安倍3選は確実としても、それで問題が解決するわけではない

自民党総裁選は安倍総理の3選でほぼ決定と考えて良いでしょう。ただ、安倍政権が続けばそれで日本が抱えるすべての問題が解決する、というほど単純なものではありません。

安倍総理でほぼ決定

今年の9月には自民党の総裁選が行われます。自民党は党規約を改正し、最長で3期9年まで総裁を務めることができるようになりました。現職の安倍晋三総裁(内閣総理大臣)は2012年9月から2期に選出されているので、今回の総裁選に立候補し、当選すれば、3期目に突入です。

では、安倍総理は3選されるのでしょうか?

これについてはほぼ「勝負あり」と見て良いでしょう。というのも、すでに先月29日時点で、共同通信社の調査によれば、国会議員票(405票)のうち約76%にあたる310人が安倍総理を支持するというリードを見せているそうです。

首相、自民総裁3選有力/所属議員310人が支持(2018/7/29 16:28付 共同通信より)

これに対して立候補を準備しているとされる石破茂氏は24人、野田聖子総務相は本人を含めてたった2人(!)だったそうです。そして、自民党総裁選に立候補するためにはそもそも党所属国会議員20人の推薦が必要です。

よって、おそらく野田聖子氏は立候補自体できないため、9月の総裁選は安倍総理と石破茂氏の間で争われることになるでしょう。そして、自民党総裁選は、国会議員票と党員・党友による地方票(405票)の合計810票で争われ、過半数を獲得した候補者が勝利します。

もちろん、まだ総裁選まで時間がありますので、マス・メディア(とくに朝日新聞あたり)が「もりかけ問題」に匹敵するような巨大な捏造スキャンダルを投下して来る可能性はあります。この場合、地方票の多くが石破氏に行き、結果的に接戦になるようなケースも考えられなくはありません。

しかし、自民党支持者層で安倍政権の支持率が高いという事情もあるため、特段の「大どんでん返し」でもない限り、地方票の多くが石破氏に流れるとは考え辛いというのも実情です。ここから、国会議員票を固めた時点で、安倍総理が3選されることはほぼ間違いない情勢だと見て良いでしょう。

焦点は総裁選「後」に…?

財政再建原理主義と戦え!

こうなってくると、これからの焦点は総裁選「後」に尽きると思います。

まず、わが国の経済は、安倍総理が就任して以来、少なくとも雇用については非常に堅調です。有効求人倍率は1倍を超え、失業率は3%を割り込んでいて、「人材不足」が叫ばれている状況にあります。民主党政権時代と比べて、雲泥の違いです。

しかし、経済成長率やインフレ目標などについては達成が道半ばです。その最大の理由は、せっかく日本銀行が積極的な金融政策を採用しているのに、財務省が積極的な財政政策を行うことを妨害している、という点に尽きると思います。

それだけではありません。

財務省は「増税原理主義」のあまり、日本経済がまだ「病み上がり状態」であるにも関わらず、消費税の増税を強行しようとしています。その意味で、財務省と「財政再建」こそが日本経済にとっての最大のガンであることは間違いありません。

ただ、財務省が掲げる「増税原理主義」が日本経済にとっての最大のガンであることは言うまでもありませんが、これを財務省だけの責任にすべきではありません。次の記事に見るように、マス・メディアが財務省発の「国の借金」というプロパガンダを垂れ流し続けていることも深刻です。

財政の「ゆでガエル状態」は、どれだけ危険か/最後は増税しても社会保障費削減の悪夢に(2018/07/19 5:00付 東洋経済オンラインより)

この、「少子高齢化で社会保障費などは膨らむ」、「いくら増税しても足りなくなる」といった東洋経済オンラインのような主張は、素人発想からは説得力があるようにも見えますが、会計士の立場から見て、「複式簿記」ではなく「フロー」だけで考える議論に、残念ながら、まったく理論的整合性はありません。

まずは政府資産の圧縮が筋

ちなみに、財務省が「財政再建」を唱えるのならば、まずは増税ではなく、政府資産の圧縮で対応すべきでしょう。総額135兆円にも達する外貨準備を日本銀行勘定に付け替えるだけで、「国の借金」を102兆円圧縮したうえで、30兆円を超える利益が出ます。

また、国のさまざまな特殊法人、公益法人を解散し、資産を国庫に返納させれば、「国の借金」をさらに100兆円以上、圧縮することが可能です。要するに、消費税を増税しなくても、「国の借金」とやらは200兆円以上、直ちに圧縮できるのです。

もちろん、私はこうした政府資産の圧縮が必要だとは思いません。ただ、あえて「国の借金」を減らすことが重要だとする議論に乗っかるならば、増税ではなく、まずは資産圧縮により公的債務を圧縮するというのが筋であると言わざるを得ないのです。

マス・メディアの虚報問題と反日野党の問題

もう1つ、日本のガンがあるとすれば、それは「もりかけ問題」などの虚報を仕掛けたマス・メディアの問題であり、その虚報に乗っかり、政府の足をひたすら引っ張った、立憲民主党をはじめとする反日野党の問題です。「もりかけ問題」とは、

安倍晋三(氏)が内閣総理大臣としての地位を悪用し、友人が経営する学校法人に対して違法な便宜を供与した疑い

のことです。

この「もりかけ問題」を批判する人たちの意見を見てみると、いずれも「安倍(氏)は怪しい!」「何らかの関与をしたはずだ!」といった「印象」によって批判しています。酷いケースになると、「安倍(氏)が無実だというのなら、無実である証拠を出せ!」といった難癖をつける者もいます。

そして、私が見たところ、この「もりかけ問題」を問題視する人と、新聞、テレビを重視する人は、かなり重複しています。要するに、新聞、テレビが連日のように「もりかけ問題」を繰り返してきたがために、それを素直に信じている、ということでしょう。

そして、立憲民主党をはじめとする反日野党の面々は、「もりかけ問題」を悪用し、国政を停滞させて来ました。ゴールデンウィーク前後に審議拒否と称して国民に無断で20連休を取得したことなどは、その典型例でしょう。

安倍総理だけにできることではない

日本の敵は官僚、マスコミ、野党議員

私のいつもの持論ですが、日本を悪くしているのは、「民主主義的な手続によらないで権力を握っている連中」です。

その筆頭格は官僚であり、なかでも増税原理主義を掲げる財務省という組織が大きなガンですが、それだけではありません。最近、違法天下りや汚職事件などを連発させている文部科学省、「事なかれ外交」を続ける外務省の一部官僚なども、「国民の敵」と呼ぶにふさわしいと思います。

もちろん、別に官僚の全てが反日的だと申し上げるつもりはありません。中には高い倫理観を持ち、日本のために日夜努力している官僚、公務員などもいます。しかし、残念ながら、組織としての官僚機構は「選挙という手段によらないで大きな権力を握っている」という意味で、問題があると言わざるを得ません。

次に、マス・メディアは、日本の場合、新聞・テレビを中心に、事実上、たった8つの会社が情報発信を独占しています(『RSFランキング最新版と倒産に向かうマスゴミ』参照)。

RSFランキング最新版と倒産に向かうマスゴミ

そして、マス・メディア(とくに新聞とテレビ)は、一時期、自分たちのことを「第4の権力」などと称して、おごり高ぶって来ました。「もりかけ問題」などの虚報を垂れ流し、民主的に選ばれた安倍政権を倒そうとする行動は言語道断であり、クーデターの一種です。

そんなマス・メディアと結託しているのが野党議員です。わが国の場合、国会での質問時間の比率は、衆議院では与党1に対して野党2、参議院では与党2に対して野党8という状況です。しかし、国会議員の人数で見れば、衆議院では2対1、参議院では5対3です。

したがって、議員1人当たりで見れば、野党議員は与党議員に対し、衆議院で4倍、参議院で7倍という発言力を持っているのと同じことです。こうした不平等は、是正されなければなりません。

安倍総理にだけ任せるのは無理

繰り返しですが、もはや焦点は「安倍総理が3選されるかどうか」ではなく、「安倍総理が3選されたあとで、どのようなことをするか」に移っています。

たとえば、日本人拉致問題の完全解決のためには、金正恩(きん・しょうおん)の身柄を拘束するなどして拉致査察を実施しなければなりませんし、その前提として、「日本人が拉致されても絶対に助け出してはならない」と規定した憲法第9条第2項を無効化することが必要です。

また、中国の海洋進出に対しては、憲法第9条第2項だけでなく、国防費を倍増させるなどしなければなりませんし、イージス・アショア(陸上イージス)の配備などの問題に対処する必要があります。

さらに、これ以上の景気の腰折れを防ぐためには、来年10月に予定されている消費税率の再引き上げを阻止しなければなりませんし、理想を言えば、消費税法自体、廃止すべきです。

こうした国政の重要課題に対処できる人材と言えば、現状では安倍総理くらいしか思いつきませんが、ただ、安倍総理に「全権委任」するのも危険です。やはり、国民レベルで日本が抱えている現状に関する問題を正確に認識する必要があります。

とくに憲法改正は国民投票による過半数の賛同が必要です。せっかく改憲の発議に漕ぎ着けても、国民が賛同しなければ憲法改正は実現しませんし、マス・メディアが改憲阻止に向けて全力でテロ工作を仕掛けて来ることは火を見るより明らかです。

要するに、民主主義国家においては、私たち一般の日本国民が賢くなるしかない、ということです。

ここで、いつものお願いをしておきたいと思います。

  • 変な報道を続ける新聞を読んでいる人は、その新聞を解約しましょう。
  • 変な報道を続けるテレビを見ている人は、そのテレビを見ないようにしましょう。
  • 選挙にはきちんといきましょう。

これが意味するところについては、読者の皆様にも是非、お考えいただきたいと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. とらじろう より:

    安倍首相がいくら頑張っていても一人の政治家に出来る事なんて限られているんですよね。
    国や社会を良くしていくのはお上ではなく一人一人の有権者なんですよ。
    私が今更偉そうに言うことでもないのですが。

  2. めがねのおやじ より:

    <更新ありがとうございます。

    < 自民党総裁選で、衆参議員の安倍氏支持が310票、対する背後から弓を射る石破氏が24票。地方票が多少流動的だが、もし安倍氏に反旗を翻す人・地域が居て、特定され(るだろう)れば、そこは冷や飯を食わされる。もう3選は間違いないです。

    < 石破氏に至っては、『次の次』の芽も、まず無いでしょう。重要ポストを要求するかもしれません。ホントに不遜な議員だ。党を割って出て行って貰っても結構、さて何人付いていくか(笑)

    < ここで問題は、【脚引っ張る、反日勢力】です。マスゴミ、官僚、野党。3選後、安倍内閣は憲法改正について、具体的論議に入ろうとする。まずは敵対する朝日新聞、毎日新聞、NHKテレビ、共同などが、強烈にまた『モリカケは終わってない』で攻めてくるか、新しいちょっとした政権側のポカを突いてくるか。いずれにしてもマスゴミ+野党、マスゴミ+官僚で、過去最高の抵抗を示す。
    情報弱者もまだまだ多いのですが、国民投票過半数は、今の世情ならギリギリでも取れると思う。

    < それには内閣の体力アップも必要です。重要閣僚はうごかせないが、文科相、その他総裁選で推薦2人の女史とか、実績もないのだから、交代
    させるべきです。

    < この3期目が安倍首相にとっても最大の難事だと思います。対北問題核、拉致問題、対韓、日米同盟の強化、憲法第9条第2項の撤廃、他国と戦える相応しい軍備力の増強、、。

    < 私達国民が出来る事は、朝日新聞ら左傾新聞を読まない、買わない。テレビは見ない、選挙の後で問題起こすような人をオトス、目が必要。それには偉そうに言いますが必ず選挙に行き、しっかり投票するしかありません。 以上。

  3. きゃん より:

    いつも楽しみに拝読しております。前回同様、安倍総理と石破氏の争いですね。2012年の総裁選、那覇市の飲食店で同僚とワンセグで見ていた事を思い出しました。地方票で大きくリードした石破氏でしたが、決戦投票で安倍総理に逆転されるというスリリングな展開であったと記憶しています。今回は投票前に大勢が決した様子ですね。やはりインターネットの発達による「情報取得しやすさ」が大きく影響しているように思えます。

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