共産県議が知事に多選批判→知事「志位氏に伝えたい」

宮城県の村井嘉浩知事に対し、宮城県議会で日本共産党の県議が2月、一般質問で「長くやり続けると、誰の意見も聞かなくなる」、「辞めた方が良い」と述べたところ、村井知事が「その言葉を共産党の志位委員長に是非お伝えしたい」と応じ、本会議場には笑い声と抗議の声が同時に上がったのだそうです。

宮城県知事は「多選」ではあるが…

ちょっとした話題です。

宮城県の村井嘉浩知事といえば、2005年10月の宮城県知事選で当選して以降、09年、13年、17年、21年と5期連続・18年近く在職している人物です。もし25年10月の選挙に出馬すれば過去最多の6選となるでしょう。

【参考】宮城県の村井知事

(【出所】宮城県庁『宮城県知事 村井嘉浩からのメッセージ』)

また、宮城県外の人であっても、2011年3月の東日本大震災から数ヵ月後、当時の菅直人内閣下における松本龍・東日本大震災復興担当大臣(2018年7月没)から罵倒されたシーンを覚えていらっしゃる方は多いと思います。

(※ちなみに松本大臣はそのシーンが全国で放映されたことで批判を呼び、わずか2日後に大臣辞任に追い込まれています。)

いずれにせよ、村井氏が長期間、県知事を務めることを巡っては、「長期政権」などの批判があることも間違いありません。酷い事例になると、「長期政権」イコール「独裁」、などと批判する者もいるようです。

村井氏は民主的に選ばれた人物

ただ、現在の日本に多選を禁止する法律上の規定が存在しないことと、村井氏自身、(少なくとも選挙に関しては)不正もなく、正々堂々と実施された選挙で当選しているため、村井氏が県知事を務めることに法的な問題点はいっさいありません。

とりわけ、調べてみると、17年10月の宮城県知事選では村井氏は過去最多となる80万票を超える圧倒的多数で当選を果たしており、21年10月の得票数はそれを下回ったものの、それでも70万票近い得票で当選しています(※ただし、特に21年の選挙の投票率は50%台に下がっていますが)。

投票率がさほど高くないという点はさておき、少なくとも投票した有権者の圧倒的多数が村井氏を支持しているわけであり、こうした事情を踏まえると、民主的に適正な手続で選ばれた村井氏を「独裁者」と呼ぶのは明らかな間違いでしょう。

共産党議員「辞めた方が良い」→村井知事の返しが秀逸!

ところで、その村井氏に対し、宮城県議会の2月定例会の一般質問で、日本共産党の議員から「長くやり続けると、誰の意見も聞かなくなる」、「辞めた方が良い」、とする発言があったのだそうです。

村井知事「その言葉を志位委員長に是非お伝えしたい」共産党議員の「長く続けると誰の意見も聞かなくなる」発言に応酬

―――2023/03/02 12:26付 Yahoo!ニュースより【tbc東北放送配信】

たしかに18年近く県知事を務めている村井氏が、一般的な地方自治体の首長のなかでは在任期間が長いことは間違いないでしょうし、あくまでも一般論として、「同じ人が同じ職を長期間勤め続けることの弊害」という議論が成り立つことは間違いありません。

ただ、これに対する村井知事の返しが、秀逸というほかありません。

東北放送によると、村井知事が「その言葉を共産党の志位委員長に是非お伝えしたい」と応じたところ、「この一連のやり取りを受け、本会議場には笑い声と抗議の声が同時に上がった」のだそうです。

本当に素晴らしい返しと言わざるを得ません。

志位氏は民主的に選ばれた人物ではない

志位和夫氏といえば、民主的な手続を経ることなしに、日本共産党という国政政党の党委員長の座に20年以上居座っています。というよりも、日本共産党で一般党員や所属国会議員などによる民主的な選挙が行われたという話は聞きません。

それどころか、日本共産党は「党首公選制」を唱えたジャーナリストを党から除名処分にしただけでなく、志位委員長自身も民主主義を正面から否定する発言を行っています(『直接選挙が「非民主的」?共産党の志位委員長の謎主張』等参照)。

「民主集中制」なる事実上の独裁体制を敷き、破防法に基づく公安調査庁の調査対象団体となっている日本共産党のような政党が存続を許されているというのは、いかがなものか、という気もします。

この点、日本はたしかに自由・民主主義国家ではありますので、どんな主義・主張を掲げるのも基本的には自由です。しかし、日本共産党の在り方は、自由・民主主義を正面から否定するものでもあります。日本共産党が政権を獲得するようなことがあれば、自由・民主主義自体が脅威にさらされます。

もっとも、正直、今回の村井氏とのやり取りでもわかるとおり、日本共産党所属の政治家は、決して聡明とはいえません。党の存在自体が自由・民主主義に反しているという点もさることながら、党内で異論を述べたら除名されるという仕組みが、議論に対する極端な弱さの原因でもあるのでしょう。

いずれにせよ、社会のネット化が進み、新聞、テレビなどのオールドメディアの情報独占が崩れることで、有権者は徐々に、官僚やオールドメディアには騙されなくなり始めています。

日本共産党という政党も、「騙されなくなった有権者」による選挙という手段を通じ、政治の舞台からは徐々に排除されていく運命にあると信じたいものです。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 七味 より:

    共産県議の発言は、実は自党への批判を婉曲に行ったものだったりして・・・・・・

    とすると、党内ではなく県議会という公の場にいきなり持ち出したということで、発言者も除名されたりするのかな?

    は(⑉˙ᗜ˙⑉)て??

  2. 甲茶が飲みたい より:

    この知事の返しは見事ですよね、非常に良い。

    ただ、共産党の言う「民主的」は「民主集中制」での民主的であり、日本で一般に言われる「民主的」とは異なるのではないかと見ています。
    前提が違うのでかみ合わないでしょうし、そんな民主的の概念が異端な共産党のいう事がオカシイのは仕方ないのではないかと思います。

    1. 匿名 より:

      普通の民主: 民が主(しゅ)
      共産党の民主:(共産党が)民の主(あるじ)

    2. ムッシュ林 より:

      中国共産党も中国には民主があると言ってます。中国ではよく街中に民主、人権、法治、自由などのスローガンが掲げられてます。

      1. がみ より:

        日本共産党と中国共産党に共通するのは、党員以外は民ですらないということかと。

  3. naga より:

    今後は多選だの独裁だのと批判しづらくなりますね。
    普通ならそう考えますが、そんなこと気にせず批判するのかな。

    1. 世相マンボウ* より:

      普通なら、
      批判しづらくなる(>.<);
      と窮するところなのですが、
      なんせそこは、共産党さんなのですから(笑)
      「やばっ!アベがぁ~独裁(?)を
       もっと言いまくってやる~!」
      と頑張るんだろうなあと思いますよ。

      一応、政党として見てあげてますが
      平和な江戸時代にも
      山賊追い剥ぎは居たもので、
      同じように考えるはずだとは
      あてはまらないことでしょう。

  4. HN忘れた より:

    そういえば、安倍が10年ぐらいやったとき、志位さんが長期政権を批判してましたっけ。そのとき志位さんはすでに20年近く党のトップでした。 そっち側の人は鏡など見ないんですね。

  5. 引きこもり中年 より:

    毎度、ばかばかしいお話しを。
    ①共産党:「共産党の高齢の支持者は、共産党党首が代わることに耐えられない」
    ②共産党:「宮城県議会では、共産党に反論することは禁止されている」
    ③共産党:「宮城県知事の多選は許されないが、共産党党首の多選は許される。なぜなら、県知事は誰でもできるが、共産党党首は志位党首でなければ務まらないからだ」
    これって、笑い話ですよね。
    蛇足ですが、この宮城県議会でのやり取りは、(ローカルニュースかもしれませんが)オールドメディアで報道されるのでしょうか。

  6. 北麓のメガじい より:

    Colaboの元締めだから「詐欺師」ばかりだよ。

  7. めがねのおやじ より:

    そう言えば松本龍大臣がソファに座ったまま、村井知事と岩手県の知事を立たせたままで怒鳴りまくってましたね(失笑)。 順番は覚えて無いですが、
    ①長幼の礼儀を弁えろ。
    ②知事が先に応接室で賓客を待つのが当然だ。
    ③何かして欲しかったら知恵を出せ。知恵の無い者は汗をかけ。
    ④このままなら(政府は)動かんぞ。
    ⑤私は九州のもんやから、仙台や宮城や言われても良く分からん。説明しろ。

    確か福岡県選出で板付空港時代から土地絡みで顔役になった方です(父親が)。、、、怖い人だったんだー。
    こんな大臣でした。失礼極まりない。大臣と県知事ならシロウト目には同じぐらいに見えますが(なんせ、大臣はコロコロ変わる。知事は4年安泰だ)。

    村井知事が志位和夫氏への言及をしたら、議事が止まり共産党議員が喚いたとか。是非、共産党議員から志位氏に聞いて貰いたいもんだ。そしたらあの幹部同様に、抹消かな(爆笑)。

  8. sqsq より:

    松本龍って部落解放運動の松本治一郎の孫でしょ。

    1. ken より:

      東北では、それ系の忖度がないので地元テレビ局が、この大臣言いたいこと言いやがってと放送したとか。岩手では県庁前で知事にサッカーボールを蹴り込んでた覚えが。微笑ましい方でしたw

  9. クロワッサン より:

    >別の共産党県議団所属の議員が議事進行を申し立て、今後、発言の扱いについて協議が行われる見通しです。

    どんな詭弁を持ち出すか、面白そうです。

    三浦一敏議員は「親分である志位和夫に恥をかかせた」って事で辞職とか除名処分になったりするんですかね?笑

    1. 志位志位Lemon(Lemonにはできそこない、欠陥品の意味あり) より:

      志位委員長には配下の党員を恣意的に扱う権限がありますからね(笑)

      1. クロワッサン より:

        志位的な価値観を共有しないものには「君はまだ日本共産党の流儀を理解出来ていない」と屠る権力って事ですね笑

  10. 同業者 より:

    その現場、見たかったですね。
    その答弁を聞いた三浦一敏県議の顔で、日本共産党の体質が分りますからね。
    「その言葉、志位委員長に告げ口してやろうか」とも受け取れる答弁ですから。
    おそらく真っ青になったのではないでしょうか。

    その場で志位委員長に電話をして、「県議会で三浦県議が「長くやり続けると、誰の意見も聞かなくなる」と言ってますが、それは事実でしょうか?、「辞めた方が良い」とも言っていますが、お辞めになるのでしょうか?」と聞けば、もっと面黒かったのですが。

  11. G より:

    要するに『無選』の組織に属する人が多選に対して批判をしたという笑い話ですね。

    小規模な組織において、選挙を行わず全員一致で団結するのが、必ずしも民主的でないとも言えないと思っています。意見が違うなら組織を離脱することもできるわけですし。

    ただ、多選批判って要するに有権者に対する批判ですよね。4年ごとに最多の票を1人の人物に与え続けた県民に対する批判。

    県知事の秀逸な返しが共産党への侮辱行為なら、多選批判は有権者、県民に対する侮辱行為。まあそうなります。

  12. 宮城県民 より:

    まず、村井知事は知事選挙で当選した知事であり、その選択は宮城県民によるものです。
    長期政権の弊害は県民が判断することであって、いち県議が辞任を迫るような筋合いものではありません。
    政策質問するネタを思いつかなかったから無理筋の質問で時間を使ったのでは。

    当地の住民としては、村井知事に対しては、震災当時の指揮や復興政策など、
    必ずしも充分とはいえないとしても、県民の期待に沿う姿勢は一貫していると思っています。
    投票率が低いのは、県民の村井氏への信頼が厚く、対抗候補が論点を作れないことにあると考えます。

    宮城はかつて、県知事と仙台市長が相次いで逮捕されるという混乱がありました。
    それを受けて当選した県知事は主観的政策で県政だけでなく地元経済までもズタボロに破壊しました(個人的意見)。
    宮城県民にはその悔恨があります。

    あくまで個人的な考えですが、ほかに余程優れた知事候補が出てこない限り、
    宮城県民による村井知事への信頼は揺るがないものと思います。
    私自身、村井知事が居なくなってしまったら県の行政はどうなるのか、と心配しています。

    件の県議がいかな意図で県政運営と無関係な質問をしたのかは知りませんが、
    村井知事の返しの絶妙な返答こそが、長期的に知事選で選ばれ続けているのはなぜかを表現しているのではないでしょうか。

  13. WindKnight.jp より:

    確かに、オール与党体制の上で多選なので、色々ありそうだけどね。震災もあったし。
    にしても、まだ、62歳ですか・・・。
    ま、70になるまでには、後継者をなんとかしないと。

  14. 匿名 より:

    最も民主的な組織では、構成員は指導部の指導を受けないといけないのです。

  15. 匿名 より:

    ・「長くやり続けると、誰の意見も聞かなくなる」と批判するならば、党首公選制を否定し委員長の座に居座り続けている志位氏も批判されるべき。
    ・村井知事が多選であることを批判するならば、共産党の志位委員長も(衆議院選挙において)多選であるので批判されるべき。
    これは、ブーメランを投げたら2つに分裂して返ってきたようなもの。

  16. 元日本共産党員名無し より:

    ちょっと前まで日共は多選批判なんか言わなかった記憶。毎回選ばれるのはそれだけ人気と人望がその地域であるわけで。
    若い議員みたいだが劣化したのを感じます。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

匿名 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告