ちゃんと仕事をする内閣 外交重視姿勢はまったくブレない

菅義偉官房長官は本日の記者会見で、日本政府が5月25日から28日までの日程でトランプ大統領夫妻を国賓として招待することを決定したと発表しました。皇太子殿下が令和元年5月1日にご即位されたあとで、天皇陛下として初めて初めて迎える外国国家元首が、日本の最も重要な同盟国である米国の大統領であるというのは、実に象徴的です。また、4月、5月、6月と3ヵ月連続で日米首脳会談をすることになるトランプ氏がこれに応じてくれたことも、日米蜜月の象徴でしょう。ただ、メディアがあまり報じていない話題のなかで、「安倍総理の訪欧」という話題は、実は極めて重要です。

トランプ米大統領の国賓訪日

菅義偉(すが・よしひで)内閣官房長官は本日の記者会見で、ドナルド・J・トランプ米大統領が5月25日から来日するなど、外交日程について発表しました。

トランプ米国大統領の来日について(2019/04/19付 首相官邸HPより)

菅長官の発表内容は、次のとおりです。

4月22日~29日:安倍晋三総理大臣の海外出張
  • フランス、イタリア、スロバキア、ベルギー、米国、カナダを訪問する
  • G7議長国のフランスとは、サミットの目指す方向性について議論する
  • イタリアでは安全保障、防衛分野をはじめとする幅広い分野での2国間関係の強化を含め協議する
  • ベルギーでは日EU定期首脳協議を行う
  • 米国とは北朝鮮を含む様々な議題について議論し、日米同盟のきずなを一層強化する
  • カナダとも幅広い部分で協力強化について議論する
  • スロバキアではチェコ・ポーランド・ハンガリーの各国と「V4+日本」首脳会合を開催する
5月25日~28日:トランプ米大統領の国賓訪問
  • 日本政府はトランプ米大統領と令夫人を国賓として招待する
  • ご即位される天皇、皇后両陛下がご会見になるほか宮中晩餐会を開催する

5月下旬にトランプ氏の訪日が実現すれば、令和への改元後初となる外国国家元首の国賓訪日であり、また、ご即位される天皇、皇后両陛下が外国国家元首とご会見になられる初めての機会となります。

当然、即位された天皇陛下にとっても、宮中晩餐会を主催されるのは初めてのことです。

また、トランプ氏の訪日時には、当然、安倍晋三総理大臣との首脳会談も開催されると考えられますが、これが実現すれば、4月の安倍総理の訪米、5月のトランプ氏の国賓訪日、6月の大阪G20首脳会合と、実に3ヵ月連続で開かれる、ということでもあります。

まさに、日米蜜月時代を象徴する出来事といえるでしょう。

欧州訪問に重要な意味がある

ただ、ニューズ・メディアは「令和元年のトランプ氏の訪日」と「3ヵ月連続の日米首脳会談」に強く注目しているようですが、実は、密かに安倍総理の今月下旬の訪欧が非常に重要な意味を帯びています。

今回訪問する国は、フランス、イタリア、ベルギー、スロバキア、米国、カナダの6ヵ国ですが、このうち、前半の欧州4ヵ国には、それぞれの目的があるのです。

まず、フランスは今年のG7首脳会合の議長国です。G7とG20の議長国同士が連携するというのは、それだけで日本の世界に対する存在感を圧倒的に高める効果をもたらしますし、日仏両国は「2+2会合」を開催する当事国でもあります。

相手がエマニュエル・マクロン大統領なのが若干心もとない点ですし、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長の再逮捕に加え、先日のノートルダム大寺院焼失事件を契機にした反政府デモ頻発と政情不安定化局面でもありますが、それでもフランスとの連携は重要です。

次に、イタリアは今まで「2+2会合」を実施したことがない国ですが、いちおうG7構成国でもありますし、菅官房長官は「安全保障面での連携」と明言したとおり、地中海の大国であるイタリアとの連携は、有益でもあります。

とくに、イタリアは現在、地中海から難民が押し寄せてくる最前線でもあるため、日伊両国が治安維持活動などで協力できるとすれば、日本が地中海から航海、インド洋などに至る海路で存在感を高めることができるという意味もあるでしょう。

一方、ベルギーは欧州連合(EU)本部が存在する国であり、ベルギーを訪問国に含めているのは、日・EU連携のための定例的な会議という意味があります。

さらに、スロバキアについては、日本の現職総理大臣としては初の訪問であるとともに、今年は同国、チェコ、ポーランド、ハンガリーの中欧4ヵ国首脳会合(V4会合)がスロバキアで開かれるタイミングでもあります。ロシアに対する牽制上も、中欧との関係を深めることは、非常に重要な意味を持っています。

どうしてメディアが地政学という視点で「安倍訪欧」を議論しないのか、私には不思議でなりません。

中国の習近平国家主席が米中会談を所望?

ところで、トランプ氏の5月末の訪日に関心を示している国があります。

China eyeing Trump’s late May Japan trip for potential Xi summit(米国夏時間2019/04/18(木) 01:55付=日本時間2019/04/18(木) 14:55付 CNBCより)

米CNBCによると、中国政府は現在、トランプ氏の外国訪問の機会を捉えて、習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席との米中首脳会談を実現しようと動いており、その候補として5月の訪日に注目している、と報じています。

この報道自体、菅官房長官が「5月25日から28日」と日程を発表する前の記事ですが、これによれば、中国側の3つの情報源がCNBCに対し、「日本の皇太子殿下が令和元年5月1日にご即位された直後にトランプ氏が訪日すると予想されるタイミングでの首脳会談」と明らかにしたのだそうです。

ただし、いずれの情報源も「現時点では選択肢の1つに過ぎない」としつつ、ホワイトハウス側は「アジアでの米中首脳会談実施という構想は中国側の希望である」、「最終的な会談地は決まっていない」と述べるにとどまった、としています。

もちろん、トランプ氏が訪日後に中国にも足を運ぶ可能性はないわけではありませんし、実際にトランプ氏自身は4月5日時点で中国の劉鶴(りゅう・かく)副首相との会見の際に、訪中して米中首脳会談を開く可能性に言及していたそうです。

ただし、政治アナリストの間では、「米中首脳会談を開くなら、6月下旬の大阪でのG20首脳会合に合わせる方が自然だ」といった見方も強いらしく、「5月末の米中首脳会談」説はもっぱら中国側の一方的希望、といったところが実態に近いのではないでしょうか。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. a4 より:

    安倍訪欧は、中国の一帯一路構想に楔を打ち込む為って記事を何処かで見たような?
    日本はアメリカと連携し、日本が出来る事を遣ってるなと受け取っています。

  2. 韓国在住日本人 より:

     中国だけではなく小生の暮らす国もトランプ大統領の訪問を望んでおります(-_-)

     駄文にて失礼します。

    1. すまないさん より:

      記事更新ありがとうございます。

      イタリアは「一帯一路」の協力に関する覚書を締結してたと思います。
      今回の訪問は、そちらの牽制も含まれていると思います。

      移民、ブレグジット、フランスデモ等で欧州の不安が高まっているので
      そちらの対応も含まれてるのかと推測してます。

      駄文にて失礼します。

    2. すまないさん より:

      韓国在住日本人様
      すみません、投稿がなぜか枝になってしまいました(汗

      お侘びついでですが
      トランプさんよりも金さんの方に来て欲しがってるかもしれないですね
      失礼します。

      1. epicurian より:

        トランプ大統領と金委員長を左右にして、満面の笑みを湛える文大統領の姿が目に浮かびます。
        文大統領は私以上に夢想しているかもしれません。

        しかし、金委員長はドルと支援物資で誘き寄せられたとして、
        文大統領の思惑と、北朝鮮側の動きを米情報機関に悟られずに行うのは困難で、実現しないでしょう。

        仮に鼎談が実現したとして、落としどころはノープラン。
        残るのは最初の記念撮影だけ。
        先の米韓首脳会談と同様。
        撮るだけ結婚式ならぬ撮るだけ首脳会談なんて…

        一方で安倍首相は今月、来月、再来月にトランプ大統領と会談予定。
        一説にはゴルフラウンドを共にするとも。
        対北朝鮮、対中国に関して韓国に何を命令してどう従わせるか、
        そんな超実務的な話が交わされる予感があります。

    3. むるむる より:

      イタリアだけでなくハンガリーも欧州での親中行為で警戒されており、スロバキアでの外交は相当なまでに計算され尽くしていると思われます。
      今回の会談は欧州での親中国の国の切り崩し、またはそれに準ずる何かも入っていると思われていいでしょう。

      唯一の問題点が欧州ではなくアジアです。台湾では総統選における国民党予備選挙に親中派にして習近平との繋がりが深い鴻海(ホンハイ)精密工業の創業者である郭台銘が立候補を表明しました。
      台湾で親中派が再び権力を握ろうものなら中国は米国からの攻勢を凌ぎ切り兼ねません。
      厄介な事になりました。

    4. まとん より:

      >>韓国在住日本人さま
      在韓米軍基地に降りて、兵士を激励してそのまま飛び立ったら
      つまり訪問はするけど入国はせず韓国側と誰も会わなかったら
      このうえないメッセージになるでしょうね。

    5. 韓国在住日本人 より:

       皆様、レス有難うございます。

       もう、何と言うか、実際にトランプ大統領が訪韓したら笑える光景が想像できます。所謂「韓国ウォッチャー」の方がずっと韓国を見続ける理由が良く分かります。これ程予想取りに事が運ぶ国も珍しいですね。
       
       駄文にて失礼します

  3. 心配性のおばさん より:

    >4月22日~29日:安倍晋三総理大臣の海外出張

    うわっ。仕事してますねぇ、安倍総理。近代日本で初めてかも知れません。
    安倍さんとトランプさんの蜜月を評価する向きが多いと思いますが、根拠のない蜜月があるはずがない。とは、思いませんか?
    トランプさんは、おそらく、安倍さんを”使えるやつ”と評価しているのだと思います。アメリカという立場では、打開できない交渉を安倍さんに任せている。
    だから、トランプさんは、「私は(安倍に)利用されている。」がしかし、私も(安倍を)利用しているのだ。という蜜月だと思います。二人は政治家として共犯関係にあるのだと思います。

    悪いことではありません。これは、最強の関係です。安倍さんが企画、提案し、トランプさんが吟味、実施する。この関係は、トランプさんが政治家として、何も持っていなかったから実現したことでもあります。政治家として、何のしがらみも利権ももたないトランプ氏だからできたことです。
    前にも申し上げましたが、私個人は政治家としてのトランプさんを評価しておりません。
    しかし、安倍総理の提案に、忌憚なく耳を傾けることができるアメリカ大統領は、多分、トランプ氏が最初で最後でしょうね。

    1. 権兵衛 より:

      まさにその通りですね。
      私の意見とほぼ一致します。
      トランプ大統領は安倍総理のことを「使えるやつ」とも「利用し、利用される」とも感じているでしょうが、一番の蜜月要因は「信頼できる」という点ではないでしょうか。
      特に一連の安倍総理に対する「もりかけ」騒動と、トランプ大統領に対する「ロシアゲート」などの不毛なキャンペーンに共通する、醜悪低レベルなメディアと戦っているという戦友的な意識もあるのやもしれませんね。そんなナイーブじゃないかな(笑)

  4. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    仕事やってますね〜(笑)安倍内閣総理大臣、また菅官房長官はじめ重要閣僚の皆さんも。外務省は大丈夫か?上の神輿ひっくり返すなよ!

    しかし4〜6月と3回も連続で安倍ートランプ会談が行われるとは、かつての日米首脳では考えられませんでした。

    日本国首相はあまりにも狭量、カネさえ出せばいいっていう感じで、G8サミットでもG7でも、端っこを歩いてましたよ。話が出来ない人ばかり。英語が出来ないという意味以外に、図太さやフトコロの広さがなかった。

    もし、トランプ大統領が民主党のルーピーや空き缶、自民党の宮澤、橋本が相手ならここまで蜜月にはなりません。『日本人は喋ることが嫌いなのか?』『カネさえ出せばいいと思ってんのか?あの東洋的微笑みは、理解出来ない』だったでしょうね。

    よかった〜まともな首相で(笑)。ナニ?韓国に来て欲しいってか?絶対無い!在日にも会わないゾッ!

  5. 胡麻豆腐 より:

    今回の安倍総理の訪欧・訪米で自分が一番気になるのはイタリアです。
    目的は安全保障・防衛面とはっきり打ち出されましたが、イタリアと言えばつい先日中国と一帯一路政策について正式に書面を交わしたというニュースがあったと記憶しています。
    日本人として腹が立つ国は韓国ですが、正直かの国は小物だとも思っていて、一番警戒すべきは中国、次にロシアだと思っています。
    中国がイタリアを切っ掛けに(ついでにドイツも)EUおよびヨーロッパ諸国に覇権を伸ばそうとしている現状での欧州訪問がどのような結果になるのか、作用を及ぼすのか、注目したいと思っています。

    1. 心配性のおばさん より:

      胡麻豆腐様

      アメリカは、ファーウエイ選択の国とは安全保障の情報を共有できない。と強く警告しています。もっともですね。G7の一員(?なぜ??)であるイタリアが中国の一帯一路に加盟したこと、ドイツやイギリスが5Gでファーウエイを選択したこと。これらは、NATOという安全保障の仕組みが瓦解することです。
      安倍さんは、国々を回って、それぞれの可能性と問題点を調査するのでしょうね。警告だけでは動かないことも、別の何かでは、打開できるかもしれない。安倍さんは日本の国益とアメリカの期待を背負って大車輪の働きです。安倍さんは、魔法使いではありませんが、期待してしまいますね。トランプさんやペンスさんのお眼々にも期待のお星さまが浮かんでいそうです。

  6. 非国民 より:

    河野外務大臣も外交をがんばっているね。世襲とかの批判もあるけど、世襲で政治家としての能力が磨かれるのなら世襲もよいと思う。音楽家とかも世襲が多いし。

  7. 実行委員 より:

    卒業式の日の丸・君が代、ILOが「対話を」と通知へ 「朝日新聞」

    入学式や卒業式で国旗掲揚や国歌斉唱に従わない教員が懲戒処分などを受けている問題で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)と国際労働機関(ILO)が近く、日本政府に対して「教員団体と対話し、両者が合意できる規則を検討するよう」、通知することがわかった。
    https://www.asahi.com/articles/ASM4M554NM4MUTIL02Q.html

    ちょっとだけずれてますが、紹介します。国際機関と言うものは、いかにいい加減か。
    日本の利益優先で、頑張っている安倍内閣を頼りにしてます。
    朝日新聞や、(共に)立憲民主党のように、ケチをつけるだけの”日本の敵”よ、恥を知れと言いたいところです。

  8. 匿名 より:

    チャイナとの関係改善って何?何がどう改善したのか知りたいね。尖閣は?東シナ海油田はどうなの?日本人スパイ事件は解決なの?
    韓国に対してやられ放題で何もできない安倍政権・・・。中韓に関しては思考停止外交だよね。
    違うの?

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