韓国社会で問題化「多重債務者」割合が人口の1割弱に
利上げをすれば金融危機、利上げを見送れば通貨危機。韓国はそのどちらかを選ばねばならないようです。こうしたなか、韓国で利上げをすれば、破綻する家計が急増しかねない、といった証拠が、またひとつ出てきたようです。韓国メディア『中央日報』(日本語版)の報道によれば、3社以上の金融会社からカネを借りている「多重債務者」が韓国社会全体で446万人に達するとの試算があるのだとか。
家計破綻急増?
ここ最近、隣国のメディアの報道を眺めていると、家計債務の破綻に関する話題が急増しているように思えてなりません。
最近、当ウェブサイトで取り上げたものに限定しても、たとえば先月の『「消費者ローンで株を買う」韓国家計、債務破綻急増か』では、「韓国では若年層を中心に、個人債務者がクレジットカードのキャッシングや消費者信用などに手を染め、リスク資産に投資し債務破綻の危機に瀕している」とする話題がありました。
また、これに続く『韓国「若年借金投資問題」とウォン安の深刻なジレンマ』では、昨年末基準で、韓国における家計貸出全体1862兆ウォン(約191兆円)のうち27.1%の504兆ウォンを、20代~30代の債務者が占めている、とする話題を取り上げています。
「借金でリスク資産投資」の危険性
消費者信用問題に詳しい方ならご存じかもしれませんが、正直、借りたカネでリスク資産に投資するという行動自体、極めてリスクが高いものです。
私たち日本人の感覚だと、一般の個人が銀行からカネを借りるのは住宅ローン、すなわち「自己居住用不動産」を購入する際に住宅ローンを借り入れる、というケースが多いと思います。この場合、資金使途はあくまでも転売用ではなく自己居住用ですので、住宅価格が上がろうが下がろうが、あまり関係ありません。
しかし、銀行から借りたカネで投資用マンションを買う場合には、注意が必要です。投資用マンションの場合、想定賃料水準で入居者が入らなければ、その返済原資自体が滞ってしまうかもしれないからです。賃料を下げたら想定収入が得られないだけでなく、債務の返済にも滞る自体が生じかねません。
ましてや、株式だ、暗号資産だといったリスク資産を購入するのは、なかなかに理解に苦しむ行動です。インターネットサイトで検索していただければわかりますが、株価というものは毎日のように動いているものだからです。
たとえばあなたが銀行から1000万円を借りて1000万円分の株式を購入した場合、その株式の時価が500万円に値下がりしたとすると、純粋に500万円分損します。資産をすべて売却しても500万円にしかなりませんが、借金は1000万円分返さなければならないからです(※配当や利息などの議論は無視します)。
多重債務者は446万人で過去最多=中央日報
いずれにせよ、国を挙げて多くの人が借金を重ね、株だ、暗号資産だ、投機用不動産だといったリスク資産に現を抜かすというのも理解に苦しむところではあるのですが、こうしたなか、韓国メディア『中央日報』(日本語版)には本日、こんな記事も掲載されていたようです。
韓国、「金融時限爆弾」多重債務者446万人で過去最多
―――2022.08.16 09:07付 中央日報日本語版より
中央日報によると、韓国銀行が15日付で国会議員に提出した資料で、「多重債務者」の割合が2012年に集計を取り始めてから最高水準に達したことが判明したのだそうです(「多重債務者」とは「金融会社3社以上からの借入がある債務者」のことだそうです)。
しかも、この「多重債務者」は20代から30代などの中・低所得者層を中心に、「相対的に金利が高い貯蓄銀行」などからの借入も広がっているそうであり、中央日報は「市場金利などが急騰する中で金融安定を揺さぶりかねない信管の爆発力が大きくなる様相だ」と指摘しています。
記事を読んでいて驚くポイントは、そこだけではありません。
中央日報によると、3月末時点での個人債務者のうち「多重債務者」は22.4%に達しており、これは昨年末の22.1%より0.3ポイント増え、「関連統計集計を取り始めた2012年以降で最高水準」なのだそうです。また、借入者数ではなく借入残高基準でみれば、多重債務割合は31.9%に達するのだとか。
この22.4%という数値はサンプル分析の結果得られたものだそうですが、この割合を昨年末基準での債務者数1989万4000人に当てはめれば、445万6000人が多重債務者、という計算です(※韓国の人口は2020年で5178万人だそうですので、人口の1割弱が多重債務者、ということでしょうか)。
信用力が低い人の多重債務問題が拡大している
では、なにが大きな問題なのでしょうか。
多重債務者数や多重債務残高が増えることもさることながら、中央日報によると、もっと心配なことは「低信用者」、つまり信用力が低い債務者の間で多重債務者の割合が増加していることにあるのだそうです。
年齢階層別に見れば、多重債務者の割合は30代以下が26.8%、40代が32.6%、50代が28.0%、60代以上が12.6%で、このうち30代以下の多重債務者の割合は昨年末より0.6ポイント増え、「他の年齢帯と比較して最も急激に増加した」のだとか。
そして、中央日報によれば、「利払いのために借り入れる」という「負債悪循環」(日本語で言えば「自転車操業」でしょうか?)も増えており、、利上げなどに伴い、「中低所得者は増えた利子を支払うためにむしろ生計用資金を高金利で借りなければならない状況が現れている」(都市銀行関係者)状態なのだとか。
結局のところ、韓国銀行が今のペースで利上げを続ければ、こうした多重債務者を中心に債務破綻するケースが続発するでしょうし、だからといって利上げのペースが鈍れば、米韓金利差逆転により、韓国からの資金流出がさらに続きかねないという意味では、現在の韓国はまさに利上げのジレンマに立たされているのです。
こうしたなか、隣国メディアではウォン安が進めば、決まって「韓日通貨スワップ」、「韓米通貨スワップ」などに対する待望論が出てくるのですが、その背景には結局のところ、「利上げをすれば金融危機」、「利上げをしなければ通貨危機」というジレンマに韓国が陥っている、といった事情があることは間違いないでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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韓国民の5人に1人は前科持ちと聞いたことがあるので、それに比べれば少ない数字に感じてしまいます。
それより借りるよりは盗めのお国なのでしょうか。
しかし返済の見込みのない人に貸したほうも大変そうです。聞いた話ですが、韓国では貸したほうが土下座して返してもらうのが常識らしいですから。複数から借りてる場合、より上手な土下座ができた相手に返済するのでしょうか。
「返してほしければ誠意を見せろ」とか借金取りに言ってみたいものです。
余計なお世話でしょうが
>(日本語で言えば「自転車操業」でしょうか?)
雪だるまの方が相応しいかと。
間をとって雪だるまが自転車をこいでいる、で。
雪だるまから足が出た、というジョーク。。。
借金で競馬の万馬券狙う様な行為か。
韓国は利上げをすべきです。
この様な輩は遅かれ早かれ破綻するものです。
利上げして、破綻者の救済と不良債権処理したら全て解決するのに。
血を吐く決断の出来ない民族だなぁが感想です。
sey g さん
>血を吐く決断の出来ない民族だなぁが感想です。
彼らにとって、血は吐くものではなく吸うものですし、吐く時に出て来るのは嘘ですし。
おっしゃるとおりですね、アシアナ、造船、双龍自動車、電力。
朴槿恵政権時に尹外相が「韓国は米中双方からラブコールを受けている」とか言ってました。
多重債務者は「私は複数の金融機関からラブコールを受けている」とか受け止めてるかもですね。
徳政令も通貨・為替スワップも空売り禁止も、異常で特殊な条件下での窮余の最後の手段で常用するものじゃないっていう事をまるで考えていない不思議さ。
それこそ最後の手段でギリギリのライフラインなのに。
「そうか♪ その手があったか〜♪ 便利〜」
っていつも最初から使う前提でいるのがうんざり。
最後は誰かがどうにかしてくれるし、そうして貰う権利があるっ!
って心底思っているのが本当に嫌です。
日本国内でベーシックインカムとか企業の内部留保を政治で強制解放させて平等?とかワケわからない事言ってる連中も同列。
仕事しなくて生活出来るなら誰が働くか?
努力した分だけ報われないなら誰が努力するもんか。
やったらやっただけ、頑張ったら頑張った分は正当に評価されないで経済成長やら人類や国家や自分の属する社会の発展なんかあるもんか!
直近のコロナ禍でも企業に内部留保が無ければ使わなければ、職を失う人の屍の山だったと思う。
なんで内部留保の全てが「悪」にされるんだ?
適正に使われる環境があれば自然に調整されるものだ。
学費無償化や就職資格としてしか考えない大学全入とかAO入試拡大とか就活学生のインターンシップが良いことの様に考えられている事やら…全部退廃的でしょ?
岸田総理肝いりで来春発足するらしい「なんたら子ども庁」とか、韓国の「女性家族部」の再現みたいで全く必要性を感じない無駄な政策だが、野党は自分たちも言い出しそうな事なので反対も議論もしない。
歳出だけ増やして効果測定め試算もせず耳障りが良いことだけささやく。
歳入は天からの贈り物と考えて…増税するってつもりの財務省官僚…
あほか?
内部留保とは要するに過去に稼いだ利益のこと。現金預金で残ってるとは限らない。
建物、機械、在庫になってる可能性大。
この会計用語、いかにも現金で残ってそうな語感があり問題。
内部留保減らすのは簡単。みんな配当してしまえばいいだけのこと。金がなけりゃ借金して配当するだけのこと。
「内部留保」は、正式な会計用語ではなかったはずです。
その証拠に、B/Sにも、P/Lにも、内部留保などという科目はありません。
>信用力が低い債務者の間で多重債務者の割合が増加している
韓国の金貸しだって信用力の低い人に貸す時は相当の高利で貸すはず。トイチとか。
最後に行きつく先は「ウシジマくん」
あるいは徳政令を待ってるのかな。
徳政令はまだかな?
徳政令は既に発動されなかったっけ?