なぜ「総理長男接待疑惑」で内閣支持率は上がったのか

官僚・メディアの利権構造は自重に耐え切れず崩壊する

財務官僚の女性記者へのセクハラ事件、検事長の賭けマージャン、そして総務官僚への高額接待…。これらは氷山の一角です。利権構造はときとして自身の強欲にて自滅することもあります。先日の『「接待疑惑なのに内閣支持率上昇」に「キレ」る人たち』でも「菅総理の長男の接待疑惑が浮上しているのに内閣支持率が上昇したこと」を話題に取り上げましたが、もう少し深く考えていくと、「官僚=マスメディア=野党議員」という利権構造が、いままさに崩壊する直前なのかもしれません。

最新世論調査:「なぜ支持率が上昇するの!?」

先日の『「接待疑惑なのに内閣支持率上昇」に「キレ」る人たち』では、読売新聞の最新の世論調査で菅義偉内閣に対する支持率が上昇した、とする話題を取り上げました。あらためて、いくつかのメディアの最新世論調査結果を示しておきましょう(図表)。

図表 内閣支持率(2021年2~3月)
メディアと調査日支持率(前回比)不支持率(前回比)
時事通信(2/4~7)34.8%(+0.6)42.8%(+3.1)
朝日新聞(2/13~14)34.0%(+1.0)43.0%(▲2.0)
産経・FNN(2/20~21)51.5%(▲0.8)43.2%(▲1.8)
日経・テレ東(2/26~28)44.0%(+1.0)48.0%(▲2.0)
読売新聞(3/5~7)48.0%(+9.0)42.0%(▲2.0)

(【出所】各社報道より著者作成)

ここに挙げた5つの調査に限定していえば、産経・FNNと読売新聞の調査で、支持率が不支持率を上回っています。菅義偉総理大臣の長男による「総務省高額接待疑惑」がメディアで大騒ぎされているにも関わらず、です。

また、政党支持率でいえば、自民党支持率が「▼産経・FNN調査(2/20~21)で39.1%、▼日経・テレ東調査(2/26~28)で45%、▼読売新聞調査(3/5~7)で40%」であるのに対し、最大野党・立憲民主党への支持率は、それぞれ8.9%、11%、6%という惨状です。

調査するメディアによって支持率の水準にバラツキもありますが、おおむね自民党に対する支持率が立憲民主党に対する支持率の4~6倍、といった状況にあります。ことに、読売新聞の調査で内閣支持率の変動幅が立憲民主党に対する支持率をかるく上回るというのも凄い話ですね。

マスメディアに特大ブーメランがクリーンヒット中

こうしたなか、あらためて菅総理の長男による「高額接待疑惑」について考えておきたいのですが、その際参考になるのが、『「総務省接待問題」がマスコミ自身に特大ブーメランへ』でも取り上げた、ノンフィクションライターの窪田順生氏が『ダイヤモンドオンライン』に寄稿した次の記事です。

総務省接待問題でなぜかおとなしいマスコミ各社が恐れる「特大ブーメラン」

―――2021.3.4 4:25付 ダイヤモンドオンラインより

窪田氏はこの論考で、「総務省高額接待問題自体を下手に追及したらマスメディア自身に盛大なブーメランが突き刺さるかもしれない」、と皮肉っているのですが、実際、窪田氏の見立てどおりとなりつつあるようです。

ことに、3月4日には野党合同ヒアリングで、TBS出身の杉尾秀哉・立憲民主党副幹事長が「私も実際に(総務省幹部との)会食に立ち会ったこともある」と述べています。

TBS出身の立民・杉尾氏「テレビ局も総務省と会食」「私も立ち会った」

―――2021.3.4 16:23付 産経ニュースより

現実にNHKやNTT、TBSなどでも総務省の官僚に対する接待疑惑に火が付いているからであり、メディアはあわてて火消しをしているのでしょうか、菅総理長男の「高額接待疑惑」をフェードアウトモードさせようとしているようです。

おもしろいですね。

官僚とマスメディアの癒着、そして腐敗の構造

総務省、テレビ業界双方にとって、突っ込まれては困るのは、総務省が電波の割り当てなどに重大な裁量を握ってしまっているという利権構造なのでしょう。最初は「菅総理の長男が総務官僚を高額接待して~」という話から菅総理を攻撃しようとしたのかもしれませんが、すごいブーメラン、というわけです。

そういえば、新聞に対する軽減税率の適用も、完全に「なかったこと」にされていますが、官僚機構とマスメディア(とくに新聞・テレビ)の癒着と腐敗はかなり深刻ではないでしょうか。

そういえば、今になってふと思い出したのが、『財務次官辞意報道:「既得権益」の潰し合いを歓迎する』などでも触れた、2018年4月に浮上した、当時の財務省事務次官によるテレビ朝日の女性記者に対するセクハラ疑惑です。

結局、「テレビ朝日の女性記者」がセクハラ被害を名乗り出たものの、「被害を受けていた女性記者は配置換えを希望していたにも関わらず、その希望に応じなかった」という意味では、テレビ朝日という会社の側に問題があったという可能性を示唆しています。

さらには、『検察庁法改正案で大騒ぎした挙句に自爆した立憲民主党』などでも報告したとおり、当時の検事長が朝日新聞の幹部や産経新聞の記者らと賭けマージャンをしていた、などという話題もありました。

今になって振り返ると、「財務事務次官のセクハラ疑惑」、「検事長の賭けマージャン事件」などは、いずれも官僚とマスメディアがズブズブの関係にあるという状況証拠であり、これらが氷山の一角に過ぎないということを強く示唆しているように思えてならないのです。

利権はその自重で崩壊する

もっとも、官僚もマスメディアも特定野党も、しょせんは「利権」の塊のようなものでしょう。なぜなら、利権の特徴を満たしているからです。

利権の特徴
  • ①利権は得てして理不尽なものである。
  • ②利権はいったん確立すると、それを壊すのが難しいという特徴を持つ。
  • ③ただし、利権を持っている者は、ときとしてその強欲により自滅する。

官僚もマスメディア関係者も、べつに国民から直接選挙で選ばれたわけではありません。また、特定野党(とくに立憲民主党)の議員は、いちおう選挙という洗礼を受けていますが、あくまで野党第1党に過ぎず、与党ではありません。

なのに、官僚、メディア、野党議員らはあたかも国民の代表であるかのごとく振る舞っていて、社会的な権力・影響力をほしいままにしています。その意味では、まさに「理不尽な利権」そのものなのです。

しかし、とくに野党とマスメディアは、「もりかけ3年」で少々やり過ぎたのかもしれません。国民から飽きられ、いまや在京キー局は軒並みPBR1倍を割り込む始末です。

やはり、マスメディア業界自身が倒壊すれば、自然と利権構造も崩れていくのかもしれません。

菅内閣に対する支持率を見ていて、「マスメディアの神通力」が通じなくなったという姿を見ていると、やはり極めて大きな潮流の変化を感じざるを得ないと思う次第です。

読者コメント一覧

  1. 匿名 より:

    利害関係者から接待を受ける役人側の問題。

  2. ぬくぬく より:

    利権は自民党にもあるように思いますが・・・。

  3. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    大手メディア5社が内閣支持率、概ね35〜50%って「異常数値」というより、「適切数値」と思います。

    もう庶民も馬鹿げた粗探しに飽きたんですよ。それも、何時も何もなかったで終わる。しりすぼみ。で、逆に巨大なブーメラン炸裂ッ(笑)。

    何時、選挙やっても立憲民主党は大敗すると確信します。

  4. 七味 より:

    ふと思ったのですが、役所の不祥事が発覚する度に、総理の責任云々を言い立てて倒閣運動に持って行くことは、意味があることなのでしょうか?

    悪いことは悪いと粛々と当事者の処分をすれば良い事なんじゃないかと思うのです♪

    何でもかんでも大事にしてると、処分すべき立場の人にも「隠しておきたい」って気持ちが芽生えちゃうように思うのです♪
    それは、結局、不祥事が水面下に隠れちゃうことに繋がって、あんまし良く無いように思うのです♪

    1. はにわファクトリー より:

      官僚処分能力に長けていることで統制維持を図る現政権の「調整能力発露」を目にしているのかも知れませんね。

  5. 匿名29 より:

    うーん、内閣支持率が少し上がったと見てよいのでしょうか。
    立憲民主党の支持率も前は2,3%と覚えていますが今回は8%程度と少し上がった説明はどう付けたらよいのでしょう。内閣・与党の支持率が上がれば野党の支持率は下がるという単純な構造でもないでしょうが、みな一緒に上がるのは何かへんな気がします。

  6. 匿名 より:

    官僚、てか東大出身は使えないやつ多いんよ

  7. WLT より:

    お疲れ様です。

    私は上がったというより
    過熱報道によってつられて下がっていた分が
    少し落ち着いたと同時に少しだけ戻った、という感じを受けました。

  8. 普通の日本人 より:

    ③ただし、利権を持っている者は、ときとしてその強欲により自滅する。
    韓国の日本たたきにも同じ事が言えますよね。
    ねつ造で始まった戦時売春婦・徴用工がうまくいき金と名誉?が手に入った。
    更に次々とおねだりが出来た。
    もっと欲しいと言い出したら日本が怒りだし、何故かアメリカから黒船が来て韓国系も一緒になって大騒ぎ。 いまここ
    欲をかきすぎるのはいけませんねえ。

    そろそろ南京虐殺の真実も出てくるかな。
    だって嘘つきグループの大ボスですもの。欲は一回りも大きいはずですよ。

  9. 名古屋の住人 より:

    そもそも菅総理は総務相の時から「総務省が電波の割り当てなどに重大な裁量を握ってしまっているという利権構造」にメスを入れようとして、既得権益層から猛烈な反発を受けていたはずです。
    それに対し、菅総理の長男は「既得権益層」側にどっぷりつかった行動(高額接待)をしており、それは菅総理の方針と真逆ではないでしょうか。

    それを「スガが~~」「ソンタクが~」といって政局(スキャンダル)化しようとするのは無理筋の極みであり、普通に考えたらこれの問題が内閣支持率に大きく影響するはずがないと思うのですが・・・。

    1. はるちゃん より:

      菅総理が今回の騒動をどの様に感じているのか気になります。
      今後の菅総理の電波行政に注目したいと思います。

  10. 匿名 より:

    >菅総理長男の「高額接待疑惑」をフェードアウトモードさせようとしているようです。

    むしろ、NTTの接待疑惑だけを大きく取り上げることで、NHKをフェードアウトさせようとしているように見えます。
    野党の追及もNTTだけのようです。

  11. 匿名 より:

    東北新社が窓口なだけで実態はキー局全社のパイプ役なんじゃないかと根拠なしに言ってみる

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。