政府、先端技術を中心にロシアへの輸出制限品目を追加
日本政府は来週以降、ロシアに対する先端技術などの禁輸措置を導入します。これは非常に良い話題です。というのも、ロシア軍の将来的な戦争遂行能力開発を抑制するだけでなく、ロシアに対する心理的な圧迫効果も期待できるからです。ただ、それだけではやはり不十分です。ロシアがウクライナ戦争で敗北したあかつきには、北方領土問題なども包括的に解決できるよう、準備を進めておくべきではないでしょうか。
量子コンピューターや3Dプリンタ等の輸出禁止措置
経済産業省は本日、ロシアに対する新たな輸出許可対象品目を公表しました。
経産省ウェブサイト『ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を実施します(輸出貿易管理令の一部を改正)』によると、政令(輸出貿易管理令)の改正は本日付で公表され、来週・20日から施行されるとのことであり、また、対象品目は次のとおりだそうです。
- 石油精製用の触媒
- 量子計算機その他の量子の特性を利用した装置及びその附属装置並びにこれらの部分品
- 電子顕微鏡、原子間力顕微鏡その他の顕微鏡及びこれらの顕微鏡とともに使用するように設計した装置
- 造形用の装置(3Dプリンター)並びにこれに用いられる粉末状の金属及び金属合金
- 有機発光ダイオード、有機電界効果トランジスター及び有機太陽電池の製造用の装置
- 微小な電気機械システムの製造用の装置
- 水素(太陽光、風力その他の再生可能エネルギーを利用して製造するものに限る。)を原料とする燃料及び変換効率の高い太陽電池の製造用の装置
- 真空ポンプ及び真空計(量子技術関連)
- 極低温用に設計した冷却装置及びその附属装置並びにこれらの部分品(量子技術関連)
- 集積回路から蓋及び封止材料を除去するための装置
- 量子収率の高い光検出器(量子技術関連)
- 工作機械及びその部分品並びに工作機械用の数値制御装置
- 電磁波による探知を困難にする機能を向上させる材料(メタマテリアル)、ほぼ等しい割合の複数の元素で構成された合金(高エントロピー合金)その他の先端的な材料(一部は量子技術関連)
- 導電性高分子、半導電性高分子及び電界発光の性質を有する高分子
…。
影響は微妙だが…
これらの措置の根拠条文が外為法第48条第1項ないし第3項にあるという点を踏まえるならば、経産省が発表した今回の措置は、日本のハイテク製品がロシアによって軍事利用される可能性を低下させることを目的にしているものと考えて良いでしょう。
もちろん、今回の措置がロシアの戦争遂行能力にどの程度の影響を与えるのかについては、よくわかりません。というのも、貿易統計上、今回の禁止対象に含められた製品がロシアに大々的に輸出されていたという事実は確認できないからです。
これに加えて日本政府はすでにロシアに対する半導体製造装置等の禁輸措置に加え、ロシアの銀行、企業、個人などに対する資産凍結措置などを講じており、正直、今回の新たな措置の実効性がどの程度あるのかについては、微妙であるという気がします。
しかし、禁輸措置には「現時点で相手国が依存しているものの流通を止める」だけでなく、「相手国の将来的な軍事的能力開発を抑制・阻止する」という意味もあります。
今回の輸出禁止対象品目は、いわば先端産業の製品であり、とくに日本の優れた技術がロシアによって軍事転用されれば、ロシアの戦争遂行能力を維持・拡大することに利用されかねません。
したがって、対露輸出禁止品目を拡大することは、将来的なロシア軍の能力増強に向けた芽を摘むという意味で重要なのです(あるいは、あらたな「ココム」でしょうか?)。
ロシアに対する心理的圧迫効果の証拠?
これに加え、今回の措置が「大正解」である証拠が、もうひとつあります。いつものとおり、『タス通信』がロシア語版、英語版双方のウェブページにおいて、日本の措置をトップ扱いで大々的に報じていたからです。
Япония запрещает экспорт в Россию высокотехнологичного оборудования, включая 3D-принтеры
―――2022/05/13 10:34付 タス通信より
Japan to prohibit exports of high-tech equipment to Russia
―――2022/05/13 12:53付 タス通信英語版より
タス通信は日本の制裁措置の内容を淡々と取り上げたうえで、(ロシアのウクライナ侵略が始まった)2月24日以降、ロシアやベラルーシ、「ドネツク人民共和国」や「ルガンスク人民共和国」の市民、団体、組織、銀行などに対して経済制裁措置を発動した事実、制裁対象品目などにも言及しています。
先日の『ロシア・タス通信、日本の追加制裁措置を大きく報じる』や『ロシアのメディアで最近、頻繁に登場する国は「日本」』などでも指摘してきたとおり、どうも最近、ロシアのメディアに日本の話題がトップ扱いで登場することが増えています。
うがった見方ですが、「平和憲法」のせいもあり、これまで「どうせ絶対に攻めてこない」とタカをくくっていた相手国である日本が、今回のウクライナ戦争ではむしろ率先してロシアに圧迫をかけてきていることに、ロシアとしても焦りを抱いているのかもしれません。
というよりも、ロシアや旧ソ連は、じつは日本とまともに戦争をして勝ったことがない国でもあります。
もちろん、彼らのなかでは「第二次世界大戦の戦勝国」のつもりですが、南樺太や千島列島、北方領土に関しては、日本から火事場泥棒的に奪った領土であり、また、ソ連がサンフランシスコ講和条約に参加していなかった以上、これらの地域の領有に国際法の根拠がないことを、じつは密かに恐れているフシもあるのです。
いずれにせよ、今回の戦争の直接的な当事者は(ロシアによる宣戦布告がなされていない違法状態であるにせよ)ロシアとウクライナですが、経済制裁の形で、すでに日本も参戦している、という言い方ができます。
参戦した以上は戦勝する必要があります。
そして、今回のウクライナ戦争でロシアが敗北すれば、戦後77年間解決されていない北方領土問題についても、何らかの形で解決のキッカケができるかもしれません。
その意味では、日本政府は西側諸国の一員として、G7や欧州連合(EU)などと歩調を合わせ、ロシアに対し最大限の圧迫を行う必要がありますし、そうする価値は十分にあるのだと言わざるを得ないでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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この輸出禁止措置は完全に正解。
https://news.yahoo.co.jp/articles/dbfc88c5293c91a73471927722b31f22dd46e604
>半導体自国生産のために、今後8年で約4兆円の予算をつぎ込み半導体の地産地消体制を築く。
>技術ロードマップ的には2030年までに28nmプロセスを目指す。短期的には今年末までに90nmプロセスによる生産体制を確保する。
半導体の自国生産を目指すロシアの機先を制する措置といえる。
日本製の部品、素材、装備がなければ半導体生産ができないのは韓国が証明している。
ロシアの半導体自国生産の野望も露と消えることになるだろう。
おそらく中国経由で輸出されるだろうから、対中政策として制限できるこの政策は大当たり
中国は国際社会に目をつけられないようにロシアを援助すると思われるので、対ロシア禁輸を盾に中国の輸出を制限したら良い
あとは無能な岸田ができるかどうか
先日、ロシア外交官8名を追放しましたが、彼らは産業スパイや情報収集を担当していたとの説があります。
外交官追放や今回の輸出制限など、正確さ迅速さで岸田がやったとはとても思えません。米英インテリジェンスの助言があるのではと疑っています。
今後もある程度は期待できそう。
トシさま
的確で慧眼のお見立て
ありがとうございます。
性能があまりに劣る
90nmのチップでは、
ロシア製兵器の
さらなるポンコツ化が
想像できます。
また、
露と消える と 露西亜 を
掛けて見える 文末の一文が
おしゃれです。
今ココマデ日本からの輸入が少ない品目であっても、西(ヨーロッパ)から手に入らなくなれば東(日本)から…というモノも有るかもしれませんしおすし
しかし露国営メディアが報じたとされる”NATO及びその同盟国に包囲される我がロシアの図”に示されたロシア領に「北海道」が入っているくらいですから、露助の領土的野心なり拡大願望なりに我々ももっと警戒心を持つべきなんだけどなァ
これこそが制裁措置、だよなぁ・・・
北方領土サハリン千島列島ですが、戦後独立したサハ共和国との平和条約で返して貰うのは、どうでしょう。
どうせ、戦後ロシアと経済的関係など無理ですから、シベリアはもともと、ロシアと関係ないというていで交渉する方が手っ取り早いかも。
お疲れさまです。
フィンランドのマリン首相が、日本だけのために訪問されたとユーチューブのNHKニュースで知りました。
「ロシアを甘く見てはいけない。出来るだけ早くNATOへの加盟が必要だ。それまでに、ロシアがきたら戦う。」
日本も危機感を持って、憲法改正、出来れば日米安全保障条約を発展してNATOへの加盟出来ないでしょうか?
メドベージェフ、プーチン、人相を見ると中世の魔女裁判当たり前にしそうな顔してる、そんな印象を受けました。
「参戦した以上は戦勝する必要があります。」←あの昼〇灯には参戦した自覚なんて無いと思いますよ、あくまで個人的な感想ですけどね。