【夕刊】そりゃないよ、小泉さん

小泉純一郎元首相の次男で、「イケメン政治家」としての誉れも高いのが、小泉進次郎氏です。ただ、私はこの人物の発言を目にすると、どうも「単なるポピュリスト政治家」ではないかとの懸念を抱かざるを得ません。

小泉JRのネジを巻け

おかしいのは小泉進次郎氏の発言の方

小泉元首相の次男で、衆議院議員でもある小泉進次郎氏のおかしな発言が、本日の産経ニュースに報じられています。

自民・小泉進次郎氏「加計問題はやっぱりおかしい」、特別委員会の設置を要求(2018.6.6 11:32付 産経ニュースより)

産経ニュースが報じた小泉氏の発言は、こうです。

  • (加計学園の獣医学部新設をめぐり)「やっぱりおかしい。だったら特別委員会を立ち上げて
  • 国会で国民生活に大事な法案を審議する一方、スキャンダルなどについてもダブルトラックでどう回していくか(が問題だ)」
  • (2015年2月25日に安倍総理と加計理事長が面会していたという情報について)「どう考えても、愛媛県に嘘をついたというのはおかしい

まだ30代と若い小泉氏は「イケメン政治家」として人気が高く、また、マス・メディアが実施する世論調査でも、「次の首相(あるいは将来の首相)にふさわしい政治家」として、ときどき名前が挙がる人物でもあります。

しかし、産経ニュースが報じた内容が事実であれば、小泉氏には根本的に思慮が足りないと言わざるを得ません。なぜなら、産経ニュースが報じた「やっぱりおかしい」という表現は、彼の発言自体にこそ、あてはまるからです。

加計学園「問題」の本質

加計学園「問題」の本質とは、次の1点に限られます。

安倍晋三(氏)が内閣総理大臣としての地位を悪用し、法律に違反して、友人が経営する学校法人の獣医学部新設を違法に認めさせたかどうか。

加計学園「問題」をめぐっては、愛媛県の中村時広知事自身が国会に提出したものを含め、さまざまな怪文書が飛び交っています。しかし、加計学園「問題」とは、安倍総理自身が個人として、法律違反をしていたのかどうか、その1点が問題なのです。

このように考えていくと、そもそも問題設定の第一段階で、「獣医学部の新設を禁止した法律が存在しない」、という点にぶち当たります。いや、むしろ、「獣医学部の新設を禁止した法律が存在しないにも関わらず、文部科学省が勝手に獣医学部の新設を禁止していた」という問題にぶち当たります。

つまり、加計学園「問題」とは、文部科学省自身が、デタラメな法律の運用をしていたという問題に尽きるのです。そして、西日本で不足している獣医学部の新設をめぐり、埒が明かないので、国家戦略特区の枠組みを使って岩盤規制を打破したというのが、問題の本質です。

一方で、加計学園新設が「総理の意向」であるかのごとく、そもそもの「問題」をでっち上げたのは朝日新聞社ですが、その朝日新聞の捏造に乗っかり、虚偽の問題でいっせいに安倍政権を叩いたマス・メディア各社、そしてこの問題で国会を空転させた、民進党を中心とした野党の罪は重いと言わざるを得ません。

ちなみに、昨年7月時点で内閣支持率は2012年12月の安倍内閣発足以来の最低値を更新しましたが、安倍総理が9月に衆議院解散を決断したところ、最大野党だった民進党が吹き飛び、自民党は10月の総選挙で圧勝しました。

これが「もりかけ問題」に対する民意であると結論付けて良いでしょう。

小泉氏が持つ、ポピュリスト的な性質

こうした経緯を踏まえるならば、小泉進次郎氏の発言は、聞き捨てなりません。

産経ニュースをはじめ、マス・メディアは政治家の発言を切り取って伝えることがあるため、小泉氏が「もりかけ」問題を巡り、政権批判的な視点で発言したと判断するのは早計かもしれません。しかし、記事だけを信じるならば、同氏の発言は、存在しない問題をでっち上げようとする動きにほかなりません。

小泉進次郎氏が、物事の本質を理解せず、その場の雰囲気でマス・メディアに迎合的な発言を行うことがある、という点については注意しなければならないでしょう。もしかすると、小泉進次郎氏は相当に父親の薫陶を受けているのかもしれません。

ちなみに、小泉氏の父親である小泉純一郎元首相を巡っては、私自身は基本的に評価していません。なぜなら、北朝鮮核問題にしろ、日本国憲法改正問題にしろ、彼のころに一切手を付けなかった(あるいは先送りにした)ことが、今日の日本に禍根を残しているからです。

小泉元首相は、その場のマス・メディアの空気を読み、マス・メディア受けする発言を発信する能力には長けていたかもしれません。しかし、しょせんはポピュリスト(大衆迎合主義者)に過ぎないと私は考えているのです(機会があればいずれ、この問題について議論してみたいと思います)。

とくに、石破茂氏のように「安倍政権に対し、後ろから弾を撃つ」という姿勢を見せたならば、自民党は小泉進次郎氏を全力で排除しなければなりません。まだ若い小泉進次郎氏が「国士」となって日本を良い方向に導ける政治家となるか、それとも「ポピュリスト」に成り果てるかは、彼次第でしょう。

産経ニュースを盲信しない

もっとも、この話題を巡っては、「産経ニュースの報道が正しいならば」、という前提を置く必要があります。ただでさえ、マス・メディアは政治家らの発言を「切り貼り」して報道することが多く、政治家が発言した内容が、本人の意図とはまったく違ったニュアンスで伝わることが、多々あるからです。

この点については、小泉進次郎氏の名誉とウェブサイトの議論の公正さのため、付言しておく必要があるでしょう。

ところで、当ウェブサイトでは、産経ニュースの報道を引用することが非常に多いです。

まず、マス・メディアのニュースを引用することが多い理由は、私自身がジャーナリストではなく、「取材に出掛ける」、「政治家にインタビューする」、といった、ジャーナリストならではの活動ができないからです。ただ、自分自身で取材できないという制約は、「ビジネスマン評論家」としての宿命といえます。

しかし、日本のメディアの中で、産経ニュースを引用することが多い理由は、シンプルに次の2点です。

  • 原則として過去の全ての記事を無料で読むことが可能であること
  • 既存メディアの中では比較的バランスが取れていると思われること

逆に言えば、NHKのように、公表したニュースをすぐに抹消してしまうようなウェブサイトだと、情報源としては信頼に値しませんし、朝日新聞のように記事自体を捏造したり、著しくバランスを欠いたりしているようなメディアも、情報源としては不適切です。

(※もっとも、朝日新聞の社説は「批判する」目的で引用することがありますが、これはまた引用する目的が異なります。)

一方、海外メディアの中で、よく引用するのは、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙や米ワシントン・ポスト(WP)、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ですが、これらのメディアの場合、「過去の全ての記事を無料で読むことができる」という要件を満たしていないため、引用に当たっては慎重です。

(※余談ですが、韓国メディアである中央日報の日本語版は、過去の全ての記事を無料で参照することができ、かつ、読者コメントも自由に寄せることができるため、意外かもしれませんが、当ウェブサイトとしては最も好むメディアでもあるのです。)

ただ、産経ニュースの報道を紹介することが多いのは、「産経新聞が無条件に信頼に足るメディアである」からではありません。あくまでも「他のメディアと比べてバランスが取れていて、かつ、引用しやすいためである」という理由に基づくものです。

その意味で、本日引用したものも含め、「産経ニュースだから信頼できる」などと盲信する、というスタンスについては慎重でありたいと思うのです。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. もう生理的にムリ より:

    小泉ジュニアは正直マスコミ芸人にしか見えません
    親の劇場型政治、つまりポピュリストをそのまま継いでいるだけでしょう
    正直あれがそのまま順調に政治家として大成していくなら、日本の国民のレベルも自民党もその程度という事でしょう
    一方親小泉の方は大罪人だと思っています
    郵貯の事、派遣の事、北朝鮮への援助の事(その上密約もありかねない)、戦後稀に見る、売国無能総理でしょう
    今も偉そうに安倍氏批判などしていますが、お前の方が批判を受け反省しろ、としか思えません
    当時鈍感力、等と言ってましたが、要は自分勝手で面の皮が厚いという、人として最低という事です
    政治家なので批判や中傷には耐えられなければ困りますが、それはあくまで政策実現や理想の追求の為に求められるもので、ダブスタや自己利益の為ではありません
    目先の票の為に小泉息子を重用するのは後に大きな禍根を残すと思います

  2. めがねのおやじ より:

    < 夕刊の発信ありがとうございます。
    < 小泉進次郎氏の発言を見ていると、失礼ながら『相当アタマのデキが悪い人やな』と感じられてなりません。いわゆる「大衆迎合主義」的、世間受けする言葉を用いる。父親の影響が強いのか、話かたが似ている。でも内容のない薄っぺらさを進次郎氏には強く感じます。初当選ごろから、相当アクが強いですね。
    < 何かの調査で『次の総理は誰がなればいいか?』で小泉進次郎氏がトップになったりする(アレッ石破氏は、、?)。いったいどこを見たら彼を評価できるのか、サッパリ分かりません。私見ですが、河野洋平氏に似ている。大物の党人派の河野一郎氏を父に持ち、颯爽とデビューしたが、党を割ってでて、また戻っている。その間に朝鮮総連との特別な関係や(信じられない!)、親戚に朝日新聞社員が複数名いる事実、そして極め付けが皆さんご存知の韓国への『河野談話』。完全にミソを付けて終わった。安倍首相もあの発言を問題視しています。
    < いくらオヤジの七光りがあると言っても、せいぜい存命の間まで。バックが無くなったら、自分の腕一本で生き抜かないといけない。それがまだ今の、進次郎氏にはまったく見えません。『加計側の説明がおかしい。参議院特別委員会を要望する』って、いくら筆頭副幹事長とはいえ、言っている意味がキミは分かっているのか?親分に咬みついているのと同じ、石破氏と同じだ。当選4回ごときで『次期総理』とか周りが持て囃すのも問題だが、父親の薫陶が効き過ぎているのか、危なっかしくて、世間知らずで、このヒトはいずれ失敗すると見る。
    < 失礼します。

  3. 喜平 より:

    韓国経済が悪化しているようです。
    ムン大統領が公約を守って最低賃金を上げたことにより雇用主が雇用を控え、従業員を雇っても就業時間を短縮しているようです。
    結果、今年4月に15~19歳の就業者数は18万9千人で、昨年4月より7万6千人(28.6%)減少です。
    http://news.nate.com/view/20180606n04143

    同時に物価も上昇。
    中には10%近く上がった食品もあるとか。
    http://news.nate.com/view/20180606n04143

    韓国は今どういう状況になっているのでしょう・・・。

    1. 喜平 より:

      間違えました物価上昇の記事はこっち。
      http://news.nate.com/view/20180606n03072

  4. koko より:

    穿った見方をすると、どうでもいいモリカケだからこそ、今はポピュリズムに走るというか点数稼ぎをしてる気もします。

    純一郎氏もポピュリズムで郵政改革をしたわけでなく、信念である郵政改革の為にポピュリズムに走ったのかとも。

    進次郎氏、本人すら固まっていないのかもしれませんが、この人の本当にやりたいことはなんだろう?
    それが国益に沿うものであればいいのですが

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告