なぜ今、改憲を持ち出すのか?それは改憲阻止勢力が負けたから

立憲民主党の枝野幸男代表は、昨日、安倍晋三総理大臣が憲法改正に積極的である点に対し、「(憲法改正を)なぜ今持ち出すのか、さっぱり理解できない」と言い張ったそうです。私の記憶が確かなら、確か昨年10月の衆院選では、立憲民主党は自ら憲法改正を争点にしていたような気がするのですが、改憲を争点にして「改憲阻止派」が選挙で3分の1を割り込んだ事実を無視するのは見苦しい気がします。

ネットとマスコミ世論の乖離

大手新聞社やテレビ局などが実施する「世論調査」という代物があります。

内閣支持率調査などがその典型例ですが、新聞やテレビが実施する支持率と、インターネット上で実施される支持率には大きな開きがあることもまた事実です。

少し古い調査で恐縮ですが、昨年7月時点で私が調べた各社の内閣支持率調査を見てみると、ニコニコ動画(ネット)の調査では支持率が不支持率を大きく上回っていますが、ネットを除く各社(つまりマスコミ)の調査結果は、軒並み不支持率が支持率を上回っていたことが確認できます(図表)。

図表 2017年7月時点における内閣支持率

(【出所】著者調べ。カッコ内は調査実施時点)

もちろん、この図表をもって、「ニコニコ動画の調査は正しい(間違っている)」、「マスコミの調査は間違っている(正しい)」、と断言することはできません。また、ニコニコ動画はあくまでもネット調査の1つに過ぎず、すべてのネット調査がニコニコ動画の調査と同じ結果になるというものでもないでしょう。

しかし、それと同時に、ニコニコ動画の調査結果とマスコミの調査結果が同時に「日本国民の世論を正確に代表している」といえないことも事実です。これをわかりやすく書くと、

  • (A)ニコニコ動画の調査結果が正しく、マスコミの調査結果は間違っている。
  • (B)マスコミの調査結果が正しく、ニコニコ動画の調査結果は間違っている。
  • (C)調査結果はニコニコ動画、マスコミともに間違っている。

という3パターンのいずれかしかありません。

では、どのパターンが正解なのでしょうか?

「若者=ネット=内閣支持」、「高齢者=マスコミ=内閣不支持」

残念ながら、ネット調査とマスコミ調査のいずれが正しいのかに関して、現時点においては信頼できる「正解」は存在しません。

ただ、さまざまな調査や状況証拠などから判断するかぎり、どうやら次の傾向は間違いないと思います。

  • 傾向①:若者ほどインターネットの使用時間が長く、高齢者ほどテレビの視聴時間、新聞の購読率が高い
  • 傾向②:インターネットを情報源として重視する人ほど現政権に対する支持が高く、新聞・テレビを情報源として重視する人ほど現政権に対する支持率は低い

つまり、この2つの傾向を照らし合わせるならば、たとえば地方選などで、若者ほど政権側が推す候補者に投票するはずですし、高齢者ほど政権に批判的な候補者に投票するはずです。

  • 傾向①+傾向②:若者ほど政権支持率が高く、高齢者ほど政権支持率は低く出る(はず)

この点、先々月の沖縄県知事選では、若年層ほど政権寄りの候補者(佐喜真淳候補)に投票していて、高齢者層ほど政権批判的な候補者(玉城デニー候補)に投票していた(らしい)ということがわかっています(『沖縄県知事選、敗因をしっかり受け止め「次に備える」べき』参照)。

沖縄県知事選、敗因をしっかり受け止め「次に備える」べき

もっとも、「傾向①+傾向②」については、統一的な尺度で比較する手段がないため、あくまでも現時点においては仮説に過ぎません。しかし、私自身は、現時点において、

  • 「若者=ネット=内閣支持」
  • 「高齢者=マスコミ=内閣不支持」

という傾向が成立しているのではないかと考えているのです。

マスコミ層対ネット層の最前線

こうした「マスコミ層対ネット層」の対決の最前線にいらっしゃるのが、私が謹んで「国民の敵R」という尊称を差し上げた、「立件」民主党、じゃなかった、「立憲」民主党の皆さんです。

立憲民主党のネタは、当ウェブサイトでもたびたび提供していますが(『「知見がない」を繰り返す立憲民主党・枝野代表の不誠実さ』や『過ちは繰り返す:民主党政権を総括しない立憲民主とマスコミ』など)、そのなかでもとくに目を疑うのが、党代表の枝野幸男さんの言動です。

立憲民主・枝野氏「なぜ今。さっぱり分からない」 安倍首相を重ねて牽制(2018.11.4 16:48付 産経ニュースより)

産経ニュースによると、枝野氏は昨日、東京都内で講演し、安倍晋三総理大臣が改憲に意欲を示している点について、

なぜ今、(憲法改正を)持ち出すのか、さっぱり意味が分からない

と述べたのだそうです。

誠に申し訳ないのですが、私が言いたいことはただ1つ。

さっぱり意味が分からないのならば議員辞職のうえで、一から勉強なさってはいかがでしょうか?

です。

おりしも、立憲民主党は今年4月の財務省事務次官のセクハラ疑惑で「部下の不祥事は上司の責任」として麻生太郎副総理兼財相の辞任を求めていましたね。

言行一致という観点からも、衆議院議員でもある青山雅幸、初鹿明博の両「セクハラ犯」(※)や、息子が性犯罪者である小川勝也参議院議員の例に漏れず、立憲民主党所属議員の不祥事の責任を取って、枝野さんはただちにお辞めになるのが正しいと思います。

(※「セクハラ犯」とは立憲民主党の逢坂誠二衆議院議員が開発された造語だそうです。)

要するに「マスコミ層」へのメッセージ

それはともかく、枝野氏の発言をインターネット上で眺めると、この人物の言行不一致ぶりもさることながら、正直、呆れて物も言えなくなります。

ただ、先ほどの「高齢者=マスコミ」仮説を思い出すと、何となくこの人物の発言の意味がわかってきます。

あくまでも私の仮説ですが、枝野さんは「わかってやっている」のだと思います。

すなわち、ご自身の発言が明らかにおかしいということを理解した上で、それでも自分たちを国会議員に選んでくれる層(情報弱者層)にアピールし続けるためには、その情報弱者層に情報を届けてくれるマスコミの皆さんの意向に逆らう発言などできないからです。

そう考えていけば、この「なぜ今なのかわからない」というご発言は、本心から出たものではありません。

「立憲民主党所属議員が次回選挙でも国会議員として復活できるようにするため」、です。

思うに、「国民の敵」には2種類あります。

1つ目は「確信犯」として、本当に日本国民の敵となろうと考えている勢力(朝日新聞社や日本共産党)であり、2つ目は途中で存在目的が変容したことで結果的に国民の敵と化した勢力(NHKや財務省)です。

おそらく、立憲民主党は後者でしょう。

立憲民主党とは、かつて1度は政権を担ったこともある民主党という政党の残党であり、本心から日本を破滅させようとしているというよりは、単に国会議員でいることだけを目的にした人たちが、国会議員であり続けるために、マスコミに媚を売っているだけだと考えるべきだと思うのです。

だからこそ日本共産党よりも性質が悪いのですが…。

情報弱者層は数年内に消滅?

ただ、先ほど私が提示した、「高齢者=マスコミ=内閣不支持」仮説には、続きがあります。

実は、現時点において、マスコミを盲信する人(情報弱者)が高齢者に多いらしいという点についてはそのとおりだと思うのですが、それはあくまでも「現時点の話」であって、これからもそうであるとは限らないと思います。

これに確たる根拠はありませんが、当ウェブサイトを訪問して下さる方々や私にメールをくださる方々には、「少し前まで新聞やテレビを盲信していた高齢者だ」と名乗る方が増えているのです。

あえて希望的観測を述べるならば、インターネット環境の普及は急速であり、早ければ数年以内にも、マスコミ報道を盲信する情報弱者層は、事実上、この日本国内から姿を消す可能性があります。

そうなれば、情報弱者層を支配してきたマスコミは、支配する対象を失うどころか経営危機に陥りますし、そのマスコミに媚を売ってきた枝野さんら立憲民主党の皆さんは、マスコミに媚を売って情報弱者に票を投じてもらう、という戦略が機能しなくなるはずです。

悪いことは言いません。

立憲民主党の皆さんは、あまり国民を舐めた言動を取り続けることを、いい加減にやめてはいかがでしょうか?

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、「国民の敵」とは、「国民から正当な選挙で選ばれたわけでもないくせに、不相応に大きな権力を握って日本国民の利益を邪魔する勢力」のことであり、私のウェブ評論家としての使命は、この国民の敵を楽しくやっつける方法を考え、皆様に提示することにあると思うのです。

ただ、先ほど申し上げたとおり、「国民の敵」にも実は2種類あって、それぞれ、どう対処すれば良いかが代わって来るのではないかと、最近になって思うようになりました。

そこで、できれば近日中に、こうした論点についても考え方をまとめて提示したいと思います。

どうか引き続き当ウェブサイトのご愛読とお気軽なコメントを賜りますとともに、知的好奇心を刺激する楽しさを味わって下さると幸いです。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. ゲンじい より:

    11月4日の記事ですね。yahoo-NEWSのコメントの多い記事ランキング5位になっていました。

    ほとんどすべてが枝野代表を指摘するコメントばかりでしたが、今日のyahoo-NEWSには出てません。

    明けて、今日11月5日、枝野さんがとんでもない事を言いはじめました。

    枝野代表「失敗した当事者ともう1回政権交代を」
    TBS-NEWS
    https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20181105-00000007-jnn-pol

    昨日の記事で目を引き付けておいて、本当はコレを言いたかったんですね。とんでもないです!

    全力で阻止しなければなりません!

  2. 匿名 より:

    今回の枝野幸男の発言に限らず野党議員共通ですね。

    私も以前は「なんで野党議員はこんなに非論理的な発言しかしないのだろうか。これでは自民党支持層(わたしのこと)を翻意させるどころか浮遊層の共感すら得られないではないか。」と思っていました。
    で、自分で至った結論が以下です。

    日本は代議員制なので議員は支持者の代弁者でしかない。すなわち議員が支持者を引っ張るのではなく、支持者が議員を持ち上げ支えているに過ぎない。
    このため国会やインタビューで支持者の思い通りの発言をしなければ支持者から突き上げをくらい最悪は支持を失ってしまう。思い通りの発言をしている間だけ支持(投票)してもらえる。

    つまるところ非論理的思考を持つのは議員でなく支持者である。議員自身は自民党支持層を翻意させたいわけでもなく、浮遊層を取り込みたいわけでもなく、本気で第一党になるつもりも無い。
    ただ国会議員でいれればよいだけであり自身の論調が論理的かどうかは全く気にしていない。そして国会議員でいたい理由は金銭を筆頭とする甘い蜜を吸うためであろう。

    今回は上記に「対マスコミ」という視点を加えることができ大変有意義でした。有難うございます。

  3. めがねのおやじ より:

    < 立憲民主党の枝野か、オモロナイな(笑)。党勢落ち込み、安倍総理大臣には失礼な誹謗中傷を面と向かって言い、重箱の隅を突く。

    < 今日も病院の待合室には音声ナシの国会中継やってました(喧しいので動画と文字放送のみ)。謝蓮舫が質問してたのをチラ見したが、揚げ足取りの質問が大ブーメランになれ!(笑)。

    < 『もう一度民主党メンバーで政権奪回する』って枝野の発言、頭ん中大丈夫か?ネジ足らんのちゃう?(笑)。そんなこと願う国民、居ませんよほとんど。支持率並みの1〜2%居れば、私は驚嘆します。

    < 『自公が過半数割れなら連立内閣』(爆笑)って、与党になれると思うオメデタさ、妄想癖の半島民と同じレベルだわ。来年参議院選で惨敗、衆参同時選なら野党第3党か第4党かに転落、またぶっ潰して負けたモン同士で再結集。コレをやると次の次は、皆居なくなるヨ。楽しみ〜。

    1. りょうちん より:

      気分的にはX Japan再結成なんですが、現実はおニャン子クラブ再結成な話ですわw

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