韓国紙「顔あわせるたび悪材料:冷ややかな日韓外相」
「日韓外相会談が行われたとしても、どのみち日韓双方の不毛な対立が浮き彫りになるだけだろう」――。この点については、珍しく韓国メディアの分析に同意します。自称元徴用工問題を含め、諸懸案を創り出しているのは韓国の側であり、韓国側がその問題点を認識していない以上、いくら日韓外相が面会したとして、諸懸案解決のキッカケができるとも思えないからです。
日韓外相会談に意味はあるのか?
先日の『「日韓外相会談に向け調整中」の韓国報道をどう読むか』では、今月13日にハワイで開かれる日米韓3ヵ国外相会合のサイドラインとして、林芳正外相と鄭義溶(てい・ぎよう)韓国外交部長官の会談が調整されている、とする韓国メディアの報道を紹介しました。
このあたり、ここ数年、日韓関係がギクシャクするなかであっても、日韓外相会談自体は過去に何度となく開催されているため、韓国メディアのこうした報道についても、あながち「飛ばし報道」とまでは断言できません。
もっとも、仮に日韓外相会談が開催されたとして、その会談で日韓両国間の諸懸案に解決の糸口が掴めるというものではないでしょう。
自称元徴用工問題を含めた日韓間の諸懸案自体、日本がこれ以上譲歩することができない問題ばかりであるという点もさることながら、韓国の現在の文在寅(ぶん・ざいいん)政権自体が、あと3ヵ月で終了してしまう、という点についても重要です。
ただし、日本の外相が韓国のカウンターパートに対し、壊れたレコードのように「約束を守れ」と主張し続けることは、とりあえず悪い話ではありません。どちらかといえば、米国を筆頭とする全世界に対し、「日韓関係を壊しているのは韓国の側だ」という事実を見せつける、という意味があるからです。
その意味で、日韓外相会談にも、最低限の意味くらいはあるのでしょう。
中央日報「顔あわせるたびに韓日外相は冷ややか」
こうしたなか、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨晩、こんな記事が掲載されていました。
顔合わせるたびに「冷ややか」な韓日外相…今度は「佐渡金山」という悪材料
―――2022.02.09 17:35付 中央日報日本語版より
中央日報は記事冒頭で、2020年2月の、2021年5月、2021年9月、という過去3回の日韓外相会談を振り返り、「会談のたびに日韓外相は冷ややか」、「会談のたびに悪材料」、などとしていますが、これがまた事実誤認に満ちた記述であるのに驚きます。
たとえば、2020年2月の茂木敏充外相と康京和(こう・きょうわ)外交部長官(※いずれも当時)の会談では、韓国側が日韓包括軍事情報保護協定(GSOMIA)の「終了を猶予した」にも関わらず、日本が「輸出規制を撤回しなかった」ことが、「冷ややか」だったと述べます。
余談ですが、日本政府が2019年に発動した対韓輸出管理適正化措置のことを、韓国を代表するメディアのひとつであるはずの中央日報が、いまだに「輸出『規制』」などと誤った用語で呼び続けている点については、呆れるよりほかありません。
また、2021年5月の茂木氏と鄭義溶(てい・ぎよう)外交部長官による会談では、「福島の汚染水放出」、「慰安婦・強制徴用賠償判決」などでやり取りがなされた、などとしていますが、こうした記述についても、ことごとく事実に反しています。
日本政府が海洋放出を決めたのは福島原発の「処理水」であって、「汚染水」ではありません。また、韓国側の自称元慰安婦・自称元徴用工などにかかる判決は、れっきとした国際法違反・国際条約違反のものであり、過失が全面的に韓国側にあることもまた間違いありません。
日韓外相がお互いに「冷ややか」である原因を作っているのが韓国側であるという事実を、中央日報の記者がまったく認識していないあたり、なかなか救いようがない話でもあります。
諸懸案を確認するだけ
ただし、中央日報の記事にこうした事実誤認・虚偽の内容が多く含まれているという点は脇に置くとしても、日韓双方の外相が顔を合わせても、お互いの立場に違いを強調するだけの関係になった、という点については、間違いないでしょう。
そのうえで、中央日報は、「13日に調整されている」という日韓外相会談を巡っても、次のように主張します。
「慰安婦・強制徴用被害など過去史問題と日本の度重なる独島(ドクト、日本名・竹島)領有権主張など古くからの懸案に加え、文在寅(ムン・ジェイン)政権では日本の輸出規制と福島汚染水放出という新たな懸案が関係改善を妨げた。そして今度は『佐渡金山』という悪材料が登場した」。
…。
このあたり、対韓輸出管理適正化措置にせよ、福島処理水海洋放出にせよ、佐渡金山の件にせよ、いずれも事実無根の内容で日本を糾弾しているのが韓国の側である以上、そもそもそれらを巡って、個別論点の「話し合い」に応じること自体が不毛でもあります。
ただ、こうした文章からも透けて見えるのは、日韓関係において、「日本が韓国に譲歩すればすべてがうまく行く」という関係が、もう完全に終了した、という事情でしょう。実際、中央日報も次のように指摘します。
「両長官の会談が実現するとしても薄氷を歩く雰囲気が醸成されるだろうという懸念が出ている」。
言い換えれば、本来であれば、安全保障上は北朝鮮の弾道ミサイル問題に集中しなければならないところ、韓国が日本に対し、「余計な歴史戦」を仕掛けてきているがために、日本としてもその「本来の安全保障上の議題」に集中することができない、というわけです。
実際、中央日報は林外相が就任直後に電話会談を行った相手国に韓国が含まれていなかった点を踏まえ、日韓外相は「相互に信頼関係が作られていないという点も問題だ」としつつ、「日本が韓国との関係改善を外交の優先順位に置いていない」と指摘しますが、これもすべては韓国側の行動の結果でしょう。
「日韓関係改善で日本が譲歩せよ」?冗談ではない!
ところで、中央日報の記事には、なんだか嫌な記述があります。
米国が日韓対立を緩和するための「仲裁者の役割を自任するだろう」と予想したうえで、東アジア研究所の院長による、こんな発言を取り上げているのです。
「韓日間で累積した懸案と悪材料に関連してもやはり韓国の新政権が発足してから本格的な交渉と議論を始められる環境が整えられるだろう」。
まったく、冗談ではありません。
この点、3月の次期韓国大統領選で、「保守派(?)」の尹錫悦(いん・しゃくえつ)氏が勝利を収めようものなら、またしても米国が日本に対し、「日韓関係を改善せよ」という「圧力」をかけて来る可能性はあるでしょうし、岸田文雄首相がこれにやすやすと応じてしまうのは、大きなリスクでもあります。
しかし、日韓関係は「交渉」で何とかなるレベルではなく、もはや韓国が国と国との約束を守るのか、守らないのか、というレベルの話でもあります。したがって、『鈴置論考、「日韓の」ではなく「韓国の」特殊性に言及』でも紹介した次の文章を、私たちは改めて熟読する必要があります。
「平気で約束を破り、堂々と他人を裏切る韓国と首脳会談を開こうとする国はまず出てこない。何を取りきめようが、すぐに反故にされるからです。日本と韓国がうまくいかない原因は『日韓関係の特殊性』ではなく『韓国の特殊性』にあるのです」。
この文章の出所は7月16日付『デイリー新潮』の『文在寅が菅首相をストーカーするのはなぜか 「北京五輪説」「米国圧力説」……やはり「監獄回避説」が有力』ですが、本当に至言と言わざるを得ません。
そして、米国が日韓を「仲裁する」という考え方の裏側には、韓国の対日不法行為を咎めない米国の無責任さが透けて見えるのです。
いずれにせよ、日韓関係における注目点とは、韓国メディアがしきりに報じている「日韓外相会談」が開かれるかどうか、ではなく、3月の大統領選で誰が選ばれるか、という点であることは間違いなさそうです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
会えば、何とかなるって考えてるのは、これまでそうやって日本政府が甘やかしてきたからなんでしょうね。ようやくこれまでの日韓関係と違う対応ができてきたと思っていましたが、岸田・林のどうしようもないコンビだけに不安を感じます。ルーピーコウモリ岸田にはバイデン大統領の来日までに辞任していてほしいところです。
石の橋に連なる財力にモノ云わせ登り詰めた「ルーピー鳩山」ならいざしらず、仮にも”お公家様”衆を束ねた岸田氏をそう侮るものではないかと
林氏にしたところで”単なる軽い御輿”ではありませんのでシマツガワルイかと
コト政策面では官僚システムのコントロール下に納まるコトに親和性の高い宏池会が政権をグリップしていることが不安の根底かナァ…ナンテナ
今回の日米韓外相会談は対北朝鮮対策が議題です。そしてこれに関しては日本は米国に日韓の問題の問題は別にして、日米韓の連携はしっかり取り組むと以前から約束していますからこれに付随する日韓外相会談を断る訳にはいかないということでしょう。だから日本としてはあくまで議題は対北朝鮮対策という立ち位置だけど韓国側は味噌も何とかも一緒くたで外相会談が実施されれば何らかの果実が取れると勝手に期待をしているところではないでしょうか?
日韓外相会談なんて韓国が約束を守る気などさらさらないので無意味なことは、明らかです。
ではなぜ韓国は外相会談申し入れしているかと言えば、米国及び韓国国内へのアピールなんだと思います。韓国から歩み寄ろうとしているのに日本は頑なな態度に終始していてけしからんとでも内外に宣伝したいのでしょうね。本当に度し難い連中です。
そうかと思えば今度は文大統領自身が佐渡金山世界遺産登録申請について言いがかりをつけてきたとのこと。
http://www.wowkorea.jp/news/Korea/2022/0210/10334883.html
一方的な主張(強制労働の証拠はあるのかい)でこれも米国および国内へ「韓国は日本に対話を呼びかけている(のに日本は1ミリも譲歩しない)」と宣伝したいことが目的なんでしょうね。任期あと3ヶ月では諸懸案の解決など不可能なのは明らかなので言いたい放題のイタチの最期っ屁と捉えるべきかと。
あ、イタチの皆さん、最期っ屁などと侮辱でしたね。失礼しました。
韓国は、かの有名漫画のネズミ男に例えられることがあるが
ネズミ男は最後っ屁で命を拾ったことがある
バシラス・アンシラシスは土壌常在菌様
韓国がねずみ男に例えられているのを初めて知りました。
私はジャイアン(中国)に媚びへつらいのび太(日本)を貶めるスネ夫(韓国)に例えられていると勝手に思ってました。
墓場の鬼太郎世代でゲゲゲはなじみがなかったので調べたら鬼太郎に迷惑ばかりかけて困るとすがってくる勝手だが生命力の強い奴で韓国になぞらえられるのも理解できないこともないですね。一つ言えばねずみ男は憎めないところもあるのですが、彼の国はぜっっってえ許せないところは決定的に異なる点かと感じております。
国際条約や国家間協定や合意を一方的になかったことにしてしまう国と、これから
話し合いを始めて何の意味があるというのか? このことを、日本政府は世界に強く
発信していくべき。
アメリカが圧力をかける場合、岸田首相は日韓基本条約と韓国の大法院の判決についてアメリカがどういう見解か、公表していただかないと日本国民は納得しないと言って欲しい。
j さん
禁反言の原則からすると、河野・ポンペオ会談でのポンペオ発言をペド政権がひっくり返す可能性は無さそうですが、
https://www.nippon.com/ja/news/yjj2019081400912/
>この中で河野氏は、韓国の主張通り賠償請求権を認めれば、日韓請求権協定が基礎とする1951年のサンフランシスコ講和条約の見直しにつながると説明。「条約をひっくり返せと言われたらできるか」と問うと、ポンペオ氏は「それはできない」と応じた。
『SF講和条約をひっくり返せないと述べただけで、日韓基本条約や請求権協定をひっくり返せないと述べた訳ではない』などと言い逃れは出来そうですね。
「日韓外相会談が行われたとしても、どのみち日韓双方の不毛な対立が浮き彫りになるだけだろう」
⇒日韓両国の対立は、決して「不毛」ではありません。日本の国の将来にとって、近年の日韓両国の対立は非常に「有毛」というか「肥沃」というか「有益」なものです。
将来、振り返った時に、「あの時、日本政府が韓国政府と対立していたおかげで今日の日本という国が有るのだ」と国民が評価する時代が必ず来ると思います。
これって、既に国家元首間や政府間の問題ではなく国民の草の根レベルの現状認識能力の違いではないでしょうか?
例のレーダー照射事件で目の当たりにした「韓国政府が息をするように直ぐばれるウソを乱発した事」と「韓国民がそれを当然のように信じた(信じたふりをした)事」で「自分達に都合の良い妄想」を「現実」に置き換えてしまうような民族とは議論の前提さえも共有出来ないので話し合いは時間のムダです。
対韓外交に関しては,外相時代に見事に騙された岸田さんよりも,今の外相の林さんが心配ですね.
日韓関係の現状とその原因をちゃんと理解しているならば,口先だけでも「韓国とは良く話し合って」などという発言は出てこない筈で,安倍内閣や菅内閣時代の各外相と同じく「韓国から解決策が出るのを待っている」とか「韓国は国際法を守ってもらいたい」としか言えない筈ですからね.
たとえ言葉だけでも「韓国とは良く話し合って」などと平気で言ってしまう林外相に日本国民の一人として岸田内閣の対韓外交に関して強い危機感を感じる次第です.(対中外交に関しては言わずもがな)
『日韓首脳会談の予定ない=韓国大統領の対話呼びかけで官房長官』
https://jp.reuters.com/article/japan-south-korea-idJPKBN2KF0UP
>[東京 10日 ロイター] – 松野博一官房長官は10日午後の会見で、韓国の文在寅大統領が同日公表した書面インタビューの中で岸田文雄首相との対話を呼びかけたのに対し、今後の首脳会談の予定は何も決まっていないとの見解を示した。
このまま塩対応でよい。残りの任期3カ月のレームダックを相手にする理由はない。
新大統領選出後も、恐らく首脳会談をするまでの価値はない。
>この点、3月の次期韓国大統領選で、「保守派(?)」の尹錫悦(いん・しゃくえつ)氏が勝利を収めようものなら、またしても米国が日本に対し、「日韓関係を改善せよ」という「圧力」をかけて来る可能性はあるでしょうし、岸田文雄首相がこれにやすやすと応じてしまうのは、大きなリスクでもあります。
尹候補が日韓慰安婦合意を遵守した後なら米国も圧力を掛ける理由が作れますが、そもそも尹候補が遵守出来るとは思えないんですよね。
昨年9月に自称元慰安婦と面会してこう述べていますし。
韓国大統領候補、元慰安婦に「日本から謝罪引き出す」と約束=韓国ネット「素晴らしい」「リップサービス?」
https://www.recordchina.co.jp/b882294-s25-c100-d0191.html
今年1月のこれは、慰安婦支援団体についてであって自称元日本軍慰安婦についてでは無いですし。
尹錫悦大統領候補「慰安婦市民団体事態で公正崩れた」
https://japanese.joins.com/jarticle/287098
尹候補が自称元日本軍慰安婦との約束を破る可能性は勿論ありますが、歴史すら整形する大整形民国の最高権威・最高尊厳である自称元日本軍慰安婦の意向に逆らえるとは思えないです。
一時的に逆らったとしても、『カノッサの屈辱』みたいな感じで三跪九叩頭の礼で従う事になるんじゃないかと。