徴用工判決を前に:「約束」の意味を理解しない韓国人記者

今後の日韓関係を破滅に追い込みかねない「徴用工訴訟」の判決が本日午後2時以降に予定されています。こうしたなか、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、東京駐在の韓国人記者が執筆した、ある意味で絶望的な記事を紹介しておきたいと思います。というのも、この記事を読めば、韓国人が「国際的な約束」をどうとらえているのか、その考え方の一端に触れることができるからです。

東京駐在韓国人記者の絶望的な記事

当ウェブサイトは「政治経済評論」であり、別に「韓国専門サイト」ではありません。しかし、当ウェブサイトではとくにここ数日、韓国に関する話題を取り上げることが激増しています。

今月初め頃には「旭日旗騒動」などが発生したことに加え、本日夕方には日韓関係を根底から覆しかねない「徴用工訴訟」の判決が控えており、さらに、来月早々には「慰安婦財団」の解散が予定されているなど、日韓関係が破滅に向かって突っ走っている気がしてなりません。

この点、日韓関係を巡り、人々の関心、不安が高まっていることも事実でしょう。実際、私自身が韓国に関する話題を掲載すると、そのような記事の閲覧数が、非常に大きく伸びるからです。

誤解を恐れずに申し上げるなら、別に私は日韓関係の破滅を願っているわけではありません。しかし、本日の中央日報の「ユン・ソルヨン東京特派員」が執筆した、次の記事を読むと、私は思わず絶望的なものを感じてしまいました。

【グローバルアイ】「強制徴用」長期戦、韓国は準備ができているのか(2018年10月30日08時43分付 中央日報日本語版より)

記事の内容が知りたければ、リンク先で直接、全文を確認してください。

ユネスコ事件は「日本の執拗な外交」

ここでは、私の文責で記事を要約してみましょう(※日本語表現については整えています)。

  • 昨年、韓国が日本軍慰安婦被害者関連記録物の世界記憶遺産登録を目指したが、日本は「議論がある事案は当事国間の合意が優先されるべきだ」と主張してこれを阻止した
  • それだけでなく、安倍晋三総理大臣は今月18日、ユネスコのオードレ・アズレ事務局長と会談し、「記憶遺産の審査過程を日本の意に沿うよう変更すること」を「ユネスコの非政治化」と言って励ました
  • こうしたユネスコ改革は、日本がユネスコの最大の出資国という立場にあるだけでなく、日本の執拗な外交戦の一部として実現したという側面がある
  • 翻って文在寅大統領は2日前の16日にアズレ事務局長と会談した際、進行中のユネスコの「改革」については何の言及もなく、慰安婦被害者問題を「戦時の性暴力」という国際問題で扱うという韓国政府の意志が面目を失った

この「ユネスコ世界記憶遺産登録」事件とは、韓国が慰安婦関連資料の世界遺産登録を目指したところ、日本側がこれを阻止した一件です。このとき私は、「日本の外務省もごくたまには仕事をするな」と感心したのですが、日本政府の動きはこれに留まりませんでした。

日本政府はユネスコ分担金支払いの凍結などをチラつかせながら、「議論がある事案は片方の当事国の一方的な主張ではなく、もう片方の当事国の意見も聴くべきだ」という、ごく当たり前のことを主張。これに加えて、そもそも「ユネスコの非政治化」という正論を押し出しています。

こうした日本の主張は極めて真っ当なものですが、中央日報の記事では「日本の言うがままにユネスコ改革が進み、これにより韓国の主張が通らなくなっている」ということに危機感を示しているのです。

(※どうでも良いのですが、そもそも論として、韓国が主張している内容自体がきわめて非常識であり、国際社会の常識に照らしてかなり理不尽であるという点について、一切の言及がない点については、いかがなものかと思います。)

「日本の執拗な外交に負ける」との危機感

そのうえで、リンク先の記事は、

  • 日帝強占期の強制徴用者に対する大法院の判決で原告勝訴の場合、日本は「国際法違反」と反発して国際的な世論戦を繰り広げることが予想される
  • 韓国政府がこれに応じないことが予想されるにもかかわらず、国際司法裁判所(ICJ)提訴を検討することも国際世論戦のための方便で使われる可能性が高い
  • 2015年韓日慰安婦合意が廃棄寸前という点も日本の主張に味方することになるだろう

となどと主張。そのうえで、

韓日請求権協定は締結されて50年以上が経っている。当時、韓国国民のための配慮が不十分で賠償も充分ではなかった。その間に国際人権水準が非常に高まったが、50年余り前の協定ですべて終わったからといって覆ったままにしておくことができないことにも同意する。

と結論付けます。

早い話が「(自分たちは正しい主張をしているのに、)韓国が日本の執拗な外交に負けてしまう」「日韓請求権協定は50年前のものであり、当時とは事情が違うので、再交渉が必要だ」などとする主張です。

この記事を読んで私は、「この記者は東京に駐在していながら、なぜこんな記事を配信してしまうのか」と絶望感を抱いてしまいました。せっかくに日本に駐在しているのですから、きちんと国際法の常識的な感覚を学び、「過去の協定を一方的に破棄することの意味」を、よく考えてみるべきでしょう。

この記事が、韓国の言論界を代表するものではないと信じたいところですが、それでも中央日報は韓国メディアの中でも「保守的なメディア」なのだそうです。その中央日報ですらこんな内容の記事を配信しているくらいですから、言論人レベルでも日韓両国は分かり合える状況ではない可能性は高いといえます。

韓国はいったい何と戦っているのか?

さて、先ほどの記事を読んでいて気付くのは、「国際法を守るのが当たり前だ」という感覚が皆無である、という点です。

以前からの当ウェブサイトの主張を繰り返して恐縮ですが、古今東西、ありとあらゆる国は「軍事的な安全保障」と「経済的な発展」が目的です。難しい言葉でいえば「国益」、わかりやすい言葉でいえば「国民が安心して働き、生活していける環境を作ること」です。

そして、この「国益」に照らして、韓国が本来、いちばん大切にすべき外交相手は米国と日本です。米国は最大の軍事的脅威である北朝鮮などから韓国を守ってくれていますし、日本は貿易や投資を通じて韓国の経済発展を支えてくれているからです。

それなのに、韓国は愚かしいことに、朴槿恵(ぼく・きんけい)政権のように中国との関係を強化しようとしたり、文在寅(ぶん・ざいいん)政権のように北朝鮮に擦り寄ったりしながら、米国や日本を苛立たせようとしています。そのこと自体が間違っていると、いったいなぜ気付かないのでしょうか?

それに、国際的な条約は国と国との取極めであり、約束を守らなければ国際的な信頼を失います。韓国が日本との条約をひっくり返そうとすることは勝手ですが、それをすることによって、日本との関係だけでなく、全世界に対する信頼を失うことになるのですが、どうしてそのことに気付かないのでしょうか?

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ところで、国際的な約束をきちんと誠実に守ることは、実は韓国自身のためになることです。言い換えれば、国際的な約束を破ることは、韓国自身のためにも良くないことです。

繰り返しになりますが、私は別に日韓関係や韓国という国の破滅を心の底から望んでいるわけではありません。しかし、韓国が現在の考え方を改めず、外国との約束を平気で破るような態度を繰り返していると、そのことはやがて韓国自身を滅亡に追い込むことになる、とだけ申し上げておきたいと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 本日2時以後、韓国最高裁判所(だいほういん、だって 笑)の判決が出るそうですが、もし、万が一、原告敗訴か一審支持なら、中央日報の東京支社は、夕方配信ナシじゃないですか(笑)。腹立てて、明日朝、クドクドネチネチ社説で誹謗、非難、挑発する。

    < もし、韓国の原告勝訴なら、即第一報(笑)。『ウリが勝ったニダ!』シツコクやりますヨ。パート3ぐらいまで(笑)。

    < 世界常識に外れた国だけに、どんな幼稚な手を使い、日本を貶めるかもしれない。ま、ある程度、諦観してます。さ、国際法廷に行こかッ(笑)。

  2. shoggoslime より:

    原始的な力の論理を成り立たせるために奇妙な進化をした社会を形成しているみたいですね。格上が常に勝ち続け、格上であり続けるための社会。流動性を極限まで排除していた李氏朝鮮の末裔で継承者という事なんでしょうね。契約とは上位者に強いられる物であり、上位者にとって都合が悪くなれば当然破棄される物なんでしょう。

    信用が非常に強力な武器である事を理解していない、と言うか信用という概念がなくても成立するように進化した社会だから理解できる訳がないんですよね(日本も信用の扱い方が結構下手ですが……)。韓国で信用されようとしたら格下扱いされて使い潰されるだけだから信用を大事にしようと思える訳がありません。

    約束を守るようになったらそれはもう社会・文化が根底から覆ったという事でしょう。それは他国の文化を尊重する現代社会の価値観ではやってはいけない事です。甘くも厳しくもない『普通』の対応をする事が対等な国として相手の文化を尊重する事になると私は思います。

  3. 韓国在住日本人 より:

     韓国は政府も一般市民も約束や時間を守るという意識が皆無です(少なくとも私はそう思います)。
     小生は自炊しており、あるとき飲み屋で女の子が自炊の話を聞き「日本料理が食べたい」と言ってきました。心の中では面倒だと思いつつも、雰囲気の良い店なので「では、来週の土曜日に持ってくるよ」と言い、さらに前日SNSで確認を取り、土曜日の昼から買い出し&料理です。少なくとも4~5人分は作らないといけなかったので作るのも大変ですし、持っていくのも大変でした。店に着いたら知らない女の子がいて、話を聞くと今日は私に料理を頼んだ子がお休みだと言ってました。急遽SNSで連絡したところ「体調が悪くて店に出られない、また今度お願いするから」との返信。「なんで来れないと連絡しないの? また今度はない」と送ると「御免なさい。でもそんなに怒ることないでしょう」と返信がきました。一応料理は他の女の子と客(実はこの店のオーナーで、この時初めてオーナーと知りました)が消費したのですが、二度とその店には行かなくなりました。そしたら、店のオーナーから連絡が入り、彼女はクビにしたのでまた来てくれとのこと・・・。オーナーの意識がそのまま従業員に伝播したと小生は思います。なにせ、このオーナーは自分の店を良いことに、友達を連れてきて、店の女の子に酌をさせています(因みに韓国は女の子が横に座っていい店とダメな店があります。小生はいつもダメな店に行きますので、殆どがカウンター越しか、テーブル席でも対面に座ります。オーナーの場合は女の子を横に座らせています。女の子がオーナーの席に行きたがらないのを見ると、恐らくやりたい放題のようです。)。当然金は払わないので、公私混同も甚だしいこと。これで従業員の規律が保てるとはとても思えません。約束も時間も守れるわけがない。

     駄文にて失礼します

    1. ムイ より:

      >>いつも興味深いお話ありがとうございます。

      >>しかし見事に韓国でのおかげとせい、約束の概念をあらわした良い体験談です。韓国では「約束とは守るものである。ただし自分に都合が悪ければその限りではない」というのが一般的です。韓国在住日本人さんは韓国人がホテルなどの予約を片っ端からとっていくという話は聞いたことはございませんか?あれもこの考え方からくるものではと私は観ています。
      >>因みに約束を守らなかったことをとがめられると今度は文字通り他人のせいにする形で自分の正当性を担保しようとしているのもみてとれますね。韓国では他人のせいにすれば自分への責任が一切発生しなくなると思考する傾向が強いと私は感じております。

       以上勝手ながら考察させていただきました。

      1. 韓国在住日本人 より:

        ムイ様

         ご返信ありがとうございます。
         小生が韓国のホテル関連で不思議に思ったことは、逆に予約を全くとらないことです。出張にしろ旅行にしろ、日本人ならばホテルの確保は重要なことなんですが、韓国国内に至ってはそうではなさそうです。韓国では出張でもモーテル(日本で言えばファッションホテル)に宿泊し、それが経費として認められます。日本なら変な勘繰りをされると思いますが韓国では至って平気です。こういう小生もモーテルのおばちゃんに顔を覚えられました(笑)。料金は安い(3500~6000円程度)し、朝は車で目的地まで送ってくれます。夜中に騒がしいのが問題ですが、それを除けば結構快適です。
         済州島のような観光地は予約が必要なのか分かりませんが、少なくともソウルで宿泊するときは予約したことがありません。

         駄文にて失礼します

  4. 愚塵 より:

    徴用工判決( https://www.sankei.com/world/news/181030/wor1810300035-n1.html )は、韓国人学生の就活に影響するのでしょうか?

    〔参考〕
    http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/11/12/2017111200259.html
    【ソウル聯合ニュース2017/11/12】韓国外交部の趙顕(チョ・ヒョン)第2次官が12日午後、日本を訪れ、就職難に苦しむ韓国の若者の雇用問題を協議する。
    5月の文在寅(ムン・ジェイン)政権発足以来、外交部次官が訪日するのは初めて。趙氏は14日まで滞在し、杉山晋輔外務事務次官や日本財界の関係者らと会談。韓国の若者と日本企業をマッチングするなどして両国が共に利益を得る「ウィンウィン関係」になるための方策を協議する。
    趙氏は杉山氏らとの会談で、韓中日首脳会談開催や韓日間の「シャトル外交」再開、旧日本軍慰安婦問題に関する2015年の韓日合意など、両国関係の懸案についても意見を交わすとみられる。

  5. 卜伝 より:

    韓国語に「約束」と言う言葉が加わったのは日本統治時代、そのまま「ヤクソク」と発音します。それまで朝鮮人にとって「約束」と言う概念自体が無かった訳で、今の韓国人も「約束」の真の意味を理解出来ずにいる。「韓国人と約束する」と言うのは約束が守られる期待を基にするのは間違っていて、第三者に韓国人が約束を果たさなかった事実を証言させる手段でしか無い訳です。

    朝鮮民族は序列意識が高いと言いますが、これは形式的には儒教的ですが他者を真に個人として認める意識が希薄であり、長幼の序がはっきりしない間柄だと言葉の選択が難しい敬語体系を持つ事などが理由でしょう。身内意識をウリ、その外部をナムで表現する「ウリとナム」意識ですが、この場合のウリとは拡張された自己と言える感覚で自他の区別を際限なく無くす対象である為、同輩意識とも異なる。
    更に序列による上位者が下位の者に横暴を働く事に対して心理的ハードルが非常に低い。人間関係の殆どをこの差別的とも言える序列意識で固めている朝鮮民族に「約束」の概念は非常に難しいのだと解釈します。

    「約束」は対等な立場でも上下関係があってもした以上はそれを果たす事が当然と考えるのが日本人でしょう。しかし、朝鮮民族には対等な立場と言うものが真には分からないし、上位にあるものが下位にあるものに「約束」で縛られる意味が分からない、「上位者が後になって不都合だと思ったら一方的に破っても構わないじゃないか、何故なら上位者なんだから」との意識があるように思います。
    今回、大半の日本人が韓国との約束が何の役にも立たないと再確認しましたが、その根本的理由が民族的思考様式にある事も十分拡散されないと時を経てまた日本人が同じ過ちを犯すのではないかと憂慮します。

    韓国は建国の起源をごく一部、日本統治に反抗し中国へ逃げた朝鮮人の設立した上海臨時政府と定めています。憲法自体が反日で始まっており、韓国人の道徳規範では日本は常に韓国より下位でなければならない。そして、韓国がある程度経済発展した事を以て、日本にも十分抗議する事が可能なんだと錯覚してしまった。歴史戦で日本が一方的に折れ続けた事による成功体験も彼らの反日増長を過激化させた。その結果として、あらゆる歴史認識について日本が関わる話では日本が謝罪する事こそ正義であり道徳的であり、それは法律や条約をも超越すべきだ、と認識するに至る。

    面白い事に、韓国が台湾との国交を断絶し中国と国交樹立した直後、韓国内で中国も朝鮮戦争で戦った相手であるんだから謝罪を求めるべきではないかと言う声が上がりました。マスコミが訪韓した中国要人に対して婉曲的に「韓国国民に謝罪すべきで無いのか」と問い掛けましたが、「全て解決済みの話だ」と切り捨てられました。この後、マスコミも政府、野党含めた議員からも中国から謝罪を求めるべきだと言う話は公的に持ち上がった事は有りません。何も得られない状況で被害者ぶっても、自らの弱さを示すだけだと分かっているからです。
    彼らが日本に対して何処までも被害者ぶり道徳を以て訴えて来るのは、それで何かを得られる、得られなければ世界に「我々は憐れむべき被害者なのだ」と情緒に訴える事で日本の立場を悪く出来るし自分は何ら傷付かない、そう考えているからです。

    韓国人とは「約束」をしてはならない。譲歩してはならない。同情してはならない。道義に悖る行為には相応の罰を与えなければならない。
    日本人的感覚では絶対的に分かり合えない事を日本人は肝に銘じる必要が有ります。

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