中韓スワップの本当のところ

今年10月に失効する中韓スワップ協定を巡り、韓国人の関心が高まっているようです。

中韓通貨スワップに関心を払う韓国人

今年(2017年)は中韓両国が国交を正常化して、ちょうど25年目の節目です。ところが、中韓関係は国交正常化以降、最悪といっても良い状況になっています。こうした中、韓国人が気にしているのが、「中韓通貨スワップ協定」の行方なのだそうです。

昨日も、韓国メディア『中央日報』の日本語版に、こんな記事が掲載されました。

韓中国交正常化25年…通貨スワップ延長は?(2017年08月25日11時10分付 中央日報日本語版より)

リンク先の記事を要約すると、次のとおりです(※ただし、著者の責任で、原文の日本語を大幅に修正しています)。

  • 今年2月に配備決定された高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の影響もあり、10月10日に満期が到来する中韓通貨スワップ協定の延長が不透明だ
  • 亜洲大の教授は「習近平(しゅう・きんぺい)・中国国家主席はTHAAD問題を核心の利益と宣言しており、韓国と懸案を妥結することはない」と指摘した
  • 先月ドイツで開催されたG20首脳会合でも文在寅(ぶん・ざいいん)大統領と習近平国家主席が会談した際も通貨スワップの延長はまともに議論されなかったし、中韓経済閣僚会談日程も未定だ
  • 中韓通貨スワップの規模は560億ドル程度で、韓国が保持する通貨スワップのうち規模は最大だ

中韓通貨スワップ協定は、期限到来まで1ヵ月以上残されているため、韓国メディアがこんなに早く騒ぎ始めるとは思っていませんでした。ただ、韓国にとって外国との通貨スワップ協定には極めて高いがあるようです。というのも、2月から3月にかけて、インドネシアやオーストラリアとのスワップ協定が更新された時にも、韓国メディアは大々的に大騒ぎしたからです。

そこで、本日は改めて通貨スワップに焦点を当てて、その沿革をおさらいしておきたいと思います。

通貨スワップの基本

通貨スワップ(BSA)とは

経済ニュースを読んでいると、通貨スワップという言葉を耳にすることが増えました。

金融機関の方であれば、通貨スワップといえばデリバティブ取引だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、政府・中央銀行の世界では、全然違う意味を持ちます。両者の違いをざっくり説明すると、図表1のとおりです。

図表1 通貨スワップの概要
区分意味合い備考
①金融市場の通貨スワップ(Cross-currency Swap, CCS)主に民間金融機関や企業が締結するデリバティブ契約であり、為替変動を確定させるためのヘッジ手段として使われることが多い厳密にはベーシス・スワップ(金利の交換)を伴い、たとえば契約期間の初めと終わりのドル・円の元本交換と、途中の金利交換がなされることが一般的
②政府・中央銀行間の通貨スワップ(Bilateral Swap Agreement, BSA)主に各国の政府・中央銀行の間で、資金を融通するための国際的な協定代表的なものとして、自国通貨建てのスワップと米ドル建てのスワップがある

本稿で触れる通貨スワップとは、「①金融市場における通貨スワップ(CCS)」ではなく、「②政府・中央銀行間の通貨スワップ(BSA)」の方です(ちなみに私はCCSの企業会計上、バーゼル規制上の取扱いについても専門分野ですが、こちらについては本稿では触れません)。

この通貨スワップ(BSA)とは、政府や中央銀行が資金不足に陥った時に備えて、他の国の政府や中央銀行との間で締結するものです。アジアの場合、もともとは1997年にタイで始まったアジア通貨危機がインドネシアや韓国に飛び火する中、こうした混乱が繰り返されないように、日本が主導する形で作られた仕組みの1つです。

お金が信じられない国もある

もともと、アジア通貨は日本円を除くと、いずれも国際的な金融市場の地位は低く、事実上、アジアの域内での取引は、日本円か米ドルが利用されているのが現状です(図表2)。

図表2 アジア・太平洋地域の代表的な通貨
通貨名コード概要
日本円JPYアジア随一のハード・カレンシー。外為市場では米ドル、ユーロに次ぐ3位の規模を誇る
中国本土の人民元CNYGDP世界2位の大国・中国の通貨だが、規制が強く、国際的な決済には適さない
オフショアの人民元CNH比較的自由に交換できる中国の通貨だが、CNYとは別に流通していて、市場規模も小さい
韓国ウォンKRW韓国はOECD加盟国でありながら資本規制が厳しく、国際的な決済には適さない
香港ドルHKD日本円に次ぐアジアの国際通貨。1米ドル=7.75~7.85HKDに固定されている
シンガポール・ドルSGDHKDと並ぶアジアの国際通貨だが、通貨の国際的な通用度は日本円ほど高くない
新台湾ドルNTD台湾の通貨だが、中国との関係もあって資本規制が強く、国際的な決済に適さない
インドネシア・ルピアIDR東南アジアの大国・インドネシアの通貨だが、通貨に対する国際的な信認は低い
マレーシア・リンギットMYRマレーシアの通貨。資本規制は韓国やインドネシアと比べると緩い
タイ・バーツTHBタイの通貨。日本政府は日本円とTHBとの直接交換市場創設を提案している

(【出所】著者作成)

日本にいるとあまり意識することはありませんが、アジア諸国では、自国の通貨よりも外貨の方が信頼される傾向にあります。たとえば、香港の場合、香港ドルという通貨は通用していますが、資本規制が緩く、自由に外貨と交換することができるため、人々は銀行口座の中で米ドルやユーロ、日本円など、外国の手堅い通貨に分散して投資する傾向があるようです。

一方、タイ、マレーシア、カンボジア、ベトナム、フィリピン、インドネシアなどの場合は、銀行システムが脆弱であり、銀行口座で様々な通貨に分散することが難しいという事情もあります。このため、米ドルの現金が好まれており、場所によっては米ドルの紙幣でそのまま支払いができるというケースもあります。

余談ですが、私が以前から100円札や500円札などの小額紙幣を発行すべきだ主張しているのも、これらの国が現金経済であり、小口の紙幣があれば円の使い勝手も円の地位も上がるからです(※ただ、この論点については本日の本論と関係がないため、また改めて議論したいと思います)。

国であってもデフォルトする!

そして、もう1つの重要な点は、「たとえ国家であってもデフォルトすることはある」、という事実です。

日本の場合、日本円という通貨自体が国際的に高く信頼されており、また、日銀の政策の影響もあり、日本国債の利回りは低利回り(というよりも、10年以下の国債利回りはマイナス)となっています。現状、日本国政府が円建てで市場から借りている国債がデフォルトする可能性は、あなたの頭上に隕石が落ちてくる可能性よりも低いと考えて差し支えありません。

しかし、国であっても、外国の通貨でお金を借りているときには、デフォルトすることがあります。その実例が、1998年のロシアであり、2001年のアルゼンチンであり、2012年のギリシャです(図表3)。

図表3 国債のデフォルト事例
年代デフォルト国備考
1998年ロシアアジア通貨危機による金融市場の混乱と世界経済減速を遠因として外貨建ての対外債務がデフォルトし、通貨・ルーブルも暴落した
2001年アルゼンチン国内政治の不安定性を反映し、アルゼンチン政府は対外債務の利払を放棄してデフォルトに至った。2014年には米国内の訴訟を原因に、そのリストラクチャリング債もデフォルトしている
2012年ギリシャ共通通貨・ユーロ建てで発行されたギリシャ国債については、ギリシャが国際社会から第2次救済を受ける条件として、ギリシャ政府と民間債権者の債務交換により額面の53.5%が削減されるデフォルト状態となった

(【出所】拙著より抜粋)

ちなみに、ギリシャは19世紀以来、2012年までに5回のデフォルトを繰り返していますし、アルゼンチンは第2次世界大戦後、最も多くのデフォルトを実施した国でもあります。このように、対外債務をいとも簡単に棒引きするような国が発行した債券を、まともな機関投資家が買うはずもありません。

そして、国家が外貨建ての対外債務をデフォルトしてしまえば、国際資本市場からの信認を失い、基本的には起債が困難になります。

(※余談ですが、安倍政権はロシアとの北方領土返還交渉を急ぐ必要などありません。放っておけばロシアは再び経済的苦境に陥ることは明らかであり、日本が憲法第9条第2項を撤廃し、再軍備するまでの間に、ロシアは再び国家財政が破綻するかもしれないからです。)

自国通貨が暴落すれば輸入ができなくなる

国の経済が実質破綻状態になるのは、国がデフォルトした場合だけではありません。通貨安になっても、経済が破綻することがあります。

もちろん、自国通貨が下落すれば、自国の製品の輸出競争力が上昇するという効果もあります。このため、通貨安は悪いことばかりではありません。日本の場合も「アベノミクス」の円安により、輸出企業の業績が息を吹き返したという事例があります。

しかし、通貨が暴落し過ぎれば、の国は外国から物を輸入することができなくなります。石油を買ってくることが出来なければ、電車も自動車も飛行機も動かせませんし、軍隊すら停止します。

北朝鮮制裁で石油を止めれば、北朝鮮の息の根を止めることができるかもしれませんし、大東亜戦争直前の日本は米国から石油を止められ、戦争に踏み切ったという経緯があります。しかし、経済制裁を食らわなくても、お金が無くなって石油が買えなくなった場合でも、同様に、その国の経済は破綻します。

日本の場合は自国通貨自体がハード・カレンシー(つまり国際的に自由に取引できる通貨)であり、最悪、通貨を刷れば、外国から石油を買ってくることができます。しかし、日本以外のアジア諸国は、自国通貨を刷ったところで、外国が自国通貨で石油を売ってくれることはありません。それどころか、自国通貨を刷り過ぎればインフレになり、さらに自国通貨が暴落してしまいます。

これは決して理論的な話ではありません。経済政策に失敗すれば自国通貨が暴落し、輸入ができなくなって経済が破綻するのであり、実査に2008年以降のジンバブエ、2016年以降のベネズエラという貴重な実例が存在するのです(図表4)。

図表4 自国通貨暴落で経済破綻した実例
通貨経済運営
ジンバブエジンバブエ・ドル独裁者・ムガベ大統領の経済運営の失敗により、同国経済が信認を失い通貨が暴落。2009年1月に「複数外貨制」を導入した
北朝鮮北朝鮮ウォン金一族の経済運営の失敗に加え、核開発による国際的な制裁を受けて経済が実質崩壊状態にあり、公式にはユーロを使用している(と称している)
ベネズエラボリバルフエルテ独裁者で故・チャベス大統領の反米政策と企業の国営化がたたり、経済が実質崩壊状態に。マドゥロ政権もでもチャベス路線は変わらず、治安も極度に悪化している

ところで、ジンバブエ、北朝鮮、ベネズエラには共通点があります。

いずれも資源国であり、きちんと経済運営をしていれば、国民を食べさせるだけの資源は採掘できる国です。これに加えてジンバブエは旧英領時代の、北朝鮮は旧日本領時代の社会インフラが残されており、うまく使えば世界の富裕国になることもできていたかもしれません。

そして、いずれの国も、独裁政権の経済運営が失敗したという点でも共通しています。

韓国経済はどうなる?

外貨準備を補うはずの通貨スワップ

さて、冒頭で紹介したとおり、韓国では現在、「中韓通貨スワップ協定の延長」が話題になっているようです。

仮に資本逃避(キャピタル・フライト)が発生した場合には、自国通貨が暴落します。自国通貨が暴落すれば、海外から資源などを買ってくることができなくなります。そうなれば、最悪の場合、ジンバブエや北朝鮮やベネズエラなどのように、国の経済が破綻してしまう可能性だって否定できません。

こうした「通貨の暴落」に直面した時に、韓国のような発展途上国が真っ先に使うのは、外貨準備です。ただ、韓国の外貨準備は、公称は4000億ドル(※日本円に換算すれば、1ドル=110円として44兆円)近くあるとされていますが、実際には、他の国(例えば米国)が公表する統計を見る限り、せいぜい1000億ドル、下手をすると500億ドル程度しかないのではないかと考えられます(このあたりの詳細は過去記事『ウォンの急落は、突然に!~不自然に低いウォンのボラティリティ~』の『心もとない外貨準備と通貨スワップ』あたりもご参照ください)。

では、外貨準備が尽きてしまえば、その国の通貨は暴落するしかないのでしょうか?

実際には、通貨がさらに暴落しようとする場合には、これを防ぐための仕組みとして、BSAが存在しています。また、アジアの場合は「二カ国間通貨スワップ協定」に加え、「チェンマイ・イニシアティブ・マルチ化協定(CMIM)」も存在しており、「外貨準備」「BSA」「CMIM」により、通貨暴落とそれに伴う経済破綻を防ぐ仕組みとなっています。

現時点で韓国は4カ国とBSAを締結しているほか、CMIMにも参加しています。

図表5 韓国が諸外国と締結しているBSAとCMIM
相手国失効日相手国通貨 米ドル換算額
オーストラリア2020/2/22100億豪ドル約79億ドル
マレーシア2020/1/24150億リンギ約35億ドル
インドネシア2020/3/5115兆ルピア約86億ドル
中国2017/10/103600億元約540億ドル
BSA小計(①)約740億ドル
CMIM(②)384億米ドル384億ドル
①+②約1124億ドル

(【出所】各種報道および各国中央銀行ウェブサイト等より著者作成。為替相場はダウジョーンズ等を参照)

米ドルじゃないと役に立たない

ところで、これらのスワップ協定のポイントは、CMIMを除いて、いずれもローカル通貨どうしの交換である、という点にあります。しかし、これらのスワップの中で、実質的にハード・カレンシーとして通用する通貨は豪ドルのみであり、その他の通貨は、そのままでは国際的な市場で全く使い物になりません。このため、韓国がこれらの通貨を引き出しても、米ドルに両替しなければ通貨防衛に使うことなどできないのです。

この点、豪ドルであれば、100億豪ドル(約78.9億米ドル)程度、市場で売却されたとしても、市場に対して大したインパクトはありません。しかし、マレーシアやインドネシアの場合は通貨市場の規模が小さく、市場で150億リンギ、あるいは115兆ルピアが一気に売却されれば、それだけでマレーシアやインドネシアの通貨がドルに対して暴落します。

さらに、米ドルに換算してBSAの約7割(540億ドル)を占めているのが、中国とのスワップ協定です。しかし、高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の配備を巡って中国を激怒させた韓国が、危機の際に、本当に引き出せるという保証などありません。さらに、中国政府がスワップに応じたとしても、貸し出す通貨は米ドルではなく、あくまでも人民元です。韓国銀行が3600億元を借り入れたとしても、その人民元を米ドルに両替することは困難です。

もっとも、中国は共産党がルールを決めている国であるため、政治判断として、中国本土で人民元を米ドルに両替して韓国に貸与するという可能性もなくはありません。しかし、外貨準備不足に陥りつつある中国政府が、韓国のためにそこまで尽力するとは、私には思えないのです。

そうなると、借り入れた人民元を、中国本土外のオフショア市場でハード・カレンシーに両替するという手法が考えられます。しかし、香港市場も大きく見えて、実際にはCNH預金量はせいぜい5000億元程度であり、この市場規模に比べて3600億元はあまりにも大きすぎるため、事実上、両替は困難です。

中韓スワップ協定は今年10月10日に失効する予定ですが、どのみちこのBSAは「張子の虎」なのです。

やっぱり日本とのスワップが一番欲しい!

ちょうど1年前、2016年8月27日に、麻生太郎財務大臣は韓国の財相(当時)の要請を受けて、日韓通貨スワップ協定の再開協議を始めることで合意しました。その後、9月には韓国政府関係者が、「再開される日韓通貨スワップの規模は500億ドル(!)に達するだろう」とする見解をリーク。韓国の経済界では、この「500億ドル日韓スワップ」が独り歩きした格好となっています。

ただ、私はこの「500億ドル規模のスワップ」説には、極めて懐疑的でした。というのも、日本が諸外国と締結しているスワップと比べても、この金額は大きすぎるからです(図表6図表7)。

図表6 日本が諸外国と締結するBSA(未発効分を含む)
相手国契約条件発行日
インドネシア(片方向)日→尼 227.6億ドル2013年12月12日
フィリピン(双方向)日→比 120億ドル(比→日 5億ドル)2014年10月6日
シンガポール(双方向)日→星 30億ドル(星→日 10億ドル)2015年5月21日
タイ(双方向)日→泰 30億ドル(泰→日 30億ドル)2017年5月5日
マレーシア(双方向)日→馬 30億ドル(馬→日 30億ドル)※発効に向けて現在協議中

(【出所】財務省ウェブサイト「アジア諸国との二国間通貨スワップ取極」等より著者作成。いずれも全額を引き出すには、IMFプログラムの存在が必要。なお、上記のうちマレーシアとのスワップ協定は基本合意段階であり、現時点で協定は発効していない)

図表7 日銀が締結する他行との為替スワップ
相手先契約条件契約日
FRBニューヨーク連銀無制限(円と米ドルの交換)2009年4月6日に締結
2013年10月31日常設化
期限は無制限
カナダ銀行(BOC)無制限(円と加ドルの交換)
欧州中央銀行(ECB)無制限(円とユーロの交換)
スイス国民銀行(SNB)無制限(円とフランの交換)
イングランド銀行(BOE)無制限(円とポンドの交換)
豪州準備銀行(RBA)200億豪ドル、1.6兆円2016年3月18日(※)
シンガポール通貨庁(MAS)150億星ドル、1.1兆円2016年11月30日(※)

(【出所】日本銀行『海外中銀との協力』。なお、RBAとの協定は2019年3月17日まで、MASとの協定は2019年11月29日まで)

日本のスワップについて少し補足しておきますと、財務省が締結する通貨スワップ(BSA)と、日銀が締結する為替スワップという2種類のスワップが存在します。

このうち財務省のBSAは原則として米ドル建てで、おそらくその原資は財務省が管轄する、100兆円を優に超える外貨準備であろうと考えられます。これに対し、日銀が締結している為替スワップは、円建てで、米ドル、加ドル、ユーロ、スイス・フラン、英ポンドという5大通貨との間で無制限に行われるものを中心としつつ、豪ドル、シンガポール・ドルについても、限定的ながらスワップラインが設けられています。

(※余談ですが、日本は単独で100兆ドルを超える外貨準備を擁し、他のG6通貨との間で無制限の為替スワップ協定を有しているため、外貨ポジションとしては、現時点で見て、おそらく世界最強の国家です。)

その日本は、確固たる通貨ポジションをバックに、アジア諸国との間でBSAを締結しているのですが、最大のものがフィリピンに対する120億ドルであり、韓国が日本に対して要求していた500億ドルという金額が、いかに常識はずれで厚かましいか、お分かり頂けるでしょう。

もっとも、日本は総領事館前に日本を侮辱する慰安婦像を設置され、慰安婦に関する日韓合意についても破棄されそうになっています。今年1月6日以降、日韓スワップの再開協議は中断されたままですが、ここまでコケにされて日韓スワップを再開するとなれば、私は日本国民の1人として怒りの声を上げたいと思っています。

韓国を待つのはギリシャ型破綻?

正直に申し上げるならば、私は、韓国という国が嫌いです。

自分自身、韓国人の母親を持っているくせに、こんな言い方をするのも変かもしれませんが、しかし、常日頃から日本を侮辱し、日本人の名誉と尊厳を傷つけている連中に、親しみなど感じるはずもありません。

ただ、だからといって、自分の感情を混ぜて、「韓国を待つのは北朝鮮やジンバブエのような未来だ!」などと言い放つのは無責任です。何事も客観的に考察することが必要であり、実際、「好き嫌い」を別として、韓国が世界に冠たる大企業を抱える経済大国であるという事実を忘れてはなりません。

私は、仮に韓国が外貨準備も尽き、為替介入できなくなり、国際通貨基金(IMF)の救済支援を要請する事態になったとしても、さすがに同国が北朝鮮やジンバブエのような経済破綻をするとは考えていません。

北朝鮮型、ジンバブエ型の経済破綻とは、国民が飢え、食うに困り、治安が極度に悪化するような状態です。これに対し、ギリシャ型、アルゼンチン型の経済破綻とは、一見すると国民は平静に暮らしているように見えながら、実は政府が実質的に財政破綻しているような状態です。

おそらく、通貨危機が発生した場合、韓国を待つのは、無秩序型の国家破綻ではなく、まずはギリシャ型の破綻であろうと考えられます。具体的には、IMFが乗り込んできて緊縮財政を行い、サムスンなどの財閥が再び解体される、という流れです。

ただ、もっと長い目で見れば、韓国社会は「北朝鮮」というリスクに直面しなければなりません。韓国社会自体が左傾転覆して北朝鮮に併呑されるのか、米国が北朝鮮攻撃を行い、その後始末を押し付けられるのかはともかく、史上3度目の経済破綻の直後に、世界最貧国レベルの北朝鮮と統一を果たせば、韓国がジンバブエ型の破綻に突入する可能性もゼロではありません。

韓国経済が破綻し、韓国社会が崩壊するという、その日訪れるのを、私は今か今かと楽し…じゃなかった、心配でならない、というのが私の偽らざる気持ちなのかもしれません。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 激辛大好き より:

    呆けた頭に、今日は二日酔いまで加わり、支離滅裂なコメントです。
    今の日韓の外交関係ではスワップ交渉どころか、主要閣僚同士の話し合いさえできない。先ごろ日韓議員連盟の額賀氏が訪韓した折、文大統領は厚かましくも売春婦のことを持ち出した。更に中央日報には日韓合意は破棄すべきかという記事が載り、あたかも安倍総理に問題があるような主張をした。韓国はいつまた日本が駐韓外交官を引上げかねない状況だと分かっていない。河野外相の訪韓が立ち消えたことの重大さをどれだけ認識しているか疑問だ。
    韓国経済は1/4期は高い成長率を示し韓国政府は経済見通しを高めたが、次の期にはすでに失速し始めた。半導体産業の好調が成長率に寄与したが、他の産業は悪化したままだ。失業率は高止まりし、実質平均賃金は明らかに減少している。造船業など構造的な問題だし、自動車産業に見られる硬直した労働組織など韓国経済には根深い悪弊がある。にも拘わらず、歴代政権はこの事態を放置したうえ、去年の韓進海運倒産では事前の策などしてなかった。
    文政権の経済対策は最低賃金の大幅引き上げ、法人税引上げなど企業側の実態を無視して決定した。これでは紡績会社のように韓国から逃げ出す企業が増え、雇用が悪化する。実際の賃金が上昇しないで物価ばかりあがり、失業者が増加してしまったら、いかな韓国人でも文大統領の政策に疑問を持つ。今は韓国民は新政権の期待感だけで酔いしれているが、現状が悪化し続けたままと分かれば夢から覚める。
    私の二日酔いはあと数時間で終わるだろうが、韓国人の頭はこれから痛くなることだろう。

  2. 清明 より:

    中国はTHAAD設置を理由に中韓スワップ協定の延長には応じないでしょうね。
    それに中国自身が外貨の持ち出し制限してる状況で、韓国と巨額なスワップ協定などもう論外です。
    今現在の協定だって、実際に韓国側が人民元の引き出し要請しても中国は応じないでしょう。
    いまの中韓スワップ協定ですら実際は死に体なんです。

    今年の正月明け頃、日韓スワップ協定の是非について韓国側は盛んに報道していました。
    どんな内容かと言えば、
    昨年末基準で外貨準備高は3711億ドルもあるもんね。
    日韓スワップ協定なんてなくてもいいもんね。
    だけど日本がどうしてもというなら協議再開ぐらいしてやってもいいぜ。
    こんな感じでした。
    麻生財務相はこうした韓国側の態度を揶揄して、次のように語っていました。
    「信頼関係で成り立ってますので、約束した話を守られないと貸した金も返ってこない可能性もある。私どもとしては少なくともスワップやるやらないの話で信用関係ができ上がらなくなってきている。難しくなってきている」

    今現在の日韓関係はこの頃より一層悪くなっています。
    ですから韓国側が今になって協定協議を申し入れてきても、慰安婦合意も履行しないんですからお話にもなりません。

    日米中から総スカンされた韓国はユーロに触手を伸ばそうとしています。
    >イランと韓国の間で、80億ユーロのファイナンス契約が締結
    http://parstoday.com/ja/news/iran-i34320

    EU圏相手に80億ユーロ調達ですか、うまくいくといいですが、逆にEUに利用されるだけではないんでしょうか。
    それにイランとのプロジェクトにユーロ起債などしようとすれば、イラン制裁強化に乗り出しているトランプ氏の怒りを買うことになるんじゃないんでしょうか。
    でもまあ、成功を祈る!(わらい

    1. むるむる より:

      すっ凄い良く調べてきましたね。EUって煮ても焼いても食えない連中ですから上手く行くとは到底思えない………まぁ韓国の事だからどうでもいいかファイト!p(^_^)q

      それよりももはや日本人の大半から韓国と韓国人に対する好意的な感情消え去ってるのに、韓流ブーム=韓国・韓国人に対する好意的感情があると勘違いしているのが笑えるww
      日本のドラマや俳優、歌手が詰まらないからメディアのゴリ押しに付き合ってるのであって別に好意的感情無いのにな。

      スワップ待望論そんなに向こうで報道されているんですか?もはや糖質&ストーカーの域だろwww

  3. めがねのおやじ より:

    いつもありがとうございます。中韓のスワップが10月10日期限、延長はほとんど絶望に近いのではないでしょうか。
    私は、今更THAADを撤去すると文が言いだしても、キンペイはじめ中国は信用しないと思います。スワップ延長するなら履行を見届けてから。でも米国も許さないし、もし黙っているなら、本当に南鮮を見限ったということ。戦火を交えるなら、邪魔が減るだけでその方がいいかも。
    中韓のスワップは3,600億元ですか。ドル立てではないですし、700億ドルも出してた日本は世界を知らなすぎ、韓国を甘く見過ぎです。今年の報復宣言で交渉が中断で、ホントに嬉しいです。南鮮の外貨準備高も会計士様の見立てでは、最低なら500億ドル前後、約5兆円。この程度なら、売り浴びせられたら一発でショートしますね。なんか、10月10日が待ち遠しい(笑)。
    徴用工すなわち徴用で金銭は貰ってた土工ですが、安倍首相と文の電話会談で1965年日韓条約で決着済みを双方了解しましたね。仕事が早い!あと今日未明に北が日本海にミサイルを撃ってハラが立ちましたが、2発は失敗、残りも発射後すぐに爆発と、ザマアミロという気分です。南鮮の戦車も「世界一の性能、純韓国製、黒豹」とか言ってましたが、肝心のパワーパックはドイツ製で優秀なのにメンテナンスできず故障だらけ、以後も自国生産不可能とは笑いが止まりません。今日はビールが旨いわ。今から飲もう。失礼しました。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告