という発言についても引用しているのですが、この「敏感な情報の共有」とは、軍事機密を含めたさまざまな情報を共有する体制そのもの(つまり米韓同盟そのもの)を意味していると考えるのが自然な解釈でしょう。

トランプ氏訪韓の意図は「ファーウェイ」?

さて、ここで思い出したいのが、安倍晋三総理大臣が昨年2月、韓国で開催された平昌(へいしょう)冬季五輪の開会式に参加したという「事件」です。

このとき、保守派の論客を中心に、「安倍総理は韓国なんかに行かないでほしい」という警戒の声が高まったのですが、結局、安倍総理はマイク・ペンス米副大統領とともに訪韓。

文在寅氏らが金英哲(きん・えいてつ)ら北朝鮮の高官とともに仲良く立ち上がって北朝鮮選手団に拍手を送る一方、安倍総理とペンス副大統領はムスっとして座ったままだったという「事件」は、文在寅氏と北朝鮮の「メンツを潰す」という効果が得られました。

実は、トランプ氏の今回の訪韓も、表面上は「米韓同盟と両国民の友好を深めるため」としていますが(『嫌な予感つきまとう「トランプ訪韓」、その目的は北朝鮮牽制?』参照)、その本当の目的は、「本当にお前たちは米国の同盟国なのかどうか、この場でハッキリさせろ」と言いに行くためではないでしょうか。

嫌な予感つきまとう「トランプ訪韓」、その目的は北朝鮮牽制?

そして、中央日報が報じた「敏感な情報の共有」を「米韓同盟そのもの」と考えれば、このことはすっきりと整合します。

そういえば、数日前に『鈴置高史氏の重要な指摘 イランと北朝鮮、点が線でつながる』でも紹介しましたが、米韓同盟の消滅は、もはや実務フェーズに入りつつあります。

鈴置高史氏の重要な指摘 イランと北朝鮮、点が線でつながる

米国としては、「ファーウェイ問題」を口実に、韓国との軍事情報の共有(というよりも米韓同盟そのもの)を徐々にフェードアウトさせていくつもりではないか、との疑いは払拭できないのです。

中国が「経済」で脅してくる!

ということは、韓国としては、「米国を取るか、中国を取るか」で再び選択を迫られているわけですが、先ほどの中央日報の記事に戻ると、最後の行に、こんなくだりがあります。

一方、中国政府はサムスンやSKハイニックスなど韓国主要企業を接触し、米国政府の要求に応じないよう要求している。12日には邱国洪駐韓中国大使が国会を訪ねて尹委員長と非公開面談をし、「韓国政府が5G移動通信関連企業に制限を設けていないことを高く評価する」と述べた。

(※どうでも良い話ですが、駐韓中国大使である邱国洪(きゅう・こくこう)氏が中国人であるためでしょうか、中央日報日本語版には同氏の人名の読みが付されていないのは不思議ですね。)

要するに、中国は韓国の「急所」である「経済」で脅しにかかっているのです。

高高度ミサイル防衛システム(THAAD)配備問題の際も、中国は韓国に対してロッテマートなどの個別企業をターゲットにした嫌がらせを仕掛けて来ましたが、明らかに中国も、「米国を取るのか、中国を取るのか」を韓国に迫っている格好です。

典型的な二股外交の弊害ですね。

ただし、私自身、韓国はこれに対して明確な立場を表明できないと考えているのですが、これについては早ければ明日、別稿にて説明したいと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. より:

    トランプ大統領が、G20のあとに訪韓するそうですが、ぜひTHAAD基地にて会談してほしいと思います。

    当該基地の兵士たちは、悲惨な境遇の中で頑張っているとのこと。

    世界中に、また韓国中に、さらにペキンにメッセージを送るためにも、ぜひとも。

  2. 名無しさん より:

    米中両方から美味しいところを(相手を騙して)得ることが賢いことで良い事と言う意識があり、そのまんまをやるから見透かされて両方から釘を刺されたり終いには叩かれる事になるのです。
    残念ながら美味しい事も少し、その代わり自国の生き残りを一連托生で、悲壮な決意で全身全霊どちらかに付くならばもしかしたら救ってくれるかも知れない。日本はまさにこれでアメリカにオールイン。少なくともアメリカを騙すとかはする気はない。
    韓国はアメリカを騙し、中共も騙せると思った。思い上がりです。世界からモテモテ韓国と言う自分でついたウソに自家中毒してしまった感じ

  3. カズ より:

    安全保障と経済を天秤にかければ、選ぶべきは安全保障の一択だと思うんですけどね。
    我が身あってこその生存ではないのでしょうか?

    経済だって中国経由での対米輸出分を、直輸出にシフトするだけで充分に貿易黒字は確保できるはずなんですよね。

    中国を支持すれば、表明と同時に米韓同盟は破棄され在韓米軍により国土制圧されるとは思わないのでしょうか?中国は所詮ヒトゴトなんだから助けてはくれないのに・・。
    *****

    問題の先送りでその場をかわすファジー戦略も、もはや限界。
    外圧に影響されて赤くなったり青くなったり、リトマス反応も鈍くなってきた。

    トランプ大統領の訪韓までに西側支持を表明しなければブルー陣営に居場所は無くなるだろう。

    それとも共産制〔強酸性〕に毒されて身も心も真っ赤に染められてしまってるのだろうか?

    習〔朱〕に交わって赤くなれば、文大統領はストップダウン政策の遂行者として韓国の黒歴史に名を遺すことになる・・。はずなんですけどね。

    1. 阿野煮鱒 より:

      朝鮮人のメンタリティーの根本は、半万年の属国状態を通して培われた「華夷秩序」でありますので、基本的にはレッド・チームの一員である方が収まりがよいのです。

      しかしながら、WW2の戦後処理の一環として、朝鮮半島の北部をソビエト連邦が、南部をアメリカ合衆国が管理した行きがかりから、北朝鮮はレッド・チーム、南朝鮮(韓国はブルー・チームになってしまいました。

      ブルー・チームに属した韓国には、反共の砦という国際地位と、それが共産主義よりも豊かで幸福な社会である事を示すために、日米双方から有形無形の恩恵が与えられました。日本は、米国の圧力と自虐史観に基づき、経済協力金の名目で多額の実質的賠償金を支払い、後に韓国人が「江漢の奇跡」と自画自賛する経済発展の恩恵に預かれました。

      これによって、本来ならレッド・チームの一員であるはずの韓国で、ブルー・チームに属していた方が日々の暮らしがよくなると認識する層が一定の支配力を持ちました。これが韓国の保守勢力(親米・反日)です。

      一方の華夷秩序を維持したい韓国内勢力は、朝鮮戦争によってかなり不利な状況に陥りましたが、民主化動という美名に隠れた北朝鮮の主体思想工作にすがり、学生運動や労働運動を通じて勢力を盛り返しました。彼らは1980年代から民主化運動を地道行って勢力を拡大し、ついに金大中を大統領に据えることに成功し、さらに盧武鉉、次いで文在寅を大統領に据える至っては、保守勢力を根絶やしにする人事を行い、レッド・チーム復帰に向けて邁進しています。

      さて、今の韓国は現実問題として、安全保障を米国に依存し、経済を中国に依存しているわけですが、韓国保守勢力はこの状況を解決するための方策を持てないのに対し、左派勢力は北朝鮮に同調してレッド・チームとなれば問題がなくなるという解決策が見えているので迷いがありません。

      いや実際は、今この情勢で中国に加勢するということは、地獄の一丁目に入る事になるのですが、朝鮮人にとっては半万年の属国状態を通して培われた「華夷秩序」への回帰でありますので、警戒感を持ちにくいのです。

      > それとも共産制〔強酸性〕に毒されて身も心も真っ赤に染められてしまってるのだろうか?

      朝鮮人の場合は、マルクス主義が発端ではなく、華夷秩序に従ったら、たまたま近代では「共産主義のようなもの」(レーニン主義、毛沢東語録、主体思想など)が相性がよかった、ということになると思います。

      1. カズ より:

        阿野煮鱒 様

        時系列に沿った詳細な解説をありがとうございました。勉強になりました。

        >いや実際は、今この情勢で中国に加勢するということは、地獄の一丁目に入る事になるのですが・・。

        まさに地獄の一丁目だと思います。

        韓国が同盟国で無くなれば、米国はTHAADシステムの標的を韓国軍基地に変更することでしょう。
        そのうえで、南北の軍事拠点にサージカルアタックを仕掛けるのではないでしょうか?

        同盟破棄によりソウル市民(韓国民)の保護責任から解放された米軍には、北朝鮮への空爆を抑止する要件が消失することになります。

        ある意味、完全非核化への最短距離は「韓国からの同盟破棄表明」なのかも知れないんですよね。

  4. 七味 より:

    ずっ〜と前に、何かで、韓国が中国や北朝鮮に情報を漏えいしてるって記事をみた記憶があるのです♪

    だとするとファーウェイがどうこうじゃなくて、会計士のいうとおり、
    >徐々にフェードアウトさせていくつもり
    なんじゃないかなって思うのです

    ただそうだとすると韓国が「ファーウェイ使いません」って言うとフェードアウトできなくなっちゃうので、米国としても完全に韓国切りを決めたんじゃなくて、まだ、同盟に残るつもりがあるのか試してるとこなんじゃないかって思えるのです

    それとも、ファーウェイを口実に、米国側についたら中国から、中国側についたら自らお仕置きをするっていう形での韓国切りなのでしょうか?

    1. 七味 より:

      敬称もつけずに失礼いてしました m(_ _)m

      誤 会計士のいうとおり、
      正 新宿会計士さんのいうとおり、

      1. 新宿会計士 より:

        七味 様

        いつもコメントありがとうございます。

        >敬称もつけずに失礼いてしました

        いえいえ。気にしないでください。
        それよりも、引き続き当ウェブサイトのご愛読ならびにお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

  5. 心配性のおばさん より:

    >米国側としては、今月末のドナルド・J・トランプ米大統領の訪韓に合わせ、「中国問題」で韓国に「踏み絵」を突きつけるつもりではないでしょうか。

    だと思った!私の持論は「文在寅さんは、金正恩さんのスピーカー以外の何物でもない。」ですが、このスピーカー、壊れているのかしら(笑)。
    わざわざ、習近平さんやトランプさんを呼んで、何するつもりだったの?
    習近平さん、来なくなって本当によかったですね。トランプさんはどうしよう?

    >お前たちは米国の同盟国なのかどうか、この場でハッキリさせろ」と言いに行く

    に決まっています。他に用はありませんもの。ただ、文在寅さんには”糠に釘”かと存じます。
    彼はアメリカに従順であるような仮面を被っていますが、本質は反米です。そして、恐中ではありますが、恐米ではありません。
    ファーウエイの件でも、いろいろと言い訳を講じますが、誠意はありません。(トランプさん、知ってますよね。笑)
    先にも申し上げましたが、文在寅さんの政策は、金正恩さんの指令範囲のなかです。米中貿易戦争もイラン経済制裁も彼の頭に中にはありません。韓国は無政府状態と認識したほうがよろしいかと存じます。

  6. めたぼーん より:

    自分でトランプ氏を呼んで、自分を窮地を追い込むのは、さすが文氏と言わざるを得ませんね。蝙蝠外交のツケをどう払うのか眺めたいと思います。

  7. 自転車の修理ばかりしている より:

    中国が日本に無理難題をあまり言わないのは、拒否されてメンツがつぶれる可能性が高く、期待値としてマイナスになるから、自重しているのでしょうね。

    米中双方から「こいつは押せば転ぶ奴だ」と思われているのが、現在の韓国の苦境につながっています。他国をうまく使って自国へ利益誘導しようというのは、欧州の百戦錬磨で嘘をついても尻尾は捕まれない某国とかだからできる(しかもいつも成功するわけではない)ことで、直情径行で浅薄な韓国には無理な話だったのです。すべて自業自得で、もはや手遅れですので、日本としては遠くから見守るだけにしたいと思います。

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