どうして「日本国債はデフォルトしない」のか、改めて考える

先日、『「国民1人当たり878万円の借金になる」?なりません。』に対してコメントを頂いた方のなかに、普段からマスコミの報道などに接している人であれば、当然抱くであろう疑問をぶつけて来た方がいらっしゃいました。当ウェブサイトの常連読者の方であれば、多くの方が日本国債のデフォルトがあり得ないということは理解されていると思いますが、改めて、こうしたコメントについてもきちんと検討しておきたいと思います。

当然抱く疑問

先日、『「国民1人当たり878万円の借金になる」?なりません。』という記事を掲載したのですが、これに対して頂いたコメントを読むと、やはり、「国債」について、さまざまな意見があることもわかってきました。

そのなかでもとくに、「りちゃ」様と名乗るコメント主様からの意見は、非常に参考になります。

なぜなら、「経済学に対する正しい理解がない一般国民が、日本のマスコミや財務省の誘導に乗せられると、どういう考え方になるか」という典型的なものだからです。

りちゃ」様に対する反論として、いちばん分かりやすいものは、当ウェブサイトに鋭いコメントを頻繁に寄せて下さる「りょうちん」様のものだと思うのですが、その詳しいコメントについて興味がある方は、ぜひ、直接お読みください。

それよりも、私としては、当ウェブサイトの存在意義が「読んで下さった方々の知的好奇心を刺激すること」にあると考えています。「りちゃ」様のコメントをベースに、世間一般に溢れている誤解について、少し深く考えてみたいと思います。

(※ただし、今回のコメントについてはあくまでも「知的格闘」の材料として取り上げるものであり、「りちゃ」様のことをけなす目的は一切ございませんので、どうか誤解なきようお願い申し上げます。)

どこがおかしいのか?

日本政府に終わっていただいては困ります

それでは、「りちゃ」様からのコメントについて、抜粋ながら紹介しましょう。

『新宿会計士』さんが何歳か知らないが、仮に40才だとしよう。で、仮に『新宿会計士』が50才の時に孫が産まれたとしよう。孫が80才になるのは、今から90年後だ。90年後に日本政府が終わっていたら困るわけだ。

はい。

私は当ウェブサイトで申し上げているとおり、40代半ばです。詳しくは申し上げませんが、いちおう、私には子供がいます(さすがに孫は居ませんが…)。そして、世の中の一般的な父親と同様、私も将来は自分の子供、さらにその子供、さらにその子供…、と、子々孫々が幸せに暮らしてほしいと心から願っています。

当然、「自分が生きている間だけ何とかうまくやり過ごしてほしい」とは思いません。

むかしから「国家百年の大計」といわれますが、私は「国家百年」どころか「国家千年」、いや「国家百万年」というくらいの大計を考えるべきだと思います。千年後どころかわずか90年後に日本政府が終わってしまうと、本当に困ったものです。

この点についてはコメント主様の指摘どおりでしょう。

「雪だるま式に増える」?ないない(笑)

では、次の下りはいかがでしょうか?

90年後どうなっているのか。/今の状態のままだと長期利子が雪だるま式に増えて日本政府終わる何てことになるなら、いつかどこかで何かを変えないといけない。

「長期利子が雪だるま式に増える」、ですって!?

実は、この点についてはコメント主様に限らず、おそらく多くの日本国民が勘違いしている点だと思います。

たしかに、もし昔のサラ金のように、利子ばかりがかさんでしまえば、利払いだけでアップアップとなり、たとえ国家財政といえども破綻してしまうかもしれません。「もし金利が暴騰し、利払い負担が増えれば、将来、国債の償還もできなくなるかもしれない」という点については、おおむねコメント主様の懸念どおりです。

では、果たして現在の日本は、そのような状況にあるのでしょうか?そもそも論として、事実関係を確認しておきましょう。

縦軸に金利・利回り、横軸に年限を取って金利水準をプロットしたものが「イールドカーブ」と呼ばれますが、一般に金利、利回りは年限が長くなればなるほど高くなる傾向があり、したがって、イールドカーブは右肩上がりとなることが多いです(図表1)。

図表1 日本国債(JGB)のイールドカーブ(CMSベース)【2018/11/09時点】

 

(【出所】財務省『国債金利情報』より著者作成)

先週金曜日時点で10年債利回り(スワップ金利ではなく日本国債利回り、CMSベース)は0.129%(!)でした。

それどころか、日本国債の場合は7年債までのゾーンの市場利回りがマイナスとなっていますが、これは、「政府が新発で7年債(東証の国債長期先物の「チーペスト」年限)を発行すれば、金利を払うのではなく、むしろおカネをもらう」という状況にある、という意味です。

また、いわゆる「長期債」(10年債)で0.129%、「超長期国債」(SL)と呼ばれる20年債で0.669%、生命保険や年金などの機関投資家が好む30年債ですら0.889%と、1%を割り込んでいる状況にあります。一番利回りが高い40年債で、やっと利回りが1%を超えるという状況です。

いったいどうしてこれで「国の借金(笑)」とやらが「雪だるま式に増える」のでしょうか?

政府債務を「返す」方法とは?

次に、コメント主様は、

変えるなら早い方がいい。90年後に日本政府が終わっていないなら、まあよしとしよう。しかし、90年後に雪だるまは大丈夫なのか、誰も計算しようとしない。/それに借金が多すぎると利子が2%上がるだけで詰んでしまう。これはリスクだ

とおっしゃいますが、これもマスコミの報道などに接していれば、誰もが抱く疑問点の典型例です。

確かに、国債の発行残高が1000兆円だったとして、国債の調達金利が2%に上昇(パラレフシフト)した場合、最終的な利払い負担は20兆円増える計算です(※といっても、債券の期間構造の議論を無視しているので、必ず20兆円増えるというわけではありませんが…)。

確かに、20兆円といえばかなりの金額だと思ってしまいますが、別に「10年債の2%水準」は異例なことではありません。10年債利回りは2006年7月頃に2%近くにまで上昇していたということもありますし、当然、国債発行時点で財務省はCaR分析などのシミュレーションをしているはずです。

では、具体的に何%にまで金利が上昇したら「雪だるま式に増える」という事態になるのでしょうか?

実は、その具体的な水準は、その国の経済成長率、インフレ率、税収などによって影響を受けるため、一概に「この水準以上になると困る」ということは言えません。

いや、そもそも政府債務については、100%返し切る必要はないのですが、敢えて「政府債務負担を軽減する方法」について考えてみると、別に増税による必要はありません。インフレ目標の達成により健全な経済成長を実現すれば、自然と債務価値は低くなります。

たとえば、現在の日本のGDPが500兆円だったと仮定して、国債発行残高が1000兆円だったとすれば、国債残高GDP比率は200%(=1000兆円÷500兆円)です。

ここで、「1%・70年・2倍の法則」というものがあって、経済成長率が1%だったらGDPが2倍になるのに70年必要ですが、2倍になるのに必要な年数は、経済成長率が2%ならば約半分の36年、3%ならば24年、4%なら18年です。

仮に国債発行残高1000兆円を維持したままで、毎年3%ずつ経済成長を実現していけば、約24年後にGDPは2倍を超えます(厳密に計算すると1016兆3971億円)。つまり、この場合の国債残高GDP比率は100%を割り込む計算です。

7%なら約10年で倍になりますので、たとえば経済成長率が1%なのに、国債利回りが7%(※複利回り)だったとすれば、国債発行残高は10年で倍増してしまう計算ですし、自然に考えたら持続できません。

つまり、「国債の負担が雪だるま式に増える」とは、国債利回りと経済成長率が不均衡な国(たとえばユーロ圏のギリシャやイタリアなど)のことではないでしょうか?

※「りちゃ」様、知的好奇心のための貴重な題材をご提供下さり、本当にありがとうございました。引き続きご愛読ならびにお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

マクロ経済について少々

金利が上がればどうなるの?

ちなみにインフレ率と経済成長率と金利はそれぞれ別の概念ですが、密接に関連していることも事実です。

たとえば、世の中全体でおカネを借りたいと思う人が増えれば、資金需要が伸びます。そして、資金供給量が一定であれば、金利は上昇します。

ただ、おカネを借りたいと思う人が増えているときといえば、一般に「景気が良くなっている」というケースが考えられます(必ずそうである、というものではありませんが…)。ということは、経済成長が期待できる局面では結果的に金利が上昇することが多いのです。

図表1で示したJGB利回りと対比させる形で、米国債(US Treasury)の利回りについても眺めてみましょう(図表2)。

図表2 米国債と日本国債の利回り(CMSベース)【2018/11/09時点】

(【出所】財務省『国債金利情報』、米国財務省『US Treasury Resource Center』より著者作成)

米国は現在、好景気に沸き始めていて、短期金利から長期金利に至るまで、利回りは3%前後に上昇しています。

ただし、景気が過熱すれば、モノやサービスの価値が上がり始めます(つまり貨幣の価値が下がり始めます)。これがインフレです。インフレを放置すると、モノやサービスの値段が実態から離れて暴騰し始める可能性もあります。

そこで、インフレの加速を抑制するために、中央銀行が金利を引き上げたり、おカネの供給量を絞ったりして、おカネの価値を上げる(つまりモノやサービスの値段が上がり過ぎないようにする)ことが必要となります。これが金融引き締め(利上げなど)です。

つまり、中央銀行がうまく貨幣供給量や政策金利をコントロールすることで、インフレ率が加速し過ぎないくらいにしつつ、適切な経済成長を達成するというのが金融政策の基本です。

コントロールし切れない状況とは?

ちなみに、金利やインフレ率などについて、中央銀行がコントロールし切れなくなるという状況もあります。

そうした状況にはいくつかあるのですが、真っ先に考えられるのは、「国民が自国通貨を信頼しなくなったケース」です。

たとえば、アフリカのジンバブエでは経済構造改革の大失敗から、事実上、国内経済が崩壊。貨幣価値は数百兆分の1に下落し、いまやジンバブエ国内では自国通貨での買い物はできないという状況になっていると聞きます。

また、近場では北朝鮮、遠い所では南米のベネズエラなどでも、経済が崩壊状態にあり、自国通貨の価値が急落した(あるいは国民がで買い物をしない状況が生じている)などと報じられています。

このような場合だと、通貨に対する信認が傷つき、その国の通貨が紙切れになってしまうという事態も生じるでしょう。

一方、そこまで極端な話にならなくても、金融引締めをすべき局面で金融引締めを怠ったトルコの通貨・リラが今年8月に暴落したことは、記憶に新しい点です。

脆弱な通貨という意味では、インドネシアのルピア、アルゼンチンのペソなども、暴落しやすい通貨として有名ですし、ロシアのルーブルのように原油価格と見事に相関している通貨もあります。

ジンバブエや北朝鮮ほど極端ではないにせよ、国際的な資本フローが脆弱になる国には、だいたい、共通点があります。

1つ目は、通貨が国際的に信頼されておらず、その国でしか通用しないことです。このような通貨を「ローカル通貨」と呼ぶことがありますし、私自身は「ソフト・カレンシー」と呼んでいます。

2つ目は、法律、経済、金融などの運営が杜撰である、ということです。例えば、国際法を平気で破る、国と国との約束を平気で反故にする、といった国の通貨が信頼されないことは自明の理でしょう。

3つ目は、外国から外貨でおカネを借りていることです。外貨建の借入金は、仮に国家であったとしても、債務不履行(デフォルト)のリスクを負います。

私見ですが、こうした3つの要件を満たしている国は、私は、ロシア、中国、インドネシア、韓国、トルコ、アルゼンチン、ブラジルなどが当てはまると考えているのです。

日本国債が絶対にデフォルトしない理由

ちなみに日本国債の場合は、デフォルトしない理由が3つあります。

1つ目は、国内が猛烈な資金余剰の状況にある、という点です。

家計が保有する金融資産残高は1800兆円を超えており、そのうち半額以上が現金・預金で占められています。そして、家計などから預金を預かっている銀行等の金融機関は、これらの預金で余資運用をしなければなりません。

つまり、国債を増発したら、その瞬間、それらの国債は莫大な資金を持つ国内の機関投資家によって買われてしまいます。日銀が巨額の金融緩和をしているという事情もありますが、それ以前に、日本の機関投資家はカネを持ちすぎているのです。

2つ目は、日本の通貨・日本円がハード・カレンシーである、という点です。

日本円は全世界で取引可能な、非常に使い勝手の良い通貨であり、また、外為市場では「安全資産」として有名です。もし国内の投資家に投資余力がなかったとしても、外国人投資家が日本国債を引き受けてくれます。

米国や英国は経常赤字国ですが、それでも財政破綻していない理由は、自国通貨建ての資産を外国人投資家に投資させているからです。日本がもし将来、経常赤字国に転落したとしても、日本円自体がハード・カレンシーですので、英米方式で外国人に国債を買わせれば済む話です。

3つ目は、国債が自国通貨建てで発行されている、という点です。

もちろん、日本国債を発行する権限を持っているのは日本政府であり、日本円という通貨を発行する権限を持っているのは日本銀行です。ただ、それと同時に、日本政府も日本銀行も、どちらも最終的には、日本の主権者である日本国民の支配下にあります。

もし日本国債が「札割れ」しそうになったら、中央銀行による国債の直接引受を禁じた財政法第5条但し書き(国会同意による日本銀行引受)を適用すれば済む話です(※もちろん、国会が政府の足を引っ張るためにテクニカル・デフォルトを発生させる、という可能性は否定できませんが…)。

つまり、日本国債は、つぎの3つの安全網があります。

  • ①巨額な家計純資産、巨額の資産を持つ国内機関投資家
  • ②ハード・カレンシーであり外国人投資家に開かれた日本の資本市場
  • ③自国通貨建てで発行されている

①、②、③の全てが破られる事態が発生しない限り、日本国債は絶対に、デフォルトしないのです。

国債の不安をいうのなら…

さて、もしそれでも日本国債が不安だというのならば、こう考えてみれば良いと思います。

日本国債も日本円も、最終的には同じ「日本国」という信用を裏付けに発行されているものです。

もし日本国債の将来が不安だというのであれば、あなたのサイフの中に入っている日本円も紙屑と同じことです。今すぐあなたの財布の中身を全額、私に寄越しなさい!

…というのは、著名経済評論家の上念司さんあたりがいつも冗談めかして口にするセリフですが、これは別に冗談でも何でもありません。逆に「日本国債の将来が不安だ」とおっしゃる方に聞きたいのですが、どうして日本国債の将来が不安なのに日本円という通貨を後生大事に持っているのでしょうか?

両者は「日本国の信用を裏付けとして発行されている」という意味では、究極的にはまったく同じ存在です。片方がデフォルトするのなら、もう片方も一蓮托生じゃないかと思うのですが、「日本国債デフォルト論者」の皆さまから、この点について納得がいく説明を聞いたためしがないのですが、いかがでしょうか?

オマケ:それに気付いて下さいましたか!

ついでに、私の奇妙な(?)こだわりに気付いて下さった方がいらっしゃいます。

カズ」様のコメントです。

本記事の、配信時間へのこだわりは、理解しました。/ポッキーを買って帰ります。

お気付きを頂き、大変ありがとうございました!(分からない方は記事の配信日時をご確認ください。笑)

今後ともご愛読並びにお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

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読者コメント一覧

  1. 韓国在住日本人 より:

     なるほど、韓国では11月11日を「ペペロ day」と言います。ポッキーはパクったロッテのお菓子です。最近そのペペロから芋虫が出てきたそうでちょっとした問題になっています。

     駄文にて失礼します

    1. すまないさん より:

      韓国在住日本人様

      そのニュース私も見ましたw
      てっきりハエ取り棒かと思い、笑って読んでましたw

  2. ダルマさん より:

    なぜ野党は「コクサイガー!ショウヒゾウゼイガー」と騒がないんですかねぇ?w
    つい最近まで「モリカケガー!」言ってたっしょw
    財務官僚が自殺に追い込まれたとか、財務省のねつ造とか散々政府と財務省に文句言ってたのに、
    財務省が出してきたデータとか言い分にかみついて、赤字国債発行や消費増税反対を言わんのかね?ww

    税収増やしたいのなら消費税3%かゼロにして、国民消費を促し、企業の利益から税収上げた方が
    増えるんちゃうんかな?w

    1. りょうちん より:

      「赤字国債」という単語自体がプロパガンダ用語ですよ。
      じゃあ黒字国債ってなんなんだよとか考えてみてください。

      1. gommer より:

        税収の不足を「赤字」と表現しているだけなので、特例国債よりはすんなり理解できるのですが、何が問題なのですか?

        1. gommer より:

          税収が不足していない時を「黒字」と表現するなら、国債を必要としないので「黒字国際」を考える必要はありませんよね。

        2. りょうちん より:

          赤字社債とかいって、資金が集まりますか?
          もともと借金のお上品なものが債券なのですから、そこに赤字などと言う言葉を付け加えるのは思想性を付与する以上の意味はないのです。だから「プロパガンダ」。

    2. あにまる豚 より:

      ダルマさん

      >税収増やしたいのなら消費税3%かゼロにして、国民消費を促し、
      >企業の利益から税収上げた方が増えるんちゃうんかな?w

      一般庶民の感覚から考えるに、将来の年金を受け取る様になった時、
      苦しい生活をしたくない(生活レベルの維持)から、結局はお金を溜め込むと思われます。

      総人口減の現状や人口の一極集中等を勘案すると、そのうちに「不公平税制」なんてのが
      財務省辺りから出てくるのではないかと思っています。
      (今でも十分不公平ですが。極端な話、東京23区は50%、離島は0%のような地域別に税率が
      変化する様な税制。ちょっと乱暴な考えで、色々問題もあるでしょうが。)
      財務省としては税を増やし、周囲の省庁への影響力を持ち続けたいのではないでしょうか。

      下の方で書かれている、りょうちんさんの
      >ただ新宿会計士さんが度々書くように、徴税する部局と、予算を編成する部局は、
      >三権分立がごとく分離すべきです。
      >絶対権力」は絶対に腐敗しますし、現に今の財務省は「腐敗」しています。
      には、諸手を挙げて 賛成 です。

    3. 匿名 より:

      「先生の選挙区のあの橋、かなり古くなりましたよね」(架け替えの時期ですよね)
      「いやあ、受験勉強も追い込み時期になりましたねえ」(ご長男、私大の医学部志望でしたよね)
      財務省の役人は資料説明のおりに、野党の議員にもこういうセリフを漏らすらすそうです。
      財務省の意向に沿った言動をしてくれればその見返りがあるよ、と暗にほのめかすわけです。

      それに財務省は税収を増やしたいんじゃなくて、自分たちの「徴税権」を拡大したいだけです。

  3. 山川谷平 より:

    日本の信頼が失われるとすれば、経済的なことよりむしろ国際関係の問題ではないでしょうか。
    日米同盟が破綻して、米軍、米ドルとの関係が不安定になれば、円に対する信頼も動揺します。
    何とか生き残っていくためには、日本の戦略的な外交政策が非常に重要だと感じています。

  4. 阿野煮鱒 より:

    更新ありがとうございます。
    自分のような経済のド素人には目から鱗の日々です。

    > どうして日本国債の将来が不安なのに日本円という通貨を後生大事に持っているのでしょうか?

    膝を打ちました。確かに、お札の裏付けは盲信し、国債の方は信用しないのは矛盾です。考えてみれば通貨も日銀の負債ですし、兌換紙幣ではなくなっているので国の信用が裏付けです。

    同時に疑問に思ったのは、財務省官僚という、日本で最高の学歴と頭脳を持つ人々が、なぜ敢えて国債の信用を貶めるような発言を続けるのか、です。「別に国債の信用を下げたいわけではなく、プライマリー・バランスを重視しているだけだ」という答えが予想されますが、財政均衡を目指すということは国債発行が悪であることになります。うーむ、良く分かりません。

    1. りょうちん より:

      >同時に疑問に思ったのは、財務省官僚という、日本で最高の学歴と頭脳を持つ人々が、なぜ敢えて国債の信用を貶めるような発言を続けるのか、です。

      これはいい疑問です。どこかで書こうと思っていたのですが、もちろんものすごく頭のいい彼らが本気で国債が紙くずになるとか思っているわけはありません。
      逆にいくら国債をネタに不安を煽るような言動をしたところで、微塵も日本国債への信頼は揺るがないと確信すらしているでしょう。

      ただ単に、増税の理由付けに利用しているだけです。

      現時点での増税は、反社会的な行為と言ってもいいくらいですが、それでも財務省官僚が増税したがるのは、それが彼らの権益、second natureだからです。国益のためでは無く省益のためです。
      増税したら日本のためになるだなんてミジンコ程も思っていません(いや消費税増税したら景気が良くなるとか税収が増えるとか本気で思ってるほど財務省の知能が低下していたならそれはそれで問題ですが)。
      減税・増税というより、課税範囲の増減こそが、彼らの「権力」の源泉です。
      もとより官僚の権益というのは、許認可権・予算です。
      農林水産省なら農林水産関係の許認可、補助金などの予算を持っているから彼らは農林水産関係団体への天下りが可能です。
      厚生労働省なら、製薬会社・医大・労務関係団体などへの天下りといった風に許認可権を握った業界団体が縄張りにできるのです。
      財務省の場合は、税金を一手に握っていますから、天下りの範囲はそれこそ無限大です。だからこそ金融庁の分離があれだけ大事件だったわけで。

      しかし、もし税金がシンプルでフラットなわかりやすい体系であったらどうでしょう。
      また、税率も変わること来なく5年後も10年後も同じ割合の金額を払うような社会であったら。
      だれも財務省官僚に気を遣う必要が無く、財務省の徴税権は、まったく権益を生むことをしなくなります。
      したがって、彼らの利益を最大化するためには、税金の体系は彼らの裁量で変動するような複雑怪奇なものであるべきですし、増税も減税も煩雑に行われなくてはいけないのです。

      財務省の権益には、もう一つ大きな「予算編成」という面がありますがこれは、増税とはあまり関係が無いのでここでは置いておきます。
      ただ新宿会計士さんが度々書くように、徴税する部局と、予算を編成する部局は、三権分立がごとく分離すべきです。
      「絶対権力」は絶対に腐敗しますし、現に今の財務省は「腐敗」しています。

      1. 阿野煮鱒 より:

        解説ありがとうございます。

        財務省(に限らずどこの省でも)が国益よりも省益を考えているのは分かるのです。でも、徴税権こそは通貨の信用の裏付けではないですか。同時に国債の信用の裏付けでもあるわけです。自らの権力の基盤が国債の裏付けになっているのに、その信用を毀損しようとする矛盾が分からないのです。

        また、財政出動は政治マターですが実務は財務省が担いますよね。そこで十分に権力の旨味が味わえるはずで、それこそ省益を満足できる美味しい仕事なのに、なぜそれを渋るのか、と。

        腐敗堕落はいいとして(いや良くないですが)甘い汁の吸い方が変なんじゃないかなあ、と素朴に疑問を感じております。

        1. りょうちん より:

          >徴税権こそは通貨の信用の裏付けではないですか。

          申し訳ないです。ここのロジックが私には理解できませんでした。
          私はほとんど関係ないか、日本の場合はまったくリンクしないと考えています。

          >財政出動は政治マターですが実務は財務省が担いますよね。
          >そこで十分に権力の旨味が味わえるはずで、それこそ省益を満足できる美味しい仕事なのに、なぜそれを渋るのか、と。

          いや実務はそうですが、財政出動の意思主体は政治家ですので、財務省官僚にできるのはできるだけ骨抜きにするためのサボタージュくらいなものでとてもとてもおいしい仕事とは言えません。

        2. 阿野煮鱒 より:

          私は、昔何かで「通貨発行権と徴税権はセットであり、後者が前者を担保する」と読んだ記憶があり、そう思い込んでいました。
          今ググってみたら、そうでない説もあるのですね。

        3. 鞍馬天狗 より:

          >徴税権こそは通貨の信用の裏付けではないですか。
          ビットコインをご存知ですか?

          そもそも論で、”通貨”=”お金”って何なのかを説明できる人はいません
          M1+M+CDとか云う定義が有りますがソレ以上の”何か”を説明できる人は居ないんです
          “神”のように、”形而上”の存在では無いのに、誰もが存在を認知しているのに
          通貨とは、①保存②交換③尺度の三要素を持つ”現象”で有り
          その振る舞いや、操作、取得については多く研究されていますが
          そもそも”お金って、何?”の答えは有りません
          “お金”は”時間””情報””評価”を含む存在で、”増殖”が前提の存在です
          サメや古代の爬虫類の様に、成長を止めると”経済”は死にます
          現象としては分かっていても、”何故なのか?”を説明できません
          ローマクラブが1972年に”成長の限界”を発表していますが
          その仮説が正しければ、人類は(少なくとも経済は)滅亡に向かって進んでいます
          “お金とは何か”が分からないと”経済の成長”と”人類の存続”は
          両立しないかもしれないのに

          人類が持続可能な限り、日本の財政が破綻することは有りませんよ

        4. shoggoslime より:

          財務省、というか官僚を理解しようとするなら腐敗している、という一言でまとめてしまうと分かりにくくなると思います(腐敗していないとも、問題がないとも言いたい訳ではありませんが)

          責められたくない
          楽をしたい
          権力が欲しい

          とりあえずこの三つが基本的な行動原理です。これらの混ざり方でどう動くかが決定されると思えば分かりやすいのではないかと思います。優先順位もこの順番です。権力が低いように思うかも知れません。ですが、これは権力は奪われない事だけが最重要で、そうでなければさほど優先度は高くないのではないかと思うのです。

          官僚は腐敗しているからと言って仕事をしていない訳でも手を抜いている訳でもありません。特にエリート官僚と呼ばれる類の人達の職場環境は下手なブラック企業が目じゃないぐらいブラックです。通常業務だけでも家に帰れません。財政出動するともなれば気の遠くなるような仕事量が追加される事になります。通常業務の範疇ですから評価も乏しく割に合っているとはとても言えないように見えます。

          何かしら変化してしまうとそれに伴って仕事が増える事になりますから、新しい事をして欲しくないんです。仕事と責任が増えるから出世したがらないサラリーマンと似たような物だと思えば分かりやすいと思います。デフレというのは安定方向に向かうという事だと私は思っています。税収が安定していれば、予算だって前年の物を流用できます。前例通りに処理できるという事です。楽で、早く、責任も追及されずに仕事ができるという事です。

          消費増税も同じニュアンスで考えられると思います。消費税は安定した財源です。経済的にだけではなく、政治的にもです。増税や減税、優遇措置が取りづらくブレないんです。財務省にとって消費税というのは『楽な』税金なんだと思います。安定している事、これが最も重要な判断基準になってしまっているのだと私は思っています。

          まとめるとデフレで消費増税で経済成長なしという状況こそが省益に適っているのではないかと思うのです。『安定した中で』権力闘争したいのであって、国を殺したい訳ではないのです。多分他の誰よりも国債が増えても国が揺らぐ事などないと知っているからこそ国益にならない事ができるのではないかと思います。

      2. chemist より:

        いつも疑問に思うことなのですが…

        財務省の目的の一つが「健全な財政の確保」であり、税収を増やすことに通じるのは理解できます。
        体系を複雑化して利権を云々もまあ省益としてわかりますが、手間とコストの増大という形で税収を減らすように思います。
        で、これら混みでもろもろの事情が作用して、結果として税収が増えなかったときに、財務省の責任問題になっているように見えないのはなぜなんでしょう。
        単にマスコミが報道してないだけなのかなあ。

        過去の前例として、「消費税をアップしても中長期的には税収全体は増加しない」という話も聞きます。
        この辺まとめて、財務省ってつるし上げにあってもいいように思ったりもするのですが。
        (それが金融庁の分離とかそういうことなのかもしれませんが)

        1. 鞍馬天狗 より:

          >「消費税をアップしても中長期的には税収全体は増加しない」
          ですよね〰
          民間なら、結果の評価を厳しくなされるのが普通ですが
          “消費税”が財政健全化に貢献したかどうかの評価を一切公表せずに
          アップを決めるのはオカシイですよね

        2. 匿名 より:

          >「最低賃金をアップしても中長期的には失業率は改善しない」
          という社会実験をしてる国があります。
          民間なら、結果の評価を厳しくなされるのが普通ですが、もちろんしてません
          その後その国がどうしたかというと、
          「良くなるのはこれからだし、まだまだ足りないからもっと上げる」

          消費税をアップしても税収が上がらないので、3%、5%、8%、10%と
          上げようとしてる国もあると聞きます、同じまだまだ足りない理論ですね
          オカシイですよね

    2. 匿名 より:

      通貨は信用の尺度と考えています。国土と軍事力によって担保されてる。肥沃な国土と
      軍事力があれば あらかた安定するけれど、あくまで 信用そのものとは違う。

      1. 鞍馬天狗 より:

        >国土と軍事力によって担保されてる
        貴方もビットコインって言葉を知らないの?

        1. 匿名 より:

          忘れてました
          仮想通貨は 技術力とコミニュティによって 担保されてます。
          けれどあくまで 信用の尺度であることは 国家による通貨と同様ですが
          通貨としてならば
          通貨ですから

      2. 鞍馬天狗 より:

        匿名さんへ
        >通貨としてならば
        >通貨ですから
        先ず、「”通貨”とは何か」が説明出来ないコトを認めなさい
        全てはそれからです

        1. 匿名 より:

          難しいので きっと反論もあるとは思いますが、
          通貨は「約束」を交わした当事者の枠を超えて流動化汎用化させたもの ってどうでしょうか?
          仰ってるように 何処かに答が、これが正解とはでていませんから
          例えば子供の「肩叩き券」であってもその約束がそれをもとに 誰であっても肩を叩かれる事が実現できるならば そして その約束を他の約束と交換できるのであれば これは通貨として存在している訳ですし
          無理に結論するのならば、通貨=「将来に実現する約束の記録」
          どうでしょうか?

        2. 匿名 より:

          仮想通貨=暗号通貨=分散台帳から 考えてみました

  5. クク より:

    騙されてしまうのは実に テレビ世代の私達50歳超えが中心ではないかと思います。

    以前は家族が透析を受けていたので 国家が経済破綻したら自費で治療費を負担しなければならないと、本当に心配して外貨預金をしていたことがありました。
    医療費の助成が充実している現在の日本に暮らす幸せを感じるとともに 看病疲れや国債残高の増大やマスコミの言う「国民一人当たりの借金」に言い知れぬ不安を抱いて生活をしていました。

    まだまだ十分には理解できていないものの、経済についての分かり易い情報提供でありがたく拝読させていただいています。
    不安を煽って国を危うくするマスコミや権益に執着する財務省、獅子身中の虫の一部野党などが、こうした評論によって無力化されていくことで、孫の時代がより良いものとなるものと 心強く思っています。

    1. りょうちん より:

      >医療費の助成が充実している現在の日本に暮らす幸せ

      医療費と社会福祉費で日本の財政が破綻するという亡国論が時々顔をだすのですが、私はなんでそういう主張に対して、「逆に考えるんだ!」と言う評論家が出ないのか不思議です。

      老人が増えて、医療費が増える。結構じゃないですか。
      病院や老人福祉施設を建てて、若者の雇用を生み出しましょう。
      医療器機や薬も、たくさん売れます。
      今、福祉の現場ではスタッフ不足による危機があります。というのも福祉に払う金を国がケチっているので、介護福祉士の給与水準が奴隷労働のそれに匹敵し、どんどん辞めていくからです。夢と現実の差に福祉を志した若者が疲れ果てて辞めていくのです。
      介護福祉士が一生の仕事として働ければ、結婚し、子供を産み育て、家も建てたり買ったりするかもしれません。
      どれだけの経済効果があるか。

      ただお金に関しては、まだまだ日本は出せるのですが、人手に関しては確かに心許ないのですよね。
      ちょっと景気が良くなっただけで、不景気時には何倍にもなった自衛官の募集が定員割れし、キツイ仕事には誰も応じなくなってしまいます。
      だから安倍政権は外国人労働者の開放をやろうとしているんですが害が大きすぎます。実に短絡的です。

      1. 鞍馬天狗 より:

        りょうちんさんへ
        >「逆に考えるんだ!」と言う評論家が出ないのか不思議です。
        スパンの問題ですね
        いずれは、AIで解決される問題ですが
        AIの発達の速度と、外来種による蚕食のとちらが早いか
        米中戦争でも勃発すれば、AIの発達速度も上がるんですけどね

      2. クク より:

        スウェーデンで なぜスウェーデンが福祉大国になったかとの質問をしたところ、福祉に関わる人が有権者の大部分となったからと言う答えを得たことがありました。
        北欧諸国が経済的にも安定した国々となっていることから考えても、両立する世界はビジョンできるのかもしれません。
        もちろんいろんな問題は山積でしょうが、民主主義の目指すべき姿が見え隠れする気がします。

      3. 現場から より:

        「介護福祉士が一生の仕事として働き、結婚し、子供を産み育て、家も建てる」
        実際に、私の姪が行っています。給与面の不満は聞いておりません。
        しかし、二人目を流産するほど過酷な現場です。日本語が少しでも解れば
        外人でも助けてほしいと聞いています。外国人労働者も検討するべきです。
        k国は除く条件で、いかがでしょうか。

        1. りょうちん より:

          >実際に、私の姪が行っています。給与面の不満は聞いておりません。

          いやいや多分に姪御さんが、愚痴を言わないできた方なだけではないかと・・・。

          http://careergarden.jp/kaigofukushishi/salary/
          上場している主な介護サービス提供企業
                          平均年齢 平均年収
          ニチイ学館           42.2歳     291万円
          ツクイ           39.5歳   389万円
          メデカジャパン        37.3歳    349万円
          シダー           37.9歳     368万円
          メディカル・ケア・サービス 42.3歳     334万円
          ケアサービス         34.9歳     386万円
          アミーユ           35.8歳     337万円
          ————————————————
          士業で、これはない・・・。
          しかし、ニチイ学館はえげつないな。こんな企業が最大手とは。

        2. 現場から より:

          りょうちん様
          コメありがとうございます。
          姪は、愚痴をよくこぼします。夜勤が辛いだとか、ギックリ腰になるだとかの話を聞いてます。
          この話をしたら、誰でもいいから助けてと、今日もいってました。
          詳しく言いませんでしたが、姪はニチイ学館以外の給料のようです。
          共働きなのでやって行けるようです。
          婿が酒好きなので、これもってけと呼びやすいですが、返事が遅れましたね。

      4. 現場から より:

        クク様22時22分のように、日本人で対応出来ればよいのですが

      5. 匿名係長補佐 より:

        >医療費と社会福祉費で日本の財政が破綻するという亡国論が時々顔をだす

        のは現行制度が「保健医療制度」だからです。あくまでも「極論」ですが、保健医療制度をやめれば社会福祉費で日本が破綻することはもちろんありません。ただし全部「自費」でどうぞなら、病院が建つ、福祉施設が建つ、医療機器が売れる、若者の雇用も生まれる市場が逆に今の三分の一になるかもしれません。患者や介護保険の利用者は、ざっくりいって発生してる費用の3割しか負担していません。病院窓口で3千3百円支払っている患者の医療費は、実は1万円なのです。3千円が1万円になったとき、受診回数や介護の利用頻度が今のままでしょうか?三分の一になっても不思議ではありません。患者、特に老人の受診行動はリアリストのそれです。
        日本人の人口1割に相当する70歳以上の老人が、全体の医療費の3割を使います。経済的余裕のあるお年よりだけではないでしょう。保健医療制度がなければ「自分だけで」「死ぬまで金をかけ続け」「ただ死ぬためにだけ生きる」わけです。全部自費となれば、まさに金の切れ目が命の切れ目です。当然、民間の医療保険などの商品が活発化するでしょうが、話が複雑になりますので省略します。
        今は違いますが、かつてイギリスではサッチャー政権のころ、人工透析の60歳以上の保険適応をなくしました。つまりそれ以上の年齢の人は自腹で透析しなければならなくなったのです。当然大英帝国の高齢の透析患者はバタバタ死にました。当時、透析の患者単価は100万円/月(日本)です。大昔、私の祖父も透析患者だったのと、キリのいい数字だったので覚えています。さらに高額医療費制度や市町村の障害者医療制度、医療費助成制度などがあり助かりました。祖父も「日本に生まれて本当によかったよ」と言ってました。
        厚労省も、今のような青天井の医療費の膨張を防ごうと、医学的根拠に基づいた定額医療費制度(いわば、盲腸なら「A定食ランチ〇〇円」でやってくれとの取り決め)を導入したりといろいろ工夫はしてるようです。
        しかし、大筋の現行制度を維持しながら医療費を「どんどん」上げるのであれば、サラリーマンが天引きされる社会保険料も「どんどん」上がるでしょうし、患者の窓口負担割合もいじらざるを得ないでしょう。国民の同意がどの程度まで得られるかでしょうね。国民は全員、患者にも介護保険利用者になりえますが、医療従事者や介護施設職員になるのはそのごく一部です。大多数の国民の意思は当然選挙結果に跳ね返るでしょう。ちなみに東京都より人口が少ない(960万人)のスウェーデンの社会保険料は50%です。稼ぎの半分持ってかれるわけです。そういう暮らし方が国民の総意で納得できるならそれもアリでょしょう。平均年収は350万円くらいで、これは日本と同じくらいだったと思います。
        医療・介護パワーたる若年人口は相対的に減る。AIの補完力は未知数。現行の介護保険制度の中でスタッフの賃金増額は限定的。就職は嫌厭され離職者が増える、ますます一人当たりの仕事量が増え嫌厭度が増す。この悪循環では、外国人労働者(低賃金労働力)で当面をしのぐしかないのかなあ。机上ではいろんなことが言えますが、今まさにナースコールが鳴り続けている、オムツを替えてもらうのを待っている寝たきり老人がいるのを見ると、受け入れの制度設計と体制整備を急ぐことがやはり現実的と言わざるを得ないと思います。

        1. 匿名係長補佐見習い より:

          三分の一と3割とごっちゃにしちゃいました
          窓口の3百円おまけしといてくださいましw

        2. りょうちん より:

          いやあ日本の医療費なんて、まだまだ出せるでしょ。ちょっとジャンプして見ろってもんですよ。
          逆に日本の医療費は、保険診療によって低すぎる水準に押さえつけられています。
          たぶん最適な価格は、米国と他の欧米諸国の水準の中間くらいじゃないかと考えています。
          健康保険料をもっと上げる一方で(払えない人はアメリカ式で)、胃瘻まで作って老人を生かす様な「ムダ」をなくせばまだまだ。
          外国人につまみ食いされるくらい今の保険診療はヌルいですからねえ。
          一方で、最近抗がん剤の一種に分子標的薬というものすごい価格のが出てますが、まあ、ほとんどの固形がんに関しては死ぬまでの短い間しか使わないのでさほど問題にはなりませんでした。
          ところが慢性骨髄性白血病に対する薬が、著効して、飲み続けている限り再発しないという、死ぬまで高価な薬を飲み続けなければならないのに自己負担分が高額になり、貧困層の高齢者が困窮するという問題が起こりました。
          ちなみにそんな問題が起きたのは意外にも米国と日本だけでした。
          http://medg.jp/mt/?p=233
          (今はもっと安くなっていますが)
          日本の医療費に関してはまだ最適化の余地が多く残っています。

          介護の方もね。昔は「老人病院」という名の姥捨て山があって福祉を医療に押しつけて問題解決していたんですが、それでは医療が持たないということで介護保険制度が導入されたんです。
          しかし、結局、医療と介護ってキレイに分けられるものでは無く、かなりの二重のムダを生んでいます。
          家庭介護なんて、実際のところ、経済学的にはムダしかありません。
          ケアマネとか入れて介護認定して、在宅医療して・・・なんてやるよか一個所に集めて対応した方が「経済的」でした。

          ぶっちゃけ団塊の世代が「老後のため」と貯め込んだ資産をどうやって「市場」に流すかの技術論なんでしょね。
          リバースモーゲージとか後期高齢者制度とかあの手この手を考えていますが、2025年より、むしろその後のロスジェネ世代の老後の方がもっと問題です。引っぺがせる資産なんてそもそも最初から持っていませんからね。

        3. ククj より:

          若年人口の相対的な減少は如何ともし難いながら、意外にも介護職の再就職は他の業種よりも多かったような統計を見た覚えがあります。離職率の高さの その事情はブラックな介護施設が離職率を1件で稼ぎ出してしまうと。
          確かに求人難の業種だけに再就職し易い面はあるものの、嫌いで無ければ再度とはならないとおもうのは単純でしょうか?熱意ある若者も多く それなりに魅力があるものと思われます。
          ただ、開始するに当たっての始めのハードルがあると思う。また 向き不向きの大きな職種とも思います。いっそ 大化の改新の租庸調の 庸 のように 又は 徴兵制の様に一律に一定期間介護の体験等を行わせるシステムを導入してみるとか。
          目醒める技能で方向付けられる人もあり、もしくは将来の家族介護やボランティアの元になったり、視野を広げるに違いないと思います。勿論福祉士等が完全に監督を行いながら。そうこうしているうちに、AIによる新たな展開が期待出来るとか 甘いか?甘いですね

  6. 匿名 より:

    本日の皆様方の意見交換を脇から拝聴してレベルの高さに感嘆しております。これからも有難く聞かせていただきます。 元半導体技術者・七十翁

  7. shoggoslime より:

    現場は人手不足で辛いけど人件費は掛けられない。だから、安い外国人労働者で補おう、解決策としては分かりやすいですし王道で悪くありません。アフリカから奴隷を連れて来てプランテーションで働かせるのとそんなに変わらないと思いますが。問題は受け入れるための制度が全く整えられていない事です。奴隷扱いしたいのにそのために必要な制限も権利もないのではうまくいく訳がありません。

    人権意識を捨て去る覚悟をしないと外国人労働者の運用なんてできないと私は思います。捨てられるのであれば悪くない仕組みだと思います。ついでに外国人労働者に頼り切りになると外国人への差別意識ができたり、彼らが働く介護や建設と言った仕事が下賤な物扱いされる未来が見えるのは杞憂でしょうか?

    そして人権が守られていないような過重労働が蔓延しているのは、文句を言わずに働いている労働者の責任も大きいと思っています。過重労働じゃないと成り立たないようなビジネスモデルを続けようとする事自体が間違いなんです。変化しないといけなかった時に変われず場当たり的な対応をし、行き詰まったからと言って環境の方を以前に戻そうと言うのは無理です。誰かがやらないといけないから自分がやる、そんな意識は尊いと思います。ですが、困るからこそ変化するんです。そして正しく困らせないと成長しません。現状は問題を後回しにしたツケです。ツケを他人に押し付けるのは好きじゃありません。

    過疎化した農村を維持する事を諦める必要があるかも知れません。即日出荷や24時間営業もできなくなるかも知れません。炊飯器メーカーは三分の一に統合され、選べる商品も少なくなるかも知れません。商品は減り不便になるでしょう。ですが、それが身の丈に合った生活なんです。少し背伸びする事は必要でしょうが、工場勤務の新入社員がロレックスにアルマーニのスーツ、ベンツを用意するために借金するのはやり過ぎな上に無駄遣いです。捨てたくなくても環境の変化に合わせて残す物と捨てる物を選ばないといけないと私は思っているのですがどうでしょうか?

    1. gommer より:

      りちゃさんのコメントを読みに来たら目に留まりました。遅ればせながらコメントします。

      外国人労働者の導入や生活や消費スタイルの変化について、同意します。

      >彼らが働く介護や建設と言った仕事が下賤な物扱いされる未来が見えるのは杞憂でしょうか?

      これについては確実にそうなるでしょう。というか、外国人労働者に関わらず既にそのようになっています。

      一例として、犯罪の容疑者について犯罪内容と職業に関係が無いにも関わらず職種が報道される場合があります。公務員であれば警官、自衛官、教員など。民間企業の場合には建設作業員・新聞配達員などはかなり頻繁に見かけます。
      公務員の場合と比べると職種が報道される理由が異なるでしょう。

      この他にも融資関連などでも賤業と見られている事を実感します。
      また土木関係の公共事業自体を無駄とする認識は国民の間に広く行き渡っているのではないでしょうか。

      >そして人権が守られていないような過重労働が蔓延しているのは、文句を言わずに働いている労働者の責任も大きいと思っています。

      建設関係について言えば、公共事業の積算単価が市場に与える影響が非常に大きく、労働単価が市場原理によらない部分があります。土木関係では民間の大規模工事というのは圧倒的に少ない為、公共の積算単価で労働者の年収が決まりますが、一般労働者で350万円、現場管理技術者で500万が上限でしょう。
      つまり、労働者個人や一企業でどうこうできる分野ではなく、構造的な問題です。彼らの選択の結果として絶望的な労働者不足に陥っているのです。
      高齢の作業員には「自分にはこれしか出来ないから」という部分もありますが、「誰かがやらないといけないから自分がやる」という意識によってギリギリ支えられている面が大きく、土木関係者がそれを捨てたら早々に日本の国土は脆弱化するでしょう。

      建設業のビジネスモデルは明らかに間違っているのですが、正しく(?)困った結果の変化は成長ではなく廃業でしょう。困る人が建設業者から国民に変わった時点で対処できるのかどうか、非常に疑問です。

      年度末の道路工事はとかく槍玉にあげられますが、それが不満ならば舗装の剥がれた凸凹な道路だったり、漏水による陥没やガス漏れ等の事故が起こる事を許容すれば良いでしょう。というか、このまま行けばそのようになります。
      そのような社会もありだとは思いますが、賢明な判断だとは思いません。

  8. りちゃ より:

    素人同然の私の意見を記事に取り上げ真摯に真剣に対峙していただき
    感謝しています。

    ありがとうございます。

    新宿会計士はんが「経済学に対する正しい理解が無い一般国民」と
    記事に書かれておりますが、私はそれに該当するかと思います。
    ネットなどでで「国債絶対安全」を語る人は何人か見たことがありますが、
    『安全』が正しいのか『危険』が正しいのか、素人同然の私には分かりまへん。
    しかし、素人同然の私の目から見ても、「国債絶対安全」派が
    全員話を逸らしてごまかして逃げとる点があります。

    ここが大事なので、もう1回言います。

    「国債絶対安全」派が全員話を逸らして
    ごまかして逃げとる点があります。

    それを説明すると長くなりますが、真剣に対応していただいた
    新宿会計士さんにその気持ちをぶつけないのは、
    むしろ失礼にあたると思い、長くなりますが、
    以下に述べさせてもらいます。

    まずが将来も視野に入れて考えてくれることに賛同していただき、
    非常に嬉しいです。

    まずは大雑把でいいので未来の数字を出すことから始めましょう。
    厳密性はまるっきり求まへん。大雑把でいいです。
    未来の国債の金額。未来の利子の金額。未来の日本の税収国債と利子の比率。
    大雑把でいいので、この3つを試算する所から始めしょう。

    これを試算せすと「未来を考えましょう」と書くのは、
    『それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?』という事になります。

    で、きりのいい数字として100年後を考えてみましょう。
    繰り返しますが厳密な話を求めていません。
    100年後を予想するちうのは、逆に言うと100年前の大正の
    米10kgが3円で買える時代から、米10kgで3000円する現代を予測するような
    無謀さを含んでおり、もともと無理な部分があるからです。
    それでもなお、100年後の時代に関して大雑把でいいので数字を出すちうのは、
    それによって見えてくるものがあると思っているからです。
    新宿会計士さん。是非試算してみてください。
    それが「未来を考える」という事です。

    人に「試算しろ」と言っておいてオノレが試算しないのも酷い話ですので、
    まずは、素人の私が試算してみます。では、さっそく。
    新宿会計士はんは国債に絶対の信頼を置いとるようやので、
    100年間日本はどちらかというとちょっとアンラッキー続きやったと仮定しましょう。

    ◎経済成長率やらなんやら組み込んで考えると煩雑になるので、
    100年間経済成長率ゼロで考えまんねん。
    新宿会計士はんは国債に絶対の信頼を置いているので、このくらいの仮定はいいでしょう。
    つまり100年後も米10kgで3000円です。

    ◎老人の医療や年金やらなんやらやらなんやらやらなんやらetc…により、
    その金のうち毎年10兆円ずつ国債から出すとしましょう。
    新宿会計士はんは国債に絶対の信頼を置いとるので、このくらいの仮定はいいでしょう。
    つまり100年間で1000兆円増えます。

    ◎利子もアンラッキーが続いて毎年1%くらい増えるとしまひょ。
    新宿会計士はんは国債に絶対の信頼を置いとるので、このくらいの仮定はいいでしょう。
    で、利子だけで1000兆円増えます。

    トータル3000兆円です。

    ◎で、運の悪い事に、100年後から十数年利子2%になりよったとしましょう。
    新宿会計士はんは国債に絶対の信頼を置いとるので、このくらいの仮定はいいでしょう。

    あれ、日本の税収が全部利子に消える。つまり、100年後に道路やら橋を作ったり、
    公務員の給料を支払うには全部国債で出すしかない。

    ここです。ここが核心です
    大事な点なので、もう1回言います
    ここです。ここが核心です。

    まてまて。100年後にそれがありなら、
    今すぐに税金ゼロにして全部国債で処理すればいいじゃん。

    しかし、これに関しては「国債絶対安全」派は
    誰一人として試算していないし、試算ベースの提案もしていません。
    話を逸らしてごまかして逃げてるだけや。

    素人同然の私には訳が分かりまへん。

    毎年毎年10兆円ずつ増えるのは100年でも1000年でも99.999999%絶対安全で
    毎年毎年60兆円70兆円増えるのはダメなの??
    将来、『税収が全部利息に消える』時期が来るように見えるんやけど、それはOKで、
    今税金ゼロにするのはダメなの?

    長くなったんやが、まとめると以下の2つになります。

    ■100年後にどうなっとるのか大雑把な試算をしてほしい
    ・国債金額
    ・その年に支払う利子
    ・上記の利子と、その年の税収の比率

    ■「税金ゼロで全額国債」に関して、誰一人として試算ベースで提案しないのはどうしてなのか?
    今のまんま行けば将来そうなる時期がやってくるように見える。
    将来それが起きるのはOKで、今それをやるのはダメなの??

    また、メインの疑問からはそれますが、この手の話をする時に
    抜いてはいけへん疑問も以下に追加します。

    「日本国債の場合は7年債までのゾーンの市場利回りがマイナス」という記述がありますが、
    そんなものをどなたはんが買うのでっしゃろか??

    素人同然のわいにはさっぱり分かりまへん。
    「新宿会計士」の読者さんには理解できてまっしゃろか?
    買えば買うほど損をする物を一体全体どなたはんが買うのか??
    分からないのは私だけなのでしょうか?

    願わくば新宿会計士さんが話をそらしてごまかして逃げないことを祈るばかりです。

    長くなりましたが、よろしくお願いいたします。

    1. 新宿会計士 より:

      りちゃ 様

      コメントありがとうございます。
      本件につきましては一両日中に、ウェブサイト記事の題材として取り上げさせていただきます。
      引き続きのご愛読とお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
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