政府が新規入国制限(なお中韓などからの入国は維持)

昨日の夜、メディアが「全世界を対象とした新規入国を1月末まで一時停止する」などと報じました。しかし、これは非常にミスリーディングな報道です。現実には、中国や韓国など4ヵ国との間での「ビジネストラック」(入国時の検査や隔離義務などを免除する措置)については運用を停止しておらず、また、これら4ヵ国を含めた11ヵ国との「レジデンストラック」についてもそのまま継続されるそうです。

水際対策の緩和(11月1日以降)と感染拡大の関連は?

先日の『韓国を再び「水際対策レベル3」に引き上げる必要は?』で、こんな図表を紹介しました(図表1)。

図表1 感染症危険情報と水際対策措置

(【出所】外務省公表物を著者が加工)

これは、11月1日以降の入国管理の考え方を示したものです。

日本政府は現在、世界152ヵ国を入国管理上の「レベル3」に指定しており、これらの国々からの入国者は、水際対策として、①先方から出国する際の検査証明の取得、②日本に入国した際の検査と、③14日間の自主待機、④公共交通機関不使用を義務付けている、というものです。

ただし、このうち①については、日本人に対しては免除されているほか、「ビジネストラック」に関してはレベル3の相手国であっても、③の措置については緩和されている、ということです。

ただ、「レベル2」に緩和された国については、このうち①と②については免除されています。

この点、11月以降、武漢コロナウィルスの新規陽性者数が急増している理由については、よくわかりません。しかし、その原因は、本当に巷間で批判されている「GoToトラベル」がその原因なのでしょうか、それともこの水際対策の緩和と関係はないのか、個人的には疑問に感じてしまいます。

外務省のミスリーディングな発表内容

こうしたなか、政府は昨日、「全世界を対象とした新規入国の一時停止措置」という措置を発表しました。

国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について

―――2020/12/27付 外務省HPより

端的にいえば、大変にわかり辛く、かつ、大変にミスリーディングな発表内容です。

外務省の発表のなかに、「全世界を対象とした新規入国の一時停止」とありますが、これは「全世界からの新規入国を一切停止する」、という意味ではありません。

中国、韓国、ベトナム、シンガポールの4ヵ国からの「ビジネストラック」や、それらを含めた11ヵ国からの「レジデンストラック」、さらにはその他の国々からの「在留資格を有する方の再入国」などの仕組みは、これまでどおり、維持されているからです。

これについて紹介する前に、まずは外務省のウェブサイトに掲載されていた『日本への入国/再入国/帰国§の際に利用可能な枠組み』と題した図表を、そのまま紹介しておきましょう(図表2)。

図表2 日本への入国/再入国/帰国の際に利用可能な枠組み

(【出所】外務省ウェブサイト

本当にわかり辛い図表ですね。

この外務省の図表を冷静に読み取ると、パターンは大きく8個あることがわかります。

日本に入国する際の8つのパターン
  • ①日本に居住する日本人が、4ヵ国のどれかに出国し、日本に帰国する場合
  • ②日本に居住する日本人が、4ヵ国以外の国に出国し、日本に帰国する場合
  • ③4ヵ国のどれかに居住する日本人が、日本に帰国する場合
  • ④4ヵ国以外の国に居住する日本人が、日本に帰国する場合
  • ⑤日本に居住する外国人が、4ヵ国のどれかに出国し、日本に再入国する場合
  • ⑥日本に居住する外国人が、4ヵ国以外の国に出国し、日本に再入国する場合
  • ⑦4ヵ国のどれかに居住する外国人が、日本に入国する場合
  • ⑧4ヵ国以外の国に居住する外国人が、日本に入国する場合

今回、政府が「一時停止する」と発表したのは、下線で示した上記②、⑥、⑦、⑧の人を対象にした措置のうちの一部分であり、「ビジネストラック」や「レジデンストラック」などの仕組みは基本的に維持されます。

つまり、外国人(⑤~⑧)は、日本の入国に際して、次の5つの仕組みを使うことができたのですが、今回停止されるのはあくまでも「3」と「4」の措置だけです。

外国人が日本に入国する際の手続
  1. ビジネストラック(①、③、⑤、⑦に対応)
  2. 在留資格を有する方の再入国(⑤、⑥に対応)
  3. 全世界を対象とした新規入国(⑤~⑧に対応) 一時時停止中
  4. 短期出張ニーズに対応する枠組み(②、⑥に対応) 一時時停止中
  5. レジデンストラック(⑦に加え、後述する7ヵ国も対象)

外務省によると、このうち「1.ビジネストラック」は、上記①、③、⑤、⑦を対象としたもので、入国前の検査証明、入国後14日間の位置情報の保存、「本邦活動計画書」などを条件に、入国時のPCR検査や14日間の自己隔離義務を免除するという措置です。

また、上記①~⑧とは別に「5.レジデンストラック」という仕組も設けられており、これは中国、韓国、ベトナム、シンガポールの4ヵ国に加え、タイ、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾、ブルネイの7ヵ国を対象に、日本に居住する外国人の入国制限を緩和する、というものです。

紛らわしい『全世界を対象とした新規入国』という用語

そして、ここでとっっても紛らわしい表現が、『全世界を対象とした新規入国の停止』です。

外務省はこの措置を12月28日から来年1月末まで一時停止したうえで、英国と南アフリカについては「当分の間、この仕組みの利用を停止する」と述べていますが、誤解しないでください。これは、「全世界から新規入国を一切停止する」、という意味ではありません

そもそも外務省がいう『全世界を対象とした新規入国の停止』とは、「ビジネストラックとレジデンストラック以外の在留資格者に対する入国許可」のことで、10月1日に開始されたものです。

つまり、この『全世界を対象とした新規入国』という仕組みを使わずとも、すでに「ビジネストラック」や「レジデンストラック」の仕組みが使えるのだとすれば、今までどおり、自由に日本と外国を行き来することができるのです。

なんだかずいぶんと紛らわしいですね。

実際にわが国で感染が拡大しているのは、時期的に見て、11月1日以降に中韓などを「レベル2」に引き下げて以降であることなどを踏まえると、今回の『全世界を対象とした新規入国の停止』にどれほどの意味があるのかはよくわかりません。

また、これ以外にも今回、日本政府が停止すると決定した措置には、11月1日に導入された「日本に居住するビジネスパーソンの短期出張からの帰国・再入国時の行動制限の緩和を可能にする措置」というものもありますが、これについても同様に、一時停止されるそうです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

さて、コロナ防疫に関する政府の問題点は多々ありますが、そのうちのひとつが、「情報発信があまりにも紛らわしくてわかり辛い」、という点にもあると思います。その理由は、霞ヶ関の役人は、普段から政省令、告示などをやたらとわかり辛く執筆することに夢中だからでしょう。

国民にわかりやすい情報発信が求められる今日この頃ですが、コロナ禍が無事に収束したら、こんどは霞ヶ関の「わかり辛い情報発信文化」を徹底的に解体しなければなりません。

そのことを切に感じる今日この頃です。

読者コメント一覧

  1. 奇跡の弾丸 より:

    >「情報発信があまりにも紛らわしくてわかり辛い」
    その通りだと思います。

    全世界を対象とした新規入国の停止よりも、感染者の『国籍を明確にして』、エビデンスに基づいた処置をしていただきたいと考えています。
    0.1でこれじゃなきゃダメとは思いませんが、もう少し情報の出し方に対応してもらいたいと思います。
    ただその原因は、おそらく行き過ぎたコストカットにあるんだろうなと思っています。
    結局、行き過ぎたコストカットや、国の借金問題(間違った考えの方)が根源な気がします。

    入国制限については例えばい可能な方法のほうがすっきりする気がします。
    他国の情報を信じて決定するよりも、入国検査の際に陽性者数が一定数または、陽性率が一定の割合を超えたらどこの地域であろうと停止するという方針の方がいいのではないでしょうか?

  2. 匿名 より:

    フェイクニュースのせいで、ヤフコメなんか見ると、勘違いしている人が多い。
    中国、韓国、ベトナム、シンガポールからの受け入れは続くと知らない人が多い

  3. 迷王星 より:

    共産チャイナは日本側の入国規制緩和後も日本からのビジネス入国者という特例扱いの入国に関して極めて厳しい入国管理を要求し続けており、そもそもビジネス入国という特例扱いそのものも申請しても殆ど許可されないと聞きます。

    共産チャイナの感染者に関する統計情報の信憑性という共産チャイナの根本的な重大問題を仮に脇に措くとしても、相互主義の観点から、日本も共産チャイナからのビジネス入国者に対して共産チャイナ側の扱いと同じぐらい入国後の経過観察を厳しく強制しかつ申請をほとんど却下するほど厳しい運用をせねばなりません。

    この秋冬での超過死者数が異様に多く中華コロナの死者がそのようにはカウントされず中華コロナ死者数の統計が韓国では大幅な改竄が行われている疑いの強い韓国からの来日者の正しい扱いへの改正の必要性に関しては改めて言う必要もないでしょう。

  4. 欧州某国駐在 より:

    半日前、リモートで星港にいる友人(正確には同僚ですが)と仕事の話のついでに雑談をしたところ星港のコロナ対策もすごいなあ・・・と。この同僚とつきあいのある他社駐在員さんが先日突然国外退去になってしまったと。何の犯罪を犯したのかと思ったら、新型コロナをふまえ「屋外で集まってもよい人数は家族を含め最大5人まで」というルールが彼国にはあるそうですが、これに違反したかどだそうです。家の庭に合計6人集まってバーべQをしていたそうですが、この行為が違反していると。自宅内であれば家族を除いて6人まで集まって良いそうですが、庭は自分の家の敷地内だから厳密に言えば家の外ではあるが問題ないだろうとの自己判断が命取り!明るい北朝鮮と揶揄される国ですから、ある意味迂闊といえるかもしれませんが、このすさまじさが彼国の感染者を低く抑えている理由の一つなのでしょうね。(先日はマスクをしていない外国人がそのまま国外退去になったとも人伝にききましたし)日本にここまでやれとは言いませんが確かに入国者対策に関し一考する必要はありかとも思います。しかしこれに比べれば小生の駐在している国は日に4万を超える感染者が発生したりします。いまだにマスクもしない人が多数いたりもして、この国、かの国のあまりの極端さにため息が出ます。

  5. ケロお より:

    お久しぶりです。

    状況的に複雑で、わかりやすい情報発信に努めるべきというのは、全くの正論です。
    しかし、それで外務省を批判するのはお門違い。
    政府として外務官僚なんぞの意見なんか関係なしに今回の入国制限を決定してるという状況で、外務省からしたら「何いってんだ、●●、○ね」となります。
    政府はまともに日本語を理解できるなら、理解可能な情報発信してます。

    コロナに関する政府の対応
    https://corona.go.jp/
    入国制限に関して
    https://corona.go.jp/news/pdf/mizugiwataisaku_20201226.pdf

    >霞ヶ関の役人は、普段から政省令、告示などをやたらとわかり辛く執筆することに夢中だからでしょう。

    政省令、告示がわかりにくいのは、ひたすら上書きと廃止を続けなければいけない法システム上の問題です。官僚が悪いわけではないですし、あえて言うなら立法と行政が連携してわかりやすくしなければいけないという面では、大臣または大臣付きの政務官のせいです。現状だとそういったところの改革は河野行革担当大臣の担当でしょう。
    なんか、とりあえず官僚を批判しとけばいいという姿勢は、オールドメディアと非常に似ていますよ。今のあなたはオールドメディアを批判する資格があるか、立法・行政の批判も誰を批判するべきか、大変疑問です。きちんと考えてから情報発信するべきでしょう。

    1. ケロお より:

      政府主導で、出入国の規制状況が変化している中で、外務省としてなんとか情報発信について対応している中で、外務省批判してもしょうがないでしょう。

    2. 匿名 より:

      なんかよくわからんが、これでも読んで勉強したら?ww
      https://shinjukuacc.com/20180312-01/

      1. ケロお より:

        ここで言ってるのは出入国の急なルール変更は政府主導で行われたのであるから、外務省に文句言うのはお門違いというはなしですよ。

        まあ「匿名」さんだから別にどうでもいいんですがね。

        1. 匿名 より:

          >政省令、告示がわかりにくいのは、ひたすら上書きと廃止を続けなければいけない法システム上の問題です。

          自分が書いた文章も読めないなんてwww

  6. ケロお より:

    >さて、コロナ防疫に関する政府の問題点は多々ありますが、そのうちのひとつが、「情報発信があまりにも紛らわしくてわかり辛い」、という点にもあると思います。
    >その理由は、霞ヶ関の役人は、普段から政省令、告示などをやたらとわかり辛く執筆することに夢中だからでしょう。

    1文目で政府の問題と定義づけて、2文目で霞が関の役人はとしているのが、おかしいんじゃないという話です。
    ルールがわかりにくいのは、普段と違う状況で、例外措置があって、例外措置以外の部分を変更したと言う状況だからです。図表1はわかりやすいですよね。図表2がわかりにくいという難癖ですが、仕組みの複雑さを考慮すると十分にわかりやすくまとめてくれてますよ。こんなんで文句言ってたらマスコミと同じレベルです。政省令、告示がわかりにくいのはわかりやすく書くことよりも、アラ探しで抜け穴とかができないようにしなきゃいけないとかの方が大事だからで、わかりやすくするために法令文とは別に別添資料がついてきますが、これもわかりにくい。で、説明会とかするんだけど説明が下手でわかりにくい。
    では、なぜいくら工夫してもわかりにくいか。文章そのものはわかりにくいのはしょうがないけど、仕組み自体をわかりやすくシンプルにしようとしても、法令案が官僚の手から政治に移ったあと、政治上のアレやコレやでいじくり回されてクソみたいになるから。行政の文書とか新しい枠組みって、現場の事情をわかってない雲の上のお方がごちゃごちゃ余計なこと言ってきて、天上人に逆らえないから下々の者は「ははー、かしこまりました」って直さなくちゃいけないわけですよ。いっぺんやられてみ、まじムカつくから。

    1. 匿名 より:

      こんなん見つけた。
      shinjukuacc.com/20201022-01/
      論破されて逃亡したんじゃなかったっけ。

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