ながらスマホに危険運転適用検討…自転車等規制も急げ

産経ニュースによると、政府は現在、スマートフォンを使用した「ながら運転」に対し、危険運転致死傷罪の適用対象とすることを検討しているのだそうです。今までそれが対象になっていなかったということも新鮮な衝撃ですが、それだけではありません。最近の道路上では、免許なしに運転可能な電動キックボードや電動アシスト自転車などの「暴走」も問題となっているからです。

危険な電動キックボードが野放しに!

当ウェブサイトでしばしば取り上げるとおり、著者自身は最近の交通マナーに関し、いろいろといいたいことがありますが、その最たるものといえば自転車の規制でしょう。

以前の『今さらの「電動キックボード取締強化」より必要なこと』でも取り上げたとおり、著者自身は生活者のひとりとして、最近の道路交通法の改正で電動キックボードが「免許なし、ヘルメットなし」で報道、車道を好きに走れるようになったことを危惧している次第です。

もちろん、すべての電動キックボードが免許なしで運転可能というわけではなく、「最高速度20㎞以下」などの条件を満たしていることが必要ですが、それでも東京都内などで最近、急に増えている電動キックボードの運転ぶりを見ていると、ひやひやすることが多々あります。

歩道でお年寄りや小さな子供を電動キックボードがすり抜けていく様子には困惑しますし、また、車道を逆走している電動キックボードを見かけたことも、1度や2度ではありません。

いちど電動キックボードとバイクの運転者が言い争いをしているのを見たことがあるのですが、これは電動キックボード側が車道を右側通行していて、バイクとぶつかりそうになり、電動キックボード側がバイク側に文句をつけていたものです。

交通ルールを知らない運転者が野放しになっているというのは、本当におそろしいものです。

自転車もたいがい危ない

ただ、「ろくに交通ルールを知らないのに車道を我が物顔で運転する」という意味では、自転車もたいがいです。とりわけ、電動アシスト付き自転車の場合、かつてと比べて非常に早く走れて便利である反面、事故を起こす確率も高いのです。

最近だと、たとえば先週の『「クルマの追い抜きやヨコ入りの攻防戦」をどう見るか』の前半部分でも取り上げた、こんな事例がありました。

  • 片道一車線の道路を走る自転車を、クルマが追い抜こうとする
  • 自転車は追い抜かれまいとして速度を上げるとともに、クルマに「抜くな」と叫ぶ
  • しかしクルマは黄色線をまたいで自転車を追い抜いていく
  • 自転車はそのクルマに追い付き、その場で警察を呼び、警察官に免許取り消しを要求
  • しかし警察官からは、クルマの側に交通違反はないとの説明があった
  • 納得がいかない自転車の運転手はX(旧ツイッター)に動画をアップロードした

…。

これについては自転車に追い付いたクルマが黄色のセンターラインを右側にはみ出して自転車を追い抜いたことが「道交法違反である」、「いや、道交法違反ではない」、といった点もさることながら、ネット上ではそもそも自転車の側の運転に深刻な問題があったのではないか、といった点で議論が盛り上がっていたようです。

たしかに、自転車も軽車両とはいえ「車両」ですから、この場合、追い付かれたら可能な限り左側に寄って後続「車」に道を譲る義務がある、とするのが一般的な解釈です。

その意味では、むしろ動画をアップロードした自転車ドライバーの方に、何らかの問題がなかったのか、気になるところです。

まだまだあるぞ、危険運転!

ほかにも、著者自身(あるいはその知り合い)が目撃した・人づてに聞いたなど、直接・間接に知る事例としては、こんなものがあります。

  • 最近話題のフード・デリバリー業者が自転車でスマートフォンを見ながら歩道を高速走行し(※明らかに時速は20㎞以上出ているケースもある)、歩行者をすり抜けていく
  • 幹線道路側の信号が赤になり、幹線道路を横断する生活道路側の歩行者用信号が青になり、歩行者が横断歩道を渡り始めているのに、幹線道路側を走行していた電動キックボードや自転車が信号を無視して通り過ぎていく
  • 幹線道路の車道部分を自転車が逆走してくる

…。

どれも大変に危険です。

もちろん、自転車や電動キックボードの側としても、言いたいことは多々あることでしょう。

とくに幹線道路だと、自転車専用のはずのレーンを走ると、かなり高い確率でそのレーン上に路駐している自動車が出現します。なかには、明らかな駐停車禁止帯上で堂々と駐車し、自動車を離れているドライバーもいます。

こうした違法な路駐自動車を避けるために、自転車や電動キックボードが大幅に車道の右側を通行せざるを得ないことも多く、なかには自動車とぶつかりそうになっているという事例も見かけます。

結局のところ、交通ルールが存在しても、人々がそれを守らなければ意味はありませんし、また、交通ルールを破った場合のペナルティが適切に実施されていないことも大きな問題でしょう。

産経「ながらスマホに危険運転適用検討」

こうしたなかで、産経ニュースに土曜日、少し気になる記事が掲載されていました。

<独自>スマホながら運転も危険運転 政府検討、自民が提言

―――2023/12/09 16:52付 産経ニュースより

産経によると、政府が現在、いわゆる「危険運転致死傷罪」を適用する要件の緩和を検討していることが判明した、としています。具体的には、スマートフォンを操作しながらの運転も「危険運転」として厳罰化を検討していることなどを、複数の政府関係者が明らかにしたのだそうです。

正直、「ながらスマホ」が今まで「危険運転致死傷罪」の対象とならなかったことに驚く人も多いような気はします。

ただ、この「ながらスマホ」での運転が危険であるという意味では、自動車のみならず、自転車、電動キックボードにもまったく同じことがいえます。

やはり、以前から当ウェブサイトにてときどき言及している通り、厳罰化もさることながら、道路交通法規の徹底は大切です。

運転講習制度を創設してほしい

そこで考えられるのが、運転免許制度に準じた「運転講習制度」の創設です。

これは、たとえば小学校高学年以上ならばだれでも無料で受講可能な、「運転免許証を持たない人向けに、道路交通法規の理解を促す目的での講習会」などを実施し、その講習会を受講して修了した人を対象に、「運転講習受講済み証」を交付する、といった仕組みです。

電動アシスト自転車や電動キックボードを運転するためには、この「運転講習受講済み証」の取得を必須とし、これを持たないで電動アシスト自転車や電動キックボードを運転した場合には、無免許運転と同じ扱いにしてしまう、というわけです。

また、この「運転講習受講済み証」を持たせることで、通常の運転免許制度と同じような反則切符制度などを運用することもできるようになるはずです。

つまり、「電動キックボードで逆走した」、「電動アシスト自転車を運転しながらスマートフォンを操作した」といった事例があれば、容赦なく摘発し、反則点を与え、違反が累積した場合には免許停止・免許取消に準じて受講済み証を無効にする、といった措置も考えられます。

こうした道路上の安全を守る試みは、一見すると地味ですが、じつは大変に重要です。

スマートフォンの危険運転致傷罪対象化を検討するならば、電動キックボード問題や暴走自転車問題にも、是非とも目を向けてもらいたいと思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. タナカコーヒー@うまく変換出来ない。 より:

    スマホ運転はヤメてほしいですね。
    自動車はモチロンですが、自転車の歩道でのスマホ運転(自動車にぶつかるのは、自業自得の自己責任、相手の自動車が気の毒ですが)ブツカッたら転倒、骨折します。骨折したら、ワタシのような老人は(きっと)寝たきりになってしまいます。
    私は外向きの人間です。外の空気が吸えないなんて、耐えられない。

    1. サムライアベンジャー より:

      ホbト、やめて欲しいですべ。

      ながらスマホしたいほどの、どんなアプリを使っているのでしょうか。

      ガイジンもスマホ好きですよね。あいつら、でかい声でしゃべって、そんなに話すことがあるんですかね。母国語が好きなら、とっとと帰国すればいいのにとか思っちゃいます。

      1. サムライアベンジャー より:

        目が霞む副作用のある薬の服用後だったので、誤字のある投稿、すみませんでした。

  2. 生え際 より:

    無料講習、とてもいい案だと思います。
    すこしだけ現実的にどう実施するかを考えてみました。

    例えばどこが実施するのか。
    無料で行うと考えた場合、まず思い浮かぶのは警察署ですが、警察官の人数も限られているため、利用者が増えてきた場合は受け入れられなくなります。
    元々の業務が減るわけでもないため、受講者の数次第ではありますが運転免許の更新の待ち時間を考えるとキャパシティオーバーは意外と早いと思われます。

    では運転免許試験場ではどうか、と考えますと、これもまた難しいものと思われます。
    何故かといいますと、そこまで行くための足です。
    運転免許試験場は各都道府県に最低一つはありますが、学生が講習を受けるためにそこまで行くことができるかが問題です。
    親が送迎するのが現実的だとは思いますが、その場合は休日などに講習を行えないと参加が不可能な家庭もあるのではないでしょうか。
    そして運転免許試験場の多くは学科、技能、適性の試験も平日しか実施していないのです。

    自動車教習所で行うのは、企業ですから無料で実施という時点で不可能です。

    そうなると一番現実的なのは、各学校での講習になります。
    現在も大抵行われている、交通安全教室の内容を拡張する形での実施であれば、場所も取らずどこかへ行く必要もないので親の負担も増えません。

    ただし、学校の行事の一環となるために、受講する生徒の真剣さは確実に足りなくなると思いますが。

    こんな感じでちょろっと考えてみましたが、社会人はどうするのかとか罰則はどうするのかとか色々問題点が見つかりますので、実際に運用するとなると意外と時間がかかりそうなシステムですね。
    安全運転の知識と能力、必要なことなんですけどね。

    1. とむ より:

      私も「運転講習受講済み証」を交付する制度は賛成です。
      交通法規を理解していない人が野放しになっているのは怖すぎます。
      講習会は自ら出向く形になる、警察署で行うのが一番良いと考えます。
      移行期間を長めにとれば実現可能ではないかと思います。

      以前から、警察などの利権拡大につながる話なのに
      自転車を対象とした免許制度をなぜ実施しないかが疑問でした。
      (利権拡大を歓迎しているわけではありません。念のため・・・)

  3. Masuo より:

    ながらスマホ(運転)、歩きスマホは見つけ次第死刑でもいいんじゃないですかね。

    あと、運転に関して許せないことは、無免許で事故を起こしても「運転技術」があれば、刑が軽くなる事。何のための免許だって話(怒)。無免許事故も死刑にして欲しいです。(無免許は確信犯です)

    1. 匿名 より:

      人一人殺してもなかなか死刑にできない国で「ながら運転」を死刑にしろとか、面白いことを言いますねw

  4. CRUSH より:

    この件に限らずですが、
    「前例がないから、現行法の適用をこまねいてる」
    のは、たくさんあるかと思いますね。

    なにか新たな問題が生じた際に、行政(市役所や警察や消防。もっと端的に言えば議会)が泣き言で言い訳するのが多い。

    チマチマした細部の法律論に逃げ込まず、
    「どうあるべきか」
    「どうしたいのか」
    に沿って腹を決めて、あとからどの法律を当てはめるか是非を調べたらよいのに。

    とりま送検しなくても、しょっぴいて何時間か拘束するだけでも相手はうんざりしますから。

    そういう状況下で、議会(=有権者)は現場の担当者を守ってやる必要があります。

    議会って、本来的にはそういう提案をする場所ちゃうのかしら?

    「スマホのながら運転には厳罰で臨もうと思いますが?」
    「異議なし」or「ちょっとまった」

  5. わんわん より:

    スマホわき見運転で重大事故… 被害者が “意識不明”状態でも運転者に「執行猶予付き判決」が珍しくないワケ(弁護士JPニュース)
    https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/e9aa49f2c014301e4fa20317218d4a534d4ef888&preview=auto

    一般道で時速157キロ、6人死傷事故になぜ執行猶予? 息子亡くした遺族の悲憤(柳原三佳) – エキスパート
    https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/e035ee214de65f67f4200a1c4d67fed23573f865

    死亡事故の裁判の実刑15% 執行猶予85%|アトム弁護士相談
    https://atombengo.com/db/c/siboujiko/t/sikkouyuuyo

     被害者または遺族はやってられないと思う

  6. HM より:

     ここで指摘されている事故が実際に12月1日に長野県軽井沢で起こっています。電動キックボードに乗った女性が、T字路を赤信号で幹線道路に左折進入し、青信号で右から直進してきた高速路線バスに衝突して死亡したものです。このボードは時速20km以上出る原付バイクでありながら女性は無免許・ノーヘルメットとのこと。多分、左側の歩道との段差や道路の凹凸に気をとられ信号を見落としたが急に止まれず幹線道路に進入してしまったのでしょうか? 死亡事故を起こしてしまった高速バスの運転手の方がとても気の毒です。なんとか助けてやってください。

  7. 普通の日本人 より:

    家族と話すのですが
    ・交差点では前面に出ない。奥に立つ
    ・交通信号は参考にし車の動きを確認する
    ・駅のホームでは中国に発ちレール側には立たない
    つまり信用しない
    が身を守る。

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