数字で見た「現在の日本がアルゼンチン化しない理由」
「このまま円安が続けば日本は大変なことになる。アルゼンチン化するのも時間の問題だ」――。正直、この手の文章を読むだけで、執筆した人物が日本の産業構造をろくに調べていないことが明らかです。日本はたしかに現在、貿易赤字状態ですが、これは「川下産業」が日本で絶滅状態にあるのに加え、石油等の輸入が激増しているからです。しかし、日本では産業構造として「川上産業」が依然として強みを持っているという事実は、貿易統計を読むだけでも明らかでしょう。
目次
円安と円高の効果
自分の知っていることだけで経済を論じる人たち
以前から当ウェブサイトでは、「日本は製造大国である」、と報告してきました。
しかし、こんなことを書くと、条件反射でしょうか、必ずこう反応する人が出てきます。
「何を言っているんだ。日本はもう製造大国じゃない。海外旅行に出かけて見かける日本製品といえば自動車くらいなもので、家電もスマホもPCも、世界で売れているものは日本製じゃない。それどころか日本は毎年巨額の貿易赤字を垂れ流している輸入大国だ。円安で日本もお終いだ」――。
このあたり、意外と「経済記者」と名乗っている方も、こうした認識を示しているケースがあります。
もちろん、「経済記者」と名乗るのに資格など要りません。印象と思い込みだけで勝手に「日本お終い論」を書いたとしても、それが大手ウェブ評論サイトに掲載されれば、ずいぶんと多くのページビュー(PV)を稼ぐこともできる、というわけです。
ただ、この「日本は製造大国じゃない」、「日本は輸入国・貿易赤字国に転落した」、「もう日本はお終いだ」論は、わかりやすいうえに、悲観論が大好きな日本の一部メディアからは好んで取り上げられるテーマなのですが、やはり基礎的な部分でかなりの事実誤認が含まれています。
私たち人間の悪い癖は、何かを考察する際に、どうしても自分たちの身の回りの事象を見て、それで「こうだ」と決めつけてしまいがちである、という点にあります。
いちいち例を挙げませんが、かつては一般消費財だったものが、いまや産業用素材として莫大な売上をもたらしているというケースも往々にしてある話でしょう。経済ジャーナリストなどと名乗りながら、産業や金融の実態も知らないという事例は、わりと多いのです。
円安は経済にどういう影響を与えるのか?
しかし、当ウェブサイトでいつも強調している通り、何らかの経済事象を見る時には、多少面倒くさくても、可能な限り正確な「理論」をもとに、「現実の数字」を使って検証すべきです。
まずは、「理論」の部分です。
「円安で日本はお終い」論もこれとまったく同じで、円安(または円高)には、日本経済にとって良い影響と悪い影響を同時にもたらすのですが、問題は「現在の日本経済の構造に照らし、良い影響と悪い影響、どちらの方が大きな影響をもたらすか」、という点にあります。
いつも当ウェブサイトで取り上げている、円高と円安のメリット・デメリットをまとめた図表を少しだけアップデートしたうえで再掲しておきましょう(図表1)。
図表1 円高・円安のメリット・デメリット
©新宿会計士の政治経済評論/出所を示したうえでの引用・転載は自由
円安は輸出に良い影響を与える
図中、「◎」は良い影響、「×」は悪い影響を意味します。
円高、円安には、大きく(1)フロー面と(2)ストック面の影響があり、このうち「日本が世界最大の債権国である」といった点はおもに(2)ストック面に関わってくるものですが(そしてこの論点もとても重要ですが)、本稿では敢えて(1)のフロー面の議論、とりわけ貿易の論点に焦点を絞ってみます。
(1)フロー面の主なものとしては、①輸出競争力、②輸入購買力、③輸入代替効果、という3つが挙げられますが(ほかにも④日本人が海外旅行に行き易い/行き辛い、⑤外国人が日本旅行に行き易い/行き辛い、など)、やはり重要なものは①の輸出競争力でしょう。
たとえば、1ドル=50円の時代だと、日本国内で100万円で売られている自動車は、(為替ヘッジ活動、輸送コスト、関税、販促ディスカウントなどの議論を一切無視すれば)海外では2万ドルで売られることになるはずです。
ところが、1ドル=100円の時代になれば、日本国内で100万円の自動車は1万ドルになり、1ドル=200円の時代になれば、この自動車の価格はたった5,000ドルに下がります。
自動車の品質はまったく変わらないのに、為替レートが1ドル=50円→100円→200円に変わるだけで、値段が2万ドル→1万ドル→5,000ドル、とどんどん安くなるのです。
現実の為替レートはここまで極端なものではありませんが、それでも1ドル=110円の時代と、1ドル=140円の時代だと、ドル建てで表示した際の日本の製品、サービスの価格は、ずいぶん安くなるはずです。
私たち日本人にとっては、自分たちの国の製品やサービスが買い叩かれているような錯覚を覚えるかもしれませんが(実際、某ポータルサイトの読者コメントでは「日本が買いたたかれている」といった苦情を見かけることもあります)、輸出という面で見たら、円安はシンプルに良い効果をもたらします。
輸入品価格は上がるが…「輸入代替効果」で潤う
一方で、日本は「輸入大国」(?)でもあります。
先ほどの「1ドル=50円→100円→200円」の設例を使うと、同じ議論は輸入にも成り立ちますが、経済効果はプラスマイナス逆転します。
たとえば石油1バレル100ドルだったと仮定して、1ドル=50円ならば、石油1バレルの価格は5,000円です。しかし、これが1ドル=100円になれば、石油1バレルは1万円ちょうどとなり、1ドル=200円の時代になれば、石油を1バレル買うのに2万円(つまり1ドル=50円時代と比べ4倍)が必要です。
輸入面だけで見ると、円高は好ましく、円安は非常に悪い影響を日本経済に与える、ということです。
ただし、ここで多くの人が見落とすのが、「輸入代替効果」です。
これは、円安が長続きした場合、国産品で代替可能な場合は輸入品ではなく国産品の需要が伸びて来るという経済現象で、たとえば円安の時代が続けば、腕時計だ、自動車だといった製品も、外国製品ではなく国産品がよく売れるようになります。
つまり、円安は短期的には輸入品物価を押し上げることを通じ、日本経済に打撃を与えるのですが、もし日本国内で輸入代替効果が働くという状況にあれば、長い目で見て円安が輸入に与える悪影響をかなりの程度減殺することができるのです。
こうした点を考慮することなく、「日本は輸入大国だ」、「円安と原油高で貿易赤字が拡大している」、「(だから)日本はもうお終いだ」、といった短絡的な議論、恥ずかしいので止めた方が良いと個人的には思います(※もっとも、財務省植民地と噂される自称某経済新聞を筆頭に、「悪い円安論」は根強いようですが…)。
現実の日本の貿易構造
短期的に円安メリットは出辛い面もある
では、現実問題として、日本で輸出産業がメリットを受ける可能性は、どの程度あるのでしょうか。
輸入代替効果は働くのでしょうか。
じつは、これに関しては「短期的」「長期的」という視点がとても重要です。
結論からいえば、「短期的には」輸出競争力が飛躍的に上昇したり、輸入代替効果が働いたりすることは、かつてほどは期待できません。冒頭でも引用したとおり、実際のところ、現在の日本の産業は、自動車を除けば、「最終製品」をあまり輸出していないからです。
いわゆる「失われた30年」を通じ、日本企業は最終製品の製造拠点を、ずいぶんと中国に移してしまいましたので、日本国内では「最終製品」をさほど作っておらず、「川下産業」がかなり廃れてしまっていることは事実でしょう。
しかし、「失われた30年」を通じた円高にもかかわらず、日本にはいわゆる「川上産業」が残っており、この「川上産業」こそが製造立国としての日本を支えてきたのです。そのことを「数字」で理解する、という観点で、最も使い勝手が良いデータのひとつといえば、やはり貿易統計でしょう。
日本の輸出品目は中間素材や生産設備が中心
これについて、かなり包括的に説明可能な図表を、ようやく完成させることができました。それが図表2です。
図表2 日本の輸出品目(2023年1月~10月累計)
(【出所】財務省税関『普通貿易統計(全国分・概況品別国別表・輸出』データより作成)
この図表、ずいぶん前から作りたかったのですが、少し時間ができたので作成してみたら、思いのほか手間取ったものの、それなりにわかりやすいものができたのではないかと思います。
貿易統計の「概況品別国別表」は、輸出入品目を10の大きなカテゴリーに分類しているのですが、このうち「植物性油脂」だの、「飲料及びたばこ」だの、「食料品及び動物」だのといった項目が日本の輸出高全体に占める割合は、実際のところ、決して大きくありません。
日本の輸出高の6割近くを占めているのは「機械類及び輸送用機器」であり、うち自動車だけで13兆8306億円、全体の16.78%を占めていることがわかります。
ただし、輸出品目の中で「最終製品」と呼べるものは、この「自動車」を除けば決して多くなく、「半導体等電子部品」、「自動車の部分品」、「半導体製造装置」、「原動機」、「電気回路等の機器」など、おもに一般消費者向けではなく産業向けの製品、中間素材などが多いことがわかります。
また、2位の「原料別製品」も「鉄鋼のフラットロール製品」、「銅及び同合金」、3位の「化学製品」も「有機化合物」、「無機化合物」、5位の「雑製品」も「科学光学機器」、といった具合に、どちらかというとほかの国の産業に投入される素材、部品、生産装置などが中心であることがわかります。
川上産業が残る日本
たとえば、高度に産業化された昨今において、半導体の重要性は高まることはあっても下がることはありませんから、半導体を作るための装置や素材に対する需要もしっかりと残ることが予想されます。
また、すでに台湾の半導体メーカーが日本の熊本県内に大規模な工場を建設しているなど、半導体分野では徐々に「川下産業」が戻りつつあるのですが、これも日本の「川上産業」が残っていたからこそ、「川下産業」を迎え入れることができた、と考えることもできます。
逆はなかなかに困難です。
もし日本に「川上産業」がなかったとしたら、日本のように成熟し切った先進国に「川下産業」が進出してくるということも考え辛いところです。これが、「短期的には円安メリットを十分に生かせるとは限らないが、円安が長期化したら日本にも輸出競争力の上昇と輸入代替効果が生じて来る可能性が高い」、の意味です。
もちろん、現在の日本には労働力不足という問題があるのに加え、円安がいつまで続くかわからないという不安定要因もあります(たとえば先週末は久しぶりに1ドル=145円割れの水準にまで円高となっています)。
しかし、少なくとも巷間の「円安悲観論」が、日本の産業構造に照らして正しくないことは、こうした輸出品目別分解で見ても明らかでしょう。
輸入品は「最終製品」や石油など
こうしたなかで、図表2と同じものを、輸入についても作成してみましょう(図表3)。
図表3 日本の輸入品目(2023年1月~10月累計)
(【出所】財務省税関『普通貿易統計(全国分・概況品別国別表・輸入』データより作成)
私たちは新聞、テレビなどオールドメディアからの刷り込みもあってか、「日本は食料輸入国だ」、「日本の輸入品目は食料が多いに違いない」、などと思い込んでいるフシがありますが、現実に食料は輸入高全体の10%にも達しません。
これは、意外な発見でしょう。
そして、輸入面でも意外なことに、トップを占めているのは「機械類及び輸送用機器」で、こちらは金額としては25兆7919億円、日本の輸入全体に占める構成割合は28.35%です。
ただ、「半導体等電子部品」を除けば、輸入品目の多くは「完成品」「最終製品」です。たとえば「通信機」(スマートフォンなど)、「事務用機器」(PCやその周辺機器)、「自動車」(外車でしょうか?)、「音響・映像機器(含部品)」、といった具合でしょう。
一方で輸入品目の3位には雑製品(とくに衣類など)が入っており、トータルの金額は10兆1863億円で全体の11.20%を占めていますが、これも典型的な「川下産業」製品でしょう。
当たり前ですが日本国内に川上産業・川上工程が残っていますので、川下産業部分が戻ってくることは、非常にたやすい話です。条件さえ合えば、これらの製造拠点はいつでも日本に戻せるでしょう(実際、一部の企業が製造拠点を日本に戻しつつあるようです)。
また、輸入品目の2位を占めているのは「鉱物性燃料」で、これだけで22兆3725億円、割合は24.59%です。この費目は残念ながら、輸入代替効果が働きません。日本は国内のエネルギー需要を賄えるだけの十分な鉱物性燃料を国内で産出することができないからです。
理論と現実の数字が何より重要
原発停止がなければ日本の貿易赤字体質もなかった
ただ、エネルギーの輸入を将来的に減らすことはできます。
いうまでもなく、原発の再稼働と新増設を進めることがその第一歩です。
歴史に「IF」はありませんが、もしも2009年の民主党への政権交代が発生しておらず、したがって2011年の福島第一原発事故も発生していなかったとすれば、石油・天然ガス・石炭の輸入量は現在ほど多くなかったはずであり、したがって、日本も貿易赤字国に転落していなかった可能性が濃厚です。
「政権交代し、一度やらせてみる」が、いかに大きな誤りだったか。
悔やまれてなりません。
さて、以上の議論は、日本が依然として強力な製造立国であるという事実を、「データで」確認したというものですが、何のことはありません。
現在の日本は、産業のサプライチェーンを国内で完結させず、安価な(あるいは「かつては安価だった」)労働力を持つ中国や東南アジアなどに広げているだけの話です。それが「素材・部品・装備」の輸出と「最終製品の輸入」に繋がっているだけの話でしょう。
資産効果
ただ、日本の場合、話はここに留まりません。
「資産効果」、すなわち先ほどの図表1でいうところの「ストック面」についても、無視しえないプラスの影響をもたらします。
本稿では詳しく触れませんが、じつは現在の日本は金融産業が極めて強く、国際決済銀行(BIS)の国際与信統計などで見ても、日本の金融機関は世界最大の債権者だったりします。
たとえば『日本は8年連続で「世界最大の債権国」=BISデータ』でも説明したとおり、国際決済銀行(BIS)の最新の『国際与信統計』に基づけば、日本の金融機関の対外与信(※最終リスクベース、2023年6月末時点)は4兆6459億ドルであり、米国の4兆4368億ドルを抑えて世界最大です。
国際与信統計上、日本が英国を抜いて世界最大の債権者に浮上したのは2015年9月のことでしたので、それ以来、じつに32四半期(≒約8年)連続して日本が世界最大の債権国としての地位を守っている格好です。
当然、海外向けの投融資から得られる受取利息配当金は日本の経常収支黒字を押し上げますし、これらの受取利息配当金のなかには金融機関の投融資だけでなく、非金融法人の海外子会社からの配当金なども相当数含まれていると考えられます。
「日本のアルゼンチン化」は相当恥ずかしい主張
この状況で「日本のアルゼンチン化」(『「円はアルゼンチン、トルコと同類」=欧州銀レポート』、『アルゼンチンは日本にとって間違いなく「他人事」です』等参照)などとのたまっている論者の方々は、完全な調査不足と断じざるを得ません。
ちゃんとした証拠を積み上げていけば、現在の日本とアルゼンチンが置かれた状況があまりにも違い過ぎることは一目瞭然でしょう(図表4)。
図表4 日本vsアルゼンチン
項目 | 日本・日本円 | アルゼンチン・ペソ |
外貨準備高(2023年10月) | 1.238兆ドル | 451.2億ドル |
対外債権(2023年6月末) | 4兆6459億ドル | 不明 |
決済通貨SWIFTランキング(2023年10月) | ユーロ圏込みで4位 ユーロ圏除外で4位 | 不明 |
外貨準備組入れ通貨 | 3位(2023年6月末) | 不明 |
政策金利 | ▲0.1% | 133% |
(【出所】当ウェブサイト作成)
自国通貨である日本円が世界的にも深く信頼されている日本、通貨制度自体が実質崩壊の危機にあるアルゼンチン。
やっとデフレ脱却が端緒についたばかりの日本とインフレ率が高すぎて経済がなかば崩壊状態にあるアルゼンチン。
逆にいったいなにをどうやれば日本がアルゼンチン化するのか、是非とも理論的に聞いてみたいところではありますが、おそらく自称経済記者の方々は取材不足、調査不足のため、いや、そもそもの知識不足のため、このあたりのメカニズムをロジカルに整合することはできないのでしょう。
証拠もなしに「日本のアルゼンチン化」などと主張するのは、相当に恥ずかしい話です。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
さて、著者自身も不肖ながら、最近、わりと頻繁に『Yahoo!ニュース』などをチェックするようになったのですが、「悪い円安論」者の皆様の論考を拝読していても、「なぜ円安が悪いのか」をロジカルかつ数値的整合性をもって説明しているという事例には出会ったことがありません。
読者の皆さまにもお願いがあります。
もし「円安は日本経済にとって総合的に悪い影響をもたらす」と主張する、説得力のある論考を見かけたならば、当ウェブサイトにご一報くださると幸いです。
(おそらく見つけることはできない、とは思いますが…。)
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
>歴史に「IF」はありませんが、もしも2009年の民主党への政権交代が発生しておらず、したがって2011年の福島第一原発事故も発生していなかったとすれば、石油・天然ガス・石炭の輸入量は現在ほど多くなかったはずであり、したがって、日本も貿易赤字国に転落していなかった可能性が濃厚です。
その場合に庶民の暮らしにどんな影響が出ていたのかとなると、電気代やガス代、ガソリン代が低く抑えられ、手元に残るお金が若干増えていたのかなぁと。
雇用が更に良かった場合、人手不足が更に進んでいて、移民受け入れに積極的になっていたのかも。
安倍晋三氏が日本の戦後外交を終わらせて戦前外交に進める事がifの世界でも出来たのか、どうなんでしょうね?
その場合は、更なる円高により日本の輸出産業に更なるダメージが入っていたことは確実と思います。3.11当時、大震災にもかかわらず大きく円高に振れたことは記憶に新しいかと思いますが、原発が止まらずエネルギー輸入の赤字が少なければ、円は更に値上がりしていたでしょう。結局、輸出入の金額がトントンになるように為替は進むのですから、原発が止まった結果の円安で、電力会社に入っていた黒字が製造業にふりまかれた、という見方もできます。
*円高なら「悪い円高」。円安なら「悪い円安」。
検証能力の不足を想像力で補って『特定の読者』に向けた記事を書いているのでしょう。
自らの主観のままに書き殴るのなら、ジャーナリストではなく、「エッセイスト」ですね。
>歴史に「IF」はありませんが、もしも2009年の民主党への政権交代が発生しておらず、したがって2011年の福島第一原発事故も発生していなかったとすれば、石油・天然ガス・石炭の輸入量は現在ほど多くなかったはずであり、したがって、日本も貿易赤字国に転落していなかった可能性が濃厚です。
この文章だと、「民主党への政権交代が発生したことが理由で、福島第一原発事故が発生した」ように読めるのですが、果たしてそうなのかな?という気もいたします。
1Fは発電機の設置場所が海抜の低い場所に設置されていたなど、津波に弱い立地になっておりましたので、自公政権下であったとしても、あの規模の地震が発生してあの規模の津波を食らったら、やはり1Fは事故を起こしてたんじゃないか、という気がしています。
(もっとも、2Fはちゃんと冷温停止まで持ち込んでいますので、もしかしたら1Fも対処の仕方次第で事故に至らずに済んだ可能性もあったのかな?とも思いますが、実際のところはよく知りません。)
ただし、1Fの事故が発生した後、当時の菅直人総理による強力な「原発ゼロ」イニシアティブにより、当時のエネルギー基本計画がご破算にされ、浜岡原子力発電所に対する法的根拠が全くない原発稼働停止要請が行われたことを契機として、全国の原発が軒並み稼働停止に追い込まれ、原発再稼働の議論がその後約10年にわたって実質的に封印されてしまったことは、「日本の石油・天然ガス・石炭の輸入量が爆増し、日本が貿易赤字国に転落した」ことの最大の原因であり、理由であると、自分は考えております。
自分はこのことを理由として、菅直人が史上最悪の総理大臣だと考えておりますが、見方を変えれば、「菅直人は『原発ゼロ』という強力な志を持っており、かつ、それを実現させる実務能力もあった」ということもできるかと思います。
政治家が「志」と「実務能力」を持つことは重要なことだと思いますが、自分は、これを「量」だけでなく「方向性」を含めたもの、すなわち「ベクトル」として考える必要があるのではないかと思っております。10年前の「菅直人禍」は、強い志と実務能力が間違った方向に発揮されたが故に発生した災厄であると、自分は捉えております。
この「菅直人禍」を振り返るにつけ、自公政権下に戻った後の、強い志と実務能力が適正な方向に発揮された安倍政権と、その功績を着実に継承した菅義偉政権の存在が、日本にとって本当に僥倖であったなぁと心より感謝するとともに、志も実務能力もろくに備わらないまま方向性も定まらず、安倍政権や菅義偉政権の功績をご破算にしながら迷走している岸田政権に対し、深い失望感を抱いている次第であります。
ま、日本の場合、政策金利をあげれば、円安は収まるので、
指摘の記事のようにはなり得ないわけですが。
民主党政権の円高のように、制御できない状況ではないんだよなぁ。
毎度、ばかばかしいお話しを。
アルゼンチン:「鳩山民主党政権を選んだ日本に、アルゼンチンの新大統領のことを言われたくない」
もし、再び日本に年越し派遣村ができれば、立憲政権(?)ができるのでしょうか。
今の輸出産業の多くは海外生産になってます。部品もキーパーツ以外は海外です。ドルベースで年間計画を立ててドルで取引をしているので、実はドル円の為替が安定しついれば影響は少ないです。為替が上がったり下がったりするので、ドル円換算する特に差益や差損が出るだけです。経営者としては、乱高下するのが困るだけで円高円安は関係なかったりします。
でも日本で勤務する従業員は円安になると、ドルベースの給与がダイレクトに下がります。日本人の給与も為替に連動して上げてくれたら良いんですがね。この辺の話は、グローバルな輸出企業で働いた事のない人は良くわからないかも知れません。知ってる事でしか語れませんからね。
国の予算は翌年1年分のカネの使い道を計画することだが130%のインフレはどのように織り込むのだろうか。頻繁に補正予算を組むのだろうか。
ハイパーインフレの国では建設工事の契約はできないと聞いたことがある。渡しただけの金額の工事をやっておしまい。続きは次にカネが渡されるまでやらない。
昨日の『アルゼンチンは日本にとって間違いなく「他人事」です』に続いての、日本経済の行方をアルゼンチンのそれと重ねる議論の愚かさを指摘する記事ですね。少し前には、ドイツ銀行の調査部門が出したレポートに、日本円の状況をアルゼンチンペソ、トルコリラと同一視する記載が為されたことに対して、同様の批判をされていました。
昨日の記事で採り上げ批判されていた、「現代ビジネス」誌掲載の経済アナリストの小出 フィッシャー 美奈氏の論考。読んでみた全体の印象としては、ドイツ銀行のレポートほどブッ飛んだものとは感じられませんでした。その大部分はアルゼンチンの経済状況がなぜここまでひどいことになってしまったのか、またミレイ次期大統領が掲げる政府機構の縮小、さらにその極めつけとして中央銀行の廃止と自国通貨を米ドルに転換など。果たしてそんな奇想天外な再建策が、有効なのかの議論に当てられています。
『財政・金融コントロール不能―日本への教訓』と銘打った末尾の節も、日本の経済状況にアルゼンチンを思わせるヤバい欠陥があると書いているわけではないようです。はっきりと違う点は明記されています。ただ、「いつかは」日本経済も同じ途を辿らないとも限らないとは言っている。そこが「教訓」に該当するはなしなんでしょう。でも、「いつかは」って・・・
We (Japan) shall become ruined
We shall become ruined
We shall become ruined someday
Oh1 deep, in my heart
I do believe
We shall become ruined someday
そりゃ、単なる可能性でというなら、「いつかは起こることもあり得る」はアリでしょう。ただ、現今の経済状況下、蓋然性でいうならジョーン・バエズの元歌通り、We shall overcome という方が遥かに筋が通ってるように思えるんですが。
バブル崩壊の後、日本経済がこのまま衰退を続け、やがては途上国並みに、なんて経済記事を、やたらに目にするようになりました。世態の表層をなぞっているだけで事足れりとするような、お手軽な雑文で糊口を凌いでいる評論家程度なら、無理もなかろうというところかも知れませんが、その後の推移で日本経済がもつ地力が徐々に本来の姿を現し、再び経済を拡大基調に乗せていったことが明らかになった今に至るも、やれ貿易赤字だ、やれ円安だと、ケチを付けるタネが見つかるたびに、判を押したが如き日本衰退論が一向跡を絶たないのはどういうわけなのか。そこのところがどうにも理解に苦しみます。
この小出氏の論考なんかは、中ではマシな部類に属するんじゃないかとは思います。彼女の経歴を見ると、元フジテレビのアナウンサー。やがて放送記者に転じ、政治、外交畑を担当、その後米国に留学してMBAを取得して、投資業界に転職、米国大手投資運用会社などで日本株のアナリストやポートフォリオマネジャーを務める、等々の紹介があります。おそらく彼女の立場では、諸種の経済指標を読み、如何に効率的に日銭を稼ぐかを探るのが最大の関心事。どうでも良いはずはないでしょうが、日本経済のファンダメンタルズの分析などは、二の次といったところではないのかと、失礼ながら勘ぐってしまいました。
ところで、この論考の中にひとつ面白い記述を見つけました。ノーベル経済学賞を受賞したサイモン・クズネッツの言葉の紹介ですが、
>世界には4つの国しかない。先進国、発展途上国、そして日本とアルゼンチンだ。
というもの。20世紀以降に限っての話でしょうが、発展途上国から先進国にのし上がったのが日本。逆に先進国から途上国に転落したのがアルゼンチンということなんでしょう。もちろんこういう言葉は、論者が主張のエッセンスを強調せんがために、過度にものごとを単純化して言ってるわけで、着実に先進国の段階まで上り詰めたのが、世界中で独り日本だけということはないでしょう。それでも日本の経済が、世界的に見てかなり特異な性格のものであることは、間違いないような気がします。それが何に起因するかと言えば、日本人がもつ「民力」社会の「地力」とでも表現するしかない、何者かだと、わたしは考えています。
「民力、地力」など数量化が困難な言葉に頼って論を進めるのは、それこそエビデンスは? の反論に遭うのは必定でしょう。しかし、そうしたものの存在を全く認めず、何を目的にか、只管に日本ダメダメを吹聴するのもまた、空想論、トンデモ説に陥るだけだと思うのです。小出氏の場合はクズネッツの言葉を、日本の今の先進国の立ち位置は「指定席」に非ず、油断すれば元の木阿弥という警告の意味で引用されているのですが。
対外債務を払うカネがなくなるというような韓国やギリシャ型の破綻は日本にはこないだろう。理由はいまでも経常黒字を維持して大きな外貨準備をもっているから。
ただしいつまで赤字国債を発行し続けて予算編成できるかはわからない。
いつか限界が来るはずだがそれを「いつ」と言える人はいまのところいない。
今は氷の張った湖を「まだまだいける」と言って沖へと進んで行っている最中だが
だんだん引っ張てる荷物が重くなってきた(予算が大きくなってきた)
そのうち「ミシミシ音がしたけど聞こえた?」次に「なんか氷の下が見えるようになってきたけど」
そこで引き返さないとドボンということになる。
三菱UFJが国債のプライマリーディーラーを返上したというニュースが数年前にあったが、あれは何を意味しているのか。金融のことに詳しくはないのだが、私の理解は:
プライマリーディーラーは国が国債を発行する際一定金額を引き受ける義務があるらしい。
銀行は株主資本と預金というリソースを使って貸付を行ったり債券に投資したりしている。
大切なリソースを利の薄い国債に投資させられるのはカンベン願うということではないか。
江戸時代の日本は発展途上国だったのか?
先進国とは何か?
日本は西欧的価値観、物差しでは計ることが難しい国かも知れません。
中国が狙うのは正にこれ「川上」
世界から研究者を呼び寄せ金をバラマク
国内には超富裕層と極貧層がいるから「川上」と「川下」が存在しても問題なし。
共産主義国家(システムとして独裁の指導部)だからなんとでも出来る。
でも文化である組織(国家)を信じない国民性がどこまで理解しているかな
アルゼンチン化論…アルゼン進化論?
うーん、イマイチ。
日本のアルゼンチン化という意見を初めて聞いたのは、
渡辺千賀氏のブログだったかと記憶しております。
当時それを読んで思い浮かべたのは、第二次世界大戦の帝国陸軍の崩壊プロセスでした。
その組織自体が当面の敵と戦場にマッチしたものかどうかを誰も考えなかった。
その組織の運営の仕方だけで対処できる間は問題はないが、
組織そのものの中身を変えて対処しなければならない場合は、
結局は壊滅するまで同じやり方を繰り返しながら、
それ以外は方法がないという状態になってしまうと。
何だかんだで、我々国民は地獄の行進を30年も強いられ続けてきましたが、
もし小渕内閣や安倍内閣がなかったらと思うとゾッとします。
[渡辺千賀]テクノロジー・ベンチャー・シリコンバレーの暮らし
日本の未来は明るい
(冒頭に元記事のリンク「日本はもう立ち直れないと思う」有り)
https://chikawatanabe.com/2019/08/21/brighter-future-of-japan/