衆院比例で維新と立憲が逆転する可能性が視野に入った
もっとも、早期解散なら立憲民主党が第2党の座を死守の可能性は高い
朝日新聞の世論調査で、次期衆院選における比例代表での投票先を見ると、日本維新の会が17%で立憲民主党の10%と逆転したそうです。2021年の選挙では、立憲民主党が約20%、日本維新の会が約14%を獲得していたため、前回の選挙結果をそのまま当てはめると、比例代表での獲得議席は維新が30議席の大台に躍進する可能性が出て来る反面、立民の議席数は20議席を割り込む惨敗となる可能性もありそうです。もっとも、衆院選は小選挙区が大事です。「早期解散」なら維新が立民を抜き去るほどの勝利を収めることは難しいでしょう。
朝日世論調査で比例投票先「維新・立民が逆転」
なかなかに、興味深い話題が出てきました。朝日新聞が今月27日から28日にかけて実施した世論調査で、「仮に今、投票するとしたら」と前置きして衆院選の比例代表における投票先を尋ねたところ、日本維新の会と立憲民主党の逆転が生じた、というのです。
比例区の投票先「維新」16% 立憲を初めて上回る 朝日世論調査
―――2023/05/29 6:00付 Yahoo!ニュースより【朝日新聞デジタル日本語版配信】
具体的には、自民党が36%、維新が17%、立憲が10%――、などとなっており、朝日新聞によるとこの質問をするのは21年10月以来のことで、「維新が立憲を上回ったのは初めて」、などとしています。
ちなみにこの調査結果自体、現実離れしたものとは限りません。総務省のデータに基づけば、前回、すなわち2021年10月の総選挙における比例代表の得票率は、自民党が約35%でトップでしたが、立憲民主党が20%、日本維新の会が14%だったからです。
参考までに、比例代表における得票率と議席占有率を示しておきましょう。
2021年衆院選・比例代表における得票率と議席占有率
- 自民…得票率34.66%→議席占有率40.91%(72議席/176議席中)
- 立民…得票率20.00%→議席占有率22.16%(39議席/176議席中)
- 公明…得票率12.38%→議席占有率13.07%(23議席/176議席中)
- 維新…得票率14.01%→議席占有率14.20%(25議席/176議席中)
今回の朝日新聞による調査での「自民党に投票する」と答えた割合は、前回総選挙における自民党の実際の得票率と近似しており、これに対し約20%だった立憲民主党が半減し、約14%だった日本維新の会が3%ポイント程度伸びた格好です。
しかも、衆参の比例代表は、比較的、得票数と議席占有率がリンクしていることでも知られています(といっても泡沫政党を中心に「死票」が出るため、現実には大政党の場合、議席占有率は得票率よりも少しだけ大きくなります)。
これをそのまま次回選挙に当てはめると、自民党の獲得議席数は68~75議席程度で現状と大きく変わらないのに対し、立憲民主党は半減し、下手をすると20議席を割り込む惨敗となり、日本維新の会は獲得議席数が30議席の大台を超えるかもしれません。
現実の選挙では、小選挙区が大切
もっとも、『小選挙区の怖さと「有力政治家」が落選することの意味』などでも指摘したとおり、衆院選における獲得議席数の実質的な動向を決めるのは、比例代表ではなく、小選挙区です。
2021年衆院選・小選挙区における得票率と議席占有率
- 自民…得票率48.08%→議席占有率64.71%(187議席/289議席中)
- 立民…得票率29.96%→議席占有率19.72%(*57議席/289議席中)
- 公明…得票率*1.52%→議席占有率*3.11%(**9議席/289議席中)
- 維新…得票率*8.36%→議席占有率*5.54%(*16議席/289議席中)
自民党は小選挙区でたった48.08%の票しか獲得していないのに、議席は187議席、すなわち全体の64.71%を獲得していることがわかります。
一方、立憲民主党は小選挙区では意外に強く、全体で3割弱の票を得ています(ただし議席占有率は20%弱ですが…)。これに対し、日本維新の会が小選挙区で獲得した票は8%少々に過ぎず、議席も全体の6%弱しか取れていません。
したがって、立憲民主党にとっては、現状の議席数は減らす可能性は高いものの、比例代表で多少、得票や議席が伸び悩んだとしても、小選挙区でしっかりと勝ち上がれば、そこまで「惨敗」とはならないかもしれません(※ただし150議席獲得できなければ泉健太代表は辞任するようですが)。
これについて、東京選挙区を例にとって、詳細を検討してみましょう(※東京では区割り変更が行われるため、少し不正確ではありますが、この点についてはご容赦ください)。
立憲民主党、8つの選挙区のうち5区で辛勝だが…維新はさらに弱い
まず、2021年の東京の25選挙区について確認してみると、自公(+無所属の柿沢未途氏)が当選したのが17選挙区であったのに対し、立憲民主党の候補は8選挙区で勝利を収めています。
この8選挙区に関しては、うち5つの選挙区で2位との票差が1万票を割り込んでおり、相手の惜敗率は90%を超えているため、次の選挙で立憲民主党にちょっとした「逆風」が吹けば、各所の選挙区で立憲民主党の候補が敗北を喫するという可能性はあるとは思います。
ただ、小選挙区は意外と「空気」だけでは勝てないものです。
自民党候補者でも比較的簡単に落選したりする一方、選挙区によっては、立憲民主党などの候補者が選挙で非常に強い、という事例も多く、「新参者」である日本維新の会が落下傘的に候補を立てたとしても、なかなかに厳しいものがあります。
じっさい、2021年の総選挙では、日本維新の会は東京の25選挙区のうち、15選挙区で候補を立てましたが、いずれも自民、立民、公明、共産などの候補に敗れ、3位に沈んでいて、惜敗率も平均43.48%、最も高かった東京12区で79.51%に過ぎませんでした。
こうした状況を見ると、立憲民主党はたしかに前回総選挙で「辛勝」だった選挙区が多かったものの、日本維新の会がその「辛勝選挙区」で立憲民主党候補者を追い落とすのは、必ずしも楽な仕事ではなさそうです。
もし「今すぐ」解散総選挙がなされた場合、日本維新の会が前回獲得したのは41議席で、うち比例代表は25議席、小選挙区が16議席でしたが、比例代表で30~40議席の大台に乗せたとしても、小選挙区ではせいぜい20議席を少し超えるくらいが関の山ではないでしょうか。
これに対し、立憲民主党は、前回、96議席を獲得しましたが、その内訳は比例代表が39議席、小選挙区が57議席でした。
立憲民主党は比例代表で議席を半減させ、20議席を割り込むかもしれませんが、57議席の小選挙区のなかには選挙区の個別事情として、立憲民主党の現職議員が大変選挙に強いというケースも多いため、もし「今すぐ」解散総選挙がなされた場合、小選挙区では40議席台を死守する可能性が高そうです。
早期解散なら維新の躍進は困難か?
このように考えると、こうした「小選挙区の壁」があるがために、もしも「6月解散・7月総選挙」なら、まだ日本維新の会が立憲民主党を総議席数で上回ることは難しく、「自民過半数」、「立憲第2党」、「維新第3党」という状況は続く可能性が高い、というのが現時点の「数字の上の分析」です。
ただし、解散総選挙が先送りになると、こうした状況は変化します。日本維新の会に時間的猶予ができるからです。
日本維新の会が各地で候補者の擁立に積極的に動いた結果、それなりの数の候補者が揃えば、たとえば東京3区、5区、6区、18区、19区のように、立憲民主党候補が「辛勝」だった選挙区では、日本維新の会が小選挙区を立憲民主党から奪い取る可能性が出て来るでしょう。
したがって、「早期解散なら立憲民主党辛勝」、「解散先送りなら日本維新の会が最大野党に躍進」、という可能性は、現時点でそれなりに高くなってきていると考えて良いのではないかと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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そらそうでしょ
維新好きじゃないけど
立憲よりマシ
立憲は団塊左翼のジジババが死ねば滅亡する
選挙公約で野党第一党になったら
「立憲民主党の質問時間をゼロにして国会運営を正常に戻します!」
があったらかなり魅力的です…
最大野党の座を失ったら、立憲民主党はあっと言う間に空中分解しそう。
何度もぶつかってきた維新が最大野党になったら優しくしてもらえる訳ないし……
そうなった時、残り少ない立憲民主支持者はどうすれば良いんでしょうねえ?
山本太郎にすがるのか、ヤケクソになって共産党に行くのか……
都市部の浮動票の行方が勝敗を左右すると思います。
今までの関西の投票結果を参考にすれば、自民党にとっては大変不利、立憲民主党も不利で、維新にかなりの票が流れるものと予想されます。
維新にスキャンダルでも起こらない限り、この状況は変わらないと思います。
岸田宏池会政権が財務省言いなり政策を改め、公明党との連立を解消すれば状況は変わるかもしれませんが。
朝日世論調査を「チョーニチ」世論調査と読んでしまった。
キッシーが会いたい会いたい。なんて言うから。
でも陰で調査してるんじゃね。
朝日新聞も役立つ?のかな。
なんにしても早く返して欲しい
ガチガチの下部組織が各地方に無いのが「維新」の弱点です。ガチガチ老人も死が近づいていますから、10年くらいたったらニュー・ガチガチ組織がおかしな組織を乗っ取って、詐欺師的組織的政治攻撃をすることが、恐ろしい。 民主的テロですね。韓国の文政権や日本の民主党政権のような・・・。
直近の自公・自維の動向を見て、6月解散説は流れたと思ったのですがいかがでしょう。
東京の小選挙区で公明党が維新候補の支援に回る代わりに、維新は大阪兵庫の公明党候補にこれまでどおり対立候補は擁立しない、そんな密約が成立しそうだ。そうなれば自民党は東京で手痛い敗北を喫することになる。我を通して公明党との関係を棄損し惨敗を招いた都連会長の萩生田氏は旧安倍派会長の芽もなくなるのでは。
6月解散であればおっしゃるとおりの流れが大いに考えられます。
反面、維新の体制が整う(候補者公募中)まで解散が延期された場合、維新は公明との距離を置き自民に寄る気がします。