月末に向けて「1ドル=1350ウォン突破」あるのか

ジャクソンホール会合受けウォンは一段安

ジャクソンホール会合を受け、いくつかの新興市場諸国通貨が米ドルに対して大きく下げる展開が生じています。日本の場合は1ドル=138.5円を超過する1ヵ月半ぶりの円安水準に近づいていますが、韓国の場合は約13年4ヵ月ぶりとなる1ドル=1350ウォンの大台を突破するのかどうかが気になるところでしょう。

米カンザスシティ連銀が主催する「ジャクソンホール会合」で現地時間の26日から27日にかけて、欧米諸国の中央銀行の総裁が相次いで、インフレ抑制に関する「タカ派」的な発言を行った反面、日銀は引き続き緩和姿勢を維持する姿勢を示しました。

主要中銀がタカ派姿勢示す、ジャクソンホール-日銀は異なる課題

―――2022年8月28日 15:13 JST付 Bloombergより

ポストコロナ期の需給バランスの崩壊に加え、ロシア・ウクライナ戦争の影響で資源価格などが高騰するなか、欧米諸国がロシア経済の混乱の影響をとくに大きく受けていることを考えるなら、日本の状況は欧米よりもまだずっとマシなほうでしょう。

ただし、日本と日本以外の先進国の金利差がさらに広がるとの観測のためでしょうか、日本時間の今朝は円安が進んでいるようです。日本円は本日午前11時過ぎの時点で、1ドル=138円50銭を少し超えるなど、1ヵ月半ぶりの円安水準となっています。

先日の『「20年ぶり円安」の好機生かすには原発再稼働が必要』などでも指摘したとおり、円安は輸出競争力の強化と輸入代替効果をもたらすのに加え、巨額の債権国でもある日本に資産効果をも発生させるため、日本経済にとっては非常に歓迎すべき状況です。

ただ唯一のネックが電力供給の不安定さにありますが、これについても原発の再稼働や新設(『良い意味での豹変?日経「岸田首相が原発新設を指示」』等参照)などが進んでいけば、ボトルネックは徐々に解消されていくでしょう。

もっとも、対外債務を抱え、国内で基幹部品を内製化できていない国にとっては、自国通貨の下落は困った問題でもあります。

ジャクソンホール会合を受けたためか、私たちの隣国の通貨の対米ドル相場も荒れ模様であり、韓国ウォン(USDKRW)は1ドル=1350ウォンに届きそうなほどに下落しており、中国当局がある程度コントロールしていると思われるオフショア人民元(USDCNH)についても、1ドル=6.92元に近づいているようです。

ことに、韓国ウォンが前回、1ドル=1350ウォンの大台を超えていたのは、今から13年以上前の2009年4月29日における1ドル=1,357.6ウォンが最後ですので、もしもこのラインを突破すれば、心理的には一段とウォン安が進むかもしれません。

韓国の場合は半導体産業に不可欠な半導体製造装置などの基幹部品、中間素材(韓国語でいう「素部装」)の輸入を日本などの先進国に依存しており、また、米ドルなどの外貨での借入も多いため、ウォン安は輸入品物価を押し上げるとともに、韓国企業にとっては外貨借入の弁済負担を重くするという効果があります。

したがって、韓国自身は輸出立国ではありますが、日本と異なり、ウォン安が進み過ぎることは望ましくなく、韓国の通貨当局が警戒しているであろう何らかの「ライン」を踏み越えそうなタイミングで、為替介入(外貨売り・ウォン買い介入)が行われるのが通例です。

しかも、韓国は現在、「利上げをすれば金融危機、利上げを見送れば通貨危機」という、非常に微妙なラインに立たされています(『韓銀総裁「スワップは通貨安防ぐうえで役に立たない」』等参照)。

本来、金融政策は為替相場とは無関係に決定されなければなりませんが、韓国の場合、通貨当局者は金融政策と為替相場をリンクさせて考えているフシがあり、これに加えて国内の家計債務が破綻の危機にあることを思い起こすならば、あまり大胆な利上げには踏み込み辛い、というのが現在の韓国の実情でしょう。

しかし、韓国にとって行き過ぎた為替変動は避けなければならず、場合によっては1ドル=1350ウォンを一種の心理的節目として韓国当局による為替介入が行われる結果、韓国の外貨準備がさらに減少する、といった展開もあり得るでしょう。米韓金利差はこれからさらに開く可能性すらあるからです。

いずれにせよ、ちょうどよい具合に、そろそろ月末というタイミングでもあります。本日以降の数日間、為替相場に関する韓国通貨当局と市場との「攻防」が行われるのだとしたら、来月早々にも発表されるであろう今月末時点の同国の外貨準備高がどうなっているかについて、いち早く確認できることになりそうです。

読者コメント一覧

  1. がみ より:

    サクッと本日1350ウォン突入。
    今月31日のローンスター後だと思っていたので以外に早かった。
    文在寅政権の置き土産である李昌鏞韓銀総裁がなぜ安定した地位なげうってこの時節の韓銀総裁なんて引き受けたのか個人的には婦人だったのですが元来そういう人だったのを韓国がねじこんでいただけの方なのかも知れないと思い始めています。
    私個人的には評価高かった人なんですけどね…

    唐突に「韓国は純債権国」とか言い出しちゃった。
    あ〜あ…
    自分のところが出してる韓銀の公式資料見てみろ。
    どこが純債権国なんだ?
    「他の主要通貨と比べても」
    比べるな!主要通貨じゃないでしょ!

    朝からビックリの連続です。

    1. がみ より:

      婦人ってなんだ!
      不思議です。

      1. 攻撃型原潜#$%〇X より:

        いや、不審だろ。

  2. 愛知県東部在住 より:

    ウォンードルの為替チャートも気になるところではありますが、それと同時に韓国国債(10年物)の金利が、先週末の3.6%から本日の朝いきなり3.7%台に跳ね上がったのには少々驚かされました。

    何か不吉な兆候でなければいいのですが・・・・すいません、嘘です。

  3. Sky より:

    韓国財閥企業は国内を見限り西側国外に拠点を移すのかなぁ、と思っていたのですが、なんでもサムスン電子は、今後6年間に20兆ウォン投資して韓国国内に次世代半導体開発拠点を作るとのこと。起工式には先日特別赦免された李副会長も参加したそうです。特別赦免の見返りで国内で起工することになったのかしら?

  4. マイナンバー より:

    いつものその日だけ防衛ライン(本日だと1350)を一日だけは韓国銀行も死守するのでしょうが、明日以降はあっさり後退と予想します。そして次の節目は1400、その次1450、1500・・・2000と際限ないかと。人民元との通貨スワップはいつ発動されるのでしょうかね(笑󠄀

  5. 匿名 より:

    韓国政府の本当の通貨防衛ラインは
    1$=1200Wでなく、100円=1000Wを目指していると考えます。

    特に、半導体製造装置などの基幹部品・中間素材等は日本に依存していて、
    円建て貿易している限り被害は出ません。
    仮に1$=200円の超円安という事態があれば 韓国政府も1$=2000Wまで容認する気がします

  6. コジna より:

    >ECBは少なくとも50bp利上げ、75bpも視野-インフレ記録更新で
    >(ブルームバーク 2022年8月29日 20:33 JST)
    >少数派だが何人ものメンバーが75bp利上げ議論に前向き
    >ユーロ安もインフレ高進の要因-重要な考慮事項

    悲報、南朝鮮にまた悪いニュース、すぐ利上げしないといけなくなりそうです。
    黒ひげ危機一髪状態でしょうか、どこで飛ぶんでしょう。

    >韓国の場合、通貨当局者は金融政策と為替相場をリンクさせて考えているフシがあり
    完全にこれですよね、南朝鮮が国際通貨及び準国際通貨化ができない理由だと確信しています。
    経済が上向きの時にはチート行為は推進力になります、
    しかし一旦トレンドが変わると過去の不正分も含めて下落します、通貨を弄れば必ず天罰がくる。
    世界的に「炭鉱のカナリア」として有名な南朝鮮経済がジェットコースターなのは必然ですね。

  7. あああ より:

    ウォン安進行による通貨危機と利上げによる不動産バブルからの金融危機が同時に起こりうる一国の経済情勢としてはかなり危ない状況と見受けられますが、経済学者の高橋洋一先生曰く韓国国債の利回りやCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の数値から韓国経済のマイナス要素は特に無いと結論づけてました。
    正直経済・金融にそこまで詳しくないのでどなたか教えて欲しいのですが、現在の韓国の為替や貿易収支の数値は新宿会計士様や韓国関連の情報サイトが指摘するほど本当に危機的なのでしょうか?
    色々あり過ぎてどの指標が正確な状況を表してるのかよく分かりません。

  8. ひろやま より:

    さあ次は
    いざ国(1392)まとめよう南北朝統一
    いっしょにや(1428)ろう一揆をね
    この語呂合わせがターニングポイントになると韓国にぴったりでワクワクしますな。
    年号語呂合わせが楽しいなんて学生の時は思いもしませんでしたな。

  9. 団塊 より:

    29日
    1$1455.50ウォンまでいきましたね、終値 1$1342.18ウォンでしたが。

    30日am4:45 1$1445.83ウォン

  10. 団塊 より:

    訂正です
    29日
    х 1$1455.50ウォンまで…

    ○ 1$1355.50ウォンまで…
    でした。 

    1. 団塊 より:

      訂正です
      × 30日am4:45 1$1445.83ウォン
      ○ 30日am4:45 1$1345.83ウォン

  11. サムライアベンジャー(「匿名」というHNを使っている方には返信しません) より:

     今までの動きを見る限り、「1ドル=1350ウォン突破」はあっさりと達成されるでしょう。

     我々の興味は、その「介入資金」がなんなのかということ、そしてその介入によってどのような「損失」が出るのかが気になります。介入資金は「タダ」じゃないですからね、そんなに簡単なことならどの国も為替介入を恒常的に行うはずですから。

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