無責任な岸田首相「防衛費は国民が責任もって負担を」

やることをやらずに増税というのもおかしな話ですが、岸田首相はあくまでも増税を押し切るつもりなのでしょうか。岸田首相は昨日、「責任ある財源が必要」として、増税に理解を求めたそうです。安易な増税に逃げている時点で、ご自身が「責任ある態度」を取っているとは言い難いなかで、なかなかに戸惑う発言です。その一方で、高市早苗氏は昨日、「総理の真意がわからない」などとする自身の発言を巡って「罷免されるなら仕方がない」との見解を示したそうです。

財務省のロジックの誤り:税収弾性値は1.1ではない!

防衛費増額のための財源を1兆円分の増税で賄うという、岸田文雄首相による衝撃的な発言が出て来てから、世間、あるいは自民党内の反発が続いています。

財務省のロジックの誤りについてはいくつもあるのですが、その最たるものは、「経済が成長すれば税率を変えなくても税収が増える」という経済学の鉄則に正面から反していることでしょう。

経済学の基本中の基本ですが、そもそも自然に成長を続けている経済においては、財源というものは無理に増税をしなくても、経済成長による税収の自然増によって賄うことができます。『税収3兆円増えているのに「1兆円の増税が必要」の怪』でも指摘したとおり、今年は税収が過去最高を更新しています。

このあたり、財務省が「税収弾性値」、つまり「名目GDPが増えたときに税収がどの程度増えるか」という値を1.1に置いていることは有名ですが、現実のデータから見る限り、この1.1という税収弾性値自体が誤っている可能性が極めて濃厚です。

財務省の目的は税「率」の最大化

このように考えていくと、そもそもの財務省のロジックの間違いは、税「収」と税「率」を意図的に混同していることにあります。

当ウェブサイトで以前から提示してきたとおり、著者自身は財務省の目的が「日本のGDPの最大化」でもなく、ましてや「税収の最大化」でもなく、「税の最大化」「新税の創設」にあると考えています。このように考えないと、財務省の行動が合理的に説明できないからです。

もちろん、現実には政治家との駆け引きにより、「消費税等の税率を引き上げる代わりに所得税や法人税の最高税率を引き下げる」などの交渉は行われているのですが、それでも多岐にわたる税法が定められ、日本はまさに「税金地獄」になりつつあるのです。

東日本大震災直後に創設された「復興税」などもその典型例です。

病人を治すためには、まずは働かずに療養させるのと同様、本来、震災からの復興は、傷ついた経済の回復を最優先させるべく、事情が許す限りは国債発行によるべきなのです。それをなぜ、増税という形で傷ついた日本経済に負担させるのでしょうか。

財務省の役人は、国民から直接選挙で選ばれたわけでもないくせに、国家財政の入口(国税庁、国税調査権)や出口(主計局、予算配分権)を一手に握り、それによって私たち国民が選んだはずの国会議員をも上回る政治的権力を手にしてしまっています。

「自由・民主主義から逸脱したプロセスにより、不当に大きな政治権力・社会的影響力を握り、その力を悪用して国益を破壊している勢力」を「国民の敵」と呼ぶとすれば、財務省などはその「国民の敵」の総本山のようなものでしょう。

国債デフォルトの3要件を日本はひとつも充足していない!

財務省のロジックのおかしさは、それだけではありません。

そもそも国家財政は個人と異なり永続するものですし、企業と異なり国家には徴税権があります。国債が自国通貨建てであり、国内に国債引受余力があり、その国の通貨が国際的に通用するハード・カレンシーである限り、国債引受には3つのバックストップが存在します。「国内投資家」「海外投資家」「中央銀行」です。

言い換えれば、ある国の国債がデフォルト状態に追い込まれるためには、①国内投資家、②海外投資家がいずれも自国の国債を買ってくれず、これに加えて③中央銀行も国債を引き受けてくれない、という状況が生じることが必要です。これが「国債デフォルトの3要件」です。

国債デフォルトの3要件
  • ①国内投資家が国債を引き受けてくれないこと
  • ②海外投資家が国債を引き受けてくれないこと
  • ③中央銀行が国債を引き受けてくれないこと

(【出所】著者作成)

残念ながら、現在の日本では、この①の部分の条件が満たされていませんし、おそらく5年や10年の間に満たされる可能性もありません。国内で資金が余りまくっていて、銀行セクターや保険・年金セクターなどの機関投資家に資金がダブつきにダブついているからです。

また、日本円自体が国際的に通用するハード・カレンシーであることから、日本国債も利回り次第では海外投資家に買ってもらえますし、極端な話、財政法第5条の国会決議を経れば、日本国債を日銀に直接引き受けさせることだって可能です。

それに、どう頑張っても現在の日本の財政は危機的な状況とは言えません。現在の国債の利回りは10年債で0.28%、20年債でやっと1%を少し超えて1.103%、最も長い40年債ですら1.564%に過ぎないからです(※コンスタント・マチュリティ・ベース、12月12日時点)。

もし日本が財政危機ならば、国債利回りが一時のギリシャ並みに10年債で7%だの、8%だのといった水準に達しているのが自然ですが、残念ながら国債利回りは10年ゾーンで2012年4月5日に1%を割り込んで以降、一度も1%を超えていないのです。

この状況でどうやって日本が財政危機だというのでしょうか?

繰り返す!増税は「やるべきこと」をやってから!

なお、百歩、いや一万歩くらい譲って、「日本国債はたしかにたくさんあるから、少しは『借金』を減らさなきゃならない」という議論をするのであれば、増税の前にやることはいくらでもあります。その最たるものが、資産の圧縮でしょう(『生活保護に学ぶ財政再建:「増税する前に資産を売れ」』等参照)。

巨額の外為特会、巨額の財政融資資金、さらには無駄に巨額の資産を抱え込んでいるNHKなどの組織に埋もれている埋蔵金を無視し、いきなり1兆円の増税などと言われても、なかなかにリアクションに困ります。

初歩的なマクロ経済学や会計学を少しでもかじったことがあれば、増税の前にやるべきことがいくらでもあることくらいわかりそうなものでしょう。

なお、ごく一部には「増税の前にやるべきことがある」という命題を、なにやら「現実には難しい」などとする意味不明な理由で否定しようとする主張もあるようです(もしかして、当ウェブサイトには外務省に続き財務省の工作員も湧くようになったのでしょうか?こんな弱小サイトにご苦労様なことです)。

「責任ある財源を考えるべき」とする岸田首相の無責任な発言

もっとも、『高市氏ら党内・閣内関係者からも岸田首相に相次ぐ批判』などでも紹介しましたが、みたところ、岸田首相に対してはツイッターなどで保守性向の政治思想を持つ一般人に加え、自民党の党内でも総スカンを喰らっているようです。

こうした党内や世論の反発におそれをなしたのでしょうか、岸田首相は昨日、なかなか驚く発言をしたようです。

岸田首相、防衛費増額「責任ある財源考えるべき」

―――2022年12月13日 12:26付 日本経済新聞電子版より

日経電子版の報道によると、岸田首相は13日の自民党役員会で、防衛費の増額を巡り「責任ある財源を考えるべき」としたうえで、「いまを生きる国民が自らの責任としてしっかり重みを背負って対応すべきもの」、などと述べたのだそうです。

そのうえで岸田首相は、「自らの暮らしを守り、国を守るという国民一人ひとりの主体的な意識こそが何より大切なのはウクライナの粘り強さが示している」、などとも述べたのだとか。

このあたり、「国民が自らの責任として」云々の言い草は、「増税の前にやるべきことがある」という批判に耐えかねて出てきた苦し紛れの言い訳にしか見えません。「増税の前にやるべきことをやったのか」、という疑問点に対する答えになっていないからです。

その意味で、岸田首相のこの発言自体、無責任の極みでしょう。

これに加えて岸田首相自身が根本から誤解なさっているようですが、防衛予算の大幅な積み増しは、安保環境が厳しさを増すなかで、国の安全をしっかりと守るうえで必要な措置であり、その恩恵は現在だけでなく未来の国民にも及びます。

受益者が未来の国民なのであれば、なおさら増税によるのではなく、国債により将来世代にも負担を求めるのが適切ではないでしょうか。

高市氏は「罷免されるなら仕方ない」

こうしたなかで、自身のツイッターで「総理の真意がわかりません」などとする意見を投稿した高市早苗・内閣府特命大臣は13日、閣議後の会見で「罷免されるなら仕方がない」と述べたそうです。

高市安保相「罷免されるなら仕方ない」、防衛財源巡る発言で

―――2022/12/13 15:56付 Yahoo!ニュースより【ロイター配信】

高市氏といえば、12日に記者団に対し「一定の覚悟を持って申し上げている」とも発言した人物ですが、その「一定の覚悟」が改めて示された格好だともいえます。

ロイターによれば、高市氏は12日夜の閣僚懇談会で岸田首相と約10分間会話し、防衛力の抜本的な強化や将来的な安定財源の必要性などでは一致したとしつつ、「財源検討の指示のタイミング」を巡っては、岸田首相との相違が埋まらなかったと明らかにしたのだそうです。

もしそうであるならば、やはり閣内で岸田首相が閣僚に「増税方針」を伝達しているわけではなさそうですし、今回の増税方針も、どうも自身に近い関係者(宮沢洋一・自民税調会長、あるいは木原誠二・内閣官房副長官あたりでしょうか?)らとの密室の会議で決めたという疑いは濃厚でしょう。

くどいようですが、岸田首相は宏池会という党内で第5番目の弱小派閥です。党内コンセンサスを無視して物事を進めるだけの余裕が、岸田首相にあるとも考えられません(あるいは、財務省が「岸田政権はもう持たない」と見切り、増税方針だけねじ込んできた、というシナリオも成り立たないわけではありませんが…)。

もちろん、岸田首相が本当に高市氏を罷免するのかどうかはわかりません。

しかし、ここで高市氏が「罷免」というかたちで内閣を去ることになれば、結果的にはそれは高市氏自身にとって悪い話ではないのかもしれません。「筋を通さない岸田首相に対し、自説を曲げなかったがために罷免された」という体裁ができるからです。

このあたり、個人的には「高市早苗総理」が誕生する可能性がさほど高いと見ているわけではありませんが、年末に降ってわいた「増税論」への対処次第では、思わぬ政治家が浮上する可能性があるかもしれない、などと思う次第です。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. クロワッサン より:

    「欲しがりません、勝つまでは」「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」的なスローガンまでもうすぐですかね?

    古代ローマの歴史を知れば、戦時国債を国会議員達が私費を投げ打って買い求めるなんてのもある訳ですが。

    対中武力戦争が本格的に近づいて来ているのでしょうけど、茂木幹事長の発言なども考えると、独裁者キシダまでもうちょっとな感じですね。

  2. CRUSH より:

    僕は比較的に岸田を鷹揚に評価してるつもりなのですが(バカと岸田は使いよう等)、この件は理解も擁護もしにくいなぁ。

    手段は明示されてるけど、達成目標が不明確。
    「俺たちはこれからどこへ向かうのか?」
    ゴールを示して民意を問うてから、ですよね。

    不本意なんだけどとりあえず米国がうるさいから防衛費を増額するけど、番頭が怖いからリストラやダイエットせず安易に増税で乗り切ろうとしてる感じかしら。

    調整型の人は、平時にはよいけど有事に二律背反を捌くのは無理なのかもしれんですな。

    1. 引っ掛かったオタク より:

      機械製品造りだと相反する諸要素をコンセプトに沿ってどれだけ高い妥協点にまとめあげるかが製品完成度に反映さ…
      あーキッシーはそもそもコンセプトが…

  3. 古いほうの愛読者 より:

    コロナでいろいろばらまいたので,それが終わる頃,税金や社会保険料が増加することは最初から予想していましたが,防衛費増税は想定外でした。中国の現状を見たら必用かもしれませんが,憲法改正をしない限り,装備を調えても有効に使うことはできません。そっちのほうを急いでほしいです。
    2022年の世界幸福度ランキングで日本は146国中54位だったそうです。上位には税金や社会保障等の控除率が高い北欧諸国が並んでいます。台湾は27位,中国は72位,韓国は59位でした。
    このランキングは,基本的には国民へのアンケート調査によるようです。ランキングの結果は,外から見た客観性より,国民の感情に大きく左右されるように見えます。簡単に言うと,日本人は幸福感という肯定的評価を表明しにくく,心配や怒りや悲しみという否定的感情のほうを強く持つ民族のようです。「空気を読め」という相互監視社会で,上意下達的部分も多いので,ストレスがたまりやすいのかもしれません。国を頼るくせに国への信頼感は低くで不満が多い,とか,外交的にはニコニコしているのに,内心は不満だらけ,というように,ストレスを発散せずに体内にため込んでいるのでしょう。中国は日本より暮らしにくそうなので,中国共産党の統治下にはなりたくないです。でも,そういう心配をしている日本人が少なそうなのは,幸福度ランキングと同様に謎です。

    1. 匿名 より:

      幸福感について、日本人がというか東アジア人に共通していることなのですが、セロトニントランスポーターがSS型という不安を抱えやすい遺伝子型をしているのですよ。
      セロトニントランスポーターとはなんじゃ?というと、セロトニンは脳内で不安を抑制する働きをしているんですね。セロトニンはリサイクルされるのですが、それに関わってくるのがセロトニントランスポーター。
      東アジア人はセロトニントランスポーターの遺伝子型が短く、セロトニントランスポーターの量が少ないことによってセロトニン不足で不安を感じやすいのですよ。
      日本人が幸福感を感じにくいのは、これが一因なのではないか、という説が有ります。
      尤も、だからといって岸田さんに問題が無いかといったら、それは別問題ですが。
      以上、記事の内容とは一切関係の無い雑学でした。

  4. 匿名 より:

    自民党同士であえて雑に争いを発生させることで批判という立憲の十八番を奪って増税派も国防派も取り込もうという雑な芝居としてみるとある程度整合性は取れそうだが、素人からすると岸田さんあまりに強引過ぎるように見える。

  5. カズ より:

    税収増は、採取ではなく ”栽培” にて成していただきたく存じます。
    安易な法人税の負担増で、経済の生態系を乱さないで欲しいですね。

    *新たな設備投資・雇用の芽を摘まないでください。

  6. sey g より:

    税率と税収どちらが大事か?
    普通に考えたら税収ですよね。
    しかし、財務省は税率が大事だというバカ集団だというのが日本の不幸か。

    どれだけ所得税をあげても所得を隠されたら意味はありません。所得が減ったら税収も減ります。
    おそらく、財務省にとって税収はさほど重要ではなく税率絶対主義なのでしょう。

    今は幕末と世界情勢が似ています。
    クロフネ(ロウ戦争)が来て、幕府(財務省)のやり方では国が滅ぶと外様大名(積極財政派)が政府と戦ってます。
    大政奉還が起きるかどうか。
    政権交代が起きなければ国が滅びます。
    自民から立憲ではなく、国のトップは常に財務省です。もちろん民主党時代でもそう。国の運営を議会に戻さねばなりません。

  7. taku より:

     「増税はやるべきことをやってから」というご指摘には、全面的に賛成します。まずは①不要な支出の見直し(補助金やら租税特別措置など、ゼロベースで再検討)②売却可能資産の処分、でしょう。防衛費をGNPの2%まで増額することに、国民の多数による同意があって、それでも上記の対応で賄えないなら、初めて増税の検討に入るべきです。復興税の転用など小手先の対応はもっての他です。
     そのうえで、「国債は資産であって借金ではない」などと、国債を防衛費の恒久的財源とする考えには、明確に反対します。ある仮説につき、極端なケースを想定して物事を考えることが、その欠点やリスクを炙りだすには、よく使われる手法です。本当に「国債が資産であって借金でない」のであれば、所得税も法人税も消費税も廃止して、国債だけで、国の支出全てを賄う国家を想定してみれば、判ります。そんな国家が永続できますか?ありえないと私は思います。
     しかしながら、防衛費の増強は喫緊であり、①支出の見直し②資産売却③増税検討には、それなりの時間を要する(1年か?)ことから、その間を国債発行で繋ぐというのであれば、それは許容範囲と考えます。
     今回の岸田首相のやり方は、あまりにも拙劣だと、考えます。

    1. JJ朝日 より:

      そうですよねぇ、普通、手持ちのお金の中で消費項目に優先度を付け、この高い優先度を入れると何を落とすかを議論すれば良いだけと思いますがねぇ。既得権のように低優先度項目が削れないといようでは、政府は機能していないとしか言いようがないですね。

      どこの亭主も小遣いの使い道は、自分で考えて決めているとおもいますけど。

    2. ふんだん より:

      taku様

      おっしゃる通り、国債だけで国の支出全てを賄うのは不可能です。防衛費の恒久財源にはなり得ません。
      ただ、今は増税を打ち出すにはあまりにもタイミングが悪いです。

      バブル崩壊後の日本経済は、信用収縮により流通するマネーが極端に枯渇してしまいました。通常であれば金利を引き下げれば回復するのですが、ゼロ金利でも借り手がなくマネーの流通量は回復しません。そのような状態を何十年も続けた結果、マネーの枯渇が常態化してしまいました。
      ゼロ金利でもマネーの流通量が増えない場合、大量の紙幣を発行して流通させる必要があるのですが、日銀にはこの紙幣を配る手段がありませんので、国債購入という形をとります。
      政府の国債発行による財政出動と日銀の国債買入れという組み合わせによって、流通するマネーを増やして経済を回復させるのが日銀の金融緩和です。

      日本の物価指数は11月のコアコアCPIが2.5%と、少しずつデフレ脱却の希望が見えてきました。増税は流通するマネーを回収する手段ですので、今このタイミングでやってしまうと、またデフレへと逆戻りしてしまいます。
      増税などが可能になるのは、物価目標と経済回復を達成して日銀が量的緩和策を終了させてからだと考えます。

      ご指摘のように国債は資産ではありません。しかし、負債というのも正しくないように思います。
      大量の国債発行が問題になるのは、ハイパーインフレなどの大幅な物価上昇をまねく場合です。適切な量のマネーを流通させ、物価を安定させる国債の発行量が適切であって、多すぎても少なすぎても害があります。

      長文、失礼いたしました。

      1. taku より:

        ふんだんさま
         ご返信ありがとうございます。
         私も現段階での増税は反対ですが、理由は異なります。
         財政政策の活用による景気対策は、一時的には可能(ルーズベルトのニューディール政策や、評価は分かれるかもしれませんがアベノミクスによる日本経済の長期低迷からの脱却)だとしても、永続しないと考えるからです。
         財政赤字を通貨発行によって賄い続ければインフレを引き起こすという考えは、自明のこととして永年受け入れられてきました。新しい経済学説がそれに挑戦するのは悪いことではありませんが、日本がその実験台になるのですか(エルサルバドルがビットコインを法定通貨としたように)。私は日本という国にそんなリスクを取って貰いたくない。かなりの確率で、物価高と通貨安を招き、日本国民に大打撃を与えると危惧するからです。
         景気回復を図るには、そのような安易な手段に頼らず、①移民も含めた人口増・少子化への対策②成長する産業・分野への積極的投資③高齢者に偏った支出の見直しなど、本質的なことにもっと目を向けるべき、と考えます。
         個人的な利害を申し上げれば、私はあと30年も50年も生きるとは思っていませんので、
        財政赤字による景気浮揚はありがたい限りです。政治家が相当な無駄遣いをしていただいても、痛くも痒くもありません。
         

  8. はにわファクトリー より:

    首相はこれから益々ちぐはぐなことを言うようになると予測します。中身空っぽで総理大臣をやっていることが誰の目にも明らかなる。そもそも自分が何をいっているか理解できてない。「こう言えばいいんですよ」などと振付師(=ごく少数の周囲)から入れ知恵をしてもらいながらやってる。強行突破しかないと考えているから、いよいよビビりの本性が露わになるのです。

    1. 門外漢 より:

      「私が決断いたしました」っていちいち注釈しないと、誰も岸田氏が決断したとは思わない。尤も、言っても心ある人はそう思いませんが。
      「国民の責任で~」なんて台本は、いかにも財務省辺りが言いそうなフレーズです。もう少しふわっと書かないと黒子の場所が分かってしまいます。
      台本通り喋る事しか出来ない(それも噛み噛みです)のだから、財務省ももっと気を付けて書いてやって頂きたい。
      と思う今日この頃です。

  9. 引っ掛かったオタク@眼ぇ開けて寝とったらアカンぞコラ より:

    あーキッシー起きとんけ?
    モトよりワレワレ日本国民はテメーらの議員報酬から財務官僚の賃金はじめスベテニ責任を負って納税しとるんですが?
    ナントナレバ金融機関通じて直接間接に国債にも投資しとるんですが?

  10. 攻撃型原潜#$%&〇X より:

    昨年岸田氏が首相になった当初に、こちらのウェブや読者コメントで辛口批評が付く度に「岸田氏は何も出来ないから安心して」という岸田擁護論が幾度となく見られましたが、今は見られません(或いはWeb主様が片っ端から消してしまった?)
    何も出来ない岸田氏が、下手をすれば内閣が倒れるリスクがある増税を根回しなくぶち上げるとは、辻褄が合いません。いかに岸田擁護論がその場しのぎの気休めだったかを表しています。
    岸田擁護派は何か援護射撃はないのでしょうか。普段はもっともらしい理屈を展開するのに。

    1. 雪だんご より:

      「岸田は何も出来ない」は”擁護”ではなく”低評価”なのでは……?

      それはともかくとして、私は岸田擁護派ではありませんが、「岸田首相が何か
      思い切った事を出来るか?」と懐疑的には見ていますね。
      他者に「だから安心しろ」とまでは言いませんが。

      ただし、最近の「増税!増税!増税!」は不思議ではあります。
      私が思いつく路線は「辞任の為のプロレス」くらいですが、これも確証が
      ある訳ではありませんからね。依然として、様子見継続です。

      1. 匿名 より:

        岸田氏が絶対増税マンになったのは財務省系のブレーンからこんなことを囁かれたんじゃなかろうかと想像してみた。

        「総理、財源の裏付けが無いまま大きな支出をすると、市場からノーを突きつけられてイギリスのトラス前政権みたいなことになりますよ。宿願の広島サミット出られませんよ。」

  11. 元一般市民 より:

    庶民から反発が少ないと予想される、主に大企業と超富裕層への課税、
    悪者扱いで非喫煙者から賛同の得られやすい、タバコへの課税
    震災対応だから仕方ないよねと徴税している復興税の流用、
    防衛費は国民が責任を持って負担を、ではなく、防衛費は文句を言い難い国民が負担を、だよなぁ。いやぁ、岸田や財務省がここまで姑息だとは思わなかった・・・

  12. sqsq より:

    財源がないから増税というのは政治家としてのセンスがないね。

    財務省にあやつられる腹話術の人形か。

  13. 匿名 より:

    岸田も習近平同様
    総加速師になってきたな
    もう終わりだね

  14. 農民 より:

     ウクライナ国民は否応なしに対応させられた当事者であり、支払いも金だけではなく血で支払っていますから、喩えは適していないように思いますが。
     そもそも、ウクライナ国民が「コストを支払うハメになった原因の敵」はロシアです。増税に関して日本国民が「コストを支払うハメになる原因の敵」は財務省なんですが……財務省さんはロシアみたいな連中ということでよろし?「自らの暮らしを守り、国を守るという国民一人ひとりの主体的な意識」をもって財務省と粘り強く戦えということですかね。納得。

     さておき、不謹慎ながらちょっとおもしろいと思ったのは、やはり高市氏の言動です。環境的にまだすぐに総理にはなれないというのが大体どこでも共通の認識ですが、いざ総理大臣が見えてきたときに、強く効いてくるのでは。

  15. 元ジェネラリスト より:

    ちょっと散漫気味に。

    岸田氏が世論の突き上げで右往左往している間はマシでしたが・・・財務省の人の話をよく聞いた結果、その他の人の話を聞かなくなったのでしょうかね。
    将来に禍根を残すことになりそうな。

    「4兆円のうち1兆円は増税で」と言ってますけど、根拠不明なんですよね。なんで1兆円だけなの?4兆円全部が増税じゃなくていいの?なんで防衛費だけが対象なの?こないだの補正の総合経済対策29兆円分の増税はしなくていいの?
    まあ、「?」だらけですよ。

    あと「財源検討の指示のタイミング」は具体的に意味するところは何でしょうね。国会日程の職人の世界を知ってるとわかるのかな?

    支持率落ち目になった首相が突然増税にこだわり始め、何か催眠にでもかかったかのように万難を排して実現にこだわる姿は、既視感があります。反論をするヤツは全て敵、排除の対象(話聞かない)くらいに思ってそうな。
    財務省には催眠のプロでもいるんでしょうかね。
    というか、マスコミがそういう演出報道をしてるように感じます。マスコミが同調して囃し立てているのも、いつもながらキモいです。

  16. 犬HK より:

    岸田坊ちゃんの発言は「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議(9/30-11/21で計4回開催)」にて、国債発行に頼らない恒久的財源の確保を求める意見や、国民に当事者意識を持ってもらい、幅広く負担してもらうことが大切だとする指摘が多数示されたことを受けてのものなんでしょうか…。

    この有識者会議のメンツが、どのような思想の持ち主らであるのか判然としませんが、財務省理論に染まっている可能性はあるかもしれません。

    報告書も出ていますのでご一読をおすすめします(特にP18-P21あたり)。
    https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/boueiryoku_kaigi/pdf/20221122_houkokusyo.pdf

    それにしても報告書で「防衛力の抜本的強化のための財源は、今を生きる世代全体で分かち合っていくべきである」「国債発行が前提となることがあってはならない」などという記述には溜息しか出ません。

    1. 元ジェネラリスト より:

      岸田氏が防衛費の内訳を論ずるときに財政も一緒に検討するとした根拠はこの有識者会議でしょう。その後に財務相と防衛相の共同会見をさせるなど、しょうもない演出がありました。
      報告書、財政の章は定性的なことしか書いてませんね。

      >歴史を振り返れば、戦前、多額の国債が発行され、終戦直後にインフレが・・・(以下略)

      水戸黄門の印籠が出てきてます。

    2. 虚無僧 より:

      有識者会議のメンバーの名前を見ましたが、軍事専門家はひとりもいません。素人ばかりです。素人が討論した結果が報告書として国の防衛政策となることに恐怖を覚えます。
      この報告書は破棄して、自民党の防衛部会が軍事専門家を招いて討議し、防衛部会として防衛政策を決定すべきです。

  17. 匿名 より:

    新しい資本主義って結局どうなったんですかね?まあ、増税云々している暇があったら賃上げにもっと労力を使いなさいよ、と。

  18. はるちゃん より:

    岸田さんという方は、本当に財務省の使い走りですね。
    税調もですが。
    パブロフの犬よろしく、お金が要るので増税だと軽々しく発言するようでは、全く思考停止していると言わざるを得ません。
    財務省にとっては、神輿は軽いほうが良いという事なのでしょうが、国民はたまったものではありません。

  19. 匿名 より:

    前々からずっと思っているのですが、このサイトの主は野党だの
    マスコミだのの利権に五月蠅い割に、自民党の利権に甘いのが
    不思議でならないです。
    野党の利権なんて、万年与党の自民党のそれに比べたら質的にも
    量的にも取るに足らないものでしょうに。
    岸田氏は有能か無能かで言えば無能だと思うけど、自民党という
    狭いムラ社会の中の政治力学で選ばれた程度の人材が、一国のトップを
    務めるに値する器で無いのはごく当たり前の話で、彼が退陣しても
    次もその次も基本的には外れの可能性が高いと思います。
    有権者も候補者も韓国人である韓国の大統領が汚職と腐敗まみれで
    無能なのと一緒で。
    岸田氏が国民や国益を軽視しているかのような政策を行うのも、
    彼自身の資質や思惑だけではなく、万年与党の自民党が抱えている
    腐れ縁から来る利権をまず優先し維持しようとするが故だと思います。

    1. 農民 より:

       与党に所属し政治力・発言権を得て、地元企業などに有利な法制度を通すなどして「利権」とするという流れの中に、不正な要素は感じません。印象は悪いものの、政治というものの確かな一面です。そもそも単純な利権自体は違法なモノではありませんし。油田を掘り当てた人が利権を保持しているのを見て「お前の利権はけしからん!公共社会に明け渡せ!」とか無いでしょう。ソ連ならしらんけど。
       それでも岸田氏の広島ガス関係、政府のサハリン2など、ロシアに関連して触れていると思いましたし。そもそもそんな利権を片っ端から挙げるって膨大だわ無意味だわで不毛な気がします。そこに違法性や不当さがあれば挙げられればよろしいかと思います。
       対してマスコミの電波独占やNHKの蓄財などは。確かに現在のところ合法ですけど、その制度として今やおかしいのではないか、変更すべきではないか、という「五月蝿さ」ではないでしょうか?野党は……もうなんか外国と通じているんじゃないかとかそういう不信感ですし。

       「自民党も責めろ」なのか「日本はダメだ」なのか、いまいち論旨を読解できずに恐縮ですが、自民党の(あるいは民主主義と自由経済から切り離しようがない)合法的な利権も全部なくせというのであれば暴論すぎやしませんか。

  20. 匿名 より:

    「だが、昨夜わしは、冥王、サウロン大王のことをあんたに話して聞かせた。あんたが耳にしている噂は本当じゃ。かれは実際にふたたびその力を盛り返して、闇の砦を去り、かれの古巣、モルドールの暗黒の塔にある古い砦に戻ったのじゃ。モルドールの名は、いくらホビットといえども聞いた事があるじゃろう。昔話の辺境にうずくまる影のごとき存在じゃ。敗北とそれに続く小休止の後、影は必ず別の形を取って、ふたたび勢いを盛り返すものよ。」
    「なにもわたしの時代に力を盛り返してくれなくても良かったのに。」
    「わしとてそう思う。」とガンダルフがいいました。
    「このような時代に生まれ合わせた者すべてにとってそうじゃとも。しかしどのような代に生まれるかは、決められない事じゃ。わしらが決めるべきことは、与えられた時代にどう対処するかにある。すでにしてフロドよ、わしらの時代は険悪な様相をおび始めてきた。わしらが敵は急速に強大になりつつある。かれのもくろみはまだまだ熟しているとはいえないが、熟しつつあるのだ。わしらは苦境に追いやられるだろう。たとえこの恐ろしいめぐり合わせがなかったとしても、わしらは非常な苦境に追いやられることになったろう。」

    とある有名物語の一節ですが、”与えられた時代にどう対処するか”は、日本の防衛力強化が急務であり、それにともなう増税も、この今の時代に日本に生きる自分たち国民がなすべき、あるいは受け入れるべき事なんだと言ってるんでしょう=今の日本に住む国民の責任であると
    まあ岸田さんの心の中はわかりませんが、このシーンが私の頭に浮かびました

    時代を考えるときってどこの国でも少しばかり運命論的ですよね(日本はやたらと業だ宿世だ運命だの国ですが、それだけ歴史があるっていうことでもあるんでしょう)

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告