ユネスコ世界遺産登録は、今からでも謹んで返上した方が良い

自分たちの経済が危機的な状況にあっても、反日だけは決して忘れない。そんな異常に歪んだ国が、世界遺産登録を巡って再び日本に文句を付けて来ているようです。しかし、佐藤地(さとう・くに)という外務省の役人の「穏便に済ませる」という致命的なミスを考慮すれば、日本側の過失もゼロではありません。

ラオス事故に関する反響

当ウェブサイトでは木曜日と金曜日、連続して、ラオスのダム決壊事故について取り上げました。

1つは、産経系のウェブメディア『zakzak』に掲載された、ジャーナリストの加賀孝英氏が寄稿した論考を取り上げたもので、これについては『ラオスのダム決壊が日本のせい?「韓国の世論操作」説』という記事で議論しています。

ラオスのダム決壊が日本のせい?「韓国の世論操作」説

一方、もう1つは、某匿名掲示板における事実無根の書き込みを基に、「韓国の建設会社が鹿島建設に責任転嫁している」とする悪質なフェイク・ニュースについて言及した、『フェイク・ニュース「韓国がダム決壊を鹿島建設に責任転嫁」』という記事です。

フェイク・ニュース「韓国がダム決壊を鹿島建設に責任転嫁」

いずれの記事も、コメント数はともかく、アクセス履歴を見ると、非常に多くの方々がこれらの記事を閲覧していたことがわかりました。要するに、「またしても韓国が日本に責任転嫁をしてくるのではないか?」といった懸念が、一般社会で広く共有されている証拠でしょう。

韓国側で「今回の事故は日本に責任がある」といった書き込みが実際に散見されていること、以前から韓国は国を挙げて、無実の罪を日本にかぶせて日本人の名誉と尊厳を傷つけてきたという実績を持っていることから、加賀氏が執筆した内容については、あながち根拠なしとは言いきれないと思います。

しかし、だからといって「鹿島建設」という具体的な会社名を出して、「SK建設が鹿島建設に責任をなすりつけようとしている」とまで断定してしまうのは、あきらかなフェイク・ニュースであり、行き過ぎです。

いずれにせよ、このダム事故に関しては、近日中にさまざまな報道をまとめたうえで、再び議論したいと思いますが、本日の話題はこのダム事故とまったく無関係ではありません。というのも、韓国が「日本を貶めるために問題を捏造した事例」について、振り返っておこうと思うからです。

軍艦島の世界遺産登録

経済が危機なのになにをやっているのか

韓国メディア『中央日報』(日本語版)によると、韓国の市民団体「韓国文化遺産回復財団」は、長崎県の軍艦島などの産業革命関連施設をめぐって、ユネスコに対し、世界遺産登録削除を要請する計画を明らかにしたそうです。

韓国市民団体、軍艦島の世界遺産登録削除要請へ(2018年08月03日11時38分付 中央日報日本語版より)

問題の施設は2015年に世界遺産登録にされたものですが、当時、韓国政府は官民挙げて、日本によるこれらの施設の世界遺産登録を妨害。その際に持ち出してきたのが、「朝鮮人が強制徴用され、みずからの意思に反して強制労働に従事させられた」という、捏造に基づく与太話です。

韓国といえば、おもに文在寅(ぶん・ざいいん)政権の政策の失敗により、失業者の急増が社会問題化しています。このような状況のなかで、通常の国ならば、限られた国力を他国に対する妨害に費やすのではなく、経済の再生など、前向きな方向に使うのが筋でしょう。

しかし、こうした状況にも関わらず、韓国が現在、国を挙げて行っていることといえば、今回のユネスコの件も含め、日本人の名誉を全世界で貶めて回るという、きわめて後ろ向きな作業です。

今回、彼らが軍艦島などの世界遺産登録の削除に成功したところで、韓国にとってどのようなメリットがあるというのでしょうか?世界遺産登録が削除され、その分、軍艦島を訪れるはずだった観光客が韓国に押し寄せる、というわけでもないでしょう。

韓国の行動は、どうも私にはまったく理解できません。

世界遺産登録事件は日本にも重大な責任

ただし、それと同時に、軍艦島などの世界遺産登録を巡っては、日本政府(とくに外務省の役人)にも大きな責任があります。中央日報は

日本政府代表は2015年の世界遺産委員会の会議で「1940年代に一部の施設で、数多くの韓国人とそのほかの国民が意思に反して動員され、過酷な条件で労働をさせられた」と述べ、事実上、強制性を認めた

と報じていますが、この点については残念ながら事実です。当時の外務省のユネスコ大使だった佐藤地(さとう・くに)が、実際に次のように発言したからです(ただし、カッコ内の日本語は私の作成した意訳です)。

Japan is prepared to take measures that allow an understanding that there were a large number of Koreans and others who were brought against their will and forced to work under harsh conditions in the 1940s at some of the sites…(日本は非常に多くの朝鮮人を含めた労働者がいくつかの場所で、1940年代に厳しい環境の下、自らの意思に反して連行され、強制労働に従事させられた(中略)ということの理解の促進に向けた行動を取る準備がある。)(※下線部は引用者による加工)

自然にこの文章を読むと、「日本は韓国が主張するとおり、おもに1940年代に、多数の朝鮮人労働者を強制連行し、強制労働に従事させた」と理解できます。もちろん、こんな話は佐藤地が勝手に捏造したものであり、歴史的事実ではありません。

しかし、国際社会においては、佐藤地が日本政府のユネスコ大使としてこのように発言したことで、「第二次世界大戦中に日本が朝鮮人の強制連行を行った」という情報が、あたかも事実であるかのように流布していることも事実です。

韓国が仕掛けてきたプロパガンダにまんまと乗っかり、自ら日本人の名誉と尊厳を傷つける行為に加担した佐藤地のことは、絶対に許してはなりません。

いっそのことゼロ・リセットを!

ただ、佐藤地自身が日本政府を代表して、そのように発言してしまった以上、軍艦島などの世界遺産登録という状態が続いている限りは、日本政府としては速やかに、「日本が朝鮮人に対する強制労働という戦争犯罪行為を行っていた」ということについての資料館を開設する義務が生じています。

実際、中央日報も

第2次世界大戦当時に日本政府も徴用政策を施行したという事実を理解できるよう措置を取る用意がある」とし「日本は情報センターの設置など被害者を追悼するための適切な措置を解釈に含める準備ができている」と公約した。/しかし先月23日から4日間行われた「明治日本の産業革命遺産モニタリング調査団」の調査結果によると、日本は依然として朝鮮人強制労働に関する説明や情報センター設置をしていない。

と指摘していますが、この状態だけを見ると、明らかに日本側が義務を履行していないかのように見えます。このように考えていくならば、軍艦島にとっては、せっかく観光客が増えているところ、まことに申し訳ないのですが、いっそのこと、ユネスコ世界遺産登録はいったん返上するのが良いのではないでしょうか。

「穏便に済ませる」の間違い

ただし、この「軍艦島案件」については、色々な意味で参考になる事件です。

もともと韓国側が要求している内容が単なる言い掛かりであり、理屈のうえでもかなりの無理があるのですが、その言い掛かりにやすやすと応じてしまった佐藤地ら外務省の失態を考えるならば、この問題において日本政府の責任が皆無であるとはいえないからです。

もっと一般化して申し上げるならば、今回の韓国のやり方は、ヤクザの手口と酷似しています。

どうでも良い内容でとにかく言い掛かりをつけ、相手から譲歩を引き出す、というやり方です。人間、だれでも「怒っている相手」を見ると、「なんとか穏便に済ませて欲しい」と思ってしまいますが、この「何とか穏便に」という発想に付け込むのは、ヤクザの常套手段です。

ヤクザに対する本来の正しい対応は、一切、要求に応じないことに尽きます。

それだけではありません。相手が何らかの恐喝をしてきたときには、そのこと自体を問題視し、警察に届け出るなどして被害を訴えることが大切です。

国と国との関係もこれとまったく同じであり、そもそも2015年の時点で日本のユネスコ世界遺産登録を韓国が妨害して来た際に、日本は韓国を一切相手にすべきではありませんでしたし、「強制連行という歴史的事実はない」と突っぱねておくべきでした。

もし「強制連行の歴史的事実はない」と突っぱねたことで、世界遺産登録ができなかったとしても、ユネスコの世界遺産登録も、しょせんは多数決で決まる場ですから、それはそれで仕方がないことです。それよりも、日本は「韓国がウソをついたから世界遺産登録が妨害された!」と大騒ぎすべきだったのです。

ヤクザがきちんとした法に基づく処理を極端に嫌うのと同じく、韓国は国際社会の場における公正な裁定を極端に嫌います。日本が韓国の妨害に対して大騒ぎし、韓国を国際社会に引きずり出した時点で、日本の勝利は確定だったのです。

いずれにせよ、佐藤地による「穏便に済ませる」という発想が、世界遺産登録から3年が経過した現在においてもなお、わが国に禍根を残しているということは否定できない事実です。

それに、軍艦島はユネスコ世界遺産登録されたから観光資源になっているわけではありません。このように考えるならば、いっそのこと、軍艦島の世界遺産登録を、それこそノシを付けて返上してやるのがよいのではないかと思います。

そして、今度こそ日本はユネスコに対し、正式脱退をチラつかせて機構改革を迫るべきです。場合によっては韓国と中国をユネスコから追放させるくらいのことはやっても良いと思います。

いずれにせよ、この件について、私は日本政府の英断を求めたいと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. とゆら より:

    韓国は勝負に関係のないことでも勝ち、負けにこだわり、
    自己の力を証明したい、確認しないと気が済まない性分なのでこれからも日本にとっての嫌がらせは続くでしょう。
    価値観が違うのです。
    韓国を一切相手にすべきではないといことに関しては賛成です。

    あといつか韓国からみた日本のような題材で「ウリナム論」を議論していただきたいと思います。
    韓国のニュースや新聞を読んでいると自身に都合よく他国をウリ扱いしたり完全無視を決め込んだりして
    日本の常識では理解できない言論があるためです。

    果たして日本は韓国にとってウリなのかナムなのか。
    ウリになってほしいのか、下位のウリがご所望なのか。永遠のナムなのか等々です。

    週末や昼休みに記事を拝見して勉強させていただいています。
    暑い日が続いていますが、無理なさらずようお気をつけください。

  2. 雨男 より:

    韓国という国は個人のみならず国家単位で責任転嫁型の無責任体質のようですね。
    だから、自国の経済が危なくなってきたからこそ日本に言い掛かりを付けてきて国民の不満を反らそうとする。それでもいよいよ国家財政が破綻しそうになれば、きっとセウォル号やラオスのダムのときのように責任者たちは我先に亡命したりして逃げ出すのでしょう。

  3. めがねのおやじ より:

    < 更新ありがとうございます。

    < ユネスコの『世界遺産登録』なんぞ、日本は要らんでしょう。なぜユネスコに登録の権限があるのか?百歩譲って、米国と日本はユネスコに資金的な援助を積極的にしてきました。それをヤクザか指定暴力団かのような韓国の『日本貶め』に屈した外務省の言質、またユネスコ自体も、到底許せませんね。

    < この際、ユネスコに三行半叩きつけて、『文句言う奴おるから、辞めたるわ!!』『日本に付きまとう変態国家とは同席しない』でいいでしょう。別に軍艦島やそれ以外の日本で指定された遺産も、【錦の御旗】が無くても来訪者はいます。

    < 中国、韓国こそ退場すべき『愚連隊国家』ですが、そんな連中と論戦も馬鹿らしい。日本が去れば、ユネスコは大幅規模縮小か、解散でしょう。

    < 佐藤地も、外務省初の女性局長とかエリートの方のようですが、2015年に相手に媚びるような発言をし、日本は大迷惑! なんでこんなしょうもない人が、ユネスコ大使、今はハンガリー全権特命大使をやっているのでしょうか。まっったく理解に苦しみます。

    < 『強制労働させられた』については、【懲戒降格処分相当】が普通でしょう。『情報センター』等、絶対作るな。作ったら今の政権持たんよ。佐藤地って、前々から気になっていた名前ですが、今日、詳細を見て余計腹が立ちました。韓国、中国に忖度するな。  以上。

  4. とらじろう より:

    大勢の朝鮮人を本人の意思に反して強制的に労働させてそれに素直に従った朝鮮人。
    はたして当時の日本の統制が凄いのか、当時の朝鮮人が何もしなかったのか。
    あんな狭い島で暴動を起こしたらそれこそ日本や日本人にとっても脅威なはずなのにそんな史実は聞いたことありません。

  5. りょうちん より:

    >あんな狭い島で暴動を起こしたらそれこそ日本や日本人にとっても脅威なはずなのにそんな史実は聞いたことありません。

    そういう足を掬われる様な発言はおやめになった方がいいです。
    例えば、

    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E5%B7%9E%E5%AD%A6%E7%94%9F%E4%BA%8B%E4%BB%B6
    こんなささいな事件でも、暴動まで発展しています。
    (しかし、チマチョゴリ切り裂き事件に似てますなあ)

    他所の国まで行っても暴動を起こす国民性なのに地元で暴動のひとつも起きないなどと言うことはあり得ません。
    逆に言えば、こんなことで燃え上がる様な民族性なのに、強制連行があったと言い張る方が無理なのですが。

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