安倍政権長期化の最大の功労者は野党やメディアだった

本稿は、昨日の『「通算」でも歴代最長の安倍政権、最大の課題は経済だ』の「続報」(?)です。安倍総理は本日、自身のツイッターアカウントで、「政治においては、その職に何日間、在職したかではなくて、何を成し遂げたかが問われる」と述べました。まったくそのとおりです。安倍総理には、とりあえず自民党総裁としての任期があと1年少々残っていますので、憲法改正や武漢コロナ禍対応などとともに、まずは昨年の消費増税という失敗をリカバーしていただきたいと思います。ただ、もっと重要なのは、私たち国民の側の態度でしょう。

安倍政権が長続きした理由

昨日の『「通算」でも歴代最長の安倍政権、最大の課題は経済だ』では、2012年12月26日に第二次安倍晋三内閣が発足して以来、現在の安倍政権が「連続在任日数」でも歴代最長になった、という話題を取り上げました。

「通算」でも歴代最長の安倍政権、最大の課題は経済だ

以前から当ウェブサイトをご愛読いただいている皆さまには何度もお伝えしているとおり、「長くやればよい」というものではないというのが当ウェブサイトの持論ですし、正直、安倍政権の経済政策には疑問符が付くものも多いと思っています。

ただ、「是々非々で判断する」、「総合的に判断する」という視点からすれば、マスメディア、野党、官僚、さらには自民党内で「後ろから撃つ」勢力などに囲まれ、安倍政権は歴代政権のなかでも、じつによく頑張っているのではないでしょうか。

当ウェブサイトなりに、安倍政権がここまで長続きした要因を列挙すると、だいたい次のとおりだと思います。

  • 安倍晋三総理大臣自身が2007年9月、マスメディアの偏向報道や持病の悪化などにより政権を投げ出したという辛い経験を持っており、第二次政権以降はそのときの反省を踏まえているものと思われる
  • 安倍政権に麻生太郎総理が副総理兼財相として入閣しているため、事実上、「総理大臣が2人いる内閣」であるほか、菅義偉内閣官房長官が安倍総理をしっかりと支えている
  • 野田佳彦前首相に至るまでの3代の民主党政権があまりにも酷すぎ、また、民主党やその残党が自分たちの失敗について、何らの反省も総括もしておらず、結果的に2012年12月以来の大型国政選挙で6連敗している
  • インターネット環境の普及と発達で、従来、情報を独占していたマスメディアの神通力が落ち、「もりかけ問題」「桜を見る会問題」などの虚報・印象操作で政権支持率を下げるという手法が、国民に通用しなくなった

…。

安倍政権を手放しで支持する気にはなれないが…

もちろん、昨今の武漢コロナ禍を巡る国民の不安も強いうえに、消費税・地方消費税の増税、レジ袋増税など、不要不急の増税が国民生活を痛めつけているという事情もあり、当ウェブサイトとしては、安倍・麻生両総理の経済政策については基本的に支持していません。

ただ、野党の側に自民党政権を代替するだけの受け皿が存在しないことに加え、岸田文雄政調会長を筆頭に、緊縮財政派・外交事なかれ主義者らが自民党内にも跋扈していることを考慮すれば、安倍政権が「一番マシ」というのが実情でしょう。

また、憲法改正議論がまったく進んでいないことも、非常にもどかしい点です。

実際、2016年7月からの3年間、自公両党で衆参両院の3分の2を占めていた時期があったにも関わらず、結局、憲法改正は実現しないまま、2019年7月の参院通常選で自公両党の参議院の議席数は3分の2を割り込みました。

しかし、憲法改正議論が進まないのは、自民党や安倍総理のせいというよりは、連立与党内の公明党が改憲議論に後ろ向きであることに加え、最大野党である民主党→民進党→立憲民主党が憲法審査会を開かせないという妨害戦術を取っているという要因も大きいといえます。

その意味で、改憲議論が進まないことの最大の責任を負わなければならないのは、安倍晋三総理大臣ではなく、立憲民主党などに野党第1党としての地位を与えた、私たち日本国民なのです。

まだ1年少々残っている、これから何を成し遂げるか

さて、いろいろと安倍政権に批判的なことを書いてしまいましたが、ただ、それと同時に安倍政権は外交分野で顕著な功績を挙げてきたことも事実です。

そのなかでもとくに、最大の同盟国である米国との関係強化と、最大の仮想敵国である中国の脅威の低減が、最大の功績であるとともに、今後の課題です。その意味では、やはり安倍政権に現在倒れられるのは、私たち日本の国益に照らし、非常に良くない話でしょう。

こうしたなか、7年8ヵ月の在任期間を迎え、安倍総理が本日、こんなツイートを発信しています。

非常に力強いメッセージです。

「その職に何日間在職したか」ではなく、「その職で何を成し遂げたか」が問われる、というのは、まさにそのとおりです。

安倍総理の自民党総裁としての任期は残り1年少々ですが、憲法改正や武漢コロナ禍対応などもさることながら、やはりいちばん成し遂げねばならないのは、2019年10月の消費税等の増税に代表される、結果的に経済を破壊した政策を全力で修正することでしょう。

正直、当ウェブサイトとしては現在、経済問題は憲法問題と同じくらい、いやそれ以上に優先順位が高い政策課題だと考えていますし、その裏には「増税カルト教団」である財務省という悪の組織が跳梁跋扈していることを忘れてはなりません。

朝日新聞「横断幕を批判する声も」

ついでに「小ネタ」を2つほど、紹介しておきましょう。

1つ目は、朝日新聞のアカウントが配信した、こんな記事です。

朝日新聞(asahi shimbun)

安倍首相祝う横断幕、職員「県庁の総意」 批判する声も
―――2020年8月25日 11:52付 ツイッターより

山口県庁などに安倍総理の連続在職日数が史上最長となったことを祝う横断幕が掲げられたことを巡り、朝日新聞が「批判する声(もある)」、などと報じたものです。横断幕を製作し、それを掲揚するのに必要な税金を思えば、無駄だ、とでも言いたいのでしょうか。

しかし、安倍総理の地元でもある山口県で、郷土出身の政治家が歴代最長政権を記録したことをお祝いしない方がむしろ不自然ですし、現在の社会通念に照らしても、横断幕に数億円が費やされていたという事情でもない限り、「税金の無駄遣い」などと問題視するものでもないでしょう。

ちなみに「批判の声(もある)」、などと新聞社が報じる場合には、たいていの場合、「批判している」のは「その新聞社」です。

経済伸ばす妙案とやらを提示してみろ

ついでにもうひとつ、こんなツイートも紹介しておきましょう。

立憲民主党(りっけん)

「一瞬で感染者0」にすることは、政府にも野党にも専門家にもできません。ただ、国会を開くことでこれまでのコロナ対策の検証を行い、新たな経済対策や予備費の執行、法改正などさまざまな対策が可能になります。国会が開かれれば「経済を伸ばして、財政に優しい妙薬」を議論することもできます。
―――2020/08/24 16:57付 ツイッターより

国会中、ろくにコロナの質問もしなかったような立憲民主党が、何を述べているのでしょうか。

ちなみに「経済を伸ばして、財政に優しい妙案」などと主張するのだったら、国会の場でなくても、ツイッターなどの機能を使って国民に公表することができるでしょう。なぜそれをやらないのかといえば、どうせそんな妙案を考えていないからではないでしょうか。

つまり、立憲民主党を含めた特定野党の狙いは、ひたすら安倍総理を国会に出席させて消耗させ、疲弊させて潰すため、ということではないかと思います。だからこそ、147日連続で執務するという離れ業を余儀なくされたのでしょう。

立憲・国民両民主党の合流と安倍総理健康不安説の関係

いずれにせよ、来るべき総選挙で戦うべきは、おそらくは安倍晋三総理大臣ではありません。

私たち有権者です。

次回選挙では必ず投票所に行き、おかしな行動を取る議員を1人でも多く落選させることができるかどうかという点で、私たち日本国民の真価が問われているのではないでしょうか。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    安倍内閣総理大臣、残りの1年少々の任期で、一つでも多くの課題を解決、方向付け迄していただきたいです。

    一、二はつけられ無いが、消費税率の低減と憲法第9条第2項の改正。この二つは何としてもやり遂げて貰いたい。改憲に消極的な公明党を外すか。立憲民主党は国民民主党と合体したはいいが、所詮脳なしの船頭さんばかりだ。早いウチに揉めて空中分解します(笑)。

    阿呆な野党と左傾・アベ憎しのマスコミのおかげと、前回の1年でギブアップした反省も生かされ、良い方向に頑張られてます。7年以上首相は気の遠くなる日数、もしや体調次第では4期目もお願いしたいところです。

    安倍総理自身、「その職に何日間、在職したかではなくて、何を成し遂げたかが問われる」と述べました。まったくそのとおりです。

    現状、外交では5ツ星の活躍。経済、コロナ対策、防衛で3ツ星以上を祈念してます。

  2. だんな より:

    安倍首相が、こんなに長期政権になるとは、就任当時思っていませんでした。
    言い方悪いですが、またお腹が痛くなるんじゃ無いかと、思っていました。
    野党の功績は、大きいんでしょうね。「コロナより桜」は、その後の野党の言動を、全てにおいて反論可能だと思います。
    後は、自民党に有力な後継者が、出て来なかった事も有ると思います。
    カニ太郎さんは、このサイトを安倍首相擁護サイトのように言ってましたね。対韓国という点では、私もそうですが、不満なんだと思います。
    安倍首相は、新韓派ニダ。
    それでも、安倍首相で良かった事が、多いと思います。

  3. ケロお より:

    >国会が開かれれば「経済を伸ばして、財政に優しい妙薬」を議論することもできます。

    国会が開かれたら「野党側には妙案などない」という事実が明らかになってしまうわけですけど、立憲民主の皆さんはそれでいいんですかね。
    まさか、「政府・自民党が妙案を出せ」という意味ですか?いやいやいや、いくら彼らの面の皮が厚くてもそこまで…
    そもそも政府・自民側が案を出したら、それが妙案だろうがなんだろうがとにかく反対するでしょう。
    憲法改正だって結局、とにかく反対、議論はしない、という野党の戦略(?)ですから、強引に進めないと一歩も動かないのは自明です。残り任期にかかわらず、コロナ禍や経済とは切り離してすすめるべきですよ。

  4. より:

    就任当初に掲げた目標という点でみてみると、
    1. 北朝鮮による拉致被害者の帰還……実現せず
    2. 憲法改正……実現せず
    3. デフレからの脱却……未だ完全には脱却に至っていない
    いずれも目標は達成されておりません。その点から見れば、せいぜい20点/100点ということもできます。

    安倍長期政権の要因が、野党とメディアの壊滅的な無能ぶりと後継者の不在であるという指摘には全く同意します。安倍さんよりマシ(かもしれない)という選択肢が一向に見えてこないという状況は、必ずしも歓迎すべき状況とは思いませんが、実際そうであるという現実は見つめる必要があるでしょう。

  5. 価値観が違いすぎる より:

    立憲民主党は、閉会中の審議会の中でも関係の無い話を持ち出しているみたいなので、その妙案とやらも国会開かなくてもいくらでもひろう出来ると思いますがね。

    安倍総理を休ませないようにしたいだけやろ。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告