尊重すべきは「送り手の気持ち」でなく被災地のニーズ
能登半島地震やJAL・海保機の衝突事故に関連し、どうしても追加で指摘しておく必要が出てきました。先般からの記事と内容は重複してしまいますが、こうした重複を厭わず、敢えて本稿では「千羽鶴問題」、「避難所の酒・タバコ問題」、「憶測による事故原因報道問題」の3点について、改めて注意喚起を行っておきたいと思います。
災害支援と憶測報道についての注意喚起
今年は新春から、大変な災害や事故が相次いでいます。
とくに大きなものは1日に能登半島を襲った大地震、そして2日には羽田空港で、その支援物資を積んだ海保機にJAL気が衝突した事故です。前者は『能登半島地震と災害支援の在り方』、後者は『新聞記者、JALに対し「御社の信頼に関わる」と糾弾』でも詳しく取り上げています。
これについては当ウェブサイトで何度となく強調している通り、大災害に際しては「相手から望まれないものを支援物資として送るべきではない」、大事故については「運輸安全委員会の調査報告が出ていない段階で憶測めいた報道をすべきではない」、という鉄則があります。
しかし、予想通り、こうした鉄則を無視するかのように、被災地に妙なものを送ろうとする人は相次いでいるようですし、また、事故原因を巡って憶測記事が相次いでいるようです。
本当に、困った話です。
折り鶴問題で「送り手の気持ち尊重すべき」
とりわけ被災地への支援に関連し、X(旧ツイッター)上で発見したのが、こんな趣旨のポストです。
「ネットの千羽鶴批判みてたらイライラしてきた。折り紙追加購入しよ。受け手の気持ちも大事だが送り手の気持ちも尊重されるべき!/千羽鶴が実用的じゃないのは百も承知。ただ千羽鶴は古くからの日本の文化。それをゴミ呼ばわりするのは違うでしょ?」
「送り手の気持ちを尊重せよ」とは、なかなかに斬新な意見です。
このポストを投稿したユーザーはフォロワー数も少ないようですので、該当するポストのリンクを埋め込んだりするのは控えますが、「ネタ投稿」もしくは「釣り投稿」を疑うようなポストです。
ちなみに以前の『千羽鶴を贈ることは本当に相手のためになるのですか?』などでも詳しく議論したとおり、そもそも千羽鶴を被災地に送りつけるという風習自体、昭和中期から平成期にかけて発生した極めて新しいものであり、「日本の伝統文化」などではありません。
また、百歩譲って千羽鶴自体が「日本の伝統」なのだとしても、千羽鶴自体が被災地でまったく役に立たないどころか、むしろ迷惑になるというというのは、これまでに多くの被災経験者、ボランティア経験者らが証言しているとおりでしょう。
当たり前の話ですが、災害支援において、「送り手の自己満足」は厳に慎まなければなりません。
ただでさえ被災地は道路事情が極端に悪化していて、物流すらも災害対応で混乱しているわけですし、自治体職員や避難所を支えるスタッフの手も限られているわけですから、災害時の貴重なリソースを、何の役にも立たないだけでなく、場所を取るような折り鶴の束で浪費させることは避けなければならないのです。
ちなみに先ほどのポスト主のケースだと、あまりにも批判が殺到したためでしょうか、現在はご本人が返信制限を設けているようです。場合によってはポスト自体が削除されるかもしれません。
「支援物資に酒やタバコがない」→CNが着弾
ただ、さまざまな議論を招いているポストの事例は、これだけではありません。大手新聞記者を経て現在はフリーランス報道記者という人物が、こんな趣旨の内容をポストしたようなのです。
「東日本大震災の取材で津波被災地に2週間ほど滞在していた際、買い出しに行く役を被災者の皆さんから仰せつかった。その際にリクエストが多かったのは『酒』『タバコ』。家や仕事場を津波で失い、高度のストレスにさらされているのに、送られてくる支援物資に酒とタバコは入ってなかった」。
これに対してはXのコミュニティノートで、こんな趣旨の指摘がなされています。
「避難所での飲酒はトラブルの元です。飲酒によって声が大きくなったり、不安を紛らわすためであっても酔いが醒めると余計に陰鬱な気持ちになったりします。また、喫煙についても、分煙が不十分だと副流煙の問題や火災の危険がありますので、災害が起こった直後には避けるべきであると考えられます」。
まったくその通りでしょう。
国立精神・神経医療研究センターの『被災時の飲酒問題』【※PDF】と題したペーパーによると、避難所での飲酒は「心身を害したり、対人関係上のトラブルを招いたりする」と指摘され、飲酒と自殺の関係についても注意喚起がなされています。
これに加えただでさえ場所が限られている避難所で喫煙をすると、それによる失火の危険性が増すほか、非喫煙者とのトラブルに発展する可能性が濃厚です。多くの避難所では原則として飲酒・喫煙が禁じられているのは、ある意味では当然の話でしょう。
読売新聞の憶測に基づく報道
さて、事故報道に関しても同様に、思わず首をかしげるものが多々あります。
新聞業界の「最大手」である読売新聞が配信した次の記事などが、その典型例です。
「滑走路への進入許可」と海保機側が指示取り違えの可能性調査…日航機炎上で運輸安全委
―――2024/01/03 23:13付 Yahoo!ニュースより【読売新聞オンライン配信】
これは、国土交通省が3日に公表したとされる、事故直前の管制官と両機の更新記録に関する記事です。正直、正式の機関による事故調査が完了していない時点で、国土交通省もそんな記録を公表すべきではありませんが、それを報じる方も報じる方です。
読売新聞は「国の運輸安全委員会などは海保機側が管制官の指示を取り違えた可能性も視野に調査する」と報じていますが、このように大手メディアが憶測めいた報道を行うこと自体が事故調査にバイアスを与えかねません。
こうした記事が平気で出て来るあたり、日本のメディアがいかに学習しない組織であるか、という証拠そのものでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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災害報道を見る度に思う事は、被災者そっちのけでインタビューすることは、現地での救助作業の妨げになっているという事。
取材についても、各社各々で派遣するのではなく、共同取材班を作らば良いと感じます。
とにかく、取材より救助作業を最優先して頂きたいとおもいます。
横から失礼します。
共同記者会見が出来るんだから共同取材も出来ますよね。
記者クラブを死守してるんだから共同取材も出来ますよね。
そう思います。
電気を止められても大五郎一本あれば5日間は家に籠城出来そうな気がします。
しかし、水だと思って飲んだ支援物資が大五郎だった時の精神的ダメージは大きいので、被災地向けのアイテムではないことは確かです。
これだけマスコミの信頼性が低下し、毎日の様に何かしら世間から批判されているのに、
彼らの傲慢さはますます悪化するばかりで反省の兆しなど皆無。
やはり「我々は絶対正義、疑う者は許さない」と言う末期カルト状態なんでしょうね。
以前はリストラで人数を減らしていたそうですが、最近は「戻ってきませんか」と
声をかけているそうですから、中の人達の質も数も悪化していくばかりなのでしょう。
千羽鶴自体は1700年代ごろから記録にある伝統的なものなのですが、平和がどうこうとかそういう理由は元々全くありませんでした。
主に長寿祈願目的で長寿の象徴である鶴を折る、程度の流行りものです。
原爆の子の像のモデルになった原爆被爆者の佐々木禎子さんが千羽鶴を折り、自らの白血病の快癒祈願を行ったことが、なんか色々あって千羽鶴イコール平和の象徴となったと言われています。
ちなみにその平和記念公園の原爆の子の像に国内外から届く千羽鶴の焼却処分費用として、毎年約1億円の公費が使われているそうです。
調べる限り、被災地に送るには向いていない、ということが分かっただけでした。
仮に平和祈願だとしても、送りつける意味はあるんですかね。