対照的過ぎるボルトン氏と文在寅氏の対北朝鮮認識

個人的な愛読紙(?)である『中央日報』(日本語版)のサイトが本日、リニューアルされたようです。そこで、本稿では2本ほど記事を厳選(?)したうえで、ジョン・ボルトン前米大統領補佐官と文在寅韓国大統領のあまりにも対照的過ぎる対北朝鮮を巡って、「ご祝儀的ツッコミ」を加えておきたいと思います(といっても2本目の記事はあまりにもバカらしくて本文の引用すらしていませんが…笑)。

中央日報さん、リニューアルおめでとうございます

韓国メディア『中央日報』(日本語版)は、個人的な愛読紙(?)です。その理由は

  • ①過去記事を含め、すべての記事が無料で読めること
  • ②読者コメント欄が付いていてリアルタイムで他の読者の反応を知ることができること
  • ③韓国社会の考え方や雰囲気を直接に知ることができること

にあります。

もちろん、中央日報も数ある韓国メディアの1社に過ぎませんので、中央日報に掲載された記事がそのまま韓国社会の雰囲気を正確に示しているというものではないという点に注意は必要ですが、それでも、何かと便利なメディアであることは間違いありません。

こうしたなか、『中央日報』のウェブサイトを開けてみて気付いたのですが、本日から同サイトがリニューアルされたようです(といっても、「最新記事一覧」や「読者コメント」、「記事の感想」など、以前からの機能は引き継がれており、サイトの使い方が抜本的に変わったということではなさそうですが…)。

いずれにせよ、中央日報さんには引き続き、「韓国ならでは」の情報をありのままの姿でたくさん発信していただきたいという気持ちでいっぱいです。

ボルトン氏の発言に共感

さて、リニューアル後の中央日報には、政治、経済、金融などの観点から、本日も紹介したい(あるいはツッコミを入れたい)記事が山ほど掲載されているのですが、本稿ではこのうち安保に関する記事に絞って2つほど取り上げておきます。

まずはこちらの記事です。

ボルトン氏「金正恩は絶対に核放棄しない…制裁解けば核開発・拡散」(2019.10.01 07:57付 中央日報日本語版より)

ジョン・ボルトン前大統領補佐官といえば、「核武装の専門家」としても知られていますが、先月、ドナルド・J・トランプ米大統領によって解任されてしまった人物でもあります(『トランプ大統領がボルトン氏を解任 北朝鮮問題は?』参照)。

トランプ大統領がボルトン氏を解任 北朝鮮問題は?

そのボルトン氏が中央日報と米国戦略国際問題研究所(CSIS)の共催イベントの基調講演で、

  • 金正恩は核放棄という戦略的決定を下したことがなく、絶対に自発的に核兵器を放棄しない
  • 北朝鮮が(非核化)措置を一部行うなら制裁の部分的な緩和も可能だという主張は、北朝鮮の生存戦略だけでなく核拡散を助けるものだ
  • 時間は北朝鮮の味方であり、北朝鮮を止めることができる唯一の存在である米国が『急ぐ必要はない』といえば、北朝鮮には核拡散のための時間を稼いでやっていることになる

などと述べたのだそうです。つまり、

北朝鮮向けの制裁を一部緩和すれば核開発を継続するだけでなく拡散もする

という意味では、何がなんでも(最悪の場合、軍事オプションを行使してでも)北朝鮮に核開発をやめさせなければならない、ということです。非常に重みと説得力のある発言ですね。

一方、中央ホールディングスの洪錫炫(こう・しゃくげん)会長は

  • 韓米間の防衛費分担と戦時作戦権の転換、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)問題についても緊密に議論しながらも、同盟を強化していくという観点を失ってはいけない
  • 北東アジアの平和繁栄の最も重要な軸は韓国と日本の協力
  • 米国が韓日米3者協力強化のために積極的に乗り出すべきで、公正かつ適切な役割を繰り返し要請したい

などと述べたそうですが、この発言についてはもはや論評する価値は一切ありませんので、ここではスルーしたいと思います。

文在寅氏の凄い発言

「中央日報リニューアル記念」(?)として、もう1つ、こんな記事も紹介しておきます。

文大統領「DMZに国際的経済特区」造成…平和経済時代を切り開く」(2019.10.01 08:59付 中央日報日本語版より)

といっても、あまりにも発想がぶっ飛んでいるので、記事の内容については紹介しません。

「はぁ、そうですか」としか言い様がないからです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

北朝鮮の核開発問題が深刻化するなかで、文在寅(ぶん・ざいいん)大統領を筆頭に、現在の韓国の政府、社会有識者らの発想を眺めていると、本当に危機感のない国だと思わざるを得ません。

「日韓友好が大事だ」と述べる人がいることは理解しているのですが、「そもそも韓国との友好関係を続けることで、北朝鮮の核武装組織に役立つのか」という点については、日本にとっても深く認識しなければならないポイントではないかと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. だんな より:

    北朝鮮に対しての認識は、ボルトン氏の話が、正しいと思います。
    日韓関係の改善と、北朝鮮の非核化に関しては、一切関連性がありませんので、解決にも当然関係ありません。一番の理由は、韓国は既に非核化を、北朝鮮へ要求していません。
    DMZの話は、バカらしすぎますが、多数の地雷が埋まっているので、それを国際社会のお金に頼って、処理してもらおうとする「乞食外交」じゃないですかね。南北が分断されたのは、米ソに代表される国際社会のせいニダ。責任を取って、原状復帰に協力するニダ。ですかね。

  2. 気分は信長公の家臣 より:

    地雷は両国敷設分で合計207万個程度らしい。
    その数ならパスダラン兵さんみたいにそのままDMZに行進しても、両国の人口から考えたら人に頼らなくても片付きますよ。

  3. 一国民 より:

    文在寅の発想は、鳩ぽっぽ氏のそれに近いと思います。

    北は、ボルトン氏が指摘したように押さえつけておかないと、手に負えなくなって大変なことになります。普通の国ではないのですから
    手綱を緩めてしまった結果、彼らに対処不能な先端兵器技術等獲得の時間的余裕を与えたことは、将来に大きな禍根を残すことになるでしょう。
    そもそも核の保有を許してしまったこと自体、もはや取り返しのつかないことです。

    我々若しくは次の世代が、おびえて暮らすようなことにならなければよいと願うばかりです。

  4. 引きこもり中年 より:

     独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     アメリカのトランプ大統領は自身の再選、韓国の文大統領は「「自身の
    信じている」ことに現実を合わせること」にしか、興味がないのではない
    でしょうか。(韓国の文大統領は、南北国家統一を夢見ているようですが
    どなたか、吸収合併以外の国家統一で、上手くいった例があれば、お教え
    てください)

     駄文にて失礼しました。

  5. gommer より:

    DMZの件は地雷撤去を他国の金で行うと言うような生易しいモノではなく、DMZ維持監視の撤去に代えて国際機関や他国からの投資を人質として差し出すという、恥知らずで身勝手な願望です。
    こんなのに乗るバカな国があるとしたら、有事の際には心置きなく生贄になれば良いでしょう。

  6. クロワッサン より:

    >「そもそも韓国との友好関係を続けることで、北朝鮮の核武装組織に役立つのか」

    「そもそも韓国との友好関係を続けることで、北朝鮮の核武装阻止に役立つのか」ですよね?

  7. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    単純な私なんで、やっぱりボルトン氏の発言や考え方、行動は対北強硬派らしく、支持します。トランプ大統領は、ビジネスライク過ぎるきらいがある。

    リビアの件とか頭によぎるんだろうが、所詮極東の貧民国と世界的影響力皆無の南朝鮮の話。いつまで米国が面倒みらねばならないか!ではないですか。

    あと関連する国として自由民主主義側が日本、共産党国家の中国。出来れば血を見たくない、金もかけたくない。2位と3位で適当に消耗してくれ、が本音(多少は日本頑張れッか)。

    ボルトンし曰く、【金正恩は核放棄という戦略的決定を下したことがなく、絶対に自発的に核兵器を放棄しない。北朝鮮が措置を一部行うなら制裁の部分的な緩和も可能だという主張は、北朝鮮の生存だけでなく核拡散を助けるものだ。時間は北朝鮮の味方である】。

    そうなんです。「急ぐ必要は無い」とトランプ大統領は言いますが、急がねば金正恩は更にチカラを蓄えるか、生き延びます。米国単独+後方態勢日本でもやるべき。ま、しないでしょうな。ガックリ。

    1. 引きこもり中年 より:

       独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

       北朝鮮政策で、(トランプ大統領に解任された)ボルトン氏の発言が正
      しいと証明された場合、トランプ大統領が「恥をかかされた」として逆ギ
      レの逆恨みをする可能性はないのでしょうか。(もっとも、トランプ大統
      領にとっては、自身が再選されて、再選の任期が終わるまで、自身の北朝
      鮮政策が失敗したと証明されなければ、構わないと考えている可能性もあ
      りますが)

       駄文にて失礼しました。

      1. かばさん より:

        仰る通り正義は今トランプ大統領にあります。
        核兵器の放棄を話し合いで解決しようと努力している訳ですから。
        金正恩がトランプ大統領の譲歩を誤解して高圧的な態度に出た時に危機は訪れると思っています。
        「譲歩するのは相手に負い目があるからだ。」という朝鮮人特有の思考回路が多分重大な結果を招く事になると予想しています。

  8. 墺を見倣え より:

    文在寅は、表では「朝鮮半島非核化」ですが、本音は、「統一朝鮮で民族の核」ですから、ボルトン氏と「対照的」という程のものでしょうか。

    ボルトン氏;「金正恩は絶対に核放棄しない。」
    文在寅本音:「金正恩に絶対に核放棄させない。」

    「しない」と「させない」が「対照的」だというのはアリかも知れない。

    統一して、民族の核を日本向け攻撃に使う(脅しだけなのか、実際に発射する気かは判らないけど)のが、文在寅の夢なんですから。

  9. 名無Uさん より:

    自分の思考はジョン・ボルトン氏に近いなぁ、と常々思っていました。
    イランに対する彼の敵がい心は、頭では理解できますが、感情がついていかない。しかし対北朝鮮ならばボルトン氏に共感すること大でありました。
    北朝鮮から『人間のクズ』と罵られたことは、彼の最大の勲章でしょう。その彼がホワイトハウスから去ったことはあまりに痛い。
    さすがに落ち込みましたよ…
    おかげで暗黒面が増大し、数年前から頭にあった核攻撃の妄想が全開になりました…
    後悔はしていません。最悪の状況を想定して、何とかお伝えしたいという想いがありました…

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