あの「ふざけた日韓慰安婦合意」から、本日で丸一年が経過しました。経済面で中国依存を、軍事面で米国依存を深めすぎた韓国。後に残るのは「米中股裂きによる国論分断」だ―。最近になって、こんな議論をよく見かけるようになりました。本日は、「韓国観光統計の定期レビュー」の機会に合わせて、「米中股裂き状態」の韓国を概観しておきましょう。

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    経済面で中国依存を深めすぎた韓国

    日経「韓国大統領選を中国が操る」

    日経ビジネスオンラインに不定期に掲載される、日本経済新聞社の鈴置高史編集委員の手による人気コラム『早読み深読み朝鮮半島』シリーズの「最新作」として、昨日、『中国が操る韓国大統領レース』なる記事が掲載されました。

    「日経」の名を冠した超一流メディアである「日経ビジネス」に、オンライン版であるとはいえ、ここまで「過激な」論調が掲載されるようになるとは、時代も変わったものです。

    この鈴置編集委員の人気コラムを含めた日経ビジネスオンラインの記事の閲覧には、日経IDへの「読者登録」が必要です(現在のところは無料)。私は、鈴置氏と、ジャーナリストの福島香織氏の記事を読むためであれば、「読者登録」という手間をかける価値があると考えております。是非、皆様も読者登録のうえで、リンク先記事をご一読ください。

    ※ただし、私は「日経ビジネス」の回し者ではありませんし、日本経済新聞社から一銭も広告料をもらっていません。

    中国による韓国イジメ

    鈴置編集委員によると、中国政府は「『韓国に行く観光客を20%減らせ』と中国の旅行会社に指示」し、その影響を受け、2016年11月に韓国を訪問した中国人客は前年同月比1.8%増に留まった、と指摘しています。

    これについて、私も内容を調べてみました。具体的には、韓国観光公社がウェブサイト(韓国語版)で12月22日に公表した「韓国観光統計・2016年11月版」です。

    このうち、「中国国籍者」(中国在住の朝鮮族を含み、台湾、香港などを含まない)の入国者数を見ると、確かに今年11月に顕著な落ち込みが見られます(図表1)。

    図表1 韓国への中国人入国者数の推移

    なお、2015年6月以降、急激に入国者数が落ち込んでいる原因は、MERS(中東呼吸器症候群)のためであり、一種の「一時的要因」です。しかし、2016年11月の入国者数の落ち込みは、明らかに不自然です。

    こうした傾向は、これからも続くのでしょうか?そして、中国人観光客の韓国入国者数が落ち込めば、韓国観光産業にはどのような影響が生じるのでしょうか?

    これがどの程度の影響を与えるのか、違う角度から見てみましょう。大前提として、韓国に入国する外国人の数は、ここ数年、「うなぎ上りに」急増しています(図表2図表3)。

    図表2 韓国に入国する外国人の推移(実数、単位:千人)
    年度 入国者数 うち日本人 うち中国人
    2012 10,817 3,591 2,800
    2013 11,771 2,760 4,247
    2014 13,750 2,325 5,983
    2015 12,931 1,848 5,939
    2016 16,738 2,261 7,997
    図表3 韓国に入国する外国人の推移(グラフ)

    (ただし、図表2・図表3では「前年12月から当年11月まで」の12か月間を集計しており、たとえば「2016年」は「2015年12月から2016年11月までの累計値」を意味する)

    しかし、入国者数の伸びを牽引しているのは、明らかに中国です。このことを明らかにするために、入国者の国籍別シェアの推移を確認してみましょう(図表4)。

    図表4 韓国に入国する外国人のシェアの推移

    つまり、2016年における入国者全体に占める中国人のシェアは、実に50%近くを占めているのです。

    トランジット・ツアーやビザ免除プログラム

    では、どうして中国人観光客がこれほどまでに大挙して、韓国を訪れているのでしょうか?

    その「からくり」の一つは、おそらく、「ビザ免除プログラム」にあります。

    中国は「世界第二位の経済大国」となったにも関わらず、中国本土のパスポート保持者は、外国に出かけるためには「入国ビザ」が必要です。たとえば、日本の場合、中国人観光客に対する「観光ビザ」は、簡単には下りません(図表5)。

    図表5 日本の中国人観光客に対する観光ビザ
    区分 概要 備考
    団体観光ビザ 中国の関連法令に基づく「団体観光」の形式をとり、滞在期間は15日以内 「団体観光ビザ」の場合、添乗員なしの自由行動は認められない
    個人観光一次ビザ 団体観光の形式をとらない「一次ビザ」(ビザ一枚につき1回しか入国できないビザ)。滞在期間は15日または30日以内 事前に旅行日程を作成して中国の旅行会社を通じてビザを申請する
    沖縄県数次ビザ/東北三県数次ビザ 1回目に沖縄県や東北三県で1泊以上するなどの要件を満たした場合に発給される、何度でも日本に入国できるビザ。有効期間3年、1回の滞在期間は30日以内 1回目の訪問のみ旅行会社を通じてビザを申請すれば2回目以降は旅行会社に旅行手配を依頼する必要はない。発給対象者は十分な経済力を有する者とその家族などに限られる
    相当な高所得者用数次ビザ 有効期間5年、1回の滞在期間90日以内の数次ビザ 1回目だけ旅行会社を通じてビザを申請すれば2回目以降は旅行会社に旅行手配を依頼する必要はない

    (【出所】外務省ウェブサイト

    ところが、韓国の場合、済州島(さいしゅうとう)を訪れる中国人に対しては、観光ビザが免除されています。韓国の外務省や観光公社などから条件を調べてみると、

    • 済州島を訪問する中国人は最大30日までビザなしで滞在ができる
    • EU諸国、スイス、日本、米国、カナダ、豪州、ニュージーランドなどの在留資格を所持している中国人は、一定の条件でビザなし入国が可能
    • 済州島に向かうために仁川国際空港などで乗継をする場合には、最大15日までビザなしで入国・滞在ができる

    といったものです。

    さらに、韓国の「ハブ空港」である仁川国際空港には、乗換(トランジット)客を対象に、「トランジット・ツアー」と称して、たとえば、次のようなサービスが提供されています。

    ご出発まで2時間以上の余裕がある方は無料のトランジット・ツアーにご参加して素敵な思い出を作ってください。トランジットツアーバスでは各言語の通訳サービスを提供しており、伝統文化と大衆文化を体験することができます。

    このトランジット・ツアーには、たとえば「韓国の伝統文化と歴史を観覧できるソウル市内の王宮・博物館ツアー」「弘大入口周辺のカルチャーストリート観覧」といった項目が含まれていますが、これに参加したければ、仁川国際空港のトランジット・エリアから韓国に入国する必要があります。

    おそらく、中国では済州島をメインの訪問先に組み込んだ「韓国ツアー」が販売されているのではないでしょうか?そして、時間がない中国人観光客は仁川国際空港で「途中降機」し、「トランジット・ツアー」に参加している、ということではないかと思います。

    戻らない「日本人観光客」

    いずれにせよ、中国人観光客は韓国観光産業にとって、極めて重要性が高いのです。ただ、その中国人観光客の韓国入国者数が、不自然なほど急落していることは、韓国経済全体の動向を予測する上でも重要なファクターです。

    そして、韓国の観光産業にとっては、もう一つの「重要な顧客」である日本人の動向を追いかけてみると、図表6の通りです。

    図表6 韓国への日本人入国者数

    2012年といえば、「韓流ブーム」のピークだった時点です。しかし、2012年9月以降、日本人の韓国訪問者数は急降下。3年後の2015年には大きく落ち込んでしまいましたが、さらにMERSの大流行もあり、2015年7月には、韓国訪問者数は月間10万人を割り込みました。

    ただ、その後の日本人入国者数は持ち直しており、今年6月以降は最悪期だった2015年だけでなく、2014年の入国実績を回復。さらに、昨日も『最新版「外交に関する世論調査」レビュー』で触れたとおり、日本人の対韓感情も前回調査と比べると顕著に改善しています。

    しかし、これはあくまでも「短期的な話」に過ぎません。「韓流ブーム」が発生していた時代と比べれば、日本人の韓国入国者数も少なく、日本人の対韓感情も悪化ひたままです。

    従って私は、長期的には、日本という国全体が韓国と距離を置こうとしていることは間違いないと考えています。

    「中国依存」は観光だけではない

    韓国は中国人観光客によって潤っているのですが、韓国の「中国依存」は観光だけに留まりません。

    少し古い統計ですが、総務省統計局が出版する「世界の統計2016」によると、韓国にとって中国は「最大の貿易相手国」です(図表7図表8)。

    図表7 韓国の輸出相手国・金額(単位:百万ドル)
    輸出相手国 2013年 2014年
    輸出総額 559,619 573,075
    中国 145,869 145,328
    アメリカ合衆国 62,327 70,598
    日本 34,662 32,248
    香港 27,756 27,275
    シンガポール 22,289 23,906
    図表8 韓国の輸入相手国・金額(単位:百万ドル)
    輸入相手国 2013年 2014年
    輸入総額 515,573 525,557
    中国 83,051 90,071
    日本 60,029 53,776
    アメリカ合衆国 41,762 45,531
    サウジアラビア 37,665 36,724
    カタール 25,874 25,728

    つまり、韓国にとっては貿易面でも中国の重要性が極めて高く、2014年における韓国の貿易において、中国は

    • 輸出金額の25%
    • 輸入金額の17%

    と、圧倒的なシェアを占めています。

    ちなみに、日本については図表9図表10の通りです。

    図表9 日本の輸出相手国・金額(単位:百万ドル)
    輸出相手国 2013年 2014年
    輸出総額 715,097 683,846
    アメリカ合衆国 134,540 129,951
    中国 129,401 124,986
    韓国 56,513 50,488
    香港 37,418 37,804
    タイ 35,946 31,105
    図表10 日本の輸入相手国・金額(単位:百万ドル)
    輸入相手国 2013年 2014年
    輸入総額 833,166 822,251
    中国 180,978 181,721
    アメリカ合衆国 71,959 74,354
    オーストラリア 51,026 48,321
    サウジアラビア 49,856 47,414
    アラブ首長国連邦 42,528 41,620

    つまり、日本の場合、「輸入先」では中国がトップを占めているものの、「輸出先」は米中両国が両トップを占めており、韓国のような「中国偏重」という構造は生じていません。これが大きな違いでしょう。

    結局、韓国は「どちら」に着くのか?

    国家の目的は2つだけ

    私は、政治・経済について議論する際に、忘れてはならないのは、「国家の目的」だと思います。といっても、そんなに難しい話ではありません。一言で表現すれば、

    「国は国民の生命と財産を守り、国民が経済的に豊かに暮らせるために存在する」

    ということです。これをもう少し専門的な用語で言い換えると、

    • 軍事・治安
    • 経済的発展

    と表現できます。この「命題」だけは、古今東西同じですし、将来的にも「世界連邦政府」でもできない限り、絶対に変わることはありません。

    いくら軍事強国であったとしても、旧ソ連のように国民生活が窮乏すれば、国家は倒壊します。また、いくら経済的に発展していたとしても、カルタゴのように軍事力を削がれてしまえば、滅亡するしかありません。

    米中「股裂き」になる韓国

    そして、こうした「歴史の教訓」を鏡にするまでもなく、現在進行形で滅亡に向かいつつある国が、日本のすぐ近所にあります。それが韓国です。

    では、韓国はいったい、なにが問題なのでしょうか?

    簡単にいえば、「米中どっちつかずの戦略が破綻しつつある」、ということです。

    上で見たとおり、韓国は経済面で、中国に深く依存しています。つまり、中国は経済面で、韓国をがっちりと支配下に置いている状況にあります。しかし、軍事面(国防面)では、韓国は北朝鮮という「脅威」に常にさらされており、米国(とその同盟国である日本)に、ほぼ全面的に依存しています。

    つまり、現在韓国が直面する苦境の正体とは、「軍事面での米国依存」を放置したままで、「経済面での中国依存」を推し進めた結果、「米中股裂き状態」が発生してしまった、ということです。

    私の見立てが正しければ、韓国社会は「米中の綱引き」の末に四分五裂し、最終的には中国の勢力圏に入ることになるでしょう。その際、別に中国が直接、「韓国の選挙に介入する」必要はありません。

    「親米派の候補を大統領にすれば、中国が怒って、韓国に貿易制裁をするかもしれない」

    などと、韓国の一般有権者が「恐れる」だけでも、効果は十分なのです。

    三点セットの破棄はあり得るのか?

    折しも今日、「従軍慰安婦問題の解決」で日韓両国外相が電撃合意してから、ちょうど1年が経過します。

    私は日本国民の一人として、この「慰安婦合意」には、あまりにも悔しくて涙が出ました。なぜなら、私たちの祖先が、よりによって日本政府から、「朝鮮半島で少女20万人を拉致し、戦場に強制連行して性的奴隷にした」という「濡れ衣」を着せられたからです。

    私は、安倍政権による外交についてはおおむね評価しているものの、この「慰安婦合意」についてだけは、絶対に許したくありません。また、岸田文雄外務大臣を街で見かけたら、「慰安婦合意を日本国民に向かって謝罪しろ!」と怒鳴りつけてしまうかもしれません。

    ただ、この「慰安婦合意」とは、見方を変えれば、「反日を言い訳にして米韓軍事協力が進まない」ことに対する、米国による介入だ、と考えることもできます。

    実際、米軍と韓国軍は今年7月に、在韓米軍へのTHAAD(高高度迎撃ミサイルシステム)配備を決定。さらに李明博(り・めいはく)前大統領の時代に韓国側が「ドタキャン」した「日韓包括軍事情報保護協定(GSOMIA)」の署名が、今年11月に、あっさりと終了しました。

    いわば、昨年12月以来の「慰安婦合意」「THAAD」「GSOMIA」の三点が、米韓同盟を維持するための「紐帯」のようになっています。

    韓国を留め置くことはできない

    ただ、私の持論ですが、『10年以内に朝鮮半島は赤化統一へ?』でも触れたとおり、韓国社会は既に、韓国人自身にもコントロールできない状態になっています。

    仮に、私が韓国の大統領という立場にあれば、直ちに「国を挙げた反日」をやめ、日本(や米国)との関係改善に乗り出すとともに、経済面での対中依存をできるだけ低下させるように努力するでしょう。

    しかし、現在の韓国に、それだけの指導力のある大統領が出現するとは思えませんし、韓国の有権者が「独立派」の候補者を勝たせるとも思えません。

    いずれにせよ、私たち日本国民が、遅かれ早かれ、韓国が「日本にとってのかけがえのない隣国」であり、「日本を共産圏から守る防波堤」である、といった幻想を捨てなければならないことは、間違いないといって良いでしょう。

    ※本文は以上です。

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