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数値で見る日韓関係:ヒト・モノ・カネの交流状況とは?

文在寅(ぶん・ざいいん)政権下で日韓関係が最悪期に突入しつつありますが、こうしたなか、「日韓断交したら日本経済にも多大な悪影響が生じる」、といった言説を見掛けることが増えてきた気がします。ただ、日韓断交したら韓国経済が大きな打撃を受けることは間違いないものの、日本経済に関しては、「日韓断交により壊滅的な打撃」を受ける、とは言い難いのが実情ではないでしょうか。そこで、本日は今後の議論の前提となる、「日韓関係の数字上の重要性」を、客観的なデータ集として取りまとめておきたいと思います。

日韓関係悪化と経済制裁論

最悪期を迎える日韓関係

文在寅(ぶん・ざいいん)政権下の韓国は日本に対し、昨年秋口以降、さまざまな不法行為を繰り返しています。

なかでもとくに大きな問題は、自称元徴用工が多数出現し、「戦時中、日本企業によって強制労働させられた」というウソをついて日本企業を訴えている、いわゆる「自称元徴用工訴訟問題」です。

この問題は昨年10月30日に新日鐵住金(現・日本製鉄)が大法院(最高裁に相当)で敗訴したことで一気に日韓間の懸案に浮上した格好ですが、韓国側による国際法違反は明白であるにも関わらず、韓国政府はいまだに本件で誠意ある対応を取っていません。

それだけではありません。

昨年12月20日に発生した、韓国海軍駆逐艦による日本の海自哨戒機へのレーダー照射事件を巡っては、あれだけ証拠が揃っているにも関わらず、韓国側は言い訳を二転、三転させながら、いまだにその事実を認めていないどころか、「むしろ日本が低空威嚇飛行を仕掛けて来た」というウソをついています。

また、韓国の国会議長が上皇陛下(当時の天皇陛下)を「日王」、「戦犯の息子」などと呼んで侮辱したうえで自称元慰安婦らへの謝罪を促すという暴挙に出ましたが、この国会議長はいまだに発言を撤回していなければ、謝罪もしていません。

1965年の日韓国交正常化以降、日本は韓国に対し、有償・無償のさまざまな経済・技術的支援を続けて来ましたし、また、とくに1990年代以降は韓国が仕掛けてくるさまざまな無礼、捏造、侮辱に耐え、譲歩しながら日韓関係を何とか維持して来ました。

しかし、ここに来て、もはや韓国との友好関係など成立しない、と考えている人は、日本国民の多数派を占め始めているのではないでしょうか。

日韓断交論と経済制裁

こうしたなか、インターネット上では「日韓断交」を叫ぶ人が増えている気がします。

インターネット検索サイト『google』で「日韓断交」の過去12ヵ月間の検索数を調べてみると、大法院での徴用工判決が下された昨年10月30日前後を境に激増し、いったん小康状態となるも、今度は文在寅氏の演説(1月10日)のあった週に再び増加。

さらに、文喜相(ぶん・きそう)国会議長による天皇陛下(現・上皇陛下)への侮辱事件があった2月上旬にも増加しており、その後は落ち着きを見せているとはいえ、「日韓断交」の検索ワードはゼロにはなっていません。

今のままだと日韓関係がこれまでの友好関係を維持することは難しいと考えていますし、徴用工判決事件に加え、政治家の失言、レーダー照射事件などを巡っては、日本としては絶対に譲歩してはならない点だと考えています。

しかし、だからといって、その場の感情に任せて日本の方から「日韓断交!」などと叫んで良いという話ではありませんし、また、レーダー照射事件や上皇陛下侮辱事件などの個別案件で経済制裁を発動するのも賢明とは言えません。

なにより、日本が韓国に対する制裁手段を多数保持していることは事実かもしれませんが、それらの多くは「伝家の宝刀」であり、「抜きどころ」を間違えると、経済制裁の成果が上がらないどころか、打撃が日本に跳ね返ってくることもあります(『「伝家の宝刀」の欠陥 韓国に対する経済制裁を整理する』参照)。

こうした問題意識から、当ウェブサイトでは今年2月から3月にかけて、日本から韓国に対する、「ヒト・モノ・カネ」の流れの制限・遮断について考察しました。

外為法第48条の研究:韓国に対するモノの流れの制限とは?(2019/02/19 05:00付 当ウェブサイトより)
外為法第16条の研究:韓国に対するカネの流れの制限とは?(2019/02/26 05:00付 当ウェブサイトより)
「韓国に対する経済制裁」のうち、「ヒトの流れの制限」とは?(2019/03/04 05:00付 当ウェブサイトより)

詳しくはこれらの記事をご参照頂きたいのですが、結論的には

  • ①日本から韓国へのヒトの流れの制限→現行法ではほぼ不可能
  • ②日本から韓国へのモノの流れの制限→外為法第48条で可能
  • ③日本から韓国へのカネの流れの制限→外為法第16条で可能
  • ④韓国から日本へのヒトの流れの制限→入国ビザ制限で可能
  • ⑤韓国から日本へのモノの流れの制限→関税引き上げに法改正が必要
  • ⑥韓国から日本へのカネの流れの制限→外為法第16条で可能だが意味なし

ということですが、ただ、やり方次第では韓国側からの反撃も予想されるため、日本が一方的に韓国に経済制裁を発動させるのは万能の方法ではありません。

前提となる数値を抑えておくべき

ただし、日韓両国の往来、投資などに制限を加えたときに、具体的に数値でどのような影響が出るのか、そしてそれが全体に占める割合はどのくらいなのかについては、最低限、抑えておく必要はあるでしょう。

そこで、少し前から当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』で利用している図表が、日韓のヒト・モノ・カネの往来状況を一覧にまとめた、次の図表1です。

図表1 日韓のヒト・モノ・カネの往来
区分 数値 情報源
①日本に入国した韓国人(2018年) 7,538,986人 日本政府観光局(JNTO)
②韓国に入国した日本人(2018年) 2,948,527人 韓国観光公社
③日韓の往来の合計(2018年) 10,487,513人 ①+②
④日本から韓国への与信(2018年12月) 56,269百万ドル BIS最終リスクベース統計
⑤日本から韓国への直接投資(2017年12月) 36,883百万ドル JETRO『直接投資統計』
⑥韓国から日本への直接投資(2017年12月) 4,067百万ドル JETRO『直接投資統計』
⑦日本から韓国への輸出(2018年) 54,605百万ドル JETRO基礎データ
⑧韓国から日本への輸出(2018年) 30,529百万ドル JETRO基礎データ
⑨日韓貿易総額 85,134百万ドル ⑦+⑧
⑩日本の対韓貿易黒字額 24,076百万ドル ⑦-⑧
⑪韓国に在住する日本人永住者 8,906人 外務省『海外在留邦人数調査統計
⑫韓国に在住する日本人長期滞在者 27,821人 外務省『海外在留邦人数調査統計
⑬日本に在住する韓国・朝鮮人(2018年6月) 560,536人 法務省『国籍・地域別 在留資格(在留目的)別 総在留外国人
⑭⑬のうち特別永住者(2018年6月) 322,447人 法務省『国籍・地域別 在留資格(在留目的)別 総在留外国人

(【出所】図表中「情報源」欄参照)

これで見てみると、確かに日韓関係は非常に重要です。

とくにヒトの往来(①~③、⑪~⑭)に関しては、さすが隣国同士ということを感じさせる人数ですし、また、カネの面(④~⑥)、モノ(つまり貿易)の面(⑦~⑩)を見ても、日韓間のつながりの深さを感じさせます。

具体的数値の検討

日韓のヒトの往来

ただし、もっと重要な論点は、相手国がそれぞれどれだけ重要か、という視点です。

そこで、以下では図表1について、それぞれの「母数」と比較して、日本の韓国における重要性、韓国の日本における重要性をチェックしておきましょう。

まず、①日本に入国した韓国人(2018年)の人数は754万人でしたが、日本に入国した外国人全体でみると、韓国人が占めるシェアは全体の24.17%であることがわかります(図表2)。

図表2 2018年における日本入国者数の国籍別一覧
ランクと相手国 2018年の入国者数 シェア
1位:中国 8,380,048 26.87%
2位:韓国 7,538,986 24.17%
3位:台湾 4,757,268 15.25%
4位:香港 2,207,850 7.08%
(参考)北アメリカ計 1,778,481 5.70%
(参考)ヨーロッパ計 1,616,596 5.18%
(その他) 4,912,651 15.75%
合計 31,191,880 100.00%

(【出所】日本政府観光局(JNTO)データより著者作成)

これを多いと見るか、少ないと見るかは微妙です。

韓国は日本の隣国であり、その気になれば中国、台湾、香港よりも気軽にやってくることができるはずですが、韓国よりも人口の少ない台湾や香港の旅客も旺盛に日本にやって来てくれているという事実は見逃せません。

なにより、日本政府観光局のデータによれば、訪日外国人旅行者1人あたり旅行支出額は2017年において153,921円ですが、韓国人の1人あたり旅行支出額はこの半分以下(71,795円)であることから、韓国人旅行客がゼロになったときのインパクトは、世間で予想されているよりは小さいでしょう。

逆に、韓国に入国した日本人は、韓国に入国した外国人全体に占める割合では中国に次いで2番目であり、シェアは20%弱ですが(図表3)、「隣国だからこそ気軽に行けるはず」なのに、シェアでトップではないという事実は注目に値するでしょう。

図表3 2018年における韓国入国者数の国籍別一覧
ランクと相手国 2018年の入国者数 シェア
1位:中国 4,789,512 31.21%
2位:日本 2,948,527 19.21%
3位:台湾 1,115,333 7.27%
4位:米国 967,992 6.31%
5位:香港 683,818 4.46%
(その他) 4,841,697 31.55%
合計 15,346,879 100.00%

(【出所】韓国観光公社データより著者作成)

日本から韓国へのカネの流れ①与信

一方、日本から韓国へのカネの流れについては、2つの視点があります。

1つ目は国際与信、つまり、日本の金融機関が韓国の企業に対して(あるいは韓国の金融機関が日本の企業に対して)、いくらのおカネを貸しているのか、という統計です。

これについては前提条件として、スイス連邦・バーゼル市にある国際決済銀行(BIS)が公表する「最終リスクベース与信」(Consolidated Banking Statistics)の数値でチェックすると、日本は全世界で最大の債権国であることが判明します(図表4)。

図表4 BIS統計・最終リスクベース与信残高ランキング(金額:百万ドル)
順位 2018年12月末
1 日本 4,121,350
2 英国 3,407,497
3 米国 3,370,523
4 フランス 2,775,554
5 カナダ 1,817,739
6 ドイツ 1,801,453
7 スペイン 1,709,194
8 オランダ 1,304,189
9 スイス 1,054,877
10 イタリア 822,391
(中略)
18 韓国 186,133
(以下略)
報告国全体 25,871,805

(【出所】BIS統計・CBSより著者作成)

ということは、与信という観点からは、「日本から韓国」というカネの流れが重要であり、その逆はさして重要ではない、ということです。

そういうわけで、日本が世界のどの国にカネを貸しているか、という一覧を作成すると、次の図表5のとおりです。

図表5 日本の最終リスクベース・相手先一覧(2018年12月時点、金額:百万ドル)
ランクと相手国 金額 シェア
1位:米国 1,679,667 40.76%
2位:ケイマン諸島 570,018 13.83%
3位:英国 204,751 4.97%
4位:フランス 185,686 4.51%
5位:オーストラリア 120,367 2.92%
6位:ドイツ 114,195 2.77%
7位:ルクセンブルク 91,287 2.21%
8位:タイ 89,145 2.16%
9位:中国 80,515 1.95%
10位:カナダ 75,150 1.82%
(中略)
14位:韓国 56,269 1.37%
ランク外:北朝鮮 0 0%
(以下略)
合計 4,121,350 100.00%

(【出所】日銀『BIS国際資金取引統計および国際与信統計の日本分集計結果』より著者作成)

これで見ると、日本にとって重要な貸先は、米国、ケイマン諸島、英国、フランスです。韓国の融資シェアは全体の1.37%を占めるに過ぎません。

では、与信を受け入れる側の韓国の状況は、どうでしょうか?

図表6 最終リスクベースで韓国にカネを貸している国(2018年12月末時点、金額:百万ドル)
相手国 金額 シェア
米国 83,275 26.84%
英国 80,772 26.04%
日本 56,269 18.14%
フランス 23,124 7.45%
その他 66,774 21.53%
合計 310,214 100.00%

(【出所】BIS統計・CBSより著者作成)

つまり、韓国は外国から3102億ドルというカネを借りているのですが、このうち日本からの借入額は563億ドルで、全体に占めるシェアは20%弱です。つまり、意外なことですが、韓国は日本よりも米国や英国の金融機関からより多くのカネを借りている、ということがわかります。

日本から韓国へのカネの流れ②直接投資

日本から韓国へのカネの流れには、もう1つ、「直接投資」という項目があります。

その典型例は、企業が現地に工場を作るなどの投資のことですが、日本はこの「対外直接投資」という分野でも世界に存在感を示しており、その金額は2017年末で1.55兆ドルにも達しています(1ドル=110円と仮定すれば170兆円あまりでしょうか)。

図表7 日本の対外直接投資残高(2017年末、金額:百万ドル)
ランクと相手国 金額 シェア
1位:米国 491,368 31.68%
2位:英国 152,635 9.84%
3位:オランダ 128,528 8.29%
4位:中国 118,438 7.64%
5位:オーストラリア 69,747 4.50%
6位:タイ 63,383 4.09%
7位:シンガポール 63,097 4.07%
8位:ケイマン諸島 37,076 2.39%
9位:韓国 36,883 2.38%
10位:インドネシア 30,507 1.97%
その他 359,146 23.16%
合計 1,550,808 100.00%

(【出所】JETRO『直接投資統計』より著者作成)

日本が1.55兆ドルという莫大な投資を海外に行っていることは凄い話でもありますが、それと同時に、日本企業の最大の投資先は米国であり、次いで英国、オランダという欧州諸国が続き、アジアでは4位に中国は初めて出てくる、という状況です。

「日本は中国やアジアにたくさんの工場を建てている」という印象を抱く人も多いかもしれませんが、数字のうえからは、意外と中国への投資は少ないのであり、ましてや韓国に対する投資は全体の2.38%に過ぎません。

一方、外国から日本への直接投資というものもあるのですが(いわゆる「対内直接投資」)、こちらについては全世界トータルで2535億ドルに過ぎず、また、韓国からの直接投資は41億ドル程度で、正直、無視しても差し支えないレベルです。

対外直接投資と対内直接投資
  • 対外直接投資(日本→世界):1,550,808百万ドル
    • うち、日本→韓国:36,883百万ドル
  • 対内直接投資(世界→日本):253,480百万ドル
    • うち、韓国→日本:4,067百万ドル

これに対し、韓国がどの国からいくらの投資を受け入れているか、という情報については、残念ながら私の語学力では発見することができませんでした。

ただし、資金循環統計上、2018年12月末時点において韓国が受け入れている対外直接投資は259兆2036億ウォンですので、2018年12月末時点の為替相場を1ドル=1100ウォンと仮定すれば、2356億ドルくらいでしょうか。

韓国の統計上の貿易総額と日本の重要性

続いて、貿易総額についても確認しておきましょう。

まず、韓国の側の統計です。

韓国は輸出総額が2017年において5736億ドルと、GDP(約1.4兆ドル)に比べて異常に輸出額が多いという特徴がありますが、最大の貿易相手国は中国であり(シェアは約4分の1)、輸出相手国に占める日本のシェアはわずか5%弱に過ぎません(図表8)。

図表8 韓国の輸出総額と輸出相手国(2017年)
相手国 金額(百万ドル) シェア
中国 142,119 24.78%
米国 68,852 12.00%
ベトナム 47,754 8.32%
香港 39,059 6.81%
日本 26,814 4.67%
その他 249,029 43.41%
輸出総額 573,627 100.00%

(【出所】総務省統計局『世界の統計2019』第9章より著者作成)

日本が韓国に対する輸入関税を引き上げたとしても、大して韓国経済の打撃にはならない、という仮説がここで出て来ます。

一方、輸入高についてはまた違った側面が見えて来ます(図表9)。

図表9 韓国の輸入総額と輸入相手国(2017年)
相手国 金額(百万ドル) シェア
中国 97,859 20.45%
日本 55,124 11.52%
米国 50,908 10.64%
ドイツ 19,748 4.13%
サウジアラビア 19,590 4.09%
その他 235,240 49.17%
輸入総額 478,469 100.00%

(【出所】総務省統計局『世界の統計2019』第9章より著者作成)

日本からの輸入高は米国からの輸入高を押しのけ、全体の2位に入っているのです。

これについては『良い国(1192)作る?それとも破綻?為替相場と韓国産業』で触れたとおり、韓国の産業は日本から基幹部品を購入し、それを韓国国内で組み立てて海外(欧米など)に輸出する、という構造にあるため、当然といえるかもしれません。

日本の貿易統計から浮かぶ意外な姿

さて、ついでに日本の貿易統計についても改めて確認しておきましょう。

図表9の裏返しで、日本の輸出相手国としては、韓国が堂々3位に入っています(図表10)。

図表10 日本の輸出総額と輸出相手国(2017年)
相手国 金額(百万ドル) シェア
米国 135,060 19.35%
中国 132,786 19.02%
韓国 53,308 7.64%
香港 35,437 5.08%
タイ 29,434 4.22%
シンガポール 22,654 3.25%
ドイツ 18,945 2.71%
オーストラリア 16,011 2.29%
ベトナム 15,054 2.16%
イギリス 13,725 1.97%
輸出総額 698,097 100.00%

(【出所】総務省統計局『世界の統計2019』第9章より著者作成)

ただ、韓国は輸出相手国としては大きいとはいえ、シェアにしてみると5%少々です。そして、輸入相手国についても、シェアは4%ちょっとであり、かつ、中国にとって日本は大きな輸出相手国である、という事実も浮かび上がります(図表11)。

図表11 日本の輸入総額と輸入相手国(2017年)
相手国 金額(百万ドル) シェア
中国 164,479 24.50%
米国 73,833 11.00%
オーストラリア 38,968 5.80%
韓国 28,127 4.19%
サウジアラビア 27,774 4.14%
ドイツ 23,421 3.49%
タイ 22,732 3.39%
アラブ首長国連邦 20,742 3.09%
インドネシア 19,826 2.95%
マレーシア 19,273 2.87%
輸入総額 671,474 100.00%

(【出所】総務省統計局『世界の統計2019』第9章より著者作成)

余談ですが、私自身、米中貿易戦争の結果、中国製品がさらに値下がりして日本に流入してくる可能性はきわめて高いと考えており、その意味でも今後1~2年は中国発のデフレ圧力には注意が必要でしょう。

結論:数字で議論すべし

さて、以上はあくまでも数字の羅列ですが、私などは、隣国という関係にあるにも関わらず、意外と日韓の付き合いは薄い、という印象を抱きます。

もちろん、「日韓断交」などと軽々しく口にしてよいものではありませんが、しかし、「日韓断交が実現すれば日本経済にもはかりしれない打撃がある」、といった主張は、逆に極論であり、実態から乖離していると言わざるを得ません。

いずれにせよ、「日韓断交」が実現したあかつきには、日本よりも韓国の方が死活的な打撃を受ける可能性が非常に高く(とくに金銭面)、これに対し、日本はそれなりの打撃を受けるものの、韓国が日本の産業・経済に占める重要性は、思ったよりも低い、というのが実情ではないでしょうか。

いずれにせよ、今後、日韓関係はさらに隘路に入っていくことが予想されるなかで、できるだけ感情を排し、客観的な数字を重視して議論していく姿勢が重要ではないかと思うのです。

新宿会計士:

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  • 制裁とはそれ自体「ビジネス」ではありません。損得勘定をしていると時機を逸します。例え肉を切って骨を切られることがあっても国家の覚悟を示さなければならないことなのです。チャイナや米国の対抗措置の素早さはまさにこれです。実にうらやましい。たぶん将来の複数のシナリオを想定してそれぞれ複数のプランが準備してあるのでしょうが我が国の場合はおそらくゼロ・・。「場当たり」以下だと嘆かざるを得ませんね。

    • 永田町に仮の宿を持っている人?人々?の考えで日本の行動が決まる、彼又は彼等
      の考えは『生い立ち?境遇?心地よい生存欲 ?からの自分/自分達さえ良ければ良い』で決まる?
      悲しいかなこれが現実なんでしょうね、健全な日本なんて片隅にもない?
      保守太郎さん、所詮は自分大事、日本?日本人?ゴトキ、どうでもいいのでしょうね。覚悟さえあれば、対して困らない、韓国対応ごときでもこの有様。
      陰謀論とは思いたくも無いが、米国政治層の裏にも遥かに遥かに強力な同類項がいるらしいし。
      どう考えても、健全な日本の確立と維持(広い意味で)、当面無理らしい。
      早くて後3世程の世位交代が(孫やひ孫には、本当に申し訳ない)、必要なのかも。マグニチュード8、9、或いは各種人災で、日本が変質する可能性の方が高そうに思えますが。
      位置付けは判りませんが、まんざら嘘100%でもなさそうですが、
      http://ddh1101.blog28.fc2.com/blog-entry-771.html
      も観て、諦めつつあります。
      やはり、純粋な心の日本のトランプ、それも多くのトランプ、日本を変えろでしょうか!

      • すみません、追加です。
        岩屋様の発言に対する韓国人様の率直な気持ちです?(みずきの・・)
        彼は、1000%見ないのでしょうが、知ったらどう思うのでしょうか???
        (すみません、見なければよかったのですが、癖で見てしまいました)
        募集工訴訟、やっと次のステップへ行くかもしれません??(政府申し入れ)、もうどうでもいいとさえ思ってしまいます。
        ⚫︎韓国人の反応
        ⚪︎どれ程の総意の反映か知りませんが、鬱憤ばらし、気晴らしでしょうが、
        ウンザリ!!!
        ・独島を韓国の地として公式に認め、慰安婦の方々に謝罪と被害補償を徹底し、歴史歪曲をすぐ停止し、先住民族の倭党員を全部連れて行って斬首しろ。
        もう一度考えてやろう。
        共感7776非共感172
        ・謝罪からしてください。真正性のある…
        共感1186非共感25

        • 朝鮮人の皆さんに、歴史は事実の積み重ねであることをわかって貰える日が早く来るといいですね。🐧

          その前に、多くの日本人にとって、とても楽しみな「ムクゲの木が枯れました」があるのでしょう。🐧

  • 日本は韓国に対して有効なカードを保持していることがわかりました。
    一方、韓国は日本に対しての政治的な手持ちのカードの有無も知りたくなりました。
    だって、いつも「情」にだけ訴えてきて、
    なおかつこれまで「効果」があったのですから。

  • 更新ありがとうございます。

    日本が対韓で、人の流れを止めるで圧をかけれないなら、カネですかね。この諸表を見てましても、意外に韓国とは付き合いが太くなく、韓国は完全に中国に依存している。日本は少なめ。そりゃメイド・イン・チャイナなど一度価格の安さに、引き込まれて購入するものの、『二度と買うまい』と思うケースが日本人は多い。

    逆に中国製で良いのは『どうせ1シーズンだけだから』『一回限り』の使い捨てですね。惜しげも無く廃棄します(笑)。

    韓国の輸出のシェアは日本が4.67%。輸入は11.52%。日本の貿易が黒字なわけだ。どうしても韓国で食って行かねばならない状況ではない。真綿で首を締めたらいいでしょう。

  • 本日も更新有難うございます。
    数字だけでなくグラフしたら視覚効果でより訴えやすいかと思います。
    分母が少なければグラフも当てになりませんが、経済の数字は分母がおかしいですからどれほどの影響がありそうかが見た人にとってイメージしやすくなると思います。

  • 更新ありがとうございます。こういう記事が読みたかった!
    冷たい数字と理屈でバックグラウンドを固め、そのうえで感情も加味した決断をするのが、有効な考え方だと思います。
    記述内にもある「日韓断交は日本にもはかりしれない打撃がある」といった言動はマスコミの論調でもよく出てきますが、
    その「はかりしれない」を「はかる」のがジャーナリストの役目だろうに、思考停止しているんじゃないよ、と常々感じていました。

    韓国に対抗する日本のリアクションが遅いという意見をよく聞きますが、私はじわじわと締め上げていけばいいという考えです。
    今すぐ韓国を懲らしめてやりたいという気持ちはは重々わかります。しかし、連中のことなどより日本のことがはるかに大切です。
    日本と国民が幸せに暮らせるのなら、彼らが地獄に墜ちようと墜ちまいとどうでもいいのですが、
    残念なことに彼らは日本を棄損せずにはいられないようですので、弱体化を図るほかありません。

    この記事にあるように、日韓の経済関係は(日本にとって)致命的でないにしても無視できない量があります。
    米中経済制裁合戦の影響で、国際経済の減速は避けられない状況下、くだらないことで自国の経済を減速させたくはありません。
    韓国マスコミ及び韓国民がよく誤解していますが、安倍政権は安定した支持を得ており、人気取りのために大見えを切って嫌韓する必要はないのです。目立たず、騒がず、地味に関係を細らせていけばよいと、政府は考えているのではないでしょうか。

    ・・・まるで木を伐採する際に一気に刈り倒さず、薬液注入で腐らせて処理を簡単にするように。

    • 自転車の修理ばかりしているさんへ

      >薬液注入で腐らせて処理
      その木材、使えませんよね?
      朝鮮半島もどうせ後々、使い物にならない
      から、それで良いですけど

      伐採じゃなくて、除草と言うか除伐、除木ですね

  • *日韓断交に慎重な理由を数字で探してみました

    〔日本から見た貿易収支のシェア〕
    収支合計:266.2億ドル
    うち韓国:251.8億ドル〔94.5%
    うち諸外国:14.4億ドル〔 5.5%

    *本稿の図表10・11参照

    韓国との貿易収支額〔輸出から輸入を差し引いた金額〕は日本全体の収支額のうち94.5%を占めているため、直ちに断交してしまうと、国益の毀損は避けられない状況です。〔でも、取引相手は必ずしも韓国である必然性はなく、いずれは他国に代替できてしまうんですけどね。〕

    ですから、この慎重姿勢は、喫緊に起こり得る混乱回避のための時間稼ぎであると考えます。
    「最善手を模索しつつも、対抗措置は発動態勢にある」と、考えるのなら、日本政府の対応にも充分に納得できるものがあります。
    *****

    *カントリーリスクの回避行動
    〔フェード・アウトの実施〕

    ・韓国企業との取引縮小
    ・代替取引先の確保
    ・ASEAN諸国への直接投資
    ・製品化工程の国内回帰

    日本政府によるサイレント制裁は始まってるんでしょうか?〔ステルスだから、判らないだけ・・?〕

    状況によっては日本政府によるテコ入れ〔時限税制措置や財政出動〕が必要になるのかもしれません。

    *徴用工問題で仲裁委開催を要請との報道がありましたが、これも長丁場になりそうな予感がします。〔今のうちに撤収いそげっ‼︎・・ですよね。〕

  • ブログ主さま、いつもためになる記事を読ませて頂き有難うございます。

    今回の記事に関して一つ質問があります。
    それは、図表10 日本の輸出総額と輸出相手国(2017年)に関することです。
    この図表の直後の説明文には

    >ただ、韓国は輸出相手国としては大きいとはいえ、シェアにしてみると5%少々です。

    とありますが、図表10自体では第3位の韓国に関しては

    >韓国 53,308 7.64%

    とあるので説明文と食い違っているように思われます。

    どちらが正しいのでしょうか?