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韓国政府の軽率な行動により、ビザ免除復活が困難に?

セルフ経済制裁?韓国が日本人向け入国ビザ免除停止へ』で速報的に報告したとおり、本日以降、日韓両国民は、お互いの国を訪問する際に、改めて入国ビザを取得しなければならなくなります。これについて本稿では「そもそもビザ免除とはなにか」という点を再確認するとともに、韓国政府が事実上の対抗措置として発動してしまった日本人向けビザ免除プログラムの停止措置が、今後、日韓間のヒトの流れを長期的に停滞させる危険性をはらんだ、極めて軽率なものであるという点について確認していきたいと思います。

ビザ問題を考える

ビザとパスポート

日本政府が先週、中韓に対する入国ビザの無効化措置などを打ち出したことへの「対抗措置」として、韓国が同様に日本人向けの入国ビザ免除を公表した、とする話題については、『セルフ経済制裁?韓国が日本人向け入国ビザ免除停止へ』のなかで速報的に触れたとおりです。

改めて事実関係をまとめておきましょう。

外務省のウェブサイトに3月6日付で掲載された『新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の抜本的強化:査証の制限等について(追加情報等)』によると、日本政府の措置は、次のとおりです。

  • ①3月8日までに中国、香港、マカオ、韓国に所在する日本の大使館や領事館で発給されたビザ(一次ビザ、数次ビザ)の効力の停止(3月9日午前0時~3月31日)
  • ②香港、マカオ、韓国に対するビザ免除措置の停止(3月9日午前0時~3月31日)
  • ③中国と韓国からの入国者(日本人を含む)に対する、「検疫所長の指定する場所で14日間待機すし、国内で公共交通機関を使用しないこと」に対する要請措置

この3点が、日本政府による正確な措置の内容です。

これについて理解するうえで必要なのが、「ビザ」という制度です。

基本的に、日本人が外国に出掛けたり、外国人が日本にやってくるときには、パスポート(旅券)とビザ(査証)の両方が必要です。

ここで、パスポートはその人の国籍国の政府が発行するもので、たとえばA国籍のXさんの場合であれば、A国政府がXさんのために発行してくれたパスポートがなければ、基本的にXさんは外国に出かけることはできません。

一方、ビザはその人が渡航しようとする相手国の政府が発行するもので、たとえばA国籍のXさんがB国に出掛ける場合、基本的に旅行に出発する前に、A国内にあるB国の大使館や領事館にでかけて、パスポートを提出し、ビザの申請をしなければなりません。

A国籍のXさんがB国に出掛けるために必要な準備
  • A国政府が発行したパスポート
  • B国政府が発行したビザ

とても面倒臭いですね。

なぜビザが必要なのか?

では、そもそもなぜ、この2段階の認証が必要なのでしょうか。

まず、パスポートについては、Xさんが外国に出掛けたときに、「この人物はたしかにA国の国民ですよ」、という証明をするためのものであり、あわせて「A国政府が関係する諸官に対し、この人が必要とする保護扶助を与えてほしい」と要請するための公文書です。

実際、「日本国旅券」の冒頭には、こんな文言が印刷されています。

日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。 The Ministor for Foreign Affaires of Japan requests all those whom it may concern to allow the bearer, a Japanese national, to pass freely and without hindrance and, in case of need, to afford him or her every possible aid and protections.

つまり、パスポートは、その人の国籍国の中央政府が発行した公的な身分証明書ですが、相手国がその人の入国を許可するかどうかは別問題でしょう。なぜなら、B国政府からすれば、「このA国民のXさんという人物は、何か悪いことをしないか」と疑心暗鬼になるからです。

たとえば、B国がA国よりもはるかに豊かな国だった場合、A国民であるXさんがB国に入国したあとで不法就労するつもりじゃないか、と気になりますし、また、麻薬、覚醒剤、売春、密輸などの犯罪に関わろうとしているのではないかと疑うかもしれません。

だからこそ、B国政府からすれば、XさんがA国のパスポートを持っているだけでなく、実際に駐A国大使館や領事館に呼び出すなどして、「このXさんならうちの国に入国しても悪さはしないだろう」、「いや、このXさんを入国させてはダメだ」、などと判断する必要があるのです。

ビザ免除措置とは?

いちいちビザを求めないケースがある=観光ビザ免除措置

ただ、現代社会ではヒト、モノ、カネ、情報は国境を越えて行き来していますし、いちいち入国の都度、ビザを要求するというまどろっこしいことをしていると、時間が掛かって仕方がありません。

これに加えて、A国とB国の国としての豊かさが同じくらいだったとしたら、少なくともA国民がB国に不法就労目的で入国する可能性はそれほど高くありませんし、また、A国の犯罪発生率が非常に低ければ、A国民がB国で「悪さ」をする可能性も低いと考えて良いかもしれません。

そこで、多くの国が導入しているのが「ビザ免除制度」です。

日本の場合は、昨年9月2日時点で世界68ヵ国・地域に対してビザの免除措置を導入しており、これらの国・地域の人は、「商用、会議、観光、親族・知人訪問」などが目的であれば、基本的にビザなしで日本に入国することができます。

ビザ免除国一覧
  • アジア…9ヵ国・地域
  • 北米…2ヵ国(米国、カナダ)
  • 中南米…12ヵ国
  • 大洋州…2ヵ国(オーストラリア、ニュージーランド)
  • 中東…3ヵ国
  • アフリカ…3ヵ国
  • 欧州…37ヵ国(EU、スイス、英国など)
  • 合計…68ヵ国・地域

ちなみにアジア9ヵ国・地域の内訳は、つぎのとおりです。

アジア各国・地域に対する日本政府のビザ免除措置
  • インドネシア…15日間(※1)
  • シンガポール…90日間
  • タイ…15日間(※2)
  • マレーシア…90日間(※2)
  • ブルネイ…15日間
  • 韓国…90日間
  • 台湾…90日間(※3)
  • 香港…90日間(※4)
  • マカオ…90日間(※5)
    • ※1 ICAO標準のIC旅券を所持し、在インドネシアの日本の在外公館においてIC旅券の事前登録を行った者に限る(事前登録の有効期間は最大3年)
    • ※2 ICAO標準のIC旅券の所持者に限る
    • ※3 身分証番号が記載された台湾護照(旅券)の所持者に限る
    • ※4 香港特別行政区旅券及び英国海外市民(BNO)旅券所持者(香港居住権所持者)に限る
    • ※5 マカオ特別行政区旅券所持者に限る

(【出所】外務省『ビザ免除国・地域(短期滞在)』より著者作成)

中国に対してはビザ免除を実施していない!

この、「短期的な商用、会議、観光、親族・知人訪問」などを目的とした入国ビザの免除措置を、俗に「観光ビザ免除措置」などと呼ぶことが多いのですが、ここで気付くのは、先ほど紹介した「アジア各国・地域に対するビザ免除措置」の対象国に中国が入っていない点です。

ここで当ウェブサイトではこれまで何度も紹介して来た論点が、「インバウンド観光需要に占める中国人の比率が高いこと」です。

訪日外国人は過去最大だが、観光目標は立て直すべき』などでも紹介しましたが、日本政府観光局(JNTO)が公表するデータを眺めると、訪日外国人の出身国として最も多いのが中国人ですが、中国に対してはビザ免除措置は実施されていません。

これについて、「中国に対して観光ビザ免除措置が実施されていないのに、なぜ昨年を通じた中国人の入国者が1000万人近くにも達しているのか」、という点は、確かに興味深い着眼点でしょう。

実際、外務省のウェブサイト『中国国籍の方が短期滞在を目的として日本へ渡航する場合』によれば、「1次ビザ」(1回限り有効なビザ)だけでなく、『中国団体観光・個人観光ビザ』についてもさまざまなものが準備されています。

たとえば「沖縄県数次ビザ/東北六県数次ビザ」は、個人観光で1回目の訪日の際に沖縄県か東北6県のいずれかの県で1泊以上滞在した場合に、3年間有効なビザが発給される、という仕組みです(※ただし一定以上の経済力が必要)。

つまり、この数次ビザを取得すれば、3年以内であれば何度でも日本にやってくることができるのです(※ただしこのビザの場合は滞在可能期間が30日)。

ほかにも「十分な経済力を有する者向け」のビザ(有効期間3年、1回の滞在可能期間が30日)や、「相当な高所得者向け」のビザ(有効期間が5年、滞在可能期間が90日)などもありますが、いずれにせよ、最初はビザを取得しなければならないのです。

それにも関わらず、年間1000万人近い中国人が日本を訪れたという事実は、なかなか凄い話です。もし中国人に対しても韓国人などと同様の「90日間のビザ免除措置」を講じれば、訪日中国人は一気に年間数千万人に達するかもしれません。

「インバウンド観光客の人数」自体を政策目標に掲げるならば、いちばん手っ取り早いのは、この中国人に対する訪日ビザ免除措置であることは間違いありません(※もっとも、それをやった瞬間、不法就労などが激増するでしょう)。

(※余談ですが、当ウェブサイトで「2020年4000万人」「2030年6000万人」といった「数値ありき」のインバウンド観光目標を「撤回せよ」と主張し続けているのは、人数が独り歩きするリスクが高過ぎるからなのですが、これについては近日中にどこかで議論するつもりです。)

だいたい90日、短い場合で15日

さて、日本政府がビザ免除措置を導入している相手国については、標準で90日間までの滞在が可能とされていますが、稀にインドネシア、タイ、ブルネイのように15日というケースもあれば、アラブ首長国連邦(UAE)のように30日、というケースもあります。

ただ、調べてみると、わが国が採用している「90日」という期間は、さほどおかしなものではありません。

英国の「ヘンリー・アンド・パートナーズ」(Henley and Partners)が公表する「パスポート・インデックス」によると、昨年12月時点で191ヵ国・地域が日本国籍者(あるいは日本のパスポート所持者)に対してビザ免除措置を講じているのだそうです(図表)。

図表 ビザ免除措置を講じている国のランキング
順位 免除国
1 日本(Japan) 191ヵ国
2 シンガポール(Singapore) 190ヵ国
3 韓国(South Korea) 189ヵ国
3 ドイツ(Germany) 189ヵ国
4 イタリア(Italy) 188ヵ国
4 フィンランド(Finland) 188ヵ国
5 スペイン(Spain) 187ヵ国
5 ルクセンブルク(Luxembourg) 187ヵ国
5 デンマーク(Denmark) 187ヵ国

(【出所】Henley and Partners, “Passport Index” より著者作成)

ちなみに図表でもわかるとおり、日本に対してビザ免除措置を講じている国は全世界で191ヵ国にも達しており、日本国旅券とは、いわば「世界最強のパスポート」なのです。

素人的には「世界最強の軍事国家、世界最大の経済大国」である米国がビザ免除の優遇措置を受けている国のランキングでトップになりそうなものだと思ってしまいますが、その米国は184ヵ国で8位なのだそうです。意外な気がしますね。

それはさておき、日本に対するビザ免除措置を眺めてみると、たとえば米国の場合は「90日以下の短期商用・観光の目的」であれば、ビザが免除されます(ただし、ESTAの事前取得が必要ですが、詳細は在日米国大使館のウェブサイト等をご参照ください)。

また、欧州の場合は「シェンゲン圏」(※)であれば、日本国民に対しては「ある180日のうち90日以内」の「観光・出張などを目的とした短期滞在」ビザの取得が免除されており、シェンゲン圏以外であっても多くの国が日本人に対する似たようなビザ免除措置を講じています。

(※)シェンゲン圏とは:欧州連合(EU)加盟27ヵ国のうち、アイルランドなど5ヵ国を除いた22ヵ国と、EU非加盟国のうちスイス、ノルウェーなどの4ヵ国からなる、合計26ヵ国の経済圏のこと。シェンゲン圏内では国境を越えるのにビザどころかパスポートすら不要。

この「短期ビザ免除措置」とは、やや語弊を恐れずに言えば、相手国から深く信頼されている証だ、という言い方をしても良いでしょう。日本人に対して世界191ヵ国・地域が短期ビザ免除措置を講じているということは、それだけ日本人の振る舞いが良い、ということだと言えなくもありません。

韓国のプライドを刺激した

短期ビザ免除措置停止の威力

ただ、ここでふと疑問が浮かびます。

よく「外交の世界では相互主義」と言われますが、ビザ免除についても基本的には相互主義が適用されるはずであり、日本に対して191ヵ国・地域がビザ免除措置を講じているならば、日本も191ヵ国・地域に対してビザ免除措置を講じていなければおかしいのではないか、という点です。

これについて外務省のウェブサイトに明確な説明はありませんが、「日本に対してビザ免除をしている国の数」が「日本がビザ免除をしている国の数」を大きく上回っている理由は、おそらく、日本国民が世界の多くの国から「歓迎されている」からでしょう。

この「歓迎されている」というのは、日本人の人格が素晴らしいとか、日本人が美しいとか、そういう意味ではありません。「観光客として」、あるいは「商用での訪問客として」、つまり「経済的に歓迎されている」、という意味でしょう。

実際、日本政府が近隣国である韓国に対する観光ビザ免除措置を恒久化したのは2006年3月のことですが(外務省ウェブサイト『韓国人に対する短期滞在査証免除措置について』参照)、これについて『東洋経済日報』というウェブサイトの2006年2月10日付の記事の記載が興味深いです。

<総合>韓日・3月から永久ノービザ

懸案だった韓国人に対する日本のビザ(入国査証)が3月から恒久的に免除されることになった。麻生太郎外相は6日、「両国間の交流増進のため、昨年3月から時限付きで実施してきた韓国人の短期入国者に対するビザ免除措置を今年3月から無期限延長する」と発表した。<<…続きを読む>>
―――2006/02/10付 東洋経済日報より

記事に2012年12月以降、副総理兼財相を務めている麻生太郎総理が「外相」として出てくるあたりに時代を感じますが、それはさておき、東洋経済日報の記事の続きには、こうあります。

  • 日本政府の今回の決定を受け、韓国政府も相互主義の原則に基づき、日本人に対するビザ免除恒久化を2006年3月から実施する
  • 日本のビザ免除措置の対象となるのは、アジアではブルネイ、シンガポール、香港、台湾に次いで5番目だ
  • 日本側はこの間、韓国人の不法滞在者が多いという理由でビザ免除を渋っていた。全体不法滞在者の22%が韓国人であり、毎月300人が新規にオーバースティ状態にあるためで、ビザを免除すればその数が増えるという懸念だ

隣国でありながら日本が韓国をビザ免除国の対象にしなかった理由は、まさに不法滞在が非常に多いという理由でしたが、日本政府は結局、2006年3月以降、韓国人に対する入国ビザ免除措置の恒久化に踏み切り、現在に至っています。

いわば、韓国にとっては「悲願」だった日本からの入国ビザ免除措置を獲得したわけであり、韓国国民にとっては一気に日本への入国が容易になったということであると同時に、彼らのプライドも満たされたのではないかと邪推してしまいます。

もっとも、2012年に発生した対馬の仏像の窃盗事件、2015年11月の靖国爆弾テロ事件あるいは相次ぐ金塊密輸事件など、韓国人による日本国内での犯罪の数々を見ていると、果たしてこのビザ免除措置が正しかったのかと疑問に思わざるを得ないのも事実ですが…。

対抗措置であることは明らか

さて、こうした個人的な疑問はさておき、事実として、昨日までは韓国国民に対する観光ビザ免除措置が講じられていたわけですが、コロナウィルス、あるいは武漢肺炎の蔓延に伴い、防疫上の理由で3月末まで一時的に中断された格好です。

これが韓国政府のプライドを刺激したためでしょうか、韓国政府は日本と同じタイミングで、日本のカーボンコピー(あるいはオウム返し、さらにいえば劣化コピー)のような措置を打ち出します。

韓国法務部、「9日午前0時から『日本人ビザ免除入国』停止」(2020.03.08 12:53付 中央日報日本語版より)

韓国メディア『中央日報』(日本語版)によると、韓国政府法務部は9日午前0時時点で「すべての有効な日本旅券所持者に対する査証免除措置を停止する」と発表しました。しかも、これには外交官旅券や官用旅券なども含まれているそうです。

中央日報の記事ではさらに、「日本から入国するすべての乗客は特別入国手順を踏まなければならない」「国土交通部と保健福祉部(検疫所)などは日本から入国する乗客について、入国が不適切だと判断される外国人に対しては入国を拒否するなどの措置を取る予定」などとも述べられています。

なかなか思い切った措置ですね。

中央日報によると韓国政府の言い分は「新型肺炎感染拡大持続にともなう韓国国民の感染被害最小化のため」とありますが、だいたい日本の十数倍のコロナウィルス感染者を抱えている韓国が、日本をあたかも「汚染国」のように扱うというのも凄い話です。

いずれにせよ、韓国からの入国者に対する入国拒否、隔離などの措置を講じている国が100ヵ国を超えているなかで、日本に対してのみこのような措置を講じること自体、これが日本への「対抗措置」であることは明白でしょう。

解除は困難に?

ただ、考え様によっては、これはなかなか大変なことです。

もし韓国政府がこの対抗措置を講じていなかったとすれば、コロナ・武漢肺炎騒動に一定の収束のめどが立っていれば、日本政府は4月1日以降、韓国人に対する観光ビザ免除措置を復活させると決めたのではないかと思います。

しかし、今回の韓国政府の措置によって、日本政府としては困ったことが発生してしまいます。なぜなら、ビザ免除措置にも「外交相互主義」が働くからです。

もし日本政府が「4月1日以降、韓国国民に対するビザ免除措置を復活させる」と発表したものの、韓国政府が「4月1日以降、日本国民に対するビザ免除措置を復活させる」と発表しなかった場合には、日本だけが一方的に韓国に対してビザ免除措置を講じる、ということになりかねません。

このため、日本政府としては今回の韓国人に対するビザ免除の停止措置を解除することが難しくなった、という言い方もできます。その意味で、韓国政府の今回の行動は「軽率である」としか言い様がありません。

ついにヒトの流れにも及んだ

ただ、今回の韓国政府の措置を巡っては、「解除するのは困難」どころか、韓国政府(文在寅政権)側が、いっそのことこの問題を徹底的に政治利用してくる、という可能性すら否定できないように思えます。

すなわち、韓国政府が日本国民に対する入国ビザ措置を撤回するにあたって、

  • 自称元徴用工判決問題で日本の譲歩を求める
  • 日本の対韓輸出管理適正化措置の撤回を求める

など、何らかの条件を付けてくる可能性すらある、ということです。

文在寅(ぶん・ざいいん)政権がそこまで愚かだとは思いたくはありませんが、こればかりはふたを開けてみないとわかりません。そして、万が一にもそうなれば、日韓のヒトの往来に支障が生じる状態が常態化します。

たとえば、仁川(じんせん)国際空港の「乗り換えハブ空港」としての地位低下は避けられないでしょうし、トランジットツアーで訪韓外国人を無理やり水増ししている疑惑(『韓国さん、トランジットで入国者数を水増ししていませんか?』参照)が事実なら、訪韓外国人数も激減するでしょう。

これは非常にわかりやすいセルフ経済制裁ですね。

もちろん、日韓の往来が滞れば、日本側にも少なくない打撃が生じることは間違いないのですが、奇しくも昨日の『数字で見た、「日韓は切っても切れない関係」論のウソ』でも報告したとおり、ヒト、モノ、カネの往来という観点からは、日韓関係はそこまで深くありません。

いずれにせよ、一昨年の自称元徴用工問題などを皮切りに日韓間で浮上したさまざまな問題が、ついにヒトの往来にまで及んできたとは、まさに「事実は小説より奇なり」、といったところでしょうか(※これについてはあらためて別稿にて議論したいと思います)。

新宿会計士:

View Comments (59)

  • 新宿会計士様、お早うございます。早速、韓国の対抗措置の含意する影響についての分かりやすい解説、どうも有難うございます。

    個人的には、韓国が対抗措置として日本に対して無期限ビザ免除廃止を打ち出してくれたことは、日本にとっては大変に良いことだったと思っています。

    これでますます日本と韓国との繋がりが薄くなるのは確実です。特に女性に多いK-POP好きで韓国旅行という人々が韓国旅行をするのに非常に面倒になって激減するのは確実だからです。何しろ旅行するには一々ビザを取らねばならないとなれば、今までのように簡単には旅行できません。

    そしてそうなれば日本におけるK-POPそのものの人気も低迷することになる可能性が高いので、益々、我が国における韓国の存在感や韓国に対する好感が薄れ、韓国政府や政治家らによる反日的な言動だけが日本国民の目にとまることとなり、今まで以上に多くの日本人が韓国を敬遠し拒絶する方向へと事態は進展してくれるものと期待できます。

    本当に文政権は究極の利日派ですね。実に頼もしい。
    4月の韓国の総選挙では利日派の与党が用日派の保守系を叩きのめして勝利するよう、切に願っております。

    • >人気が低下する
      いやいやいや。そう上手く行くでしょうか?
      人の欲望は「遠い異郷」だからこそ渇望するようになるのかも知れません。
      ビザなしのこれまでだって、手軽とは言えパスポートは必要でした。
      わざわざ国外に行くわけですから。

      ただお小遣いで行けるLLCの減便は渡航回数を確実に減らすでしょうね。

  • もはや遠い過去のようにも思えますが昨年の夏に「日本には2度と負けない」なる歴史書に記され残るであろうナナメ上発言がありました。それをして当方は2020年中にきっと日本には3度負けない発言がなされるであろうと予測しました。

    >韓国政府の今回の行動は軽率

    咆哮こそ聞こえてきませんでしたが、かの国の将来を経済的にも政治的にも確実にスポイルするであろう自傷行動がこの度たちまちのうち眼前で展開され、味わい深さの妙にうなると同時にほるほるする気持ちを抑え切れないのは多くかたが同意するところではないでしょうか。

  • 日本政府の措置は3月末までの期限付きであり 一方で
    韓国の措置は「すべての有効な日本旅券所持者に対する査証免除措置を停止する」ということです。
    相互主義なら 日韓が話し合って 一二のさんで同時に解除(実際は日本側が自然解除で韓国側のみ解除宣言)する必要がありますが 「お話し合い」出来るんでしょうかね?おかしな条件付けたり 恩着せがましくしたりしそうで うっとおしいなあ。 

  • 韓国側は期限を明言していないので、もしかしたらビザ停止からの復帰を外交カード化するかもしれませんねー。
    「ビザ免除復活して欲しければホワイト国に戻すニダ!」とか?www

  • 会計士様
    「そこまで愚かでないと思いたい」との事ですが、文在寅大統領のこれまでの対日米北に対する反応は、常に幼児か異常者の反応でした。🐧
    私は今回も韓国政府の平壌運転を期待しますニダ。🐧

    • ハゲ親父さま
      幼稚で異常、堪え性が無く利己的で、その上入れ歯。
      これくらいで、良いニカ?

  • >韓国政府の今回の行動は「軽率である」としか言い様がありません。

    韓国政府の行動をみてると、あたしも「お馬鹿さん」って感想になるのですが、本当にお馬鹿な人が一国の政権を得られるものなのでしょうか?

    産業の日本依存からの脱却とか、もっと先の北朝鮮との平和的な統合(北による南の吸収)にむけて、状況に応じた適切な手を打ってきてるように思うのです♪

    経済合理性を超えた大きな目標にむけて、ときには北からの罵倒に耐え、着実に国家運営をしている、極めて有能な政権のような気がするのです♪

    それは、これ以上南の面倒をみたくない日本にとっても、望ましい方向性に思えるのです♪
    (*ノ´□`)ノガンバレェェェェ

    • 自己レスなのです♪

      韓国政府には、航空会社の倒産とかでヘタレないように、国内旅行の奨励というか義務化?とかして、航空会社を助けてあげて欲しいのです♪

      • より一層のウイルスの蔓延を狙っていますね。

        さすが七味さま、辛い

        • リャンピ様

          >より一層のウイルスの蔓延を狙っていますね。

          そんなことは思ってもいなかったのです〣( ºΔº )〣ガーン
          韓国はちゃんと検査して封じ込めてるそうだから、きっと大丈夫なのです♪
          もしだめだっても、韓国内で閉じてる分には問題ないのです (*^ー゚)b クッ゙

    • 七味さま

      >航空会社の倒産とかでヘタレないように、国内旅行を奨励

      彼ら旅行先あんまし恵まれていない。

      ノーチャイナ・ノーコリアが達成されてかつての閑寂平静を取り戻した瑞穂國の麗しい観光地を振興するため国内産業各界の包括的な取り組みが望まれます。国土が南北に長くて風土四季にバリエーションがあってホントウによかったよかった。取り返しのつかない結果を導いた観光庁すみやかに解体すべしの意見、当方決して取り下げるつもりはありません。

      • はにわファクトリー様

        >彼ら旅行先あんまし恵まれていない。
        だからこその義務化なのです♪
        日帰りでも何でも、年に一度韓国内を国内便で往復するだけで良いのです♪
        それだけで、国内線年間5000万人の往復客が確保できるのです♪内需拡大のチャンスなのです♪

  • 個人的には韓国のこの措置は賛成です。
    いずれ武漢肺炎は収束するでしょうが、日本政府はこれを機に「政府の独自調査では韓国からはまだまだウイルスが消えない!」「韓国政府は隠してるだけ!」などと難癖をつけ、縁切り出来る機会だからですw
    何よりこれを報復と捉えてる韓国は、先に措置解除が出来る訳ありません。
    かの国はそこまで「大人」じゃないw
    日本政府は相手が解除するまで動かなければいいだけ。
    詰み、ですな。
    ま、やらないだろうなぁwww

  • 新宿会計士様、おはようございます。外交相互主義!いいですねぇ…韓国が無条件でビザ免除復活して来るとは思えず会計士様が懸念?されるように必ずや付帯条件を突き付けてくるような気がします。そして日本が得をすることの無い付帯条件のせいで両国間のビザ免除復活は韓国が付帯条件を無条件で取り下げるまで復活しないということで誠に喜ばしい限りです。3月9日だけに「サンキュー韓国記念日」となりましたね。

  • おはようございます。
    たとえ、日本政府が『4月1日以降、韓国国民に対するビザ免除措置を復活させる』と発表したとしても、韓国政府がそれに応じることはあり得ない、と自分は考えています。
    最低限、4月15日まで応じることは考えられません。

    朴槿恵弾劾においては、動労千葉を始めとして、動労西日本、JR総連など多くの日本の団体がロウソクデモにかけつけました。ビザ免除停止措置がなければ、これらの団体幹部が4月15日の韓国総選挙に応援に駆けつけることになっていたでしょう。
    これと同じ事情は、保守派側にもあります。
    曺国辞任を要求する保守派のデモに、日本のありとあらゆる各界から目立たないように応援に駆けつけたように、総選挙に対して応援に駆けつけることが目に見えています。青瓦台の究極の目的には、日本からのこれらの動きを封じることが含まれていると予想しています。
    左派も日本からの応援が得られなくなりますが、それは保守派も同様にダメージを受けることです。

    韓国の左派は保守派に対して、『親日派』『土着倭冦』とレッテルを貼り、保守派と日本の親韓派のつながりに目を尖らせています。
    4月15日まで、こうした日本からの不確定要素を排除したい青瓦台の思惑は本物でしょう。

  • 脊髄反射的に目の前の地雷を踏んでくれるので、ある意味仕事が楽です。
    他の韓国に対して入国制限掛けている国から見たら、自国の判断が正しくかつ韓国が異常である事が明確になりますので。

    とりあえず日本は、韓国でのコロナウイルス感染者の状況と他の入国制限を掛けた国の状況を見ながらじっくり延長判断を出せば宜しいですね。

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