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科学を否定するオカルト新聞にも社会的存在意義がある

本稿は、ちょっとした「雑感」です。先日の『ジム・ロジャーズ氏「黒田日銀総裁はクレイジー」』で、世界的な投資家であるジム・ロジャーズ氏が「安倍首相と黒田総裁は日本を破滅に導いている」「今すぐ辞任すべきである」などと述べた、とする話題を紹介したのですが、あのあと冷静になって考えてみると、特定のメディアから「辞任しろ」と要求されること自体、その政治家にとっては一種の「勲章」のようなものではないかと思えてならないのです。

「#東京脱出」は自作自演の疑いが濃厚

先月くらいから、当ウェブサイトで「マスメディアの問題」を取り上げる機会が増えているような気がします。

たとえば、『「東京脱出」をSNSで拡散したのは、メディア自身?』では、緊急事態宣言の当日の4月7日、朝日新聞が「ツイッターで『#東京脱出』というハッシュタグ(検索ワード)が拡散されている」と報じた、という話題を取り上げました。

ただ、これについては事実関係を調べていくと、この「#東京脱出」というハッシュタグがトレンドに上がった時間が、「#東京脱出」をタイトルに含んだ記事が朝日新聞に掲載された同日午前5時以降である、ということが判明しました。

つまり、記事のタイトルがツイートされるだけで、「#東京脱出」のツイート回数が増えるという仕組みであり、これだと「自作自演だ」と疑われても仕方がありません。

これについては当ウェブサイトだけでなく、すでにインターネット上で多くのブロガー、評論家などが検証記事を書いているのですが、ちょっと調べればわかるようなことを、なぜ朝日新聞ともあろう大新聞がやってしまうのか、不思議でなりません。

「社説」という名のブーメラン

また、『「東京本社で感染者2人」、朝日新聞の具体的行動は?』では、朝日新聞自身、たとえば4月8日付の『(社説)首相が緊急事態宣言 危機乗り越える重責自覚を』のなかで、

安倍政権下では都合の悪い情報が隠され、説明責任がないがしろにされる例が後を絶たない

などと安倍政権を舌鋒鋭く批判した、という話題を取り上げました。

ただ、その朝日新聞では、東京本社で先週金曜日時点までに2人の新型コロナウィルスの感染者が出ています(※あらためて、感染された2名のご快癒を心よりお祈り申し上げたいと思います)。

この点、多くの国民が不安に感じているのは、新聞記者という(一般に)「行動半径が広い」と思われている職種の人たちが感染したということではないでしょうか。

この点、朝日新聞社は自社で感染者が出たことを受けて、

感染拡大防止のために職場の消毒などを済ませている。今後も保健所などの指導に基づき必要な措置を取る

などとするコメントを発したのですが、これについては当ウェブサイトの読者コメント欄、ツイッター、各種ブログサイトなどを眺めていると、

  • 感染拡大防止のための消毒を含め、保健所などの指導に基づく措置を取るのは当然である
  • 感染経路を特定するために当局に協力すべきだ
  • 感染者が出現した事業所については閉鎖するのが筋ではないか

といった批判が続出しているようです。

このように考えると、朝日新聞社が社説で

安倍政権下では都合の悪い情報が隠され、説明責任がないがしろにされる例が後を絶たない

などと主張すること自体、それが壮大な「ブーメラン」として同社に突き刺さっていやしないか、心配になってしまいます。

マスメディアの情報独占の崩壊

以上、朝日新聞の事例を2つほど挙げてみましたが、これはべつに朝日新聞社だけの問題ではありません。マスメディア(とくに新聞やテレビ)の誤報、捏造報道、取材時の不祥事などについては、例を挙げていけばキリがないのです。

ちゃんと網羅的に調べたわけではありませんが、「新聞記者が警察からもらった情報を外部者に漏洩させた」などの不祥事まで含めれば、マスメディア産業従事者の不祥事は、それこそ毎週のように発生しているのではないでしょうか。

ただ、こうしたマスメディアの不祥事が最近になって目立ち始めた理由は、おそらく、これらの不祥事が「最近になって激増したから」ではありません。インターネット環境という、「不祥事が広く世間の人々に共有される仕組み」が普及して来たからではないでしょうか。

ところで、先ほどの「ハッシュタグ事件」もそうですが、最近だと、誰が言い出すでもなく、新聞やテレビの不祥事、偏向報道などはインターネットを通じて、ほぼリアルタイムに叩かれるようになってきた気がします。

たとえば、「XX新聞の社説にこう書かれていた」という話題自体がツイッターなどで広く共有されるようになったのです。そして、これは政治家などからすれば、「メディアが自身を叩いている状況を『うまく活用』する機会が生じている」、ということでもあります。

ひと昔前だと、政治家は新聞に叩かれることを恐れていた、という話を聞いたことがあります。

しかし、インターネットとマスメディアの力関係が逆転しつつあることで、「特定のマスメディアから叩かれている」こと自体が、「その政治家の政策が正しいこと」の証拠だ、という見方をする人も、徐々に増えて来るはずです。

特定メディアは1社くらい残っても良いのかもしれない

そういえば先日も『ジム・ロジャーズ氏「黒田日銀総裁はクレイジー」』で、世界的に有名な投資家のジム・ロジャーズ氏がメディアの取材に対し、「安倍晋三総理、黒田日銀総裁はただちに辞任すべきである」、などと舌鋒鋭く主張した、という話題を取り上げました。

ただ、これも考え様であって、逆に「ジム・ロジャーズ氏からクレイジーだと批判された」という事実をもって、間接的に、「安倍、黒田両氏は辞任してはならないという意味ではないか」、と判断する人が増える(かもしれない)、ということでもあります。

その意味で、将来、特定メディアに「XXは辞めろ」と書かれるだけで、「XX」という政治家に対する支持率が上昇するという時代が到来するのだとしたら、それはそれで非常に「痛快」なことではないでしょうか。

その意味では、皮肉なことに、このインターネット時代になったからこそ、「不動産会社が趣味で刊行する、科学を振りかざさないオカルト新聞」であっても社会的な存在意義が認められるようになったといえるのかもしれませんね。

新宿会計士:

View Comments (30)

  • >「不動産会社が趣味で刊行する、科学を振りかざさないオカルト新聞」であっても社会的な存在意義が認められるようになったといえるのかもしれませんね。

    「ムー」より面白くないので却下、築地オカルト新聞の廃紙を求む。

  • 朝日新聞、JBpress、AERAあたりの政治記事は書かれていることの真逆に解釈するとするとだいたい正しくなるので、むしろ政治情勢や国際評価を読み取りやすいと感じています。
    逆に産経あたりはマシに思えてけっこう飛ばしやトンデモ誤解が多くいまいち信用なりません。。。

  • 「嘘つき村の住民」として認識しておけば対応を間違えることはない、ということですね。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     一国の指導者が、国民のすべてから支持され、その国のメディアが全て
    賞賛することになったら、もはやその国の政権は独裁政権ではないでしょ
    うか。(もっとも、賞賛しないメディアが、どの程度、支持されるかは、
    分かりませんが)
     つまり、政権を批判するメディアが存在するということは、その国が民
    主主義国家であるということの証拠なのです。

     駄文にて失礼しました。

  • 新聞等マスメディアは古今東西の歴史を見ても時代が背負うリスクを指摘してブレーキになったことが少ないと思います。却って大多数の感情的な意見に阿って結果として焚き付けてた経緯があると思います。国際的な機関での結果は低いというデータもあるようですが、生活者として感じるのは言論の自由は日本ほど保証されている国も少ないと思います。
    先の戦争の反省と言うのであれば、主張の押し付けではなく、片引きすることなくあくまでも多角的な観点から議論の整理が役割で購読者、視聴者の思考の一助になる報道をすることを肝に銘じないと嘘でしょう。言論の自由を謳うのであれば、相応の責任を負うのは当たり前です。謙虚さを失ったらまた同じ過ちを繰り返すと思います。

  • たまに現れ、私を痛罵して行く「正義の味方」も同じ様なものでしょう。🐧

  • 反日じゃなくて侮日をする日本人集団には一定の共通項があるのではとの仮説を立てています。それは選民意識です。若くしてアコガレのアメリカ留学もしくはアメリカ駐在を「成し遂げ」その経歴を同期入社や同期卒業たちとの差別化手段とキャリアポルノしているひとたちのことです。会社の金で著名アメリカ名門大学の周辺機関に潜り込むケースは、社内では覚えめでたくとも、会社の寄付講座だったりしています。1980年代日本企業は(元気で|進取精神満点で)したから、上げ潮に乗って前向きにいるだけで、キャリア(工作|強化)はそれほど難しくありませんでした。

    • エリートであることは侮日の必要条件ではあるけれど十分条件ではないと思います。

      元民主党系には高学歴で華麗なキャリアを持つ議員が沢山いますが、紛れもないエリートは自民党にも沢山います。

      麻生太郎総理は麻生財閥の御曹司でオリンピック選手。カトリック信徒。
      安倍晋三総理は政治家一族の生まれで南カリフォルニア大学に留学。
      河野太郎大臣は二世銀でジョージタウン大学に留学。

      麻生さんなんて、誰がどう見てもお坊ちゃまですし、それは本人も自覚しているでしょう。カップラーメンの値段なんか気にして生きていないでしょう。でも、良い意味でノブレス・オブリージュを持っていらっしゃると思うのです。

      私は、選民意識が悪い方向に働く原因は、華麗なキャリアに加えて、何かのルサンチマンや劣等感を抱えていないといけないはずだと思っています。ですが、劣等感を持つにしては十分過ぎるキャリアの持ち主がいるんですよね。

      例えば「日本死ね」の功績で有名な山尾志桜里議員ですが、東京大学法学部卒、司法試験合格、東京地方検察庁検察官、衆議院議員総選挙に圧勝で初当選、そこそこの容姿に恵まれ、こんな人生を歩めたら文句はないと思うのですが、どうしてあれほど日本が嫌いなのか、どんな恨(ハン)を拗らせているのか、私には想像できません。

      • 阿野煮鱒様へ

        >東京大学法学部卒、司法試験合格、東京地方検察庁検察官、衆議院議員総選挙に圧勝で初当選

        なのは、何らかのコンプレックスの裏返し、何時かは見返してやりたいと言う「相手」が居るので、精一杯頑張った結果だと思います。
        おそらく「2番じゃダメ」なくらいの途轍もなく深いものなのでしょう。

        敢えて邪推してみると、そこそこの容姿であるにも関わらず、女史に洟も引っ掛けなかった大和オノコが居たと思えます。
        最近の不倫(意味不明)にしても、どうもそんなドロドロしたものを感ずるのです。

        私も昔失恋した時には世間の全てに復讐してやりたいと、思った、かなあ・・・?

    • 人間観察にご興味があろうと拝察する阿野煮鱒さまから当方が書き切れなかった諸点ご指摘いただきました。
      短く行きます。
      まず当方はエリートとは申しませんでした。その定義の違いかも知れませんけれど深くは立ち入りません。その話はしていません。職業人としての当方が気にしているは被採用者がメッキかホンモノかの見極めだけです。人物像分析に足を踏み入れてしまうの残念(かもしれない)副作用です。

      >加えて、何かのルサンチマンや劣等感を抱えていないと

      何か(を)抱えているからこそ、華麗なキャリアに動機づけがある、とすればどうでしょうか。

      こじらせ系のひとたちに間違ってアプローチしてしまい、退却転進の結果になったというのはほんとのこと。はにわの本業のほうでですが。

      • 回答ありがとうございます。

        > 当方はエリートとは申しませんでした。

        選民意識の「選民」ってエリートのことちゃうのん? と思い「選民 エリート」でググったらこんなサイトを見つけました。

        左翼エリートの選民思想(前編)(後編)
        https://www.epochtimes.jp/p/2019/11/49244.html
        https://www.epochtimes.jp/p/2019/12/49611.html

        二行要約:
        左翼エリートにとって人権は手段であって目的ではない
        心の底ではマイノリティや非エリートを見下している

        この記事の言いたいことは分かりましたが、動機の部分が腑に落ちません。私は、十代の頃は左翼青年だったはずなのですが、今は彼等の心理が想像できなくなっています。格好をつけていただけで地の気質は左翼に向いていないのかもしれません。

        > 職業人としての当方が気にしているは被採用者がメッキかホンモノかの見極めだけです。
        > 何か(を)抱えているからこそ、華麗なキャリアに動機づけがある

        私の曇りはまだ晴れませんが「食い付かんでもその内わかるで」と内なる声が言うので、又の機会に。

        > こじらせ系のひとたちに間違ってアプローチしてしまい、退却転進の結果になったというのはほんとのこと。

        こちらはお察し申し上げます。

      • >左翼エリートにとって人権は手段であって目的ではない
        >心の底ではマイノリティや非エリートを見下している

        ナイスキャッチ。記事は大紀元、しかも翻訳ものでないなんて。そしてこれを今日という日に目にするだなんて。天の采配巡り合わせの妙というものでしょう。
        このまま公開往復書簡のようなことをしても。エンタメ度はそれなり高いでしょうけれど。直球なお問合せに応えずはぐらかせているかのごとく目に映りましたご容赦ください。改めて自投稿を読み直しましたが、修正の必要はないと思えます。勢い余って自らの経験を要約した長い文章を書きかけましたが、オチを作れそうにないので却下。もっと知恵が出ればまた機会もあるかと。

        >その内わかるで

        きっとそうやで。ということでお粗末さまです。

  •  故・阿佐田哲也氏の著書に「競輪痛快まるかじり」というものがあるそうで(私もはるか昔に読んだ記憶がうっすらあります)、その中に平均相場の10倍の料金を取っているのに、大繁盛している予想屋が書かれています。が、なんと的中率は0(ゼロ)。
     この予想屋の推薦しているものを外せば、かなり的中率があがるということでしょうか?
    「朝(鮮反)日新聞」はこの予想屋のようなものだと思い、批判されている人や政策は正しく、主張している政策は絶対的に国益に沿うものと理解すれば、高い価値があるかもしれません。

    • 自己レスです
      申し訳ありません。訂正です。
      国益に沿うもの → 国益に沿わないもの

    • 作家阿佐田哲也の名に反応して投稿させていただきます。

      クマさんのパパさま

      >的中率は0(ゼロ)

      ゼロから100までの百分率ではなくて、無限大と0の関係と思えば、0はとても魅力ある数です。無限大の逆数だからです。鏡合わせなんですね。

      浅学の当方が作家色川武大を知ったのはやっと十年余ほどまえのこと。いまだに著作を直接に読んだわけでなく当時の評論を通じてでした。自らに内在する狂気に臆することなくそれを見つめ文章に書き表せる大いなる人物という評でした。なんとかの華こと魅力ある人物だったようですね。

  • 更新ありがとうございます。

    2人もコロナ感染者を出した朝日新聞は、当然保健所などの指導に基づく措置を取るべきだ。保健所は、普段静かですが、こういう時はキツイですよ。

    徹底的に探ります。そう、警察のようです。同じ事を何度も聞かれ報告書を作成させられる。再提出は当たり前。

    また朝日新聞は感染経路の特定に協力し、感染者を出した事業所は閉鎖すべきです。一般人の感覚はそうです。

    朝日系列ではテレビのキャスターまで感染しました。テレビ局自体、閉鎖して除染すべきでしょう。視聴者参加番組なんて、とんでもない。メディア関係者は、行動範囲を縮小すべきだと思う。

    また、マスメディアの不祥事は最近になって激増したからではなく、ずっと前からあったが、インターネット環境による普及が大きいですね。ドンドン速報性を高めて欲しい。

    さて、話変わりまして、加藤登紀子さんというかなり高齢の歌手(東大全共闘と関わりあり)の方が、マスク2枚配布について安倍総理のやり方を激しく批判しました。

    しかし、ネットで「2枚でも必要だ」「貴女は庶民の事が理解出来てない」「まだ左傾やってんのか」と、反論が押し寄せたらしい。「最近は姿の見えない苦情とかで意見を言ってくる。日本人は毒されている」と、愚痴ってました。

    ハッキリ言って貴女は過去の人、マスメディアに操られ無いで、大人しく御隠居して下さい、と言いたい。

    • 日本でもハリウッドでも、リベラルを拗らせる人がいますね。

      芸術家/アーティスト/俳優さんなどは、ピュアで理想主義の人が多いので、それを入り口にしてリベラルに深入りするのだろうと思います。

      でも芸術・芸能を職業にする人は、政治的発言はするべきでないと思います。自己保身と言うより、自分が提供している作品を愛してくれるファンに、純粋にその作品を楽しんで貰うために、余計な色はつけないで欲しいということです。

      ラーメン屋さんなら「ウチは特定政党の支持者には食わせねぇ!」と客を選べるかもしれませんが、芸術・芸能はメディア越しですから、ファンを選ぶ自由はありません。

      • >日本でもハリウッドでも、リベラルを拗らせる人がいますね。

        『赤狩り THE RED RAT IN HOLLYWOOD』(あかがり ザ レッド ラット イン ハリウッド)
        山本おさむによる日本の漫画。
        https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E7%8B%A9%E3%82%8A_THE_RED_RAT_IN_HOLLYWOOD

        赤狩り時代を生きるハリウッドの映画人たちの「表現の自由」を巡るドラマが『ローマの休日』、『エデンの東』、『猿の惑星』の製作背景を交えつつ描かれる。

  • 朝日新聞ではありませんが、テレビ朝日の方では30代女性スタッフに続いて、富川悠太アナウンサーの武漢肺炎感染が判明しました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200412/k10012382661000.html

    『また村がひとつ死んだ。行こう、ここもじき腐海に沈む…』

    ………
    あっさりと腐海に沈んでくれると、それは痛快なのかもしれません。
    ですが、易々と沈むような村ではないでしょう。
    そこが、朝日新聞やテレビ朝日のいいところ(異様な生命力)なのかもしれません。
    我々もテレビ朝日や朝日新聞などの無駄なバイタリティーを見上げ、それを励みにしたいところです。(笑)

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