世界の金融機関の「カネの流れ」とウクライナ復興金融

日本は引き続き世界最大の債権国であり、円安で大いに潤っているはず――。そんな最新データが出てきました。当ウェブサイトで定例的に観測している「国際与信統計」(CBS)のデータです。また、アジアにおける金融では、英国が日本よりも大きな存在感を示しているという姿も見えてきます。その一方でいま最も注目しておくべき視点のひとつは、ウクライナの復興融資がどうなるか、でしょう。現在のところ、ウクライナは外国からさほど多くのカネを借りていないのですが、これがどう変わっていくのでしょうか。

国際与信統計(CBS)

どんなデータなのか

当ウェブサイトでしばしば取り上げるのが、「中央銀行の中央銀行」などと呼ばれる組織である国際決済銀行(the Bank for International Settlements, BIS)が公表しているさまざまな統計データです。

なかでも国際与信統計(Consolidated Banking Statistics, CBS)という統計は、「どの国がどの国におカネを貸しているのか」を統一的尺度で知ることができるため、大変に有益な資料でもあります。

この国際与信統計は、日本を含め世界の31ヵ国・地域が3ヵ月毎にBISに提出しているデータを、BISが取りまとめて公表するものです。

日銀はBIS提出データを一般向けに公表しており、最新データは『BIS国際資金取引統計および国際与信統計の日本分集計結果』などのページで確認することができるほか、過去データは日銀の『物価、資金循環、短観、国際収支、BIS関連統計データの一括ダウンロード』のページからも入手可能です。

また、この日銀のデータからは少し遅れますが、日本以外に関してはBISのウェブサイト “Consolidated banking statistics” でデータを閲覧することができるほか、過去データは “Download BIS statistics in a single file” のページからも入手可能です。

日本の金融機関はどの国にカネを貸しているのか?

こうしたなか、先月の『詳説・国際与信統計日本と世界の金融のつながりを読む』では、日銀が公表したデータをもとに、2021年12月末時点の日本の金融機関の対外与信残高(※最終リスクベース)をデータとして確認してみました。

※最終リスクベースとは?

「与信の最終的なリスクがどこに所在するのか」を基準に、国・地域別の分類を行う方法。たとえば英国金融機関のニューヨーク支店向け与信は「米国向け」ではなく「英国向け」と分類する。また、国・地域別分類に際しては、保証やCDSなどによる信用リスク移転効果を勘案する。

このあたり、「日本と世界の金融面におけるつながり」というデータは、我ながら非常に重要な示唆が多く含まれていると考えています。というのも、数字の上で見たら、日本の金融機関にとって圧倒的に重要な相手は米欧等の先進国であって、アジア各国に対する与信はそれらを下回っているからです(図表1)。

図表1 日本の金融機関の国際与信相手(2021年12月末時点、最終リスクベース)

与信相手金額構成割合
米国・豪州等2兆3533億ドル47.96%
 うち米国2兆1043億ドル42.89%
欧州先進国1兆0713億ドル21.83%
 うち英国2351億ドル4.79%
 うちフランス2002億ドル4.08%
オフショア8670億ドル17.67%
 うちケイマン諸島6752億ドル13.76%
アジア・太平洋4391億ドル8.95%
その他1757億ドル3.58%
合計4兆9064億ドル100.00%

(【出所】日本銀行・国際与信統計日本集計分データより著者作成)

いかがでしょうか。

「米国・豪州等」のカテゴリーが全体の50%近くに達していて、なかでも米国だけで2兆1043億ドル、すなわち全体の42.89%を占めていることがわかります。また、日本の与信相手国としては、ケイマン諸島が6752億ドルで全体の13.76%を占め、堂々の2位に入っていることがわかります。

一方で、アジア・太平洋に関しては全体で4391億ドル、比率にして8.95%に過ぎず、ケイマン諸島に対する与信を下回っているのです。これは大変おもしろい現象だと個人的には考えています。

日本の対アジア与信

ちなみに対アジア与信で見れば、最も金額が多い中国で1060億ドルですが、それでも日本の金融機関にとっての与信全体に占める割合は2%少々であり、ランクも8位で、これにタイ、シンガポール、香港などが続いている、という状況です(図表2)。

図表2 日本の金融機関の対アジア与信(2021年12月末時点、最終リスクベース)
相手国金額構成割合
8位:中国1060億ドル2.16%
9位:タイ986億ドル2.01%
11位:シンガポール810億ドル1.65%
14位:香港624億ドル1.27%
16位:韓国514億ドル1.05%
17位:インドネシア483億ドル0.98%
19位:台湾418億ドル0.85%
20位:インド416億ドル0.85%

(【出所】日本銀行・国際与信統計日本集計分データより著者作成。ただし、シンガポールと香港は図表1でいう「アジア・太平洋」ではなく「オフショア」に区分されている)

日本のメディアや企業経営者からは、二言目には「アジア(とくに中国や韓国)は日本にとって重要だ」、といったセリフが聞こえてくるのですが、少なくとも金融機関の国際与信という世界だけで見れば、中国は2%、韓国は1%、というわけです。

CBSの国際版

世界の債権国一覧:日本は世界最大の債権国

こうしたなか、本稿ではその続きとして、BISの方の統計についても確認してみたいと思います。というのも、BISに先月26日、この「全世界版」のデータが公表されていたからです。

これによると、最終リスクベースで見た、世界31ヵ国の金融機関の対外与信合計は30兆6765億ドルでしたが、堂々の1位の座を占めたのは日本でした(図表3)。

図表3 債権国一覧(2021年12月末時点、最終リスクベース)
金額構成割合
1位:日本4兆9064億ドル15.99%
2位:英国4兆1929億ドル13.67%
3位:米国4兆1624億ドル13.57%
4位:フランス3兆3279億ドル10.85%
5位:カナダ2兆5290億ドル8.24%
6位:スペイン1兆9332億ドル6.30%
7位:ドイツ1兆7457億ドル5.69%
8位:オランダ1兆4017億ドル4.57%
9位:スイス1兆2112億ドル3.95%
10位:イタリア1兆0124億ドル3.30%
その他4兆2536億ドル13.87%
報告国(31ヵ国)合計30兆6765億ドル100.00%

(【出所】the Bank for International Settlements, Consolidated Banking Statistics より著者作成)

昨今、円安が進んでいますが、為替ヘッジ取引を無視すれば、日本の金融機関には相当の含み益が生じているものと考えて良いでしょう(※ただし、対外与信にはドル建てのものだけでなく、円建てのものや現地通貨建てのものなども含まれているため、4兆9064億ドルのすべてが含み益、というわけではありません)。

一方、2位には英国、3位には米国が入りましたが、この3ヵ国が依然として「金融大国」として世界に存在感を示している格好です。また、4位にはフランス、5位にはカナダが入っています。

ただし、このBIS統計自体、データを報告している国が31ヵ国に限られているため、BISにデータを報告していない国(とくに中国)が世界に対してどれだけのカネを貸しているのかについてはわかりません。チャイナ・マネーの動きを捕捉できていないのは、BIS統計の大きな課題であるといえるでしょう。

債務国一覧:米国だけで全体の4分の1を借りている

次に、債務国についても確認しておきましょう(図表4)。

図表4 債務国一覧(2021年12月末時点、最終リスクベース)
金額構成割合
1位:米国7兆5140億ドル24.49%
2位:英国2兆4980億ドル8.14%
3位:ドイツ1兆6948億ドル5.52%
4位:ケイマン諸島1兆4478億ドル4.72%
5位:フランス1兆3915億ドル4.54%
6位:日本1兆0908億ドル3.56%
7位:中国9251億ドル3.02%
8位:香港9027億ドル2.94%
9位:ルクセンブルク8127億ドル2.65%
10位:イタリア7443億ドル2.43%
その他11兆6547億ドル37.99%
合計30兆6765億ドル100.00%

(【出所】the Bank for International Settlements, Consolidated Banking Statistics より著者作成)

図表4の合計欄が30兆6765億ドルで、図表3の合計欄と一致していることを確認しておきましょう。

債権国と異なり、債務国については、基本的に統計を見ればだいたい網羅されています。これによると、世界で最もカネを借りている国が米国で、金額は7兆5140億ドルに達しており、国際与信全体の約4分に1を占めています。

ドルが「基軸通貨である」と言われることは多いのですが、このことを「カネを貸す側」から言い換えれば、「米国にカネを貸している国が多い」、という意味でもあります。

米国に対する債権国

次に、個別国に対する債権国を確認していきましょう。

まずは、世界最大の債務国である米国に対しカネを貸している国の一覧です(図表5)。

図表5 米国に対する債権国一覧(2021年12月末時点、最終リスクベース)
金額構成比
1位:日本2兆1043億ドル28.00%
2位:カナダ1兆6913億ドル22.51%
3位:英国1兆1572億ドル15.40%
4位:フランス6066億ドル8.07%
5位:スイス5886億ドル7.83%
6位:ドイツ3500億ドル4.66%
7位:オランダ2663億ドル3.54%
8位:スペイン2202億ドル2.93%
9位:豪州1271億ドル1.69%
10位:台湾764億ドル1.02%
その他3262億ドル4.34%
合計7兆5140億ドル100.00%

(【出所】the Bank for International Settlements, Consolidated Banking Statistics より著者作成)

このあたり、大変わかりやすい図表が出来上がりました。

やはり、米国に対する最大の債権国は2兆1043億ドルという巨額の資金を貸し付けている日本であり、ついで米国の隣国であるカナダが1兆6913億ドル、さらには日本と並ぶ金融大国である英国が1兆1572億ドルであり、この3ヵ国はいずれも対米与信が1兆ドルを超えています。

もっとも、CBSでは「債権国」側に中国のデータが欠落しているため、中国の銀行がどの程度、米国に対してカネを貸しているのかについては見えてきませんが、このあたりについては非常に気になるところではあります。

中国に対する債権国

もっとも、「中国が外国に貸しているカネ」については現状のCBSではデータが得られませんが、その一方、CBSにデータを提供している31ヵ国のデータをもとに、「中国に対してカネを貸している国の一覧」については作成することができます(図表6)。

図表6 中国に対する債権国一覧(2021年12月末時点、最終リスクベース)
金額構成比
1位:英国2548億ドル27.54%
2位:米国1390億ドル15.02%
3位:日本1060億ドル11.46%
4位:台湾680億ドル7.35%
5位:フランス541億ドル5.85%
6位:韓国265億ドル2.87%
7位:ドイツ199億ドル2.15%
8位:豪州198億ドル2.14%
9位:カナダ153億ドル1.65%
10位:イタリア76億ドル0.82%
その他2141億ドル23.14%
合計9251億ドル100.00%

(【出所】the Bank for International Settlements, Consolidated Banking Statistics より著者作成)

すると、意外なことに、中国に対して最もカネを貸している国は2548億ドルに達する英国で、英国だけで対中与信のシェアは4分の1を超えています。続いて米国が1390億ドルで2位、日本は金融大国かつ隣国でありながら1060億ドルで3位に留まっています。

また、歴史的つながりもあるのでしょうか、金融大国ではないなずの台湾が680億ドル、韓国が265億ドルをそれぞれ中国に貸し付けているなど、中台関係、中韓関係についてはなかなか一筋縄ではいかないという実情が透けて見えます。

香港に対する債権国

こうしたなか、もうひとつ興味深いことがあるとしたら、アジアの金融における圧倒的な存在感を誇っている国が、日本ではなく英国である、という点でしょう。たとえば、香港に対してカネを貸している国をリストアップすると、英国が全体の過半を占め、圧倒的な1位であることが分かります(図表7)。

図表7 香港に対する債権国一覧(2021年12月末時点、最終リスクベース)
金額構成比
1位:英国4930億ドル54.62%
2位:米国834億ドル9.24%
3位:日本624億ドル6.92%
4位:フランス324億ドル3.58%
5位:スイス291億ドル3.23%
6位:台湾253億ドル2.80%
7位:オランダ110億ドル1.22%
8位:韓国107億ドル1.19%
9位:豪州96億ドル1.06%
10位:ドイツ73億ドル0.81%
その他1385億ドル15.34%
合計9027億ドル100.00%

(【出所】the Bank for International Settlements, Consolidated Banking Statistics より著者作成)

このあたりは英国が1997年まで香港の宗主国だったという歴史的な経緯もあるのでしょうか、香港は金融センターと呼ばれているわりに、意外とカネを貸している国は偏っているものだと気付きます。

アジアでの英米の存在感は非常に強い

また、香港ほど極端ではありませんが、台湾、韓国、シンガポールなどに関しても、英国や米国の方が日本よりも多くのカネを貸しているという共通点があります(※なお、以下の数値はいずれも2021年12月末時点・最終リスクベースのものです)。

たとえば、シンガポールが外国金融機関から借りている金額は5383億ドルですが、このうち英国からの借入は1509億ドルで1位であり、米国からの借入が1109億ドルで2位、日本からの借入は810億ドルで3位です。

また、台湾についても外国金融機関から2526億ドルを借り入ていますが、うち英国からの借入が725億ドルで1位、米国からの借入が623億ドルで2位、日本からの借入は418億ドルで3位に留まっています。

さらに韓国についても同様に、外国金融機関からの借入は3761億ドルですが、1位が米国の1092億ドル、2位が英国の1020億ドルであり、日本からの借入は514億ドルで3位に留まっています。

復興融資とウクライナ

ロシアに対する債権国

さて、せっかくなので、いま話題の各国についても、2021年12月末時点の状況を確認しておきましょう。まずは、ロシアです(図表8)。

図表8 ロシアに対する債権国一覧(2021年12月末時点、最終リスクベース)
金額構成比
1位:フランス252億ドル23.99%
2位:イタリア229億ドル21.81%
3位:オーストリア179億ドル17.06%
4位:米国157億ドル14.93%
5位:日本98億ドル9.33%
6位:ドイツ46億ドル4.34%
7位:英国16億ドル1.54%
8位:韓国14億ドル1.35%
9位:フィンランド6億ドル0.56%
10位:スペイン3億ドル0.26%
その他51億ドル4.84%
合計1052億ドル100.00%

(【出所】the Bank for International Settlements, Consolidated Banking Statistics より著者作成)

ロシアに対してはフランス、イタリア、オーストリアの欧州3ヵ国だけで全体の3分の2近くを占めており、4位の米国、5位の日本、6位のドイツまで足せば、全体のざっと9割に達します。また、アジアの金融市場で存在感を放っていた英国はわずか16億ドルで7位に留まり、そのすぐ下に韓国がいます。

ウクライナに対する債権国

最後は、ウクライナです(図表9)。

図表9 ウクライナに対する債権国一覧(2021年12月末時点、最終リスクベース)
金額構成比
1位:オーストリア38億9519万ドル33.73%
2位:フランス35億4100万ドル30.66%
3位:米国16億4300万ドル14.23%
4位:ギリシャ1億7700万ドル1.53%
5位:日本1億0930万ドル0.95%
6位:スウェーデン7081万ドル0.61%
7位:英国5100万ドル0.44%
8位:ポルトガル2157万ドル0.19%
9位:ベルギー1500万ドル0.13%
10位:スペイン1471万ドル0.13%
その他20億0977万ドル17.40%
合計115億4835万ドル100.00%

(【出所】the Bank for International Settlements, Consolidated Banking Statistics より著者作成)

ウクライナの復興融資はどうなる?

ウクライナ自体、外国からの借入額が115億ドル少々と、その他の諸国と比べてそもそも桁が違います。ただ、もしロシアが敗退のうえウクライナから撤退し、復興段階に入ったときには、ウクライナには巨額の資金が流れ込むことは間違いないでしょう。

ことに、ロシアが保有していた巨額の外貨準備のうち、3000~4000億ドル程度が西側諸国の手によって凍結されていると考えられ(『開戦準備の証拠?ロシア外貨準備でドルが急減していた』等参照)、ウクライナに対する戦後賠償はこの外貨準備をそのまま充てることが適切であると著者自身は考えています。

ウクライナの復興にはロシアの潤沢な外貨準備に加え、外国からのさまざまな復興融資も期待できることから、この図表9に示した状況は、2年後、3年後、5年後、あるいは10年後には、また今とまったく異なった姿に変わっていくものと期待できるでしょう。

いずれにせよ、戦争の1日も早い終結とウクライナの復興を心から祈る次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. sqsq より:

    BISの国債与信残高には国債、社債、株式などへの投資も含まれていると出ていた。
    アメリカへの与信が大きいのは邦銀の保有している米国債のせいか?ケイマンはタックスヘイブンで組成された投資信託か?
    一方タイは日本の対外投資の多い国。5000社以上の日本企業が進出している。それら企業の資金需要は日本からの貸付か、現地の邦銀からの貸し付けで賄われているのだろう。
    韓国がそれなりの金額になっているのは財閥の資金需要の一部を邦銀がまかなっていると聞いたことがある。サムスン、LGは儲けているようだが、「儲かっている=金がある」ではない。

  2. 元ジェネラリスト より:

    ロシアリスクを世界が認識したので、ロシアがいつでも再侵攻できるような停戦や和平では、ウクライナの戦後復興に世界の民間企業がリスクを取って挙って参入する状態にはならないのではないでしょうか。
    NATO加盟やそれ並みの安保枠組みか、ロシアの徹底的な敗戦でしょうかね。
    ロシアが長期的に凋落するのは間違いないと思いますけど。

    どっちにしても、ロシアの外貨準備は召し上げですね。

  3. 愛知県東部在住 より:

    こうしたデータを元にした世界情勢を分析することは、既存のオールドメディアでは中々目にすることがなく、その意味でも新宿会計士様のサイトはまことに知的な刺激に満ちた場所ではないかと感謝する私大です。

    ところで各種のデータを眺めているうちに何の脈絡もなく、梅棹忠男の『分明の生態史観という書名が脳裏に浮かび上がりました。梅棹はこの書の中で世界の文明の地域分類を行いました。今日ではその分類はあまりにも大雑把に過ぎるのではないかと、各方面から批判も出ています。ただ当時としては斬新な視点ではなかったかと思いますし、大筋に於いて誤った学説ではないと私自身は今でもそう考えております。

    梅棹の学説の核心をなす部分は、欧州と日本を第一地域とし、その他を第二地域としたところにあります。第一地域では歴史的発展段階の一過程として封建制を経過しており、そのことによってブルジョア層を形成しそれが市民意識をそだて、そのことにより近代を迎えたとしています。

    これに対して第二地域では第一地域より圧力を受けることによって、専制的な勢力が興り封建制を経ることなく古代からの政治制度が近代まで継続してきたとしています。

    こうした背景には気象上の条件等、即ち第一地域は湿潤な湿潤で農業に適応した土地柄であったの対し、第二地域は砂漠化した土地であり遊牧が盛んであった事など、専制政治が優勢とならざるを得ない地域であったと結論づけています。

    ではなぜ私が新宿会計士様の記事を読んでこの著書を連想してしまったかといえば、この記事がある意味、21世紀の於ける「金融の生態史観」とも云うべき内容になっているからではないかと考えたからなのです。

    金融の国際化につれてお金の流れはもはや国境を越えて全世界に拡大してはいますが、その流れをよくよく注視すれば、やはり金融の世界にも第一地域と第二地域に分類されうるのではないか、そんなことを考えさせられた2022年緑の日の朝でした。

    1. 愛知県東部在住 より:

      感謝する私大です ×
      感謝する次第です ○

      21世紀の於ける「金融の生態史観」 ×
      21世紀に於ける「金融の生態史観」 ○

      失礼しました。

      1. 匿名 より:

        >歴史的発展段階の一過程として封建制を経過しており

        「封建制の文明史観」にも、モンゴル帝国の侵攻を撃退したのが封建制の国とあり、
        そして資本の蓄積に成功し資本主義に到達した。
        近い将来、グローバル経済体制から、価値観の違いで経済体制が分かれる方向は必然でしょうか・・・。

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