参院選の隠れたテーマは官僚メディア抜きでの世論形成
官僚とオールドメディアは平気でウソをつく―――。昨今、SNSが発達したことで、官僚とメディアのウソが次々とバレる時代が到来しました。こうしたなかで行われた先日の東京都議会選でも、自民党、公明党、日本共産党といった政党が議席を減らし、また、国政の最大野党である立憲民主党は議席こそ増やしたものの、あれだけ自民に逆風が吹いているなかで大躍進することができませんでした。時代は少しずつ変化しつつあります。今夏の参院選、隠れたテーマは「官僚・メディア抜きでの世論形成」ではないでしょうか。
2025/06/24 16:50追記
本文中の誤植を修正しています(「気になったもので」様のご指摘)。
- (×)「Fラン」などと俗称されるほどきょう行くレベルが低い大学を乱造
- (〇)「Fラン」などと俗称されるほど教育レベルが低い大学を乱造
選挙を通じた社会変革のプロセス
先日の『継続が大事…社会変革のプロセス』では、こんなことを申し上げました。
有権者は選挙のたびに、必ず選挙権を行使すべきである
誰に投票すれば良いかわからないのなら、たとえば▼外交・安全保障、▼憲法改正、▼減税、▼年金制度廃止―――など、自身が重視する各項目について、たとえばそれぞれを10点満点で評価したうえで、「最もマシ」な政党や候補者を選ぶことはできる
日本の有権者のすべてがそのような行動を取れば、日本は間違いなく、有権者が望むような国となる。今回の選挙で有権者の総意に最も近い政党Aが躍進し、最も遠い政党Zが壊滅的に敗北したとすれば、その結果、政党Zは次回の国政選挙に候補を立てられずに消滅するかもしれない
次の国政選挙までに、今回躍進した政党Aの考え方を部分的に真似したBという政党が出現し、Aに加えてこのBが衆院選でそこそこ躍進する一方、有権者の総意からかけ離れたYという政党が壊滅的に敗北するかもしれない
…。
我々有権者が感度を上げるしかない
つまり、選挙を通じて日本を良くするためには、このように、「選挙のたびに、有権者の考えからかけ離れた政党を国政の場から少しずつ、しかし確実に追放していく」ことを繰り返すしかなく、逆に、そのことを通じてしかこの国をより良くしていくことはできないのです。
この点、著者自身の考え方が正しければ、SNSの発達に伴い、これまで有権者の総意を歪めてきたオールドメディアが社会の中心から退場させられ、その社会的影響力の排除が進めば、自然と有権者の考え方に近い政党が躍進していくはずです。
その意味で、私たち有権者は決して希望を失わず、選挙では必ず投票することを繰り返していく必要があるのだ、と申し上げた次第です。
ただ、その前提条件としては、やはり、わが国が現在置かれている状況を正確に把握することが重要でしょう。
では、どうやって?
月並みな言い方かもしれませんが、やはり最も手っ取り早いのは、我々有権者がアンテナを掲げ、社会に対する感度を上げること以外にありません。
日本政府は政府としての役割を果たしているのか
しかし、これについてはべつに難しく考える必要はありません。
そもそも論ですが、国家・政府の役割というものは、古今東西変わりません。それは「私たち国民が平和で豊かに暮らしていけるようにすること」にあります。少し難しい言葉でいえば「外交・安全保障」、「経済」の2本柱、ということです。
ところが、現在の日本政府が、この「外交・安全保障」と「経済」の両面において、果たして完璧な役割を果たしているといえるのでしょうか。
当ウェブサイトで長らくお伝えしてきたとおり、現代日本の問題点の多くは、むしろ国家や政府が作り出しています。
再エネ賦課金制度は電力の安定供給にまったく寄与しないだけでなく、電気代を高止まりさせている。
健康保険制度は年収が高くなると負担が重くなるだけでなく保障内容も薄くなる。
厚生年金制度は現役世代に対し重い負担をもたらしているが、将来の安心を提供していない。
「Fラン」などと俗称されるほど教育レベルが低い大学を乱造し利権化する文部科学省。
わが国の外交上の利益を積極的に損ねる外務省。
そういえば、財務省も政府の単なる一部門でありながら、国家のサイフの入口(国税庁)と出口(主計局)を抱え、さらには巨額の財源(外国為替特快や財政投融資など)を支配し、「おカネ」という面から事実上、わが国を完全に支配していたりします。
その財務省が子飼いの政治家(たとえば自民党の宮沢洋一参議院議員)などを使役し、減税という動きを潰しまくってきたことからもわかるとおり、実際、税負担と歳出の適正化を最も阻んでいるのが財務省という組織でもあるわけです。
こうした観点からは、日本の官庁には大きく、「自分たちの象徴の利権を守るためであればどんなウソをつくことも厭わない」という特徴があるように思えてなりません。
余談ですが、『公務員志願者減少…その背景は?』でも指摘したとおり、最近の若い優秀な人たちはかつてと比べて官僚・公務員を目指さなくなってきたようですが、(これは著者自身の主観ですが)官僚・公務員は今の若い人たちからは尊敬されていないばかりか、むしろ軽蔑されている可能性すらありそうです。
NHKが流した明らかな虚偽情報
ただ、官僚機構にさまざまな問題があることも間違いないのですが、それ以上に問題なのは、メディアでしょう。
日曜日に放送されたNHKの番組で大学教授のとある発言がネット上で大きな話題となっているのです。
NHK『日曜討論』、慶応大教授の消費税巡る発言にSNSでは疑問や非難の声「いつ減税された?」「どこの国に住んでるの」
―――2025/06/22 20:33付 Yahoo!ニュースより【中日スポーツ配信】
『Yahoo!ニュース』に配信された『中日スポーツ』の記事によると、22日午前9時から放送されたNHKの『日曜討論』という番組に出演した大学教授(※記事中では実名)が、こんな内容を述べたのだそうです。
「消費税は一度下げると次、元に戻すのに相当なエネルギーがかかるっていうのは、私たちもう経験していることなので」
…。
はて?
消費税・地方消費税は、過去に1度でも引き下げられたことがあるのでしょうか?
みずから「公共放送」を名乗るNHKの電波で流れたわけですから、こうしたウソを訂正する必要はないのでしょうか?
謎です。
都議選では昔ながらの政党が苦戦した
ただ、この「消費税」云々の発言は論外として、社会のSNS化により、「増税派」「減税否定派」らによるこの手の虚偽主張が証拠付きで盛大にバレ始めていることは間違いありません。
正直、新聞やテレビに代表されるオールドメディアが、官僚機構や御用学者などと結託し、少々いい加減な情報を垂れ流し過ぎたのではないでしょうか。
『OSINT時代の世論形成は「役所とマスコミ抜き」で』でも報告したとおり、おそらく今後のわが国では、SNSなどネットを通じて、政治、経済などの活発な議論が取り交わされ、それにより徐々に世論形成が行われる、といった社会モデルに移行していくものと考えられます。
それが良い、悪いという話ではありません。
おそらく事実として、オールドメディアが世論を動かす力はすでに失われており、これが今後戻る可能性はありません。そうなると、「官僚が作ったプロパガンダ」、「それを垂れ流すオールドメディア」の存在を前提とした政党は、今後、順次姿を消していくことになるでしょう。
日曜日の都議選で自民党、日本共産党、公明党といった昔ながらの政党が議席を減らしたこともさることながら、最大野党である立憲民主党は多少議席を増やしたにせよ、自民党に逆風が吹いているにも関わらず、チャンスをものにできずに大躍進に失敗したことなどは印象的です。
いずれにせよ、来月は参議院議員通常選挙が実施されます。
選挙の告示日以降、当ウェブサイトでは参院選の話題をできるだけ控えたいと思っていますが、少なくとも現時点においては、政権与党である自公両党が合計して50議席という「過半数維持ライン」をクリアするのは非常に微妙な情勢、というのが個人的な感覚です。
実際、世の中のSNSのインフルエンサーや各種ウェブサイトなどを眺めていると、どの候補者・どの政党に投票すべきかを、理由とともに人々に呼びかけるケースも散見されます(少なくとも当ウェブサイト側から読者の皆さまに対し、具体的にどこの政党に投票してほしい、などと依頼する予定はありませんが…)。
ただ、今夏の参院選の「隠れたテーマ」とは、「官僚・メディア抜きでの世論形成」ではないでしょうか。
このように考えていくと、「官僚とマスコミ抜きでの世論形成」がすでに始まっている可能性が高いことについては、指摘しておく価値はあると思う次第です。
本文は以上です。
金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
読者コメント欄はこのあとに続きます(コメントに当たって著名人等を呼び捨てにするなどのものは禁止します)。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。
読者コメント一覧
※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。
やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。
※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。
※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。
当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。また、著名人などを呼び捨てにするなどのコメントも控えてください。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。
KN へ返信する コメントをキャンセル
【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
| 自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
![]() | 日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |




次の参議院選挙で、官僚メディア抜きでの世論形成されたとオールドメディア自身が認めたら、オールドメディア自身も歴史的選挙であると認めざるをえないのではないでしょうか。
最終的には、
「有権者の考えからかけ離れた官僚機構を少しずつ、しかし確実に追放していく」までいく必要があるんでしょうけど、まあ時間はかかりそうですね。
最近メディアが選挙の出口調査や票読みを誤るのは、メディアの力が弱まった証左の1つではないかと思います。今までであれば「このくらいの世論誘導をすればこのくらいの票が動く」と言うような変数があったのではないかと。シランケド
今回の都議会選挙では、期日前投票の会場に三社来ていて、それぞれ熱心にアンケートを取ってましたよ。
前々回の総選挙では、18歳の成人が初めて投票できる歴史的な日だったと思うのですが、1社だけ出口調査に来てた某公共放送の腕章を着けた若い男はスマホをさわってるだけで全く仕事をしてませんでした。
(その結果、忘れられない大失態の集団誤報が発生)
それに比べたら人数は改善。
アンケート手法もタブレット上でラジオスイッチを選択する式で、たぶんオンラインでFORMS集計がされてる感じ。
アルバイト仲間なのか、某公共放送のオバサンは、僕が回答を終えたら少し離れた出口で待ち構えてた朝日のオバサンを、
「ちょっとちょっと」
と呼び寄せて、僕に二回目の回答を促すくらいに仕事熱心でした。
(もしかして回答一件いくらの歩合制?)
肌感覚としては、今回は真面目に調査してたようですね。
真面目に分析したのかどうかは知りませんが。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d8bd13c57137c1931499eb5ed926c1786ca4df17
米が防衛費3.5%要求、日本は2プラス2会合見送り 英紙報道
この記事などを見ても石破政権の対米交渉は行き詰まっているようです。
2プラス2は日米間の外交軍事の最重要協議であり、今の時期にこれを拒否するというのは
7月9日期限のトランプ関税引き上げ交渉に大きな悪影響を及ぼすと予想されます。
「世界的に問題山積のいま、これ以上外交を混乱させるべきでない」と石破おろしに消極的な
意見が見られますが、私には石破政権にはこの重責に耐える能力が無いように思えます。
サイト主のおっしゃるように有権者各個人のOSINTが必須とされる時代になったようです。
>「Fラン」などと俗称されるほどきょう行くレベルが低い大学を乱造
些細なことですが、共感を呼んでいるフレーズにわざわざ面白いことを言わなくても。
おわ!妙な誤植や!これは恥ずかしい‼️
あとでしれっとサイレント修正しよっと。
私は消費税減税りも同額の給付金がいい。 二人で4万円。向こう1年生きてる保証ないからね。
国民がそれを示すには今の岸破増税政権を全否定しないとなりませんね。