不要不急の難民法に力入れる立憲民主党に「不要論」も

産経ニュースによると立憲民主党は日本共産党、社民党、れいわ新選組などと共同して、難民保護を目的とした入管法改正案や難民保護法案を参院に提出するのだそうです。はて。その法案は果たして国民の多くが求めているものでしょうか?そして今すぐに議論しなければならないというものなのでしょうか?こんなことを続けていると、国民の間で「立憲民主党不要論」が高まり、「最大野党」の地位を失うのも、時間の問題ではないでしょうか?

立憲民主党は「最大野党」の権限を正しく使っていない

立憲民主党といえば、言わずと知れた日本の「最大野党」です。

そして、最大野党といえば、慣例上、国会で非常に大きな権限を持っている組織でもあります。衆参ともに質問時間は野党に厚く配分されており、しかも野党に配分された質問時間を各会派に割り振るのも最大野党です。野党がその気になれば、政府・与党が提出する法案の審議を妨害・遅延させることだって可能です。

当たり前ですが、最大野党に対して大きな権限や発言権が与えられているのは、与党が数の力で法案をゴリ押しすることがないようにするために、広く国民の代表者の声を聴く機会を与えるという、国会慣例上の知恵のようなものでしょう。

しかし、非常に残念なことに、立憲民主党がこの大きな権限を正しく使っているようには見えません。

その典型例が、『野党利権は終焉へ?末期状態の「活動家政党」が迷走中』でも取り上げた、入管法改正案でしょう。

これは、衆院・法務委員会の野党筆頭理事である寺田学氏(立憲民主党)らを中心とする実務家らが、入管法改正案を巡って、立憲民主党としての主張を盛り込ませるべく、政府・与党に対し働きかけを行い、譲歩を引き出しかけたにもかかわらず、党執行部が土壇場になって修正案を拒絶したとされる一件です。

ただ、立憲民主党の支持者らのうち、寺田氏らが実現に尽力した「修正案」に期待していた人たちほど、この立憲民主党執行部の行動には「失望した」というケースも多いのではないでしょうか。

(※余談ですが、個人的には、立憲民主党が主張した、「不法滞在者の子供に特別の在留資格を与える」、などの修正案は「とんでもないもの」だと考えており、立憲民主党執行部のおかげでその「とんでもない修正案」が潰えたことは、結果的には良かったとは思います。)

いずれにせよ、日本では「最大野党であること」自体が一種の利権となっているフシがあるのですが、とりわけ現在の立憲民主党はその「最大野党利権」を悪用し、日本の政治を前向きに動かすのではなく、現実離れした支離滅裂な言動を通じて日本の政治の足を引っ張っているようにしか見えないのです。

議席の上では正当化できない立憲民主党の「利権」

もっとも、立憲民主党が最大野党として、そこまで大きな権限を持っていることが正当化できるものかと問われると、やはり疑問に感じる人も多いでしょう。なぜなら、立憲民主党は確かに「最大」野党ですが、政権奪取にはほど遠い地点にいることもまた事実だからです。

衆議院だと定数465議席に対し、「立憲民主党・無所属」は97議席で占有率は約21%に過ぎません(4月25日時点)。参議院に至っては、定数248議席に対し、「立憲民主・社民」は40議席で、占有率は約16%と、さらに少なくなります。

これに対し、自民党は衆院(会派名は「自由民主党・無所属の会」)では263議席で約57%の議席を占めていますし、参院でも119議席と過半数を割り込んでいるとはいえ、約48%を占めています。

自民党は現在のところ、公明党(衆院32議席、参院27議席)と連立を組んでいるため、連立与党は衆参で過半数どころか安定多数を握っていますし、最近だと国民民主党(衆院10議席、参院13議席)など、野党でありながら保守寄りの主張をする政党も出現してきました。

極端な話、自民党には公明党を牽制するという意味でも、国民民主党とも連立をするという選択肢もあります(この場合、自民党には公明党との連立を解消するという選択肢も出てきます)。

最大野党の地位喪失も視野に入った

さらにいえば、最近だと日本維新の会(衆院41議席、参院21議席)が「最大野党」の地位を狙っているとされており、ここ数回の大型国政選挙・補欠選挙における躍進ぶりを眺めていると、下手をするとあと1~2回の選挙で、日本維新の会が「最大野党」の地位を奪うかもしれません。

実際、ここ最近の国政選挙でも、立憲民主党の獲得議席数は芳しくありません。

たとえば2021年10月の衆議院議員総選挙では、立憲民主党は109議席から96議席へと、公示前と比べて勢力を10議席以上減らしました。「最大野党」なのに100議席を割り込んだのです。「政権交代」と息巻いていた枝野幸男氏も、さすがにこの選挙結果を受け、党代表を退いています。

また、泉健太体制下で迎えた2022年7月の参院選では、改選23議席に対して獲得議席が17議席にとどまり、非改選の22議席とあわせて39議席と、公示前勢力から6議席減らしました(統一会派を組む社民党と合わせて40議席)。

さらには、先月行われた衆参5つの補選では、立憲民主党としての公認候補を立てた3選挙区で全敗するなど、獲得議席は「ゼロ」に留まりました。

もちろん、衆院千葉5区や参院大分選挙区などでは、立憲民主党の候補者があと一歩というところまで迫ったのですが、それでも自民党候補者に負けてしまった格好です。このように考えていくと、現在の状況が続けば、立憲民主党が遅かれ早かれ「最大野党」の地位から転落する可能性は濃厚と断じざるを得ません

小西問題や「うな丼」問題で見える立憲民主党の姿勢

こうしたなか、立憲民主党が党勢を立て直すためには、真摯に有権者に向き合う以外に方法はないのですが、現実に立憲民主党がそうした行動を取っている形跡はありません。

そのもっとも象徴的な事例が、「小西問題」でしょう。

同党所属の小西洋之・参議院議員が総務省の内部文書(※しかも違法に入手した疑いが濃厚なもの)を用いて高市早苗・経済安保担当相らを攻撃したものの、高市氏からはほぼ完璧な反撃を喰らって撃沈(『勝負あり:高市氏が小西文書「捏造」を説明してしまう』等参照)。

その直後に持ち上がった「サル・蛮族」発言では、しばらくは報道機関や一般人に「法的措置」をチラつかせて脅しをかけていたものの、さすがに途中で「謝罪ツイート」を投稿。

しかし、このツイートをカラー印刷したものを、自身の名刺とともに、議員会館にある衆院憲法審査会メンバーの各部屋をノーアポで訪問し、不在の場合はポストに投函したらしく、これを受け取った日本維新の会の馬場伸幸代表を激怒させました(『小西氏、今度は「謝罪ツイート」を印刷して相手に渡す』等参照)。

これを受けて馬場氏は立憲民主党との政策共闘を「凍結」すると表明し、その凍結は現時点においても継続しており(『「小西問題」は立憲民主党「組織マネジメント」の失敗』等参照)、冒頭に挙げた入管法改正案もその「共闘凍結」の一例でしょう。

ほかにも谷公一・国家公安委員長が「うな丼を食べた」と発言したことを、マスメディア各社や立憲民主党などが「問題視」し、立憲民主党の宮口治子・参議院議員が「うな丼大臣」などと呼び、即刻更迭を要求したという「事件」もありました(『自分に甘いメディアと野党:次は「うな丼大臣」問題視』等参照)。

さすがに「うな丼を食べた」と発言したことを「失言」とみるにはかなりの無理がありますし、そう発言したことを根拠に大臣を更迭するという発想自体、一般国民には受け入れがたいものでしょう。

立憲民主党という組織は、まさに「組織マネジメント」という事例では、恐ろしいほどわかりやすい「失敗例」なのです。

今度は難民保護法:国民がそれを望んだのでしょうか?

さて、そんな立憲民主党に新たな動きも見えてきました。

立民、入管法対案を提出 難民認定の中立性確保

―――2023/5/9 08:58付 産経ニュースより

産経ニュースによると、立憲民主党は日本共産党、れいわ新撰組、社民党、「沖縄の風」とともに、入管法改正案の「対案」を参院に共同提出することにしたそうです。その具体的な内容について、産経は次のように報じています。

難民認定手続きの公平・中立性を確保し、国外退去を拒否した外国人の収容には裁判官の許可が必要とするのが柱だ」。

具体的には国外退去を拒んだ外国人の収容を認める場合を限定するなどの入管法改正案に加え、独立行政機関としての「難民党保護委員会」を新設するなどを柱とする新法「難民保護法案」の2本だそうです。

現在の衆参両院の勢力関係に照らしてこれが成立する可能性が極めて低いという点もさることながら、国民の大多数がこの法案の必要性に賛同しているとも思えません。それとももしかして立憲民主党は、本当にこの法案が国民に必要とされ、支持されているとでも考えているのでしょうか?

正直、立憲民主党が国民に支持される可能性があるとしたら、やはり安全保障と経済対策で現実的な選択肢を提示すること以外にありません。物価高で負担感がさらに重くなる消費税や社会保険料などの公租の問題、中国やロシア、北朝鮮を含めた周辺の無法国家4ヵ国の問題など、できることはいくらでもあります。

あるいは、かつての「NHK党」なる政党が国民の支持を受けたこともあったことを思い出すならば、すでに社会的役割を終えたNHKを巡り、解体・資産国庫返還・民営化ないし廃局などの改革案を打ち出せば、国民からはそれなりに支持されるのではないでしょうか。

いずれにせよ、現在のように優先順位が高いとは言い難い法案に力を入れている姿を見ると、国民の間で「立憲民主党不要論」が高まるとともに、「最大野党」の地位を失うのは、やはり時間の問題ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 引きこもり中年 より:

    毎度、ばかばかしいお話しを。
    立憲:「立憲支持者は難民法で自民党が苦しむことを望んでいる。立憲支持者も国民の一部である。だから、国民は難民法で自民党が苦しむことを望んでいると言ってもよい」
    これって、笑い話ですよね。

  2. リアリスト より:

    さらにいえば、最近だと日本維新の会(衆院41議席、参院21議席)が「最大野党」の地位を狙っているとされており、ここ数回の大型国政選挙・補欠選挙における躍進ぶりを眺めていると、下手をするとあと1~2回の選挙で、日本維新の会が「最大野党」の地位を奪うかもしれません。

    楽しみです
    反日高齢者世代にはこんな党を応援してきたことについて、猛省を促したい(坂本龍一や大江健三郎など、どんどん消えていますしね)

  3. 引っ掛かったオタク@悲観さ暗 より:

    立憲民主党の勢力が落ちるべくして落ちて逝くのは自明歓迎ではありますが、代わりに騰がって来るのが日本維新の会ということにも不安しか覚えない贅沢モノでアリマス
    多少マシな××であるには違いないとはいえ…

    1. 匿名 より:

      一生不安になるしかない人生は悲しいですよ
      マインドチェンジしましょう

      1. 引っ掛かったオタク@ウエヲムイテアルコウ… より:

        >マインドチェンジ
        振り切った先が無関心、無党派層御一名サマ御成~

        モシカシテ世の輿論調査に見る”支持政党無し” “わからない” “まだ決めていない” の源泉のヒトツなのカシラン??

  4. 攻撃型原潜#$%&〇X より:

    日本国憲法や国会には嘗て軍部が暴走して太平洋戦争へと突き進んだ過去を鑑み(と米国寄り観点だけで教育された人々により)多くの安全装置が設けられています。しかし、制度は時代と共に古くなるものであり、今や「与党が多数決の暴力を振り回す危険を回避するための制度」を最大限に活用した左派の国政妨害活動は目に余るものがあります。
    人道的観点や日本国憲法で保障されている権利を標榜すれば批判されにくいのをよいことに、もっと優先させるべき法案提出を妨害し、そのアイデアが出ない時は、もり・かけ・桜うな丼のような曖昧なスキャンダル探しに熱心なようです。

    それはそうと、アメリカでは中国資本によるアメリカの不動産取得を禁止する法案を作る動きが加速しているようです。広大な国土を持つアメリカよりも土地が狭く、既に手遅れとなった不動産について中国資本が保持し続けることまで更に踏み込んで制限せねば、安全保障も保証できなくなりそうな日本こそ法案を急ぐ必要があると思います。
    まあ法案作成以前の段階で、売買の自由侵害だとか何かにつけて左派が不要不急の法案提出やスキャンダルという常套手段を使って潰しにくるのでしょうね。難民の人権もさることながら、ワシらの人権も風前の灯火なんだけどな。
    関係ない話ですみません。

    1. 引っ掛かったオタク@対中非課税障壁建立祈願?? より:

      “住居”については京都市の増税手法を応用できるかもしれませんです、はい
      逆手に大挙大陸脱出してこられると藪蛇なので上手い手を考えなあきまへんけど

      1. 攻撃型原潜#$%&〇X より:

        そうどすなー

  5. naga より:

    立憲民主(共産なども)明らかに外国人のためのことしかしない。一件日本人のために見えても外国人を利するための当て馬的な扱いしかない。その他の野党はそうならないようにしてもらいたい。維新は躍進したかもしれないが注意して欲しい。

  6. カズ より:

    >今度は難民保護法:国民がそれを望んだのでしょうか?
    投票権の無い金主〔非公式支援組織?〕の要望なのでは?

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