ロシアが欧州2国のガス供給停止:日本は原発再稼働を
日本が原発を再稼働すれば、ロシアに対する間接的な経済制裁となり得る――。この点については、いくら強調してもし過ぎではありません。おりしもロシアは西側諸国の経済・金融制裁を無効化するために、天然ガスなどのルーブル決済をゴリ押ししようとしており、ポーランドとブルガリアに対するガス供給を中断しました。日本政府が原発再稼働を決断すれば、西側諸国を救い、ロシアへの制裁の締め付けを強化するうえで非常に有効な手段となり得ます。
ウクライナ侵攻を受けて西側諸国から経済制裁を受けているロシアは、「非友好国」に対し、天然ガスのルーブルでの決済という措置を講じました(『ガスのルーブル決済大統領令、さながら「経済戦争」に』等参照)。
これは、西側諸国の経済・金融制裁を受け、ロシアの通貨・ルーブルが米ドルに対し急落したことを受け、ロシア側が一種の「通貨防衛」として講じた措置、と理解することができるかもしれません。
そして、ロシアが実際にこのルーブル決済を西側諸国に強要する姿勢が見えてきました。ロシアのガスプロムがポーランドとブルガリアに対する天然ガスの供給を停止したと報じられているのです。
Russia’s Gazprom halts gas supplies to Poland and Bulgaria
―――2022/04/27 15:41 GMT+9付 ロイターより
ロイターの報道によれば、ガスプロム側は両国が「天然ガスの料金をルーブルで支払うことができなかったため」、ガスの供給を停止した、と述べたのだそうです。また、ロイターは2月24日のウクライナ侵攻開始以降、具体的にロシアがガスの供給を打ち切った国は、両国が初めてである、とも指摘しています。
ちなみにロシアが指定している「非友好国」は、次のとおりだそうです。
ロシアが指定している「非友好国」
米国、カナダ、欧州連合(EU)加盟国、英国(ジャージー、アンギラ、BVI、ジブラルタルを含む)、ウクライナ、モンテネグロ、スイス、アルバニア、ナドラ、アイスランド、リヒテンシュタイン、モナコ、ノルウェー、サンマリノ、北マケドニア、日本、韓国、豪州、ミクロネシア、ニュージーランド、台湾
(【出所】『タス通信』英語版・3月7日付 “Russian government approves list of unfriendly countries and territories” より著者作成)
ここに、EU加盟国が包括的に含まれていることがわかります。ロシアのこうした措置が一時的なのか、それとも永続的なものなのかはよくわかりませんが、ポーランド、ブルガリア両国以外にも、ロシアがこうした措置を繰り出してくる可能性は十分に予想されます。
ただ、「資源国」でもあるロシアとしては、西側諸国には強気に出られるという事情もあることは間違いなく、西側諸国としては、ロシアに対する国際的な制裁を強化するうえで、大変に大きな課題に直面した格好だといえるでしょう。
このように考えると、日本が2011年3月の東日本大震災以来、莫大な鉱物性燃料(石油、石炭、天然ガスなど)を輸入しているという状況は、国際的なエネルギー価格を押し上げ、ひいてはロシアを間接的に助けているようなものだ、という言い方もできます。
たしかにロシアは「資源国」ではありますが、資源が売れなくなれば現金収入は得られなくなります。
逆にいえば、日本政府が原発の再稼働を決断し、これらのエネルギーの輸入量を減らしていけば、エネルギー価格の安定にもつながりますし、欧州諸国にとってもロシアへのエネルギー依存度合いを減らしていくことに、間接的に貢献するのではないでしょうか。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。
ツイート @新宿会計士をフォロー
読者コメント一覧
※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。
やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。
※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。
※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。
当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。
コメントを残す
【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
菅さんや安倍さんならまだしも、今の首相は無能で優柔不断な岸田。原発再稼働の具体的な検討に入った頃には石油やガスの供給も回復してると思います。岸田が辞任することが、最大の経済やエネルギー対策です。
>岸田が辞任することが、最大の経済やエネルギー対策です
悪夢の民主党政権を生み出したのもこういう安直な発想でしたね
ロシア問題に加えて、円安も原発再稼働で解決します。
我々庶民も、電気料金が即時大幅に下がってメリットを即受けるでしょう。
政治の決断さえあれば、再稼働の障壁の大部分は取り除けるでしょう。岸田さんの指導力云々言われてますが、もし原発再稼働の判断さえ出来るのであれば今までの評価を見直して良いと思います(韓国問題含め。原発再稼働にくらべれば極々細かい)
兆円の単位の国益に関わることです。ぜひ決断を。
ロシア問題とは言い過ぎでした。ロシア問題に絡むエネルギー確保の問題です。
参院選を控えている状況で事を荒立てたくないのでしょうが、選挙でぼろ負けしなければ原発再稼働に舵を切るのではと期待しています。遅いと思うが。
岸田さんにこの思いが通じて欲しい。
日本が「サハリン1・2プロジェクト」から輸入している石油や天然ガスについては、将来的にロシアが日本にルーブルでの支払いを求めた場合やEUがロシア産石油・天然ガスの輸入停止に踏み切った場合、日本も輸入停止に踏み切らざるを得ない可能性が高いと思います。
そうした事態に備えて、原発再稼働の準備を早急に整える必要があります。
バルト三国でさえ、ウクライナへの連帯を示すためにロシアからの天然ガス輸入を停止しました。日本政府も、ウクライナへの武器輸出が難しいのであれば、早期に「サハリン1・2プロジェクト」からの輸入停止を実施して、ウクライナへの連帯を示すべきだと思います。
原発再稼働は無理です。
2011年から全ての原発を停止していますので、保守部品等を作っていた企業がほとんど無くなり、既に生産できない状態です。
更に技術の継承は全く行われていないため、既に技術者もほとんど居ません。
文系脳では、技術の継承が如何に大事であるかということを全く理解できません。
⇒とある民主党の女性議員が「2番じゃイケませんか?」この言葉が全てでしょう。
原発事故(明らかに人災)以後、使える原発はすぐに再稼働するべきであったのに、アホな日本人は感情にまかせて再稼働を許さず、現在の状態です。
動かしながら、改良し、今後の技術革新を考える、それが本筋でしょう。
もう時は既に遅し、エネルギー需要が逼迫し、どんどん日本が貧乏になっていく。
これは既定路線です。
kumaboss01 様
>2011年から全ての原発を停止しています
どの様な根拠でコメントされているのでしょう?
何か勘違いされていませんか?
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00967/
>動かしながら、改良し、今後の技術革新を考える、それが本筋でしょう。
細々ですが、仰る方向で進んで居ると思います。
>もう時は既に遅し、・・
そんなことは無いと思います。
昔の無責任な原子力村の輩は淘汰されるべきとは思いますが。
農家の三男坊様
確認いたしました。
勘違いしておりました。
大部分の原発は停止状態と訂正いたします。
当方、某企業の原発技術者と親交があり、ほぼ技術は失われたと言われていましたし、原子炉の小型化も日本には出来ないだろうとのこと。
既に技術立国日本は過去のものです。
この11年という年月は技術を失わせるには十分な時間ですよ。
企業だって、生き残らなければならないため売れないものは作らない、当然のことです。技術者もごく少数となってきた状態で再稼働するために、どれだけその人達に働けというのか、まぁブラックそのものですね。
その人が言うには原発は元々ブラックだったとのことですが。
それだけこの国は危機的状況にあるということは覚悟しておいた方が良いということです。
kumaboss01 様
早速の返信ありがとうございます。
>それだけこの国は危機的状況にあるということは覚悟しておいた方が良い
は、その通りですね。
ただ、エネルギー問題は諦めるわけにはいきません。
横から失礼します。
>当方、某企業の原発技術者と親交があり、
一般人が新聞で知れる話と、現場レベルの実態は違っているのかも知れませんね。
電力会社の方から、廃炉技術の方が先があるとか、学生の原子力離れも深刻という話を聞いたことがありました。まあ、確かにそうですよね。
「原子力離れ」学生の減少続く
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/651919/
>原子炉の小型化も日本には出来ないだろうとのこと。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/04/20/2022042080049.html
「トラックに積める原発」…日本、超小型原子炉を開発へ
既存のものに比べ容量2000分の1の原子炉…三菱重工が技術開発に乗り出す
三菱の人じゃ無いんでしょうねwww。
「え?!」と思ってチョロチョロググってみたんですが、電氣新聞の記事を見つけました。
国内原子力部品産業のサプライチェーン危うく(電氣新聞)
新設なく約20社撤退、将来ビジョンが重要
湯川 努
https://www.denkishimbun.com/sp/189791
この記事によると、2011年以降、原発関連企業の撤退が相次いでいて、危機的状況とあります。
ただ、元請(三菱重工等)は撤退企業から設計情報などをもらって内製化するなどの対策を打ってはいるようですね。
ただ、元請けの企業努力頼みで漏れなくやれるかは疑問ではあります。
使用済み核燃料は現実に日本に存在するし、現状まだ運転可能な原発はたくさんある。
技術の継承の問題もある。
核融合につなげていくまでの核業界のロードマップが必要だと思いました。
電氣新聞って初めて知ったのですが、明治40年創刊の電力エネルギー業界の新聞だそうです。
日本もドイツも原発再稼働すればいいんですよ。
正しい核の使い方を再確認するいい機会です。
小型原子炉、マイクロ原子炉の為にも。
岸田首相は聞くことが得意だそうだから、
1. 原発再稼働させてエネルギー価格上昇を押さえる
2. 原発再稼働させないで、自腹で対処
3. ロシアの軍門に下って石油ガスを融通してもらい世界から孤立する
のどれがいい?と各野党党首に聞いてみたらいいのに。
非現実的な解答を述べれば参院選にマイナスになるだろうし。
原油も天然ガスも生産を中止すると総採取量に影響します。
ここが固体燃料である石炭との大きな違いで、簡単に栓の開け締めができません。
ロシアに巨大な液化天然ガス貯蔵施設がない限り、
出てきたガスは空気中で燃やして廃棄するしかないのでは?
(日本国外からの投稿ができなくなったようで、万が一重複したらごめんなさい。VPN経由で再投稿します。)
原油や天然ガスは採取を中止すると総生産可能量に影響します。
ここが石炭のような固形燃料との大きな違いです。
ロシアに大規模な貯蔵施設がない限り
余計なガスは空気中で燃焼させて処理することになりそうな気がします。
お疲れさまです。
短期的には、賛成です。
ロシア問題は国防を含めて、緊急の問題だと思います。
長期的には原子力発電所は、やめた方が良いと私はおもいます。
海水温度は、確実に上がっております。
「地震のとき、自分で出来る最善の事をすべてやったので助かった。」
理解出来る部分がございます。
原子力発電所の出す熱と海水温度も、無関係ではないとおもいます。
私は海流でタービンを回して発電とか、潮の干満で海水をためてタービンを回して発電の方が、地球に優しいと感じております。
今後電力需要は高まりこそすれ減る事はありません。
特に日本においては、原発の再稼働は喫緊の最重要課題です。
再稼働決定から稼働するまでどれくらい時間がかかるか知りませんが、参議院選挙後に速やかに稼働出来るよう内々でも準備しておくべきです。
加えて、電源の多様化と安全保障を含めた将来のエネルギー政策を至急に取りまとめて頂きたいですね。
岸田首相には、人の話ばかり聞いていないで、是非ともリーダーシップを発揮して頂きたいと思います。