日本、中国、ベトナム、韓国の行動を決めた元寇の記憶
安全保障を隣国に丸投げし、支配者が威張り散らす
先週金曜日には、ウェブ評論サイト『デイリー新潮』に、優れた韓国観察者である鈴置高史氏の論考が掲載されていましたが、注目に値する論考は、それだけではありません。『JBプレス』というウェブ評論サイトには、川島博之氏の『モンゴル侵攻の記憶と現代社会』と題した、なかなか興味深い論考が掲載されていました。これをどう読むべきでしょうか。
目次
韓国問題を研究する意義
普段から申し上げているとおり、基本的に当ウェブサイトは「数字とロジックなどを使って金融・経済・国内政治・外交などについて議論する」という位置づけで運営しているつもりです(※それが実践できているかどうかは別問題として)。
そして、当ウェブサイトではこれまで、「韓国ウォッチングの専門サイトである」とも名乗ったことはないはずですし、実際、韓国についてのウォッチンを極めようとも思っていませんし、さらには「文化人類学的な観点から韓国を究明しよう」と思ったこともありません。
ただ、それと同時に、ここ数年、当ウェブサイトでは韓国話題を取り上げる機会が急増していることも事実ですし、現実問題として、韓国、北朝鮮などの朝鮮半島問題を「日本とのかかわりで」議論することは、単なる「コリア・ウォッチング」を越えて「ジャパン・ウォッチング」としての側面もあります。
韓国は現在、「国家として」日本との約束をたがえ、国際法に抵触し、引いては戦後秩序そのものに挑戦しようとしているフシがありますが、これに対し、日本が「国家として」どう取り組むかについては、私たち日本にとって極めて重要なテーマでもあります。
言い方を変えれば、私たちは韓国のふるまいを通じて、じつは日本を眺めているのかもしれません。
文化人類学と韓国
数字とロジックで議論します
もっとも、当ウェブサイトでは、韓国問題を取り上げる際も、基本的には「数字とロジック」という、当ウェブサイトなりの「強み」から大きく逸脱するつもりはありません。
韓国の日本に対するさまざまな行動がもたらす影響を、「事実に基づき、法的、経済的、統計的側面から議論する」という意味では、まさに当ウェブサイトの本領を発揮する分野ですし、おそらく多くの読者の皆さまも、そのような視点を望んでいらっしゃるのでしょう。
たとえば、当ウェブサイト以外、世の中ではほとんど論じられている形跡がない論点のひとつが、自称元徴用工判決問題に関連し、日本製鉄と不二越については差し押さえられている資産が「非上場株式」である、という事実です。
そもそも会社法(旧「商法」会社編)などの初歩的な法知識があれば、「譲渡制限会社の株式が会社の許可なく譲渡されたとしても、当該株式譲渡は会社との関係で効力を生じない」という点は、当然の常識であるはずです。
したがって、当ウェブサイトでは2019年初頭に、自称元徴用工判決に関連して「日本企業の資産差押がなされる」との観測報道が出たころから、一貫して、「どうせ売却できっこない」と申し上げてきましたし、事実、現時点において売却は実現していません。
また、国際与信統計や普通貿易統計などの「数字」を見るのも当ウェブサイトが得意とする点のひとつと自負しているつもりですが、『深まる日台関係:5月の合計貿易高も「台湾>韓国」に』や『日本の金融機関、香港と韓国への与信額が減少傾向に』は、そうした統計分析の「成果」だと考えている次第です。
さらにいえば、韓国との関係を法的・統計的な側面から議論することに慣れておけば、同じ手法は韓国以外との関係についても、そのまま応用が利きます。
最近だと、台湾との関係、中国との関係、米国との関係、ロシアとの関係などに個人的には強い関心がありますが、それだけではありません。これらの「数字とロジック」を使った分析は、国際社会における日本の立ち位置と方向性を見極める訓練にもなるのです。
だからこそ、少なくともこの数年に関しては、テーマが韓国に偏ってしまうのも、仕方がない話だと割り切っている、というわけです。
文化人類学的な研究、少し荷が重いです
ただし、すでに多くの読者の皆さまもお気づきのとおり、当ウェブサイトでは、「文化人類学的に見た韓国の特殊性」あるいは「文化人類学的に見た韓国人の行動原理」などを解き明かす、ということを、これまでほとんどしてきませんでした。
なぜなら、当ウェブサイトの議論の主眼は「数字とロジック」であり、また、ウェブ主「新宿会計士」自身、「金融の専門家」であって、「文化人類学の専門家」ではないからです。
金融専門家だからこそ、統計、経済、外交、産業などの現状分析に強みを持っているつもりですが、逆に、韓国特有の文化、歴史に根差した行動原理などの分析については、正直、非常に弱いというのが、自己認識です。
もちろん、朝鮮半島史に関しても日本との関わりで必要な部分のみ「つまみ食い」的に紹介してきましたが、冷静に考えてみれば、そもそもの朝鮮半島史について詳しく議論した記憶はありませんし、そもそもそんな力量もありません。
これについては、研究テーマとしては興味深いものであることに間違いありませんが、残念ながらこれについて、当ウェブサイトではこれまで深く議論しませんでしたし、今後もすることはないでしょう。
そのりゆうのひとつは、「特定民族の行動原理を解き明かす」ためだけの目的でそれを深く研究するには、費用対効果が悪すぎる、という点にありますが、それだけではありません。
社会のインターネット化が進んだおかげで、優れたコリア・ウォッチャーないし韓国観察者の方々の知見を、彼ら自身のブログ、あるいはウェブ評論サイトなどを通じて知ることができる、という点です。
たとえば、ブロガーのシンシアリーさんを筆頭に、日本に移住され、信頼できる情報を発信される韓国人の方もずいぶんと増えてきた気がします。
また、当ウェブサイトで好んで取り上げているのが、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏の論考であり、とくに日経ビジネスオンラインの『早読み深読み朝鮮半島』シリーズ終了後は、デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』シリーズを愛読している、という次第です。
したがって、個人的な弱点である「文化人類学的側面から韓国を俯瞰する」という行為については、その気になれば、いくらでも補完できてしまう、というわけです。
本当に、良い時代が到来したものです。
ルトワック氏の韓国論
もっとも、ネット時代が本格的に到来するよりも以前から、「なぜ韓国は日本に対し、繰り返し謝罪を要求するのか」という点に焦点を当て、その理由を論じた著作が皆無だったわけではありません。
なぜ韓国が過去にこだわるのかについては、さまざまな論者が議論をしていますが、個人的にもっとも腑に落ちる説明のひとつは、こんな記述です。
「日本の謝罪問題についても一言言っておきたい。日本は韓国に対してすでに十分すぎるほど謝罪したし、これからも謝罪しつづけなければならないだろうが、それらは結局、無駄である。なぜなら韓国がそもそも憎んでいるのは、日本人ではなく、日本の統治に抵抗せずに従った、自分たちの祖父たちだからだ」。
この一文、出所は米国の政治学者で米戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアアドバイザーでもあるエドワード・ルトワック氏のもので、出所は『中国4.0』(文春新書、2016年3月20日第1刷発行)という書籍の129ページ目です(翻訳者は奥山真司氏)。
【参考】『中国4.0』
(【出所】アマゾンアフィリエイトリンクより)
なにより、これ自体、「米国人が執筆した文章である」という点には驚きます。
ときどき、このルトワック氏の文章に対しては、「しょせん彼も米国人だから、アジア人の本質的な違いなど興味を持っていないのではないか」、などの批判(?)も寄せられるようです(というよりも、批判にもなっていませんが…)。
ただ、このルトワック氏の文章の価値は、ルトワック氏が今から5年前の時点でこれを言い当てていたということもさることながら、韓国の国を挙げた行動が「米国人の目から見ても普遍的におかしい」という点を示唆していることにもあります。
きわめて価値が大きい、鈴置氏の韓国論
なぜこんなことをいまさら申し上げるのかといえば、自分自身で執筆した土曜日の『鈴置論考、「日韓の」ではなく「韓国の」特殊性に言及』を読み返し、改めて「韓国という国の特殊性」を強く認識したからです。
ちなみに朝鮮半島問題に関心がある方であれば、鈴置氏の先週金曜日の論考をまだ読んでいないというケースは少ないかもしれませんが、いちおう、原文のリンクを示しておきます。
文在寅が菅首相をストーカーするのはなぜか 「北京五輪説」「米国圧力説」……やはり「監獄回避説」が有力
文在寅(ムン・ジェイン)大統領がこれほど日韓首脳会談に執着するのはなぜか――。根本的な疑問を韓国観察者の鈴置高史氏が読み解く。<<…続きを読む>>
―――2021/07/16付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より
7000文字近くに達する、一般的には「長文」の部類に属する記事ですが、鈴置氏の表現力の高さ、状況判断の的確さ、以前からの主張との首尾一貫性、そしてなにより「読んでいておもしろい」と感じることから、多くの方はあっという間に読了するに違いありません。
それはさておき、この鈴置論考でぜひとも取り上げておきたいのが、次の記述です。
「平気で約束を破り、堂々と他人を裏切る韓国と首脳会談を開こうとする国はまず出てこない。何を取りきめようが、すぐに反故にされるからです。日本と韓国がうまくいかない原因は『日韓関係の特殊性』ではなく『韓国の特殊性』にあるのです」。
先ほどのルトワック氏の発言とともに、切り取って、長く何度も流用したい記述です。
なにより、この鈴置論考の価値、大変に大きいものです。
あらためて指摘しておきますが、韓国や一部の日本のメディアなどが主張する「日韓がうまくいかない原因」を要約すれば、「36年間に及ぶ日帝の悪辣な植民地支配と、それを心から反省も謝罪もしない日本」、ということではないかと思います。
もちろん、これに対して歴史的事実を持ち出して否定するのは簡単です。
たとえば、日本の統治は「(36年間ではなく)35年間」でしたし、また、日本の支配が過酷だったのかと問われれば、現実に日本は朝鮮半島に港湾、道路、鉄道、水道などのさまざまなインフラ設備を整えましたし、朝鮮人には学校教育を施しました。
こうした客観的事実を踏まえるならば、日本の朝鮮支配が同時期の欧州諸国による「植民地統治」などと比較して「悪辣だったとは言えない」という点については、おそらく多くの歴史家も賛同するところでしょう(否定するのは中韓の学者くらいなものでしょうか)。
もちろん、だからといって、私たち日本人の側が、「日本の統治によって文明国に引き上げてやったんだから、感謝しろ」、などと言えるものではありません。
なぜなら、日本の朝鮮半島統治は、純粋に、当時の日本の指導者が「それが日本の国益に資するから」と判断して行ったものであり、その意味では、「朝鮮人のために善意で行われた」のではなく、純粋に「大日本帝国の都合で行われた」と見るのが正しいからです。
というよりも、先ほどのルトワック氏の指摘にもあるとおり、正直、「過去の問題」に関しては、私たち日本の側にできることは、もう何もありません。
歴史に学ぶ論考
ベトナムは米国に謝罪と賠償を要求したのか
これについて、少し視点を変えます。
先ほどのルトワック氏の主張については、その正しさを間接的に証明している、とある「事実」があります。
それは、米国とベトナムの関係です。
じつは、歴史の教科書などの記述によると、ベトナム戦争は明確な宣戦布告などがあったわけではないらしく、このため、正確に「何年何月何日に始まった」という法的な定義は存在しないようですが、「米国のインドシナ紛争への介入」という意味では、1955年ごろに始まったといえます。
その後、米国は南ベトナムを支援し、1960年代には北爆が始まるなど、米国のベトナムへの介入と戦争は泥沼化していくのですが、米国本国での反戦運動の広がりに加え、1975年4月10日のサイゴン陥落により北ベトナムの勝利は決定的となりました。
すなわち、ベトナム戦争は、小国であるはずのベトナムが、ほぼ自力で米軍を追い出した戦争だった、という言い方もできます。
しかも、ベトナムは自由・民主主義国ではありません。外務省ウェブサイトによると、ベトナム共産党が「唯一の合法政党」であり、「社会主義共和国」と記載されています。
韓国の日本に対する強い反発などを見慣れている身からすれば、「抗米戦を勝ち抜き、米国とはまったく異なる共産主義体制を取るベトナムでは、きっと反米感情が極めて強いに違いない」、などと思ってしまいます。
ところが、不思議なことに、「ベトナムで反米感情が強い」とする話は、あまり耳にしません。それどころか、むしろ逆に、ベトナムでは総じて米国に対する感情は悪くない、という説すらよく目にするのです。
たとえば、『幻冬舎GOLD ONLINE』というウェブサイトに2020年2月14日付で掲載された『ベトナムは米国寄り、中国寄り?日本人の「大きな誤解」の真相』というサイトには、こんな記述があります。
「悲惨なベトナム戦争のことが印象に残っている人や、ハリウッド映画を見て、米国兵にベトナム人がいいようにやられてしまっている…というようなイメージを持っている人は、『米国のことをさぞかし憎んでいるだろう』あるいは『表面的にはいい顔をしているが、腹の底では嫌っているのではないか』と思うかもしれないが、実はそうではないようだ」。
同サイトによると、ベトナム人は「極めて柔軟で現実的な思考をする人たち」であり、「『自分たちの生活を向上させる経済的発展のためにどうすればよいか』という視点から、過去のしがらみに捉えられることなく合理的選択のできる人々」だと記載されています。
この記述が正しいかどうかについてはともかくとして、現実にベトナム政府が米国に対し、ベトナム戦争の被害の謝罪や賠償を執拗に要求している、という話はあまり耳にしません。
そういえば、先の大戦で米国と死闘を繰り広げたはずのわが国では、日本政府が(少なくとも公式には)米国に対し、原爆投下や東京大空襲などの戦争に対する謝罪や賠償を求めたという事実はありませんし、米国大使館前で米国に反省と謝罪を迫るデモなどが日常的に行われているという事実もありません。
ではなぜ、日本もベトナムも、米国との戦争で大きな被害を受けたはずなのに、米国に対して謝罪も賠償も求めないのでしょうか。そして、なぜ日本と自力で戦争をしたわけでもない韓国が、日本に対してルサンチマンに近い感情を抱くのかでしょうか。
あるいは、「韓国に対する現実の脅威」であるはずの北朝鮮、「韓国に対し高圧的な国」である中国に対してはほとんど何も抵抗せず、「韓国に対してまったく脅威を与えていない」はずの日本を異様に敵視する姿勢は、韓国の「国家としての首尾一貫性のなさ」の事例でしょう。
川島博之氏、800年前のモンゴルで「神風」を解説
これらについてはじっくり研究してみても面白いテーマかもしれない、などと思う反面、残念ながら、当ウェブサイトとしては、「客観的事実として証明された確たる答え」を持っているわけではありません。
ただ、こうしたなかで、先週金曜日、『JBプレス』というウェブ評論サイトに、こんな論考が掲載されていました。
日本は撃退成功、アジア諸国は「元寇」にどう立ち向かったのか?
―――2021.7.16付 JBプレスより
執筆されたのはベトナム・ビングループのMartial Research & Management 主席経済顧問の川島博之氏です。
ウェブページに換算して4ページ、文字数でいえば2500文字足らずの論考ですが、個人的には大変価値のある論考に思えてなりません。
というのも、13世紀から14世紀にかけてユーラシア大陸を席巻したモンゴル帝国の「驚異的な軍事力とその後の支配」が、800年ほどの年月が流れた現在においてもなお、「恐怖の感情とともにユーラシア大陸にすむ人々の心の奥底に残っている」、とする説だからです。
川島氏は、それを知ることが「現代社会を理解する上で役に立つ」と断言するのですが、その趣旨は、いったい何でしょうか。
最初に指摘するのが、なんと、日本です。
「モンゴルの襲来は『元寇』と呼ばれて『神風』という言葉を生んだ。『元寇』と『神風』にまつわる記憶は、危機に見舞われた時に、神が日本を助けてくれるという思考につながっている」。
「モンゴル軍の襲来を神風が退けた」とする説が歴史的事実に照らして正しいかどうかは問題ではありません。旧日本軍幹部があの「神風特攻隊」を組織したという事実自体、「神風が神州・日本を助けてくれた」が「20世紀になっても日本人の心の中には元寇の記憶が残っていた」証拠でしょう。
中国とベトナムは元朝にどう対抗したか
この川島氏の論考、細かい歴史的事実が正しいのかどうか、それに対する評価がどうなのか、といった部分で気にならない部分がないわけではありません。ただ、考え方の「骨格」の部分は、知的好奇心を刺激するという意味では非常に良い手掛かりでしょう。
実際、川島氏の論考では、日本以外にも興味深い説明がいくつか出てきます。
たとえば、モンゴルに征服された中国では、南宋が首都陥落後もモンゴルに徹底抗戦したことが、南宋滅亡後も「異民族の支配に対して徹底抗戦したという記憶」が中国人の心に残り、実際その100年後の「紅巾の乱」という農民反乱によって元朝の支配を覆している、などと指摘します。
実際、中国は元朝の支配終了後に明朝が成立し、また、清朝の支配終了後に中華民国が成立しています。
個人的には、「異民族の侵入により、中華民族・漢民族自体が入れ替わっているのではないか」という説を見たことがあるため、「元朝と清朝が異民族、明朝と中華民国が漢民族の国家だ」とする説が正しいのかどうかは、正直、この場ではなんとも言えません。
ただし、歴史的事実に照らせば、たしかに見た目は、中国では「異民族が王朝を支配しても、その後は漢民族が自力でその異民族王朝を追放し、自力で国を作っている」という形式はできている、というわけです(さしずめ、現代の中国人の認識する直近の「異民族」は日本、といったところでしょうか)。
さらには、ベトナムについては中国と陸続きであり、3度にわたって元の侵攻を受け、首都・ハノイを占領されるなどしたものの、「森に隠れたゲリラ戦」などのすえに「白藤江(はくとうこう)の戦い」でベトナム側は元軍に全滅に近い損害を与えた、などとしています。
そのうえで川島氏は、次のように指摘しているのです。
「この民族の物語は、小国であるベトナムがなぜ強大な米国に勝利することができたかを考える上で重要である」。
これはこれで、ひとつの説明としては興味深いものです。
日本の「神風」、ベトナムの対米戦争の記述に関しては、(「神風特攻隊」を巡る評価などはさておき)少なくとも歴史的事実を踏まえていることは間違いありません。
朝鮮半島史に照らした韓国論「仲間を裏切る降伏文書」
こうしたなか、本稿とのかかわりで気になるのが、『モンゴルへの降伏で決まった朝鮮半島の「国の形」』と題した節です。
川島氏によると、歴史的に朝鮮半島は付け根が山岳地帯であり、攻めにくいという特徴があるため、歴代の中国の王朝による脅威を何とか防いできたものの、モンゴルはその朝鮮半島にも「深く攻め込んできた」のだそうです。
こうしたなか、当時の高麗王室は江華島(こうかとう)に逃げ込んで抵抗。海の戦いが苦手なモンゴル軍はわずか1.2㎞の水道を渡ることができなかったのだそうです。
ただ、高麗王室は次第に食糧確保が難しくなり、このような状況で「文官グループは、徹底抗戦を叫ぶ武官グループから政権を簒奪して、モンゴルに降伏することを選んだ」のだそうです。そのときに「文官グループが作り上げた降伏文書」が「朝鮮半島の『国の形』を決めた」、というのです。
では、その降伏文書、いったい何が記載されていたのでしょうか。
川島氏の説明は、こうです。
「文官グループは『文官は事大主義を実行しようと思ったが、武官がそれを邪魔したために降伏できなかった』と仲間を裏切るような卑怯な降伏文書を作成してモンゴルに降伏した。そのあり方は、徹底抗戦を叫んで滅んだ南宋とも、元寇を撃退した日本とも異なっていた」。
だからこそ、高麗が滅びたあとに成立した李氏朝鮮においても、「文官が武官の上に立って統治する体制が確立」され、「明や清に徹底的に臣従する政策」を採用したのだ、というのが、「降伏文書が国の在り方を決めた」、という意味でしょう。
川島氏の指摘は、まだ続きます。
「李承朝鮮の支配層は明や清に卑屈な態度で接する一方、国内に対しては徹底的に権威主義的な態度で振る舞った。文官は儒教(朱子学)を振りかざし、屁理屈をコネ回して民衆を支配した」。
つまり、川島氏に言わせれば、「安全保障を隣国に丸投げして、文官が民衆に対して威張り散らす体制」、「(そんな)体制を構築した国は李氏朝鮮くらいだろう」、というわけです(「そんな体制を構築したのが歴史上、李氏朝鮮くらいなもの」なのかどうかについて、ファクトチェックはしていませんが…)。
したがって、「大韓帝国」と名を変え、日本に併合される1910年まで実質的に存続した「李氏朝鮮」の記憶が、現在でも朝鮮半島に住む人々の心の中には「鮮明に残っている」として、川島氏は次のように主張します。
「現代の韓国の政治や外交政策を理解するには、李氏朝鮮を理解する必要がある。時にヒステリックに相手を攻撃し、前言を翻しても平気でいられる体質は李氏朝鮮時代に培われたと考えられるからだ」。
理解よりも対処を
さて、この川島氏の論考、どう受け取るべきでしょうか。
正直、個人的には金融、法令などの「現代社会」に関する知識は他人よりも豊富なつもりですが、歴史に関しては歴史学者ほどの知見もないため、川島氏の議論の正確さを判断するだけの能力はありません。
数百年といえばじつに長い単位に思えますが、その反面、数代遡るくらいで100年や200年の時間など過ぎてしまいます。その意味では、「相手国の行動を理解するためには歴史を学び、研究するのが有効だ」とする説に対しては、そのとおりだと思います。
ただ、あえて気になる部分がないわけではありません。
「相手の歴史に対する深い知見」は、あくまでも「相手の出方を把握し、相手との交渉を有利に運ぶための参考情報」だとは思いますが、だからといってそれを」「理解し、相手に配慮する」という態度では困りものです。
もちろん、川島氏の原文には、「相手はこういう国だから、そこを理解して配慮してあげるべきだ」、などとする主張は一切出て来ません。
ただ、ときとして「相手はこういう歴史的背景を持っているから約束を破るが、相手が約束を破っても寛大な対処が必要だ」、などと換骨奪胎する意見が出ることもあります。
このように考えていくと、やはり相手国が日本に対し、何らかの国際的ルールに逸脱する内容を要求してきた場合には、あくまでも「理解より対処」が鉄則であり、相手を特別視せず、一般的な国際ルールに基づいて対処すべきではないかと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。
元寇もそうですが、李氏朝鮮の運命というか韓国人の二重序列思考に影響しているのは丙子胡乱の対応が大きいと思います。
迎恩門設立のきっかけのイベントです。
以上です。駄文失礼しました。
昨日7/19日の雑談の投稿にチキンサラダさんが紹介されてましたね。
同族民族ですらこの様な状態だったのですから、他国がこの民族を味方にする、付けるなんて事がどんなに酷くとんでもない事になるのか、本当に良く分かります。
すみません。7/18日の間違いです。
ところで 米国から日本を見たら どう見えるでしょう。似たりよったりでは。
FOIPを掲げながら ウイグル非難決議さえ出せない国会。CCP100周年に祝辞を出す国。到底信用ならないと思うのではないでしょうか。
その分、隣国とは違い、QUADを創設し、防衛白書には中国を脅威と位置づけ、大臣クラスでも中国に牽制を行い、かつG7での対中決議には賛成したいた
日本もアメリカが一枚岩じゃないとわかってるように向こうもわかってますよ
2階などは親中派だとアメリカも名指ししていたじゃないですか
と、日本人が思うほど区別はされてないですよ。
一般のアメリカ人は日韓の区別がほとんどついてないですし、米政府の人間でさえ、担当者レベルでも日韓を一緒くたに扱うことは少なくありません。
地理的に近い、見た目が似ているというのもありますが、中国へのおもねり方もアメリカ人からみれば、五十歩百歩なところがあります。
その事に本文で触れられなかったのは残念です。
また、ルトワック氏に関しては、私や龍様のコメントが曲解されたように感じます。
ま、サイト主様の庭で遊ばせて頂いている以上、その辺りをとやかく言うのは野暮かもしれません。
まあ、私が目にするほどの記事だったので、新宿会計士さんが別のルートでご覧になったのかもしれませんし、私も付加価値のあるコメントをつけてなかったですしね。
ルトワック氏に関する見解ですが、これも新宿会計士さんはお二人の見解からインスピレーションを得たにすぎないだけかもしれませんし、もしかすると全然関係ない方がもとになっていたり、やオリジナルの見解を書かれているのかもしれません。
ともあれ、新宿会計士さんの文化人類学的アプローチへのスタンスがわかってよかったです。私の観点では、文化人類学、特に現代の文化人類学はロジックと数字の積み上げなのですが、もともとは金融専門の新宿会計士さんが、文化人類学は守備範囲外だとおっしゃる気持ちもわかります。
阿野煮鱒さんの仰るとおり、我々はこちらで遊ばせていただいている身分です。金融が本来のテーマのサイトでありながら、歴史や文化人類学に興味のある我々の知的好奇心も十二分に刺激していただいています。そのことに感謝しつつ、今後も遊ばせていただきたいと思っています。
『JBプレス』というウェブ評論サイトは、よく「内容がイマイチ」的な感想を書きましたが、川島博之氏の『モンゴル侵攻の記憶と現代社会』、なかなか知的好奇心をそそられます。
朝鮮過去史を紐解いても「仲間を裏切る降伏文書ぐらいしか出て来ません」。情け無い民族です。「理解より対処」その通りです。今の目の前にいるのが、連綿と続いた半島根性なのです。
太平洋戦争中、日本の街はアメリカの空襲によって破壊しつくされた。当時日本の一部だった朝鮮半島は? 実は全く空襲はなく平和だった。米軍は朝鮮半島を空襲していないのだ。
日本人を追い出した時、日本が作った工場その他の施設は丸ごと朝鮮人が手に入れた。
その施設を、自分たちで破壊したのだ。朝鮮戦争によって。これはハルバースタムの「覇者の驕り」に出ている。慰安婦問題で「軍人に拉致された」というのは、朝鮮半島が空襲もなく平和だったら荒唐無稽な主張だとわかるだろう。
「仲間を裏切る降伏文書」が半島の国の形を決めたのかどうかは判断できませんが、「戦うことなく、我先に逃げ出す習性」が半島に根付いていることだけは、確かですね。
朝鮮戦争の際、李承晩は我先に逃げ出し、漢江にかかる橋を爆破して国民を見捨てました。
セウォル号沈没の際に、船長が、客である子供達を見捨てて我先に逃げ出したのは、記憶に新しいですね。
こうした逃亡癖が、韓国内で韓国人を相手に発揮されるだけなら、世界にとってはどうでもいいことです。
しかし、他国へ行っても、この習性を発揮するから問題です。
例えば、ラオスダム決壊の際には、韓国人責任者が真っ先に逃亡しました。
熱海の土石流でも、韓国系の関与が疑われています。関係者は責任を取ることなく、母国へ逃亡するでしょう。
> 理解よりも対処を
「韓国とは関わってはいけない」
当たり前の結論に行き着かざるを得ませんね。
ソーラーパネル会社は韓国系だったのですね。
何故日本のマスコミは逃げ腰なのでしょうか。
どんどん追及すればよいのに。
先日の韓国船籍の船が、日本の船に衝突し
死亡事故を起こしたのに、まるっきり続報が出てこない。
韓国絡みは全てタブーなのか?
マスコミに籍を置く日本人は戦え!と激励したい、です。
いろいろ憶測が飛び交っていますが
会談やるんですかね?
国民は監視しています
内容はすべて公開でお願いしたい
密室交渉は許しません
んん さま
此処で取り上げている小川 博司氏 、タイトルからして気持ち悪い解説をしてます。
>>五輪参加を見返りに、日韓首脳会談の果実を文在寅に与えた日本
コロナ対策だけじゃない、米韓関係改善を見誤った菅政権の大ポカ
2021.7.13(火)小川 博司
私は 公開、密室に係わらず政府はまず来日阻止なのだと思います、其れが出来なかった場合会談ではなく挨拶程度だと理解してます。
モンゴルに敗れた国:中国、朝鮮
モンゴルを撃退した国:ベトナム、日本
なるほど、こういうシンプルな国の分け方もあったんだ。
元寇はモンゴル兵ではなかった。
https://artworks-inter.net/ebook/?p=5233
色んな話があります。
元は典型的な大陸勢力で、優秀な騎馬隊(今でいうなら戦車や戦闘ヘリなど?)保有の陸軍部隊ですから、手下の半島勢力や南宋の海軍・海兵隊に頼るしかなかったのです。
元寇は1回目が半島軍、2回目が半島軍+南宋軍の2方面作戦だったと記憶しています。
現モンゴル海軍※は極一部で大人気ですね。
「戦国自衛隊」ならぬ「元寇モンゴル海軍」が制作されたら、涙無しには観られない苦労話になりそうです。
※概要
所属艦艇:1隻(1800t)
主任務:輸送、観光案内
運営:民営
内輪もめの末、一部勢力が売国的に外勢を引き込むという話であれば、モンゴルー高麗にまで時代を下らなくても、実は高句麗滅亡の時も同様です。隋や唐にあれほど激しく抵抗した高句麗があっさりと滅亡したのは、王位継承時に兄弟が数派に分かれた内輪もめとなり、一部が唐を引き込んで他派を圧倒しようとしたところ、姓名を唐風に替えるなど、より一層唐に迎合した新羅に付け込まれ、高句麗は滅亡に至りました。朝鮮史を見ると、このパターンの繰り返しといっても良いです。
要するに、自力だけでは何一つ問題を解決できず、引き入れた外勢に依存する以外のやり方を知らないのです。もはや、民族的習性と呼んでも差し支えないでしょう。
一方、ベトナムは、それこそ秦漢時代から、中華帝国に抵抗し続けてきた国です。時々敗けて中華帝国に支配された時もありましたが、いずれも自力で独立を回復しています。モンゴルへの抵抗はその中の一コマでしかありません。ベトナム人に言わせれば、朝鮮(韓国)人みたいなヘタレと一緒にするなということになるでしょう。
民族の歴史的な記憶という観点は非常に重要です。日本人から見れば奇想天外支離滅裂にしか見えない韓国人の振る舞いも、その歴史によって培わられてきたものであることは間違いありません。日本においても多少そういう傾向はありますが、韓国人にとっては、ヨーロッパ伝来の「人類普遍の価値観」などというものは、所詮付け焼刃でしかないということを踏まえてコトに当たるべきだと思います。
仰る通りですね。更に、毎度毎度余りに自明の事でいうのは気がひけますが、コリアの動き、文政権の考えや行動、詰まるところは要するに、自身の延命(退任後の入獄回避も勿論含む)、現政権の利益、外ずらをいかに良く見せるかといった諸点を最優先という点です(これも韓国文化の特色に通底するところではありますが)。法の支配、自由、fairnessといった観点は悠か彼方に劣後させて、全くもって平気な国家。この視点でみると全てがクリアー。一方、欠如は極々一般的な常識の致命的な欠如(嘘を平気でつく⇒韓国海軍の火器管制レーダー照射事件での言動等々に典型的にみられる)、責任回避、客観的な見方の回避と常に自己都合優先、感情コントロールが出来ない、常に相対比較でしか物事をみれない、考えられない等々。要するに、国を一人の人間としてみた場合には、なるべくお付き合いしたくない人物という事になりますな。そういえば、2F、緑のたぬきあたりも、自国利益ではなくその底流で常に私的利益を優先(それしかないという貧弱さ..)、という思考パターンがどこかコリアにそっくりのような気がします。
> 「朝鮮人のために善意で行われた」のではなく、純粋に「大日本帝国の都合で行われた」と見るのが正しいからです.
日韓併合前は、当時の日本政府はかなり併合を嫌がったが、朝鮮側の日本になりたい運動でやむなく、というように歴史の流れを見ていると感じます。本国よりも金を掛けて教育、インフラを整えたことだけで、十分ではと。日清戦争後、あらゆる状態がひどかった台湾は、日本に対して嫌がらせのように支那から切り捨てて譲渡されたのですが、当時の日本政府の方針で教育、インフラ整備した結果で今があるように感じます。
日本に抵抗せず支配を受入れた祖先に対する憎しみだ、というルトワック氏の説は間違っていないと思いますが、どの国や民族でも同じようなことになるかと言えば違うと思います。
ここまで歴史を捻じ曲げたり、自分たちの国内でも遡及法を作ってまで同胞を迫害したりするのは「韓国だから」だと思います。
日本の統治が始まるまでの何百年の影響が大きく「日本に抵抗せず支配を受入れた」だけが原因ではなく、うまく言えませんがパンドラの箱を開けた、或いは爆弾に火をつけたようなものかと思います。
中国が親で一番の長男が韓国(朝鮮)で、日本はそれより劣る弟、或いはそれよりもっと下の野蛮人だという考えがあったと思います。昔の朝鮮通信使が来ていた頃から格下のはずの日本の繁栄や都市の大きさ等見て驚きとともに悔しく思ったという話もあるそうです。
そういう長年の積み上げの上に日本の統治があったので、このようになったと思います。
尚、最下層の人は日本の統治で開放されたのでしょうが、支配層に鬱屈があったのではないでしょうか。今では反日教育で殆どが反日になのでしょうが。(反日教育されたからといって海外に出て色々見ても怨念を持ったままなのは韓国人だからでしょうが。)
百年単位の時間が経たないと直らないと思います。
(出展を示さずすいません)
古代日本には野蛮な原始人が住んでいて、朝鮮人が文化を教えてやったという説が韓国人の一般的な考え方。だから仁徳天皇陵は見せないようにしている。
あの巨大な墓を見たら古代日本にはかなり強大な政権があったことがわかってしまうから。
この記事の関連で、月刊Hanadaにおけるルトワック氏の寄稿をご紹介したいと思います
月刊Hanada2019年12月号
エドワード・ルトワック(構成/奥山真司) 韓国よ、歴史の真実に学べ
この論考における彼の主張を簡単にまとめてみます。
ナチス・ドイツに対してほとんど抵抗せずに従った国が二国あり、それはオランダとスウェーデンだった。
戦後、多くの国ではドイツをすでに許していたが、この二国だけは超がつくほどの反ドイツ感情を有していた。彼らはドイツに積極的に協力したからこそ、戦後になって激しい反ドイツ感情に転じた。
韓国と日本の関係も同じ構図で理解できる。戦前、朝鮮人は日本に対して概して服従的だったが、だからこそ逆説的に日本に憎しみを抱いている。
韓国自身が「苦悩に満ちた再評価」、つまり「認めたくない自分の姿を直視」しなければ何も始まらない。
記事にして10ページにも満たないので、是非一読されることをおすすめいたします。
本論考で興味深かったのは、戦後オランダも国民に対して、「我々はナチス・ドイツに大々的に抵抗していた」というウソの教育をしていた(実際にはほとんどなかった)という下りでした。
ようするに現実逃避なんでしょう。
JBPressもついでに、北の元寇も書いてくれたら、もっと良かったです。
北の元寇は、モンゴルが沿海州や黒竜江省辺り迄侵攻したのですが、
参考文献が少なく、歴史本でも、そういう事件があった程度しか触れておりません。
中共の北方民族・アイヌとの関係とか、面白そうな題材なんです。
ユーカラから解るかなと一応読んだ事はありますが、無文字社会の常として
起こった事件が、元寇なのかどうか他との比較が無いから解らないんですよね。
考え方を変えてみました。
韓国人からして…
至るところで垂れ流していいはずなのにトイレでしろと矯正された!
勉強なんてしなくて良かったのに学校なんて作られて勉強させられた!!
俺らの土地に勝手に道や水道を作られた!!
今まで女ともは裸同然だったのに服を着せられて何時でも欲情できなくされた!!!
勝手に鉄道なんて作られて仕事もさせられた!!
中国様の言うことを聞いてたら何も考えなくていいのに頭を使うことを強要された!!
年寄りが早く死ぬ時代たったのなかなか死ななくされた!!
なんて日本という奴らは悪辣なことをするんだ!!
元々文化が無い国に教養、文化を与えようたしたら恨まれるという見本ではないでしょうか?
JBpress誌の川島博之氏の記事は、日頃、愛読しています。常に、今回記事と同様に分量が少なく、論点も絞られていて、非常に読みやすいと感じています。
今回の記事で印象に残ったのは、「モンゴル軍の余りの強さに、ベトナムの皇帝・仁宗が降伏したいと言い出した時、将軍の陳興道が廟議で「降伏するならこの首を切ってからにしてほしい」と皇帝に強く戦いを迫ったシーンは、ベトナム史の名場面として、今もベトナムの人々の間で熱く語り継がれている。」という記述です。
これが朝鮮なら、皇帝が「降伏したい」と言い出せば、将軍は皇帝を出し抜いてモンゴル軍に降伏し、「皇帝は『徹底抗戦すべきだ』という意見でしたが、私は『国の将来を思えば降伏すべきだ』と考えました。」と弁明するのでしょう。
そして、朝鮮では、こうした都合の悪い歴史を書き換えます。
例えば、「元寇」は、高麗国王が150艘の船を作り、フビライ皇帝に「日本への遠征に協力したい」と願い出たというのが真相ですが、韓国の歴史教科書には「元は 、日本を征伐するために軍艦の建造、兵糧の供給、兵士の動員を高麗に強要した」と記述されているそうです。
朝鮮併合時代の大日本帝国による統治、自称元徴用工、自称元日本軍性奴隷なども同様です。
ただ、そういった歴史的理解を踏まえたとしても、韓国政府に対しては「国と国との約束を守れ、国際法を守れ」と言うだけで十分だと思います。
「国と国との約束を守る、国際法を守る」というのは、世界共通のルールで、中国でさえ認めています。認めているからこそ、ハーグ仲裁裁判所の判決を「紙切れだ」と否定するのだと思います。