日韓首脳会談等を巡り「成果なし」と韓国内で批判噴出
「岸田首相はどうして安易な日韓首脳会談に応じたのか」という点については理解に苦しむところですが、調べてみると、韓国国内では逆に、今回の尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領の対日・対米首脳会談を巡って、「外交惨事だ」、「期待外れだ」、などとする批判や反発が生じているようなのです。自称元徴用工問題などで「突破口」が開けなかったことなどがその批判の理由なのだとか。
目次
岸田首相がニヤニヤ笑って尹錫悦氏との会談に応じた意味
岸田文雄首相が訪問先のニューヨークで尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領との日韓首脳「懇談」に応じ、「未来志向の関係発展」などで合意した、などとする話題については、昨日の『官房長官「日韓両首脳は未来志向での関係発展で合意」』などでも取り上げたとおりです。
端的に申し上げるなら、安易に「会談」に応じてしまったこと自体が首相の判断として正しかったのか、検証は必要でしょう。
そもそも日本政府はこれを「会談」ではなく「懇談」だと言い張っていますが、韓国政府側は「略式会談」と発表し、にやにや笑いながら尹錫悦氏との会談に臨む岸田首相の写真を公表しています(『「日韓略式首脳会談が行われる」=韓国大統領室が発表』等参照)。
こうした韓国側の発表を見るならば、これを「懇談」だと述べたところで、ちょっと無理があります。日韓関係をよく知らない人が見たら、「日韓間で諸懸案があるけれども、岸田首相はにこやかに笑みを浮かべて、これを両国が協議しながら解決しようと合意したんだな」、と勘違いする可能性は濃厚です。
また、日韓諸懸案を「両国が協議して解決しよう」という発想にも、かなりの無理があります。
自称元徴用工問題のケースでいえば、すでに日本政府は2019年に日韓請求権協定に従った問題解決プロセスを試みていて、それを韓国自身が「応じない」というかたちで反故にしたのですから、これはもう100%、韓国が自分自身で解決しなければならない問題に化けたからです。
それなのに、日本政府の発表だと、日韓諸懸案は「日本と韓国が共同で解決すべき問題」だと認識しているかのように見えてしまいます。もしも韓国観察者である鈴置高史氏が警告してきた「宏池会政権なら騙せる」という予言が成就するのだとしたら、本当に困った話だと言わざるを得ないでしょう。
日本側は「懇談」と言い張り、写真も掲載していない
ただし、ここで日本政府のことを少しだけ擁護しておくならば、興味深いポイントもいくつかあります。
まず、外務省は昨日、「9月21日付」としながらも遅れて公表した『日韓首脳間の懇談』というページを見て気付くのは、写真が掲載されていないという事実です。まずは外務省のウェブページをそのまま転載しておきましょう。
日韓首脳間の懇談
現地時間9月21日午後0時25分(日本時間9月22日午前1時25分)から約30分間、国連総会出席のため米国・ニューヨークを訪問中の岸田文雄総理大臣は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領と懇談を行いました。
- 両首脳は、現下の戦略環境において日韓は互いに協力すべき重要な隣国であり、日韓、日米韓協力を推進していく重要性について一致しました。
- 両首脳は、北朝鮮への対応における更なる連携で一致しました。また、尹大統領から拉致問題について改めて支持を得ました。
- 両首脳は、懸案を解決し、日韓関係を健全な関係に戻す必要性を共有し、1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の基盤に基づき日韓関係を未来志向で発展させていくことで一致しました。
- 両首脳は、先の日韓外相会談を含め現在行われている外交当局間の協議を加速化するよう指示することで一致しました。
- また、両首脳は、首脳間でも意思疎通を継続していくことで一致しました。
―――2022/09/21付 外務省HPより
これについては韓国大統領府が「略式会談」を写真付きで紹介しているのとは対照的です。
韓日首脳略式会談
9月21日、ユン・ソクヨル大統領は日本首相(岸田文雄)と略式会談を行いました。
―――2022-09-21付 韓国大統領室HPより
また、記者会見も冒頭の写真撮影もなかったようですので、その意味では日本側が「正式な首脳会談ではない」という雰囲気を出そうとそれなりに努力した、という言い方もできなくはありません(若干苦しいですが…)。
韓国国内では批判噴出
さて、この話題に関連し、もうひとつ興味深いのは、韓国国内の反応です。
韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)は米韓・日韓首脳会談がいずれも「期待外れだった」などとして、韓国国内では失望が出ているほか、野党などからも批判が出ている、などと報じています。
期待外れの韓米・韓日首脳会談 野党は「恥さらし外交」と批判
―――2022.09.22 16:14付 聯合ニュース日本語版より
聯合ニュースは米韓・日韓首脳会談を巡り、「韓国大統領室が早くから発表していた」にも関わらず、「形式や内容などさまざまな面で予想通りにいかなかった」としたうえで、次のように指摘しています。
「米国の『インフレ抑制法』による韓国製電気自動車(EV)の差別問題、日本による植民地時代の徴用被害者への賠償問題といった懸案の突破口が開かれるとの期待もあっただけに、波紋を呼んでいる」。
「革新系最大野党『共に民主党』などの野党は『外交惨事』だと尹政権への攻勢を強めている」。
この点は、まったくそのとおりでしょう。
日本側は岸田文雄首相が首脳「会談」(おっと、日本政府に言わせれば首脳「懇談」、でしたっけ?)に応じたものの、岸田首相が自称元徴用工問題を巡って何らかの具体的な譲歩を示したわけではありません(※というよりも、岸田首相にそのような政治力はありません)。
また、米韓首脳「会談」も、現実には短時間、立ち話をしたにすぎず(『米の利上げでウォン安加速:米韓正式首脳会談も見送り』等参照)、一部の韓国メディアなどが期待していた「韓米通貨スワップ」はもちろん、ほとんど会話らしい会話もできなかったようです。
韓国野党は舌鋒鋭く批判
この点、日韓首脳会談を巡っては、2019年12月に故・安倍晋三総理と文在寅(ぶん・ざいいん)大統領(当時)が会談して以来、約2年9ヵ月ぶりであることから、聯合ニュースはその意義について、次のように述べています。
「韓日関係の修復と発展に向けた首脳間対話に道を開いたもので、懸案に関する両国の協議を加速させる契機をつくったことに意味がある」。
しかし、韓国側が求めた自称元徴用工問題を巡る「具体的な進展」がなかったことに加え、会談の冒頭発言も公開されず、記者も同席せず、韓国側が「略式会談」と表現したのに日本側が「懇談」と発表したことなどを、聯合ニュースは韓国大統領室の失態として位置付けているようです。
さらには、米韓首脳会談についても「首脳同士が事前に議題を決めて向かい合う正式な首脳会談」と比べ、「議論を深めるのに限界があった」などと指摘。結局、「大統領室が米国、日本との外交日程の発表を急ぎすぎた」との批判もある、などと述べています。
ちなみに韓国野党「ともに民主党」の朴洪根(ぼく・こうぐん)院内代表は22日、「首脳外交の目的も戦略も成果も全くない外交の恥さらし、惨事に責任を取るべきだ」などと舌鋒鋭く責め立てたのだそうです。
脇の甘さが命取りにならなければ良いが…
その意味では、今回の会談は韓国側で強い批判が出ているという点において、韓国の「オウンゴール」のようなものだったのかもしれません。つまり、韓国の側で尹錫悦政権への批判が出ているからといって、日本政府・岸田文雄政権が「うまくやった」という意味ではありませんので注意が必要です。
結局のところ、今回の首脳会談を巡る一件も、菅義偉総理などと比べて岸田首相自身の「脇の甘さ」が目立つ格好ですが、「一事が万事」とも言います。こうした「脇の甘い首相」が少なくともあと2年間、日本の国政を預かり続けることが、結果的に日本にとっての命取りとならないことを、切に期待したいところです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
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記事更新ありがとうございます。
昨日の朝は噴飯物の速報(マスコミは早速日韓首脳”会談”と速報したので)に驚きましたが、仔細を見ていくと不自然な会場に不自然な速報(なにせ開始後に第一報)、韓国側でも略式と認めていること等からバイデン氏のタイムスケジュール変更からのイレギュラー性を感じます。まあそれでも会ってしまう迂闊さは問題ですが…これはアメリカ側からも一先ず会ってやれの圧力がありましたかね。やってしまったものはもう戻りませんのでキッチリ後始末をしてほしいところです。彼の国の方は自らのやらかし(失言)もあり会談を勝ち誇るどころではなさそうですか…
立ち話でも会談にしちゃう国だから
岸田氏に関しては、平成初期に大量にいた毒にも薬にもならない
無能総理群に近い印象を受ける。
外国の首脳はおろか、国民ですら名前を覚える価値も無いような。
安倍氏や菅氏は勿論、悪い意味で印象に残った民主党政権の
総理とも違う。
自民党の派閥の論理から生まれる平均値に近い総理大臣は
こんなものではないかな~と。
(自分のことは棚に上げてですが)岸田総理が、(余計なことしかしない)働かないオジサン(オバサン)社員に見えてきました。(とすると、オジサン社員は岸田総理を批判しづらいのでしょう)
「岸田総理に、安倍元総理の霊を憑依させたい」と考えるのは私だけでしょうか。
妙案ですね、同意します。出来るならば是非憑依して頂きたいです。
思わず宮沢元総理を思い出しました。
小沢詣でをし笑われながら靴を舐めた方ですよね。
それも宏池会でキッシーと同じ。
不安しか有りませんねえ
会談してしまったが大金星でしょうが、
日本にとっては番狂わせの大大大黒星ですが。
しかも会談前に会談しねぇーと啖呵切ってるし、安倍,菅元首相の苦労が水の泡です。
アメリカからの圧力があったのでは、などの説もありますが、「懇談」とはいえ結果的に会ってしまったことは、韓国得意の先走り発表の有効性を実証してしまったことになりますね。
今後、何か国際会議がある度に韓国から同様の「会談決定」報道が飛び交いそうですね。
「オウンゴール」とは上手い表現をされていますね。結果的には会ってしまったとはいえ相手を得心させてはいませんものね。
まぁもっとも今後もハラハラするのは続きそうですね。
なんで対日対米外交を、会談だけでそこまで改善できると期待できるのかが本当に謎ですが……大統領が韓国内で「皇帝的」であることで力量を誤認し、外国が対等である意識が皆無なせいですかね。米韓では会談時間48秒(笑)だそうですが、別に48時間でも48日間でも、会談だけでは何も解決しないと思いますが。
ともあれ、韓国の民意を代表する立場の方に「日本の総理と会うと恥さらしになる」って言っていただけましたし、こういった会談外の反応が今後のお付き合いを考えさせていただく上で”好材料”になったんじゃないですかね。
<対日対米外交を、会談だけでそこまで改善できると期待できるのかが本当に謎ですが>
本当にそうですね。
日本側も、何で騒ぐのか?
やはり、岸田・林ラインだから?
安倍・菅なら、安心しておれました。この二人なら、感情に流されることなく、冷静に国益を考えて行動すると安心しておれました。
だから、こんなに騒ぐことは無かったでしょう。
これから、何かある度に、こんなにハラハラしなければならないのかと思うと、今からハラハラしてきます。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(そう自分に言い聞かせないと、韓国と同じく、自分は間違えないと自惚れるので)
(別に韓国に限らず、日本を含めた他の国も同じかもしれませんが)韓国メディアは、尹大統領は韓国国内では唯一の大統領かもしれませんが、国外に出れば複数いる首脳の一人に過ぎないことを理解しているのでしょうか。そして、その韓国大統領に、どうゆう対応をするかは、相手国次第だということも。
駄文にて失礼しました。
そもそも、韓国大統領と会った際、まず、何故自分が外相だったころ締結した「慰安婦合意」のことに言及しないのか。自分のやったことを否定されているのに何の言わず放置状態(その結果両国マスコミも徴用工問題にだけスポットが充てられている)。脇が甘過ぎる。
旧朝鮮半島出身労働者問題(徴用工ともいう)は、当面解決不能ではないですかね。
韓国側は①被告企業が補償に参加すること②日本企業・政府の謝罪③日本との協議による解決を求めていて、これでは日本が検討できる案にはなりえません。
日本が「一方的に問題を起こした韓国が解決策を提示すべき」との一貫した立場を崩すわけもなく、その乖離は埋めようがありません。
それを所与の条件として、どうすべきかですよね。
A案.約束を守らない国と新たな関係を結ぶことは出来ないと、交渉を取りやめ、日韓関係は段階的縮小
に努める
B案.妥協できない案件は一旦棚上げし、双方がメリットを感じられる案件(例:観光ビザの解禁)の推進に努める
現状はA案の方が多数派なんでしょうね。韓国のやり口は本当に腹に据えかねますもんね。ここはガツンとお灸をすえて欲しい。
「未来志向の関係発展」などで合意?
韓国と未来を共にしたいと真剣に考えている日本人って如何程おられるのでしょうね?
少なくとも私は韓国はずっと『過去に居ろ』と思っています。
日本国内でも批判噴出ですが韓国内でも非難が多いとは、これ如何に。
やめちまえばいいのに、一方は外務省に他方はマスコミに踊らされて、両国民から非難されながら会わねばならない両首脳もご苦労なことです。
従北左派は外交惨事と評し、親米右派は「北京でのボッチ飯よりはマシだ」と言い張っているとのこと。総じて、韓国国内での評価は「大失敗」ということのようです。
まあ、以下のような状況で、なおかつ何一つ成果と呼べるようなものがなかったんですから、そのような評価も致し方ないでしょうね。
https://rakukan.net/article/491698368.html より引用
これを略式であっても「会談」と称するのはかなり苦しいでしょう。普通に考えれば、「どうしてもというから、仕方なく会ってやった」としか見えないあしらいです。門前払いよりはちょっとマシな扱い程度ですね。外交儀礼遵守に生命を掛ける外務省が関与していたとするならば(してなかったらその方が問題ですが)、他国の大統領に対して、最低限の礼遇すらしていないということになります。なにしろ、アノ韓国政府が今のところ「成果」を吹聴していないのですから、内容は推して知るべしですね。
もちろん、岸田総理や日本国にとって、今回の懇談実施は何のプラスにもなりません。せいぜい、日韓関係改善は当面無理な話であり、進展も期待できないことを確認できたことくらいでしょう。むしろ、「会ったこと自体ケシカラン」と息巻く人たちが出没したりなど、マイナス要素にすらなる可能性があります。
でも、上記などを踏まえ、そんなに大騒ぎしたり、目くじらを立てたりするには当たらないだろうと考えています。
日韓双方が目指す「健全な関係」
手前勝手な期待を抱くなよ。
「健全な関係」とは、約束を守れるようになってから築くものだ。
アポもなく はやる気持ちで 馳せ惨事・・。
そういえばすっかり忘れていたが、韓国人は自国を日本より格上だと思っており、対等なお付き合いをするだけで勝手にプライドが傷つき、援助すれば逆恨みし、ましてや政府がちょっとでも下手に見えれば激怒する。
まあ韓国の政権の自業自得だ。
そういう国民にしたのは自分たちだからなwww
と、ひとしきり笑ったところで日本にメリットがないどころかマイナスなのは変わらないが。
武藤正敏さんの記事でも「継続協議」に変えた理由もメリットも不明。
>日韓首脳の初懇談が実現した「本当の理由」とは、元駐韓大使が解説 | 元駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」 | ダイヤモンド・オンライン
>https://diamond.jp/articles/-/310222
武藤さんは「日韓首脳懇談では徴用工問題に深入りせず」と言っているが、ならば「継続協議」に変える必要もない。
アメリカにも協議すべきという意見はあったようだが
「請求権協定第三条に基づかない『協議』こそ戦後秩序の破壊、日本が動かないことこそ “rules-based international order” だ」
と説明できない首相、外相の力不足だ。
>「韓国に手差し伸べよ」 トーマス・シンキン氏寄稿 – 産経ニュース
>https://www.sankei.com/article/20220922-SQ5OMP423JOCXJB4TH3VFYMYEY/
とはいえ「圧力」は無かったと思う。あれば国務省が反応するだろう。
あと武藤さん、「徴用工」連呼はどうよ?