立憲民主関係者が国民民主に「和を乱すな」=時事通信

10月末の衆院選では、日本を悪くしていた「3つの利権構造」のうちの「オールドメディア利権」と「特定野党利権」に同時にヒビが入った、というのが、当ウェブサイトなりの最近の仮説です。こうしたなか、国民民主党が野党共闘から離脱しましたが、時事通信によると、立憲民主党がこれに対し「和を乱すような勝手なことをされては困る」と顔をしかめたのだそうです。

日本を悪くする3つの利権構造

昨日の『利権構造にヒビが入り、給付金議論がさっそく活性化へ』を含め、最近、当ウェブサイトで何度となく申し上げている論点が、「官僚機構-オールドメディア-特定野党議員」という、一種の利権構造が壊れ始めたのではないか、というものです。

当たり前の話ですが、この3つの勢力は、どれも国民から直接の信認を得た人たちではありません。

たとえば官僚といえば、多くの場合は偏差値が高い大学を卒業し、国家公務員試験に合格した、一種の受験秀才の皆さんですが、有権者である私たち国民から直接選挙で選ばれた人たちではありません。

また、オールドメディアの多くは電波利権や記者クラブ制度など、新規参入を阻む仕組みに守られ、消費者である私たち一般国民が選択した結果、存在しているような会社ではありません。実質的に法律で受信料利権を保証されているNHKなどは、その典型例でしょう。

さらに野党議員といえば、国会で多数を得ているわけでもないくせに、「野党である」というだけの理由で質問時間を多く配分されている人たちであり、とりわけ最大野党はその野党全体に与えられた質問時間を配分する権限を、国会の慣例上、与えられている集団です。

つまり、官僚、メディア、特定野党には、「私たち一般国民が有権者、消費者として、自由・民主主義に基づき選択をした結果」として大きな権力・影響力を手に入れたわけではない、という共通点があるのです。

衆院選は利権構造の終焉?

しかし、10月31日に行われた衆院選では、オールドメディアがあれだけ頑張って野党共闘を持ち上げ、「立憲民主党が大躍進する」などと報じていたにも関わらず、有権者は立憲民主党の勢力を13議席も減らすという選択をしました。

まさに、オールドメディアが決定的に敗北したという意味で、日本史上に残る大きな「事件」だったのです。

しかも、立憲民主党は依然として「最大野党」であり続けていますが、今朝の『代表選より気がかりな立憲民主党の「最大野党の地位」』でも指摘したとおり、誰が同党の次の代表に就任するかによっては、意外と近い将来、同党が「最大野党」から転落するという展開もあり得るでしょう。

そして、野党共闘という枠組みに参加していなかった日本維新の会が勢力を4倍近くに伸ばす一方、立憲民主党と同じ民進党系の野党でもある国民民主党ですら、勢力を公示前と比べて小幅伸ばすことに成功しています。

これなど、有権者がオールドメディアの推す野党共闘に「ノー」を突きつけたという証拠そのものでしょう。

しかも、その国民民主党は、選挙後に野党共闘の枠組みからほぼ離脱しました(『国民民主党が「野党共闘枠組」から離脱したことの意味』等参照)。

こうした動き自体は歓迎できます。

自公両党の給付金議論(『効果に疑問:子供1人10万円相当現金・クーポン支給』等参照)なども含め、私たち有権者をがっかりさせかねない議論に対し、国民民主党などの野党には健全な国会議論の火付け役となっていただくことを、個人的には深く期待したいところです。

立憲民主党が「和を乱すな」

もっとも、これが気に喰わないのでしょうか、立憲民主党関係者の少し気になる発言がありました。

国民、独自路線へ傾斜 維新と協力協議

―――2021年11月08日07時01分付 時事通信より

これは、「国民民主党が独自路線へと傾斜し始めた」とする、時事通信の一昨日の記事です。

日本維新の会と国民民主党の連携については、『取材力も分析力も専門知識も足りないオールドメディア』などでも取り上げたとおり、メディアもかなり関心を払っているテーマのひとつであることは間違いないと思いますが、注目点はその点だけではありません。

今回の時事通信の記事では、こんな記述が含まれているのです。

ただ、年内に予定される臨時国会、来年1月召集の通常国会で野党共闘を維持したい立民は困惑している。立民関係者は『和を乱すような勝手なことをされては困る』と顔をしかめる」。

この発言が、本当に立憲民主党関係者のものなのだとしたら、なかなかに強烈です。

この「和を乱す」という表現に、立憲民主党の思い上がりが凝縮されているように思えてならないからです。

そもそも野党共闘は、その本質が候補者調整にあり、私たち有権者に対しては多様な選択の機会を奪うという方向にしか働きません。

当たり前ですが、私たち有権者にとって必要なのは、利権野党内の「和」よりも、国益をちゃんと実現してくれる政治家です。国益を無視して「和」を重んじるような者たちには、1人残らず落選していただきたいとすら思います。

いずれにせよ、個人的に日本維新の会や国民民主党に対し、全面的に信頼して良いのかどうかに関してはやや疑問もあるのですが、少なくともスキャンダル追及専門型政党ではないという点においては、立憲民主党よりははるかにマシであろうと想像がつく次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 引きこもり中年 より:

    毎度、バカバカしいお話を。
    立憲民主関係者が自民党に「日本政界の和を乱すな」と言ったんだって。(「朝日新聞が日本の有権者に言ったんだって」でも面白いかもしれません)
    おあとがよろしいようで。

  2. ちょろんぼ より:

    立憲が関係の無い他党に「和を乱すな!!」なんて言うんだ。 スゴイナー
    だから和を乱さないように、首相指名を枝野元代表にするのか~。
    あれ? 枝野代表って元だよね? 代表辞めても代表なのかな~。

  3. がみ より:

    立憲民主党をあるベクトル方向で見直している…

    すごいじゃないか立憲民主党!
    公明党より議席が多いぞ!

    1. がみ より:

      まぁ正しい方向性とめ言えるかも!

      社会主義・共産主義の本懐は弱者・貧弱・少数の救済ではなく、個性・多様性・意見異見の弾圧撤廃ですもん。

      平に慣らしてなんぼ主義ですから。

  4. 犬HK より:

    2つの民主党が存在するのは和が乱れたからでしょ?

  5. 匿名 より:

    全体主義らしい発言ですなあ

    議席数が立民 > 国民
    –> 序列 立民 > 国民

    こういう思考ですね

    なんで、立民は自民の言うこと聞かないのかな?

  6. だんな より:

    立憲共産党は、多様性を否定し同調圧力が強いと宣伝してるんじゃない。

    1. より:

      今にして思うと、「立憲共産党」というニックネームは言い得て妙で、良い効果があった気がします。麻生氏グッドジョブです。

  7. 凡人 より:

    「多くの党がわれわれの成功を知りたがり、協力を希望した。われわれはいつの間にか世界が認め、うらやむ党になった。」
    っていう前提なのかと。

    1. 普通の日本人 より:

      確かに世界が認めてる。
      G20でセンターに位置を取り通訳とふたりで立ち尽くす姿は間違い無く世界が認めた姿。
      他の首脳はその周囲で賑やかに立ち話。
      暇な通訳の戸惑う顔が印象的。
      むんはいつもの謎の笑顔

  8. 匿名 より:

    国会議員というのは国民の奉仕者であることが大義、建前。
    野党が共闘することに対しては、問題はないが、その動機は国民のためでなければダメ。
    自民を倒すのではなく、共闘して手に入れた政権で、何を成すかが重要なのだけれど、全くそれが見えてこない。
    理念なき共闘よりは、理念を持った孤立の方が国政政党としては正しいでしょう。
    このあたりの大義や建前すら忘れている用ではね。。。

  9. オブ より:

    国民民主党は日本維新の会と第3極として歩調を合わせて行く感じですね。いずれの政党もまだよくわからない部分があるのですが、なんでも反対ではなく是々非々のスタンスを取ろうとしている部分は評価したいです。
    公明党はそもそも政策は違いますし、足を引っ張られ公約の政策が進みません。議論の展開によっては切って、日本維新の会、国民民主党と連立を組んだほうが建設的に進めていけそうです。
    公明党は結局、寄生虫みたいなもので与党でいないと存在意義がないと考えているでしょうし、左側に行っても足し算になるかどうか。単独では今の議席も取れないので足元みて引き摺り回せばいいと思いますけどね。

    1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      国民民主は最低賃金の実質的撤廃を表明していたね
      最低賃金撤廃で産業界は潤うね
      良かったね

  10. とある関西人 より:

    民主党時代に期待を持って投票された人も多数いらっしゃると思いますが結局は日本国、日本国民を疲弊させどん底に突き落とされてしまいました。その後、政党名が幾度となく変わりましたが面子は民主党時代と何も変わらず、政権与党の不平不満、批判だけで対案は何もないというお粗末さに日本国民は辟易としているという事を認める必要があります。議席数が減ったという事実をもっと真摯に受け止め政策で勝負できないと何度選挙をしても議席数は伸びないと思います。

  11. 迷王星 より:

    >この「和を乱す」という表現に、立憲民主党の思い上がりが凝縮されているように思えてならないからです。

    そもそも衆議院での質問時間の配分が獲得議席数と関係なく,与党2割vs野党8割と野党を優遇する配分になっているのは立法府である国会が与党により編成される内閣という行政府をチェックするという意味から許せるとしても(しかし折角の貴重な質問時間を無意味に浪費する現状は改めてもらいたい),野党全体に割り当てられた8割の質問時間の野党各党に対する配分が,野党各党の獲得議席に比例した質問時間という客観的で公平なルールに従うのではなく,野党第一党(今ならば立憲民主党)が独断で配分を決めるなどという現在の慣行が間違っているのだと思います.

    野党第一党が野党側の質問時間を勝手に決められる,そんな変な慣行があるから,立憲民主党は最初に引用したような傲慢な考えを当然のことだと勘違いしてしまっているのだと思うのです.

    野党各党の質問時間の配分は誰か(現在の慣行は野党第一党)により恣意的に行われるのは大間違いで,予め定められた配分規則に基づいて客観的に行われるべきです.

    そしてその野党内部での質問時間の配分規則としては個々の国会議員はそれぞれ国民の代表として等しい権利を有するという当然の考えから,野党各党の獲得議席数に比例して質問時間を配分するという規則が適切です.

    1. 匿名29号 より:

      同感です。
      かつての自民党と社会党の2大政党が大部分の議席を占めていた時代なら分かりますが、今の野党は多数の政党が林立した状態で、誰が考えても質問時間は議員数に比例した時間配分が妥当と言うでしょう。立民スローガンの「変えよう」と思うなら先ずはご自身で現在の状況にそぐわなくなった古い慣習を捨てることから変えてみては如何かと思います。それが出来ないのなら、所詮は利権に固執する集団でしかなく、国民はそんなところを良く見ています。

  12. 匿名29号 より:

    今回の衆院選における立憲民主党の最大の失敗は共産党と組んだことだと考えています。選挙のためとは言えイデオロギーが全く反する筈の共産党とでも組むのかと少し驚きました。立憲民主党の支持者であっても共産党嫌いな人達の票が国民や維新に流れたのでしょう。
    北朝鮮は言うに及ばず、中国共産党の人権問題や戦狼外交・圧迫に不満が溜まっている日本国民に「共産党と組みます」と言うと何が起きるか分からなかったのでしょうか。(中国共産党と日本共産党の違いなんて一般人は知らないし、所詮は民主主義とは相容れない共産主義には違いない)

    立憲共産党と評され、色が付いてしまうと世間に対して洗い流すのは容易ではありません。共産党と共同戦線を張るのは止めたと宣言したとしても、一旦離れた支持者は戻ってきません。いつものように、党を解散して名前を替えて出直さないと、ジリ貧となります(別に、それでいいんだけど)

    1. りょうちん より:

      かつてはアカは邪悪の象徴みたいな扱いでしたが、今や、バカの象徴になってしまいましたからねえ。
      自分を賢いと思っている人には受け入れられないでしょう。

      1. 匿名29号 より:

        いや、いや、アカはいまだに善人の皮を被っている邪悪なるものですよ。

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