参院選を前に見えてきた政党支持率を巡る「地殻変動」

見えてきた「ワンミズホの危機」

時事通信の調査で内閣支持率が「過去最高」を更新したそうです。「青木率」は少なくとも3つのメディアで100%以上ですし、最大野党・立憲民主党は政党支持率で日本維新の会に並ばれてしまっています。さらには国民民主党が支持率で日本共産党を上回ったのも興味深い現象です。これに加えてもうひとつ気になる論点があるとしたら、やはり「社民党消滅」でしょう。

時事通信としては支持率「過去最高」

時事通信の世論調査によると、岸田文雄内閣の支持率が過去最高を更新したそうです。

内閣支持微増52.6% 最高更新、コロナ対応「評価」半数―時事世論調査

―――2022年04月14日17時01分付 時事通信より

もちろん、「過去最高」というのは、「岸田文雄内閣発足以来、時事通信の調査としては」、という意味であり、時事通信以外のメディアを含めて「過去最高になった」、という意味ではありません。ただ、時事通信で52.6%というのは、たしかに好調です。

今回の時事通信の発表を踏まえ、普段から当ウェブサイトで「定点観測」している6つの世論調査(時事通信のほか、読売新聞、朝日新聞、共同通信の3社、および産経・FNN、日経・テレ東の2つの合同調査)に基づく、いつもの「支持率一覧表」についても更新しておきましょう(図表1)。

図表1 内閣支持率(2021年3月~4月、カッコ内は前回比)
メディアと調査日支持率不支持率
共同通信(3/19~20)60.1%(+3.5)21.9%(▲5.5)
朝日新聞(3/19~20)50.0%(+5.0)25.0%(▲5.0)
産経・FNN(3/19~20)65.8%(+3.2)27.9%(▲2.1)
日経・テレ東(3/25~27)61.0%(+2.0)27.0%(▲3.0)
読売新聞(4/1~3)59.0%(+2.0)29.0%(+1.0)
時事通信(4/8~11)52.6%(+2.4)20.2%(▲0.9)

(【出所】各社報道より著者作成)

自民党は参院選で「惨敗」しそうにない

朝日新聞と時事通信の両者の調査は他メディアと比べ、支持率が低めに出る傾向がありますが、その両調査でさえ、支持率は50%以上です。それ以外のメディアに関しても、支持率は60%前後と「高止まり」し、不支持率はどの調査でも30%未満です。

政権発足から半年という状況を踏まえると、まずまずの「成績」でしょう。

ワクチンの3回目接種が順調だからなのか、日本政府がウクライナ情勢を巡りロシアに対する厳しい対処を次々と打ち出していることなどが評価されたのか、それとも安倍晋三総理、菅義偉総理の頃と比べ、メディアが政権批判のトーンを抑制しているからはわかりませんが、支持率が高止まりしていることは間違いありません。

もちろん、民間メディアが調査する世論調査が本当に国民世論を代弁しているのかどうかという点については別問題です。

実際、2017年7月に支持率が急落したはずの安倍晋三総理がその3ヵ月後の衆院選で圧勝したという事例もありますし、また、インターネット世論調査では電話世論調査と異なる結果が出ることも多いため、内閣支持率についてはあくまでも絶対視すべき指標ではありません。

青木率は3つの調査で100%を超過

しかし、ここで個人的に興味があるもうひとつの論点は、「今夏の参院選で自民党が惨敗する可能性があるのかどうか」、というものであり、この点に関していえば「現時点でその可能性は非常に低い」、と考えざるを得ません。主要メディアの政党支持率がその証拠です(図表2)。

図表2 政党支持率(2022年3月~4月、カッコ内は前回比)
メディアと調査日自民立憲維新
産経・FNN(3/19~20)37.1%(▲3.6)6.6%(+1.6)6.6%(+0.7)
日経・テレ東(3/25~27)49.0%(+9.0)6.0%(+1.0)7.0%(±0)
読売新聞(4/1~3)41.0%(+1.0)5.0%(±0)5.0%(▲2.0)
時事通信(4/8~11)30.2%(+3.5)3.3%(▲1.0)3.8%(±0)

(【出所】各社報道より著者作成)

政党支持率についてはすべてのメディアが毎回公表しているとは限らないのですが、少なくとも図表2に示した4つの調査に限定していえば、自民党の支持率は(調査によりバラツキはあるとはいえ)2桁台を維持しています。

一般に内閣支持率と与党第一党の支持率を足して50ポイントを上回っていると、政権運営は「安泰」であるとされていますが(いわゆる「青木の法則」)、この「青木率」は時事通信で82.8%、読売新聞で100%、産経・FNNで102.9%、日経・テレ東だと110%にも達しています。

一般に「自民党総裁としての任期満了」以外の理由で内閣が総辞職に追い込まれるとしたら、衆院選で敗北し政権交代するとき、地方選や参院選で敗北し自民党内で引責論が出てくるとき、あるいは首相自身の体調が悪化したときなどに限られますが、少なくとも参院選で自民党が惨敗する兆候は見られません。

「国民民主党>日本共産党」

また、それ以上に政党支持率で興味深いのは、立憲民主党や日本共産党の支持率が、徐々に低下しつつあることではないかと思います。図表2に関していえば、立憲民主党と日本維新の会の両党に対する支持率がほぼ並んでいるか、それとも維新が立憲を少し上回っているという状況です。

ちなみに比例の投票先でも、「維新>立憲」となったようです。

参院選比例投票先、自民37% 維新が立民上回る―時事世論調査

―――2022年04月14日17時02分付 時事通信より

時事通信によると、参院比例の投票先は自民党が37.4%で最多となり、次いで維新が8.6%、立憲が7.0%だった、などとしています。

これに加え、図表には示していませんが、時事通信の記事に掲載されている政党支持率を見ると、興味深いことが判明します。0.1ポイント差ながら、国民民主党が日本共産党を支持率で上回ったのです。

  • 自由民主党…30.2%(+3.5)
  • 日本維新の会…3.8%(±0)
  • 立憲民主党…3.3%(▲1.0)
  • 公明党…2.7%(▲1.7)
  • 国民民主党…1.5%(+0.3)
  • 日本共産党…1.4%(▲0.2)
  • れいわ新選組…0.7%(+0.1)
  • 社会民主党…0.3%(▲0.2)
  • 支持政党なし…53.7%(▲0.3)

個人的に国民民主党という政党に対してはどこか胡散臭さも感じてはいるものの、最近はガソリン税の引き下げを含め、経済学的に見れば正しい(と著者自身が考える)主張を部分的に展開し始めており、個人的には注目している政党のひとつです。

同党が「良い方向」に変わるのであれば、これはこれで日本の政治にとって悪いことではないと感じていますし、組織票に強いはずの日本共産党を支持率でわずかながら上回ったというのは、非常に興味深いと思う次第です(単に日本共産党の支持層が若返りに失敗して超高齢化しているだけかもしれませんが…)。

ただし、比例での投票先に関しては、日本共産党2.4%に対し国民民主党2.1%で、支持率と投票先政党が一致しているとは限らない、という点には注意は必要でしょう。

「れいわ新選組>社民党」

こうしたなか、もうひとつ注目しておきたいのが、社民党の消滅という論点です。

2ヵ月連続で支持率「ゼロ」となった社民党=読売調査』でも話題として取り上げたとおり、一部のメディアの調査では、社民党の支持率は「小数点以下四捨五入」でゼロになってしまうことが増えています。

実際、今回の時事通信の調査でも社民党は0.3%ですが、小数点以下を四捨五入する方式に倣うなら、時事通信の調査結果も、社民党の支持率に関しては「ゼロ%」と表示されるはずです。

さらには、立憲民主党が昨年の衆院選で小選挙区で落選した辻元清美氏を今夏の参院選で比例で擁立する方針を示していることを踏まえると、辻元氏と支持層が似ているであろう社民党の福島瑞穂党首は、今度こそ落選されるかもしれません。運が良ければ「共倒れ」もあり得るかもしれません。

こうしたなかで、「れいわ新選組」の山本太郎代表が金曜日、衆議院議員辞職を発表しました。

山本氏自身、会見に応じ、今夏の参院選に出馬する意向を示したそうです。しかも、比例ではなく選挙区で出馬するそうです(ただし、どこの選挙区から出馬するかについては明らかにしていません)。

このあたり、すでに「れいわ新選組」は支持率で社民党を上回っていますが、先ほどの時事通信の調査だと、比例の投票先はれいわ新選組が1.7%に対し、社民党は0.2%だったようです。

こうしたなかで、もしも福島氏が落選すれば、社民党所属議員は衆院の新垣クニオ氏1名となってしまい、「ワンミズホ」ですらなくなりますが、さて、どうなることでしょうか。

読者コメント一覧

  1. 匿名 より:

    「国民の命と日本の主権を守りぬく」などと右翼のような事を言いだしたから、世界共産主義革命で僕と握手という夢を見ていた人たちが日本共産党から離れていったのではないでしょうか。

  2. カズ より:

    立民・共産・社民の衰退は、国民の総意には目もくれず、コアな支持者(ネット上で声は大きいが多数派ではない)の意向に迎合した末路のような気がします。

    (山本氏の件)
    どんなに詭弁を重ねても、党代表者の辞職は有権者に対しての裏切り行為でしかありません。
    党勢拡大の野心が見え透いて、立場無しに終わった立花氏(N国)の所業と変わりないですね。

    1. たろうちゃん より:

      「ひとりを笑うな!」かぁ。良くかんがえるよな。旧社会党の末裔としては余りにもミジメなキャッチコピーだな。慰安婦問題の捏造拡散に手を貸し日本の尊厳を貶め、国益を著しく棄損した福島瑞穂氏が国会議員として名前を連ねていることには忸怩たる思いがある。そろそろ退場を願いたい頃、、というより遅い位だ。それにしても菅義偉前総理と比べて何にも仕事をしていない岸田文雄君が支持率が好調とはな。あ~あ、、つまらん。

  3. 新宿会計士 より:

  4. WindKnight.jp より:

    山本議員が辞職すると、
    れいわ新選組で次の人が繰り上がって代議士になるそうで。
    つまり、参議院で山本氏が当選して、議席を増やすつもりですね。

    ついでに、社民党から立候補するはずだった金氏が、
    れいわ新選組からの立候補を表明しています。

    さて、どうなることやら。

  5. WindKnight.jp より:

    山本議員が辞職すると、比例代表次点の人が議員になるそうで。
    加えて、自ら参議院で当選して、議席を増やそうとしている模様。

    ついでに、社民党からの立候補予定者が、
    れいわ新選組からの立候補を表明したそうで。

    色々、賑やかな選挙になりそうです。
    ただ、衆議院に比例代表は要らないことは実感しましたね。

  6. めたぼーん より:

    福島氏の、ひとりを笑うな、には賛同しますが、結局その輪が大きくならない理由から目を背けるための屁理屈ですね。共産党もれいわもコアな支持層以外に広がらない理由からは目を背けると言う点では共通してるな、と思います。

    1. 世相マンボウ 。 より:

      社民党さんの
      キャッチコピーについて言えば、
      たしかに社民党は相手にサれず
      鼻で笑われてしまっているのですが、
      その笑われている理由が
      『ひとり』だから? 
      ではないことに社民党が
      気づいていないところが
      痛々しいと感じます。

  7. 匿名2 より:

    立憲、社民に共通するのは自民への批判ばかりで、何一つ自らの政策を提言できないところでしょう。

    こないだ、立憲の泉健太が、立憲の大事な役割は岸田政権の問題点に警鐘を鳴らすカナリア役になることだと、4月9日に草津市の街頭演説で言ったらしい。

    これ、国会で政権批判はするが政策提言はしません(〈能力も意思も無いので〉できません)。と言っているのに等しい。

    ははは、いつも通り、また出たな・・といった感じ。ウクライナとか、時ここに至る・・という世の中になっても、未だこんなことしか言えない党に存在意義が無いのは誰の目にも明らか。

    まあ、こんな、自身、税金で飯が食えてロクに仕事をせずとも楽に暮らせるパラダイスにいることしか目的に無い者たちの選挙互助組合の長の言葉としては納得ですね。(あの有名な西宮市議だった野々村と何らかわらない。どうせなら、「いのちがけデ~」くらい言ってみてはどうかと。W)

  8. やまいぬ より:

    >島瑞穂党首は、今度こそ落選されるかもしれません。

    (尊敬の意味をこめているのでなければ)「落選する」ですね

    1. 新宿会計士 より:

      「ご落選あそばされる」と書くべきでしたねww

    2. 門外漢 より:

      落選させられる、が正しいかと。

  9. 宇宙戦士バルディオス より:

     合掌などする気には、更々ならないが。
    『照屋寛徳氏が死去 元衆院議員』
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF15BK80V10C22A4000000/
    >照屋 寛徳氏(てるや・かんとく=元衆院議員)4月15日、胃がんのため死去、76歳。告別式の日取りなどは未定。
    >1995年に無所属で参院選に立候補し初当選。1期務めた後、衆院議員に転じ6期務めた。社民党副党首などを歴任した。
     沖縄の、どこにも持っていきようのない本土に対するルサンチマンを集めて議員になった人だった。
     福島瑞穂に事実上引導を渡した点は、評価する。

  10. 世相マンボウ 。 より:

    戦後のドサクサ混乱を背景に
    かつては我が物顔でのし回った
    戦後横着左翼のなれの果の社民党も
    その騙る正義と裏腹なそのありようが
    国民に見透かされてしまったようで
    支持率1%程度の泡沫政党に
    成り果ててしまいました。

    最近、この先の消滅期待で
    何かと話題に登る社民党ですが、
    私は社民党の方など持つわけでは
    もちろんありませんが、消滅は望みません。
    たしかに、
    同党の軌跡からは社民党の消滅は
    多数派国民良識層からは歓迎される
    メシウマニュースであることは
    否定できません。
    ただ、
    消滅して地下に潜られてしまっては
    やっかいであり(笑)、また、たとえ
    昔の山賊追い剥ぎのようなものであったとしても
    等しく政治には参加させておいて
    しかし横着はしないようしっかり
    社会の枠組みで相応の位置づけを与えるのが
    進化した民主主義の優れた点だと考えるからです。

    特に、福島みずほ氏については
    北朝鮮の日本人拉致事件について
    拉致の事実が発覚したあとも
    拉致は無いと言いはったり、
    国際指名手配で捕まった
    拉致実行犯主犯格の辛光洙の
    日本への取り調べ送致前の釈放に
    菅直人、土井たか子らとともに
    慌てて署名までして手を染めたという、
    主犯格北朝鮮のいわば共犯格である
    日本社会党の中心人物です。

    社民党が消滅することで
    そうした事実が闇にうやむやに
    されてはいけないわけで
    社民党はいわばそうした存在の
    晒し者ショーケース的なものとして
    存続させてあげたいものだと
    寛容に考えています。

    ま、頑張れ社民党! 応援してるぞ(笑)

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