当ウェブサイトでも先月下旬ごろから話題として取り上げているとおり、韓国の通貨・韓国ウォンの対米レート（USDKRW）の動きが不自然です。チャートだけを見ていると、あたかも「投機筋から徐々に売り込まれ、それに対して通貨当局が防衛を行っている」かのようにも思えるのですが、この違和感の正体については、残念ながら現時点ではよくわかりません。これについて見極める手掛かりの１つは、「東中朝」などの韓国メディアに「韓日通貨スワップ待望論」が掲載され始めるかどうかではないかと思います。
USDKRWの動きがおかしい
韓国の通貨・韓国ウォン（KRW）の下落については、当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』はかなり早い時期から注目していたのではないかと自負しています。
米ドル・韓国ウォンの通貨ペア（USDKRW）が不自然な動きをし始めたことについては、先月25日の時点で、『【ショートメモ】通貨KRWが下がり出したのか？』のなかで速報的に取り上げました。
といっても、私はこの時点では、今回のウォン安局面はＧＤＰのマイナス成長を受けた一過性のものだと考えていました（『韓国は典型的な「縮小均衡経済」の罠におちたのか？』参照）。
しかし、その後もUSDKRWの不自然な動きは続き、あたかも「投機筋から通貨が徐々に売り込まれ、それに通貨当局が対抗している」かのように見えてしまったことも事実です（『USDKRWの為替変動が不自然、通貨当局による為替介入？』参照）。
ＷＳＪのデータによれば、３月末で1137.4だったUSDKRWは４月末に1164.26にまで下落（下落率は2.36％）しましたが、USDKRWの下落は５月に入ってからも続いていて、先週木曜日には一時1185.93を記録しました（３月末比での下落率は4.27％）。
韓国メディアが記事にする
これについて、韓国メディア『聯合ニュース』（日本語版）に昨日、こんな記事が掲載されました。
際立つ韓国の通貨安 １カ月で対ドル２．９％下落（2019.05.12 11:15付 聯合ニュース日本語版より）
（※記事タイトルに「１ヵ月で2.9％下落」とあり、先ほど計算した下落率とは一致していませんが、これは引用している為替相場の情報源と日付が微妙に異なっているためです。）
聯合ニュースによると、主要な新興市場（ＥＭ）諸国の通貨で比べると、トルコリラ（USDKRW）、アルゼンチンペソ（USDARS）に次ぎ、３番目に下落率が高かったのだとか。
ただし、ためしにこの３つの通貨ペアの３月末から４月末までの価格変動をＷＳＪで調べてみると、韓国ウォンの下落率はアルゼンチンペソを上回っていますので、「３番目」ではなく「２番目」なのかもしれません（といっても「主要ＥＭ通貨」の定義がわからないので、何とも言えませんが…）。
- USDTRY…6.84%（5.5837→5.9655）
- USDKRW…2.36%（1137.4→1164.26）
- USDARS…2.25%（43.361→44.3387）
これについて聯合ニュースは
トルコは米国と激しく対立し、アルゼンチンは経済状況が悪く対外債務が膨大／両国とも高いインフレ率で知られている
としつつ、韓国にはこのような特殊事情がないのに、なぜか通貨が売られている、と指摘。そのうえで大学教授が
- 米中貿易摩擦が激化すれば中国に中間財を輸出している韓国が最も打撃を受けると考える外国人投資家が多い
- 世界的な半導体不況の影響などを受け、韓国企業の競争力が低下している
という２つの要因を挙げていると報じています。
米中貿易戦争の最中なのに…
ただし、この大学教授の主張だと、ウォン安の原因の説明としては不十分です。
じつは、USDKRWは先週木曜日、一時、1185.93と、「鎌倉幕府が成立した（とされる）西暦」の水準にまで売り込まれていたのです。
ところが、トランプ政権が中国に対する25％関税の発動を宣言した日本時間の金曜日、なぜか1178～1181のショートレンジで小動きとなり、結局は週末時点において、1175.20で取引を終えています。
ほかの通貨（たとえばオフショア人民元：USDCNHなど）と比べても、どうも動きが整合しておらず、不自然です。
もちろん、現時点までのチャート上の動きだけで、「投機筋が韓国ウォンを売り崩しに来ていて、韓国銀行が通貨防衛を行っているに違いない」、などと断言することはできません。あくまでも現在は単なる仮説の段階に過ぎないのです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ただし、韓国メディアの特徴として、だいたい通貨危機の兆候が意識され始めると、「東中朝」（東亜日報、中央日報、朝鮮日報）などの「保守系メディア」あたりから「韓日通貨スワップ待望論」が出てくる、という傾向が認められます。
私自身が確認する限り、直近で韓国メディアに「韓日通貨スワップ」という単語が出現したのは３月末頃ですが（『やっぱり出た！通貨スワップを結んでくれない日本への逆ギレ』参照）、通貨安が本格化した４月下旬以降で見ると、現時点ではまだ「韓日通貨スワップ」という単語を見た記憶はありません。
その意味で、今週は「韓日通貨スワップ待望論」が出て来るかどうかという点にも、個人的には関心を払ってみたいと思っています。
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1 2 次へ »韓国の不思議
韓国は経済面で現在、北朝鮮、中国、アメリカ、日本と関係がうまくいっていない。
ロシアとはニュートラル？
特に日本とは貿易額も減少して依存度も低くなっているにも関わらず
関係改善の優先順位の高そうな中国やアメリカにあまり努力を注いでいない。
むしろなぜか日本にすり寄る気配。
軍事面でも、旭日旗を戦犯旗と称して日本の軍事大国化を恐れているにもかかわらず
その怖い怖い過去のトラウマのあるはずの日本の自衛隊を挑発し敵対的行動をとる始末。
韓国は一体何をしたいのか。
ちょろい日本とはいつでも関係改善できると高を括ってのかな。
普通の神経なら今更日韓スワップなんて言い出せるハズも無いので、会計士様の仰るような「危機になったら日韓スワップ」というのは、今回に限っては、出て来ないと思います（疑）。
但し、とゆら様の懸念されるように「ちょろい日本」と思っているのであれば、厚かましくも「日本にもメリットがある」なんて言って来るんでしょうね。
こんな状態で「日韓議会未来対話」なんかが検討されているんですって（楽韓ブログ）？
ちょろい日本なのは間違いないです。過去の実績がそうでしたから。
韓国から見ると、いつでも何でも命令できるパシリなのですよ、日本は。
今でも喜んでパシリになりたい額賀とか、二階とか、経団連とかを、後から安倍さんが羽交い締めにして止めめている状態です。
国民が厳しい声を上げないと、売国奴達が暴走します。
↓2012年頃からヨーロッパの中央銀行等が韓国債の購入を拡大した旨のニュースがあったと思うのですが、「主要購入国のノルウェーが運用を見直し」との記事がありました。
ノルウェー年金基金、新興国市場債を放出へ－保有見直しで政府了承
2019年4月6日 1:43 ブルームバーグ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-04-05/PPHH2F6KLVR801
＞韓国やメキシコ、ロシア、マレーシアなど、インデックスから除外
＞ノルウェーの政府系ファンド （ＳＷＦ）、政府年金基金グローバル（運用資産額約１兆ドル＝約111兆7200億円）は、債券ポートフォリオの新興国市場債を減らすことで政府の了承を得た。
＊ロイターの同日付記事には「韓国債は63億ドル相当」との記載がある。（この資金の運用先は、韓国内に留まるのでしょうか？・・場合によってはスイスなんかも追随するのかも？ですよね・・。）
＊＊＊＊＊
↓ついでに、米為替報告書に関する記事もありました。
米為替報告書、為替操作監視リストの対象国拡大へ＝報道
2019年5月10日 / 08:25 ロイター
https://jp.reuters.com/article/us-currency-idJPKCN1SF2QW
＞一方、インドと韓国は監視対象リストから除外される見込み。
＊崩れ行く経済情勢を鑑みて、「もはや介入監視の必要もない」との判断なのでしょうか？
輸出促進のための「ウォン安誘導」から、通過危機回避のための「ウォン買い防衛」にポジションが変わったので、もう、監視の必要もない（この状況は変わらない）って判断でしょう。
そうですよね。
米国にとっては、実力に反した通貨安〔ドル売り介入〕だけが問題なのだから、あえて監視するまでもなくなったとのことなんですよね。
レスポンスありがとうございました。
あ、問題なのは「ドル買い介入」でしたね。
〔恥・・。
「私に出資（融資）すれば、貴方も必ず儲かります！」と言うのは詐欺師の常套句。
日本は同じ儲け話で疑うことなく何度も騙されてきた「キング・オブ・カモ」。
なので、必ず「スワップを供与しろ、それがアジア通貨危機を回避する唯一の手段だ、これは日本のためでもある、供与しなければ日本の責任が問われる！（キリッ」と言ってくる。
「仮にそのような事態になれば、日本としてはアメリカ・IMFと協調して対応したい」とでも返せばいいんだけど。
スワップは、貸したいなら借りてやらん事も無い、と懇願に来ている立場なのに言える神経ですから、先人が何故か甘やかしたのでしょうね。
以前こちらでも申し上げたことがあるのですが、韓国メディアでは、海外ニュースの報道が少ない気がします。「私が知らないだけの事かしら」と思っておりました。が、こちらとは別の評論サイトですが、そちらでも、今回の米中貿易協議について、韓国メディアでは、報道していない。もしくは、報道はあっても、大したことではないような印象操作がされている。とのことです。
そのサイトの論者さんは、韓国経済は中国への貿易依存度が高いので、関心も高いはずなのに、メディアの報道がないことに対して、政治的意図で報道管制が引かれているのではないか。と疑っていました。
政治的意図？があったとしたら、それは韓国経済を守るためのものではありませんよね(笑)。国を挙げて、自殺？
韓国国内からも金持ちがwonからドルに換える資本逃避が始まったとの記事を少し前に見かけたのですが、今ここに貼ろうと思ったのですが、見つけられませんでした。ただ、こんな記事がありました。
https://japanese.joins.com/article/171/253171.html?servcode=300§code=310
さて、どうなりますかね。
いつも興味深く読ませていただいております。
下落の原因としてもう一つ、アメリカの「お灸」ということもあるかもしれないと思います。
かつて鈴置氏と真田氏が「早読み深読み・・・ 」でそんな話をしていたように記憶しています。
今回のウォンの動きは、投機筋の小銭稼ぎだと思ってます
ウォンを売って相場をチョット下げると、韓国当局が通過防衛に走る
投機筋は、この動きが予測できてるので、小銭が稼げる