パブリックコメントのルールを確認する
今月、「パブリックコメント」という行政上の仕組みに注目が集まりました。これは、政府が政令や省令などを定めようとするときに、事前に広く一般国民から意見を募集する仕組みのことです。たとえば、現在だとNHKのネット同時配信に関するパブコメが本日まで募集されていますし、少し前だと『輸出貿易管理令』という政令について、韓国を「ホワイト国」から削除するための改正の意見募集が行われていました。私たちは日本の主権者として、こうしたパブコメの仕組みをうまく活用し、政府に意見を届けてみたいものです。
パブリックコメント(パブコメ)とは?
パブリックコメントという制度があります。
『電子政府の総合窓口』の説明によると、これは政令や省令などを定めようとするときに、事前に広く一般国民から意見を募ることで、行政運営の公正さと透明性を確保するための手続だとされています。
もっとも、国民は「意見を出す」ことはできますが、最終的に政省令を定めるのは行政官庁の権限ですので、結果的に国民の意見が無視されることもあります。
とくに、金融庁が公表する金融規制関係のパブコメは酷く、金融庁はさまざまな意見を無視して強引に告示を定めることもあるため、正直、パブコメによって行政運営の公正さと透明性が確保されているとは言い難い分野もあると思います。
ただ、いちおう、国民が直接、政府に対して意見を伝える制度がある、という点については、知っておいて損はないでしょう。
参考:パブコメの概要(※クリックで拡大)
(【出所】『電子政府の総合窓口』)
「法律」はパブコメの対象外
ところで、よく勘違いされるのですが、「法律」はパブコメの対象となりません。対象となるのは、あくまでも「政令」以下のルールに限られます。
いちおう、ざっくりと日本の法令について確認しておきましょう。
まず、あらゆる法令の最上位にあるのは、憲法です。
憲法を改廃するためには、衆参両院でそれぞれ3分の2以上の賛成を得て国会が発議し、それを国民に提案して過半数の承認を得る必要があります(憲法第96条第1項)。その意味で、憲法を改正するためのハードルはとても高いといえます。
次に、憲法の下にあるのが法律です。法律が成立するためには国会が可決しなければなりません(憲法第59条第1項)。さらに、憲法や法律の下にあるのが政令で、これは内閣の閣議で決める必要があり、また、法律に規定がないのに勝手に罰則を設けることはできません(憲法第73条第6号)。
そして、憲法、法律、政令のさらに下位にあるのが内閣府令、省令などで、これは各府省の大臣が管轄する業務について制定する命令のことです。
当たり前の話ですが、法律の改正は行政府である内閣が決めることができません。これは国会の役割です(※もっとも、財務省は政治家に対し、隠然たる影響力を行使して国会で消費増税をゴリ押しする実質的な政治力を有していますが、この点については別の問題です)。
パブコメは結果が公表される
さて、このパブコメについては、基本的にはその結果が公表されます。
ただし、一般国民からよせられたすべてのコメントに答えが付されるわけではありません。私自身もよくパブコメに応募するのですが、意見によっては平気で無視されることもありますし、また、けんもほろろの対応をされることもあります。
しかし、主要なコメントについては、基本的に内容がすべて公表されますし、それについて官庁としての考え方も付記されます。
たとえば、『「自己資本比率規制(第1の柱・第3の柱)に関する告示の一部改正(案)」」に対するパブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方』というファイルを見てみると、「該当箇所」、「コメントの概要」、「金融庁の考え方」、という欄にわかれて公表されていることがわかります。
その意味で、私たちがパブコメを公表すれば、それについては後日、内容を確認することができるのです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
いずれにせよ、私たち日本国民は、日本の有権者であり、主権者です。
いわば、日本という国の「主人公」であり、公務員は主権者である私たちのために働く公僕であり、官僚が日本を支配しているのではありません。この点を勘違いしないようにしなければなりません。
選挙で必ず投票することが必要であることは当然のことですが、それだけではなく、パブコメなどの仕組みを通じて、積極的に意見を発信していくべきではないかと思うのです。
事前の報道によれば、8月2日には政令である「輸出貿易管理令」の改正が閣議決定されるのではないかとの見方があるようですが、その場合は、パブコメの結果についても前後して同時に公表されるはずなので、注目したいところです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
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日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
意見を出すのは大切だと思うのです 意見に対する回答って1往復だけであっても
、担当にとっての気付きがあることがあるのです
賛否の数も世間の関心の目安になるのです ただ、そこばかりが注目されてしまうのは、なんか違うと思うのです
普通、意見を出すのは、関連する企業がほとんどだろうから、数十件程度な訳だが、会社を代表していることを考えると、大手多数なら、数万人数十万人の代表意見とも言える
輸出貿易管理令の件、反対少数とはいえ、内訳が大企業多数だったら、まだわからんぞ
貴記事を読むまで「改正放送法の施行に向けたNHK関係の省令等の整備についての意見募集」が為されていることを知りませんでした。
早速、意見提出しましたが、貴記事のような情報発信が重要だと痛感します。
〔提出意見〕
提出内容
受付番号
201907310000627520
提出日時
2019年07月31日08時34分
案件番号
145209349
案件名
改正放送法の施行に向けたNHK関係の省令等の整備についての意見募集
所管府省・部局名等
総務省 情報流通行政局 放送政策課 電話:03-5253-5381 FAX:03-5253-5779
意見・情報受付開始日
2019年07月02日
意見・情報受付締切日
2019年07月31日
郵便番号
住所
氏名
連絡先電話番号
連絡先メールアドレス
提出意見
NHKは国民の敵。
NHKのネット同時配信は以ての外。
反日捏造虚報情宣を為す組織は即刻解体すべきっ!
https://iwiz-chie.c.yimg.jp/im_sigg83nYjna80jFZJD.u_wGlbA—x320-y320-exp5m-n1/d/iwiz-chie/que-13211325683
文中に
>事前に広く一般国民から意見を募る
とありますが、リンク元を見ると
>事前に、広く一般から意見を募り
国民であるという要項は含まれておりません。
これは、まあ常識的に考えると法人格なども含めた場合に個人の属性である「国民」などを含めるのは不適切だったと考えるべきなのかもしれませんが、まさか外国の政府が日本国内の政令以下の内政にコメントを寄せるとはさすがに電子政府もニダ笑いするしかないでしょう。
ふつうそれは国際的には「内政干渉」と呼びます。
NHKに受信料を取られるのが嫌で、地上デジタル放送に切り替わった時にテレビは捨てた。新聞はもっと早くやめた。
ネット配信するようにして、パソコン、スマホ、カーナビまで受信料取られるようになるらしいと聞いて、NHK関係の省令等の整備に関するパブリックコメントに是非意見を言いたい、と思ったが、新旧対象表を見ても概要を読んでもどの部分にどう意見を言えばよいのかわからない。
意見くらい普通の言葉で言えるようにできないものか。
タラ 様
コメント大変ありがとうございます。
別に専門用語満載のPDFファイルをすべて読む必要はありません。そもそもパブコメとは「政令や省令等を決めようとする際に、あらかじめその案を公表し、広く国民の皆様から意見、情報を募集する手続」のことですので、一般国民が普通の言葉で意見を述べる分にはまったく問題ないからです。
そもそも一般国民に分かり辛い形でコメントを募集している官庁の側に問題がありますので、官庁の土俵に乗っかる必要はありません。どうぞ自身の言葉で意見を政府に伝えてあげてください。
引き続き当ウェブサイトのご愛読とお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
タラ様
率直に思ったのですが、ここに書かれたコメントの趣旨をそのまま提出してはいかがでしょうか。
個人的には、「テレビを捨ててまで受信料を取られないようにしたのに」という話は非常に説得力があると思います。
はじめてコメントいたします。
私もこちらのブログのおかげでこのパブコメに意見を投稿いたしました。ありがとうございます。
ホワイト国除外の件ではじめてパブコメを書いたのですが、あの時は単に賛成である事その理由を勢いに任せて書けたのですが、今回のNHKの件は私もどう書いていいやら…数日悩みました。省令って言われても…正しく理解できてないのに意見なんて…そもそも受信料を払いたくないだけだしなあ…笑
で、結局私も「受信料を払いたくなくてテレビを処分したのに、今度はスマホを持ってるだけ・ネット環境があるだけで契約義務が発生するなんて」と書きました。(ついでに関係ないけどNHKの文句も少し…笑)
細かいとこ間違ってたとしても私の意見はこうなんですって開き直って、子供でもわかるような言葉だけで投稿しました。
そうできたのも、普段からのNHKへの不満もあったのですが、こちらのようなブログでのみなさんのご意見やコメント、後押しがあったからだと思います。重ねてありがとうございますと言わせてください。
こういうの、難しい言葉の羅列で一般人には敷居が高く感じられますよね。お役所さんは頭のいい方ばかりなのでしょうけど、たくさんの意見を募集したいなら庶民にもわかりやすいように敷居を少し下げて欲しいですね。
えりー 様
>たくさんの意見を募集したいなら庶民にもわかりやすいように敷居を少し下げて欲しいですね
そう思います。
現状だとパブコメを広く求めたいのか、狭くしたいのか、立ち位置がよくわからなくなります。
輸出貿易管理令とNHK関係の省令の件でパブコメを提出しましたが、パブコメの意義についてはずっと気になっていました。
というのは、パブコメの提出を推奨するコメントを多数見かけたので、最初は多数意見には力があると思っていました。しかし、多数決で物事を決める性質の手続きではなさそうだということと、本題から外れるコメントは無視されるだけじゃないかという疑問からです。
色々と探してみましたが、次のサイトが疑問点の解消に一番役に立ちました。
出すのはムダなの!?「コピペでパブリックコメント」の問題点
http://asay.hatenadiary.jp/entry/20130211/1360566434
他の人が言っているから自分も同じことを提出しよう、というのは一種類の意見としてまとめられてしまうので無意味とのことです。
ただ、経産省が9割賛成と公表することでパブコメが民意を伝える媒介になったとも言えますし、その影響は十分見込まれます。なんとも解釈の難しい手続きです。
では、専門的な立場や現場の視点が無ければ出しても無視されるかといえば、そんなことはなさそうです。
「パブコメを受け取る側の方が、twitterでこんな発言をされていました。」という部分が参考になります。
もちろん、内容が本題から外れている場合はスルーされる可能性は高いと思いますが。
出さないより出した方が良く、また、思ったことを自分の意見として出すのが良いようです。
ピークを過ぎたソフトエンジニア 様
紹介いただいたリンク先を拝見しました 同感なのです♪
あえて付け加えるなら、パブコメを整理するのも人間なのです
コピペの怖さに、元になってる論文とかを誤って引用して作文したのが出回ることがあるってのもあるのです
データの扱いがおかしいコピペに埋もれてしまって、似たような論理展開だけど、ちゃんとした一件を見落としたときは後悔が残ってしまうのです
七味 様
コメントありがとうございます。
正直言ってコピペしたくなる人の気持ちもわかるんです。
ホワイト国の時はそんなでもなかったので、それっぽいことを添えて賛成と書くだけで済んだものの、改正放送法の方は最初に見た瞬間「うえぇぇ」と言って閉じてしましましたw
それで、どこかに親切な人が解説してないかなと思って探してみても見つかりません。
結果的に提出するまでに費やした時間はけっこうなものです。
一般的にはかなりハードルが高いと思います。
内容は他人任せにしてでも提出したくなる気持ちはわかりつつも、それはやっぱり自分の意見を提出しなきゃね、ということになるんですが。
ピークを過ぎたソフトエンジニア 様
返信ありがとうございます
あたしの考えに過ぎないのですが、パブコメにかかってる全部にコメントしなくても良いと思うのです
全体への賛成・反対じゃなくて、改訂案の一部に、なんかおかしいなって思ったところがあれば、
・これこれって書いたら分かりやすいのでは?
とか、
・こことあそこがうまく繋がってないのでは?
ってのも、大切な意見なんだと思うのです
文書って細部に大切なこともあって、そういう意見から見直しが始まることもあるのです
七味 様
書かれている趣旨について、完全に同意します。
しかし、少し前まではそう思ってなくて、力が入り過ぎて燃え尽きる寸前でしたw