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韓国に対する「セルフ経済制裁」がこれから本格化?

当ウェブサイトではこれまで、ときどき、「韓国に対する経済制裁」について検討して来たのですが、意外と早く韓国は経済的苦境に陥るのではないかと思えるようになってきました。それは、「セルフ経済制裁」、つまり韓国自身が大騒ぎすることで、諸外国から「あれ?韓国は日本からの経済制裁で苦しんでいるの?」という誤解を与え、結果的に韓国製品が売れなくなり、外国金融機関が韓国からおカネを貸し剥がす、という「マイナスの効果」が生じる、という可能性です(ちなみに本稿では、米国が一部の韓国人のビザなし入国を認めなくなった、という話題についても紹介しておきます)。

ほんの一瞬、ランキング1位に

最初に少しだけ、本論と関係のない話をさせてください。

当ウェブサイトは「韓国専門サイト」ではないつもりですが、最近、どうしても話題が偏ってしまっています(この点については、どうしても多くの読者が日韓関係の急速な悪化を懸念しているという事情があるため、どうかご理解を賜りたく存じます)。

こうしたなか、当ウェブサイトは「にほんブログ村」の「ページビュー(PV)ランキング」で、昨日、ほんの一瞬だけですが、1位を頂きました。

当ウェブサイトはあくまでも「読んで下さった方々の知的好奇心を刺激すること」を目的に運営していて、「アクセス数稼ぎ」を狙って運営しているものではありませんが、それでもほんの一時的とはいえ、「ブログ村PV数ランキング」で1位を頂いたのは、素直に嬉しい話だと思います。

読者の皆さまには感謝の言葉しかありません。

相次ぐセルフ経済制裁

「売れるものなら売ってみれば?」

さて、そんな話題はどうでも良いとして、重要なのは、本論です。本稿ではアラカルト的に目についたニュースを紹介していきたいと思うのですが、最初の話題はこちらです。

日本企業の資産差し押さえ決定文 外務省が韓国側に返送=徴用訴訟 (2019.08.06 18:10付 聯合ニュース日本語版より)

まずは軽いジャブから。

韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)によると、韓国大法院(※最高裁に相当)に所属する「法院行政処」が今年1月25日に新日鐵住金(現・日本製鉄)に送達するように求めて発送した「海外送達要請書」を、日本の外務省が先月19日に返送していたことが明らかになったそうです。

実際に韓国・法院行政処がこれを受領したのは7月25日だそうですが、返送書類には返送の理由が一切記載されていなかった、などとしています。

「外交事なかれ主義」の外務省とは思えないほど素晴らしい対応だと思います。

日本政府の立場は、そもそも論として昨年10月30日の大法院判決自体が国際法違反である、とするものですので、こうした返送手続自体、「国際法違反の状態を作り出した韓国に非がある」ということを日本政府として態度で伝える、という意味があります。

日本製鉄が保有する合弁会社株式は韓国側で差し押さえられたままの状態ですが、韓国側で、売却したければ売却すれば良いと思いますが、売却が実現した場合には、おそらく日本政府はただちに何らかの対抗措置を講じることでしょう。その意味では、これこそまさにセルフ経済制裁ではないかと思います。

もっとも、そもそも論として、『時間もカネもかかる 非上場株式の競売が困難である理由』などでも詳述したとおり、非上場株式の売却処分は非常に困難です。

おそらく今回の措置も、韓国の日本に対するブラフの一種と見るのが正解ではないかと思います。

日本への旅行制限を検討?

さて、連日、韓国政府関係者は日本に対する敵意をむき出しにした発言をくりかえしており、数日前には文在寅(ぶん・ざいいん)大統領自身が南北協力して日本に対抗する、といった趣旨の発言をしてしまったほどです(『思わず「ホンネ」がポロリ?南北平和経済という発言』参照)。

こうした発言と並び、なかなか興味深いのが、次の記事です。

日本への旅行制限も検討 韓国外交部(2019.08.06 16:08付 聯合ニュース日本語版より)

聯合ニュースによると、韓国外交部の報道官は6日の定例会見で「旅行警報関連措置も検討していく」と述べたのだとか。

「日本への旅行制限」とは、なかなか凄い発想です。

これ自体、与党「ともに民主党」の「日本経済侵略対策特別委員会」(?)が同日、外交部に対し、「放射性物質の検出などで国民の安全を脅かす恐れがある」などとして、「日本への旅行を制限する措置を検討するよう要請した」ことを受けた発言だとしていますが、久しぶりに驚きました。

日本から韓国への経済制裁の類型としては、「韓国から日本へのヒトの流れを制限すること」などが含まれていますが、まさか先方からそれを言い出すとは思わなかったからです。

もちろん、韓国政府がどうやって自国民の日本への渡航を制限するつもりかは存じ上げません。一般的に自国政府が自国民に対し、特定国に渡航しないよう命令することは難しく、仮に韓国政府が韓国国民に対して「渡航延期勧告」のようなものを出しても、そんなものに意味はないからです。

ただ、韓国政府側が自国民に対し、日本に行かないように勧告すれば、日本としても韓国国民に対する観光ビザ免除措置を厳格化することは、心理的に容易になるような気がしてなりません。その意味では、これも立派な「セルフ経済制裁」なのかもしれません。

米国が「ヒトの流れの制限」に動いた!

ところで、「自国民に対して特定国に渡航しないように求める」ことは非常に難しいのですが、逆に、「特定国から自国に入国するのを阻止する」ことは、意外と簡単です。

その意味で、なかなか興味深い記事を発見しました。

11年以降の訪朝者にビザ取得義務付け サムスントップなども対象=米政府(2019.08.06 17:37付 聯合ニュース日本語版より)

聯合ニュースによると、米国政府は5日、2011年3月1日以降に北朝鮮を訪問したことがある人に対し、電子渡航認証システム(ESTA)によるビザなし入国を認めず、ビザ取得を義務付けると韓国側に通知したそうです。聯合ニュースはこれについて、

ESTAはビザ免除プログラム(VWP)に参加する韓国や日本など38カ国・地域の国民に対し、90日以内の観光や商用目的でのビザなし訪米を可能にする制度。ESTAのホームページで個人情報や旅行情報を入力し、米国の承認を得る形に入国手続きを簡素化している

としつつも、訪朝経験のある人が訪米する場合はビザ取得が義務付けられることとなり、具体的には「オンラインで関連書類を提出し、米国大使館に出向いて英語で面接を受ける必要」が出て来るのだとか(ただし、公務のために訪朝した公務員は対象外とのこと)。

聯合ニュースによれば、この措置の対象になる韓国人が約3.7万人に達し、このなかには昨年9月の南北首脳会談にあわせて平壌(へいじょう)を訪問したサムスングループの李在鎔(り・ざいよう)サムスン電子副会長も含まれているのだそうです。

米国がこのような措置を講じてくれたのであれば、日本も類似する措置を講じるためのハードルもグンと下がることは間違いないでしょう。

韓国側が騒ぐほど…

さて、ここから先は、普段の韓国メディアの報道を眺めていて感じることを申し上げたいと思います。

日本の経産省が7月1日に『韓国向け輸出管理の運用の見直し』を発表して以来、連日のように韓国政府は日本の措置を批判していますし、WTO一般理事会やARF、RCEP閣僚会議などの場で、明らかに場違いな批判を繰り返しています。

さらには、日本政府が8月2日に「ホワイト国除外」の政令改正を閣議決定して以降は、日韓包括軍事情報保護協定(日韓GSOMIA)の破棄をチラつかせている状態です(『「日韓GSOMIA破棄検討」?それカードやない、地雷や!』参照)。

こうした韓国側の過剰ともいえる反応は、韓国が諸外国に対し、「韓国に対する日本の措置の不当性」を訴え、このことによって日本を国際社会で「悪者」にする、という狙いがあることは間違いありません。

ただ、それと同時に最近、韓国が大騒ぎすればするほど、却って「今回の日本の措置により、韓国の産業は壊滅的な打撃を受ける」と世界各国が認識することにつながる、という副作用があるように思えてならないのです。

たとえば、韓国にとっては半導体産業が「虎の子」のようなものですが、韓国企業から半導体の供給を受けている全世界の企業にとっては、「日本がフッ酸などの『禁輸措置』を講じた」、「いずれ韓国では半導体の生産が停止してしまう」、といった印象を与えてしまいかねません。

もちろん、日本の措置は「禁輸」でも「対抗措置」でもなく、あくまで単なる「輸出管理の運用の変更」に過ぎないのですが、韓国側が「経済制裁だ」「対抗措置だ」と大騒ぎしていて、諸外国のメディアは韓国の主張を大きく取り上げているため、結果的に「韓国経済の苦境」が全世界に印象付けられているのです。

現在のところ、韓国の通貨・ウォンは1ドル=1210ウォン前後で取引されているようですが、今後の韓国の「騒ぎ方」次第では、それこそ外国企業が韓国から半導体を買わなくなる可能性もありますし、全世界の銀行が韓国からおカネを貸し剥がすかもしれません。

もちろん、韓国が大騒ぎして日本の風評を不当に貶めていることについては留意しなければなりませんが、それと同時に韓国が大騒ぎすること自体、結果的に自分で自分のクビを絞めているという側面があることは否定できません。

そして、こうした状況が、結果的に韓国に対し、「セルフ経済制裁」という弊害を徐々にもたらし始めているのではないかと思えてならない今日この頃なのです。

新宿会計士:

View Comments (26)

  • 日本の措置が、禁輸でも輸出制限でもなく、単に書類が若干増えますよ(実際に書くのは、輸出側である日本企業だが)というだけの事なのに、文在寅が「経済戦争だ、危機だ!」と叫ぶという事は、諸外国から見れば、「韓国は書類に書く情報も出せない位、真っ黒な事をこれ迄して来たのか?」(他に考えられない)という事になります。大統領がこんだけ空騒ぎしているのですから、株価や通貨が下がって当然でしょう。

    文在寅の頭では、経済戦争だ、危機だ!」と叫ぶ事と、「金融市場に衝撃はないはずだ。」と自信を見せる事が矛盾している事すら理解できない様だ。

    朝鮮日報によると、「外国人と個人がそれぞれ3142億ウォン、4436億ウォンを売り越した。」と報じてますので、外国人より韓国人の方が売りに熱心な事が判ります。鈴置氏が仰る通りですね。

    韓国の若者が日本に就職するのを妨害し始めました。この様に日本が採るべきい措置を次々先取りしてくれるのは、本当に有難い事です。

    韓国人旅行者は、中国人所後者の何分の1かしか金を落とさないので、オーバーツーリズムに悩む我国としては、韓国人旅行者の代わりに他国の旅行者を入れた方が、遥かに旅行収支に貢献する。

    また、中国が台湾への旅行を制限し始めたので、我国が、韓国へ向かう旅行者を台湾に振り向けた方が、国際貢献になるのではなかろうか。

  • おはようございます。
    1位おめでとうございます。
    ブログ主さんの努力もさることながら、一番の功労者は絶え間なくネタを提供してくれる文在寅政権、でしょうね。
    フッ化水素はじめ3品目については横流し、ホワイト国待遇除外については事務方の怠慢というか無能が原因、という自覚が多少はあるのでしょうか。
    もしあるのだとすれば、一連のこの空騒ぎは国民からの非難をそらすための論点ズラし、ただひとえに政権の保身のためだけですが、それも裏目でしかないというバカさ加減。
    ホワイト国待遇というものが、戦後から国交正常化して以来の長年の外交努力の積み重ねのたまもの、なのに。
    失う時は一瞬、ですね。

  • ランキング一位おめでとうございます。

    こちらの記事は良質でありいろいろ考えさせられる内容で注目させていただいております。
    猛暑日が続きますので会計士様どうぞご自愛頂きますよう。

    昭和から平成への移行では冷戦終了、ソビエト連邦やワルシャワ体制の崩壊、天安門事件などいろいろな変化がありました。
    平成から令和への移行では是非与太情報を根拠とした情報操作による日本へのヘイトとこれに便乗して優遇制度を独占して悪用していた特定アジアへのへんてこ「優遇政策」を全て終了してほしいと考えております。
    偏った歪んだ優遇政策は結局不幸な結果した生み出しません。

    日本の持つ潜在力、基礎科学力、生産財などの高度素材、金融力などをもう少し国内向けに活用して内需をもっと盛り上げて欲しいところです。ホントは爆上げ期待!
    それでもまだあり余りますので価値観を共有できるまっとうな国家群を支援強化することで世界経済の健全化と安定化を推し進めて頂きたい。

    ここは潮目の切り替わりなので油断せず賢く着実にということですかね。

  • 渡航注意情報の2段階目以上が発令された地域には、
    旅行代理店は「団体ツアー」を組織しません。
    この点、恐ろしいほどに横並びの業界です。

    リスクが大き過ぎることを知っているからです。
    (リスクには、国内での批判に晒されるリスクも含みます)

  • 1位おめでとうございます。
    毎日、興味深く拝見しています。

    お隣のことは今、日本人が一番気になることですし、
    今までのテレビや新聞での報道から目を覚まさせていただき、感謝しています。

    これからも期待しています。

  • 更新ありがとうございます。

    日本がいつやろうか、と思案してたビザ免除プログラムの縮小を、まー、わざわざ韓国からやってくれそうで、本当に短気は損気でんなあ(笑)。どうぞ、やっておくれやす(爆笑)。日本人はいいけど、愚民の韓国でそれが出来ますか?

    昨年来日客が750万人。たったひとり7万円しか落とさない貧客で、ズルして滞在オーバー、売春行為、密売組織、暴力組織に残るより、ずっとマシです。

    また米国は2011年以後北朝鮮に渡った者を拘束する!違う、大使館に事前に行けと。良い取り組みです。日本にも大企業役員の親北派、焼肉、パチンコオーナー、居酒屋飲食店店主、在日朝鮮人・韓国人、競馬馬主、芸能人などいっぱいいます。

    あ、朝日新聞や毎日新聞、アカハタ記者らもか?(笑)。米国では面談でアウト、日本でも海外渡航に厳重な審査90日を与えましょう。

    • めがねのおやじ殿

      ESTA利用不可なら、
      アントニオ猪木はアメリカに行きにくくなるでしょう。
      左翼国会議員にもたくさんいそうですが、日米韓の国会議員親睦会が毎年米国で開催なら参加者はシロ判定ですね。

      鳩山は2011年以降は訪朝してないみたいですがどうでしょう。
       http://www1.dpj.or.jp/news/?num=3358

      こいつは今日も国益を損なう行いをしてます。

  • ランニング一位おめでとうございます。
    セルフ経済制裁で会計士さんが、危惧している事を考えると「セルフ風評被害」ではないかと、思いました。
    元々は、韓国らしく自らが、被害者であると大騒ぎしているのですが、周りがそれを見て、韓国が被害を受けるから、経済が悪化すると思ってしまうという事ですよね。
    マーケットは、心理が支配しますので、実態ではなく風評で動く事が多いのも、事実だと思います。
    まあ、「日本が悪いニダを」大声で叫ぶ事が、風評被害より優先順位が、はるかに高いのは事実だと思います。
    そこまで、頭が回らない国民性なんでしょうね。

  • 一位おめでとうございます。
    日本は北朝鮮だけでなく、竹島渡航者も入国審査厳格化でよいですね。
    公務じゃなかったので、ぶん大統領も該当しますけど、

  • 一位おめでとうございます。
    韓国は見てる分には本当に面白い国だなと改めて思います。

    今後の展開ですが、

     1.韓国が光復節挟んでヒートアップ
     2.GSOMIA破棄で米国激怒
     3.通貨危機が進み、9月末の外債償還できずアポン
     4.その後しれっと「審査終了しました」と
       フッ化水素輸出再開。   

    だったら大笑い。

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