韓国高官「通貨スワップは再び米韓の交渉テーブルに」
「常設通貨スワップ」か、「一時的通貨スワップ」か――。不発に終わったはずの「米韓通貨スワップ」を巡って、韓国政府高官はいまだに夢を諦めていないようです。韓国メディア『毎日経済新聞』は、本日も快調に(?)米韓通貨スワップに向けた期待を煽る記事を掲載しているようです。ただ、くどいようですが、米国が韓国との間で(通貨スワップではなく)為替スワップを再開する可能性は、極めて低いのが実情でしょう。
韓国で(なぜか)通貨スワップに向けた期待感
今朝の『韓国紙がいまだに米韓通貨スワップなどの協力に期待か』では、韓国紙『毎日経済新聞』のウェブサイトに掲載された、こんな記事を紹介しました。
「外国為替市場安定に向け緊密協力」…韓米首脳、政府協力鮮明(※韓国語)
―――2022.05.22 20:40付 毎日経済新聞より
これは、米韓首脳会談の共同声明で外為市場に関する文言が入ったことを受け、毎日経済が「韓米両国は外為市場の安定に向け緊密に協力することで合意した」、などと報じたものです。
ただし、その内容が事実に沿っているのかといえば、そういうわけではありません。該当する文言は、あくまでも米国による韓国に対する「為替介入への牽制」と見るべきだからです(※詳しくは今朝の記事でも指摘したとおりですので、本稿ではこれについては繰り返しません)。
正直、あの共同声明をどう解釈したら、「米韓両国が為替市場の安定に向けて緊密に協力することにした」、と解釈できるのか、疑問でなりません。
この点、本日午前中の韓国ウォンの対米ドル相場(USDKRW)は1ドル=1270ウォンを少し割り込むウォン高水準であり、「通貨スワップに対するゼロ回答」のわりには、為替相場自体は小康状態にあると考えておいて良いでしょう。
毎日経済が本日も「米韓通貨スワップ」待望論調
そして、「米韓通貨スワップ」に対する希望をまだ捨てていないのでしょうか、毎日経済のウェブサイトを覗いてみたら、本日もこんな記事が掲載されていたようです。
為替レートの不安を払拭できず… 韓米常時通貨スワップ不発(※韓国語)
―――2022-05-23 10:02付 毎日経済新聞より
冒頭に記載されている要約部分を意訳すると、こんな具合でしょうか。
「共同声明に『為替動向緊密協議』とする異例の文言も具体的な実務方法の記載なし/スワップは中央銀行間の決定事項であり、今すぐの締結は難しいにせよ、外交的な糸口の意義とともに、韓国銀行の役割期待も台頭」。
そのうえで、毎日経済は「韓米首脳会談で異例の『外国為替協力』のフレーズが登場し、今後の韓米常時通貨スワップに対する期待感が出ている」、「金融市場内外では、常設スワップ締結の可能性は大きくないとしつつも、両国中央銀行間の交渉過程で意外な結果も出ることができるという見方も出ている」、などと述べます。
のっけから、事実誤認に満ちた記述です。米国政府が公表した共同声明の原文を読むと、たしかに「金融市場の安定(financial stability)」という文言は出てきますが、これはあくまでも「秩序ある、そして機能的な外国為替市場」によってもたらされる、という意味であり、「外国為替市場の安定」、といういみではありません。
それなのに、毎日経済はこの記述について、「外国為替市場の安定のための両国政府間の協力を公開的に確認したものだ」、などと述べているのです。
しかも、大統領府経済安保秘書官は、米韓共同声明で「外国為替に関する協力に関する文言」は「初めて登場したものだ」、「両首脳が金融市場を含めて外国為替市場全体の安定化に多くの関心を持っていると理解してほしい」、などと強調しそうです。
このあたり、韓国政府担当官がこの文言の意味を本当に理解していないだけなのか、それともわざとミスリードを誘おうとしているのかについては、よくわかりませんが…。
米国にとって韓国と為替スワップを結ぶ意味はない
ただし、毎日経済の記事を読んでいると、もしかして記者が当ウェブサイトに目を通しているのかと思しき記述がないわけではありません。こんな記述がその典型例でしょう。
「基軸通貨国米国は欧州連合(EU)、英国、日本など主要国と常設通貨スワップを締結している。一方、ウォンはグローバル輸出代金決済比重が2.4%に過ぎないなど世界20位圏外の通貨と評価される。韓米常設通貨スワップの可能性が大きくない理由だ。米連邦が来月から9兆ドルに達する保有資産を売却する量的緊縮(QT)を開始することにしたというのも通貨スワップの可能性を下げる要因だ」。
そもそも米国が日本、EU、英国、スイス、カナダの5ヵ国と結んでいる常設型・上限なしのスワップ協定は「通貨スワップ」ではありません。「為替スワップ(=外為流動性供給スワップ)」です。
ただ、この事実誤認を除けば、この記述自体は、非常に適切なものです。
当ウェブサイトの『なぜ米国は韓国と通貨・為替スワップを締結しないのか』でも指摘したとおり、そもそも米国にとっての為替スワップには、大きく「金融緩和」、「米銀にとってのドル以外のハード・カレンシーの供給手段」という2つの意味合いがあります。
そもそも韓国ウォンがハード・カレンシーではないという状況もあり、米韓為替スワップには後者の意義は存在せず、純粋に金融危機下における短期流動性の供給手段、というだけの意味合いしかありません。米国がQTに踏み切るなか、米国にとってまったく意味がない米韓為替スワップが復活するはずなどないのです。
それでもやっぱり通貨スワップに対する待望論が…
もっとも、毎日経済の記事では、こんなコメントも紹介されています。
- 「相互通貨スワップを締結できれば最良の方案だが、その可能性はそれほど高くない。しかし、中央銀行間常設スワップに準ずるどんなディテールが出るか見なければならないだろう」(高麗大学の経済学科教授)
- 「韓国の企画財政部と米国財務省が今後も引き続き協力するという発表は、通貨スワップ話が交渉テーブルに再び上がるという意味。短期的な一時スワップを議論することもでき、長期的な常時スワップ議論もなされる可能性がある」(政府高官)
そのうえで、毎日経済はとりあえず月曜日午前中のUSDKRWが前営業日と比べてややウォン高・ドル安になったことについて、「外国為替当局の為替レート安定化のための追加措置の期待感も、ウォン安の流れを守るものと見られる」、などと結論付けています。
ということは、韓国が国を挙げて、米韓共同声明について、いまだに盛大に勘違いしている最中である、ということでしょう。あの共同声明を、どうやれば「米韓スワップ論」に結び付けられるのか、個人的にはちょっと理解に苦しむ次第です。
いずれにせよ、この毎日経済の報道ぶりから判断するならば、韓国における「通貨スワップを巡る勘違い」は、当分続くのかもしれない、などと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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ここまでくると「スワップ病」「スワップくれくれ症候群」
ネットでは、
「スワップ乞食」?
とまで表現されていますが、
私は適切な表現だとは思いません。
自力で得られないものを
恵んでもらうという点からの
表現なのでしょうが、
韓国さんの場合は
お恵みをお願いする
謙虚な姿勢がありません。
一緒にしては、乞食さんに対して
大変失礼だと感じます。
助けるにしても一度完全に潰れてちょっと経ってからじゃないでしょうかね。
韓国人は助けられると、助けたのは助けた方にも利があるから(だから感謝する必要はない)と考えるので。
潰れかけた企業を助けるとローンスターのような恩を仇で返すような真似も平気でするし。
デフォルト危機➡日米で助ける➡反米反日中国が美味しいとこどり➡デフォルト危機➡日米で助ける➡反米反日中国美味しいとこどり、 なので放置して中国に助けさせて中国の仕打ちを堪能させるのもいいかもね。
就任祝いに多少のご祝儀くらいは期待してたでしょうに、米国も露骨ですね。
新発足のIPEFにサムソンを取り込むくらいしか、お前さんところへの関心は無いよ
と言わんばかりのバイデン大統領の訪韓でしたからね。
それでも米韓通貨スワップの芽はある、まだあるんだ~と、言い続けなきゃいけないのは、
さすがに現状で日間通貨スワップなんて言い出すのは、無理偏に篦棒の旁がつくくらい、
みっともない恥さらしというくらいの自覚はあるんでしょう(笑)。
韓国のロジックを考察してみます。
アメリカは「為替介入はごく限られた場合以外行ってはいけない」と言いました。このことを我々はスワップなんかやらない。というふうに捉えました。
ただ韓国の捉え方は違って「今はそのごく限られた場合だ」と思っているという可能性です。
アメリカも我々もそんなことはないわけなのですが・・・
そのごく限られた場合に許された介入に必要な通貨スワップも必要だ。そんな曲解なのではと思います。
今の状況は全然危機ではなく、単なる利上げ局面にすぎません。単にアメリカの利上げに韓国が追随出来ないかもしれないことを見込んだウォン安にしか過ぎません。利上げ幅が小さい可能性なだけの韓国、利上げはしない日本ですから、円安の幅のほうが大きいのも当然です。日本はそれでやっていけると踏んで利上げしないだけです。
まあ、経済のいろはを知らない韓国に何を言っても無駄でしょうね。
対等な地位だの位相だの国格だのにこだわっているわけでは場合なのでしょうか?
スワップという一つ覚えの言葉に拘っていますが、韓国が喫緊にやるべきことは
「いままでごめんなさい。改心しますからお金下さい。」
って頭下げる事なのではないかと。
その方がはるかに国家が延命する可能性が大きくなるんじゃないかな?
韓国式交渉術の要諦として、まず自分にだけ都合の良い「既成事実」を作り出して発表し、「このように発表してしまったのだから、その通りにしてくれないと困る」と言ってゴネまくるというものがあります。そのバリエーションとして、自分にだけ都合の良い願望をさんざんに囃し立て、国民に刷り込んだ上で、「国民感情がこうなのだから、それに沿ってもらわねば困る」というものもあります。今回韓国メディアが盛んに囃し立てたのも後者の一例ですが、さらにその裏に「韓国国民が期待する措置を取らねば、折角の『保守』政権がピンチになるぞ。それでもいいのか?」という脅し(のつもり)が含まれているのがポイントですね。
まあ、韓国で言うところの体面(チェミョン)、夜郎自大、そして「泣く子は飴を一つ余分に貰える」という韓国の諺言などなどを鑑みれば、今さら驚くような話でもありません。
非常にわかりやすい。
それにしても、韓国にはgive and take のgiveをやろうという発想はないのでしょうね。というか、保守政権が誕生したとか、政策協議団を送ったとかが、giveになると勘違いしているのでしょう。
韓国の政権交代は疑似的な易姓革命ですので、政権交代によって全てのことがリセットされると韓国人は考えているようです。だから、前政権による数々の「やらかし」も政権交代で全部チャラでなければならないと思っているのでしょう。ゆえに、保守政権になったのだからむしろプラス評価であって然るべきだし、就任前から早々に政策教団と称する代表団を送って「改善の意思」を示したことなどは大いに評価されなければおかしいとでも考えているのでしょう。
しかしながら、文明社会においては「外交は継続なり」が原則ですので、保守政権になったというだけでマイナス評価が消えることはありません。せいぜい「これ以上にマイナスを積み重ねる可能性が減った」程度でしょう。でも、未だに天朝冊封体制的意識から脱却していない韓国人には理解不能でしょうけれども。
龍 様へ
久しぶりに龍様のコメントを拝見しました。
しばらく見かけなかったものですから、病気にでもなられたのではないかと思っておりました。お元気そうで何よりです。
この記事は、ウォン安、為替危機で、韓国経済が棺桶に片足を突っ込んでしまっていることにじっとしていられなくて、毎日経済新聞社が書いたものでしょう。
私がそう思うのは、次の文章に記事の本音が表れているように見えるからです。
〇「為替相場を安定させるための「為替当局のさらなる行動」への期待も、ウォンを、弱体化の流れから守る可能性が高い。」
だから、「為替当局のさらなる行動」があるように思わせるために、
①米韓首脳会談の中の「為替協力」という言葉に重大な意味があるように書き、
➁「短期的な一時スワップが議論され、長期的・恒久的なスワップの議論が行われる可能性がある」、と書いたのでしょう。
可能性がゼロなのに、可能性があるように書く。これは苦しい記事です。嘘と知って書いた
記者の苦しみが伝わってくるような記事です。
この米韓スワップの話題が一段落したら、次に日韓スワップ締結論が出てくるのでしょう。
それがどういう文脈で出てくるのかを、楽しみにしています。
単に、「日韓両国は協力すべき」と書くだけでは、話にもなりませんよ、韓国の記者さん。
米国に拒否られたのに
でまかせでピエロのような立ち廻り
なさる韓国さんの演技は滑稽です。
家業の劣化こぴい二等品づくりは
そこそこ儲かりはするのに、見栄を張って
浪費の果の通貨崩壊の瀬戸際なのです。
コミュニティでの
お付き合いでたとえると
まもなく借金で首が回らなくなる
韓家さんが
派手な浪費癖と偉っそうな
姿勢のままでよそのおうちに、
「現金引き出しクレディットカードを
スワップと呼ぶ貸合いっこしようぜ?」
とかいってるようなものです。
米家さんや日家さんのカードは
信用高いカードで現金が潤沢に出てきますが
韓家さんのカードはいつカード無効に
なるかわからない上に、
引き出せるのは紙くずになりそうな
ウォンだというのだからそんな交換
応じてもらえるわけがありません。
米家さんは交換は拒否するものの
破産しそうになったらそのときは
虎の子のサムスン株と引き換えなら
その分だけは助けてやってもいいぜ
てな算段で、そのために今回の訪韓で
大統領など後回しで真っ先に
サムスン視察に行ったのでは
と推察します。
、
>ということは、韓国が国を挙げて、米韓共同声明について、いまだに盛大に勘違いしている最中である、ということでしょう。あの共同声明を、どうやれば「米韓スワップ論」に結び付けられるのか、個人的にはちょっと理解に苦しむ次第です。
バイデンはツンデレだから韓国を助けたい気持ちを素直に出さないけど、本心では韓国を助けたいと考えているんだ!と、韓国側はバイデン氏の本心を決め付けて色々考えてるだけに思えますけどね。
シンシアリーさんでしたっけ?
韓国では相手の本心を自分が決めるのが一般的だって事を前に書いていたような。
最近はあまり聞かないような気がしますが、一時期ポジティブ・シンキングなるものがもてはやされたことがありました。確かに、局面を打開し、一歩でも前に進むためには、そういった方向付けも必ずしも悪くないかもしれません。しかしながら、韓国の場合、どうしても「酸っぱいブドウ」とか「阿Q式精神勝利法」を想起させられてしまいます。どうしてそうなるかは良くわかりませんが、とりあえず言えるのは、総じて幼稚だということですね。
余談:
韓国人の立ち振る舞いを見ていると、どうしてもアンドリュー・フォーク准将閣下のことが思い出されるのでした。
龍 さん
韓国の場合はポジション・シンキングどころかウィッシュフル・シンキングだとの指摘もあります。
希望や目標を叶える為に何かをする訳でも無く。
韓国が望んだ事は全て米国や日本が無条件で叶えてくれる、単にそう考えてるだけなんだろなと。
朝鮮半島の住民の皆さんって、「願望と現実の区別がつけられない、か、願望で現実を上書きするのは正当化出来る、或いは、願望を繰り返し口にする事でそれが事実になるべきだと思い込む」傾向があるのでは?
韓国の歴史観や、現在の世界情勢の認識、特に「レーダー照射事件」や「日本政府による半導体素材の輸出管理の強化」に対しての韓国の国を挙げての反応を見ればそういう結論になってしまいます。
ただ一言。
「たかり国家」「たかり民族」
もしかして、あくまでももしかしての話ではありますが、韓国は為替管理等強者もメディア関係者も、米韓間あるいは日韓間で通貨スワップが近いうちに成立すると、ある程度本気で考えているのかもしれません。
そのように考えないと、外国為替市場に於ける異常な(韓国当局のドル売りと思われる)までの不自然さの説明ができないからです。
日本と違って、流動的外貨に乏しい韓国が連日為替市場に介入し続ければ、いずれどこかの時点で破綻することは過去の事例で判っているはずなのにと思われるのですが。
昨年でしたか、韓国の国策金融機関がドル資金の金詰まりで、サムスン電子系列の企業からの緊急融資で糊口をしのいだという事案がありましたね。
アレに似た事件が近日中に起きそうな予感がします。
為替管理等強者 ×
為替管理当局者 ○
失礼しました。