円建て資産の円換算額は円高でも円安でも変わりません

「1ドル=50円という超円高になれば、2000兆円の円建ての家計資産は6000兆円になる」――。なりません。円建て資産はあくまでも「円建て」であり、円高になろうが円安になろうが、2000兆円は2000兆円のままです。このように、為替相場に関し、正しくない知識を使って議論を進めていると、結論もハチャメチャなものになってしまうようです。

円高なら「悪い円高」、円安なら「悪い円安」

円高になったら「悪い円高」、円安になったら「悪い円安」――。

こんな雑な論理展開で「経済新聞」を自称するのですから、困りものです。

以前の『円安なら「悪い円安」だが円高なら「悪い円高」=日経』でも紹介したとおり、日本のメディアの報道というものは、なかなかに強烈です。円高が進めば「悪い円高」となりますし、逆に円安が進めば「悪い円安」となるからです。

ですが、ここで少し冷静になっていただきたいと思います。円高にも円安にも、それぞれメリットとデメリットがあり、円安と円高のどちらの方が日本経済にとって望ましいかについては、日本経済が置かれている状況によって大きく異なってくるからです。

輸出入で考える為替効果

代表的な例は、輸出入でしょう。

円安になれば、(為替予約や輸送コスト、在庫などの論点を無視すれば)輸入品の値段が上昇します。たとえば1ドル=100円のときに10ドルの輸入品の国内価格は1,000円ですが、外貨ベースで同じ価格だったとしても、1ドル=200円になれば、この商品の価格は2,000円に上昇します。

ただ、輸入品価格が上昇するというマイナス効果もさることながら、輸出品の価格競争力が上昇するという効果も同時に生じることを無視してはなりません。たとえば国内で1,000円の商品、1ドル=100円のときは海外だと10ドルですが、これが1ドル=200円になれば、海外では半額の5ドルに値下がりするからです。

しかも、為替変動には短期と長期の影響が生じます。

たとえば、日本が輸入依存国家(?)であるならば、円安になれば輸入品の価格が上昇し、それによって日本全体の購買力が落ち、日本は「貧しくなる」(?)、などといわれますが、これは正しくありません。もしも輸入品価格が上昇すれば、その分、輸入品ではなく、国産品に対する需要が増えるからです。

これに加えて円安が長期化するとの観測が強まれば、企業は海外拠点を閉鎖し、日本国内に製造拠点を戻す、という動きを始めます(『アイリスオーヤマが一部の製造拠点を国内回帰へ=報道』等参照)。

もちろん、日本国内も最近では労働力不足が顕在化し始めているなどの事情もありますし、また、企業は短期的な為替変動だけで製造拠点を決めるというものでもありませんが、それでも円安の長期化は、製造業などの国内シフトを後押しする材料のひとつとなり得るのです。

以上の議論から、貿易に関しては、少なくとも次の4つの点を指摘することができるでしょう。

円安のメリット/デメリット(貿易面)
  • 輸出競争力は上昇する(日本経済にプラス)
  • 輸入購買力は低下する(日本経済にマイナス)
  • 国産品需要が上昇する(日本経済にプラス)
  • 製造拠点が日本に戻りやすくなる(日本経済にプラス)

観光業で考える為替効果

これに加えて、最近話題の「インバウンド」、「アウトバウンド」という論点があります。

先月の『訪日外国人は189万人:「インバウンド大国」の日本』でも指摘したとおり、現在の日本は「インバウンド大国」と化しています。というのも、日本を訪れる外国人(インバウンド)が、外国を訪れる日本人(アウトバウンド)を大きく上回っているからです(図表1)。

図表1 インバウンドvsアウトバウンド

(【出所】日本政府観光局、法務省データをもとに著者作成。なお、出国日本人数については軸を反転して表示している)

とくに、日本政府が昨年10月、外国人観光客の受け入れを再開したことを受け、10月こそインバウンドがアウトバウンドの1.43倍程度でしたが、その後はインバウンドはうなぎのぼりに増え、直近の5月時点では約190万人の外国人が日本を訪れています。これに対し、外国を訪れた日本人は68万人程度です。

出国日本人vs入国外国人(倍率)
  • 10月…349,557人vs**498,646人(1.43倍)
  • 11月…379,196人vs**934,599人(2.46倍)
  • 12月…432,193人vs1,370,114人(3.17倍)
  • 01月…443,105人vs1,497,472人(3.38倍)
  • 02月…537,705人vs1,475,455人(2.74倍)
  • 03月…694,292人vs1,817,616人(2.62倍)
  • 04月…560,178人vs1,949,100人(3.48倍)
  • 05月…675,661人vs1,898,900人(2.81倍)

(【出所】日本政府観光局、法務省データをもとに著者作成)

これなど、円安効果が原因のすべてだと決めつけるつもりはありませんが、それでも「円安で外国人が日本に旅行しやすい状況が出現している」、という言い方はできるでしょう(というよりも、円安のせいでアウトバウンド需要が減っている、というだけのことかもしれませんが…)。

いずれにせよ円安になれば、日本人が外国により行き辛くなることは間違いなく、また、海外旅行よりも国内旅行の方が「お得感」が増します(※もっとも、インバウンドの急増のためでしょうか、国内旅行においても、航空運賃やホテル価格が暴騰するなどしているようですが…)。

さらにいえば、外国人観光客にとって、旅行先としての日本の魅力が上昇します。

こうした点を踏まえると、旅行業界にとっては、少なくとも次の3点が指摘できます。

円安のメリット/デメリット(旅行業界)
  • 海外旅行に行き辛くなる(日本経済にマイナス)
  • 国内旅行の相対的魅力が上昇する(日本経済にプラス)
  • 外国人が日本に来やすくなる(日本経済にプラス)

金融資産・負債で考える為替効果

さらに重要なのは、「資産効果」でしょう。

円安になれば、外貨建の資産や負債を円換算したときの価格が上昇します。

たとえば日本の銀行が外国企業に対し、100万ドルを貸し付けていたとすれば、1ドル=100円だったと仮定すると、その円換算額(CR換算額)は1億円です(外貨建会計基準上、外貨建金銭債権債務は基本的にCR換算されます)。

しかし、同じ状態で為替相場だけが1ドル=200円の円安になれば、外貨建の金銭債権100万ドルの円換算額は、一挙に2倍の2億円に膨らみます。

じつは、これが昨年、日本の金融機関全体に発生していたことでもあります。外貨建(とくにドル建て)の債券は、米金利上昇によって評価損を計上せざるを得なかったものの、それと同時に為替ヘッジなしで保有していた有価証券のポジションからは、巨額の含み益も発生していたのです。

また、国際決済銀行(BIS)の集計に基づけば、2022年12月末時点において、日本の金融機関は海外に対し、4兆5979億ドルの債権を保有していますが、逆に日本の企業などが海外の金融機関に負っている債務は1兆1495億ドル程度に過ぎません。

さらに、外貨ベースの債務額については、(統計区分上正確な集計は困難ではあるにせよ)5000億ドル前後と考えられ、日本全体として見たときには、資産の額が負債の額を大幅に上回っているであろうことは間違いないでしょう。

つまり、円安が生じた場合、外貨建資産にとってはプラス、外貨建負債にとってはマイナス、ということです。

円安のメリット/デメリット(金融商品)
  • 外貨建資産で為替評価益が生じる(日本経済にプラス)
  • 外貨建負債で為替評価損が生じる(日本経済にマイナス)

論点を集約しておくと…

以上のすべてを1枚の図表にしたものが、次の図表2です。

図表2 円高と円安のメリットとデメリット
区分円高円安
輸出競争力×輸出競争力は下がる〇輸出競争力は上がる
輸入購買力〇輸入購買力は上がる×輸入購買力は下がる
国産品需要×輸入品に押され需要減〇輸入代替効果で需要増
製造拠点×海外で作った方が有利になる〇国内で作った方が有利になる
海外旅行〇海外旅行に行きやすくなる×海外旅行に行き辛くなる
国内旅行×海外旅行に押され需要減〇海外旅行の代替で需要増
訪日観光客×外国人は来づらくなる〇外国人が来やすくなる
外貨建資産×為替評価損が生じる〇為替評価益が生じる
外貨建負債〇為替評価益が生じる×為替評価損が生じる

©『新宿会計士の政治経済評論』/出所を示したうえでの引用・転載は自由

円安はたしかに日本経済にとって、好ましくない影響も生じさせていますが、それと同時に、現在の日本経済の状況に照らすなら、メリットの方がデメリットを上回っていることもまた間違いありません。

1ドル=50円の超円高なら…?

さて、こうしたなかで、ツイッターを眺めていると7日、何やら強烈なツイートを発見しました。「1ドル=50円の超円高」と称した、こんな趣旨のツイートを発見しました(便宜上、ナンバリングしておきます)。

1ドル50円の超円高になると、どんな世界になるか
  • 国民の貯金2000兆円は、6000兆円の価値になる。
  • 貯金の多くは高齢者が所有するので、現役世代の社会保障費負担が減る。
  • 高い円を求めて、海外から優秀な働く人材が押し寄せる。
  • 外国の成長企業に投資しやすい、買収もできる。
  • 輸入品やエネルギーの、価格はいまの3分の1。

なんだか、いろいろとツッコミどころがあり過ぎて困ります。

敢えてツッコミを入れておくと、最初の①からして間違っています。「国民の貯金2000兆円」(?)とやらに関しては、もしそれらがすべて円建てだったと仮定すれば、1ドル=50円の円高になろうが、1ドル=200円の円安になろうが、2000兆円のままです。

実際、『数字で見る「対外純資産400兆円超」のカネ持ち日本』でも引用したとおり、資金循環統計上、2023年3月末時点における家計金融資産(2043兆円)は、現金預金が1107兆円、保険・年金等が534兆円であり、それらの多くは円建てと考えられます。

つまり、議論のスタート地点から間違っているのです。これはなかなかに興味深い話です。

また、預貯金の多くを高齢者が保有していようがいまいが、現役世代の社会保険料が減ることはありませんし、円高になった際に押し寄せて来る外国人労働者は、高度人材よりも低賃金労働者が中心となると考えられます。

逆資産効果の話はどうなるのでしょうか?

さらに、「外国の企業を買収できる」、「輸入品価格が下がる」というロジックは、円高が放置されていた民主党政権時代に、財務省関係者や一部の金融関係者などから出て来ていたものです(たとえば、民主党政権関係者はエルピーダメモリ経営破綻時にも、「メモリは外国から買えば良い」などと言い放ったようです)

いずれにせよ、このツイートを発信なさった方には、是非とも図表2に示した円高、円安のメリット・デメリット表を冷静に眺めていただきたいと思ってしまいます。

なお、せっかく「外貨建資産」の話が出たようなので、もうひとつツッコミを入れておくならば、1ドル=50円の円高が実現した場合、「逆資産効果」が生じます。

この方のツイートには、円建て資産が(なぜか円高で)3倍に膨らむという謎ロジックが展開されていますが、現実には、円建て資産の価値は変わらず、それどころか外貨建資産の価値が3分の1に暴落するという効果を忘れてはなりません。

実際問題、金融機関や政府(外為特会)、保険会社や社会保障基金などの機関投資家は、巨額の外債や外株などの金融資産を保有しており、その額はじつに703兆円分にも達しますが、(その全額が米ドル建てだと仮定すれば、)1ドル=50円で対外証券投資の価値は一気に3分の1にまで下落するのです。

いずれにせよ、正しくない経済知識で怪しげなツイートをする人には、注意が必要であることに関しては、改めて指摘するまでもないでしょう。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 農民 より:

     「ネットには答えがある」のと「ネットにあったのが答え」は似て非なるものですね。ネットが便利だといっても、結局は自身の知識や勉強によってネットにあった有益な情報と整合させるという作業が必要になります。

     ……「ネットはデマ・フェイクだらけ!」って叫ぶ斜陽業界の方が苦手とする作業に思えますね。

  2. カズ より:

    円高で生じる負のスパイラル

    生産拠点の海外移転(海外子会社での利益留保)
    → 失業率増加に伴う所得税額の減少(法人税額も減少)
    → 消費税率増額論(税収不足の補填目的)
    → 国民生活の困窮
    ・・・・・
    国内雇用の拡大(人材確保に伴う賃上げ)こそが、景気高揚の動力源だと思うんですけどね。
    円高放置で良質な雇用を棄損した非自民非共産政権・民主党政権のダメっぷりが際立ちます。

  3. さより より:

    円高・円安ということは、為替のことなので、基本的に国内経済だけで成り立っている国があるとすれば、為替の変動は経済には余り影響がない話です。
    自国通貨が高くなると大騒ぎするのは、輸出産業が日本の経済を支えているという幻想があったのではないか、と思っていました。ただ、日本は資源小国なので、エネルギーや食糧は輸入に頼らなければならない所があるので、輸出によって外貨を稼ぐ必要は常にあります。
    戦後の何もない時代には国内需要も少なかったので、企業は輸出、特に需要旺盛な米国向けによって売り上げを立てる必要があったので、為替は大きな問題でした。
    しかし、日本がGDPで世界第2位になり先進国の仲間入りをした頃から、政府は国内産業の育成にも力を入れ始めるべきであったと思います。
    国内産業の育成は、地方に公共事業として道路港湾や公共施設整備などの土木建築産業にお金を落とすことと、米栽培農家への補助金をばら蒔くことだけになってしまっていました。米栽培農家への補助金行政は、自民党の票田確保が目的でした。
    その他にも、政府は、国内産業の育成には、補助金行政だけで対応していたのです。
    そこには、国内産業育成の国家ビジョンは何もありませんでした。
    第一次産業の米農家への政策は、自民党の票田確保だけに終始していたように見えます。
    食料自給率の低い国柄であれば、しっかりとした農業の国家ビジョンを作りそれに基づいて、国全体の農作物の栽培計画を立てても良かったのではないかと思います。例えば、小麦の輸入依存度の高さは既にあったのですから、その自給率向上の施策があっても良かったのではないか、と思います。漁業も、養殖産業の育成にも重点を置くべきであったでしょう。

    戦後の貧しい日本の時の発想のまま、輸出産業の育成のみに力を入れて続けて来た日本の政策は途中で変更を加えられて、国内産業の育成にも本格的に取り組むべきであったと思います。

    所で、本論稿中の
    >>円安のメリット/デメリット(旅行業界)
    海外旅行に行き辛くなる(日本経済にマイナス)

    これが、何故、日本経済にマイナスになるのか、が分かりません。

    1. はにわファクトリー より:

      >国内産業育成の国家ビジョンは何もなかった

      ご指摘の通りです。やっちまったな、国外流出。これは間違いであったとは今日広く知られるところですが、その考え方の出発点は国際分業にありました。これは戦後に生まれた新たな世界秩序が形を整えるにしたがって受け容れられ推進されるようになりました。ミスター戦後秩序こと宮澤喜一氏は国際分業思想の推進者でした。池田勇人首相が切り拓いた新たな道です。チェンマイ・イニシアティブ(多国間地域金融協力)が決まったとき日本ではすでに狂乱地価が吹き飛んでおり、また国際分業の進行に伴い優秀人材が掛かり切りになると同時に知恵が海外に流れ出している弊害は看過できなくなっていましたが、当時の写真からはその後日本がどんな体験をすることになるのか考えていたフシは見出せません。

      あと米価審議会なる機関があったことを憶えている世代はもうすでに老人ですが、米価を政府が統制することに関して池田勇人氏はそれは止めたかったと著書で記しており、その箇所を認めて解説者は戦後政治構造の分界点(のひとつ)はこのようなかたちで通過したのだと指摘しています。

      1. さより より:

        はにわファクトリー様

        ご返信ありがとうございます。
        ここで、ミスター東大の宮沢喜一さんが登場されるとは思いませんでした。
        (彼の口癖は、初対面の人に対して、君の出身大学は?と訊くことだったとかで、東大卒でなければ相手にされなかったとか。)

        宮沢氏が国際分業を推進したとすれば、頭でっかちな方が飛び付きそうなことですね。
        頭の中にある発想は「経済」のみで、「国力」をどのようなバランスで保つのかという考えは微塵も無かったようですね。つまり、「経済安保」という考えは無かったのでしょう。
        国家の宰相というよりも、企業の経営者のような発想しかなかったのですね。

        国際分業は、リカードが唱えた比較生産費説による所が大きいのでしょう。

        コトバンクの「国際分業」の説明によれば、
        『分業には、アダム・スミスが指摘したように、作業を分割するもの(技術的分業)と職業を分化するもの(社会的分業)とがあり、ともに生産能率を増進させる最大の原因となるものである。国際分業は後者の意味の分業であり、各国が生産上の適性に応じて生産分野を分担しあうことである。』

        この説明を読んでみて、改めて驚くことは、中国は巧妙にこの2つの分業を欧米日から吸い込んでいることです。

        また、水野和夫氏の著書、『資本主義の終焉と歴史の危機』
        によれば、資本主義は常に「フロンティア」を求め続けるということです。
        生産のフロンティア(生産費の安い所)と、販売のフロンティア(販売の多い所=市場)を求め続けるのが資本主義であるということです。つまり、安く作って高く、又は、沢山売るのが、資本主義(ビジネス)の基本なのですから、当然のことですが。
        驚くべきことに、中国は1国でこの2つを満たす国です。
        つまり、安い生産力と大きな市場の両方を兼ね備えているのですから、欧米日からみれば魅力的なのでしょう。鄧小平氏は、ここまで読み切っていたとすれば、欧米日の政治家よりも資本主義に関して、その本質を理解していたということなのでしょうか?

        水野氏の書名に「歴史の終焉」という言葉があるのは、そのフロンティアが世界から段々少なくなって来ている、ということのようです。

        尚、水野氏のこの本は、ベストセラーになったようです。日本国民は、一般の人達でも、多くの方達がこのような本を読むようです。

        昨日の、論稿
        【「三歩進んで二歩下がる日本」、着実に一歩進んでいる】
        の中でも述べられていますが、

        >>一般の日本国民は総じてレベルが高く、「利権トライアングル」が作り出す屁理屈に対しても、一貫して距離を置き、批判を続けているのです。
        これこそ、日本の将来に期待が持てる最大の理由なのです。

        と、述べられていることの証左の一つになるように思います。
        対して、利権アングルの中にある方達は、このような本を読んで勉強しているのでしょうか?それとも、利権に維持に忙しくて読んでいる暇も無いのでしょうか?

      2. 伊江太 より:

        はにわファクトリー様

        >やっちまったな、国外流出。これは間違いであったとは今日広く知られるところですが、その考え方の出発点は国際分業にありました。

        日本経済の相対的強さの反映であった超円高。この時代に進んだ産業空洞化の悪影響が今日にまで及んでいるのは間違いないところでしょうが、当時それを予見するだけの知恵をもった政治指導者がいれば、阻止すべく強力な国内産業育成策を推進したはずで、国際分業などという馬鹿な施策は採らなかったであろうという議論については、ちょっとどうかなとも思うのです。

        早い話、日本の「失われた20年」の経験を他山の石として、あんな失敗は優秀なわが国指導者は決して犯さないなどと豪語していたある国。オレ様第一で何が悪い。他国から掠め盗るのに何の痛痒も覚えないが、自国のものは舌を出すのもイヤ。文句言うなら、腕尽くでも言うこと聞かすぞと、すごめばOK。そんな国の行き着く先がどうなるか、もうすぐ答えが出ると思うんですけどね。

        国際社会の中で旨く立ち回るためには、自国だけ良ければそれでいいというわけにはいかない。しかし譲ってばかりでは落ちぶれる一方というのも冷厳な事実。その匙加減の最適解を見つけるのは、ときの政治指導者の資質如何というだけの問題ではないような気がします。

        痛産省、罪務省、害務省などと揶揄され、国民不在と批判されるのが常の官僚組織が国の運営を牛耳り、その時々の状況に反射的に反応しているだけで、定見なき日本下げに勤しむことこそ我が使命と心得るかの如き、経済評論家に満ちあふれるこの国。それでいて、この世界で一向落ちぶれ果てる様子もなく、国民全体とすれば、まあそこそこの経済的な豊かさを保ち続けているこの国。結局、戦というのは、指揮官がへぼでも、下士官、兵卒が戦況に応じて機敏に立ち回れるなら、十分互角にやれるってことじゃないかな、思うんですけどね。

      3. はにわファクトリー より:

        >戦というのは、指揮官がへぼでも

        日本人の美徳は海外においてより光り輝く
        そういう意味のことを自己紹介代わりの挨拶で話したときに、思い付きで言ったこの言葉がひどくその場に集まったひとたちの心に響いたらしい。場所は南インドの某場所の有名日本レストラン播磨のオープンテラスです。あのときはアイルランド短期勤務で嫌な思いをして飛んで戻ってきた直後、さあご歓談くださいという段になってから名刺を持参して何人かがテーブルに来てそれぞれ思うところを述べていました。

        >下士官、兵卒が戦況に応じて機敏

        ここで会う日本人は優秀ですよ、優秀だからこそ今ここにいるんですよ。現地で会った大手電機メーカー重鎮氏からそう聞いてましたし、実感できてもいました。

        1. はるちゃん より:

          戦略の失敗は戦術では取り戻せないという言葉もあります。
          司令塔がしっかりしていれば、もっと成果は大きかったかもしれません。

    2. はにわファクトリー より:

      >これが、何故、日本経済にマイナスになるのか

      どなたもボケてくださらない。では鹿たない。引き受けましょう。
      この箇所はサイト主どののウィットあるいは寒いジョークです。

      1. さより より:

        ありがとうございます。

        何となく、日本国民の「経済心理」的なマイナスにはなるな、とは思っていました。

        1. はるちゃん より:

          海外旅行する人が少なくなると、旅行代理店や航空会社の売り上げに影響するという事ではないでしょうか?
          外貨の流出が抑えられるというのはプラスかも知れませんが。

          1. さより より:

            はるちゃん様

            返信ありがとうございます。
            その後考えてみますと、

            海外旅行 〇海外旅行に行きやすくなる ×海外旅行に行き辛くなる

            これは、海外旅行に於ける傾向の事を表しているのであって、日本経済に及ぼす影響のことを表しているのではないということだと思いました。
            経済面から言えば、外貨が減る・減らないということになるのでしょうが、その場合は、海外旅行の於ける外貨の増減、という項目を立てる必要がありそうです。

            旅行代理店と航空会社の経済面で言えば、海外旅行と国内旅行は、反対項として考えられるので、ポンプの水がどちらから流れて来るかの違いであって、流量(ビジネスボリューム)は変わらないと考えることが出来ます。(これは、論理的な仮定ですが。)

          2. はにわファクトリー より:

            海外旅行に行きにくくなるともっと稼いでやろうとの労働意欲が減退するので日本経済にマイナスになります。せっかく新調した最新パスポート(かっくいい)これを使ってばんばん飛行機に乗って、行ってみたかった場所わが目で確かめたかった場所に行く計画、今夜も調査妄想しながらいつか必ず(ふ)との闘志を燃やす。今は外貨定期が利殖収入をもたらしますので円安のほとぼりが冷めるまでコロナが終わってもいましばらくは雌伏を続けるとそうゆうことなのです。

  4. 元雑用係 より:

    そのツイートは見かけましたが、主の名を挙げるのはやめておきます。主張はだいたい屁理屈逆張り系で、何の専門家でもないんですよね。朝日のコラム枠はまだ持ってんだろうか。

    別件、中田敦彦とかいう文化人(死語)ヅラした芸人が、今度は「日本は難民とかに超冷酷な国」と、動画でやらかしてたみたいです。以前に韓国ネタで炎上していたときは「自分の主張じゃない、本を紹介しているだけ」といって逃げてましたが。

    ことほど左様に、ネット上にはデマの発信源がいくらでもあります。
    「ネット出現以前は信頼できる情報源があった。マスコミは必要。」という言説も時に見かけますが、マスコミの情報の悪意あるいい加減さも昔から変わりゃしないので、目利きが必要だったのは昔から変わってないんですよね。
    未来永劫、思考停止できないところと思います。

    1. うれしんご より:

      実名あげての批判に感謝します。
      中田敦彦のyoutube動画が早く中国語onlyになり日本から自立することをねがってます。

  5. うれしんご より:

    きたー!新宿会計士さんの経済記事は神回。
    この人を知ったのも、「数字で見る強い日本経済」でした。
    ありがとうございます。

  6. 世相マンボウ. より:

    >>「1ドル50円の超円高になると、どんな世界になるか」

    こうした底の浅い言いようも
    新宿会計士さまの丁寧な解説によって
    エッシャーのだまし絵のようなものとして
    楽しめるもので、むしろ、
    日本のオールドメディアの
    日本衰退願望の韓流さん
    とともに主張する言いようの
    おかしさが浮き彫りになります。

    ツイート主自体は
    >>頭から否定せず、思考実験してみませんか?
    と冒頭に書いているのですが
    問題は、リツイートされた先の、
    義務教育レベルが未達でいらっしゃると
    評価される特定野党のおべんきょう会レベルにかかると
    「当たり前だろ!」(?)
    「ネトサポのレベルでは理解できないだろうが」(?)
    とかになって広がってしまうので困ったものです (^^);

    まあ、ツイート主さんも
    >>「最近の政治劣化に我慢できなくなり・・・
       野党の大きな塊(野党共闘)による
       政権交代を応援します。 」(?)
    と自己紹介で書いてしまっているのですが、
    基礎経済学出でてくる「逆選択」そのままに
    してしまってどないするんや?(笑) 
    なのですが。

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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
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