本日中にぜひとも紹介しておきたい報道があります。韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)の報道によると、昨年10月30日の「徴用工判決」問題を巡って、日本政府が先週9日(水)に「日韓請求権協定」に基づく協議を申し入れた際、韓国政府に対して「30日以内に回答せよ」と期日を切ったそうです。これが事実なら、日本政府が「第3条措置」を順番に適用して行った場合、ICJへの提訴は最速で4月12日です。つまり、現在の膠着状態が、少なくとも約3ヵ月間は継続する可能性があるということですが、もしそうだとしたら、その狙いはいったいどこにあるのでしょうか?
目次
第3条措置の続報
韓国メディア「日本が30日以内と期日を切る」
日本企業に損害賠償を命じた、昨年10月30日の韓国大法院(※最高裁に相当)の「徴用工判決」を巡り、日本政府は先週水曜日、韓国政府に対して「日韓請求権協定」に基づく協議を申し入れました(『日韓請求権協定の手続と「韓国社会の崩壊」という嫌な予感』参照)。
これに関連し、本日のうちに紹介しておきたい、重要な報道を1つ発見しました。次の韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)の記事によると、日本政府は今回の申し入れに際し、韓国政府に「30日以内に返答する」ことを求めていたのだそうです。
日本の「30日以内」返答要請 韓国「綿密検討」へ=徴用協議巡り(2019.01.14 09:58付 聯合ニュース日本語版より)
といっても記事には情報源は明示されていませんが、おそらくは韓国政府・外交部あたりからのリーク情報でしょう。
奇しくも私自身、『協議申入は日本政府の「時間稼ぎ」?そしてその真の狙いとは』のなかで、日韓請求権協定に基づく協議、仲裁手続は、最大3ヵ月程度かかるのではないかと申し上げましたが、聯合ニュースの報道が事実なら、この私の予想が正解だったかたちです。
これについて考える前に、聯合ニュースの報道の要点を確認しておきましょう(ただし、私の文責において、大意を損なわない形で原文の日本語表現を整え、箇条書きにしています)。
- 日本政府は9日、韓国政府に対して1965年の韓日請求権協定に基づく協議を要請した際に、30日以内の返答を求めていたことがわかった
- 韓国政府は日本政府の協議要請に応じるかどうか綿密に検討する方針だが、日本側が一方的に求めている「30日以内」という返答期限にはとらわれないとの立場だ
- これに加え、日本政府が返答期限を設定したことに対する不快感も外交部内部から出てきているという
- また、韓国政府は仲裁委による解決は念頭に置いていないというが、日本は仲裁委の構成が実現しなかった場合、請求権協定に基づく紛争解決に失敗したとみなし、国際司法裁判所(ICJ)に提訴する可能性もある
第3条措置とは?
ただ、「この聯合ニュースの記事を読んだだけでは、手続がよくわからない」、と感じる方も多いでしょう。そこで、「日韓請求権協定第3条に基づく措置」について、改めて確認しておきます。
日韓請求権協定だと、根拠規定は同第3条(PDFファイルの9ページ目以降)にあります。ただ、原文は縦書きであり、かつ、法律特有の読み辛い文章なので、分かりやすく噛み砕いておきましょう。第3条は次の4つの文章から構成されています。
- ①日韓両国で紛争が起これば、まずは外交で解決しましょう。
- ②上記①の手続で解決できなければ、仲裁手続を申し立てることができます。片方の国が「仲裁を申し立てた」と知らせる公文が相手国政府に届いた日から30日の期間内に、日韓が1人ずつ仲裁委員を選び、その期間の次の30日以内にその2人の仲裁委員が日韓以外の第三国からもう1人の委員を選び、その3人の仲裁委員会で話し合い、結論を出して下さい。
- ③上記②の手続で委員が選ばれなかった場合や、第三国の委員を誰にするか合意できなかった場合には、さらに30日以内に、両国がそれぞれ第三国に依頼して委員を1人ずつ選んでもらい、その2人の委員が協議してもう1人、日韓以外の第三国の委員を選び、その3人の仲裁委員会で話し合い、結論を出してください。
- ④日韓両国政府は、出た結論には従ってください。
(【出所】著者作成)
ICJ提訴の狙い
日本は4月12日にICJ提訴?
以上から、考えられる今後のスケジュールを見ておきましょう。
- 1月9日:日本政府が韓国政府に①の協議を申し入れ(聯合ニュースによると、日本政府は2月8日を回答期限に設定)
- 2月9日:前日までに韓国政府から回答がなければ、日本政府が韓国政府に対し、②の仲裁手続を申し入れ。「申し入れの公文」が当日中に韓国政府に届けば、その回答期限は3月11日
- 3月12日:前日までに韓国政府から回答がなければ、日韓両国とも、第三国に対し、4月11日までに③の委員選任を依頼しなければならない
- 4月12日:前日までに韓国政府から回答がなければ、日本は国際司法裁判所(ICJ)に提訴も?
もちろん、このスケジュールは私が想像ベースで作成したものであり、韓国政府に対する「仲裁手続申し入れの公文」が届くタイミング次第でずれる可能性もありますし、また、万が一、韓国政府側が2月9日までに協議に応じると回答した場合には、最後までいかない可能性もあります。
しかし、先日の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領による年頭記者会見の発言から判断する限り、おそらく韓国政府は本件を巡り、日本政府と協議をする意思もありません。
また、2月9日や3月12日といった節目で、韓国政府側から無反応だった場合には、日本政府側が手続を打ち切り、ICJへの提訴に踏み切る、という可能性も皆無ではありません。
ただ、私自身は、まず日本政府が①~③の手続を順番に踏み、4月11日まで待ち、そのうえで韓国をICJに提訴する、という流れを予想しているのです。
落としどころは「日本企業の韓国撤退」
では、なぜ日本政府はこんなにまどろっこしい手続を踏むのでしょうか?
素人考えだと「4月11日まで待たずに、さっさとICJに単独提訴すれば良いのに」、と思ってしまうのではないかと思います。
しかし、あくまでも私の見解ですが、その狙いは2つあります。
1つ目の狙いは、韓国に進出している日本企業や、これから韓国に進出しようとしている日本企業に対し、「韓国は法律や条約を破る国ですよ」「韓国に投資したり、韓国でビジネスを行ったりすれば、思わぬ損害が生じるかもしれませんよ」、と周知することにあります。
(※余談ですが、次の韓国メディア『中央日報』(日本語版)によれば、2018年を通じた日本からの韓国への投資額が29.4%減少したのだそうですが、日本の対韓投資急減が「徴用工判決」と無関係だとも思えません。)
日本の対韓国投資29%減少…自国の経済が改善されたおかげ(2019年01月03日13時14分付 中央日報日本語版より)
一方、2つ目の狙いは、「韓国が決定的な違法行為をすることを見届けるため」、というものです。
今年は1919年の「三一独立運動」から100年の節目を迎えるということもあり、韓国側では3月1日を挟んで、日本を貶めるさまざまなイベントが行われるのではないでしょうか。
実際、韓国側では昨年の大法院判決以降、新日鐵住金の在韓資産である合弁会社の株式の差押え手続が行われています(『株式差押えは「日本企業に実損出ていない」の屁理屈のため?』参照)が、その株式は3月1日に売却される、という話も出ています。
「新日鉄住金の韓国内資産売却、三一節がデッドライン」(2019年01月09日13時53分付 中央日報日本語版より)
もし、新日鐵住金の在韓資産が3月1日以降に売却されるとなれば、日本としても韓国に対して「引導を渡す」ことが容易になるでしょう。
並行した経済制裁は?
といっても、韓国メディア『中央日報』(日本語版)の記事によれば、日本とは違って韓国は「自国を当事者とする紛争が生じる場合、裁判に無条件に応じる」というICJの強制管轄権関連の選択議定書に加入していません。
この中央日報の記述が事実であれば、仮に日本政府が韓国を相手取った国際訴訟という手段を選択しても、韓国側がこれに応じなければ、訴訟手続は開始されない、ということになります。
つまり、韓国政府の「逃げ得」が許されることになりかねない、ということです。
このように考えていくならば、やはり、日本政府としては、「4月12日まで待ってからICJ提訴をする」という手続の流れと並走し、現時点で国際法違反とならない対韓制裁のカードを1つずつ切り始めるというのが正解ではないかと思うのです。
このなかでもとくにやりやすいのは、「ヒト、モノ、カネの往来」に制限を掛けるという手法です。
とくに、「ヒトの往来の制限」は、すぐにできるし、また、是非ともやるべきです。
以前私は、米国が自国民に対し、中国への渡航に注意を呼び掛けた、という話題を紹介したことがあります(『無法国家・中国への渡航を警告した米国政府を日本政府も見習え』参照)。
やることは簡単で、日本政府は韓国全土を「警戒レベル1」以上に引き上げること、韓国国民に対する観光目的の訪日ビザ免除プログラムに変更を加えることの2点です。名目は何でも構いませんが、いちばん分かりやすいのは「北朝鮮情勢」と絡めることでしょう。
いずれにせよ、今週以降も日本政府の動きからは目が離せなさそうです。
View Comments (10)
* 粘ってサイトを開けた甲斐がありました(笑)。
* 更新ありがとうございます。
* おそらく韓国は一切謝罪しないでしょう。日本人に頭を下げるぐらいなら、犬になる方がマシってマジで70年間教育されてますから。
* 半面、本日の中央日報か朝鮮日報、両方だったかも知れませんが、韓国野党が文在寅の日本に対する処遇が、あまりにも敵対的ではないか、韓国が不利になる、という発言をしたと載ってました。
* こういう声を新聞が載せるのも、最早、文は終わりに近いと思います。出来る事は、発言した野党人と書いたジャーナリストを獄行きにするぐらいですから(笑)。
* 30日ずつ刻んで4月12日、私も韓国は放ったらかしで当日を迎えると思います。途中で勝手な捏造日の独立記念日(笑)。アンタラどこから一本で独立したん?(爆笑)
* 3月1日この日は、『偽売春婦事件』『偽徴用工事件』に関する左派系中心のデモ、焚き火(笑)などが行なわれ、火病直ぐ起こすので日本企業、民間邦人は出かけない方がいいと思います。日本政府もそれぐらいの情報を発信しろッ。
* ICJまで行っても逃げまくる様子です。となると、まどろっこしいですが31日目から経済制裁スタート。だんだん強いモードにする(笑)。
* ひとごとのように言いますが、なんか韓国の断末魔が今年中にライブで見れるかと思うと、今までの苦労が報われます(なんにもしてませんよ 笑)。
* 今日、シンガポールで日本防衛省幹部と、韓国の制服組中将が哨戒機の一件で協議したようですが、実りはあったのでしょうか。
* 『日本が悪い』とならないよう、出せる情報は出して、ぐうの音も出ないよう、叩き潰して欲しいです。どうせ『知らぬ存ぜぬ』でしょうが。これも気になりますね。
国会議員に対して『こいつ』とは言いたくないのですが、こいつは本当にどうしようもない。
悲しいというか情けない、というか言葉が見当たらないです。
https://japansdf.com/archives/10432
素晴らしい分析と提言ありがとうございます。
私自身はICJへの提訴を実際に行うのではなく、そう見せかけつつ制裁で実効をあげることを望んでいます。
韓国はほぼ敵性国家と位置付け、それに相応しい対応をする。
そして可能であれば北朝鮮を親日、親米、親露に持っていければと夢想します。
気になるのが3月1日あたりの韓国社会・韓国政府の暴走です。反日・侮日活動が暴発して外務省が当然渡韓を警告するでしょうし韓国に行こうと考える無思慮な人も激減すると考えられます。
また、それに悪乗りしてニセ徴用工が日本企業の資産強奪を仕掛けている切っ掛けになりそうです。そこでいよいよもの・かねの対韓制裁が発動でしょう。最初は目立たないような制裁(それはもう始まっているかも)から始まってじわじわ真綿で首を絞めるような制裁、さらに反省しない場合はきゅっと首を絞めるような制裁が待っているのでしょうね。なにしろ制裁のネタには混ませないですから。
そしていよいよ崩壊が近いとなったら人への制裁開始ですね。300万人もの難民がやってきたら大変ですから。「日本なんか行ってやらねーよ。オーストラリアがあるから」と言っていた韓国人もオーストラリアでも嫌われてきているようで、どうするのでしょうね。
韓国人には化けの皮がはがれてなお、白を切り通す特性があります。日本人ならとても恥ずかしくて出来ないのですが彼らにとっては平気です。
あるとき、二十歳そこそこの飲み屋のねーちゃんが、「タクシーに財布を忘れたので、帰る車代がなくなったから3万ウォン貸してちょうだい」と言ってきました。その頃は¥100=₩1500程度でしたので、日本円で2000円くらいです。一瞬「3万って何処まで返るつもりやねん」とも思いましたが、とりあえず貸しました。1週間ほどして、また同じねーちゃんが3万ウォンを返したあと、「お父さんが病院で検査を受けたので10万ウォンが必要だから貸してちょうだい」と来ました。よくある詐欺パターンです。小生、捨てたつもりで10万ウォンを貸しました。さらにその翌日「お父さんが入院して手術をするので、300万ウォン貸して頂戴」と来ました。
このねーちゃんには友達がいて、同じ飲み屋で働いています。その日はたまたまねーちゃんが休みの日だったので、飲み屋に行きその友人に「○○○のお父さんが入院したんだって?」と問いかけたところ、「えっ? ○○○のお父さんは家に居たよ」との事です。
その後、この友人に内容を話したところ、友人は憤慨し直ぐに連絡を取るというので、小生がカカオトークで連絡を取るから横に居てやり取りを見ててくれと言い、ねーちゃんに連絡を取りました。ねーちゃんはお父さんが入院のためにどうしても300万ウォン必要だと言うので、小生が病院に行ってカード決済すると話しました。すると、現金じゃなきゃダメだと言うのです。病院に関係を問われると説明に困ると言います。では、小生が病院まで行って、カードを渡すからそれで決済すれば良いと言うと、他人のカードを無断で使用すると犯罪に問われる可能性があると言います。では、病院に行って、そこで現金を引き下して、決済すれば良いと言うと、予め300万ウォン用意すれば自分が取りに行くので病院まで来る必要はないと言います。
そんなことを2時間ほど続けていると、だんだんねーちゃんが不機嫌になっていきました。友人も内情を知っているので、小生の代わりにカカオに打ち込んで煽ります。最後の捨て台詞が「300万ウォンの現金もない男なんてサイテー!」みたいなことを言われて終わりました。以後ねーちゃんは店も辞めて連絡もなくなりました。
しかし、すごいのはその数年後、なんと連絡が来たのです。ソウルで会いたいと言うので、小生もギターのパーツを買うついでにソウルで会うことにしました。ねーちゃんは名前が変わり、両親と別居しソウルで暮らしているとのことです。因みに韓国人は住民登録カードを見ないと本名は分かりません。飲み屋のねーちゃんの半数は本名ではありません。従って、小生が店で会っていた頃の名前が本名かどうかも分かりません。何か言いたそうな態度を横目に簡単に食事をし、帰る時間になって最後に「入院したお父さんは家に居たそうだな?」と言うと、本当に入院してたの一点張りでした。哨戒機事件を顛末を見ていると、嘘がばれていても突き通すしかないところはこのねーちゃんと一緒だと、ついつい追憶に浸っております。
駄文にて失礼します
寸借詐欺婦のレートが上がるにつれて、ギタリストの鼻の下が伸びて行く様子が目に浮かびます。こころがほっこりするようないい話ですね。
レス有難うございます。
>鼻の下が伸びて行く様子が目に浮かびます。
これについては弁解の余地がありません(笑)
実は小生は飲み屋で韓国語を覚えたのです。最初は英語と韓国語から始めました。
だって、男やババアに韓国語を教わってもmotivationが上がらないのは、諸氏方も納得して頂けるのではないかと思う次第です。
駄文にて失礼します
毎々の執筆、ありがとうございます。
今回の「日程を切った」件、なんとなくですが、今年の選挙日程を見据えているような気がするのは私だけでしょうか。
統一地方選挙: 4月末日あたりで投票
参議院選挙 : 7月末日あたりで投票
改憲を見据えれば、自民党としては負けられない戦いでしょうから、選挙戦前に何らかの実績を出し、アピールする狙いもあるのではないでしょうか。
(もっとも、この期に及んで何もしない野党への投票は考えられないのですが。。。)
これからマスゴミ各社(特に朝日)は与党のダメだしをしてくるでしょうが、どこまでがんばれるのか見ものでもあります。
失礼いたしました。
日本政府の狙いは、レーダー照射事件における「海上自衛隊哨戒機の威嚇的低空飛行が問題だ」といった韓国得意の「論点逸らし」を封じることだと思います。
仮に、現時点で対抗措置を実施すれば、韓国政府は「大法院判決を受けた韓国政府としての対応や、日韓請求権協定に基づく日本政府からの協議要請について、慎重に検討中だと説明している中で、日本政府が一方的に対抗措置を実施したのは国際的信義に反する」と国際社会に訴えると思います。
そこで、こうした韓国政府の論点逸らしを封じるために
① 日韓請求権協定に基づく2国間協議の要請から1カ月経過
② 日韓請求権協定に基づく仲裁委員会の設置要請から1カ月経過
③ 国際司法裁判所に提訴し、韓国が応訴を拒否
④ 新日鉄住金の差押え財産の競売実施
の全ての段階を経た後に対抗措置を実施する方針だと思います。
特に④は韓国政府の対応をこれ以上待つことができない十分な理由になると思います。
また、仮に、対抗措置の実施に対して韓国政府が「日本政府が韓国の大法院判決を一方的に国際法違反だと決めつけた」という主張に対しては「韓国が仲裁委員会の設置または国際司法裁判所での審理に応じなかったので止むを得ず対抗措置を実施した。韓国政府がいずれかに応ずれば、直ちに対抗措置を中止する」と主張できます。
やっと、動き出しましたね。
私の根性は、最近の韓国問題で、2回転半ぐらい、捻じ曲がってしまった(根性の捻じれる音が、1日1回ギリギリってするの)。
私の妄想だけど、これらの問題で文在寅さんの後ろにいるのは金正恩さんだと思っている。
金正恩さんは韓国のことはどうでもいいので、この問題をどう決着させるのか考えていないし、文在寅さんにも考えはない。いけいけドンドンてことかな。
日本政府が忍耐強く手を打ってくれているのは、頼もしい限りですが、経済制裁ぐらいでは事は収まらないかも。