最近、韓国側から「日韓スワップ待望論」が相次いでいることは事実ですし、このような要望が韓国から出て来ること自体、「厚かましい国だなぁ…」と思い、呆れてしまいます。しかし、いくら韓国が嫌いだからといって、二階俊博・自民党幹事長が「韓国は面倒な国だ」と発言した、といった、明らかなウソをウェブサイトに堂々と掲載して良い、ということにはなりません。
目次
韓国側のスワップ再開論
5月に入り、韓国側から日韓通貨スワップの再開を要求する意見や報道が相次いでいます。当ウェブサイトでもこれらの報道が出るたびに、それがいかに荒唐無稽なものであるかについて、都度、取り上げて来ました(たとえば次のような記事をご参照ください)。
- 2018/05/07 『【昼刊】「外貨準備高最高」なのに「日韓スワップ懇願」の謎』
- 2018/05/08 『【夕刊】呆れた韓国メディア「日韓通貨スワップの追憶」論』
- 2018/05/09 『【昼刊】中央日報で辿る、韓国「韓日スワップ」哀願史』
- 2018/05/10 『往生際の悪い韓国メディア、この期に及んで「通貨スワップ待望論」』
- 2018/05/18 『【昼刊】それって「通貨スワップ」じゃなくて「コミットメントライン」では?』
- 2018/05/29 『【昼刊】日韓パートナーシップと韓国の支離滅裂な行動』
- 2018/05/31 『【準保存版】韓国の外貨準備統計のウソと通貨スワップ』
- 2018/06/05 『【夕刊】韓国の外貨準備のウソと韓国の逆恨み』
そもそも、韓国側で日韓スワップ再開を巡る報道が過熱していくのを、私は不思議な気持ちで眺めていました。どうして日本をあそこまで侮辱しておきながら、自分たちが危なくなったときには助けてもらおうとする、虫が良い発想ができるのか、そもそも理解できないからです。
フェイク・ブログにはご用心!
だからといってフェイクを発して良いというものではない
そして、こうした気持ちを抱いているのは、私だけでなく、ほかの多くの日本国民が同じでしょう。
日韓スワップは民主党・野田政権時代の2011年10月に、総額700億ドル相当にまで増額されたものの、その後は韓国側から日本を挑発するような行動が相次ぐなどしたため、2015年2月にはすべてのスワップ協定が終了し、現在に至ります。
某匿名掲示板などを眺めていると、韓国側で日韓スワップ必要論が提起されるたびに、「盗人猛々しい!」といった意見に加え、韓国に対する罵詈雑言の嵐となっていますが、これまでの経緯を考えるならば、それもやむを得ないところかもしれません。
当ウェブサイトでも、つい先日、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された、次の記事を紹介したばかりです。
韓国全経連、日本自民党に「韓日通貨スワップ」再開を建議(2018年06月04日15時34分付 中央日報日本語版より)
この記事の概要と私自身の所感については、『【夕刊】韓国の外貨準備のウソと韓国の逆恨み』のなかで触れましたので、ここでは繰り返しません。
しかし、「韓国が大嫌い」だからといって、ウソを大々的に流すとうい姿勢についてはいただけません。それが、昨日、某匿名掲示板の議論をまとめた「まとめブログ」の記事です。あえてリンク先を示すことはしませんが、記事のタイトルは次のとおりです。
【韓国発狂】「スワップ!お願いニダ!!」「二階先生助けて!」二階「韓国は面倒な国だ」(2018/06/05付 某まとめブログサイトより)
ただし、タイトルはこのブログサイトに掲載されたものをそのまま転載しています。リンク先を読みたければ、タイトルで検索してください。
基本構造はシンプル
この「まとめブログ」の基本構造は、非常にシンプルです。某匿名掲示板の書き込みから、おそらくブログ管理者が気になった書き込みをピックアップし、それらの書き込みの文字の大きさや色合いを変えて強調することで、結果的に、おもしろおかしく揶揄する、というものです。
転載に当たって、このブログ運用者は、某匿名掲示板の設置者の許可を得ているのでしょうか?この点については、私にはわかりませんし、某匿名掲示板の書き込み・転載ルールの詳細について知っているわけでもありませんので、ここで議論するつもりはありません。
それよりも、元記事の報道にない勝手な書き込みを強調して、「韓国が発狂した」だの、「二階(俊博・自民党幹事長)が『韓国は面倒な国だ』と述べた」だの、いったい何を根拠にこのようなことを決めつけているのでしょうか?
いちおう、二階幹事長が6月4日以降、「韓国は面倒な国だ」と発言したかどうかについて、調べてみたのですが、そのような報道を確認することはできませんでした。というよりも、この『二階「韓国は面倒な国だ」』の下りは、どうやら匿名掲示板の書き込みをそのまま流用したようなのです。
二階幹事長「韓国は面倒な国。日韓合意があるのに慰安婦像の設置を容認してるのはあり得ない。/しばらく放っておこう」
この書き込み自体、誰が何を根拠に書き込んだのかは、よくわかりません。いや、正確に言えば、書き込んだ人も、「仮に自分が二階氏の立場だったらこう言うだろうな」、という気持ちで、軽い気持ちで書いているのだと思います。
前科がたくさん
「河野外相が日韓断交を決断」というフェイク
ちなみに、このフェイク・ニュース・ブログ、この手のウソを垂れ流したのは、1回や2回のことではありません。以前、『フェイク・ニュース・ブログを批判する!』で紹介した、今年1月に河野太郎外相が韓国に抗議したとする次の報道に関する「まとめブログ」が、まさに同じブログサイトだったからです。
韓国の日韓合意新方針 「全く受け入れられない」と河野太郎外相が猛反発、抗議 協議一切応じず(2018.1.9 20:14付 産経ニュースより)
産経ニュースの内容は、今年1月9日時点で韓国政府が打ち出してきた「慰安婦問題に関する日韓合意」を巡って、河野太郎外相が「まったく受け入れられない」と述べた、というものであり、別に突拍子な記事ではありません。
しかし、この報道を、『【速報】 河野太郎閣下、韓国との断交を決意!!!!』という、明らかなウソ記事に捻じ曲げ、大々的に転載したのも、この「まとめブログサイト」でした。もちろん、河野太郎外相が現時点までで「韓国との断交を決意した」という事実はありませんし、外相にそのような権限などありません。
この手の「まとめブログ」は、正直、ウェブ評論家の立場としても、非常に迷惑です。根拠のないデマを大々的に掲載し、広められると、世間的には、「匿名で運営しているウェブ評論サイトは皆怪しい」といった誤解が広まるからです。
さらに、勝手に転載された産経ニュースにとっても、まるで「河野外相が日韓断交を決意したと産経ニュースが報じた」かのように受け止められるのは迷惑でしょう。このフェイク・ニュース・ブログについて、いっそのこと実名を晒し上げたい気持ちでいっぱいです。
フェイク・ニュース撲滅のための唯一の方法
現代日本で最も悪質なフェイク・ニュースを垂れ流す会社といえば、朝日新聞社がその代表格です。しかし、インターネット上にも、「河野外相が日韓断交を決意」だの、「二階幹事長が韓国は面倒な国だと発言した」だの、悪質なフェイク・ニュースを垂れ流すウェブサイトが、確かに存在しているのです。
某匿名掲示板やSNSなど、インターネット空間においては、日々、さまざまな話題について活発な議論が交わされています。これらの議論のなかには、決してマス・メディアが取り上げないような内容が含まれていることも事実です。
そして、「まとめサイト」には、こうした議論を抜粋して転載するという機能があります。その意味で、私は「まとめサイト」自体の社会的な役割を否定するつもりはありません。むしろ、「まとめサイト」が増えれば、そのことによって、マス・メディアの歪みが正されるという効果すら期待できます。
(※余談ですが、私自身は「まとめサイト」を運営しようとはまったく思いません。ウェブ評論家としての醍醐味は、他人の書き込みを転載するのではなく、自分で文章と理論を組み立てて、世に自説を問う、という点にあると思うからです。)
しかし、「河野外相が日韓断交を決意」だの、「二階幹事長が韓国は面倒な国だと発言」といった、どこにも根拠がないウソを堂々と垂れ流すウェブサイトの場合は単なるフェイク・ニュース・ブログであり、有害ですらあります。彼らには朝日新聞社を批判する資格などありません。
ただ、それと同時に、私自身には持論があります。それは、「フェイク・ニュース・メディア」を撲滅するための唯一の方法とは、
「日本国民が賢くなること」
である、ということです。
インターネット規制法、インターネット検閲法のような法律が出現することが、ウェブ評論家にとっては最大の脅威です。その意味で、日本国民が賢くなり、そもそもこの手のいい加減な「まとめブログ」を閲覧しない(あるいは閲覧しても信頼しない)という態度を取るようになることが、何よりも求められているのです。
同様に、朝日新聞社の倒産についても、何らかの暴力的な活動で倒すのではなく、「そもそも多くの日本国民が賢くなり、朝日新聞を買わなくなる」というプロセスをもって達成されるべきだと私は考えているのです。そのことを、これからも強調していきたいと思います。
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なぜ今頃話題になっているのか分かりませんが、2017年1月6日BSフジのプライムニュース内での発言です。
同局のテキストアーカイブ(下記URL)で確認できます。
http://www.bsfuji.tv/primenews/text/txt170106.html
あのサイトは、オカルトネタと同じレベルで、特定アジアネタを扱っていますから
まともに読んでる人はまずいないと思いますが。
確かにこういう問題で揚げ足を取られてネットの規制が強まるのを警戒されるのはもっともなお考えだと思います。またネット上の記事に対してこのように適切な批判をおまとめになるのというのは、ネット世論の成熟のための大変貴重なお仕事であると思います。ネット上の記事について、どの辺りに絶対に超えてはいけない一線を引くのか、また最低限の義務をどのように定めるのか、といった点はサイトの種類や性質によって異なってくるはずであり、非常に難しくかつ重要な課題だと思います。
個人的にはあのサイトはゴシップ誌のノリで楽しませてもらっています(関係者ではありません)。個人的にあのサイトを「まあ許そう」と思っている理由はコメント欄の存在によります。実際あまりにひどい記事だと結構叩かれていますし、気になる記事であればコメント欄の内容を重視しています。そこで、
『日本国民が賢くなり、そもそもこの手のいい加減な「まとめブログ」を閲覧しない(あるいは閲覧しても信頼しない)という態度を取るようになることが、何よりも求められているのです。』
というハードなスタンスとは別に、コメントを受け付けるブログであれば、気になる点があればどしどしコメント欄で叩く、などといった方向性も可能かなと思います。あるサイトについて論じるときには、そこのコメント欄も大変重要な要素であると考えております。またコメント欄に記入するという行為の重要性も増しているように思います。