海外で本物の日本料理を探す冒険を楽しむのもまた人生

海外の日本食を巡り、時事通信になかなか気の利いた記事が掲載されていました。

日本食は難しい?

パリの「小江戸へどうぞ」

先週、次のニュース記事が時事通信に掲載されました。

パリで駅弁、じわり人気=「日本にいるよう」(2018/07/22-14:28付 時事通信より)

これは、フランスの首都・パリで「小江戸へどうぞ」という日本風の駅弁屋さんが大人気になっている、という記事です。時事通信によると「焼き魚や鶏の空揚げなど庶民的な弁当が並び」、「調理スタッフは全員日本人」という、やや一風変わった店だそうです。

気になって調べてみると、実際に “KOEDO dozo” というウェブサイトがありました。メニューは

  • 小江戸弁当スペシャル(15ユーロ)
  • 黒酢アンガスビーフ弁当(14ユーロ)
  • サーモンエビ弁当(14ユーロ)
  • 豆腐の味噌ねぎ焼き弁当(13ユーロ)

といった、いわゆる日本風(?)の弁当もあれば、

  • ちらし丼(12ユーロ)
  • そぼろ丼(11ユーロ)
  • ベジタリアン丼(10ユーロ)

などの丼物、さらには

  • いなりずし(5ユーロ)
  • おにぎり単品(梅干し、鮭、昆布、ツナマヨ、ビーフなど、各3.5ユーロ)
  • おにぎり2個セット(6ユーロ)
  • おにぎり3個セット(9ユーロ)

のような軽食から、果ては

  • 抹茶のムース(4ユーロ)
  • 鯛焼き(アンコ・クリーム、各3ユーロ)
  • シフォンケーキ(2.5~3ユーロ)
  • 日本風のアイス(3.5ユーロ)

など、食事から甘味まで取り揃えているようです。

日本の味が人気?

時事通信によると、この「小江戸へどうぞ」を経営するのは、高校時代に大阪に留学していたときに、ホストファミリーのお母さんが毎日作ってくれた弁当の味が忘れられないという、エステル・ミケルさん(43)。2015年に第1号店をオープンし、いまや3店舗を構えているとか。

もちろん、1ユーロ=130円程度と考えると、おにぎり1個500円弱という換算であり、お値段はかなりお高めです。しかし、時事通信によると、この店は3店舗合計で多い日に250食が完売するほどの盛況ぶりであり、実際に顧客からの評判も上々なのだとか。

時事通信は「来年には4店舗目がオープン予定」とし、「さらなる駅弁ブームが起こりそうだ」と締め括っていますが、この手の記事を読むと私が真っ先に心配になるのは「ニセジャポ」です。

「おさか」の思い出

以前、当ウェブサイトで『ポルトガルのレストラン「大阪(おさか)」』という記事を掲載しました。

ポルトガルのレストラン「大阪(おさか)」

これは、「大阪」と書いて、わざわざ平仮名で「おさか」と読み仮名が振ってあるという、「誰がどう見ても明らかに日本人ではない人が経営していそうな店」の話題です(図表)。

図表 「おおさか」ではなく「おさか」

「おおさか」ではなく「おさか」

(【出所】著者撮影。クリックで拡大)

私がこの店を発見したのは2011年のことですが、検索すると、いまでも潰れずに残っているようです。ポルトガルの港町にあり、食材の質が良いためでしょうか?それとも何か別に理由でもあるのでしょうか?これについてはよくわかりません。

しかし、ヨーロッパに行くと、この手の「日本人ではない人が経営している日本食風のレストラン」を発見することも多く、正直申し上げれば、いちいちウンザリします。

質の良い日本料理店とは?

もちろん、日本には「XX風」(XXにはイタリアだの、フランスだのが入る)と称していながら、実際には日本人が日本人向けにアレンジした食材がたくさんあることは事実です。たとえば、「イタリアンワイン&カフェレストラン」のサイゼリヤにはイタリアにないメニューがたくさんあることは有名です。

ただし、サイゼリヤの場合は味もよく、値段もお手頃であることから、逆に本場のイタリア人が日本に旅行でやってきたときに、是非、立ち寄っていただきたい店でもありますが(笑)、この手の「良い意味での現地化」は歓迎すべきでしょう。

実は、現地の人が現地人向けに日本料理をアレンジして提供しているのだとしたら、これはこれで歓迎すべきことでもあります。フランス人がフランス人向けに作る日本料理、ポルトガル人がポルトガル人向けに作る日本料理など、いろいろ食べ比べてみたいと思います。

しかし、ヨーロッパやアメリカなどで見られる日本料理店には1つ、根源的な問題点があります。それは、

現地人が現地人向けにアレンジした料理ではない

ということです。

もっといえば、判で押したように、ニューヨークでもパリでもロンドンでも、「日本人を装ったアジア人が質の悪い日本料理を提供している」、という傾向が見て取れるのです。寿司の皿にキムチを盛って銀色の箸で食べさせる店など、その典型例でしょう。

私自身、ロンドンで「ワガママ」という日本料理もどき店の野菜焼きそばを食べて食中毒になった経験もありますし、パリの「焼き神戸」という名前の日本料理もどき店で提供されていたキムチ寿司の味は絶対に忘れられません。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ただ、現地でヘンテコな日本料理を食べて辟易するのも、実は「旅の良い思い出」の1つでもあります。私も大学生時代、あるいは独身時代には、格安航空券を買い求めては、しょっちゅう、海外に出掛けていましたが、今となってはすべて良い記憶です。

子供が大きくなり、時間的な余裕が出来たら、またゆっくりとどこか外国に行ってみたいなぁ、と思っていますが、果たして何年後の話でしょうか(笑)今からそれが楽しみでなりません。

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