韓国紙『中央日報』は2日、日韓首脳が3月10日に東京で開催される予定の『WBC日韓戦』をともに観戦することを計画している、などと報じました。自称元徴用工問題の解決策を2月末に発表し、その直後の「3・1独立節」演説で尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領が「未来志向の協力関係」を謳うことで、日韓関係正常化の号砲としたうえで日韓シャトル外交を復活させるのだそうです。もし日本政府がこんな与太話に応じたら、むしろ日本国民の怒りが岸田文雄首相に向かうことは火を見るより明らかなのですが…。
目次
日本の譲歩を前提にした関係改善論
なぜか年初から相次ぐ「日韓関係『改善』論」
著者自身、「日韓関係『改善』論」が年明け以降、日韓のメディアで相次いで出て来るようになったことを訝しんでいる人間のひとりです。
これまでの経緯を振り返っておくと、まずは韓国政府・外交部が1月12日、「公開討論会」を開催し、日韓間の懸案のひとつである自称元徴用工問題を巡り、財団による併存的債務引受(ないし第三者弁済)方式での「解決案」を提示。
その後、これに呼応するかのように、「韓国政府が強制徴用問題(※自称元徴用工問題のこと)の解決策を出せば、日本政府も輸出規制措置(※対韓輸出管理適正化措置のこと)を撤回する」、などとする報道が、韓国だけでなく日本のメディアからも相次いでいます。
たとえば韓国『中央日報』(日本語版)が1月16日付で報じた内容――日本政府が▼輸出規制解除、▼ホワイトリスト編入、▼シャトル外交再開、▼日本企業の財団寄付金の募集、といった『呼応措置』を発表する――はその典型例でしょう(『韓国紙「強制徴用解決策に日本政府が呼応措置発表へ」』等参照)。
またしても、韓国メディアがなかなかに強烈な話題を報じました。自称元徴用工問題を巡る「財団方式による解決案」に関連し、日本政府が▼輸出規制の解除、▼ホワイトリストへの編入、▼シャトル外交の再開、▼日本企業に対する財団への寄付金の募集――、といった「呼応措置」を発表する、というのです。基本的な事実関係にも齟齬があるなど、ツッコミどころ満載です。強烈な報道自称元徴用工問題を巡り、韓国政府・外交部が先週公表した「財団方式による解決案」に関連し、なんだか強烈な報道がありました。韓国発徴用対応策に合わせて日本... 韓国紙「強制徴用解決策に日本政府が呼応措置発表へ」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
中央日報の報道を裏付けた産経の記事
当ウェブサイトでは当初、この中央日報の記事についてはあまりにも突拍子がないものであり、さすがに飛ばし報道のたぐいの与太話だろう、などと軽く考えていました。
とくに対韓輸出管理適正化措置は自称元徴用工問題とそもそも無関係であり、この措置を自称元徴用工問題と絡めて「解除」すれば、まるでこの措置が対韓制裁だったことを日本政府が認めてしまうことにつながりかねない(『韓国をホワイト国に戻してはならない輸出管理上の理由』等参照)ものです。
韓国政府が日本政府に対し、輸出「規制」の撤回と「ホワイト国リスト」への韓国の編入を強く要求しているようであることは、ここ数日の韓国メディアの報道でも明らかです。しかし、そもそも日本政府が対韓輸出管理適正化措置を発動した原因――日韓の信頼が損なわれた状況で、韓国が輸出管理を巡って不適切な事例を発生させたうえ、WTO提訴をしたことなど――が除去されていない以上、日本政府は韓国側の要求に応じることはできませんし、応じてはなりません。無名の専門家がウェブ評論をする時代社会のインターネット化に伴い、興味深... 韓国をホワイト国に戻してはならない輸出管理上の理由 - 新宿会計士の政治経済評論 |
しかし、たとえば産経ニュースが1月28日付で報じた内容は、上記中央日報の報道内容と微妙に重なるものでした(『産経「ホワイト国復帰」記事、ロジックは「穴だらけ」』等参照)。
「韓国をホワイト国に戻してはならない」とする当ウェブサイトの昨日の記事とまったく同時刻に、産経ニュースは「独自」と銘打って、『韓国の「ホワイト国」復帰検討、徴用工見極め判断』と題した記事を配信しました。まさに真逆の内容です。ただ、産経の記事自体、事実誤認も多く、ロジックもかなりお粗末です。これはおそらく「産経記者の不勉強」ではなく、情報源である日本政府関係者あたりが考えている内容を、産経が「確信犯」的に報じたのではないでしょうか。ホワイト国にふさわしくない韓国なぜ韓国をホワイト国に戻してはな... 産経「ホワイト国復帰」記事、ロジックは「穴だらけ」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
なぜ産経が「ホワイト国復帰」を報じたのかについては、よくわかりません。
現時点で考えられる仮説を2つほど提示しておくと、①外務省による産経新聞の買収、②産経新聞による対韓譲歩潰し、といったところでしょうか。
このうち1つ目は、「対韓譲歩をしようとすればきっと大騒ぎするであろう産経新聞を黙らせるために、外務省が産経新聞に『特ダネ』を渡した」、とするものですが、このように考えれば、たしかに産経の(内容的にもロジック的にも誤りだらけの)報道は、筋が通っています。
また、2つ目は、「産経が外務省の裏をかき、わざとセンセーショナルに報じることで日本国内の保守派のネガティブな反応を引き出しておき、結果的に対韓輸出管理適正化措置の撤回そのものを潰してしまう」、というものですが、これはちょっと裏読みのし過ぎかもしれません。
日本政府が公式に否定しないこと自体が問題
ただ、16日の中央日報の報道を裏付ける日本のメディアの報道は、この産経の記事だけではありません。たとえば28日付で、今度は共同通信が「日本政府が過去のおわびの談話などを承継すると発表することを検討している」などと報じています(『「日本が過去のおわびの談話の継承を検討」=共同通信』等参照)。
何とかの考え、休むに似たりと言います。ここ数日、日本政府が韓国に対し、「輸出管理上、ホワイト国に戻す」だの、「謝罪の気持ちを改めて表明する」だのといった報道が相次いでいるのですが、もしこれらの構想が「広島サミット花道論」も出てきた岸田文雄・現首相が「功を焦っている」証拠なのだとしたら、非常に由々しき話です。ただ、それと同時にネット世論はこうした「対韓譲歩」に否定的であるようです。ちょっとしたお知らせ最初にお知らせです。とある理由があって、本日以降しばらくの間、当ウェブサイトの更新頻度が低下す... 「日本が過去のおわびの談話の継承を検討」=共同通信 - 新宿会計士の政治経済評論 |
いずれも事実ならば、とんでもない話と言わざるを得ません。
いちおう、これらの情報については、(韓国政府からの公式発表を除けば)いずれも日韓のメディアが報じたものに過ぎず、日本政府が公式に出してきたものではありません。
しかし、これだけ一方的な報道が相次いでいるにも関わらず、日本政府(たとえば松野博一官房長官あたり)が報道を公式に否定する声明を出していないことは、日本政府(というよりも、外務省あたりでしょうか?)が水面下で韓国側と「内通」しているのではないか、との疑念を国民に生じさせても仕方がありません。
そもそも論ですが、先日の『「日本に非を認めさせる努力」しかしていない韓国政府』でも指摘したとおり、現在、韓国が行っているのは、「問題を解決する努力」ではありません。「日本に非を認めさせるための努力」です。
当ウェブサイトに優れたコメントを残してくださる「カズ」様という読者の方が、またしても重要なことを指摘しました。自称元徴用工問題を巡って、韓国政府は「日本に非を認めさせる」ための努力しかしていない、というのです。まったく言い得て妙と言わざるを得ません。もっとも、こうした韓国政府の努力も徒労に終わる可能性が出てきました。福島第一原発ALPS処理水、佐渡金山世界遺産登録という、韓国自身の強欲が作り出した問題がその原因です歴史問題とその対応日韓諸懸案を象徴する「自称元慰安婦問題」日韓諸懸案の象徴であ... 「日本に非を認めさせる努力」しかしていない韓国政府 - 新宿会計士の政治経済評論 |
この「韓国が行っているのは日本に非を認めさせるための努力だ」、は、当ウェブサイトにしばしば無慈悲なコメントを残していくことで知られる「カズ」様という読者の方から寄せられた、、こんな趣旨の心無いコメントを、そのまま流用したものです。
「ことの本質は、『歴史問題』という名の『日本の債務』を問う問題であり、尹錫悦政権が示したのは『呼応すれば罪が確定』の解決策。韓国政府は自称元徴用工問題を巡って『日本に非を認めさせるための努力』しかしていない。したがってそもそも『呼応すること』自体が適切ではない」。
この文章、日本の外務省関係者にも政治家にも、100回くらい読んでいただきたいところです。
そもそも論ですが、自称元徴用工問題を巡って韓国政府が出してきている「解決策」自体、うっかり容認してしまえば、日本に債務が存在することを日本政府自身が認めてしまうという見え透いた罠であり、いまこのタイミングでこれを呑むメリットは、日本には皆無だからです。
鈴置氏「キシダは騙せても日本の世論は誤魔化せない」
こうしたなか、昨日の『鈴置論考で読む「台湾を見捨てず韓国を見捨てる日本」』でも取り上げた、日本で最も信頼すべき韓国観察者のひとりである鈴置高史氏の最新論考については、読めば読むほど奥が深い、大変示唆に富んだ記事であると思わざるを得ません。
隠れたテーマは「キシダは騙せても国民は騙せない」「キシダは騙せても世論は騙せない」。抑制の効いた筆致ながら、本質をえぐる優れた論考が出てきました。日本でも最も信頼すべき韓国観察者である鈴置高史氏が、台湾有事と半島有事を関連付け、そのときに日本がいかなる態度をとるか、現在の韓国が日本にとって助けるにふさわしい国なのかを議論する、極めて深いテーマの論考です。しかも、転載先の『Yahoo!ニュース』の読者コメント欄のレベルの高さが、「世論は騙せない」という鈴置論考の正しさを実証しているというオチまで付い... 鈴置論考で読む「台湾を見捨てず韓国を見捨てる日本」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
原文は次のリンクで読めますので、まだの方は是非ともご一読をお願いしたいと思います。
台湾有事が引き起こす第2次朝鮮戦争 米日の助けなしで韓国軍は国を守れるのか
韓国人が「見捨てられ」を恐れ始めた。台湾有事となれば北朝鮮が韓国を挑発する可能性が一気に高まる。その時、米国と日本は台湾支援にかかりきりになっているのだ。「一人で戦え」と突き放される隣国は核武装に走ると韓国観察者の鈴置高史氏は読む。<<…続きを読む>>
―――2023年02月01日付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より
このなかで、著者自身がこれから何度も繰り返し座右の銘にしておきたいと思うほど優れていると感じたのは、こんなくだりです。
「しかし、『キシダ』は騙せても日本の世論は誤魔化せません。それどころか、こんな猿芝居を演じ続ければ、日本人をますます怒らせてしまいます。韓国の外交部は狡猾な外交ゲームを展開しているつもりでしょうが、朝鮮半島有事を考えると、国を亡国の道に追い込んでいるとしか思えません」。
鈴置氏の抑制の効いた筆致から垣間見えるのは、(「カズ」様の言を借りれば)「日本に非を認めさせるための努力」しかしていない韓国外交部に対する強い怒りであり、返す刀でその下手な「猿芝居」を演じる韓国外交部の罠にわざわざ引っかかりに行こうとしている岸田文雄政権に対する強い怒りでもあります。
ただ、それ以上に、この文章を読んでいて面白いのは、「日本人をますます怒らせてしま」ったとして、その「日本人の怒り」が向かう先が韓国政府だけではなく、宏池会政権と日本の外務省である、という点を、行間から読み取ることができる点にあります。
正直、この鈴置氏の文章力、素直に「凄い」と感じ入ります。
国民をバカにする日本政府
腐敗トライアングルの終焉
さて、当ウェブサイトの持論をひとつ申し上げておくならば、昨年の『【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」』などでも論じたとおり、昨今のネット化する社会では、官僚組織とオールドメディア、そして特定野党議員といった「腐敗のトライアングル」が、音を立てて崩れ始めています。
社会のネット化が進展して、一番困る人たちは新聞・テレビを中心とするオールドメディア産業関係者であることは間違いありませんが、それだけではありません。官僚・役人や野党議員なども、かなりの割を食うことが予想されます。いったいどういうロジックでしょうか。ここで考えておきたいのが「腐敗トライアングル」という重要な論点です。腐敗トライアングル昨日の『騙せなくなる日本:「自称徴用工」年内妥結は困難に?』では、自称元徴用工問題に見せかけて、当ウェブサイトなりのちょっとした「問題意識」を展開しました。それが... 【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
外務省など、この「腐敗トライアングル」の恩恵を受けてきた組織の典型例です。
べつに外務省の役人は日本国民から直接選挙された者たちではありませんが、潤沢な外交予算や各国大使ポストなどを武器に、身の丈以上に大きな権限を得てきましたし、自分たちの利権を維持・拡大するために、ときとして平然と国益を損ねてきたからです。
国民が怒りのあまり、選挙で自民党に「お灸を据える」行動をしたとしても、外務省の役人にとっては、痛くもかゆくもありません。むしろ政権与党の力が弱まれば、役所としてはより好き勝手利権の拡大にいそしむことができるようになるため、都合が良いとすらいえるのです。
ちなみにこの構造は、べつに外務省に限った問題ではありません。増税利権を死守する財務省、NHK利権を死守する総務省、F欄大学を死守する文科省、レジ袋利権を死守する環境省、あるいは最近のトレンドだと、「男女共同参画予算」などの利権を死守する厚生労働省も、みな同じ穴の狢です。
このように考えていくと、自称元徴用工問題で韓国に譲歩しようとしているのも、「厳しい安保環境で日韓関係の改善が必要」などとする「朝鮮半島生命線説」を唱えるのも、「日韓関係が改善することで利益を得る者たち」が外務省内にいることの証拠でしょう。
裏を返して言えば、自称元徴用工問題自体も、韓国というフィルターを通じ、日本の霞が関の闇を暴く格好の材料となっているのかもしれません。
余談ですが、選挙によらず不当な手段で身の丈以上の権力を握り、国益を損ねる行動を取り続ける者たちについては、いずれ国民の力で駆除しなければなりません(※この点、著者自身はそれが可能だと考えているのですが、これについては本稿の範囲を超えますので、いずれどこかでまとめて議論したいと思います)。
中央日報、今度は「WBC共同観戦」
もっとも、日本の側に「国益を売り渡してでも韓国に媚を売る」という者たちがいることは間違いないと考えられるのですが、その一方で、韓国の側があまりにも強欲過ぎるがために、日本の世論の怒りの火に油を注ぐような記事が出て来ることもあるようです。
こうしたなかで、昨日は中央日報が強烈な記事を配信していました。不思議なことに、日本語版には見当たりません。
【単独】尹・岸田「WBC韓日戦」観覧推進…徴用解決のきっかけになる【※韓国語】
―――2023/02/02付 msnより【中央日報配信】
(※理由は不明ですが、中央日報・韓国語版の記事は、中央日報以外のサイトに配信された記事しか閲覧することができません。したがって、上記リンクもmsnに転載されたものを紹介していますので、この点についてはご了承ください。)
中央日報は2日、韓国政府が「強制徴用」解決法を発表して以降、「今年上半期内に韓日関係正常化の第一段階を完成させるための連鎖的な日程を計画している」と報じました。
というのも、来年4月の国会議員総選挙を控え、韓国国内で本格的な選挙シーズンに突入する直前というタイミングでもあり、「韓日関係のための大きな課題を終え、未来志向的な協力関係の土台を強化する」というシナリオがあるからなのだそうです。
問題の日程とは?
そのうえ、おもわずのけぞってしまうのが、自称元徴用工問題の解決策の正式発表と同時に、尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領が日本を訪問し、3月10日に東京で行われるWBC日韓戦を、岸田首相と共同で観戦する、という計画なのだそうです。
これについて中央日報は次のように述べています。
「1日の中央日報の取材を総合すれば、政府と大統領室が構想中の上半期対日外交日程は『強制徴用解法発表(2月末)→尹錫悦大統領の3・1節記念演説→韓日首脳WBC韓日戦観覧(3月10日)→G7首脳会談出席(5月)』などだ」。
具体的には、自称元徴用工問題が日韓関係正常化の信号弾になる見通しとして、その具体的な解決方法の発表時点は2月末(27日ないし28日)を念頭に置き、その直後の3・1節には「日韓の未来志向的協力」を強調する内容が盛り込まれる、というのです。
これについて政府関係者は中央日報に対し、「輸出規制とGSOMIAなど両国間に蓄積された悪材料を順次解消する動力が発生することが期待される」、などと述べたのだとか。
さらに驚くのは、こんな趣旨の記載です。
「政府は強制徴用解法発表と3・1節記念式典以降、韓日首脳が両国を行き来する『シャトル外交』復元を始動する予定だ。とくに3月10日、日本の東京ドームで開かれる『2023ワールドベースボールクラシック(WBC)』韓日戦の試合が首脳外交復元の契機として急浮上した」。
鈴置氏の言を借りるなら、まさに普通の日本人を激怒させるに十分な記事といえます。なるほど、2日付の中央日報の日本語版サイトをひっくり返しても、掲載されていない理由は何となく想像がつきます。
そもそも韓国側が発表した財団方式自体、自称元徴用工問題の解決策にまったくなっていないどころか、これを呑めば日本が非を認めてしまうだけでなく、日本政府自身が日韓請求権協定を否定しかねないほどの猿芝居なのです。
しかも、2015年の日韓慰安婦合意を反故にされた日本が、「財団方式」を再び認めるなどあり得ません。さすがにSNSなどを通じ、有権者の怒りが自民党議員に殺到するであろうことが容易に想像できますし、いかに空気を読むのが苦手な岸田首相でも、これが岸田おろしの号砲につながることくらい理解すべきでしょう。
「韓国との関係は大切だ」、これって本当?
さて、繰り返しになりますが、「安全保障環境が厳しさを増すなかで、日韓協力は重要だ」、とする言説についても、もう一度ツッコミを入れておきましょう。
当たり前の話ですが、日韓・日米韓連携は、「現時点では」重要であり、これを取りやめるという選択肢は、「現時点では」日本にはありません。したがって、最低限、日韓・日米韓連携を推進しなければなりませんし、これに議論の余地はありません。
ただ、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していることは事実ですが、ここで最も重要なのは、「韓国との関係を改善したら、その安全保障環境が好転するのかどうか」という視点です。はたして、自称元徴用工問題で日本が韓国に譲歩することが、安全保障環境の好転に具体的にどのように貢献するのでしょうか?
この点に、「日韓関係改善論者」は頑なに答えようとしません。
というよりも、昨日紹介した鈴置論考でも指摘されていた通り、むしろ台湾有事と半島有事が同時に発生するような事態に陥るならば(というよりも、その可能性は極めて高いです)、日韓間の良好な関係を必要とするのは、むしろ韓国の側です。
そして、台湾有事と半島有事だと、日本にとっての優先順位が高いのは台湾有事の方であり、(鈴置論考ではそこまで指摘されていませんでしたが)極論すれば、日米は台湾を選び、韓国を捨てるという選択を取る可能性すらあるでしょう。
本来なら韓国こそ「誠意」を示すべきだった
したがって、韓国政府は自称元徴用工問題でも、「本当の意味での解決」――、すなわち、最低でも、韓国が「①ウソをつくのを止め、②約束を守り、③自分たちの不法行為によって日本に生じさせた損害を賠償して謝罪する」ことに向けた努力が必要でした。
日韓諸懸案の解決に必要な最低3つの要素
①「韓国が」ウソをつくのをただちに止めること。
②「韓国が」国際法、条約、約束をきちんと守り、誠実に履行すること。
③「韓国が」これまで日本に与えた損害を賠償し、謝罪すること。
(【出所】著者作成)
それなのに、韓国政府は尹錫悦政権発足以降の8ヵ月間のゴールデンタイムを、ひたすら「日本に非を認めさせるための努力」に費やしてしまったのです。韓国政府側は事あるごとに「日本の誠意ある呼応が必要だ」と述べますが、「誠意」が必要なのは韓国の側だった、というわけです。
正直、もう手遅れでしょう。
どうする、岸田?
ついでに宏池会政権を率いる岸田首相についても考えておきましょう。
昨年の「1兆円増税」構想でケチをつけた宏池会政権にとっても、自称元徴用工問題を含めた日韓諸懸案で韓国に譲歩するかどうかは、政権の分水嶺のひとつであることは間違いありません。
韓国に2回騙された岸田首相本人がまた韓国に騙される(つまり「二度あることは三度ある」が実現する)とは思いたくありませんし、今度こそは引っかからない(つまり「三度目の正直」となる)ことを願いたいところですが、こればかりは正直、わかりません。
ただ、ひとつだけ間違いないことがあるとしたら、宏池会政権、外務省、日韓議連、新聞、テレビなどがこぞって韓国に騙されに行こうとしていたとしても、少なくとも「日本国民は」、もう絶対に騙されない、ということではないかと思う次第です。
View Comments (38)
産経新聞の日韓野球観戦に対する賛成極めて多数のコメントより抜粋:「外交当局だけが、国民理解を飛び越えて交渉しているようにしか見えない」、「スポーツの政治利用を躊躇なく実行できる隣国、仮にそれに迎合するような政治家を来場するファンは勿論のこと日本国民は受け入れないだろう」、「もう関わらなくていいって」、「赤組の人たち除けば多くの人々は反対だと思います」。
このニュースに関しては産経新聞が「皆さん反対でしょ」と思って書いた観測気球かと思います。
観戦報道のタイトルだけではピンと来てなかったのですが、確かにその流れだと碌なもの出てきそうにないですね
まあ今の韓国世論でそういうイベント持ってこようとするならそれ位の日本に頭を下げさせた的なポーズが必要か
こっちは乗る訳には行かないですが
個人的見解です。
年初からこれまでの日韓改善記事から読み解くに
日本の輸出管理厳格化や米の半導体戦略により韓国の虎の子である半導体がヤバい状況。
だから、徴用工や仏像、wbc観戦というダメージ少ない方法で輸出管理厳格化やめろ、てことだろう。
徴用工にしたって求償権放棄するなんて公式に言ってないし、仏像も実際に返ってきたわけでもない。後でいくらでもひっくり返せる状況である事には変わりない。要は韓国は最低限の改善ポーズしかしてない。
ご意見を拝読しての私見です。
韓国に比して岸田首相の外交のやり方を見ていると、行きやすそうなところには行きそうでない問題や交渉が必要な場所には赴かない印象を覚えています。
ご指摘されている韓国の対応にも(楽に功績が積めそう、と)あっさり乗ってしまい、韓国の思惑に乗らないか心配です。
韓国側としては少ない餌で利権がいくつも手に入る可能性が高いのですから、見かけだけの良い顔だけは全力をかけるかもしれませんね。
どうもよくわからないことがROKの、日本のROKへの輸出管理の撤廃要求です。これ、廃止してもらったとして、管理強化した原因が解消されていないまま過去の事実が公になったり、戦略物資の横流しが再発覚したら、さらに厳しいDランクに落とされるとか、半導体生産設備や生産材を止められるということになって最悪の事態を招くような。
どうして管理の撤廃ばかり要求するんですかね?輸出規制が入る方がずっと恐ろしいと思うのですが。
横流ししてもバレない秘策でもあるのか、
はたまた
バレても日本のせいにできると考えているのか。
G7国とイスラエルはイランの核製造に係る疑念の中で、そこには韓国政府機関とサムスンが介在しているのではと、ネットで話題になったフッ化水素横流し事件が挙げられます。多くの状況から疑念を持たれた韓国は、横流し疑惑を何がなんでも否定しなければならず、その為には日本に保証されたAランクが錦の御旗となり、しかも輸出した当事者の日本を抱き込めば、日本と言う保証人を利用して逃げ果せると考えているフシがあります。
また、徴用工案件とAランク復帰を抱き合わせれば、横流し嫌疑のままで再びA.ランクを与えたのは日本だと、自分は悪くないと、逆手に取って徴用工を譲歩させると言う、搦め手の様に見えます。
以下、状況の列挙
・イランは原油代金請求 利子込み約80億ドル
・韓国の代替案は大量の救急車やマスク、イラン激怒
・韓国の化学薬品タンカーをイラン付近海上で拿捕船長拘束
・韓国の原油代金使い込み疑惑、
・イラン国民激怒 韓国電化製品輸入禁止
・韓国はこの問題から徹底的に逃げている様子
私は、ROKさんは、
日本が輸出管理の撤廃など
しないと知ってて
他にモロモロ不法行為から
目を逸らすためわざと重点的に
騒いでいるもので、
岸田総理が間抜けに
引っかかってきたら
思わぬ儲けものぐらいだろう
と思ってます。
この争点そらしは今まさに、
西の尹美香・東の仁藤夢乃と
並び称されるコラボでの闇が
バレそうなの隠すため
繋がり深い赤いお旗さんたちが
もはやまともに聞いてもらえない
女性の人権があと叫んで
誤魔化そうとしてるのと
同じ構図に映ります。
日本は相手になどせずに
まだ行っていない数多ある
対韓制裁第一弾をお見舞いして
差し上げるべきなのにと考えます。
毎度、ばかばかしいお話しを。
岸田総理が尹大統領と野球観戦をしたいから、総理を辞任するんだって。
おあとが、よろしいようで。
邪推ですが、韓国はホントに本気でフッ化水素が欲しいのでしょうね。
用途説明をせず横流しするための。
なりふり構わず、にじりよって来た感じ。
イランや北朝鮮あたりから、ケツを蹴られてるのかも。
こんなもん経産省に任せて首相は知らん顔してたらエエだけなので、らくな捌きなのに、取り巻きが暴走してますな。
「そんな検討はしていない」
くらいの打ち消しを即座に出さないから、イナーシャが大きくなって捌ききれなくなりそう。
「ボク頑張ったんだけど。。。」
とか言い訳する準備だとしたら腹立つなあ。
CRUSHさま
フッ化水素は他国に横流しするだけではなく、自国で保有する為とも考えられませんか?
今年初め、尹大統領は韓国の核開発の可能性に言及しました。直ちに米国に「韓国の核保有」は無いと否定されてしまいましたが、極秘開発した過去もあります。いずれはと、その野望を今でも胸の奥に秘めていると思います。
https://news.yahoo.co.jp/articles/034be40c59028cf06f54d92004872499a07b9614
ようするに、キシダフミオは韓国から徹底的に舐められている訳ですね。
舐められる、侮られるのは君主?指導者?として不適切な要素のひとつ。
キシダフミオは韓国に「舐めてんじゃねえぞ!」ってやれますかね?
河野太郎元外相は韓国に一発かましましたが、軟弱、ひ弱、優柔不断、浅慮などなど、部下がポケットに手を突っ込んだまま、など、周囲に「畏怖」を与える強さとは無縁なキシダフミオだから、多分かませないでしょうね。
嗚呼、旧統一教会による日本人女性“拉致”問題などに苦しむ被害者達には申し訳ないですが、安倍晋三氏ではなくキシダフミオが居ない世界線はどうなってましたかねぇ…
>今度は「WBC共同観戦」
「きっかけさえあれば、何でも解決できる」との思考が鼻につきます。
「彼らが、やらかしの後始末をしないまま」での握手は、悪手ですね。
>・・▼ホワイトリスト編入、▼シャトル外交再開・・
あゝ、 ”why tourist” (youは何しに?)とホワイトリストを語る虚しさよ・・。
*担当者の本音は、執拗な彼らとの折衝から一刻も早く逃れたい一心なのかもですね。
日韓首脳のWBC観戦には、断固として反対します。
第一に、野球は野球で楽しみたいのに、変なものを入れられると、台無しになります。
第二に、徴用工問題だって、仮に韓国政府が例の「財団が肩代わりする案」を発表したところで、①財団による日本企業への求償権の放棄はどうするのか②判決が出た32人だけじゃなく、係争中の1000人、韓国政府が認定した20万人はどうするのか、とか細部が固まっていない。「悪魔は細部に宿る」のであって、それなしでは手放しで喜べない
第三に、仮に徴用工問題が片付いたとしても、レーダー照射事件をどうするのか。事実を証拠を突きつけられても認めない国とは、仲良くできません。
共同通信によれば、「日本政府関係者は2日夜、徴用工問題が解決すれば可能性はある」と語ったそうですが、やめてもらいたい。
WBCは楽しみたいが、妙な政治色が加わりそうで嫌な気分になりそう。東京オリ・パラも足を引っ張るマスコミや左派のために全く楽しめませんでした。
政治家は自宅でテレビで観戦せよ。
「過去のお詫びの談話の継承」は
岸田首相過去の談話を引用して謝罪とされるでしょう。
言葉や文章はその源泉が何であれ発した人の意思として通用してしまいます。