日中韓会合見送りの一方、第2回日米豪印会合が開催へ
先週の韓国の警察庁長の竹島不法上陸、外務事務次官の会見拒絶の余韻が、週が明けても残っているようです。ただ、日本外交が「日中韓」ではなく「日米豪印」に大きく舵を切ったことが、日韓間のちょっとした外交上のやり取りにも大きな影を落としていることもまた間違いなさそうです。日本政府は日中韓3ヵ国サミットを2年連続見送るとの方針が報じられる一方、近く日米豪印首脳会合が開かれるとの観測もあるからです。
竹島不法上陸問題
韓国の警察庁長が日本領である島根県竹島に不法上陸したことをもって、先週、日本政府が米国で開かれていた日米韓3ヵ国外相次官級会合後の記者会見をキャンセルした話題は、『日本が会見見送りで米国のメンツ潰した「本当の意味」』などを含め、当ウェブサイトで何度となく取り上げてきたとおりです。
あくまでも当ウェブサイトの見方ですが、たかだか「会見のキャンセル」に過ぎないものの、これは日本の対応は日本外交にとっては大きな転換点だった可能性があると考えています。
結果的に、米国に対する牽制となったからです。
米国は、竹島占拠をはじめとする韓国による明らかな不法行為の数々に対し、見て見ぬふりを決め込みながら、日本に対して韓国への譲歩を暗黙の裡に要求するという態度をとり続けて来ました。
しかし、これもウェブ主自身の理解に基づけば、日本政府は現在、米国などの自由・民主主義国を巻き込むかたちで「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」という構想を推進しています。したがって、米国もFOIP諸国の一員として、日本に無茶を言い辛くなりつつあるのかもしれません。
言い換えれば、「明らかな不法行為を行った国には毅然と対処する」という姿勢を米国に対しても見せつける良い機会となるとともに、このFOIPに参加していない韓国は、必然的に今後は日米韓3ヵ国連携において、肩身が狭くなっていく、ということでもあります。
【参考】韓国の姿は見当たらない「FOIP」
(【出所】防衛白書)
共同記者会見見送りの余韻
ただ、この日本による共同会見キャンセルという出来事は、日本政府としては珍しく韓国や米国などに強硬姿勢を取ったという意味では、余韻が残っているようです。
こうしたなか、韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)に本日、こんな記事が掲載されていました。
韓国外務次官「日本が共同会見に出席しなかったのは、国内世論を意識したため」
―――修正:2021-11-22 07:21付 ハンギョレ新聞日本語版より
共同記者会見を拒否された本人である崔鐘建(さい・しょうけん)韓国外交部第1次官が20日、仁川(じんせん)国際空港で取材陣の質問に対し、森健良外務次官が当時の記者会見に参加しなかった日本側の意図について聞かれ、次のように述べたのだそうです。
「(日本の)国内政治の要求にも対応する姿を見せなければならなかったようだ」。
要するに、「日本が独島の領有権を主張しているため、韓国の警察庁長の独島訪問に対し、目に見える抗議をしなければならないという、日本の国内的な政治への需要に対応する必要があった」、という言い分ですね。
正直、現在の日韓関係について、あまりにも理解が乏しいと言わざるを得ない気がします。
すでに、日本はさらに先を行き始めているからです。
日米韓ではなく日米豪印
同じく『ハンギョレ新聞』(日本語版)にはこんな記事も掲載されていました。
バイデン米大統領、クアッド首脳会議出席のため来春訪日の見通し
―――2021-11-22 10:03付 ハンギョレ新聞日本語版より
日米豪印「クアッド」の首脳会合が東京で開かれるのではないか、とする観測は、以前からしばしばいくつかのメディアに報じられていたとおりですが、ハンギョレ新聞は読売新聞の21日付の記事を引用する形で、「第2回クアッド対面首脳会合」が来春、日本で開かれるとする話題を取り上げています。
ただ、ハンギョレ新聞の記事では、この「FOIP」を巡って、こんなことを述べています。
「バイデン政権は米国の『インド太平洋構想』を施行する柱としてクアッドを重視している。」
…。
どうしてハンギョレ新聞は、「自由で開かれた」という重要な修飾語をつけないのでしょう。
「インド太平洋構想」だと意味が変わってしまいます。
重要なのは、「FOIP」に参加する諸国が「自由、民主主義、人権、法の支配などの普遍的価値」を重視しているという点であり、これにとくに強くコミットした4ヵ国が日米豪印クアッドである、という流れだからです。
「自由で開かれたインド太平洋」、「FOIP」という重要な用語を頑なに報じないのは韓国メディアにはありがちですが、それにしても「自由で開かれた」という重要な部分が欠落した「インド太平洋」なる用語を見せられて、韓国人読者が正確にクアッドの本質を理解できているのか、疑問です。
同じ首脳会談でも…
もっとも、同じハンギョレ新聞の記事では、日中韓3ヵ国首脳会合の2年連続での見送りに関して触れています。
ハンギョレからの孫引きで恐縮ですが、共同通信が20日、日本政府関係者の話を引用し、日中韓3ヵ国会合は「今年も見送られることが確実な情勢」などと報じたのだとか。
このあたり、同じ「首脳会談」「首脳会合」といった話題からも、日本が韓国や中国よりも、米国、豪州、インドとの関係を重視し始めていることは明白でしょう。
このように考えていくと、「韓国の警察庁長の竹島不法上陸」、「外務次官の会見拒絶」という流れは、変容していく日韓関係の「いま」を象徴する、大変にわかりやすい事件のひとつだったといえるのかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
日中韓会合見送りはいいのですが、
(1) 北京五輪の外交的ボイコットに対する「独自姿勢」
(2) 林外相の中国訪問調整
など、パンダハガーぶりが出てきそうな点が気になります。
他には、
(3) 外国人労働者の永住
など、「誰の声を聞いとんじゃ」と言いたくなることもあり、岸田政権に不安を覚えます。
ただ、これらの報道のほとんどが朝日系列から出ていることから、意図的な世論誘導の可能性も否定はできません。
イーシャさま
興味深い所です。
>これらの報道のほとんどが朝日系列から出ている
そうなんだ。じゃあ、実現しないんじゃない。
中国ではパンダハガーというのは
「警察に逮捕された人」という意味らしい
>「(日本の)国内政治の要求にも対応する姿を見せなければならなかったようだ」
この程度の認識ですから、国際法違反を認める可能性は無いでしょう。
>「外交当局間には対話や協議の断絶はなく、これからも続くだろう」
レベルは下がるでしょうが、協議は続くでしょう。
>「独島に関する問題については、さらに厳しく原則を共有し、そのほか指摘すべきことは指摘した」
「独島に関する問題」が、存在する事を認めていますので失言でしょう。
>来年のクアッド首脳会議は日本が主催する
日本がクアッドの中で、アメリカの次のポジションだという事です。
>日本訪問直後、初めての韓国訪問も実現する可能性が高い。
言い出すと思っていましたが、来春韓国は大統領選挙で、誰に会って良いか分からない状況かと思います。
>韓日は日本軍「慰安婦」問題と強制動員被害者問題で対立が続いており、中日も尖閣諸島(中国名=釣魚群島)と台湾問題などで緊張が高まっている状態だ。
「韓国は、悪く無いニダ」と台湾問題で「韓国はどっち付かずニダ」という話です。
ところで、林外相が「訪中の打診があったので、検討している」というコメントをしました。SNS では、媚中の正体現したりと非難の嵐です。議論しようにも取り付く島もない状態です。国会答弁をのらりくらりと乗り切ることで定評のある林外相があえてこの発言をしたことに興味を持ちます。
この人は一見無関係の発言をしながら、詰将棋のように相手の逃げ道を防いで目的を達成することがよくあります。実際今回の共同会見見送りもどう考えても林外相の発案でしょう。もちろん岸田総理の了解を得ているでしょうが、次官レベルでできる行動ではありません。
林外相の訪中発言は、中国に向けて発言しているわけでなく、アメリカに向けて発言していると思います。真意は何かということです。
YTさま
>媚中の正体現したりと非難の嵐です。議論しようにも取り付く島もない状態です。
ここが、「ネトウヨは頭が悪い」と言われる所以だと思います。
ネトウヨに限らず、情弱は扇動されやすい傾向が強いと思います(個人的見解)。
私は、林外相が最初の訪問先に中国に行く事は出来ないと思います。アメリカへの牽制というのは、共感できます。
バイデン大統領も国内で弱っていますが、しっかりしてもらわないと、いけませんからね。
>「(日本の)国内政治の要求にも対応する姿を見せなければならなかったようだ」。
日本が国内政治のために欠席するのは勝手だとして、韓国も記者会見に出ないことにしたのは何故か?
と、聞いて欲しかったですね♪
さらに返す刀で、
日本に配慮して欠席するなんて親日行為ではないか!!
と糾弾まで進めて欲しかったのです♪
来月、英国でG7の外相会合が開かれる予定で、英国はASEANを招待する様ですが、また同じ様な問題を起こされるとやっかいだから、きっと自称G8のK国は呼ばれないだろうなぁ。
その時のK国マスコミの報道が、今から楽し・・・心配です。
招待国がASEANだけということは
前回アウトリーチ国招待されて
G7入った気になって舞い上がってた
文ちゃんはカヤのお外ですなあ。
凡そ人であれ国家であれ、その言動は、その思考(含む思考方式)なり経験なりを反映したものです。換言すれば、よくいわれるところの自己投影がその言動には現れます。韓国外交部第一次官曰く、「(日本の)国内政治の要求にも対応する姿を見せなければならなかったようだ」とはまさしく韓国のありようそのものではありませんか。日本の主張は次元が全く異なるのです。それは国家の領土を不法占拠し続けて恬として恥じない国家の不法行為、状態を決して許すまじとの、普遍的な主張であるのです。ついでにいえば、北鮮の拉致問題も同様です。何をするにしても、常に国内の事柄に目がいき、それが普遍的に正邪のいずれかを問う思考とはかけ離れた、感情論というか劣等感というか、そんなところに判断基準をおく国家とは何なのか、結果的にそれが自国を貶める事に気付かない。それを直視し、修正しようとの真摯な態度と冷静な思考なくして、やはりあの半島は長年の宿痾からは逃れられないとおもいます。思うに、民族としての自尊、独立を果たし得なかった国家としては誠につらいところでありましょうが、ここを克服せずば、いつまでたっても(つまり千年たっても)従来と変わらぬ事大国家、本質的な事を考えられず、表面を糊塗するだけの国民習性から脱却し得ないでしょう。
韓国はいちいち日本の行動を勝手に分析してくれますのでありがたいですね。その分析は、日本から見ると大抵クエスチョンマークがつきますが、それは韓国の考えがそうだという事ですので、国内向けだ、とかは、自分達がいつもそうしてるって言っているようなもんですからね。実にありがたい。
>どうしてハンギョレ新聞は、「自由で開かれた」という重要な修飾語をつけないのでしょう。
韓国が加盟出来ていないのは「自由」とか「開かれた」とかではないからだ、なんて考えてるのかもですね。
>「自由で開かれたインド太平洋」、「FOIP」という重要な用語を頑なに報じないのは韓国メディアにはありがちですが、それにしても「自由で開かれた」という重要な部分が欠落した「インド太平洋」なる用語を見せられて、韓国人読者が正確にクアッドの本質を理解できているのか、疑問です。
輸出管理適正化を輸出規制だと言い換える知能なのを踏まえると、欠落してなくても理解出来ない連中なのでは?
わたしは会見すべき派だけど…
朝日新聞:
韓国の無分別な行動は責められるべきだが、それを理由に日米韓の結束を発信する機会を逸した日本の判断も賢明とはいえない。
ハンギョレ:
チェ次官は「韓米日三角構図…が維持されるのは韓国が参加しているため」
韓国が3カ国協議の枠組みから離脱することはない
「先に出ていく方が損をするだろう」
うわっ、めっちゃ効いてるぅw
たかが記者会見断っただけで「構図」の崩壊に言及するとは。
ビビり過ぎだろw
だから(日本抜き)米韓共同記者会見より(ホスト)米国単独記者会見を選んだのか。
きっと韓国大統領府は「日本が瀬戸際外交しやがって」とか思ってるんだろうな。
噴飯ものだがw