米大統領補佐官「ロシアの3つの目的はすべて失敗に」

ジェイク・サリバン米国家安全保障アドバイザーは先日、ロシアが当初3つの戦争目的を持っていたものの、すべて達成できなかったばかりか、真逆の結果をもたらしていると指摘しました。それは「①ウクライナ征服、②ロシアの力と威厳を見せつけること、③西側諸国の分断と弱体化」――ですが、現実にはウクライナは征服されず、ロシアの威厳は地に落ち、そして西側諸国はかつてなく団結している、というのです。

ロシアの3つの目的

サリバン氏「ロシアは3つの戦争目的があった」

ホワイトハウスのウェブサイトに先日、ジェイク・サリバン国家安全保障アドバイザーによる現地時間22日時点の発言が掲載されていました。

Press Briefing by Deputy Press Secretary Chris Meagher and National Security Advisor Jake Sullivan, March 22, 2022

―――2022/03/22 13:48付 ホワイトハウスHPより

サリバン氏の発言を紹介してみましょう。

“Russia intended to accomplish three basic objectives in launching its unprovoked attack against Ukraine: first, to subjugate Ukraine; second, to enhance Russian power and prestige; and third, to divide and weaken the West”.

意訳すると、こんな具合でしょうか。

ロシアはウクライナに対する攻撃で、3つの基本的な目的を達成しようと意図していた。それは①ウクライナの征服、②ロシアの力と威厳を高めること、③西側を分断し、弱めることだ」。

そして、これについて次のように指摘します。

“Russia has thus far manifestly failed to accomplish all three objectives.  In fact, it has thus far achieved the opposite”.

ロシアはこれら3つの目的をすべて達成できていないどころか、その逆を達成した、というのです。

いったい、どういうことでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。

目標を真逆に達成してしまったロシア

まず最初のポイントです。

“On the first, the brave citizens of Ukraine are refusing to submit.  They’re fighting back.  They’re defending their homes.  They’re defending their cities.  And although Russia may take more territory in these brutal military operations, it will never take the country away from the Ukrainian people.”

まずは、「勇敢なウクライナ市民が降伏を拒絶していること」。「彼らは反撃し、故郷を守り、街を守っている」。「ロシアは残忍な軍事行動の結果、占領地を拡大しているかもしれないが、ウクライナの人々から国を奪うことはできない」。こんな指摘です。

続いて、2番目はこうです。

“On the second, Russian power and prestige has been badly depleted.  The Russian military has dramatically underperformed.  The Russian economy has been rocked by powerful sanctions.  The Russian high-tech and defense sectors are being choked off from key inputs.  And Russia is a pariah in the international community”.

「ロシアは力も威厳もひどく枯渇した」、「ロシア軍は劇的に弱く、ロシア経済は強力な制裁により膠着している」、「ロシアの先端技術産業、防衛産業などは国際社会の部品供給から排除され、ロシアは国際社会から孤立している」、というのです。

国際社会、とくに西側諸国が連帯した

こうしたなか、3番目の指摘は、さらに興味深いものです。

On the third, the nations of the free world are more united, more determined, and more purposeful than at any point in recent memory.

西側諸国は分断されるどころか、「自由を愛する諸国」が歴史上で最も強く団結し、より強固に、より明確な目的を持った、という指摘でしょう。

そういえば、『台湾首相「台湾は独立国」=ロシア非友好国リスト受け』などでも紹介しましたが、ロシアが指定した「非友好国リスト」には、台湾やスイスを含めたかなり広範囲な諸国が入っています。

逆にいえば、ロシアに「非友好国」に指定されたこと自体、ロシアから公式に「自由民主主義国である」と宣言されたようなものであり、ある意味では「名誉なこと」といえるのかもしれません(※皮肉です)。

いずれにせよ、サリバン氏の認識だと、ロシアの目的と現実の結果には、ほぼ真逆の効果がもたらされた、ということだそうです。

サリバン氏の認識
ロシアの当初の目的実際の結果
①ウクライナの征服①ウクライナは征服されるどころか、反撃し、故郷をしっかり防衛している
②ロシアの力と威厳を高めること、②ロシアの力は弱いことが露呈し、威厳は地に堕ちた
③西側を分断し、弱めること③西側はむしろ自由を愛する諸国が史上で最も強く団結した

ロシアの失敗

短期決戦に失敗したロシア

このあたり、基本的にはサリバン氏が述べている内容ですので、実際にロシアの側に上記①~③以外の目的があるという可能性は当然あります。また、個人的にはここに記された内容が100%絶対に正しいものだとは思いません。

ただ、サリバン氏の指摘自体、いちいち「ごもっとも」でもあります。

ウラジミル・プーチン大統領の当初の目的が、(その公式声明である「ウクライナの非ナチ化」などではなく)ウクライナの制圧と政権転覆にあったことはほぼ間違いないと考えて良く、その意味では、開戦から1ヵ月が経過していまだに首都・キーウの制圧に至っていないのは、明らかにロシアの戦略の失敗でしょう。

それどころか、西側諸国から供与されている武器の効果に加え、ウクライナ軍、ウクライナ国民の士気は総じて高く、侵入したロシア軍が掌握した主要都市といえば同国南部のヘルソンくらいなもので、それ以外の主要都市は、包囲されてもなお、陥落していません。

ウクライナ政府の公式発表ないし西側メディアなどの報道によれば、包囲された主要都市に対しては無差別砲撃も加えられていて、マリウポリでは人々がロシア領に連れ去られたという「事件」もあったそうであり、ウクライナの人々の安否が気遣われますし、事実なら国際法違反にもなりかねないものでしょう。

ただ、これも逆にいえば、ウクライナ側の抵抗が非常に強く、ロシア側としてはそれだけ「手を焼いている」という証拠でもあります(※もちろん、これらの報道が事実ならば、ですが)。

いずれにせよ、古今東西、戦争というものは短期決戦・短期決着が鉄則です。

この点、『ロシアのウクライナ侵攻の目的は「キエフ公国回復」?』などでも取り上げたとおり、ロシア側が「うっかり」公表してしまった記事などから考えて、ロシア側が当初、このウクライナ戦争を48時間以内に終わらせる算段だったのではないか、という可能性が高いと考えて良いでしょう。

長引く戦争は、西側諸国に金融制裁を発動する時間を与えた

実際、西側諸国がロシアに対する経済・金融制裁を発動するまでには48時間以上の時間がかかっています(ロシアに対する金融制裁のパッケージが発表されたのは、日本時間の27日早朝です)。

逆に言えば、もしもロシアが48時間以内にキーウを制圧することができていたならば、西側諸国はロシアに対する経済・金融制裁を発動することなく、ウクライナはロシアの手中におちていた可能性が濃厚だ、ということでもあります。

そして、ロシアが48時間以内にウクライナの制圧に失敗したことで、西側諸国はまずロシアの主要銀行を、国際的な金融システムから遮断し、ロシアが保有していた外貨準備を凍結し、ロシアの政府・主要企業の起債を禁止することで、ロシアからハード・カレンシーを奪いました。

こうした措置自体、西側諸国の初動としては、大変に適切なものだったと考えて良いでしょう。

また、3月初旬の国際連合の総会では、ロシアに対しウクライナからの無条件撤退を要求する決議が、141ヵ国という賛同で可決されています(『国連総会、ロシアにウクライナからの無条件撤退を要求』等参照)。これには法的拘束力はありませんが、国際社会の連帯を示すという意味では大成功だったことは間違いありません。

これに加えて西側諸国の企業も相次いでロシアから撤退ないし事業中断を表明し、とくにビザ、マスターカード、少し遅れてJCB、アメックスといった国際的なクレジットカードブランドがいっせいにロシアの金融機関との提携を解除するなどしたため、ロシア国民の多くは国際キャッシングなどができない状態に陥っています。

ちなみに西側諸国の文化の象徴でもあったマクドなどのブランドも相次いでロシアでの事業を休止または撤退しており、マクドロゴを90度転倒させた「イワンおじさん」(ロシア語で “Дядя Ваня” 、発音は「ジャージャ・ヴァーニャ」)なる奇妙な代物も出現しています(『マクドロゴが転倒し「イワンおじさん」に華麗に変身?』参照)。

ロシア制裁の実情

さて、ロシア制裁は、今後、どうなっていくのでしょうか。

この点、『意外としぶとい?ルーブル「紙屑化」の可能性を考える』などでも議論してきたとおり、ロシア自身は資源国でもありますので、これらの金融制裁を通じて「国家破綻状態」にまで追い込まれるかどうかは微妙だ、というのが当ウェブサイトでこれまで指摘してきた内容でもあります。

ただ、短期的に見て、ロシアが非常に追い込まれていることは間違いありません。

実際、ロシア側は「非友好国リスト」に対する外貨建て債務をルーブルで支払うと宣言しましたが(事実上の「踏み倒し」宣言、『ロシア「非友好国リスト」は金融制裁が効いている証拠』等参照)、現実には、現在のところロシア政府は外貨建てソブリン債の利払を、ちゃんとドル建てで実行しています。

しかし、ハード・カレンシーなどの資金も凍結され、ロシアに対する輸出規制も適用されるなかで、ロシアがこの戦争を最後まで遂行し得るのかについては、大きな疑問でもあります。

ロシアさん、北朝鮮を道連れでどうですか?

こうしたなか、読者の皆さまが本稿を読む時間であれば、おそらくブリュッセルでのG7サミットについても、「ロシアに対する制裁の抜け穴を塞ぐ」など、何らかの声明が出ている可能性があります。

ところで、北朝鮮は昨日、ドサクサに紛れて北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の可能性があるミサイルを発射しています(首相官邸ウェブサイト『北朝鮮による弾道ミサイル発射事案について』等参照)が、これも世界各国の目がロシアに向けられているなか、北朝鮮からの「制裁解除要求」の一環と見るべきでしょう。

ロシアが国際的な制裁で苦しい立場に追い込まれていけば、当然のことながら、ロシアが北朝鮮に支援を行う余力が低下します。

このあたり、『意外としぶとい?ルーブル「紙屑化」の可能性を考える』などでも紹介したとおり、ルーブル安の影響もあり、ロシアに出稼ぎに出てきている北朝鮮労働者の「上納金」負担が増していると考えられるなか、対ロシア経済・金融制裁が北朝鮮を「道連れ」にしている可能性もあるでしょう。

いずれにせよ、ウクライナ戦争を巡っては、「最悪の事態」として、ロシアは敗戦するまで戦争を止めない可能性も十分に想定しておく必要はあるでしょう。

とくに、昨日はロシア側が「天然ガスはルーブル建てで輸出する」などと一方的に宣言したことが話題になっていますが(『ロシアが非友好国に対し天然ガスのルーブル決済を導入』等参照)、まさかとは思いますが、この期に及んでロシアビジネスを継続している日本企業は、猛省した方が良いと思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. Atsh より:

    記事更新ありがとうございます。
    北朝鮮ミサイルの更にドサクサで便乗して日本海へ5発もミサイル発射したお国もあるようですよ。道連れでしょうか?

  2. causal より:

    プーチンは宣戦布告せず、独立国のウクライナに侵略戦争を仕掛けました。
    本人は地域紛争に介入しただけだと言っている様ですが、ロシアに頭が上がらない国の大統領は
    「戦争」と言ってしまいましたが。
    まさにスニーク・アタックなのですね。プーチンは戦争犯罪人として裁かれなくてはなりませんね。

  3. 匿名ですみません より:

    戦争してもお互いに不幸になるだけですね。
    ロシアが核を使わない事を祈ります。
    中国や北朝鮮、世界にこの戦争が良い教訓になることを祈ります。

  4. 雪だんご より:

    ロシア側から見れば、今回の”軍事作戦”は踏んだり蹴ったりですね。
    上から下まで「なんでこうなったんだ!?」とパニックになっていそう。

    改めて不思議に思います。プーチンは一体何をしたかったのか?と。
    己の寿命を悟って最後に暴れたかったのか、このままではロシアは二度と世界の
    メインプレイヤーに返り咲けないと思って無謀な賭けに出たのか、
    それとも「ソ連よもう一度」が長年の夢だったのか……?

    大穴として「ずっと頑張ってきたけどダメだわこの国。もう派手に滅べ。
    国が無くなるレベルで世界中から否定されて、誰もロシア人を名乗らなくなれ」が
    本音だった……なんてオチは、さすがに無いかな?

  5. 匿名 より:

    西側諸国というよりは自由主義諸国というべきでしょうね。

  6. 大坊 より:

    安倍元首相はまさに国賊ですね。保守の皮を被った売国奴です。
    プーチンと一緒に処刑されてもやむを得ないでしょう。
    神国日本!

    1. 通りすがり より:

      釣り乙w

  7. カズ より:

    ロシアはアフガニスタン政府軍の即陥落を見て、”我も”と甘い期待をもって手を挙げたりしたのでしょうか?
    ウクライナの現状を鑑みれば、リーダーが率先して逃げ出し郷土愛に資さない傭兵が主力だったアフガニスタン政府軍の士気とは比べるべくもありません。
    また、はなっから他人任せなどではなく強い自衛の意思(行動)を示したからこそ諸国の共感を獲得できた側面もあるのかと考えます。

    もしくは、長らく続いた平穏でロシア軍の気質が職業(腰掛け)軍人と化してたりしたのかな?
    欧州諸国から ”眠れる獅子” と畏怖されたはずの清国がどうってことなかったようにですね。

    1. はにわファクトリー より:

      自分がカメラを通して呼びかければウクライナ軍は現政権に叛旗を翻すとプーチン大統領はホンキで信じていたらしい。そうはならかった、事実は違っていた。ロシアが犯した数ある誤算のうちの最大がこれであると当方は考えます。Igor Susko 氏が精力的にリークするとおり、ロシア諜報活動とロシア中枢との間には致命的な齟齬があるのでしょう。

      1. カズ より:

        >ロシア諜報活動とロシア中枢との間には致命的な齟齬

        独裁性が豊かな国では、リーダーの意に沿った報告しかなされなくなってしまうものなのかもですね。

        >プーチン大統領はホンキで信じていたらしい。

        プーチン大統領:この紋所が・・。
        ウクライナ市民:そんなデカいの目に入る訳ないだろ・・。
        m(_ _)m

  8. 誤星紅旗 より:

    天然ガス開発の『サハリン2』についてはロシアの思惑次第では北海道へ海底パイプラインを通す構想もあるみたいなので、資源を武器に内政干渉される恐れがひとまず無くなったのは僥倖でしょうか。出資する商社やエンジニアリング大手は撤退するか悩んでいるのでしょうが、樺太は日本の13世紀以来の権益圏、ロシアのサハリン領有宣言以前に幕府が統治しており日本の国境碑は間宮海峡にあり、あるいは南部は帰属未確定でロシアにあらずなどのらりくらりと居座りする選択肢もありでしょうか。ルーブル建での支払いも拒み権益をプーチンが強制的に取り上げれば戦後賠償で北樺太も日本に復帰させる口実にするぐらいの狡猾さも外務省に期待したいです(棒読み)

    1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      賠償や領土割譲を要求したらプーチンが辞任しても戦争止めないし
      そうなると、本気で核兵器を使用してくるかもしれんぞ

      1. 誤星紅旗 より:

        核は誠に戦略的に有効ですがチラつかせればいつでも何でも思い通りになる訳ではないでしょうね。核による恫喝もする気にもなれないくらいにロシアの徹底的な疲弊を待ち、機が熟したときに粛々と回収すればよいのですよ。

        1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

          あまりに疲弊したら
          今度は、国境を接していないそこそこの強国(例えば、ブラジルとかメキシコとかエジプトとか)に核兵器を売りさばくかもよ
          疲弊したウクライナが中華人民共和国に空母売ったように
          ソ連崩壊時のウクライナ非核化も核兵器売りさばくのを防ぐためのものだった

  9. sqsq より:

    クレジットカードが使えずタイで立ち往生しているロシア人観光客多数という記事が出ていた。

    あの人たち今どうしてるんだろう。

    1. 誤星紅旗 より:

      在ロシア日本人の皆さんはどうしてるのでしょうか。

  10. 匿名 より:

    NATOの東方拡大を防止するって目的もあったと思いますが、今回のウクライナ侵攻でかえってNATO加盟を望む国を増やす結果になってるのも、ロシアの大きな失敗でしょう。

  11. sqsq より:

    戦争のやり方が大きく変わるのではないかな。
    ロシアの得意中の得意、戦車戦は対戦車ミサイルとドローンの威力で見直しを迫られる。
    最初に航空基地を徹底的に叩いたが歩兵携行の地対空ミサイルでロシアの戦闘機が多数撃墜されているようだ。
    真珠湾以前は航空機の攻撃で戦艦が沈むとは考えていなかったのと似ているかもしれない。
    北朝鮮は南侵に戦車を使うことを考えているはずだが、見直さざるを得ないのではないか。

    1. 引っ掛かったオタク@そいや"最後の有人機"なんつーのもアリマシタネ より:

      矛と盾は同時均等に進化変貌はせず、どちらか上回った方を他方が追い付き(或いは追い越す)コトでevolutionされてきまする
      んなワケで一時的に戦術に変化はあっても、勝利条件が変わらないあいだは戦争のやり方は対して変わらんと思います

  12. 攻撃型原潜#$%&〇X より:

    多くのコメントには、ロシアが今にも亡くなりそうな気分に満ち溢れています。しかしプーチン大統領が政権を維持するかどうかは不明ですが、ロシアの国自体がそう簡単に亡国となるなどはあり得ません。ロシア国内が戦場となり国土が荒廃したわけでもなく、かつ愛国心を持ったロシア国民は健在です。また、先例をみても、厳しい経済制裁を受けても北朝鮮は存続しているし、イランも同様です。
    これから当分はロシア国民は厳しい生活を強いられ、ロシア国内に政変くらいは起きても、新しい指導者が生まれるだけと考える方が現実的です。プーチン後の新政権が自由主義的で親西欧となることを期待する向きが多いようですが、ロシアの風土と歴史を見れば分かる通り、強大な権力を持った皇帝/大統領でなければすぐに国が分裂してしまうのは中国と同じで、そう簡単に民主主義政権は出現しないでしょう。ロシアでのビジネスは引き続きリスクが高い状態が続きます。

    戦争が一刻も早く終結することを祈るばかりですが、プーチン大統領が退場したとしても、ロシアの領土欲は多分変わらないでしょう。「プーチンは失敗した」とはアメリカの情報戦の一環であり、「さよかー、それで?」程度で受けておけばよいかと。

  13. より:

    先にお断りしておきますが、ロシアを擁護する心算は全くありません。どのような理由であれ、ロシアが軍を動かしてウクライナを蹂躙し、多大な被害を齎していることは事実です。従って、ロシアに対する経済制裁の実施を支持しますし、ウクライナ及び避難民受け入れに当たっている近隣諸国への支援実施も支持します。軍事力による現状変更は、日本としては断固受け入れられない話ですので、少々の返り血を浴びようが、ロシアに対する制裁の輪に加わるのは当然であると考えます。

    しかしながら、今回のサリバン補佐官の発言に対する感想はまた別物です。そりゃアメリカとしては、NATOの無邪気な東方拡大政策がロシアを過度に刺激したのが原因の一端だなどとは口が裂けても言えないでしょう。アメリカのすることは常に正しく、常に善であるというドグマをアメリカが簡単に手放すことはありえないでしょうから。今さら「ちょっとやり過ぎちゃたかも、てへぺろ」などとは言えるはずがないのです。
    ロシアがウクライナの征服を企てていた? ならば、なぜロシアは最初からキエフ攻略に全戦力を投入しなかったのでしょう? ロシアがゼレンスキー大統領の資質とウクライナ軍の戦意を見誤っていた可能性は高いですが、ならば、南東部ドンバス地方の掌握のために戦力を張り付け続けていたのはなぜでしょう? とっとと、戦力の多くをキエフ攻略に再配置すればよかったのです。ウクライナを征服するつもりだったのであれば、首都キエフの掌握は最優先事項であるはずです。

    というわけで、サリバン補佐官の発言は、典型的なアメリカ式プロパガンダであると考えます。別に、プロパガンダが必ずしも悪いことであるとは思いません。最終的に勝てば、公式の歴史にはそのプロパガンダ通りの記述がなされるからです。ただ、ここまで踏み込んだ発言をした以上、アメリカは「後始末」に深く関与せざるを得ませんが、バイデン政権がどこまで腹を括っているかはちょっと疑問です。

    1. はるちゃん より:

      仰るように、「ウクライナの征服」は無いと思います。
      素人考えですが、ウクライナの中立化とクリミア併合を認める事、それからロシアからクリミアへのアクセスの確保が目的だと思います。
      このアドバイザーさん、少し感情的になってますね。

      1. 羊山羊 より:

        最近、トランプ氏が2016年の大統領選挙に関してヒラリー・クリントンとその一味を訴えましたが、その中のひとりがジェイク・サリバンです。

    2. 羊山羊 より:

      バイデン政権はウクライナの事はまともに考えてないです。頭の中は11月の中間選挙の事だけ。本来なら仲裁するなり沈静化を図らなければならないのに逆に煽ってるように見えます。目的は以下です。
      ・バイデン政権の失政をプーチン、ロシアのせいにする
      ・以下事件の矮小化
       1.ハンターバイデン ラップトップ事件
       2.ヒラリークリントン スキャンダル
       3.続々暴かれる大統領選挙不正(WI,PA,AZ)

      出来るだけ泥沼化・長期化を狙ってますね。

    3. とある福岡市民 より:

      > NATOの無邪気な東方拡大政策がロシアを過度に刺激したのが原因の一端

       それはロシアのついた大嘘だって前も言ったじゃありませんか。プーチンは2000年頃からウクライナ併合を口にしていたという側近の証言もあるのですから。
       第一、「無邪気な」って何ですか?龍様の主観ではありませんか。

       2004年のNATO東方拡大は、NATO側の意思だけではありません。チェチェン紛争でプーチンが行った破壊と殺戮に東欧諸国が危機感を感じてNATO加盟を決めた、という側面もあります。
       セルビア中心主義を掲げるミロシェビッチがコソボの独立運動を弾圧し、それに危機感を感じたスロベニアとクロアチアがユーゴスラビアから独立したのと似てます。

       龍様は、NATOは冷戦終結と同時に解散すべきだった、と書く程にNATOに否定的ですが、NATOを存続させたのも、東欧諸国が加盟したのも、その国民が自らの意思で決め、主権を行使した結果ですから、決して否定されるべきではありません。
       龍様の言い分だと、「ロシアの警戒心を解くため日米同盟は冷戦終結と同時に解散させるべきだった」も成り立ってしまうのですが、龍様は日米同盟解散に賛成なのですか?
       日米同盟は必要と思うのでしたら、NATOの維持、東欧諸国のNATO加盟も尊重さるべきではありませんか?東欧諸国がNATOに加盟してなければ、東欧諸国がチェチェンやウクライナのようになった可能性は高く、東欧諸国の国民もそう思っていたのですから。

      > なぜロシアは最初からキエフ攻略に全戦力を投入しなかったのでしょう?

       全戦力とは今回の作戦部隊の全部という事でしょうか?ロシアの現有戦力全部という意味でしょうか?
       前者であれば、当初は投入していました。Twitterで「キエフ空港が制圧された」という話が飛び交っていたのがそれです。
       最初、ロシア空軍はキーフのボリスピリ空港を一日で制圧し、そこへ陸軍の兵士を空輸して上陸させるつもりでした。それがウクライナ側の予想以上の反撃で空港を制圧できず、陸軍との連携不足もあって陸軍の上陸に失敗しました。
       今でこそ陸上からキーフを包囲すべく地上軍を送っていますが、ロシア側の準備不足を見る限り、陸上からの攻略は元々計画してなかったしてなかったと考えられます。ウクライナ軍の戦意を見誤っていたという事です。
       
      > とっとと、戦力の多くをキエフ攻略に再配置すればよかったのです。

       これを「事後孔明」といいます。終わった後ならどうとでも言えます。
       ロシアがウクライナをなめていて、少しの戦力でも勝てると思っていた節がありますが、その結果が現状です。
       また、攻城戦には時間がかかります。相手の不意をつけるなら一日で落とせますが、本格的に落とそうとなるとどんなに戦力を投入しても数ヶ月かかります。旅順でさえ4ヶ月半かかりました。
       ましてや首都キーウです。気軽に言うほど簡単ではありません。

      >ウクライナを征服するつもりだったのであれば、首都キエフの掌握は最優先事項であるはずです。

       そうとは限りません。傀儡政権を建てるだけなら首都の攻略に全力を注いでもいいです。
       しかし征服、併合するのであれば、首都の攻略だけではだめで、各地に散らばる残党をも徹底的に叩かねばなりません。よって征服する予定の地に地上軍を送り込んで拠点を一つずつ制圧する事が必要不可欠です。むしろ首都は後回しでもいいくらいです。
       実例として、支那事変で帝国陸軍は南京城を堕としましたが、中国大陸は征服できなかったでしょう?

       ロシア軍がウクライナ東部、南部に張り付いているのはそこを征服する狙いがあるためと見て良いでしょう。東部、南部にはロシア系住民も少なくありませんから。
       
      > 今さら「ちょっとやり過ぎちゃたかも、てへぺろ」などとは言えるはずがないのです。

       そりゃ言いませんよ。龍様のそのような思い込みが間違っているのですから。
       私にはアメリカを悪者にしてあげつらう姿こそ無邪気に思えます。でもそれはあなたに幻滅させられるだけです。もっと思慮深い人だと思っていましたのに残念です。

      1. はるちゃん より:

        何が言いたいのかよく分かりませんが、人の批判より自分の意見を分かりやすく表現して頂いたほうが読む気がするのですが・・・。
        はっきり言いまして、あなたの批判は読む人を不快にさせるだけです。

        1. 通行人 より:

          >何が言いたいのかよく分かりませんが、

          単なるあなたの読解力不足でしょう。

          >人の批判より自分の意見を分かりやすく表現して頂いたほうが読む気がするのですが・・・。

          他人の批判を通じて自身の意見を表明するという技法があってだな…。

          >はっきり言いまして、あなたの批判は読む人を不快にさせるだけです。

          過去に自分がコテンパンに論破されたからと言って逆ギレはみっともないよ。

      2. 通行人 より:

        相変わらず切れ味がすごいな、この「とある福岡市民」さんという人は。このブログに下手に知ったかぶりでコメントを書きこむとこうなるという典型例だな、こりゃ。この緊張感もたまらないんだが。

  14. 匿名 より:

    話し合いが成立するためには、常識を共有しているのが不可欠だ。左翼の強調する話し合いの重要性は基本的価値観が同じでないと成立しない。日本海から西の大陸に住む連中は、殴りつけてわからせないと駄目だということだ。

  15. はるちゃん より:

    論破された覚えはございません。

    1. はるちゃん より:

      通行人 より:さんへの返信です。

      私は切れ味凄いとは思いません。
      こじつけが多いと感じています。

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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
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