日本の輸出「規制」解除と米国の仲介に期待示す韓国紙
口を開けば「輸出規制解除」だ、「韓日通貨スワップ」だと主張する韓国メディア。これに対し、日本の側でも「韓国との関係は大切だ」、「日韓関係改善が必要だ」などとする主張が相次いでいるようです。ただし、少なくとも「対韓輸出『規制』解除」は、現時点では絶対にありえない選択肢です。そもそも日本が輸出「規制」を韓国に適用している事実もありませんし、また、対韓輸出管理適正化措置の原因を作ったのは韓国の側だからです。
対韓輸出規制解除に期待を示す韓国メディア
昨日の『待望の通貨スワップは「完全ゼロ回答」=米韓首脳会談』の末尾でも触れた話題のひとつが、ジョー・バイデン米大統領が22日、訪韓中に行った記者会見の内容を、韓国メディアがあたかも「米国が韓日関係改善に働きかける」かのごとく報じた、とするものです。
というのも、韓国メディアはバイデン氏が「貿易障壁を解決する方法があると思う。われわれはこの問題を深く検討している。一部の貿易障壁は私の前任者が導入した」と述べた、というものです。
これについて、韓国メディア『中央日報』(日本語版)には今朝、こんな記事が出ていました。
訪韓中「貿易の障壁」に言及したバイデン氏…日本に輸出規制の廃止を誘導か
―――2022.05.23 07:11付 中央日報日本語版より
中央日報は日本のメディアの報道を参照するかたちで、米韓首脳会談で「韓日関係改善に対する米国の意志が表れた」と主張。
そのうえで、バイデン大統領が「貿易障壁」に言及したことについては、「日本が韓国に対する輸出規制を強化して韓国をホワイトリストから除外する措置を取ったことを念頭に置いた発言という分析が出てきた」、と報じています。
大変申し訳ないのですが、バイデン氏が「前任者が導入した貿易障壁」と述べていることは、日本の対韓輸出管理適正化措置ではなく、ドナルド・J・トランプ政権による2018年の鉄鋼・アルミ追加関税などのことを指しているのではないでしょうか。
だから、輸出「規制」じゃないと何度いえば…
これについて、中央日報も、こう述べます。
「韓日関係は韓国大法院(最高裁)の強制徴用判決などに対する事実上の報復措置として日本が2019年7月に対韓輸出規制を強化して悪化した経緯がある」。
本当に、しつこいですね。
日本政府による対韓輸出管理適正化措置は、輸出「規制」ではありません。
経産省が詳細を明らかにしていないため、あくまでも想像によらざるを得ませんが、これは韓国による何らかの不正貿易の結果、日本政府がやむにやまれず導入した措置でしょう。事実関係を振り返っておくと、それは明らかです。
経済産業省ウェブサイトの2019年7月1日付『大韓民国向け輸出管理の運用の見直しについて』によれば、日本政府が対韓輸出管理適正化措置に踏み切った理由は、①韓国との信頼関係の喪失、②韓国の輸出管理における不適切な事案の発生、という2点であるとされます
たとえばフッ化水素・フッ化水素酸(HS2811.11-000)の対韓輸出高が2019年6月までの時点で異常に水膨れしていたという事実に加え、輸出管理適正化措置実施以降、韓国の半導体製造が滞ったとする報道がないことは、何らかの不正貿易の存在を示唆する大きな証拠でしょう。
それに、もしも本気で日本政府が韓国に経済的打撃を与えようと思っていたならば、輸出「規制」の対象品目を、フッ化水素、フォトレジスト、フッ化ポリイミドの3種に絞るはずがありません。なんだかんだ理屈をつけて、半導体製造装置をダイレクトに制限しているはずです。
さらには、米国自身も2020年の韓国の対日WTO提訴に対し強い不快感を示しています。『【資料編】7月29日に開催されたWTO会合の議事録』でも述べたとおり、米国政府は「安保問題と経済問題を混同するな」と韓国を強く牽制しているからです。
「バイデン大統領が訪日を通じて韓日米3カ国協力のために韓国に対する輸出規制を緩和するよう直・間接的に誘導する可能性があるという解釈だ」。
…。
ここまで都合がよい解釈ができるというのも、なかなかに興味深いと言わざるを得ません。いずれにせよ、このあたりはどうせ本日以降、バイデン氏の訪日で、この解釈が正しいかどうかがすぐにわかるでしょう。
「米国が日韓関係改善に向けた圧力」という期待
さて、中央日報の記事の面黒いところは、そこだけではありません。
やたらと「米国が日韓関係の改善に向けて間を取り持つに違いない」、といった期待感が出ているのです。
たとえば対韓輸出管理適正化措置の撤回や日韓通貨スワップ協定の締結、自称元徴用工問題に関する韓国への譲歩期待なども、その典型例でしょう。
そして、韓国メディアが引用している日本のメディアの報道も、やはり「日韓関係『改善』」論に立脚したものが多く見られ、韓国の日本に対する不法行為などについてはあまり深く触れられていません。
ただ、韓国の日本に対する不法行為の数々については、いちいち言及するのも大変ですので、「日韓関係改善論」の典型的な思考パターンのどこがおかしいか、という点について、つい先ほどの『【総論】韓国が望む「韓日関係改善」があり得ない理由』のなかでまとめてみました。
「日韓関係改善論」とは、だいたい次のような思考のことです。
「日韓関係改善論」の典型的な思考パターン
- ①日本にとって現在の韓国は、経済・産業上も、外交・安全保障上も、大変に重要な国である。
- ②しかし、韓国が日本との間でさまざまなもめ事を起こしており、これらについて国際法や国際社会の常識に従った解決も期待できない。
- ③だからこそ、日本が国際法に拘泥するのではなく、多少とも韓国に譲歩し、日韓関係の破綻を防ぐべきだ。
(【出所】著者作成)
鋭い方ならば、①、②はある程度統計的事実に沿っているものの、①、②の流れから③が論理的につながらないことにお気づきではないかと思います。このあたりも含め、是非ともご参照くださると幸いです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
これだけ、韓国人が”キャンキャン吠える”という事は、
真の理由は分かりませんが、輸出管理の適正化は大正解”という事だと思います。
実際に格下げすると輸出企業の負担が大きくなるので、
事ある毎に、”日本の指導が理解できない国はランクCに格下げ”の牽制球を投げてあげればよいと思います。
願望ダダ漏れ報道は彼らの日常行為なので、止めようがないと思います。
問題なのは、さして関心もないくせに、いい子ぶって真に受ける日本のいい人たちですが、それもかなり減ったと思います。
新宿会計士さんの闘いが終わる日も近いかもしれません。(だといいですね)
>本当に、しつこいですね。
ほんとしつこいですね♪
韓国は自国での生産ができるようになったそうだし、必要なら今でも手続き踏めば買えてて、割を喰ってるのはその手続きをする日本の輸出業者なのに、いったい何が不満なのかな?
それに、管理がちゃんとできる体制作って実績を積めば良いだけなのに、それをせずに特別扱いを求めたり、感情的に対立を煽ってばかりで、本当に関係改善したいのか疑問に思うのです♪
韓国を輸出手続きを簡略にした優遇措置のグループ、当時の呼び名で「ホワイト国」から普通の手続きのグループに変更しただけで「輸出規制」と騒ぐのだから、「輸出規制」を理解していない証拠です。従って、韓国の理解を助けるために本当に輸出規制してあげたら良いと思うのですが。
岸田内閣は言葉通り「日韓改善が急務」と真剣に考えるのならば、まず韓国に現状の正しい理解をさせる努力をさせるべきです。韓国が現状の理解をできず、「輸出規制」と騒ぎWHOへの提訴も取り下げないでいる間は、日本側は何もできません。
例えバイデン大統領が日韓改善をせよと迫っても、正論を言って押し戻せない首相なんていらんぜよ。
彼らが言う輸出「規制」、よほど悔しかったんだね。
理由は韓国が作り出してきた数々の「懸案」、慰安婦、徴用工、軍艦島、佐渡金山、旭日旗が相殺されてしまうのを恐れてるんだと思う。
彼らは「旭日旗は韓国が譲歩するから徴用工では日本が譲歩する」というようなことを狙っているのだと思う。日本人の交渉スタイル、「初めに合意ありき」というようなスタイルを見ている。
さらにアメリカの干渉も期待している。
> 理由は韓国が作り出してきた数々の「懸案」、慰安婦、徴用工、軍艦島、佐渡金山、旭日旗が相殺されてしまうのを恐れてるんだと思う。
あなたは勘違いをしている。「相殺」って何ですか。取引のカードではありませんよ。輸出管理は輸出管理。要するに戦略物資の横流しや、キチンと管理して輸出元である日本に報告すべき話だったのに横柄にも年次報告の会合も断って「オレ様がカネ払って買ってやってるシナをどこにどう使おうがオレの勝手」ぐらいに構えていたのが、否定され、日本の管理の下にあるのだと。管理者は日本で日本はこれらを国防や日米安保の同盟関係からも日本の責任で時には輸出をストップできると、そういう態度に出た事が、「韓国が上、日本が下」と思いたい韓国としては許しがたいメンツの問題、実は損失とか損害とかは韓国には無いがどうにも我慢できない上下関係の日本からの否認という、後頭部を殴られる許し難い事態だったという案件。だからこそ実害など今は全くないのに「ホワイト国指定を外すのは許し難い輸出規制」「今からでも韓国への規制を解け(実は臺灣なみになっただけ)」などといきり立つのです。ここは勘違いなされないように
韓国は取引できる案件だと思ってるんじゃないですか。
自分たちの管理体制の不備が原因なのに。政治的に取引できることと思ってる。
「取引」とは如何なる事なのか。取りたいのは「ホワイト国指定復活」なのか。それでは未だ「日本の裁量日本の観点からの諾否の決定権」が韓国の意志の外に厳として存在することを韓国側が承諾するという事になりますよ。それでは韓国には何の意味もない。日本はまだ韓国をホワイト国から格下げしたままだが、現に3品目は入っている。つまり韓国が欲しいのは「実」としての輸出品ではなく、「名目、名誉、韓国の扱い、そもそもの主従関係の韓国が主というマウンティング」なのであり、日本の国家主権により日本の責任で許諾を与えるという関係の破壊です。そういう筋にしなければ今の韓国側の要求は説明できない。またそうでなければまるで韓国側に「落とし所のある互いに対話と交渉のできる相手」という事になる。そうではないのです。韓国自身がこれを「カード」として扱える段階じゃないのです。
>日本の輸出「規制」解除と米国の仲介に期待示す
米国:日本よ!どうだろう?
日本:不適切事案の釈明も政策対話もない。
米国:韓国よ!どうなんだ?
韓国:「・・。」
米国:どうなんだ!!!??
韓国:「フ、フッ酸で心の鏡を磨いたnida・・・・・・。」
*本当に、米国が介入しても大丈夫なんだろうか?
文在寅大統領の退任演説によると「日本の輸出規制」にはもう韓国は「勝利した」はずなので今から「勝つ」必要はないはず。また実際の所、新宿会計士さまのお調べになった政府公式データによっても、直後に極端に減少したがすぐに持ち直して、戦略物資輸出管理見直し前と後とで言うほど「韓国が苦しんだ形跡」はなく、オマケに「対日報復」でさんざん反日不買を重ね、日本車に乗っていた韓国人を韓国人がウォッチして交通違反を目ざとくチクるなどという事もして、そんな不買運動が(たとえホワイト国復帰ぐらいで)止む気配もなく、どの口で「制裁解除」などと言うのでしょうか。
あらゆる虚飾と政治的言説を排除して核心を申せば「上の国たる韓国を、下の国である日本ごときが輸出管理だとか身の程知らず」という様な上下意識に基づくマウンティングだったと申せましょう。その裏で戦略物資を横流ししていた。この輸出先が北朝鮮であろうか、イランであろうか、ロシアだったか、中共だったか、その先はよくわからない。それが米日に突き止められて、怖くてもう横流しできなくなった。それはぼろ儲けではあったろうが、それにしても後ろ暗いカネだったから仕方ない。実利としては半導体や液晶パネルを売る正業で稼げば稼げない事はない。だからメーカーサイドとしては入ってきさえすれば良いはず。だが韓国国民の上下意識からみたら「日本に管理されている」が気に食わない。そういう事なんだろうと思います。
韓国が米国に口利きお願いして大丈夫でしょうか?
日本は、今迄の実績を説明して 韓国から技術や物資が漏れる懸念を説明するはず。
約束を守れない韓国を輪の中に入れる危険性を理解した米国は、新ココムから韓国を
外す藪蛇にならないか心配で心配で夜も8時間しか眠れません。
日本の対韓輸出管理上の手続きが解除されて旧ホワイト国に戻るには、韓国側に重大な壁があって、簡単ではないでしょう。
まず、この問題は、①韓国との信頼関係の喪失、②韓国の輸出管理における不適切な事案の発生があるとのことですが、その➁の不適切な事案に限っても、それを解決するためには、
〇その事案の詳細報告書を提出すること、問題の品物はどこへ輸出され、何に使用されたのか、その輸出業者の処罰の内容、韓国当局は何故その問題を見逃したのか、今後それが再発しないようにどういう対策を講じたのか(組織と権限、法令、監査など)、等々を日本の当局に説明して、了解してもらう必要があるからです。
それで、まず、問題となっている事案の報告書を提出することですが、そんなことは韓国側に出来るはずはありません。そんなことをすると、韓国側が非常にまずいことをやった内容が日本側の明るみに出てしまうからです。韓国側が事案の内容を説明することなど、出来るわけがありません。
だから、日本の経産省は、たとえ外務省が騒いでも、(米国が騒ぐはずはありません。韓国のメディアの騒ぎは論外で無視です) 対韓輸出管理は未来永劫、現状維持しかないのです。
私には、韓国メディアが「日本の輸出規制記事」を書いているのは、新聞紙の埋め草用か、または韓国国民の反日意識の強化のためとしか思えません。だから、こちらでは、彼らのやっていることを見ながら、それを笑いのネタにしましょう。