【緊急提言】韓国大使の「ペルソナ・ノン・グラータ」を議論する
韓国メディア・中央日報日本語版に、日本国民の1人として、決して無視できない記述を発見しました。そこで、今朝の朝刊『【速報】施政方針演説から外交を読む』の続きとして、日韓関係が「普通の隣国関係」に脱皮する貴重なチャンスが到来していることを議論します。
目次
韓国大使の内政干渉宣言
外務省は真相を調査せよ!
韓国の李洙勲(り・しゅくん)駐日大使が重大な問題発言を行いました。
李洙勲駐日大使「慰安婦合意、傷に触れればぶり返す」(2018年01月23日08時12分)
本日の中央日報(日本語版)の報道によれば、今月15日に東京で(おそらく韓国人の)記者と懇談した李大使は、「日本の政治家らに頻繁に会って、慰安婦問題が解決済みであるとする日本政府の立場が広がらないように努力している」と発言したのです。
事実であれば、とんでもない発言です。なぜなら、他国の内政に、堂々と干渉すると宣言したのと同じだからです。
いちおう、裏を取るべく、他のメディアも探してみたのですが、私が発見したのは、今のところはこの中央日報の記事だけです。したがって、以下の議論は中央日報の報道が捏造ではないという前提で構築していることを、あらかじめお断り申し上げます。
中央日報の記事から、慰安婦合意に関する李大使の発言を抜粋すると、だいたい次のとおりです。
- (日韓合意に対する追加措置に関して)慰安婦問題はその(2015年12月の日韓慰安婦)合意でも解決できないが、韓日間で追加のいかなる努力を共にするのは本当に難しい
- 長い呼吸で眺めて長期的に接近しなければいけない
- 正確な例えかは分からないが、何度も解決しようとするのは、傷はそっと置いておくのがよいが、それを貼ったり剥がしたりしているうちにぶり返すのと同じ
- (葛藤が)さらに深まらないように、イシューにならないように縫合というか、そのようなことが必要だ
- 安倍政権は慰安婦合意に対して確固たる立場を見せている。現在としてはあまり期待しない。それで政治家らに頻繁に会い(こうした日本政府の立場が)広がらないように努力している
(下線部は引用者による加工)
日本政府外務省は直ちに李大使を外務省に呼んで、この発言の真意を確かめるべきでしょう。
慰安婦問題は、表向きは韓国の国内問題になった
では、なぜこれがそれほどまでに深刻なのでしょうか?
表向きの議論をするならば、慰安婦問題は、すでに韓国の国内問題になったからです。
2015年12月、岸田文雄外相と韓国の尹炳世(いん・へいせい)外交部長官(いずれも当時)が、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決で合意しました。外務省のウェブサイトに掲載された合意を私の責任で要約すると、次の4点です。
- ①慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感し、安倍晋三総理大臣は日本国を代表して心からおわびと反省の気持ちを表明する。
- ②韓国政府は元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、日本政府はその財団に対し、政府予算から10億円を一括で拠出する。
- ③韓国政府は在韓国日本大使館前に慰安婦像が設置されている問題を巡って、適切に解決されるように努力する。
- ④上記②の措置が実施されるとの前提で、日韓両国政府は、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認し、あわせて本問題について、国連等国際社会において互いに非難・批判することを控える。
そして、日本側は②の措置、つまり韓国政府が設立した「和解・癒し財団」に対する10億円の拠出を終えています。つまり、この問題はすでに最終的かつ不可逆的に解決されているのであり、あとは韓国の国内問題となりました。
自称元慰安婦らが納得しなかったとしても、日本政府・日本国民としては、関与する必要すらありませんし、今後、韓国がこの問題を蒸し返すならば、韓国側が日本に対する加害者になります。
もちろん、私も日本人の1人として、この「日韓慰安婦合意」には100%満足しているわけではなく、それどころか破棄できるなら破棄して欲しい気持ちすらありますが ((私が考える「慰安婦合意の問題点」については、詳しくは『慰安婦合意という「地雷」を踏んだ韓国大統領』の『議論の前提:慰安婦合意を「きちんと」読む』で議論しています)) 、それでも国際合意である以上、日本側から破棄することは絶対にしてはなりません。
いや、それどころか日本側はすでに義務をすべて履行しているわけですから、韓国側がこの合意を守らなければ、韓国は外国との約束を守らない、最低限の信義すら通じない国だ、ということになるのです。
韓国側の合意違反は受忍限度を超えている!
もちろん、私は韓国が国内で、「日韓慰安婦合意」の枠に収まり切らない、元慰安婦らの支援活動を行うことについては、別にわが国が口を挟む問題ではないと考えます。また、ウソであれ捏造であれ、どんな教育を自国民に施したとしても、それも韓国の内政問題です。
しかし、そのことを国際社会に対して主張し始めるとなれば、話はまったく変わってきます。
韓国は2015年12月の日韓慰安婦合意以降も、それこそ国を挙げて、全世界にあの醜悪な慰安婦像と虚偽の碑文を設置しまくっています。そして、韓国が騒げば騒ぐほど、世界各国は日本に対して懐疑の目を向けることになります。
つまり、現時点ですでに、韓国は国を挙げて2015年12月の慰安婦合意に違反する行為を行っているのであり、それにより日本は現在進行形で、韓国から「日本人に対する民族差別」という被害を受けているのです。
これを「ヘイト犯罪」と言わずして、なんと言えば良いのかわかりません。
日本人がこのようなヘイト犯罪の被害に遭う最大の責任が、慰安婦問題を捏造した朝日新聞社にあることは間違いありません。しかし、2015年12月の日韓慰安婦合意も「日本政府があたかも慰安婦問題が存在したかのように認めた」という意味で、日本人に対するヘイト犯罪を助長しているのであり、これについての安倍総理自身の責任も重大です。
韓国政府の立場は、「合意は破棄していないが履行するつもりもない」というものですが、履行する意思がない以上、事実上、破棄したのと同じです。(『慰安婦合意という「地雷」を踏んだ韓国大統領』)。
ということは、すでに慰安婦合意は韓国側から破棄されたものと受け取り、日本政府としてはただちに国際社会(とくに米国)に対して、韓国の合意違反を責め立てなければなりません。
施政方針演説に発狂する韓国
ツー・トラック外交を許すな!
ところで、先ほどの李洙勲大使の発言を取り上げた中央日報の記事に
「(日韓)葛藤の震源地(慰安婦合意)は現状態で置いておき、協議可能な事案から処理する」
という文章がありますが、これは、典型的な「ツー・トラック外交」の考え方です。
『韓国「ツー・トラック」とは「一方的に要求すること」』でも述べたとおり、これは、「韓国から日本に要求はするが、日本から韓国への要求は無視する戦略」だと考えればわかりやすいでしょう。
日本政府・安倍政権は韓国に対してどのような措置を下すのでしょうか?
仮に日本政府が再び韓国によるツー・トラック外交を許すことになれば、今度こそ、わが国の立場は危うくなります。というのも、韓国の現政権は現在、明らかに中国と北朝鮮と通じているからです。
何か妙な言質を与えると、そこから韓国は、日本という国自体を揺るがす行為に出て来るでしょう。それを許してはなりません。その意味で、今こそが安倍政権の対韓外交の正念場なのです。
韓国への言及は、たった68文字
これについてはちょうど本日の「朝刊」でも触れた、非常にホットな話題があります。
昨日(1月22日)に安倍総理が国会で行った施政方針演説の中で、韓国について触れられた箇所が、次の下りだけだったのです。
韓国の文在寅大統領とは、これまでの両国間の国際約束、相互の信頼の積み重ねの上に、未来志向で、新たな時代の協力関係を深化させてまいります。(2018/01/22付 第196回国会における施政方針演説)
文字数にしてたった68文字です。
TPP加盟国、欧州連合(EU)、米国、中東、北朝鮮、中国、ロシアなどについて深く言及しているのと比べると、韓国に対する扱いの軽さが目立ちます。
それだけではありません。
今回の演説では、前回までの「施政方針演説」「所信表明演説」に見られた「ある表現」が、完全に欠落しているのです。
- 韓国は、戦略的利益を共有する最も重要な隣国であり、未来志向、相互の信頼の下に、新しい時代の協力関係を深化させてまいります。(2016/09/26付 第192回国会における所信表明演説)
- 韓国とは、昨年末、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認し、長年の懸案に終止符を打ちました。戦略的利益を共有する最も重要な隣国として、新しい時代の協力関係を築き、東アジアの平和と繁栄を確かなものとしてまいります。(2016/01/22付 第190回国会における施政方針演説)
- 韓国は、最も重要な隣国です。日韓国交正常化五十周年を迎え、関係改善に向けて話合いを積み重ねてまいります。対話のドアは、常にオープンであります。(2015/02/12付 第189回国会における施政方針演説)
- 基本的な価値や利益を共有し、最も重要な隣国である、韓国との関係改善に向け、一歩一歩努力を重ねてまいります。(2014/09/29付 第187回国会における所信表明演説)
- 韓国は、基本的な価値や利益を共有する、最も重要な隣国です。日韓の良好な関係は、両国のみならず、東アジアの平和と繁栄にとって不可欠であり、大局的な観点から協力関係の構築に努めてまいります。(2014/01/24付 第186回国会における施政方針演説)
- 韓国は、自由や民主主義といった基本的価値と利益を共有する最も重要な隣国です。朴槿惠新大統領の就任を心より歓迎いたします。日韓の間には、困難な問題もありますが、二十一世紀にふさわしい未来志向で重要なパートナーシップの構築を目指して協力していきます。(2013/02/28付 第183回国会における施政方針演説)
それはいったい何でしょうか?
韓国とは価値も利益も共有せず
安倍総理就任後の演説を見ると、それは一目瞭然です。
- 「自由や民主主義といった基本的価値と利益を共有する最も重要な隣国」(2013/02/28)
- 「基本的な価値や利益を共有する、最も重要な隣国」(2014/01/24)
- 「基本的な価値や利益を共有し、最も重要な隣国である」(2014/09/29)
- 「最も重要な隣国」(2015/02/12)
- 「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」(2016/01/22)
- 「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」(2016/09/26)
最初は韓国を「自由や民主主義といった基本的価値」と「利益」を共有する「最も重要な隣国」だったのが、2015年2月に「基本的価値の共有」という文言が抜けて、単なる「最も重要な隣国」に変化。その後、いったんは「戦略的利益を共有する」という表現が加わりましたが、それでも「基本的価値の共有」については抜けたままです。
『ビジネスマンのセンスで外交青書を読む』の中でも議論しましたが、わが国の政府・外務省が外国を評価するときには、その国や地域が「基本的な価値」を共有しているかどうかという点と、「戦略的利益」を共有しているかという点の2つを軸に、日本との近さ・遠さを加味しています。
考えてみれば、国際的な約束事を平気で反故にしようとする国、隣国にウソの罪を被せようとする国とは、そもそも友好が成り立つはずもありません。
これは、私自身のようなウェブ評論家を含めた、さまざまな「韓国ウォッチャー」が、今まで散々指摘して来たことです。そして、『安倍政権の本当のスキャンダル』の中の『対韓外交こそがアキレス腱!』で指摘したとおり、「外交上手」であるはずの安倍政権は対韓外交での詰めの甘さが目立ちました。
今回、安倍総理が施政方針演説の中で、韓国を「価値も利益も共有せず」と明示したことは、やっと安倍外交が現実に追いついてきたという意味で、私としては全面的に歓迎したいと思います。
アキレス腱克服の第一歩は駐日韓国大使の追放
私が思うに、安倍総理の対韓外交とは、日韓関係を「特別な二国間関係」から「普通の隣国関係」に落とす作業でした。事実、「価値や戦略を共有する最も重要な関係」からスタートし、2015年に「価値」が欠落し、そして、2018年には「戦略」すら欠落しました。
今までの韓国には、旧日本領だったという「特別な関係」に対する期待(あるいは日本に対する「甘え」)があり、日本に対しては多少の無茶を言っても許される、という勘違いがありました。しかし、昨年暮れの「日韓慰安婦合意検証タスクフォース」以降、安倍政権は「合意は1ミリも動かない」と断言し、微動だにしなかったばかりか、今回は国会の施政方針演説という「誰にでもわかる形」で、日韓関係が変質したことを示してくれました。
ただ、韓国の慰安婦合意の精神を踏みにじる行為に対する対抗措置は、十分とはいえません。よって、目に見える形で対抗措置を講じるべきです。
私は以前から、韓国人に対する観光ビザ免除プログラムを巡り、滞在可能日数を現行の90日から15日程度にまで短縮するなどの措置を打ち出すべきだと主張して来ましたが(『日本政府は「訪日客4000万人目標」を撤回せよ!』参照)、それだけではありません。
外交上、「好ましからざる人物」(ペルソナ・ノン・グラータ)という概念があります。これは、日韓関係でいえば、日本に駐在する韓国大使館・領事館関係者に、「日本から離任せよ」と要求することです。
中央日報の報道が正しければ、李洙勲大使は日本国内において内政干渉を堂々と行っているわけですから、これを放置しておけば、日本の政界でも「慰安婦合意は破棄し、韓国に特別な配慮をすべきだ」、といった誤った意見が蔓延することにもなりかねません。
よって、外国勢力による内政干渉を排除するために、外務省は直ちに李洙勲大使を「ペルソナ・ノン・グラータ」に指定すべきです。そして、日韓関係は「特別な関係」から「普通の隣国関係」に向けて脱皮すべきです。
私は、そう強く主張したいと思います。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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< 2度目の更新ありがとうございます。
< この駐日韓国大使の李氏という大馬鹿者、いったい何を考えてしゃべってんだ!日韓は嘘でもいちおう「友邦」だろう?なのに合意の履行には相手国に居ながら、全く協力せぬわ、真逆の「慰安婦問題が解決済みであるとする日本政府の立場が広がらないように努力している」とはケンカ売っているんかい!即刻退去を求める。アンタこそ「このましからざる人物」、ペルソナ・ノン・グラータ。韓国記者相手で多少リップサービスが過ぎた、朝鮮民族特有の『大きいことを言う』タチが現れたのか。親韓議員がそれに同調したら大変だ。また相手のカードになる可能性もある。
< また、韓国の女性家族部長官の鄭氏が「和解・癒し財団を年内に解散する」と発言。10億円はどうするかもあいまい。なんじゃこれ?
< 韓国とは絶交だ。しかしおいそれとはそこまで踏み込めないなら、『慰安婦合意は韓国から破棄された』ことを米国はじめ世界中に日本政府は発信すべし。そして米国には日米韓の枠組返上日米のみで組む意向を伝える。韓国への報復措置としては①日本人の渡航、急ぎ以外中止勧告。安全レベルを3に引き上げ。②観光ビザ免除プログラム90日を7日に短縮(観光なら十分でしょ)。③駐日大使領事の追放、公館閉鎖—を即時行う。
< 本当に腹の立つ中央日報の記事、大使、長官発言でした。
< 失礼します。
なんだか韓国、凄いことになってますね。ペルソナ・ノン・グラータって中々鋭い視点だと思いますよ。てかどーして外務省が動かないんだろ?
めがねの親父さんへ
>韓国への報復措置としては①日本人の渡航、急ぎ以外中止勧告。安全レベルを3に引き上げ。②観光ビザ免除プログラム90日を7日に短縮(観光なら十分でしょ)。③駐日大使領事の追放、公館閉鎖—を即時行う。
全くその通りだよ。だけどそれをさっさとやらないから害務省って言われるんだよ。国民がもっと声上げた方がいいですね。
ペルソナノングラータって外務省わかってんのかな?JBプレスに↓こんな記事もあった。
政治 安全保障
専用機より外務職員の主権・国益意識向上が先決
外相が世界を飛び回っても効果を挙げない外務省の体質を改善せよ
2018.1.23(火) 森 清勇
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52140
識者の間では長年、「害」務省と酷評されながらも、国民生活とはかけ離れたところに外務省は存在し得た。
害務省ってネット用語じゃなかったっけ?