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    Categories: 金融

韓国主要紙が相次いで「米韓通貨スワップ」締結を要求

韓国の主要紙が「5月の米国との約束に基づき、韓米通貨スワップを推進せよ」、などといっせいに騒ぎ出しました。このあたりはまったく予想どおりなのですが、その一方で韓国メディア『中央日報』には逆に、「脈絡のない通貨スワップ締結主張でむなしくなる代わりに外国為替市場安定に向け自分たちができることから探してやらなければならない」、などとするコラム記事も掲載されているようです。

韓国に迫る通貨危機の脅威

脆弱すぎる韓国の金融システムと資金調達力

私たちの隣国である韓国は、GDPの規模でこそ世界10位圏内をうかがう「経済大国」となりましたが、それと同時に彼らの金融面に着目すると、残念ながら、その内情はお寒い限りです。

そもそも通貨・ウォン自体が国際的な金融市場で通用する「ハード・カレンシー」ではありません。

域外為替市場の創設が認められておらず、SWIFTが公表する『RMBトラッカー』というレポートでも、過去に国際送金市場における決済通貨ランキング(上位20位)に、一度も入ったことがありません(『国際決済でルーブルに代わって浮上した「意外な通貨」』等参照)。

SWIFT通貨別決済シェアランキングの最新版が本日、公表されています。これによると人民元の国際化は相変わらず進んでいないことに加え、ロシアの通貨・ルーブルが国際的な決済市場から完全に姿を消したことがわかります。また、特筆すべき点があるとしたら、サウジアラビアの通貨・リヤルが前月に続き、今月もランキングの20位に姿を見せている、という点かもしれません。RMBトラッカー国際的な決済システムを運営しているSWIFTが毎月公表している『RMBトラッカー』というレポートがあります。これはSWIFTが2012...
国際決済でルーブルに代わって浮上した「意外な通貨」 - 新宿会計士の政治経済評論

また、国際通貨基金(IMF)が公表する『COFER』(世界の外貨準備の組入通貨ランキング)にも登場したことがありません(『IMF最新統計:世界の外貨準備は3700億ドル減少』等参照)。

本稿は、資料編です。国際通貨基金(IMF)が四半期に一度公表する「COFER」と呼ばれる統計の最新版が出てきました。世界の外貨準備に占める米ドルの割合は引き続きトップです。ただし、ロシアの外貨準備凍結の影響でしょうか、世界全体の外貨準備の金額については約3700億ドル減少していることが確認できます。国際通貨基金(IMF)は四半期に一度、世界各国の外貨準備高について、その通貨別構成に関する統計を公表しています。これについて、2022年3月末時点の通貨別構成が判明していたので、概要を取り上げておきましょ...
IMF最新統計:世界の外貨準備は3700億ドル減少 - 新宿会計士の政治経済評論

これに加えて『オフショア円債券発行額が28年ぶりに4千億ドル割れ』などでも議論したとおり、オフショア債券の発行通貨ランキングにおいても韓国ウォンの発行残高は日本円の150分の1と存在感は非常に小さく、そもそも債券マーケット自体が未成熟であるという時点で、国際通貨の資格はありません。

世界のオフショア債券市場では2022年3月末時点において、日本円での債券発行額が4000億ドルを割り込みました。4000ドル割れは1994年以来28年ぶりのことです。その一方で、相変わらず債券市場では米ドルとユーロが圧倒的な存在感を放っており、人民元は小幅で債券発行額を増やしているものの、依然として「国際通貨」と呼ぶには規模が小さすぎます。通貨の実力を読む手段通貨の実力を読むうえで重要な要素はいくつかあるのですが、そのひとつが、「その通貨が発行国を越えてどの程度通用しているか」という尺度でしょう。そして、「そ...
オフショア円債券発行額が28年ぶりに4千億ドル割れ - 新宿会計士の政治経済評論

いわゆるG-SIBsが存在しない国

そして、決定的な点があるとすれば、世界の金融システムに重要な影響を与え得るほどの大規模金融機関(いわゆるG-SIBs)の本店が、ただの1行も存在しないことでしょう。

数日前から議論しているとおり、韓国の資金循環統計によると、そもそも「預金取扱機関」の国内預金総額は2022年3月末時点で3567兆ウォン程度であり、1円=9.67ウォンで換算するとせいぜい370兆円弱で、これは日本の最大手の三菱UFJ銀行(※海外勘定を含む)の2倍程度に過ぎません。

こうした通貨の弱さ、国内金融機能の弱さは、韓国という国全体の金融システムそのものを脆弱性を象徴しています。資金調達能力が低く、また、ウォン資金では韓国企業は国際的な生産活動を行うことすらできません。

この点、私たち日本人の発想からすれば、円安は日本の貿易競争力を高め、国内でも国産品需要を押し上げるなど、「良いことずくめ」という気がしますが、韓国の場合はそもそも論として、生産に必須な製品のかなりの割合を輸入に頼っているがために、ウォン安の恩恵はさほど得られません。

(※どうでも良い話ですが、最近、日本のオールドメディアは必死に「悪い円安論」を流布しようとしているフシがありますが、この「悪い円安論」、日本ではなくむしろ韓国の実情を述べているものとして読むと、非常に的を射ているようにも思えるのです。不思議ですね。どうしてでしょうかね?)

なぜ韓国が為替介入を常態化させているのか

そうなってくると、韓国の中央銀行である韓国銀行の「影の狙い」は、為替相場をウォン安になり過ぎず、ウォン高になり過ぎないという「ちょうどよい相場」に誘導することにあります。

米国財務省が「韓国は為替介入を行っている」と認める』なども紹介したとおり、米国財務省は現時点において、韓国を「為替操作」に認定しているわけではないにせよ、韓国銀行が「スムージング・オペ」と称し、不透明な為替介入を繰り返していることを、いら立ちをもって指摘しています。

米財務省が先日公表した為替監視レポートを読んでいると、韓国が2020年下期にかなり多額の為替介入を行ったと読める記述があります。これは、当ウェブサイトでかなり以前から提唱してきた「韓国の資産バブルFRB主犯説」ともかなり整合している話題であり、また、韓国が公然と為替介入を行っている証拠でもあります(※もっとも、米国は韓国について「不透明」という表現は使っていませんが…)。韓国の資産バブル韓国の資産バブルFRB主犯説当ウェブサイトではかねてより、新型コロナウィルス感染症拡大に伴う米FRBなどの金融緩...
米国財務省が「韓国は為替介入を行っている」と認める - 新宿会計士の政治経済評論

韓国銀行がなぜそんなことをするのかといえば、ウォン高になり過ぎれば輸出競争力が阻害され、ウォン安になり過ぎれば素材・部品・装備の輸入価格が押し上げられることにあります。

また、通貨安の怖いところは、それだけではありません。

韓国高官「韓米首脳会談で通貨スワップが議論される」』などでも取り上げたとおり、得てしてウォン安・ドル高局面においては、韓国企業にとってはドル資金を調達することが非常に困難になりがちであり、そして、短期債務の借り換え(ロール)ができなくなれば、韓国企業は即座に倒産してしまうかもしれません。

韓国メディアの報道によると、韓国政府高官が米国との間で「韓米通貨スワップが議論される」と明らかにしたそうです。それが為替スワップを意味しているのだとしたら、バイデン大統領にとっては管轄外のことを相談されても困ってしまうのではないかという気もします。ただ、足元で韓国のドル資金市場はジワリと逼迫しつつあるようです。「韓国が米国と通貨スワップを議論」=ロイターロイターによると、韓国『聯合ニュース』は「政府高官の発言」として、来週の国連総会に合わせて米国を訪問する尹錫悦(いん・しゃくえつ)韓国大統領...
韓国高官「韓米首脳会談で通貨スワップが議論される」 - 新宿会計士の政治経済評論

しかも、日本の3メガバンクや系統上部機関(とくに農林中央金庫と信金中央金庫)、あるいは「ゆうちょ銀行」や三井住友信託グループ、「りそなグループ」のような大手金融機関に相当する金融機関が韓国には存在せず、韓国企業が資金調達難に陥ったときに貸し支えてくれる金融機関がありません。

日本は韓国を貸し支えない

そして、日本の金融機関が韓国を貸し支える可能性は低いでしょう。

1997年のアジア通貨危機のときには、日本の金融機関が最後まで韓国を貸し支えようとしたにも関わらず、最近だと「通貨危機の原因は日本が作った」などと言われてしまう始末です(『25年前の通貨危機の原因は「日本が作った」=韓国紙』等参照)。

ちょっとしたメモです。韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)に本日、1997年の韓国の通貨危機を「日系の短期対外債務で資金が急速に速度で流出したことが引き金となった」、などとする記述が掲載されていたようです。通貨危機で最後まで資金を貸そうとしていた日系金融機関も、まさか25年後にこんなことを書かれるとは思っていなかったのかもしれません。以前の『韓国の対外債務は過去最大:外貨準備高との関係は…?』では、韓国の対外債務が2008年のリーマン時と比べて1.8倍に膨張するなど、過去最高水準にある、などとする話題を取...
25年前の通貨危機の原因は「日本が作った」=韓国紙 - 新宿会計士の政治経済評論

日本の金融機関にも感情はあるでしょうから、どうせ貸しても貸さなくても恨まれるのならば、貸さない方がマシだと判断するのではないでしょうか。

というよりも、すでに日本の金融機関の韓国に対する与信シェアは、ジワリと減り始めています。

国際決済銀行(BIS)が公表する『国際与信統計』(CBS)のデータで確認しても、2022年3月末時点で韓国は外国金融機関から3903億ドルの資金を借りています(最終リスクベース、ただしこの全額が外貨というわけではなく、現地通貨建ての融資も含まれます)。

ただ、国別にみると最も多いのは米国の1152億ドルで、続いて英国が1016億ドルであり、日本の金融機関の韓国に対する与信は514億ドルで3番手に過ぎません。意外な話かもしれませんが、すでに韓国にとって日本は「最大の貸し手」ではなくなってしまっているのです。

しかも、日本の対韓与信は、増えたり減ったりを繰り返しながらも徐々に減少を続けており、2022年6月末時点では対韓与信は502億ドルにまで減っています(※ただし円安のためか、国際与信のドル換算額自体が減っているため、日本の対外与信に占めるシェアは1.1%と、3月末と比べ少しだけ増えています)。

正直、すでに日本の金融機関は韓国にとっての「メインバンク」ではなくなっているわけです。もしも韓国で通貨危機が発生しようものなら、日本の金融機関としては「メインバンク」として韓国を貸し支えることはせず、迅速に損切りして韓国から逃げるだろう、と考えた方が、実情に適しているように思えてなりません。

通貨スワップ狂想曲

本当の怖さは「外貨流動性の枯渇」

いずれにせよ、先日より当ウェブサイトで議論しているとおり、ウォン安の本当の怖さは、通貨安そのものではなく、通貨安に付随して発生する「資金調達難」、もっといえば「外貨流動性の枯渇」にあります。

2020年3月にコロナ禍が発生したときも、市場からドルの流動性が干上がり、いくつかの国ではドル資金不足が深刻化しました。韓国がその典型例ですが、ほかにもインドネシアやトルコなどでもドル不足が深刻化していたようです。

そして現在、これと似たような現象が、当時と比べてはるかに大きな規模で発生しています。

米FRBが、コロナ禍直後に市場にジャブジャブ供給したドル資金を、急速に回収しているのです。

おそらく日本時間の明日のFOMCでは0.75%ポイントないし1%ポイントの利上げが決定されるものと予測されますが、利上げそのもののインパクトよりも、韓国からの資金流出の方が怖いのです。

だからこそ、韓国ではしきりに「韓米通貨スワップが必要だ」、などとする主張が、ここ数日の間で相次いで出て来ているのでしょう。

「5月の約束に従え!」→そんな約束してません!

このあたり、当ウェブサイトでは先日の『「5月の約束に従い韓米通貨協力体制構築を」=韓国紙』などでも取り上げたとおり、「5月の首脳会談で合意した通貨協力体制を、そろそろ現実化すべきだ」、といった、かなり的外れな主張も出て来ています。

「韓米両国が5月に約束した『通貨協力体系構築』を巡って、もそろそろ具体的な何かを出さなければならない時期だ」。こんな主張が出てきました。韓国メディア『中央日報』(日本語版)には昨日、「韓米通貨スワップをはじめ、主要国との通貨スワップを強力に推進しなければならない」、という趣旨の記事が掲載されていたのですが、そのなかで出てきたのが、例の一文、というわけでしょう。もっとも、米国が韓国に対し、「通貨協力体系構築」で約束したという事実はありません。米韓通貨スワップがあり得ない理由「通貨スワップ」で口...
「5月の約束に従い韓米通貨協力体制構築を」=韓国紙 - 新宿会計士の政治経済評論

なにがどう的外れなのかについては、すでに議論したとおりですので、ここでは要約を再掲するにとどめ、詳細については割愛します。

  • 5月の米韓首脳会談で合意されたのは「韓国が不透明な為替操作を止めること」であって、「為替相場の安定に向けた協力」ではない
  • そもそも2020年に米国が締結したスワップは「為替スワップ」であって「通貨スワップ」ではない
  • 為替スワップの管轄はFRBであり、米国では中央銀行が行政府から独立しているため、ジョー・バイデン大統領と尹錫悦(イン・シーユエ)韓国大統領が話し合うべきものではない
  • 現在の米国にとっては、韓国との為替スワップは結ぶメリットが乏しい

朝鮮日報も毎日経済も「通貨スワップを推進せよ」

しかし、尹錫悦(いん・しゃくえつ)韓国大統領が訪米するというタイミングでもあるため、韓国メディアの報道を眺めていると、やはり「韓米首脳会談で通貨スワップの合意を取り付けてくるべきだ」、といった社説が、ここのところやたらと目に付きます。

たとえば韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)の19日付の社説では、「今週中に米ニューヨークで行われる2回目の首脳会談では、(今年5月の)約束を根拠に韓米通貨スワップを積極的に求め、成果を上げる必要がある」、などと主張しています。

【9月19日付社説】必要性増した「韓米通貨スワップ」、首脳外交で合意を

―――2022/09/19 11:05付 朝鮮日報日本語版より

「今年5月の約束を根拠に」、とおっしゃいますが、あの共同声明を読み返してみても、米国が韓国とそんな「約束」を取り交わしたとは読めません。どう読んでも、米国が韓国に「市場の公正さを歪めるような為替介入を止めよ」と要求しているようにしか見えないのです。

また、同じく韓国メディア『毎日経済新聞』19日付の社説も、なかなかに強烈です。

通貨スワップ期待する市場、ユン大統領順方外教書の成果を出す[社説]【※韓国語】

―――2022.09.19 00:52付 毎日経済新聞より

毎日経済は、「通貨スワップは基本的に両国中央銀行間で締結されなければならないものである」としつつも、「国家首脳同士の原則に合意すれば中央銀行間の協力も弾力を受けることになる」などと主張。

「ユン大統領とバイデン大統領は今年5月の首脳会談の時、すでに共同声明に『外国為替市場に関する緊密な協力』を明示したが、通貨スワップはその協力の核心に該当する」、などと決めつけているのです。

くどいようですが、5月の首脳会談の共同声明での「外為市場に関する緊密な協力」は通貨スワップないし為替スワップとは無関係であり、それどころかむしろ、韓国が通貨スワップないし為替スワップを悪用して為替介入を強力に進めるとの警戒があるならば、米国がそのような協定を韓国と交わす可能性は低いでしょう。

中央日報の論説委員は「3種類の解決策」を提示

こうしたなかで、個人的に印象深いと感じたのは、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨日掲載された、こんなコラム記事です。

【コラム】韓国経済の悪習正す「非正常の正常化」でドル高乗り越えよう(1)

―――2022.09.20 11:36付 中央日報日本語版より

【コラム】韓国経済の悪習正す「非正常の正常化」でドル高乗り越えよう(2)

―――2022.09.20 11:39付 中央日報日本語版より

この記事は論説委員の方が執筆されたものですが、ドル高は世界の新興市場諸国全体にとっての挑戦でありまた、新興市場諸国や開発途上国で連鎖金融危機が発生する可能性が指摘されている、などとしたうえで、スリランカ、パキスタン、セルビアなどが相次いでIMFに支援要請をしているという事実を紹介。

「マクロ経済も比較的順調で対外純債権国という地位」にある韓国については「それなりに善戦している」、などとしたうえで、為替相場の安定に向けた「3種類の解決策」――外貨準備の活用、利上げ、ウォン安要因――を挙げているものです。

このうちの「外貨準備の活用」は「為替介入をせよ」と主張するものであり、正直、米財務省の担当者が読むと怒りのあまり卒倒しそうな代物でもありますが、韓国を代表する論説委員の方が堂々とコラムとしてこれを掲載するというのも驚きではあります。

ただ、現実にあり得るのは2番目の利上げ、3番目のウォン安容認のいずれかでしょう。

このうち利上げについては、論説委員の方はこう主張します。

内外の金利差が大きく広がるのを防ぐなら韓国もこまめに金利を上げなければならない。ただ通貨価値を安定させるために基準金利を上げるのが適切なのかに対する議論はある。現在のようなドル高の状況ではウォン安を防ぐ効果が大きくないだけでなく、通貨政策を物価抑制に使うべきで関係ないことに使うという指摘が出る恐れもある」。

じつは、通貨防衛のために利上げをするというのは、「金融政策の独立」という観点からは、最も避けなければならない政策です。家計債務破綻が相次ぐ可能性があるだけでなく、失業率も急上昇することが見込まれるなど、国内の経済がメチャクチャになりかねないからです。

通貨・ルーブルの暴落を防ぐために、ウクライナ戦争開始直後にロシア中銀が政策金利を9.5%から一時20%にまで引き上げ、ロシア経済が疲弊したのは、その典型例でしょう。

その一方で、「ウォン安容認」とは、通常の先進国ならばどこもやっている「王道」の政策です。「国際収支のトリレンマ」に照らし、「資本移動の自由」、「金融政策の独立」の2つの政策目標を重視するならば、「為替相場の安定」という政策目標は捨てなければならないからです。

問題は韓国ウォンがハード・カレンシーでないこと

ただし、韓国の場合は通貨・ウォンがそもそもハード・カレンシーではないため、ウォン安を容認すると、国単位での資金ショート(=通貨危機)を発生させる可能性があります。その意味では、韓国が本当の意味で「ウォン安」を容認することができるかどうかは微妙でしょう。

こうしたなか、この論説委員の方は「蛇足」として、米韓「通貨スワップ」(※原文ママ)について、こう述べます。

ウォンの価値が落ち外国為替市場が不安になるたびに米国と通貨スワップを締結しようという主張が出てくる。近く行われる韓米首脳会談で必ず成功させろという注文まである。だが韓米通貨スワップは万病に効く薬でない」。

米国は韓国の『通貨スワップへの情熱』をよく理解できていない。ドル流動性に問題があるのでもないのになぜ通貨スワップの話を頻繁にするのかいぶかしがるという。逆説的に韓国にドルが不足するような本当の危機がくれば通貨スワップは稲妻のようにくるだろう」。

このあたり、上で紹介した朝鮮日報や毎日経済の社説、あるいは同じ中央日報が日曜日に掲載したコラム記事『【コラム】為替への無対応が能なのか…通貨スワップ強力推進しなくては=韓国』などとは真逆の主張でもあります。あるいは「酸っぱい葡萄」理論でしょうか?

ハンバーガーでも食べながら…

少しだけ老婆心を出すならば、もしも韓国が本気で通貨危機を防ごうと思うのであれば、あまり「スワップ」「スワップ」と連呼しない方が良いような気もします。「スワップが必要だ」、などと叫ぶほどに、むしろ市場参加者に対しては「韓国に通貨危機が迫っている」というメッセージを与えかねないからです。

いずれにせよ、著者自身の「ハンバーガー評論家」という立場からすれば、米韓首脳会談や日韓首脳会談が開かれるのかどうか、開かれたとして韓国メディアがやんややんやと騒ぐような華々しい「成果」とやらが出てくるのかについては、肉2倍ビッグハンバーガーとナックマゲット大盛りあたりをかじりながら待ちたいと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (20)

  • さて、このまま甲斐のない米韓スワップにすがるのか、そう見せかけて日韓スワップ要求に変更するのか見ものであります。

  • マッチポンプ根性は新聞記者の飯のタネ。文字にしなければ給料が出ないのでしかたありません。

  •  シャインマスカット盗んだ連中が「スワップブドウなんて酸っぱいわー」とはこれ如何に。

    • あおいのは酸っぱいから、「”レッド”シャインマスカット」にくら替えするんですってね。

  • 新宿会計士様

    これは連休中の新しいイン○キ社説の前振りでしょうか?
    タイトルは「日韓は協調してドル高に対処せよ
    ー 日韓通貨スワップはドル高への防波堤」

  • ふと思ったのですが、韓国政府は通貨防衛でドルを溶かすより、ウォン安を容認して韓国企業に外貨を貸し出した方がよっぽど有益だと思うのですが間違いでしょうか?

    • 真面な企業なら仰る通りでしょうが、
      自国企業の正体を知っている ”条約・合意を守らない、嘘つき、コソ泥推奨”国 政府は、

       ”ドブに捨てるに等しい”

      と理解してるのではないでしょうか?

       ”知らんけど”

      • やっぱり、そうですよね。
        国内の企業でドルを回したほうがいいですよね。
        ただ、農家の三男坊様の言う事ももっともです。
        以前、韓国が通貨危機を起こしたときの外貨準備が使えないのが多かった理由が、ギリシャ国債などの訳のわからん投資じゃなくて、韓国内の企業に貸し出したドルが焦げ付いたのかもしれませんね。
        そう考えると、韓国内企業に貸すより通過防衛に外貨を使いたい韓国の行動も理解できます。

  • 素朴な疑問ですけど、「安全保障はアメリカ、経済は中国に頼る」韓国は、経済安全保障、通貨安全保障もアメリカに頼るのでしょうか。そもそも、経済と経済安全保障は切り分けが出来るのでしょうか。(そのうち、「韓国国内の雇用環境が安定しないと、韓国の安全は守れない。アメリカに韓国国民の雇用を保証してもらおう」という社説が、韓国メディアにのるかもしれません)

  • スワップは「お互いもしもの時に一時的に融通し合いましょう」ということで結んでも卑屈にならずにすみ、それでいて金のある国と結べば投機筋に対する用心棒のような存在として使える。この2つ、卑屈にならずに済み、通貨防衛にもなるというところが韓国には魅力的なのだろう。
    ところがこれだけ「スワップ、スワップ」と叫ぶと、「カネカセ、カネカセ」に聞こえ、「あの国、金ないのか?」という疑念を生み、結ぼうという国がなくなるということで逆効果じゃないかな。

  • 結局、地理的立地からくる甘えにより、脅して利益を最大化するスタンス。だから、技術を創造したり、磨いたりすることもない。ふつうの加工貿易国家ではない。ふつうなら、過渡期としてその先を模索するはずだが、あくまで二次的な事柄。まずは、アメリカを脅してくいさがり、最悪でもアメリカに日本を操らせ屈服させ利益を享受するというのが国是。甘えにあぐらをかいていたら、米中対立モードの中、台湾が製造技術を磨き、アメリカにとっての重要性がさらに増してしまった。今後は、外資が国外に逃げ、結局、中共北朝鮮に吸収されていく運命のような気がするが、昨今のロシアの迷走にもからみ、その伝統的橋頭保位置(甘え)がどう再評価されるのか見ものである。

  • 大幅利上げを示唆したうえで、家計債務を固定金利に強制転換する法的措置でも施せば或いは・・。

    (◞‸◟)。இ

  • 以前の日本ならともかく、米国が
    ドド厚かましい韓国の言いなりに
    なるわけないのになあ(笑)と思います。

    家計でも、見栄を張って借りた
    サラ金返せなくなったら、
    息子のベンツやロレックス売ってでも
    返済するもので、よその家騙して頭下げずに
    スワップニダなんて通用しないものです。

    手遅れになる前に、
    外貨防衛資金企業拠出法を成立させ
    サムスンヒュンダイなどの
    海外投資や工場をドルに替えて
    ウォン防衛資金に積むべきです。
    韓国国民は、
    「財閥企業資産守って、通貨と家計破綻させるのを
     ウリたちは許さないニダ!」と、
    ロウソクデモに立ち上がるべき時です。

    以前のウォン危機の際から、
    韓国財閥資本の過半はすでに米国等外資ですが
    今の身勝手思い上がりの韓国の振る舞いからは
    通貨危機助けず崩壊させて、
    経済植民地化の度合いを引き上げるほうが
    得策だと当然に判断することでしょう。

    • これは、経済的に見たら、そうも言えます。
      が、韓国の経済にそれ程魅力と実力があるでしょうか?皆、モノマネ製品ですし。何か独自の技術開発力があるでしょうか?無いです。

      M&A流に、国家経済価値の計算をしてみればいいですね。
      多分、のれんも無く、マイナスでしょう。
      M&Aは、現在価値よりも将来価値を買うものだからです。
      勿論、現在も大マイナスのはずです。
      そうでなければ、こんなに通貨価値の無い国であるはずが無い。
      やはり、通貨は総合的な国力を反映したものですよ。

      そうだ!とここで思い付いたことがあります。
      各国の総合的国力を算出してみたら、どうなるのでしょう。
      そうすると、中国は?ロシアは?
      ロシアなんかは、自国の総合力を知ってたら、ウクライナ侵攻はしなかったのでは?
      自分には、元々そんな力は無いのだ、と。
      自分達は、ロシア帝国の幻影の中に居たんだなあ、と気が付きます。

      上のPASSERBY様も書いておられるように、韓国の価値は地政学的な位置だけです。韓国自身もそれが分かっているから、キタと一緒になって、元の鞘に戻りたいのです。それが一番安定安心感があるのでしょう。

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