首相長男の観光疑惑で「私用はなかった」=木原副長官

岸田首相長男の「公用車を使った物見遊山」疑惑を巡り、木原誠二・内閣官房副長官は27日午前の会見で、この長男の外国訪問中の行動について、「対外発信に使用する目的での街の風景やランドマーク等の外観の撮影」、「政治家としての首相のお土産等の購入」などであり、「観光地のなかには立ち入らなかった」、「自身や私用目的での買い物等はない」などと述べました。さて、これをどう考えるべきでしょうか。

木原副長官が本日も会見したが…

岸田文雄首相の今月の欧米5ヵ国訪問に随行した秘書官を務める長男が、公用車で観光地を訪れていたなどの疑惑を巡り、木原誠二・内閣官房副長官が26日午前の記者会見でその事実認定を避けたとする話題は、『官房副長官、首相長男「物見遊山」疑惑の事実言及せず』でも取り上げました。

木原氏は会見で、報道についての事実確認自体は行わず、「一般論」として、首相の外国訪問の際に「首相の行事に同席をしない関係者が公務上の必要上、公用車を利用して視察や訪問を行うということはある」としたうえで、「必要とされる範囲内での運用とすべきであることは当然」などと述べるにとどめた、とするものです。

ただ、この話題に「続報」が出てきました。

木原副長官は27日午前の記者会見で、TBSテレビ記者の質問に対し、次のような趣旨の内容を答えたのです(やり取りは動画の07:18~)。

  • 先般の欧州訪問時の総理秘書官の各地での行動につき、改めて点検を行った
  • 現時点での判明点としては、いずれの訪問地においても、大きくわけて3つの類型の視察・訪問を行ったが、これ以外の行動は認められなかった。その3つは次の通り
  • ①各訪問地の国際機関やシンクタンクへの訪問と関係者との意見交換
  • ②総理訪問についての対外発信に使用する目的で、街の風景やランドマーク等の外観の撮影。あくまでも写真素材集めのため近傍に立ち寄ったものであり、観光施設のなかには一切入っていない
  • ③政治家としての総理のお土産等の購入。ご自身や私用目的での買い物等はない
  • したがって個人の観光動機による行動は一切なく、観光施設への訪問時も上記目的以外での行動は行っていない。秘書官の公務としての不適切な行動はないことを現時点では確認している

…。

なんとも苦しい言い訳

言い訳としてはなんとも苦しいところです。

上記のうちの①については、(もしも事実だとすれば)そもそも問題となる行動ではありませんが、②、③については、非常にグレーでしょうし、「観光地や百貨店に公用車で出かけた」とするデイリー新潮の報道が正しかったことを、木原副長官自身が認めてしまった格好でもあります。

このうち「首相自身のお土産を購入した」とありますが、そもそも首相やその随行員の外国訪問は純然たる公費でなされているものであり、首相のお土産品購入は純然たる私用です。そうしたお土産品を、首相秘書官という公職にある者が、公用車を使って堂々と買いに行って良いものでしょうか。

また、「写真素材集め」「街の風景やランドマーク撮影」というのも、不自然極まりない動機です。もし本当に広報を目的としていたのならば、「特別職国家公務員」である首相秘書官自身が行うべき仕事なのでしょうか?外務省や内閣広報室あたりの仕事ではないでしょうか?

メディアの目が入っているなかで、行動としてはいかにも軽率だったとのそしりは免れないでしょう(※もっとも、「軽率」という意味では、「自身の長男を秘書官に任命する」という行動を含めるならば、親子同じなのかもしれませんが…)。

やはりご本人の資質の問題も?

このあたり、個人的にはデイリー新潮が報じた岸田首相長男の行動が事実だったとしても、それだけを理由に長男を秘書官職からクビにすべきだ、などとは思いません。特別職公務員の外国訪問ともなれば、そもそも公私の線引きが難しいという側面もあるからです。

しかし、昨年の「情報ダダ漏れ」疑惑もそうですが、やはり短期間で醜聞がいくつも出てくるということは、ご本人の経験不足の問題なのか、それとも資質の問題なのかはわかりませんが、親ゆずりの「脇の甘さ」がこの長男にもある、ということではないでしょうか。

このように考えていくと、首相秘書官を務めたという経歴が、ご本人にとって良かったのかどうかは微妙ではないか、などと思ってしまう次第です。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 匿名 より:

    ブログ主様も触れてたけど「政治家としてのお土産」ってパワーワードなにwww何か色々使えそう

    1. 悪徳銀行員 より:

      後援会の会長にでも渡すんですかね

  2. Sky より:

    菅前首相も自身の息子の行動に苦言を呈してましたね。本人の資質次第ではあるのですが、人生の初期段階から自分の環境が恵まれていると色々と勘違いし易いんでしょうね。

  3. 農民 より:

     本件に関しては「公用車の適切使用だったか」のみを回答しているようなので、主旨に対しては正当ではないでしょうか。お土産探しは正当で「私腹」でないならヨシ!という程度の”適切使用の範囲”そのものが問題かな。
     どこぞの泡沫党首が選挙制度の悪用みたいな運用を正当化しているアレに近い気もしますが。裁けはしないけども、周囲の悪印象は受け入れろよっていうところ。

     しかし公用車問題って、右も左も、上は本件や都知事などから下は村議会議員など、どこでも問題になりますね。利用側の認識が甘すぎるのか、噛みつきやすいだけなのか。
     いっそ公用車など無くしてしまえ、とも思うものの、安倍総理暗殺があったばかりで、外聞のためなんかにセキュリティを下げるのも問題。本件がもし「こんな私用と思われることに公用車はやめよう」と岸田翔太郎氏の意向で現地レンタカーを利用して誘拐されたとしたら、それはそれで脇が甘いと叩かれるに決まっていますし。また交通費名目の疑わしい経費やガソリンプリカ云々も増えそうですしね。

    1. 引っ掛かったオタク より:

      横っ腹に当該国の国旗なんぞペイントして「仲良くしましょう」的メッセージをデカデカと描くとかクールジャパン推しなら痛車風にするとか、在外公用車を”ド目立ち”カラーリングにして日本国旗掲げて走らせる、くらいしとけば多少は…変わらんか

  4. ねこ大好き より:

    小泉ジュニア、福田ジュニア、そして岸田ジュニア。河野ジュニアもいる。10年後の日本政界はこのジュニア達が主役なのでしょうか。暗澹たる気分になります。

  5. 簿記3級 より:

    いよいよ末期になったらビニール袋を義務付けて置きながら毎日、ステーキが食べたいなどと言い出したり、ディズニーランドに遊びに行く二世になるのでこのレベルではまた可愛いものだと思ったりします。

  6. 匿名 より:

    木原副長官の記者会見での回答内容を読む限り、これは、記者から質問が出ることをあらかじめ想定していて、聞かれたらこう答えようと準備してたやつですよね。(個人的には、「大きくわけて3つの類型の視察・訪問を行った」のところで既にツボに嵌ってしまって、笑いをこらえるのに必死でした。官邸のお偉いさんが何を調査分析して報告してるんですか)

    少なくとも、岸田総理の長男の行動内容が、「ご指摘のような事実はない」と一蹴できない程度には事実と符合しており、記者からの質問内容を否定してぶった切ることにメリットを見いだせなかったということでしょうね。むしろ、新潮にバラされた内容がかなり事実に近かったので、わざわざその内容を官邸側で改めて分類整理し直して、官邸側の視点からは問題はなかったんだと言い訳する応答要領を作成するために、かなりの労力を費やしたのではないかと、お気の毒 ですなぁと同情の念を禁じ得ないところであります。

    で、無駄に力を入れて用意した言い訳を、無駄に正当性を強調して記者会見で回答したので、聞いてる方は、「うわなにこれ余計に胡散くせえ」ってなってるってことだと思います。「過ぎたるは及ばざるがごとし」って、こういうことを言うんでしょうね。

  7. クロワッサン より:

    キシダの息子が馬鹿息子でも、キシダが引退したり死んだりすれば地盤を継いで選挙で担ぎ出されるんでしょうし、政治家の世襲も良し悪しですね。

    クリステルのバカ旦那みたいな政治家になりそう。

  8. 一之介 より:

    ひとでなし(と言われているそうな)の木原さんが
    ろくでなし(と言われているそうな)の長男をかばった。
    ってことでしょうかね?宏池会はとても仲がよろしいようで。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

匿名 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告